特許第6635010号(P6635010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6635010
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】ガラスラン
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/76 20160101AFI20200109BHJP
   B60J 10/16 20160101ALI20200109BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20200109BHJP
【FI】
   B60J10/76
   B60J10/16
   B60J10/27
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-240119(P2016-240119)
(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公開番号】特開2018-95032(P2018-95032A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須川 浩志
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−096225(JP,A)
【文献】 特開2002−002303(JP,A)
【文献】 特開2009−154772(JP,A)
【文献】 特開2003−238796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/76
B60J 10/16
B60J 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランにおいて、
前記ガラスランの本体は、車外側側壁と車内側側壁と底壁とからなる断面略コ字状をなし、前記車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ断面コ字状の前記本体の内側に向かって延設された車外側シールリップと車内側シールリップを有し、前記車外側側壁と前記車内側側壁の先端から外面に沿って延出する車外側のカバーリップと車内側のカバーリップを有し、前記車外側側壁と前記車外側のカバーリップの間に形成された車外側のフランジ収納溝と前記車内側側壁と前記車内側のカバーリップの間に形成された車内側のフランジ収納溝を有し、
車外側または車内側の前記カバーリップは、前記フランジ収納溝側の面に、前記カバーリップを形成する基材よりも可塑剤の含有率が大きい材料からなるパネル側被覆層が形成されていることを特徴とするガラスラン。
【請求項2】
車外側および車内側の前記カバーリップは、一端が前記車外側側壁および前記車内側側壁と連結するカバーリップ底壁部と、前記底壁部の他端側に連結するカバーリップ本体部から形成され、前記パネル側被覆層が、前記カバーリップ本体部の前記フランジ収納溝側の面の前記カバーリップ底壁部に隣接して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
【請求項3】
前記パネル側被覆層が、前記カバーリップ本体部の前記フランジ収納溝側の面と、前記カバーリップ底壁部の前記フランジ収納溝の溝底面とに跨って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
【請求項4】
前記パネル側被覆層の前記カバーリップ本体部の前記フランジ収納溝側の面と、前記カバーリップ底壁部の前記フランジ収納溝の前記溝底面との連結部には、凹部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のガラスラン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内するガラスランに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアの昇降式ウインドガラスは、ドアサッシュ部に取付けられるガラスランによって、その外周縁がシールされている。このようなガラスランとしては、図1に示すようなものが従来から知られている。(例えば、特許文献1参照。)このガラスラン100は、断面略U字形状の本体部101が、ドアサッシュ部110に設けられた互いに対向する一対のフランジ111,112間に挟持固定された構造となっており、本体部101の車外側側壁102と、この車外側側壁102の先端から突出した車外側のカバーリップ103によって、車外側フランジ111が収容されているとともに、本体部101の車内側側壁104と、この車内側側壁104の先端から突出した車内側のカバーリップ105によって、車内側フランジ112が収容されている。
