特許第6634725号(P6634725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6634725
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】空気圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20200109BHJP
【FI】
   F04B39/00 101W
   F04B39/00 103J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-157560(P2015-157560)
(22)【出願日】2015年8月7日
(65)【公開番号】特開2017-36690(P2017-36690A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 力
(72)【発明者】
【氏名】大澤 拓也
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−063874(JP,A)
【文献】 特開2013−096345(JP,A)
【文献】 特開2001−304122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F16C 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータによって作動する圧縮機構と、
前記モータの回転軸を回転可能に支持するベアリングと、
前記ベアリングの外輪を支持する支持部材と、
前記支持部材が固定された取付部と、
を備え、
前記取付部は、前記支持部材の外周部を受ける外周支持部と、前記支持部材の軸方向の片側端部を受ける突当部と、を備え、
前記支持部材は、外周部に螺旋状の係合部を備え、
前記係合部は、前記支持部材が前記モータの回転軸の回転方向に回転したときに、前記突当部の方向に進行するネジ形状であり、
前記取付部の線膨張率よりも、前記支持部材の線膨張率の方が前記ベアリングの外輪の線膨張率に近いことを特徴とする、空気圧縮機。
【請求項2】
前記支持部材は前記取付部にインサート成型されていることを特徴とする、請求項1記載の空気圧縮機。
【請求項3】
前記ベアリング及び前記支持部材は、前記圧縮機構を挟んだ両側に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の空気圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気圧縮機に関し、特に、ベアリングが発生する音を抑制できる空気圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の空気圧縮機は、モータによって圧縮機構を作動させ、空気を圧縮する。モータの回転軸は、例えば特許文献1に示すように、クランクケースに固定されたベアリングによって回転可能に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−52574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の空気圧縮機では一般的に、クランクケースはアルミニウムなどの材料で形成され、ベアリングは鋼材などの材料で形成される。このため、クランクケースにベアリングを固定した構造では、クランクケースとベアリングとの線膨張率の違いからベアリング固定部のすきまが変化する。例えば、機械の温度が上昇することでベアリングとクランクケースのすきまが大きくなったり、逆に機械の温度が低下することでクランクケースがベアリングよりも収縮して、ベアリングの内部すきまが小さくなったりする場合がある。
【0005】
このように温度によってベアリングのすきまが変化する構造では、温度変化によってベアリングのがたが大きくなったり、もしくは温度変化を見越してベアリングの内部すきまの初期寸法を大きくしたりすることで、振動や騒音が発生するという問題があった。具体的には、圧縮機構のピストン運動により生じる負荷がベアリングにかかるが、この負荷はピストンの動きに応じて変化するため、ベアリングにがたがあると負荷の変動によって振動が発生し、騒音を発生させるという問題があった。
【0006】
