(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6634890
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】チェーンガイド
(51)【国際特許分類】
F16H 7/18 20060101AFI20200109BHJP
【FI】
F16H7/18 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-41390(P2016-41390)
(22)【出願日】2016年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-196956(P2016-196956A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2018年12月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-77024(P2015-77024)
(32)【優先日】2015年4月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】平山 学
【審査官】
小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−036275(JP,A)
【文献】
特開2006−250208(JP,A)
【文献】
特開2014−228139(JP,A)
【文献】
特開2006−242357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するチェーンを摺動案内する案内シューと、前記案内シューを支持するベース部材と備えたチェーンガイドであって、
前記ベース部材は、前記ベース部材のガイド幅方向の第1側縁に形成された第1側壁リブと、前記ベース部材のガイド幅方向の第2側縁に形成された第2側壁リブと、前記第1側壁リブよりもガイド長手方向の一方側に形成された上流側被係合部と、前記第1側壁リブよりもガイド長手方向の他方側において前記第1側縁に形成された下流側被係合部とを有し、
前記案内シューは、前記上流側被係合部に係合する上流側フック部と、前記下流側被係合部に係合する下流側フック部とを有し、
前記下流側被係合部は、前記下流側フック部の上流側への移動を規制する規制部を有し、
前記下流側フック部は、前記上流側被係合部に前記上流側フック部を係合させた状態で、前記案内シューを弾性変形させて捻ることで、ガイド幅方向外側から前記下流側被係合部に引っ掛けられるように形成されていることを特徴とするチェーンガイド。
【請求項2】
前記第1側壁リブは、下流側端部に、前記ベース部材に対する前記案内シューの装着時に前記案内シューをガイドするガイド湾曲部を有していることを特徴とする請求項1に記載のチェーンガイド。
【請求項3】
ガイド長手方向における前記ベース部材の全長をLとした場合、
前記第1側壁リブの下流側端部は、前記ベース部材の下流側端部から上流側に0.3L〜0.6L離れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェーンガイド。
【請求項4】
前記上流側被係合部は、下流側への前記上流側フック部の移動を規制する第1規制部と、前記第1側縁側への前記上流側フック部の移動を規制する第2規制部とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチェーンガイド。
【請求項5】
前記下流側被係合部は、前記下流側フック部の下流側への移動を規制する第2規制部を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のチェーンガイド。
【請求項6】
前記下流側被係合部は、前記ベース部材の前記第1側縁をガイド幅方向内側に凹ませた凹部状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のチェーンガイド。
【請求項7】
前記下流側被係合部は、ガイド長手方向に間隔を置いて複数形成され、
前記下流側フック部は、ガイド長手方向に間隔を置いて、前記下流側被係合部と同数形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のチェーンガイド。
【請求項8】
前記下流側フック部は、前記案内シューの下面から下方に向けて延びる基部と、前記基部の下端からガイド幅方向内側に向けて延びる引掛け部とを有し、