【0003】
カバーリップを有するガラスランにおいて、ドアパネル形状のバラツキやガラスが車外側シールリップを押す力などでカバーリップ先端に浮きが発生することがあり、外観不具合や風切音不具合の発生要因となっている。この現象を防止するために、カバーリップ先端を室内側に曲げてドアパネルとのラップ量を増やす方法も考えられるが、この場合には、カバーリップとガラスラン本体部との隙が小さくなってしまうため、車両への組付性が低下してしまう。また、カバーリップのラップ量を増やしても、時間の経過とともに永久歪により初期のラップ量が失われてしまい、カバーリップ先端の浮きが発生しやすくなる。
【0004】
そのため、図2に示すように、ドアサッシュ部に設けられた互いに対向する一対のフランジ211,212間に取付けられ、フランジ211に沿った車外側側壁201と車外側側壁201の先端から突出する車外側のカバーリップ202とからなる断面略U字形状のフランジ収容溝205を有し、フランジ212に沿った車内側側壁203と車内側側壁203の先端から突出する車内側のカバーリップ204とからなる断面略U字形状のフランジ収容溝206を有し、フランジ収容溝205,206にはフランジ収容溝205,206の各底部に離間して対向する橋掛け部207が形成されたものがある。(例えば、特許文献2参照。)
しかし、フランジ収容溝205,206の底部と橋掛け部207の成形が難しいことに加えて、初期状態では効果があるものの、橋掛け部207もまた時間の経過とともに、永久歪により意匠リップを引き付ける力が弱くなりラップ量は失われてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−26616号公報
【特許文献2】特開2002−205550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、時間の経過とともに永久歪によりカバーリップのラップ量が失われることがなく、良好な成形性を有するガラスランを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランにおいて、
ガラスランの本体は、車外側側壁と車内側側壁と底壁とからなる断面略コ字状をなし、車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ断面コ字状の本体の内側に向かって延設された車外側シールリップと車内側シールリップを有し、車外側側壁と車内側側壁の先端から外面に沿って延出する車外側のカバーリップと車内側のカバーリップを有し、車外側側壁と車外側のカバーリップの間に形成された車外側のフランジ収納溝と車内側側壁と車内側のカバーリップの間に形成された車内側のフランジ収納溝を有し、
車外側または車内側カバーリップは、フランジ収納溝側の面に、カバーリップを形成する基材よりも可塑剤の含有率が大きい材料からなるパネル側被覆層が形成されているガラスランである。
【0008】
請求項1の発明によれば、車外側のカバーリップまたは車内側のカバーリップのフランジ収納溝側の面に形成されたパネル側被覆層から、カバーリップの基材に可塑剤が移行することにより、パネル側被覆層が収縮するとともに、パネル側被覆層周辺のカバーリップの基材が膨張して、カバーリップ全体はパネル側被覆層が形成されている面側が凹形状となる方向に湾曲変形する。このため、車外側のカバーリップや車内側のカバーリップはドアアウタパネルやドアインナパネル側に湾曲して、カバーリップの先端の浮きを抑制することができる。
【0009】
請求項2の本発明は、車外側および車内側のカバーリップは、一端が車外側および車内側側壁と連結するカバーリップ底壁部と、カバーリップ底壁部の他端側に連結するカバーリップ本体部から形成され、パネル側被覆層が、カバーリップ本体部のフランジ収納溝側の面のカバーリップ底壁部に隣接して形成されているガラスランである。この発明によれば、パネル側被覆層は、カバーリップ底壁部とカバーリップ本体部が連結することにより拘束をうけるため、可塑剤の移行による湾曲変形はパネル側被覆層の先端側で顕著に現れることになり、カバーリップの先端の浮きを効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項3の本発明は、パネル側被覆層が、カバーリップ本体部のフランジ収納溝側の面と、カバーリップ底壁部のフランジ収納溝の溝底面とに跨って形成されているガラスランである。この発明によれば、カバーリップ本体部のフランジ収納溝側の面と、カバーリップ底壁部のフランジ収納溝の溝底面とに跨ってパネル側被覆層が形成されることにより、可塑剤の移行によるパネル側被覆層の湾曲変形はカバーリップ本体部とカバーリップ底壁部との角度を小さくする方向の変形が加わることになる。このため、より一層、カバーリップの先端の浮きを効果的に抑制することができる。
