(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来にない組成及び/又は形態の食品(特に疲労改善作用を有する食品)、抗疲労組成物等を提供することを目的とする。
アミノ酸を食品等に配合する場合、アミノ酸の持つ独特の味の影響を考慮しなくてはならない場合がある。ヒスチジンに抗疲労効果があることは知られているが、ヒスチジンには、酸味や苦味があり、食品への配合量が制限される傾向にあり、十分な抗疲労作用を得ることが出来ない場合がある。そこで、本発明は、少ないヒスチジン含有量でも十分な抗疲労効果を提供し得る、ヒスチジン含有食品等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはヒスチジンにビタミンB6及び/又はカルノシンを併用することにより、より効果的に疲労改善し得ること、特にそれぞれ単独では効果が認められないような低用量においても疲労改善効果が得られることを見出し、以下のような本発明を完成した。
[1](1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを併用してなる、抗疲労組成物。
[1−1](1)ヒスチジンの有効量、及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、疲労改善方法。
[1−2]疲労改善の為の(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを併用してなる組成物。
[2]ヒスチジン及びビタミンB6を併用してなる、上記[1]記載の組成物。
[2−1]ヒスチジンの有効量及びビタミンB6の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、疲労改善方法。
[2−2]疲労改善の為のヒスチジン及びビタミンB6を併用してなる組成物。
[3]ヒスチジン及びカルノシンを併用してなる、上記[1]記載の組成物。
[3−1]ヒスチジンの有効量及びカルノシンの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、疲労改善方法。
[3−2]疲労改善の為のヒスチジン及びカルノシンを併用してなる組成物。
[4]ヒスチジン:ビタミンB6が、5:3〜350:1である、上記[2]記載の組成物。
[4−1]ヒスチジン:ビタミンB6が、5:3〜350:1である、上記[2−1]記載の方法。
[4−2]ヒスチジン:ビタミンB6が、5:3〜350:1である、上記[2−2]記載の組成物。
[5]ヒスチジンが単位包装あたり0.3g以上含まれている、上記[4]記載の組成物。
[5−2]ヒスチジンが単位包装あたり0.3g以上含まれている、上記[4−2]記載の組成物。
[6]ヒスチジンが1食摂取量として0.3g以上含まれている、上記[4]又は[5]記載の組成物。
[6−2]ヒスチジンが1食摂取量として0.3g以上含まれている、上記[4−2]又は[5−2]記載の組成物。
[7]ビタミンB6が1食摂取量として0.5mg以上含まれている、上記[4]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[7−2]ビタミンB6が1食摂取量として0.5mg以上含まれている、上記[4−2]、[5−2]及び[6−2]のいずれかに記載の組成物。
[8]ヒスチジン:カルノシンが、1:4〜100:1である、上記[3]記載の組成物。
[8−2]ヒスチジン:カルノシンが、1:4〜100:1である、上記[3−2]記載の組成物。
[9](1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを含有する容器詰食品。
[10]ヒスチジン及びビタミンB6を含有する、上記[9]記載の容器詰食品。
【0009】
[11]ヒスチジン及びカルノシンを含有する、上記[9]記載の容器詰食品。
[12]ヒスチジン:ビタミンB6が、5:3〜350:1である、上記[10]記載の容器詰食品。
[13]ヒスチジンが1食摂取量として0.3g以上含まれている、上記[12]記載の容器詰食品。
[14]ビタミンB6が1食摂取量として0.5mg以上含まれている上記[12]又は[13]記載の容器詰食品。
[15]さらに、賦形剤、矯味剤および香料から選ばれる少なくとも1種の添加物を含む、上記[9]〜[14]のいずれかに記載の容器詰食品。
[16]食品の形態が固形、半固形または液状である、上記[9]〜[15]のいずれかに記載の容器詰食品。
[17]食品の形態が粉末状、錠剤、顆粒状またはカプセル状である、上記[9]〜[15]のいずれかに記載の容器詰食品。
[18]食品の形態がスラリー状、溶液状、ゼリー状または乳液状である、上記[9]〜[15]のいずれかに記載の容器詰食品。
[19]1食当たりの単位包装形態からなる、上記[9]〜[18]のいずれかに記載の容器詰食品。
[20]疲労改善用である、上記[9]〜[19]のいずれかに記載の容器詰食品。
【0010】
[21]1食当たりの単位包装形態からなる、(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを含有する食品。
[22]1食当たりの単位包装形態からなる、ヒスチジン及びビタミンB6を含有する、上記[21]記載の食品。
[23]1食当たりの単位包装形態からなる、ヒスチジン及びカルノシンを含有する、上記[21]記載の食品。
[24]ヒスチジン:ビタミンB6が、5:3〜350:1である、上記[22]記載の食品。
[25]ヒスチジンが0.3g以上含まれている、上記[24]記載の食品。
[26]ビタミンB6が0.5mg以上含まれている上記[24]又は[25]記載の食品。
[27]ヒスチジン:カルノシンが、1:4〜100:1である上記[23]記載の食品。
[28]ヒスチジンが0.3g以上含まれている、上記[27]記載の食品。
[29]さらに、賦形剤、矯味剤および香料から選ばれる少なくとも1種の添加物を含む、上記[21]〜[28]のいずれかに記載の食品。
[30]食品の形態が固形、半固形または液状である、上記[21]〜[29]のいずれかに記載の食品。
【0011】
[31]食品の形態が粉末状、錠剤、顆粒状またはカプセル状である、上記[21]〜[29]のいずれかに記載の食品。
[32]食品の形態がスラリー状、溶液状、ゼリー状または乳液状である、上記[21]〜[29]のいずれかに記載の食品。
[33]食品が保健機能食品である、上記[21]〜[32]のいずれかに記載の食品。
[34]疲労改善用である、上記[21]〜[33]のいずれかに記載の食品。
[35](1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを含有する容器詰飲料。
[36]ヒスチジン及びビタミンB6を含有する、上記[35]記載の容器詰飲料。
[37]ヒスチジン及びカルノシンを含有する、上記[35]記載の容器詰飲料。
[38]ヒスチジン:ビタミンB6が、5:3〜350:1である、上記[36]記載の容器詰飲料。
[39]ヒスチジンが1食摂取量として0.3g以上含まれている、上記[38]記載の容器詰飲料。
[40]ヒスチジンを1w/v%以上含有する上記[38]記載の容器詰飲料。
【0012】
[41]ビタミンB6が1食摂取量として0.5mg以上含まれている上記[38]〜[40]のいずれかに記載の容器詰飲料。
[42]1食当たりの単位包装形態からなる、上記[35]〜[41]のいずれかに記載の容器詰飲料。