ベアリングと固定部との間に弾性部材を配置することで寸法変化を吸収するように構成した場合、大きな荷重を受けることができず、振動を抑えることが出来ないという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、温度変化によるベアリングのすきまへの影響を低減することで、振動や騒音の発生を抑制することができる空気圧縮機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明は、モータと、前記モータによって作動する圧縮機構と、前記モータの回転軸を回転可能に支持するベアリングと、前記ベアリングの外輪を支持する支持部材と、前記支持部材が固定された取付部と、を備え、前記取付部は、前記支持部材の外周部を受ける外周支持部と、前記支持部材の軸方向の片側端部を受ける突当部と、を備え、前記支持部材は、外周部に螺旋状の係合部を備え、前記係合部は、前記支持部材が前記モータの回転軸の回転方向に回転したときに、前記突当部の方向に進行するネジ形状であり、前記取付部の線膨張率よりも、前記支持部材の線膨張率の方が前記ベアリングの外輪の線膨張率に近いことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記支持部材は前記取付部にインサート成型されていることを特徴とする。
【0011】
【0012】
請求項に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、前記ベアリング及び前記支持部材は、前記圧縮機構を挟んだ両側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、前記取付部の線膨張率よりも、前記支持部材の線膨張率の方が前記ベアリングの外輪の線膨張率に近い。このような構成によれば、取付部(クランクケース)とベアリングとの線膨張率の差を支持部材によって緩和し、温度変化がベアリングのはめあいに与える影響を小さくすることができる。温度が変化したときでもベアリングのしめしろが大きく変化することがないので、取付部とベアリングの間にガタが生じることも、ベアリングの内部すきまが大きく変化することもない。よって、がたつきによる振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0014】
また、ベアリングの内部すきまが大きく変化しないので、内部すきまの初期寸法を従来よりも小さく設定することができる。よって、振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記支持部材は前記取付部にインサート成型されている。このような構成によれば、支持部材が取付部から外れることを防止できる。
【0016】
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、前記取付部は、前記支持部材の外周部を受ける外周支持部と、前記支持部材の軸方向の片側端部を受ける突当部と、を備え、前記支持部材は、外周部に螺旋状の係合部を備え、前記係合部は、前記支持部材が前記モータの回転軸の回転方向に回転したときに、前記突当部の方向に進行するネジ形状である。このような構成によれば、温度変化などにより支持部材と取付部の間の隙間が生じ、モータによって回転力が加えられた場合であっても、支持部材には、取付部にねじ込まれるような作用が生じるので、支持部材は突当部に押し付けられる。これにより、ねじ込み方向の移動だけでなく回転も規制される。このため、支持部材と取付部との間で空転が発生することを防止できる。また、空転による摩耗を防止することもできる。
【0017】
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、前記ベアリング及び前記支持部材は、前記圧縮機構を挟んだ両側に配置されている。このような構成によれば、振動の原因となる圧縮機構の両側において回転軸を支持することができるので、がたつきの抑制効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】空気圧縮機の内部構造を示すために一部を断面で表示した平面図である。
図2】カバーを取り外した空気圧縮機の側面図である。
図3】空気圧縮機の内部構造を示す一部断面図である。
図4】(a)支持部材の正面図、(b)支持部材の上部を断面で示した側面図、(c)支持部材の取付箇所を拡大した図である。
図5】従来の空気圧縮機の内部構造を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態に係る空気圧縮機10は、可搬型コンプレッサであり、図1及び図2に示すように、クランクケース11と、クランクケース11に取り付けられる圧縮機構40と、圧縮機構40を作動させるためのモータ30と、圧縮機構40によって生成した圧縮空気を貯留するためのタンク45と、を備えている。
クランクケース11は、圧縮機構40を収容するためのものであり、ケース本体14と、ケース本体14の開口を覆うケースキャップ20と、を備えている。
【0021】
ケース本体14は、例えばアルミニウム等の金属材料からなる中空容器として形成されている。ケース本体14の前部には、開口が設けられ、この開口をケースキャップ20が覆っている。また、このケース本体14の両側には、圧縮機構40のシリンダ41c,42cが取り付けられている。また、このケース本体14の後部には、圧縮機構40の駆動源となるモータ30が取付けられている。具体的には、ケース本体14の後部には、周壁部15が突出して設けられており、この周壁部15の端部にモータ30のステータ35が取り付けられている。
【0022】