【0011】
請求項4の本発明は、パネル側被覆層のカバーリップ本体部のフランジ収納溝側の面と、カバーリップ底壁部のフランジ収納溝の溝底面との連結部に、凹部が形成されているガラスランである。この発明によれば、パネル側被覆層のコーナー部に凹部を形成することにより、可塑剤の移行によるパネル側被覆層の湾曲変形は、パネル側被覆層の凹部周方向と径方向との複合的な収縮変形が加わることになる。このため、より一層、カバーリップの先端の浮きを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
車外側のカバーリップまたは車内側のカバーリップのフランジ収納溝側の面に形成されたパネル側被覆層から、カバーリップの基材に可塑剤が移行することにより、パネル側被覆層が収縮するとともに、パネル側被覆層周辺のカバーリップの基材が膨張する。このため、車外側のカバーリップや車内側のカバーリップはドアアウタパネルやドアインナパネル側に湾曲してカバーリップの先端の浮きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の他のガラスランを装着した状態の断面である。
図2】従来の他のガラスランを装着した状態の断面である。
図3】自動車ドアの正面図である。
図4】本発明の実施の形態であるガラスランの正面図である。
図5】本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。図3は自動車のフロントドア1のドアフレーム2に取付けるフロントドアのガラスラン10の正面図である。図3に示すように、ドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。ドアフレーム2の内周にはガラスラン10が取付けられ、ドアガラス5の昇降を案内するとともにドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
ガラスラン10は図4に示すように、全体として押出成形で形成された直線状部11と、ドアフレーム2のコーナー部2bに取付けられ、上記直線状部11を接続し型成形で形成されるコーナー部12からなる。
【0015】
以下に、フロント側のドア1の上辺部に装着されるガラスラン10を例にとり説明をする。
図5は本発明の第1実施形態であるプレスドアタイプのドアフレーム2の上辺部に取付けられたガラスラン10の図3のA−A線に沿った断面図である。まず、本発明の実施の形態であるガラスラン10の構成について説明する。
【0016】
ドアフレーム2の上辺部に取付けられるガラスラン10の直線状部11の断面形状は、図5に示すように、ガラスラン10の本体が車外側側壁20と車内側側壁30と底壁40とから断面コ字状に形成されている。ガラスラン10の本体は、上辺部に取付けられる部分も縦辺部に取付けられる部分も、基本的にはほぼ同様な断面略コ字状の断面形状を有している。車外側側壁20と車内側側壁30のそれぞれの先端の内側から車外側シールリップ21と車内側シールリップ31が、ガラスラン10の本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。車外側シールリップ21と車内側シールリップ31により、ドアガラス5の先端部の両側面を保持する。また、ドアガラス5の昇降に応じて、車外側シールリップ21と車内側シールリップ31がドアガラス5の両側面に当接して、ドアガラス5の昇降をガイドするとともにドアフレーム2とドアガラス5との間のシールをすることができる。
【0017】
車外側および車内側のカバーリップ22,32は一端が車外側側壁20および車内側側壁30と連結するカバーリップ底壁部28,38と、底壁部28,38の他端側に連結するカバーリップ本体部29,39とから形成されている。車外側側壁20と車内側側壁30のそれぞれの先端の外側から、それぞれ車外側のカバーリップ22と車内側のカバーリップ32が、各々車外側側壁20と車内側側壁30に沿って断面略コ字状を形成するように延設されている。このため、ドアフレーム2のドアアウタパネル2cとドアインナパネル2dの先端を車外側および車内側のカバーリップ22,32で覆い、見栄えを良くするとともに、車外側側壁20と車外側のカバーリップ22でドアアウタパネル2cの先端を挟持し、車内側側壁30と車内側のカバーリップ32でドアインナパネル2dの先端を挟持して、ガラスラン10をドアフレーム2に保持することができる。