[43]保健機能食品である、上記[35]〜[42]のいずれかに記載の容器詰飲料。
[44]疲労改善用である、上記[35]〜[43]のいずれかに記載の容器詰飲料。
【発明の効果】
【0013】
本発明の(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを含有する組成物を摂取することにより、疲労(精神疲労、肉体疲労)を改善することができる。本発明は、その有効成分がアミノ酸(ペプチド)やビタミンであることから、副作用を生じるおそれが少ないという点で安全性に優れており、日常的に連用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
本発明においてヒスチジンとは、下記構造式からなる必須アミノ酸である。
【0017】
本発明において用いられるヒスチジンは、加水分解によりヒスチジンになり得る物質であってもよい。「加水分解によりヒスチジンになり得る物質」とは、加水分解反応(特に生体内加水分解反応)によりヒスチジンが得られる物質であり、典型例として、ヒスチジンを構成単位にもつ蛋白質やペプチドが挙げられる。加水分解反応によりヒスチジンが得られる物質は、摂取後の体内での加水分解によりヒスチジンが生成して、はじめからヒスチジンを摂取したのと同様の効果を奏することが期待される。
【0018】
本発明におけるヒスチジンは、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、或いは化学合成法、発酵法、酵素法または遺伝子組換え法によって得られるもののいずれを使用してもよい。またL−体、D−体またはDL−体のいずれも使用することができる。市販されているものが利用でき、また簡便であることから好ましい。
【0019】
ビタミンB6とは、下記構造を有する水溶性ビタミンの一種である。
ビタミンB6にはピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンがあり相互に変換する。本発明において用いるビタミンB6は、所望の効果を発揮することができればいずれの化合物であってもよいが、好ましくはピリドキシンである。
【0021】
本発明におけるビタミンB6は、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、或いは化学合成法によって得られるもののいずれを使用してもよい。市販されているものが利用でき、また簡便であることから好ましい。
【0022】
カルノシンとは、ヒスチジンとβアラニンが結合した、下記構造を有するジペプチドである。
【0024】
本発明におけるカルノシンは、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、或いは化学合成法、発酵法、酵素法または遺伝子組換え法によって得られるもののいずれを使用してもよい。また立体異性によりL−体、D−体が存在する(天然にはL−体のみ)が、いずれも使用することができる。市販されているものが利用でき、また簡便であることから好ましい。
【0025】
本発明において用いられるカルノシンは、加水分解によりカルノシンになり得る物質であってもよい。「加水分解によりカルノシンになり得る物質」とは、加水分解反応(特に生体内加水分解反応)によりカルノシンが得られる物質であり、典型例として、カルノシンを構成単位にもつ蛋白質やペプチドが挙げられる。加水分解反応によりカルノシンが得られる物質は、摂取後の体内での加水分解によりカルノシンが生成して、はじめからカルノシンを摂取したのと同様の効果を奏することが期待される。
【0026】
本明細書中、ヒスチジンとして、ヒスチジンそのものを用いる場合にはヒスチジンの重量に着目し、加水分解によりヒスチジンになり得る物質を用いる場合にはヒスチジンに換算して組成物又は食品中のヒスチジンの含有量を決定する。組成物又は食品中にヒスチジンと加水分解によりヒスチジンになり得る物質との両方が含まれている場合には、加水分解によりヒスチジンになり得る物質を加水分解により全てヒスチジンにしたときのヒスチジンの重量と、もともとヒスチジンであったものとの総重量を組成物又は食品中の含有量とする。
同様に、カルノシンとして、カルノシンそのものを用いる場合にはカルノシンの重量に着目し、加水分解によりカルノシンになり得る物質を用いる場合にはカルノシンに換算して組成物又は食品中のカルノシンの含有量を決定する。組成物又は食品中にカルノシンと加水分解によりカルノシンになり得る物質との両方が含まれている場合には、加水分解によりカルノシンになり得る物質を加水分解により全てカルノシンにしたときのカルノシンの重量と、もともとカルノシンであったものとの総重量を組成物又は食品中の含有量とする。
【0027】
本発明において用いられるヒスチジン(又は加水分解によりヒスチジンになり得る物質)、ビタミンB6及びカルノシン(又は加水分解によりカルノシンになり得る物質)は、塩の形態であってもよい。塩の形態としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、薬理学的に許容される塩を選択することが好ましい。そのような塩としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩が挙げられる。
無機酸との塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸等との塩が挙げられる。
無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウムとの塩等が挙げられる。
有機塩基との塩としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等との塩が挙げられる。
【0028】
以下、本明細書中では、ヒスチジン、「加水分解によりヒスチジンになり得る物質」及びそれらの塩をヒスチジンと総称し、カルノシン、「加水分解によりカルノシンになり得る物質」及びそれらの塩をカルノシンと総称する。
【0029】
本発明の一実施態様は、(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6/又はカルノシンを併用してなる抗疲労組成物であり、特に、ヒスチジン及びビタミンB6を併用してなる抗疲労組成物、及びヒスチジン及びカルノシンを併用してなる抗疲労組成物が提供される。
本発明の別の一実施態様は、(1)ヒスチジンの有効量、及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、疲労改善方法であり、特に、(1)ヒスチジンの有効量及び(2)ビタミンB6の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む疲労改善方法、及び(1)ヒスチジンの有効量、及び(2)カルノシンの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、疲労改善方法が提供される。
本発明の別の一実施態様は、疲労改善の為の(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを併用してなる組成物であり、特に、疲労改善の為のヒスチジン及びビタミンB6を併用してなる組成物、及び疲労改善の為のヒスチジン及びカルノシンを併用してなる組成物が提供される。
【0030】