前記複数の下流側フック部は、上流側に形成された前記下流側フック部よりも、下流側に形成された前記下流側フック部の方が、前記引掛け部のガイド幅方向の寸法が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のチェーンガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行するチェーンを摺動案内する案内シューと、案内シューをガイド長手方向に沿って支持するベース部材とを備えるチェーンガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のエンジンルーム内のタイミングシステムに組み込まれ、スプロケット間を走行するチェーンを摺動案内し、チェーン張力を適正に保持するチェーンガイドが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のチェーンガイドは、走行するチェーンを摺動案内する案内シューと、案内シューを支持するベース部材とから構成されており、案内シューに形成された複数のフック部をベース部材の被係合部に係合させることで、ベース部材に対して案内シューを着脱可能に取り付けるように構成されている。
【0004】
また、このようなチェーンガイドでは、ベース部材に対する案内シューの横ズレを規制してチェーンの安定した摺接走行を達成することや、案内シュー側のスペースを利用してベース部材の強度を向上させることを目的として、ベース部材のガイド幅方向の左右側縁の上面に、側壁リブを立設することについても周知である(例えば特許文献2を参照)。
【0005】
ところが、特許文献2に記載のチェーンガイドのように、ベース部材の左右側縁に側壁リブを形成した場合、ベース部材の側壁リブが形成された場所については、案内シューのフック部を係合させる場所として利用することができないため、案内シューのフック部を係合させることが可能な場所は、ベース部材の側壁リブよりも上流側および下流側に限定されることになる。
【0006】
そこで、特許文献2に記載のチェーンガイドでは、ベース部材の上流側端部に形成された上流側被係合部(チェーン進入側被係合部)に、案内シューに形成された上流側フック部(チェーン進入側係合部)を係合させるとともに、側壁リブよりも下流側においてベース部材に形成された下流側被係合部(チェーン進出側被係合部)に、案内シューの下流側に形成された下流側フック部(チェーン進出側係合部)を係合させることで、側壁リブよりも上流側および下流側において、ベース部材に対する案内シューの浮き上がりを防止している。また、ベース部材に対する案内シューのガイド長手方向における移動を規制するために、上述した上流側被係合部に対する上流側フック部の係合によって、ベース部材に対する案内シューの下流側への移動を規制するとともに、ベース部材の上面に凹設された被係合凹部に、案内シューの下面に突設されたシュー裏面側突起部を係合させることで、ベース部材に対する案内シューの上流側への移動を規制している。
【0007】
この特許文献2に記載のチェーンガイドでは、ベース部材に対して案内シューを装着する際に、まず、下流側被係合部に下流側フック部を引っ掛け、次に、上流側被係合部に対して上流側フック部を引っ掛けた後、ベース部材に対して案内シューを下流側に移動させることで、シュー裏面側突起部を被係合凹部内に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−242357号公報
【特許文献2】特開2009−036275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献2に記載のチェーンガイドでは、被係合凹部に対してシュー裏面側突起部を取り付ける方向と、被係合凹部によってシュー裏面側突起部の移動を規制する方向の両方が、ガイド長手方向であることから、被係合凹部に対するシュー裏面側突起部の取り付け易さおよび外れ難さを両立させることが難しいという問題がある。
すなわち、被係合凹部内へのシュー裏面側突起部の取り付け易さを確保するためには、被係合凹部内にシュー裏面側突起部を挿入した状態で、シュー裏面側突起部の上流側端面と被係合凹部の上流側端面との間にある程度のガタが生じるように設計することが望ましいが、反面、当該ガタを大きく設計すると、被係合凹部からシュー裏面側突起部が外れ易くなる。
【0010】
また、チェーンガイドの態様によっては、ベース部材の上面に被係合凹部を凹設することや、案内シューの下面に突設すること自体が困難な場合もある。