ケースキャップ20は、例えばアルミニウム等の金属材料からなる円盤状の部材である。本実施形態においてはクランクケース11と同じ材料で形成されている。このケースキャップ20には、外部に開口した吸気口が設けられている。
【0023】
上記したクランクケース11の内部は圧縮機構40に圧縮用の空気を供給するための給気室Sとなっている。この給気室Sは圧縮機構40のシリンダ41cの内部と連通しており、給気室Sの空気を使用して圧縮空気が生成される。具体的には、圧縮機構40の圧縮行程において、ピストン41bが上死点側に移動することで給気室S内に負圧が発生し、ケースキャップ20に設けられた吸気口を通じて外部の空気が給気室Sに取り込まれる。続く吸気工程において、ピストン41bが下死点側に移動し、シリンダ41cの圧縮室が負圧となって給気室S内の空気がシリンダ41c内に導入されて圧縮されるようになっている。
【0024】
モータ30は、ロータ32を環状のステータ35の内側に配置したインナーロータ型のDCブラシレスモータである。ロータ32及びステータ35は、例えば鋼板を積層して形成されている。
【0025】
なお、モータ30の回転軸31は、ケース本体14に取り付けられた第1ベアリング12と、ケースキャップ20に取り付けられた第2ベアリング13とにより回転自在に支持されている。回転軸31にはロータ32が固定されており、モータ30が作動してロータ32が回転したときに、ロータ32と一体的に回転軸31が回転する。
【0026】
本実施形態に係る空気圧縮機10は、モータ30を大径化することにより、トルクアップと、低回転化が図られている。具体的には、従来の同等の機種においては、モータ30のサイズ(ロータ32の外径、厚さ)が約φ70×30mmであったのに対し、本実施形態に係る空気圧縮機10においては、モータ30のサイズを約φ90×20mmとしている。このようにモータ30を大径化したことにより、モータ30が薄型になっている。
【0027】
圧縮機構40は、上記したモータ30によって作動するものであり、ピストン41b,42bを往復動させることでシリンダ41c,42c内に導入された空気を圧縮する。本実施形態に係る圧縮機構40は、低圧用圧縮機構41と高圧用圧縮機構42とを備えた多段圧縮機構である。すなわち、給気室S内の空気は、まず低圧用圧縮機構41によって圧縮される。低圧用圧縮機構41によって圧縮された空気は、高圧用圧縮機構42に導入され、高圧用圧縮機構42によって更に圧縮される。このように二段階で圧縮された空気がタンク45に送られて貯留される。
【0028】
上記した低圧用圧縮機構41及び高圧用圧縮機構42は、図1及び図2に示すように、クランクケース11の両側に対向配置されている。すなわち、クランクケース11の片側に低圧用圧縮機構41が突出して取り付けられており、この低圧用圧縮機構41の反対側に高圧用圧縮機構42が突出して取り付けられている。
【0029】
低圧用圧縮機構41及び高圧用圧縮機構42は、それぞれモータ30の回転軸31に接続されたコンロッド41a,42aを備えている。このコンロッド41a,42aは、回転軸31に固定された偏心板を介して回転軸31に接続されており、回転軸31の回転運動を往復動に変換する。このコンロッド41a,42aの先端にはピストン41b,42bが取り付けられているため、モータ30の回転に伴いピストン41b,42bがシリンダ41c,42c内で往復動し、シリンダ41c,42c内の空気を圧縮する。
【0030】
ところで、モータ30の回転軸31を支持する第1ベアリング12及び第2ベアリング13は、特に図示しないが、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間を転がる転動体と、を備えた転がり軸受であり、外輪がクランクケース11に取り付けられている。このとき、外輪がクランクケース11に直接固定されているのではなく、図3に示すように、支持部材25,26を介してクランクケース11に取り付けられている。
【0031】
すなわち、第1ベアリング12の外輪は、リング状の第1支持部材25に内嵌されて支持されている。そして、この第1支持部材25は、ケース本体14に設けられた第1取付部16に固定されている。これにより、第1ベアリング12の外輪は、第1支持部材25を介してケース本体14に取り付けられている。
【0032】
また、第2ベアリング13の外輪は、リング状の第2支持部材26に内嵌されて支持されている。そして、この第2支持部材26は、ケースキャップ20に設けられた第2取付部21に固定されている。これにより、第2ベアリング13の外輪は、第2支持部材26を介してケースキャップ20に取り付けられている。
【0033】