本発明の抗疲労組成物、疲労改善方法、及び疲労改善の為の組成物は、ヒスチジンをビタミンB6と併用してなるものであっても、ヒスチジンをカルノシンと併用してなるものであっても、ヒスチジンをビタミンB6及びカルノシンと併用してなるものであってもよい。好ましくはヒスチジンをビタミンB6と併用してなるものである。ヒスチジンとビタミンB6との配合割合は、抗疲労効果が得られる範囲で適宜設定することができる。
好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、15:1〜350:1、30:1〜350:1、60:1〜350:1、90:1〜350:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、5:3〜300:1、5:3〜240:1、5:3〜120:1である。さらに別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、15:1〜300:1、30:1〜240:1、60:1〜120:1、90:1〜120:1である。
ヒスチジンとカルノシンとの配合割合も、抗疲労効果が得られる範囲で適宜設定することができる。
好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:2〜100:1、1:1〜100:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:4〜50:1、1:4〜30:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:2〜50:1、1:1〜30:1である。
ヒスチジンとの併用にビタミンB6及びカルノシンの両方を投与する場合には、ビタミンB6及び/又はカルノシンは、単独投与の場合に比べてその投与量減らすことができる。
【0031】
本発明の組成物において、(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6/又はカルノシンの投与形態は、特に限定されず、投与時に、(1)と(2)とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、
(A)(1)と(2)とを同時に含有する単一の組成物としての投与、
(B)(1)と(2)とを別々に含有する2種(又は3種)の組成物の同一投与経路での同時投与、
(C)(1)と(2)とを別々に含有する2種(又は3種)の組成物の同一投与経路での時間差をおいての投与、
(D)(1)と(2)とを別々に含有する2種(又は3種)の組成物の異なる投与経路での同時投与、
(E)(1)と(2)とを別々に含有する2種(又は3種)の組成物の異なる投与経路での時間差をおいての投与
等が挙げられる。
【0032】
2010年に疲労学会にて「疲労」の定義は、「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と発表された。すなわち「疲労」とは、パフォーマンスの低下と定義づけられる。本発明において、「疲労」とは、精神疲労及び肉体疲労の両方を意図する。「抗疲労」あるいは「疲労改善」とは、からだを疲労の状態からいち早く回復する疲労回復作用、運動負荷や精神負荷(睡眠不足負荷等も含まれる)を与えた際に疲れにくくする効果、又は日常的に感じる眼精疲労、精神的疲労、若しくは精神不全等のストレスを軽減し、さらには頭脳作業の効率を改善する作用を示す。
【0033】
本発明の抗疲労組成物は、過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態を改善もしくは回復させる組成物を指す。
【0034】
抗疲労効果の評価は、自体公知の方法により行なうことができる。そのような方法としては、例えば、視覚的アナログ尺度(VAS)やProfile of Mood States(POMS)などの主観的評価方法や、疲労や加齢に伴い衰える脳機能が測定できる認知機能テスト・コグヘルス(Coghealth:Cogstate社製、株式会社ヘルス・ソリューション提供)などの客観的評価方法が挙げられる。
【0035】
VASを利用する場合には、例えば、被験者について、ポジティブ項目(冴え、意欲、注意力または集中力)のスコアが低いか、或いはネガティブ項目(抑うつまたは眠気)のスコアが高いかを評価することによって、疲労の程度を判定することができる。さらに、例えば、被験試料の一定期間継続摂取、または単回摂取の前後でスコアを測定し、被験試料摂取後のポジティブ項目のスコアが有意に上昇するか、或いはネガティブ項目のスコアが有意に低下した場合に、疲労が改善されたと評価することができる。本発明の組成物を摂取すれば、特に、冴え、意欲、注意力、集中力、抑うつおよび眠気からなる群から選択される1以上の項目を有意に改善することができる。
【0036】
POMSを利用する場合には、例えば、被験者について、ポジティブ項目(活気)のスコアが低いか、或いはネガティブ項目(不安、抑うつ、怒り、疲労または混乱)のスコアが高いかを評価することによって、疲労の程度を判定することができる。より具体的には、POMSによる主観的評価で疲労因子(F因子)の得点が16以上である場合に、疲労を有すると判定することができる。さらに、例えば、被験試料の一定期間継続摂取、または単回摂取の前後でスコアを測定し、被験試料摂取後のポジティブ項目のスコアが有意に上昇するか、或いはネガティブ項目のスコアが有意に低下した場合に、疲労が改善されたと評価することができる。本発明の組成物を摂取すれば、特に、疲労または混乱の項目を有意に改善することができる。
【0037】
コグヘルスを利用する場合には、例えば、単純反応または遅延再生における正解率が低いか、或いは反応時間が長いかを評価することによって、疲労の程度を判定することができる。さらに、例えば、被験試料またはプラセボのいずれかの一定期間継続摂取の後で試験を行い、プラセボ摂取群と比較して、被験試料摂取群において単純反応または遅延再生における正解率が有意に上昇するか、或いは反応時間が有意に低下した場合に、被験試料の摂取により疲労が改善されたと評価することができる。本発明の組成物を摂取すれば、特に、遅延再生における反応時間を有意に低下させることができる。
【0038】
動物を用いた疲労や抗疲労の評価をするためには、肉体的負荷(トレッドミルや遊泳等)、精神的負荷(拘束ストレス等)、あるいは両者を含む複合ストレス負荷(水床による睡眠不足等)後において、自体公知の方法によりパフォーマンスの低下およびその低下回復(指標として、自発行動量の変化や後述するY迷路試験における短期作業記憶能を示す交替行動率等)を測定すればよく、例えば赤外線センサーを含むデータ集録解析システム(例えば、NS-DAS-32(NeuroScience, Inc)など)を利用することができる。例えば、各種負荷により疲労が惹起された対象について、被験試料または対照試料のいずれかの一定期間継続摂取の後で測定を行い、対照試料摂取群と比較して、被験試料摂取群においてパフォーマンスの低下(自発量や交替行動率の低下)が改善された場合に、被験試料の摂取により疲労が改善/回復されたと評価することができる。
【0039】
本発明の抗疲労組成物は、粉末状、錠剤、顆粒状、カプセル状、スラリー状、溶液状、ゼリー状、乳液状等の固形または半固形、あるいは液状であり得る。
【0040】