【0011】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、ベース部材の左右側縁に側壁リブを形成した場合であっても、簡素な構成で、ベース部材に対する案内シューの取り付け易さおよび外れ難さを容易に両立させることが可能なチェーンガイドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、走行するチェーンを摺動案内する案内シューと、前記案内シューを支持するベース部材と備えたチェーンガイドであって、前記ベース部材は、前記ベース部材のガイド幅方向の第1側縁に形成された第1側壁リブと、前記ベース部材のガイド幅方向の第2側縁に形成された第2側壁リブと、前記第1側壁リブよりもガイド長手方向の一方側に形成された上流側被係合部と、前記第1側壁リブよりもガイド長手方向の他方側において前記第1側縁に形成された下流側被係合部とを有し、前記案内シューは、前記上流側被係合部に係合する上流側フック部と、前記下流側被係合部に係合する下流側フック部とを有し、前記下流側被係合部は、前記下流側フック部の上流側への移動を規制する規制部を有し、前記下流側フック部は、前記上流側被係合部に前記上流側フック部を係合させた状態で、前記案内シューを弾性変形させて捻ることで、ガイド幅方向外側から前記下流側被係合部に引っ掛けられるように形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
なお、本明細書内の用語「上流側」および「下流側」は、ガイド長手方向の一方側および他方側を区別するために用いた用語であり、チェーン走行方向の上流側および下流側を意味するものではなく、例えば、チェーンガイドに対してチェーンを進入させるチェーンガイドの入口側に、上流側フック部や上流側被係合部を設けてもよく、反対に、チェーンガイドの出口側に、上流側フック部や上流側被係合部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1に係る発明によれば、ベース部材が、ベース部材のガイド幅方向の第1側縁に形成された第1側壁リブと、ベース部材のガイド幅方向の第2側縁に形成された第2側壁リブと、第1側壁リブよりもガイド長手方向の一方側に形成された上流側被係合部と、第1側壁リブよりもガイド長手方向の他方側において第1側縁に形成された下流側被係合部とを有し、案内シューが、上流側被係合部に係合する上流側フック部と、下流側被係合部に係合する下流側フック部とを有し、下流側被係合部が、下流側フック部の上流側への移動を規制する規制部を有し、下流側フック部が、上流側被係合部に上流側フック部を係合させた状態で、案内シューを弾性変形させて捻ることで、ガイド幅方向外側から下流側被係合部に引っ掛けられるように形成されている。
これにより、簡単な操作で、ベース部材に対して案内シューを装着することができることに加えて、下流側被係合部に対して下流側フック部を取り付ける方向がガイド幅方向であるのに対して、下流側被係合部の規制部によって下流側フック部の移動を規制する方向がガイド長手方向であることから、簡素な構成で、下流側被係合部に対する下流側フック部の取り付け易さおよび外れ難さを容易に両立させることができる。
【0014】
本請求項2に係る発明によれば、第1側壁リブが、下流側端部に、ベース部材に対する案内シューの装着時に案内シューをガイドするガイド湾曲部を有している。
これにより、ベース部材に対して案内シューを装着する時には、上流側被係合部に対して上流側フック部を引っ掛けた状態で、第1側壁リブ上に案内シューが載った状態となり、その後、案内シューを弾性変形させて捻ることで、下流側被係合部に対して下流側フック部をガイド幅方向外側から引っ掛けるが、案内シューを弾性変形させて捻る時に、ガイド湾曲部によって案内シューをガイドして、案内シューをベース部材の上面上に円滑に誘導することが可能であるため、第1側壁リブの下流側端部に案内シューが干渉することを回避して、ベース部材に対して案内シューを円滑に装着することができる。
本請求項3に係る発明によれば、ガイド長手方向におけるベース部材の全長をLとした場合、第1側壁リブの下流側端部が、ベース部材の下流側端部から上流側に0.3L〜0.6L離れた位置に形成されていることにより、ガイド長手方向における第1側壁リブの長さを確保してベース部材の強度向上を図りつつも、ベース部材の第1側縁の下流側に第1側壁リブが形成されていない領域を確保して、第1側壁リブの下流側端部に対する案内シューの干渉を回避することが可能であるため、下流側被係合部に対して下流側フック部を良好に係合させることができる。
