【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年3月10日 http://www.kikuchiseisakusho.co.jp/company/news.htmlを通じて発表 平成27年3月13日 株式会社菊池製作所南相馬工場で開催された成果発表会にて発表 平成27年8月27日 日本経済新聞 平成27年8月27日付夕刊第1面に掲載
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、操作者によるマニュアル操作により、前記腕部と前記走行体の動作制御を行うマニュアル制御手段を更に備え、前記操作者による任意操作により、前記自動制御手段と前記マニュアル制御手段とによる制御を切り替え可能に設けられていることを特徴とする請求項1、3又は5記載の複腕移動ロボット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1には、本実施形態に係る複腕移動ロボットの概略斜視図が示されており、
図2には、前記複腕移動ロボットを
図1に対して別角度から見た状態の概略斜視図が示されている。これらの図において、前記複腕移動ロボット10は、所望の作業を行うために動作する複数のアームユニット11及び当該アームユニット11を支持する胴体部12からなる車体14と、車体14を移動させるように地面上を動作する走行体15と、胴体部12の上面中央に設けられ、操作者の操作に応じてアームユニット11及び走行体15の動作を制御する制御ユニット17とを備えて構成されている。この複腕移動ロボット10は、図示省略した操作装置を操作者が遠隔操作することにより、アームユニット11及び走行体15に所望の動作をさせるようになっている。なお、特に限定されるものではないが、前記操作装置は、レバー、ボタン、ハンドル、及び/又はペダル等の操作によって、所望の動作指令を入力可能な構成となっている。
【0014】
前記アームユニット11は、平面視でほぼ方形状をなす胴体部12の上面の四隅にそれぞれ片持ち状に取り付けられており、これら4本のアームユニット11は、胴体部12の前後左右からそれぞれ外方に向かって延びるように配置されている。
【0015】
これら各アームユニット11は、相互に同一の構成となっており、所定範囲内で動作可能に設けられた多関節型の腕部19と、当該腕部19を動作させる腕駆動装置20とによりそれぞれ構成されている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態における各アームユニット11は、後述する5自由度の動作を可能に構成されており、4本に限らず複数本、好ましくは3本以上設けられていれば良い。
【0016】
前記腕部19は、胴体部12の上面に沿って回転可能に当該胴体部12に取り付けられた回旋用円盤22と、上下方向に揺動可能となるように回旋用円盤22に一端側が取り付けられたブーム23と、ブーム23の他端側に、当該ブーム23に対して上下方向に揺動自在に取り付けられたアーム24と、アーム24の先端側で当該アーム24に対して上下方向に揺動可能に取り付けられたグラブ25とにより構成されている。この腕部19は、後述するように、地面に接触しながら車体14の移動をアシスト可能にするように、グラブ25の先端が走行体15の下端よりも下方まで延伸可能なサイズに設けられるとともに、この移動のアシスト動作時の強度を確保できる形状に設けられている。特に限定されるものではないが、本実施形態のブーム23は、途中で120度屈曲した側面視くの字状をなす形状に設けられており、アーム24は、ほぼ直線状に延びる形状となっている。また、前記グラブ25は、その先端が二股に分岐する形状をなし、当該先端側が離間接近することで開閉可能に構成されている。
【0017】
前記腕駆動装置20は、回旋用円盤22を回転して腕部19を水平方向に回旋させる動力として胴体部12に設けられた油圧モータユニット27と、ブーム23を上下方向に揺動させる動力としてブーム23に取り付けられた第1の油圧シリンダ28と、アーム24を上下方向に揺動させる動力としてブーム23に取り付けられた第2の油圧シリンダ29と、グラブ25を上下方向に揺動させる動力としてアーム24に取り付けられた第3の油圧シリンダ30と、グラブ25を開閉させる動力としてグラブ25に設けられた第4の油圧シリンダ31とにより構成されている。
【0018】
なお、前記アームユニット11は、前述の構成に限定されるものではなく、後述する作用を奏することができる限りにおいて、様々な態様の構成を採用することができる。例えば、前述の構成に対し、グラブ25を捩じる方向に回転させる自由度を更に増やすなど、前述の構成に対して自由度を増減させた構成を採用することもできる。また、本実施形態の腕駆動装置20は、油圧モータや油圧シリンダで構成したが、
図3に示されるように、電気的なモータ等の他の駆動装置により構成することもできる。更に、アーム24の先端にグラブ25が取り付けられているが、
図3に示されるように、グラブ25の代わりに、バケットやカッター等、他の建設機械のアタッチメントを取り付けることも可能である。
【0019】
前記走行体15は、
図1及び