本発明の抗疲労組成物の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ヒスチジンを1食摂取量として0.3g以上、好ましくは、0.5g以上、より好ましくは0.7g以上、さらに好ましくは1g以上含む組成物が提供される。既知の知見から得られる食経験(食品安全委員会肥料・飼料等専門調査会2010年4月 対象外物質評価書ヒスチジン、「健康食品」の安全性・有効性情報(独立行政法人 国立健康・栄養研究所HP
https://hfnet.nih.go.jp/))や包装・摂取の容易さの観点から、ヒスチジンの1食摂取量は好ましくは23g以下であり、より好ましくは4g以下である。本発明においては、抗疲労効果に及ぼすビタミンB6の併用効果が期待できるため、ヒスチジンの1食摂取量をさらに低減することができ、例えば1食摂取量としてヒスチジンが3g以下、好ましくは2g以下の抗疲労組成物が提供される。
【0041】
本発明の抗疲労組成物の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ヒスチジンが単位包装あたり0.3g以上、好ましくは、0.5g以上、より好ましくは0.7g以上、さらに好ましくは1g以上含まれている組成物が提供される。具体的には、1食摂取量を一単位として包装された抗疲労組成物が提供される。
【0042】
本発明の別の抗疲労組成物の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ビタミンB6が1食摂取量として0.5mg以上、好ましくは、2mg以上、より好ましくは4mg以上、さらに好ましくは6mg以上、さらに好ましくは8mg以上、さらに好ましくは10mg以上、さらに好ましくは15mg以上含まれている組成物が提供される。それ以上摂取しても、抗疲労効果に顕著な増強は認められないことから、ビタミンB6の1食摂取量は通常300mg未満、好ましくは100mg以下である。
【0043】
本発明の抗疲労組成物は、食品として提供され得る。本明細書において、食品とは、経口摂取し得るものを広く包含する概念であり、所謂「食べ物」のみならず飲料、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等を含む。また本発明において、食品として提供される抗疲労組成物、1食当たりの単位包装形態からなる食品等、容器詰食品、容器詰飲料を総称して、本発明の食品と称する場合がある。また、本発明の抗疲労組成物は、剤として提供され得る。本明細書において、剤は、医薬品は除くが、日常的に摂取して身体の栄養を保持するものとは異なり特定の目的において摂取される。
【0044】
本発明の食品の形態は特に限定されず、粉末状、錠剤、顆粒状、スラリー状、カプセル状、溶液状、ゼリー状、乳液状等の固形または半固形、あるいは液状であり得る。
【0045】
本発明の食品に含まれるヒスチジン、及びビタミンB6及び/又はカルノシンの形態は特に問わず、粉末状または顆粒状であってもよく、スラリー状、錠菓、カプセル状、溶液状、ゼリー状、乳液状であってもよい。中でも、携帯性や包装の容易さという理由から、顆粒状や粉末状が好ましい。また、摂取の容易さという理由から、溶液状やゼリー状、スラリー状もまた好ましい。
【0046】
本発明において、1食当たりの単位包装形態としては、例えば、飲料、菓子類、ゼリー、プリン、ヨーグルト等の場合にはパック、包装、ボトル等で一定量を規定する形態が挙げられ、顆粒・粉末・スラリー状の食品の場合には、包装などで一定量を規定できる。あるいは容器などに1食当たりの摂取量を表示してある形態が挙げられる。ここで、菓子類とは、食事以外に食べる甘味などの嗜好品を指し、キャンディーやチューイングガム、錠菓、チョコレート、シェイク、アイス等が挙げられる。
【0047】
本発明は1食あたりの単位包装形態からなる、(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6/又はカルノシンを含有する食品であり、特に、1食あたりの単位包装形態からなる、ヒスチジン及びビタミンB6を含有する食品、1食あたりの単位包装形態からなる、ヒスチジン及びカルノシンを含有する食品が提供される。
【0048】
本発明の1食当たりの単位包装形態からなる食品は、ヒスチジンとビタミンB6とを含有するものであっても、ヒスチジンとカルノシンとを含有するものであっても、ヒスチジンとビタミンB6とカルノシンとを含有するものであってもよい。好ましくはヒスチジンとビタミンB6とを含有するものである。
ヒスチジンとビタミンB6との配合割合は、抗疲労効果が得られる範囲で適宜設定することができる。
好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、15:1〜350:1、30:1〜350:1、60:1〜350:1、90:1〜350:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、5:3〜300:1、5:3〜240:1、5:3〜120:1である。さらに別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、15:1〜300:1、30:1〜240:1、60:1〜120:1、90:1〜120:1である。
ヒスチジンとカルノシンとの配合割合も、抗疲労効果が得られる範囲で適宜設定することができる。
好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:2〜100:1、1:1〜100:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:4〜50:1、1:4〜30:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:2〜50:1、1:1〜30:1である。
ヒスチジンに加えビタミンB6及びカルノシンの両方を含有する場合には、ビタミンB6及び/又はカルノシンは、単独で含有する場合に比べてその含有量を減らすことができる。
【0049】
本発明の1食当たりの単位包装形態からなる食品の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ヒスチジンを1食摂取量とし0.3g以上、好ましくは、0.5g以上、より好ましくは0.7g以上、さらに好ましくは1g以上含む組成物が提供される。既知の知見から得られる食経験(上述)や包装・摂取の容易さの観点から、ヒスチジンの1食摂取量は好ましくは23g以下であり、より好ましくは4g以下である。本発明においては、抗疲労効果に及ぼすビタミンB6の併用効果が期待できるため、ヒスチジンの1食摂取量をさらに低減することができ、例えば1食摂取量としてヒスチジンが3g以下、好ましくは2g以下の食品が提供される。
【0050】
本発明の1食当たりの単位包装形態からなる食品の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ヒスチジンが単位包装あたり0.3g以上、好ましくは、0.5g以上、より好ましくは0.7g以上、さらに好ましくは1g以上含まれている食品が提供される。
【0051】
本発明の別の1食当たりの単位包装形態からなる食品の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ビタミンB6が1食摂取量として0.5mg以上、好ましくは、2mg以上、より好ましくは4mg以上、さらに好ましくは6mg以上、さらに好ましくは8mg以上、さらに好ましくは10mg以上、さらに好ましくは15mg以上含まれている食品が提供される。それ以上摂取しても、抗疲労効果に顕著な増強は認められないことから、ビタミンB6の1食摂取量は通常300mg未満、好ましくは100mg以下である。