本請求項4に係る発明によれば、上流側被係合部が、下流側への上流側フック部の移動を規制する第1規制部と、第1側縁側への上流側フック部の移動を規制する第2規制部とを有することにより、上流側被係合部に対して上流側フック部を引っ掛けた状態で、案内シューを弾性変形させて捻る際に、上流側被係合部から上流側フック部が外れることを回避することが可能であるため、ベース部材に対する案内シューの装着作業を容易かつ安定して行うことができる。
本請求項5に係る発明によれば、下流側被係合部が、下流側フック部の下流側への移動を規制する第2規制部を更に有することにより、ベース部材に対する案内シューのガイド長手方向への動きをより確実に規制することができる。
本請求項6に係る発明によれば、下流側被係合部が、ベース部材の第1側縁をガイド幅方向内側に凹ませた凹部状に形成されていることにより、第1側縁をガイド幅方向内側に凹ませるだけで、下流側フック部の上流側への移動を規制する規制部と、下流側フック部の下流側への移動を規制する第2規制部とを容易に形成することができる。
本請求項7に係る発明によれば、下流側被係合部がガイド長手方向に間隔を置いて複数形成され、下流側フック部がガイド長手方向に間隔を置いて下流側被係合部と同数形成されていることにより、第1側壁リブよりも下流側において、ベース部材に対して案内シューを複数箇所で係合させ、ベース部材に対して案内シューをより強固に取り付けることができる。
本請求項8に係る発明によれば、複数の下流側フック部は、上流側に形成された下流側フック部よりも、下流側に形成された下流側フック部の方が、引掛け部のガイド幅方向の寸法が大きくなるように形成されている。このように、ベース部材に対する案内シューの装着時における案内シューの捻り角を考慮して、複数の下流側フック部間で引掛け部の寸法を調整することで、下流側被係合部に対する下流側フック部の係合させ易さを損なうことなく、ベース部材に対して案内シューをより強固に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るチェーンガイドを組み込んだタイミングシステムを示す説明図。
【
図3】チェーンガイドを
図2とは異なる方向から見て示す斜視図。
【
図5】案内シューを
図4とは異なる方向から見て示す斜視図。
【
図7】ベース部材を
図6とは異なる方向から見て示す斜視図。
【
図8】ベース部材に対して案内シューを装着する途中の状態を示す斜視図。
【
図9】ベース部材に対して案内シューを装着する途中の状態を
図8とは異なる方向から見て示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係るチェーンガイド10について、図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明の一実施形態に係るチェーンガイド10は、
図1に示すように、エンジンルーム内に設置されるタイミングシステムに組み込まれて用いられ、スプロケットS1〜3間を走行するチェーンCHを摺動案内し、チェーン張力を適正に保持するものである。具体的には、チェーンガイド10は、クランク軸とカム軸の夫々に設けたスプロケットS1〜3間に懸回されたチェーンCHをガイドして、チェーンCHの走行を安定させるとともに、テンショナTによってチェーンCH側に押圧されてチェーンCHの張力を適正に保持する。なお、本実施形態においては、チェーンガイド10は、エンジンルーム内で揺動可能に軸支される揺動ガイドとして構成されているが、チェーンガイド10を、エンジンルーム内で固定状態で設置される固定ガイドGとして構成してもよい。
【0018】
チェーンガイド10は、
図2や
図3に示すように、走行するチェーンCHをガイド長手方向に沿って摺動案内する案内シュー20と、案内シュー20に着脱可能に取り付けられ案内シュー20を支持するベース部材30とを備えている。
【0019】
案内シュー20は、
図4や
図5に示すように、チェーンCH側に面する面に、ガイド長手方向に延びる走行案内面21を有し、案内シュー20のガイド幅方向の右側縁20aおよび左側縁20bの上面には、ガイド部22が立設されている。
【0020】
案内シュー20は、
図2〜
図5に示すように、ベース部材30の上流側被係合部34に係合するための上流側フック部23と、ベース部材30の第1下流側被係合部35に係合するための第1下流側フック部24と、ベース部材30の第2下流側被係合部36に係合するための第2下流側フック部25とを有している。
【0021】
上流側フック部23は、
図4や
図5に示すように、案内シュー20の上流側端部において案内シュー20の下面側に形成され、上流側被係合部34に対する上流側フック部23の浮き上がりが阻止されるように、上流側被係合部34に対して上流側から引っ掛けられるように構成されている。