【0018】
車外側シールリップ21と車内側シールリップ31のドアガラス5との摺動表面には、車外側シールリップ低摺動層23と車内側シールリップ低摺動層33が形成されている。このような構成とすることで、ドアガラス5がガラスラン10の本体内に進入し摺動しても、車外側シールリップ21および車内側シールリップ31とドアガラス5との摺動抵抗を減少させることができ、ドアガラス5のスムースな昇降を維持することができる。また、ガラスラン10の断面コ字状の本体の内面には、車外側シールリップ21と車内側シールリップ31に設けられている摺動層と同様に摺動層を形成することが望ましい。
【0019】
車外側側壁20は車外側連結部24で、車内側側壁30は車内側連結部34とそれぞれ底壁40と連結されている。車外側連結部24と車内側連結部34は、容易に屈曲できるように、車外側側壁20,車内側側壁30および底壁40よりも薄い肉厚で形成されている。そのため、製造時に車外側側壁20と車内側側壁30が底壁40とハ字形に開いて形成されても、ドアフレーム2に取付けるときに、車外側側壁20および車内側側壁30と底壁40との間が撓み易く取付けが容易になる。車外側側壁20と車内側側壁30の外面には、車外側保持リップ25および車内側保持リップ35がそれぞれ形成され、ドアアウタパネル2cとドアインナパネル2dの先端に形成されている屈曲部に係止されている。
【0020】
車外側のカバーリップ22と車外側側壁20との間にはドアアウタパネル2cを収納する車外側のフランジ収納溝26が形成されており、車外側のカバーリップ本体部29のフランジ収納溝26側の面には車外側のカバーリップ22のパネル側被覆層27が形成されている。車内側のカバーリップ32と車内側側壁30との間にもドアインナパネル2dを収納する車内側のフランジ収納溝36が形成されており、車内側のカバーリップ本体部39のフランジ収納溝36側の面には車内側のカバーリップ32のパネル側被覆層37が同様に形成されている。
【0021】
パネル側被覆層27,37を形成する材料は、車外側のカバーリップ22および車内側のカバーリップ32を形成する基材よりも可塑剤を多く含有する材料で形成されている。車外側のカバーリップ本体部29のフランジ収納溝26側の面に、車外側のカバーリップ22の基材よりも可塑剤含有率の多いパネル側被覆層27を形成することで、時間の経過とともにパネル側被覆層27を形成する材料から車外側のカバーリップ22の基材へ可塑剤の移行がおきる。この可塑剤の移行にともない、車外側のカバーリップ22を形成する基材部分は膨張して大きくなり、パネル側被覆層27は収縮して小さくなる。このため、車外側のカバーリップ22はドアアウタパネル2c側に湾曲して、車外側のカバーリップ22の先端の浮き現象が抑制される。車内側のカバーリップ32も同様である。なお、本実施例においてパネル側被覆層27,37は、車外側のカバーリップ22および車内側のカバーリップ32の、それぞれのカバーリップ本体部29,39の収容溝26,36側の全面に形成されているが、カバーリップ本体部29,39の先端側の一部あるいは溝底部側の一部でも良いし、中間部にのみ形成されていても良い。
【0022】
この車外側のカバーリップ22および車内側のカバーリップ32を形成する材料とパネル側被覆層27,37を形成する材料の可塑剤含有率の差は、1〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜5%であることが好ましい。可塑剤の含有率の差が1%未満であると、可塑剤の移行量が少ないため十分な湾曲量が得られない。また、可塑剤の含有率の差が10%を超えると、十分な湾曲量は得られるものの移行量が多すぎるために、車外側のカバーリップ22および車内側のカバーリップ32の外側(意匠面側)に可塑剤が滲出して、外観や触感を損なう場合がある。
【0023】
次に本発明の第2実施形態について図6を参照して詳しく説明する。ただし、上述した第1実施形態と重複する部分については、同一の部材名称、同一の符号を用いる等してその詳細な説明を省略するとともに、以下に第1実施例と相違する部分を中心として説明する。
【0024】