【0052】
本発明の別の一実施態様は、(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを含有する容器詰食品であり、特にヒスチジン及びビタミンB6を含有する容器詰食品、及びヒスチジン及びカルノシンを含有する容器詰食品が提供される。本発明の容器詰食品における「食品」としては、食品として提供された上記抗疲労組成物が挙げられる。当該食品を所望の容器に注入、充填等して製造することができる。
【0053】
本発明の容器詰食品は、ヒスチジンとビタミンB6とを含有するものであっても、ヒスチジンとカルノシンとを含有するものであっても、ヒスチジンとビタミンB6とカルノシンとを含有するものであってもよい。好ましくはヒスチジンとビタミンB6とを含有するものである。食品中の、ヒスチジンとビタミンB6との配合割合は、抗疲労効果が得られる範囲で適宜設定することができる。好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、15:1〜350:1、30:1〜350:1、60:1〜350:1、90:1〜350:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、5:3〜300:1、5:3〜240:1、5:3〜120:1である。さらに別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、15:1〜300:1、30:1〜240:1、60:1〜120:1、90:1〜120:1である。
ヒスチジンとカルノシンとの配合割合も、抗疲労効果が得られる範囲で適宜設定することができる。好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:2〜100:1、1:1〜100:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:4〜50:1、1:4〜30:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:2〜50:1、1:1〜30:1である。
【0054】
本発明の容器詰食品の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ヒスチジンを1食摂取量として0.3g以上、好ましくは、0.5g以上、より好ましくは0.7g以上、さらに好ましくは1g以上含む容器詰食品が提供される。既知の知見から得られる食経験(上述)や包装・摂取の容易さの観点から、ヒスチジンの1食摂取量は好ましくは23g以下であり、より好ましくは4g以下である。本発明においては、抗疲労効果に及ぼすビタミンB6の併用効果が期待できるため、ヒスチジンの1食摂取量をさらに低減することができ、例えば1食摂取量としてヒスチジンが3g以下、好ましくは2g以下の容器詰食品が提供される。
【0055】
本発明の容器詰食品の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ビタミンB6が1食摂取量として0.5mg以上、好ましくは、2mg以上、より好ましくは4mg以上、さらに好ましくは6mg以上、さらに好ましくは8mg以上、さらに好ましくは10mg以上、さらに好ましくは15mg以上含まれている容器詰食品が提供される。それ以上摂取しても、抗疲労効果に顕著な増強は認められないことから、ビタミンB6の1食摂取量は通常300mg未満、好ましくは100mg以下である。
【0056】
本発明の別の一実施態様は、(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6及び/又はカルノシンを含有する容器詰飲料であり、特にヒスチジン及びビタミンB6を含有する容器詰飲料、及びヒスチジン及びカルノシンを含有する容器詰飲料が提供される。本発明の容器詰飲料は、上記した本発明の容器詰食品の1つの実施形態である。本発明の容器詰飲料における「飲料」としては、飲料として提供された上記抗疲労組成物が挙げられ、具体的には、茶飲料(例、緑茶、烏龍茶、紅茶等)、アルコール飲料(例、ビール、ワイン、清酒、焼酎、梅酒、発泡酒、ウイスキー、ブランデー等)、清涼飲料(例、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、ミネラルウォーター、コーヒー飲料等)、ジュース(例、果汁ジュース、野菜ジュース等)等の飲料や液体調味料(例、醤油、酢、酒、みりん、だし等)、液体サプリメント(例、栄養ドリンク、美容ドリンク、エナジードリンク等)等が挙げられる。当該飲料を所望の容器に注入、充填等して製造することができる。また、飲料には溶液または懸濁液などとして供されるものだけでなく、茶葉やコーヒー豆、粉末飲料などのように抽出、溶解して飲用に供されるものであってもよい。
【0057】
本発明の容器詰飲料は、ヒスチジンとビタミンB6とを含有するものであっても、ヒスチジンとカルノシンとを含有するものであっても、ヒスチジンとビタミンB6とカルノシンとを含有するものであってもよい。好ましくはヒスチジンとビタミンB6とを含有するものである。飲料中の、ヒスチジンとビタミンB6との配合割合は、抗疲労効果が得られる範囲で適宜設定することができる。好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、15:1〜350:1、30:1〜350:1、60:1〜350:1、90:1〜350:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、5:3〜300:1、5:3〜240:1、5:3〜120:1である。さらに別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:ビタミンB6=5:3〜350:1、15:1〜300:1、30:1〜240:1、60:1〜120:1、90:1〜120:1である。
ヒスチジンとカルノシンとの配合割合も、抗疲労効果が得られる範囲で適宜設定することができる。好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:2〜100:1、1:1〜100:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:4〜50:1、1:4〜30:1である。別の好ましい配合割合は、ヒスチジン:カルノシン=1:4〜100:1、1:2〜50:1、1:1〜30:1である。
【0058】
本発明の容器詰飲料の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ヒスチジンを1食摂取量として0.3g以上、好ましくは、0.5g以上、より好ましくは0.7g以上、さらに好ましくは1g以上含む容器詰飲料が提供される。既知の知見から得られる食経験(上述)や包装・摂取の容易さの観点から、ヒスチジンの1食摂取量は好ましくは23g以下であり、より好ましくは4g以下である。本発明においては、抗疲労効果に及ぼすビタミンB6の併用効果が期待できるため、ヒスチジンの1食摂取量をさらに低減することができ、例えば1食摂取量としてヒスチジンが3g以下、好ましくは2g以下の容器詰飲料が提供される。