このように第1ベアリング12及び第2ベアリング13を、支持部材を介してクランクケース11に取り付けることで、ベアリングとクランクケース11との線膨張率の差を支持部材で吸収できるようにしている。すなわち、本実施形態に係る第1支持部材25及び第2支持部材26は、第1ベアリング12及び第2ベアリング13の外輪と同じ材料で形成されている。例えば第1ベアリング12及び第2ベアリング13の外輪が軸受鋼で形成されている場合には、第1支持部材25及び第2支持部材26も同じ軸受鋼で形成される。このように第1支持部材25及び第2支持部材26を第1ベアリング12及び第2ベアリング13の外輪と同じ材料で形成すれば、温度が変化した場合でもベアリングのはめあいが変化しないので、ベアリングの内部すきまが変化しない。
【0034】
一方、図5に示すように、ベアリングの外輪がクランクケース11に直接固定されているような従来の構造では、温度が変化したときにベアリングのはめあいが変化してしまい、ベアリングの内部すきまが変化したり、嵌め合い部に隙間ができてしまう。例えば、機械の温度が低下すると、鉄系材料で形成されたベアリングよりもアルミニウムで形成されたクランクケース11の収縮が大きくなるため、ベアリングの外輪が第1取付部16及び第2取付部21によって締め付けられ、ベアリングのはめあいがきつくなる。ベアリングのはめあいがきつくなることで、ベアリングの内部すきまも小さくなる。
【0035】
このような構造においては、ベアリングの内部すきまが小さくなることを見越して、内部すきまの初期寸法に余裕を持たせる必要がある。また、温度変化によって内部すきまが大きくなる場合もある。このため、ベアリングの内部すきまを小さく保つことができず、ベアリングのがたつきの原因となっていた。がたつきの大きいベアリングを空気圧縮機10で使用すると、圧縮機構40のピストン運動によりベアリングが振動し、騒音を発生させる。また、クランクケース11からベアリングが脱落することもあるため、ベアリング固定しておくための部材を設ける必要があった。
【0036】
この点、本実施形態によれば、温度が変化した場合でもベアリングの内部すきまが変化しにくい。また、ベアリングの内部すきまが変化しにくいので、内部すきまの初期寸法を従来よりも小さく設定することができる。よって、振動を抑え、騒音の発生を抑制することができる。
【0037】
しかも、本実施形態においては、第1ベアリング12及び第1支持部材25を、圧縮機構40よりもモータ30側に配置し、第2ベアリング13及び第2支持部材26を、圧縮機構40よりも反モータ30側に配置している。このようにベアリング及び支持部材を圧縮機構40を挟んだ両側に配置しているので、振動の発生源となる圧縮機構40の両側において回転軸31を支持することができる。
【0038】
なお、上記した実施形態では、支持部材をベアリングの外輪と同じ材料で形成する例について説明したが、支持部材はベアリングの外輪とまったく同じ材料で形成されていなくてもよい。少なくとも、取付部(クランクケース11)の線膨張率と支持部材の線膨張率とを比較したときに、支持部材の線膨張率の方がベアリングの外輪の線膨張率に近ければよい。このように構成すれば、支持部材によってベアリングとクランクケース11との線膨張率の差を吸収する効果を得ることができる。
【0039】
ところで、上記した第1支持部材25及び第2支持部材26は、第1取付部16及び第2取付部21とは異なる金属で形成されているため、両者の線膨張率の違いも問題となる。すなわち、温度変化によって第1支持部材25及び第2支持部材26が第1取付部16及び第2取付部21から外れてしまう(取付けが緩んでしまう)ことを防止しなければならない。
【0040】
この点、本実施形態においては、第1支持部材25及び第2支持部材26を第1取付部16及び第2取付部21にインサート成型することで、支持部材の脱落を防止している。具体的には、ケース本体14をダイキャストで成型するときに第1支持部材25を一体成型し、ケースキャップ20をダイキャストで成型するときに第2支持部材26を一体成型している。このように第1支持部材25及び第2支持部材26をケース本体14やケースキャップ20に一体成型することで、第1支持部材25及び第2支持部材26の脱落を防止している。
【0041】
また、本実施形態においては、図4(b)に示すように、第1支持部材25の外周表面にネジ形状の係合部25aを設けることで、第1支持部材25の脱落を防止している。
【0042】
具体的には、第1取付部16は、図3及び図4(c)に示すように、第1支持部材25の外周部を受ける外周支持部16aと、第1支持部材25の軸方向の片側端部を受ける突当部16bと、を有する。突当部16bの中心にはモータ30の回転軸31を貫通させるための孔が設けられており、これにより突当部16bは内向きのフランジ形状となっている。そして、第1支持部材25の外周部には、螺旋状の係合部25aが設けられている。この係合部25aは、第1支持部材25がモータ30の回転軸31の回転方向に回転したときに、言い換えると圧縮機構40の作動時の回転軸31の回転方向に第1支持部材25を回転させたときに、第1支持部材25が突当部16bの方向に進行するようなネジ形状で形成されている。このネジ形状の係合部25aを第1取付部16の外周支持部16aに一体成型することで、更に第1支持部材25の脱落が防止される。すなわち、回転軸31の回転の影響を受けて第1支持部材25が回転しようとしたときに、第1支持部材25が突当部16bに押し付けられるような力が働くため、第1支持部材25の回転が防止されて、脱落が防止される。