車外側のカバーリップ22と車外側側壁20との間にはドアアウタパネル2cを収納する車外側のフランジ収納溝26が形成されており、車外側のカバーリップ底壁部48のフランジ収納溝26側の面と、車外側のカバーリップ22本体部49のフランジ収納溝26側の面との両方に跨って、車外側のカバーリップ22のパネル側被覆層47が形成されている。また、車外側のカバーリップ底壁部48と車外側のカバーリップ本体部49との連結部には、車外側のカバーリップ22のパネル側被覆層47のカバーリップ本体部49側のカバーリップ底壁部48に隣接する位置に、車外側のフランジ収納溝26の空間を広げる凹部60が形成されている。車内側のカバーリップ32と車内側側壁20との間にはドアインナパネル2dを収納する車内側のフランジ収納溝36が形成されており、車内側のカバーリップ底壁部58のフランジ収納溝36側の面と、車内側のカバーリップ本体部59のフランジ収納溝36側の面との両方に跨って、車内側のカバーリップ32のパネル側被覆層57が形成されている。また、車内側のカバーリップ底壁部58と車内側のカバーリップ本体部59との連結部には、車外側のカバーリップ22のパネル側被覆層47のカバーリップ本体部49側のカバーリップ底壁部48に隣接する位置に、車内側のフランジ収納溝36の空間を広げる凹部61が形成されている。
【0025】
パネル側被覆層47,57を形成する材料は、車外側のカバーリップ22および車内側のカバーリップ32を形成する基材よりも可塑剤を多く含有する材料で形成されている。車外側のカバーリップ22の車外側のフランジ収納溝26側の面に可塑剤含有率の多い車外側のパネル側被覆層47を形成することで、時間の経過とともに車外側のパネル側被覆層47を形成する材料から車外側のカバーリップ22の基材へ可塑剤の移行がおきる。この可塑剤の移行にともない、車外側のカバーリップ22を形成する基材部分は膨張して大きくなり、車外側のパネル側被覆層47は収縮して小さくなる。このため、車外側のカバーリップ22はドアアウタパネル2c側に湾曲して、車外側のカバーリップ22の先端の浮き現象が抑制される。車内側のカバーリップ32も同様である。
【0026】
また、車外側のカバーリップ底壁部48と車外側のカバーリップ本体部49との連結部に凹部60を形成することで、可塑剤の移行による凹部60における車外側のパネル側被服層47の収縮は、凹部60が周方向および径方向ともに複合して収縮するため、より一層車外側のカバーリップ22がドアアウタパネル2c側に倒れ込み、車外側のカバーリップ22の先端の浮き現象が抑制される。車内側のカバーリップ32も同様である。なお、本実施例において車外側のパネル側被覆層47に形成された凹部60は、車外側のカバーリップ本体部49側のカバーリップ底壁部48との隣接部に形成されているが、カバーリップ底壁部48側あるいはカバーリップ本体部49とカバーリップ底壁部48の両方に跨って形成されても良い。車内側のパネル側被覆層57に形成された凹部61も凹部60と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
実施形態では、ガラスランの本体部および車外側のカバーリップ、車内側のカバーリップを熱可塑性エラストマーのスポンジ材料、パネル側被覆層を熱可塑性エラストマーのソリッド材料としたが、可塑剤含有率が異なっていればよく、スポンジ材料とスポンジ材料の組み合わせでも、ソリッド材料とソリッド材料との組み合わせでも良い。また、熱可塑性エラストマーに限らずゴム材料を用いることもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 フロントドア
2 ドアフレーム
2b コーナー部
2c ドアアウタパネル
2d ドアインナパネル
5 ドアガラス
10 ガラスラン
11 直線状部
12 コーナー部
20 車外側側壁
21 車外側シールリップ
22 カバーリップ
23 車外側シールリップ低摺動層
24 車外側連結部
25 車外側保持リップ
26 フランジ収納溝
27 パネル側被覆層
28 カバーリップ底壁部
29 カバーリップ本体部
30 車内側側壁
31 車内側シールリップ
32 カバーリップ
33 車内側シールリップ低摺動層
34 車内側連結部
35 車内側保持リップ
36 フランジ収納溝
37 パネル側被覆層
38 カバーリップ底壁部
39 カバーリップ本体部
40 底壁
47 パネル側被覆層
48 カバーリップ底壁部
49 カバーリップ本体部
60 凹部
57 パネル側被覆層
58 カバーリップ底壁部
59 カバーリップ本体部
61 凹部
100 ガラスラン
101 本体部
102 車外側側壁
103 カバーリップ
104 車内側側壁
105 カバーリップ
110 ドアサッシュ部
111 車外側フランジ
112 車内側フランジ
201 車外側側壁
202 カバーリップ
203 車外側側壁
204 カバーリップ
205 フランジ収容溝
206 フランジ収容溝
207 橋掛け部
211 車外側フランジ
212 車内側フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6