【0059】
本発明の容器詰飲料の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ヒスチジンを1w/v%以上の濃度で含有すれば、必要な量を必要な回数摂取することが可能である。好ましくは3w/v%以上であり、さらに好ましくは5w/v%以上である容器詰飲料が提供される。
【0060】
本発明の容器詰飲料の一実施態様として、ヒスチジン:ビタミンB6を上記配合割合で含み、且つ、ビタミンB6が1食摂取量として0.5mg以上、好ましくは2mg以上、より好ましくは4mg以上、さらに好ましくは6mg以上、さらに好ましくは8mg以上、さらに好ましくは10mg以上、さらに好ましくは15mg以上含まれている容器詰飲料が提供される。それ以上摂取しても、抗疲労効果に顕著な増強は認められないことから、ビタミンB6の1食摂取量は通常300mg未満、好ましくは100mg以下である。
【0061】
本発明の容器詰食品又は容器詰飲料に用いられる容器としては、目的に応じて適宜選択されるが、通常、缶、ビン、ペットボトル、紙容器、アルミパウチ等が挙げられる。容量も特に限定されず、1食摂取量を1単位として1単位乃至2単位以上が1つの容器に収容されたものであっても、濃縮された状態で容器に収容されたものであってもよい。
【0062】
本発明の食品中に含まれるヒスチジン、及びビタミンB6及び/又はカルノシンが「スラリー状である」とは、液状の媒体中に固体のヒスチジン、及びビタミンB6及び/又はカルノシンが懸濁している状態をいう。但し、上記媒体中にヒスチジン、及びビタミンB6及び/又はカルノシンの一部が溶解していてもよい。
【0063】
本発明の食品において、(1)ヒスチジン及び(2)ビタミンB6/又はカルノシンの摂取形態は、特に限定されず、摂取時に、(1)と(2)とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、
(A)(1)と(2)とを同時に含有する単一の食品としての摂取、
(B)(1)と(2)とを別々に含有する2種(又は3種)の食品の同一投与経路での同時摂取、
(C)(1)と(2)とを別々に含有する2種(又は3種)の食品の同一投与経路での時間差をおいての摂取、
(D)(1)と(2)とを別々に含有する2種(又は3種)の食品の異なる投与経路での同時摂取、
(E)(1)と(2)とを別々に含有する2種(又は3種)の食品の異なる投与経路での時間差をおいての摂取
等が挙げられる。
【0064】
本発明の食品の適用対象としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯類およびウサギなどの実験動物、イヌおよびネコなどのペット、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマ、ヒツジ及びニワトリなどの家畜及び家禽、サル、オランウータン及びチンパンジーなどの霊長類並びにヒトなどが挙げられ、特にヒトが好ましい。ヒト以外の動物に適用する場合には、本発明の食品の投与量は、本明細書中に記載されるヒトへの投与量の一般記載に基づき、さらに動物の体重若しくは大きさ、あるいは投与時の投与対象の体調や感受性等に応じて適宜加減すればよい。
【0065】
本発明の食品は、好ましくは保健機能食品であり、より好ましくは疲労改善用である。
【0066】
また、本発明の食品には、より飲みやすい形態で提供することを目的として種々の添加物を配合することができる。具体的には矯味剤、香料や賦形剤、滑沢剤等が挙げられ、食品に添加することが許可されているものであれば任意のものを利用することができる。矯味剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びこれらの塩等の酸味剤や、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム等の甘味料等が挙げられる。香料としては、例えば、L−メントール等の合成香料化合物、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等の柑橘類精油、花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油等の植物精油等が挙げられる。賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
【0067】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
試験例1:睡眠不足負荷による暗期自発行動量(疲労指標)に対する影響の検証
9週齢以上のCD2F1マウス(日本チャールズリバー社)を用いて、対照群と睡眠不足負荷群に分けて、
図1Aの実験プロトコールに示すように実施した。
【0069】
睡眠不足負荷群には、飼育ケージ中に0.5 cmの深さの水をはり24時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。対照群は、無負荷にてホームケージで飼育した。その後、絶食・絶水下で、自発行動量測定用赤外線センサー(Digital acquisition system;NS-DAS-32,Neuroscience Inc, Tokyo, Japan)の下に設置されたケージに移し、暗期前半6時間の自発行動量を測定、マルチデジタルカウンタ(Neuroscience Inc, Tokyo, Japan)によりデータを収集した。
結果を
図1Bに示す。対照群と比較して睡眠不足負荷群の暗期前半自発行動量(疲労指標)が低下した事から、睡眠不足負荷はパフォーマンスの低下すなわち疲労を誘発させる事が明らかとなった。
【0070】
試験例2:睡眠不足負荷による短期作業記憶能(疲労指標)に対する影響の検証
9週齢以上のCD2F1マウス(日本チャールズリバー社)を用いて、対照群と睡眠不足負荷群に分けて、
図2Aの実験プロトコールに示すように実施した。
【0071】
睡眠不足負荷群には、飼育ケージ中に0.5cmの深さの水をはり48時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。対照群は、無負荷にてホームケージで飼育した。暗期開始3時間後にY-maze試験を実施し、短期作業記憶能を測定した。
結果を
図2Bに示す。対照群と比較して睡眠不足負荷群の短期作業記憶能(疲労指標)が低下した事から、睡眠不足負荷はパフォーマンスの低下すなわち疲労を誘発させる事が明らかとなった。
【0072】
実施例1:睡眠不足負荷後の暗期自発行動量(疲労指標)の低下に対するヒスチジン(His)と試験物X投与による効果の検証
9週齢以上のCD2F1マウス(日本チャールズリバー社)を用いて、表1の群構成にて
図3Aの実験プロトコールに示すようして効果を検証した。
【0073】
【表1】
【0074】
His群と併用群には、Hisが500 mg/kg/dayの投与量となるように各溶液を1週間自由飲水させた。また、試験物X群と併用群には、試験物Xを表3の摂取量となるように飼料中や飲水中に混合して1週間摂取させた。飼料は表2の組成の飼料を用いた。
【0075】
【表2】
【0076】