【0043】
また、特に図示しないが、第2支持部材26の外周表面にも第1支持部材25と同様のネジ形状の係合部が設けられている。この第2支持部材26が取り付けられる第2取付部21は、図3に示すように、第2支持部材26の外周部を受ける外周支持部21aと、第2支持部材26の軸方向の片側端部を受ける突当部21bと、を有する。突当部21bの中心にはモータ30の回転軸31を貫通させるための孔が設けられており、これにより突当部21bは内向きのフランジ形状となっている。そして、第2支持部材26の外周部には、螺旋状の係合部が設けられている。この係合部は、第2支持部材26がモータ30の回転軸31の回転方向に回転したときに、言い換えると圧縮機構40の作動時の回転軸31の回転方向に第2支持部材26を回転させたときに、第2支持部材26が突当部21bの方向に進行するようなネジ形状で形成されている。このネジ形状の係合部を第2取付部21の外周支持部21aに一体成型することで、更に第2支持部材26の回転が防止されて、脱落が防止される。すなわち、回転軸31の回転の影響を受けて第2支持部材26が回転しようとしたときに、第2支持部材26が突当部21bに押し付けられるような力が働くため、第2支持部材26の脱落が防止される。
【0044】
なお、第1支持部材25及び第2支持部材26に設けるネジ形状の係合部25aは、圧縮機構40の作動時に第1支持部材25及び第2支持部材26を抜け落ちない方向に進行させる形状であればよく、例えば溝で形成してもよいし、突条で形成してもよい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、ベアリングの外輪を支持するリング状の支持部材と、前記支持部材が固定された取付部と、を備え、前記支持部材は、前記取付部よりも前記ベアリングの外輪に近い線膨張率を有する材質が用いられている。このような構成によれば、取付部(ハウジング)とベアリングとの線膨張率の差を支持部材によって緩和し、温度変化がベアリングのはめあいに与える影響を小さくすることができる。よって、温度が変化したときでもベアリングのしめしろが大きく変化せず、言い換えると、ベアリングの内部すきまが大きく変化しない。よって、がたつきによる振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0046】
また、ベアリングの内部すきまが大きく変化しないので、内部すきまの初期寸法を従来よりも小さく設定することができる。よって、振動や騒音の発生を抑制することができる。
また、前記支持部材は前記取付部にインサート成型されている。このような構成によれば、支持部材が取付部から外れることを防止できる。
【0047】
また、前記取付部は、前記支持部材の外周部を受ける外周支持部16a,21aと、前記支持部材の軸方向の片側端部を受ける突当部16b,21bと、を備え、前記支持部材は、外周部に螺旋状の係合部25aを備え、前記係合部25aは、前記支持部材が前記モータ30の回転軸31の回転方向に回転したときに、前記突当部16b,21bの方向に進行するネジ形状である。このような構成によれば、モータ30が回転したときに支持部材が取付部にねじ込まれるような作用が生じる。このため、支持部材が取付部から外れたり、空転することを防止できる。
【0048】
また、前記ベアリング及び前記支持部材は、前記圧縮機構40を挟んだ両側に配置されている。このような構成によれば、振動の原因となる圧縮機構40の両側において回転軸31を支持することができるので、がたつきの抑制効果を高めることができる。
【0049】
なお、上記した実施形態においては支持部材の外周部にネジ形状の係合部25aを設けたが、本発明の実施形態としてはこれに限らず、異なる形状の係合部を設けてもよい。例えば、
【0050】
支持部材の外周部の少なくとも一部を非円形(楕円形など)としたり、支持部材の外周部に突起を設けたり、支持部材の外周部にギア状に凹凸を設けりしてもよい。このようにネジ形状以外の係合部を設け、この係合部が支持部材の回り止めとして機能することにより、クランクケース11との間で緩んで空転することを防止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 空気圧縮機
11 クランクケース
12 第1ベアリング
13 第2ベアリング
14 ケース本体
15 周壁部
16 第1取付部
16a 外周支持部
16b 突当部
20 ケースキャップ
21 第2取付部
21a 外周支持部
21b 突当部
25 第1支持部材
25a 係合部
26 第2支持部材
30 モータ
31 回転軸
32 ロータ
35 ステータ
40 圧縮機構
41 低圧用圧縮機構
41a コンロッド
41b ピストン
41c シリンダ
42 高圧用圧縮機構
42a コンロッド
42b ピストン
42c シリンダ
45 タンク
S 給気室
図1
図2
図3
図4
図5