【0022】
第1下流側フック部24は、
図4や
図5に示すように、案内シュー20の下流側端部の近傍において案内シュー20の右側縁20aの下面側に形成され、第1下流側被係合部35に対する第1下流側フック部24の浮き上がりが阻止されるように、第1下流側被係合部35に対してガイド幅方向外側から引っ掛けられるように構成されている。
【0023】
第2下流側フック部25は、
図4や
図5に示すように、第1下流側フック部24よりも上流側において案内シュー20の右側縁20aの下面側に形成され、第2下流側被係合部36に対する第2下流側フック部25の浮き上がりが阻止されるように、第2下流側被係合部36に対してガイド幅方向外側から引っ掛けられるように構成されている。
【0024】
下流側フック部24、25は、
図5に示すように、案内シュー20の下面から下方に向けて延びる基部24a、25aと、基部24a、25aの下端からガイド幅方向内側に向けて延びる引掛け部24b、25bとを有している。そして、上流側に形成された第2下流側フック部25よりも、下流側に形成された第1下流側フック部24の方が、引掛け部24b、25bのガイド幅方向の寸法が大きくなるように形成されている。
【0025】
ベース部材30は、
図6や
図7に示すように、ガイド長手方向に沿って湾曲して形成され案内シュー20を支持するシュー支持板部31と、シュー支持板部31のガイド幅方向の右側縁31aの上面に立設された右側壁リブ32と、シュー支持板部31のガイド幅方向の左側縁31bの上面に立設された左側壁リブ33と、右側壁リブ32よりも上流側に形成された上流側被係合部34と、右側壁リブ32よりも下流側に形成された第1下流側被係合部35および第2下流側被係合部36と、上流側端部側に形成されエンジンブロックから突出したボルト等を挿通させる取付孔37とを有している。
【0026】
右側壁リブ32は、
図6や
図7に示すように、その下流側端部に、下流側に向けて滑らかにシュー支持板部31の上面に近づくガイド湾曲部32aが形成され、また、その上流側端部にも、上流側に向けて滑らかにシュー支持板部31の上面に近づく湾曲部が形成されている。
同様に、左側壁リブ33は、その下流側端部に、下流側に向けて滑らかにシュー支持板部31の上面に近づく湾曲部が形成され、また、その上流側端部にも、上流側に向けて滑らかにシュー支持板部31の上面に近づく湾曲部が形成されている。
また、左側縁31bおよび右側縁31aの上流側および下流側には、側壁リブ32、33が形成されていない領域が設けられている。
【0027】
上流側被係合部34は、
図6に示すように、ベース部材30の上流側端部に形成されている。上流側被係合部34は、上流側フック部23を係合させた状態で、下流側への上流側フック部23の移動を規制する第1規制部34aと、右側縁31a側への上流側フック部23の移動を規制する第2規制部34bとを有している。
【0028】
第1下流側被係合部35は、
図6や
図7に示すように、右側縁31aの下流側端部の近傍において、右側縁31aをガイド幅方向内側に凹ますことで形成されている。
第1下流側被係合部35の上流側の内側面は、第1下流側フック部24を係合させた状態で、第1下流側フック部24の上流側への移動を規制する第1規制部35aとして機能する。
【0029】
第2下流側被係合部36は、
図6や
図7に示すように、第1下流側被係合部35よりも上流側において、右側縁31aをガイド幅方向内側に凹ますことで形成されている。
第2下流側被係合部36の上流側の内側面は、第2下流側フック部25を係合させた状態で、第2下流側フック部25の上流側への移動を規制する第1規制部36aとして機能し、また、第2下流側被係合部36の下流側の内側面は、第2下流側フック部25の下流側への移動を規制する第2規制部36bとして機能する。
【0030】
次に、ベース部材30に対する案内シュー20の装着方法について、
図8および
図9に基づいて以下に説明する。
【0031】
まず、ベース部材30に対して案内シュー20を装着する際には、
図8に示すように、ベース部材30の上流側被係合部34に対して、案内シュー20の上流側フック部23を、上流側(詳しくは、左側縁31b側から右側縁31a側に向けて上流側)から引っ掛ける。この上流側被係合部34に対して上流側フック部23を係合させた状態では、右側壁リブ32の上に案内シュー20が載った状態となる。
【0032】