1週間Hisおよび試験物Xを摂取させた後、飼育ケージ中に0.5cmの深さの水をはり24時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。その後、絶食・絶水下で、自発行動量測定用赤外線センサー(Digital acquisition system;NS-DAS-32,Neuroscience Inc., Tokyo, Japan)の下に設置されたケージに移し、暗期前半6時間の自発行動量を測定、マルチデジタルカウンタ(Neuroscience Inc., Tokyo, Japan)によりデータを収集した。
結果を
図3Bに示す。HisとビタミンB6(VB6)を1週間摂取させた併用群では溶媒群と比較して暗期前半自発行動量が有意に改善し、His摂取群と比較して自発行動量が改善傾向にある事から、HisとビタミンB6の併用は抗疲労効果を有する事が明らかとなった。
同様にしてカルノシンとの併用についても調べた。結果を
図3Cに示す。カルノシンもHisと併用する事により、抗疲労効果を有する事が判明した。一方、表3に示す他の素材(7素材)に関しては、各素材単独でもHisとの併用においても抗疲労効果は見られなかった。
【0077】
【表3】
【0078】
以上の結果より、ヒスチジンとビタミンB6若しくはカルノシンを含む組成物は、抗疲労効果を有することが明らかとなった。
【0079】
実施例2:睡眠不足負荷後の短期作業記憶能低下(疲労の指標)への本発明の摂取による効果検証(His:VB6=30:1)
9-10週齢のCD2F1マウスを用い、表4の群構成にて、実験プロトコール(
図4A)に示すように実施した。
【0080】
【表4】
【0081】
His群とHis+VB6群にはHisが900mg/kg/dayの摂取量となるように、VB6群とHis+VB6群にはVB6が30mg/kg/dayの摂取量となるように各溶液を1週間自由飲水させた。飼料は表5の組成の飼料を用いた。
【0082】
【表5】
【0083】
1週間HisあるいはVB6、あるいは両方を摂取させた後、飼育ケージ中に0.5 cmの深さの水をはり48時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。その後、His群とHis+VB6群にはHisを、VB6群とHis+VB6群にはVB6を表4の投与量となるように、睡眠不足負荷後の暗期開始2時間後に経口投与した。暗期開始3時間後にY-maze試験を実施し、短期作業記憶能を測定した。
結果を
図4Bに示す。疲労を誘発させる睡眠不足負荷後に、His+VB6群では溶媒群あるいはHis群と比較して交替行動率が有意に上昇した。
以上の結果より、His:VB6=30:1の比率で含む本発明の組成物は、抗疲労効果を有することが明らかとなった。
【0084】
実施例3:睡眠不足負荷後の短期作業記憶能低下(疲労の指標)への本発明の摂取による効果検証(His:VB6=120:1)
9-10週齢のCD2F1マウスを用い、表6の群構成にて、実験プロトコール(
図5A)に示すように実施した。
【0085】
【表6】
【0086】
His群とHis+VB6群にはHisが900mg/kg/dayの摂取量となるように、VB6群とHis+VB6群にはVB6が7.5mg/kg/dayの摂取量となるように各溶液を1週間自由飲水させた。飼料は表5の組成の飼料を用いた。
1週間HisあるいはVB6、あるいは両方を摂取させた後、飼育ケージ中に0.5cmの深さの水をはり48時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。その後、His群とHis+VB6群にはHisを、VB6群とHis+VB6群にはVB6を表6の投与量となるように、睡眠不足負荷後の暗期開始2時間後に経口投与した。暗期開始3時間後にY-maze試験を実施し、短期作業記憶能を測定した。
結果を
図5Bに示す。疲労を誘発させる睡眠不足負荷後に、His+VB6群では溶媒群あるいはVB6群と比較して交替行動率が有意に上昇し、His群と比較し交替行動率の上昇傾向があった。
【0087】
実施例4:睡眠不足負荷後の暗期自発行動量(疲労の指標)への本発明の摂取による効果検証(His:VB6=120:1)
9-10週齢のCD2F1マウスを用い、表6の群構成にて、実験プロトコール(
図6A)に示すように実施した。
【0088】
His群とHis+VB6群にはHisが900mg/kg/dayの摂取量となるように、VB6群とHis+VB6群にはVB6が7.5mg/kg/dayの摂取量となるように各溶液を1週間自由飲水させた。飼料は表5の組成の飼料を用いた。
1週間HisあるいはVB6、あるいは両方を摂取させた後、飼育ケージ中に0.5cmの深さの水をはり24時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。その後、His群とHis+VB6群にはHisを、VB6群とHis+VB6群にはVB6を表6の投与量となるように、暗期開始1時間前に経口投与した。マルチデジタルカウンタ(Neuroscience Inc., Tokyo, Japan)により暗期の自発行動量を測定した。
結果を
図6B及び
図6Cに示す。暗期開始4-5時間後において、His+VB6群では、溶媒群と比較して有意な増加が、また、His群およびVB6群と比較して増加する傾向が見られた。
実施例3と実施例4の結果より、His:VB6=120:1の比率で含む本発明の組成物は、抗疲労効果を有することが明らかとなった。
【0089】
実施例5:睡眠不足負荷後の短期作業記憶能低下(疲労の指標)への本発明の摂取による効果検証(His:VB6=360:1)
10-21週齢のCD2F1マウスを用い、表7の群構成にて、実験プロトコール(
図7A)に示すように実施した。
【0090】
【表7】
【0091】
His群とHis+VB6群にはHisが900mg/kg/dayの摂取量となるように、VB6群とHis+VB6群にはVB6が2.5mg/kg/dayの摂取量となるように各溶液を1週間自由飲水させた。飼料は表5の組成の飼料を用いた。
1週間HisあるいはVB6、あるいは両方を摂取させた後、飼育ケージ中に0.5cmの深さの水をはり48時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。その後、His群とHis+VB6群にはHisを、VB6群とHis+VB6群にはVB6を表7の投与量となるように、睡眠不足負荷後の暗期開始2時間後に経口投与した。暗期開始3時間後にY-maze試験を実施し、短期作業記憶能を測定した。
結果を
図7Bに示す。疲労を誘発させる睡眠不足負荷後に、His+VB6群とHis群がVB6群と比較して交替行動率が有意に上昇したが、溶媒群と比較して有意に上昇する群はみられなかった。
【0092】
実施例6:睡眠不足負荷後の暗期自発行動量(疲労の指標)への本発明の摂取による効果検証(His:VB6=360:1)
10-11週齢のCD2F1マウスを用い、表7の群構成にて、実験プロトコール(
図8A)に示すように実施した。
【0093】
His群とHis+VB6群にはHisが900mg/kg/dayの摂取量となるように、VB6群とHis+VB6群にはVB6が2.5mg/kg/dayの摂取量となるように各溶液を1週間自由飲水させた。飼料は表5の組成の飼料を用いた。
1週間HisあるいはVB6、あるいは両方を摂取させた後、飼育ケージ中に0.5cmの深さの水をはり24時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。その後、His群とHis+VB6群にはHisを、VB6群とHis+VB6群にはVB6を表7の投与量となるように、暗期開始1時間前に経口投与した。マルチデジタルカウンタ(Neuroscience Inc., Tokyo, Japan)により暗期の自発行動量を測定した。
結果を
図8Bに示す。どの群においても溶媒群と比較して有意な行動量の増加は見られなかった。
【0094】
実施例7:睡眠不足負荷後の短期作業記憶能低下(疲労の指標)への本発明の摂取による効果検証(His:VB6=300:1)
10-21週齢のCD2F1マウスを用い、表8の群構成にて、実験プロトコール(
図11A)に示すように実施した。
【0095】
【表8】
【0096】
His群とHis+VB6群にはHisが900mg/kg/dayの摂取量となるように、VB6群とHis+VB6群にはVB6が3.0mg/kg/dayの摂取量となるように各溶液を1週間自由飲水させた。飼料は表5の組成の飼料を用いた。
1週間HisあるいはVB6、あるいは両方を摂取させた後、飼育ケージ中に0.5cmの深さの水をはり48時間の睡眠不足を負荷した。明期開始6時間後に負荷を解除してホームケージに戻し、6時間の休息を設けた。その後、His群とHis+VB6群にはHisを、VB6群とHis+VB6群にはVB6を表8の投与量となるように、睡眠不足負荷後の暗期開始2時間後に経口投与した。暗期開始3時間後にY-maze試験を実施し、短期作業記憶能を測定した。
結果を
図11Bに示す。疲労を誘発させる睡眠不足負荷後に、His+VB6群が溶媒群と比較して交替行動率が有意に上昇した。
【0097】
処方例1:ヒスチジンとビタミンB6含有錠剤
下記配合を有するヒスチジンとビタミンB6含有錠剤を常法により打錠製造した。錠剤重量は340mgであった。
【0098】
【表9】
【0099】
処方例2:ヒスチジンとビタミンB6含有溶液
下記配合を有するヒスチジンとビタミンB6含有溶液を常法により製造した。溶液重量は30gであった。
【0100】
【表10】
【0101】
処方例3:ヒスチジンとビタミンB6含有顆粒
下記配合を有するヒスチジンとビタミンB6含有顆粒を常法により製造した。容量は2gであった。
【0102】
【表11】
【0103】
処方例4:ヒスチジンとビタミンB6含有ゼリー
下記配合を有するヒスチジンとビタミンB6含有ゼリーを常法により製造した。重量は100gであった。
【0104】
【表12】
【0105】
参考例1:睡眠の質の低下および疲労を感じている男性での14日間ヒスチジン(His)摂取効果の検証
45歳以上65歳未満の男性であり、事前に行なった「自己診断疲労アンケート」((株)疲労研究所)にて総合的評価17点以上かつ、睡眠の質が低下し(PSQI≧6を目安)POMSの疲労因子T得点が60点以上である者20名を選抜し、ランダムに10名ずつを2群に割り付けした。各群でヒスチジンと対照食品(等容積のセルロース)を14日間ずつ摂取するクロスオーバー試験を行った。
図9Aの実験プロトコールに示すように、被験者は、1日分の摂取量として1.65 gのL−ヒスチジンを含むカプセル(0.33gのL−ヒスチジンのみを含むカプセル(ハードカプセル#2 WHITE OP B/C)を5粒)、または対照試料カプセル(等容積のセルロースを含むカプセルを5粒)を14日間摂取した。14日間摂取終了後は14日間の休止期間を設けた。休止期間後、休止期間前に摂取しなかった方のカプセルを摂取した。
被験者は、カプセル摂取期間の初日と終了翌日に、POMSと疲労に関するVASアンケート(疲労、抑うつ、ぼんやり感、眠気、冴え、意欲、注意力、集中力)に回答し、疲労指標の一つである知的パフォーマンスを測定するため認知機能測定課題コグヘルスに回答した(暗算課題も同時に出題することにより難易度を高めた条件下)。さらに、コグヘルス終了後に、VASアンケートに回答した。コグヘルス終了後の評価を実施することで、作業負荷前とは異なった作業負荷後の状態を知ることができる。
結果を
図9B〜Eに示す。ヒスチジンを14日間摂取した被験者では、対照食品を摂取した被験者と比較して、POMSの疲労因子得点が有意に低下し(対応のあるt検定:p<0.05)(
図9B)、疲労に関するVASアンケートにおいて、冴え、意欲、注意力の感覚が有意に上昇した(対応のあるt検定:p<0.05)(
図9C)。また、知的作業効率においては、ヒスチジンを摂取した場合に、認知機能測定課題の反応時間が短縮し、遅延再生課題の反応時間は対照食品摂取時に比較して有意に低下した(対応のあるt検定:p<0.05)(
図9D)。また、コグヘルス終了後のVASアンケートにおいて、抑うつの感覚が有意に低下し、意欲、注意力の感覚が有意に上昇した(対応のあるt検定:p<0.05)(
図9E)。このことは、認知作業が負荷されても、意欲や注意力の上昇を維持することができ、負荷による抑うつ感を抑制できることを意味する。
以上の結果より、ヒスチジンを含む剤は、疲労を改善/回復させることが明らかとなった。
【0106】
参考例2:睡眠の質の低下および疲労を感じている男性でのヒスチジン(His)単回摂取効果検証
45歳以上65歳未満の男性であり、事前に行なった「自己診断疲労アンケート」((株)疲労研究所)にて総合的評価17点以上かつ、睡眠の質が低下し(PSQI≧6を目安)POMSの疲労因子T得点が60点以上である者20名を選抜し、ランダムに10名ずつを2群に割り付けした。各群でヒスチジンと対照食品(等容積のセルロース)の単回摂取の効果を比較した。
図10Aの実験プロトコールに示すように、被験者は、実験前3日間の食事をそろえ、10〜14時間絶食したのち、1回分の摂取量として1.65gのL−ヒスチジンを含むカプセル(0.33gのL−ヒスチジンのみを含むカプセル(ハードカプセル#2 WHITE OP B/C)を5粒)、または対照試料カプセル(等容積のセルロースを含むカプセルを5粒)を摂取した。
被験者は、カプセル摂取前とカプセル摂取1時間後に、疲労に関するVASアンケート(疲労、抑うつ、ぼんやり感、眠気、冴え、意欲、注意力、集中力)と、疲労指標の一つである知的パフォーマンスを測定するため認知機能測定課題コグヘルスに回答した(暗算課題も同時に出題することにより難易度を高めた条件下)。さらに、コグヘルス終了後に、VASアンケートに回答した。コグヘルス終了後の評価を実施することで、作業負荷前とは異なった作業負荷後の状態を知ることができる。
結果を
図10B及びCに示す。ヒスチジンを摂取した被験者では、対照食品を摂取した被験者と比較して、5種類の脳機能測定項目における作業時間が、短縮することがわかった。また、疲労に関するVASアンケートにおいて、冴え、注意力の感覚が有意に上昇し、集中力の感覚が上昇する傾向があった(対応のあるt検定:p<0.05)(
図10B)。また、コグヘルス終了後のVASアンケートにおいて、ぼんやりの感覚が有意に低下し、抑うつの感覚も低下する傾向があり、集中力の感覚が上昇する傾向があった(対応のあるt検定:p<0.05)(
図10C)。このことは、ヒスチジンを摂取すれば、認知作業が負荷されても、負荷によるぼんやり感や抑うつ感を抑制することが可能で、集中力が維持できる可能性があることを意味する。
以上の結果より、ヒスチジンを含む剤は、疲労を改善/回復させることが明らかとなった。
【0107】
以上のように、ヒスチジンを2週間継続摂取することで、疲労の改善/回復が認められ、またHisを単回摂取することで、疲労の改善/回復が認められた。尚、Hisの摂取により、一般性状、血液学、血液生化学について安全性の観点から問題となる変動は認められなかった。