次に、右側壁リブ32の上に案内シュー20を載せた状態のまま、案内シュー20を弾性変形させて僅かに捻ることで、第1下流側被係合部35および第2下流側被係合部36に対して、第1下流側フック部24および第2下流側フック部25をガイド幅方向外側から引っ掛ける。
【0033】
この際、右側壁リブ32の上に載った状態であった案内シュー20は、下流側被係合部35、36に下流側フック部24、25を係合させるように案内シュー20を弾性変形させて捻る時に、右側壁リブ32の下流側端部に形成されたガイド湾曲部32aによってガイドされ、シュー支持板部31の上面上に誘導されることになる。
【0034】
ここで、ガイド長手方向におけるベース部材30の全長をLとした場合、右側壁リブ32の下流側端部は、ベース部材30(右側縁31a)の下流側端部から上流側に0.3L〜0.6L離れた位置に形成されているのが好ましい。これにより、ガイド長手方向における右側壁リブ32の長さを確保してベース部材30の強度向上を図りつつも、ベース部材30の右側縁31aの下流側に右側壁リブ32が形成されていない領域を確保して、右側壁リブ32の下流側端部に対する案内シュー20の干渉を回避することが可能であるため、下流側被係合部35、36に対する下流側フック部24、25の良好な着脱性を得ることができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0036】
例えば、案内シューの材質は、弾性、摩擦抵抗、剛性、耐久性、成形性、コスト等に諸条件に応じて公知の適宜のものを選択すればよく、特に、合成樹脂材料が好適である。
また、ベース部材は、剛性、耐久性、成形性、コスト等の諸条件に応じて適宜の金属材料や合成樹脂材料を選択すればよい。
また、上述した実施形態では、第1側壁リブおよび第2側壁リブが、ガイド長手方向における寸法や位置が互いに同一に形成されているが、第1側壁リブおよび第2側壁リブのガイド長手方向における寸法や位置を異ならせてもよい。
また、上述した実施形態では、下流側フック部および下流側被係合部を2つずつ形成したが、下流側フック部および下流側被係合部の具体的数量は、1つまたは3つ以上であってもよい。
また、上述した実施形態では、第1下流側被係合部および第2下流側被係合部の両方に、下流側フック部の上流側への移動を規制する第1規制部を形成したが、下流側被係合部を複数形成した場合、いずれか1つの下流側被係合部に第1規制部を形成すればよい。
また、上述した実施形態では、第2下流側被係合部に、下流側フック部の下流側への移動を規制する第2規制部を形成したが、第2規制部については、任意の下流側被係合部に形成すればよく、例えば、第1下流側被係合部にも第2規制部を形成してもよい。また、第2規制部を形成しなくてもよい。
また、上述した実施形態では、右側縁をガイド幅方向内側に凹ますことで、下流側被係合部を形成し、下流側被係合部の上流側の内側面を、下流側フック部の上流側への移動を規制する第1規制部として利用し、下流側被係合部の下流側の内側面を、下流側フック部の下流側への移動を規制する第2規制部として利用した。しかしながら、第1規制部や第2規制部の具体的態様は、上記に限定されず、上流側被係合部に上流側フック部を係合させた状態で、下流側フック部の移動を規制するものであれば如何なるものでもよい。
また、上述した実施形態では、右側縁が第1側縁であり、左側縁が第2側縁であり、右側壁リブが第1側壁であり、左側壁リブが第2側壁であるものとして説明した。しかしながら、反対に、右側縁が第2側縁であり、左側縁が第1側縁であり、右側壁リブが第2側壁であり、左側壁リブが第1側壁であるものとして設計してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 ・・・ チェーンガイド
20 ・・・ 案内シュー
20a ・・・ 右側縁(第1側縁)
20b ・・・ 左側縁(第2側縁)
21 ・・・ 走行案内面
22 ・・・ ガイド部
23 ・・・ 上流側フック部
24 ・・・ 第1下流側フック部
24a ・・・ 基部
24b ・・・ 引掛け部
25 ・・・ 第2下流側フック部
25a ・・・ 基部
25b ・・・ 引掛け部
30 ・・・ ベース部材
31 ・・・ シュー支持板部
31a ・・・ 右側縁(第1側縁)
31b ・・・ 左側縁(第2側縁)
32 ・・・ 右側壁リブ(第1側壁リブ)
32a ・・・ ガイド湾曲部
33 ・・・ 左側壁リブ(第2側壁リブ)
34 ・・・ 上流側被係合部
34a ・・・ 第1規制部
34b ・・・ 第2規制部
35 ・・・ 第1下流側被係合部
35a ・・・ 第1規制部
36 ・・・ 第2下流側被係合部
36a ・・・ 第1規制部
36b ・・・ 第2規制部
37 ・・・ 取付孔