図2に示されるように、車体14の左右両側にそれぞれ設けられたクローラ33と、これら左右のクローラ33を独立して動作させる走行駆動装置34とにより構成されている。
【0020】
前記左右のクローラ33は、車体14の中央に位置して、走行駆動装置34の駆動により回転可能に設けられたメインクローラ36と、メインクローラ36の前後両側に位置し、メインクローラ36の回転に伴って一体的に回転可能な補助クローラとして機能する前側及び後側のフリッパ37とによりそれぞれ構成されている。ここで、メインクローラ36及びフリッパ37の回転動作(以下、「クローラ33全体の回転動作」と称する)により、車体14を地面に沿って移動させ、複腕移動ロボット10が地面を走行することになる。
【0021】
前側及び後側のフリッパ37は、スプロケット等の図示省略した動力伝達機構を介して、メインクローラ36に同期した回転動作を可能に構成されている。ここで、前側のフリッパ37は、その前方が上下方向に揺動可能となるようにメインクローラ36に繋がっており、後側のフリッパ37は、その後方が上下方向に揺動可能となるようにメインクローラ36に繋がっている。また、各フリッパ37の全長は、腕部19の全長よりも短寸となるように設定されている。すなわち、複腕移動ロボット10が前進している際に、フリッパ37の全長よりも高い障害物が存在する場合、メインクローラ36に対して前側のフリッパ37を上向きにほぼ直角に屈曲させても、クローラ33全体の回転動作のみでは、前記障害物を乗り越えることはできない。ところが、このような腕部19の構成により、後述するように、腕部19の先端を地面に押し当てて車体14を持ち上げながら、クローラ33全体の回転動作を行うことで、障害物を乗り越えて走行することが可能になる。なお、走行体15としては、本実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、前後何れか一方のフリッパ37を省略する等、本発明の効果を奏する限りにおいて、種々の構成のものを採用することができる。
【0022】
前記走行駆動装置34は、
図4に示されるように、左右両側のクローラ33全体の回転動作を独立して行うための動力となるクローラ回転用モータ39と、左右両側の前側のフリッパ37(
図1等参照)をそれぞれ独立してメインクローラ36(
図1等参照)に対して揺動させる動力となる前側フリッパ動作用モータ40と、左右両側の後側のフリッパ37(
図1等参照)をそれぞれ独立してメインクローラ36に対して揺動させる動力となる後側フリッパ動作用モータ41とからなる。これにより、各フリッパ37は、各モータ40,41によって、メインクローラ36に対しアクティブに上下動し、メインクローラ36に対する姿勢を可変に動作する。なお、後述する自動制御を行わない場合には、各モータ40,41を駆動させずに、或いは、各モータ40,41を省略して、各フリッパ37をメインクローラ36に対してパッシブに動作させることも可能である。
【0023】
前記制御ユニット17は、
図4に示されるように、複腕移動ロボット10の現在の状況を把握するための検出装置43と、操作者の操作に応じて腕駆動装置20や走行駆動装置34の駆動を制御する制御装置44とにより構成されている。
【0024】
前記検出装置43は、複腕移動ロボット10の自己姿勢を検出する姿勢センサ46と、複腕移動ロボット10の自己位置を検出する位置センサ47と、複腕移動ロボット10の周囲に存在する障害物や段差等、周囲の物体を認識する空間認識センサ48とからなる。これらセンサ46,47,48は、公知の構造のものが適用され、本発明の本質部分ではないため、構造等の詳細な説明は省略する。
【0025】
前記制御装置44は、操作者の遠隔操作により前記操作装置からの指令が入力されると、当該指令に基づき、所望の作業や移動に応じた腕部19及びクローラ33の動作制御を行うようになっている。なお、前記操作装置での指令に対応した電気的な信号は、無線通信又は有線通信の何れかで制御装置44に伝送される。
【0026】
この制御装置44は、前記操作装置から伝送された電気的信号を受信する受信装置、電気的信号に基づき各種処理を行うコンピュータ、及び、当該コンピュータによる処理に基づき各駆動装置20,34を駆動させるための電気的信号を生成するドライバ等によって構成されており、前記コンピュータを以下の各手段として機能させるためのプログラムがインストールされている。
【0027】
すなわち、制御装置44は、操作者によるマニュアル操作により、腕部19とクローラ33の動作制御を行うマニュアル制御手段50と、検出装置43の検出結果により、腕部19とクローラ33の動作制御を自動的に行う自動制御手段51とを備えている。ここで、これらマニュアル制御手段50及び自動制御手段51による制御は、前記操作装置上での操作者の任意の選択指令によって切り替え可能となっている。
【0028】
前記マニュアル制御手段50では、操作者による前記操作装置での操作に応じて、所望の腕部19について所望の部分を動作させるように、また、所望のクローラ33に所望の動作をさせるように、腕駆動装置20や走行駆動装置34の駆動を制御するようになっている。
【0029】
前記自動制御手段51では、操作者の選択によって、次の第1〜第3のモードによる自動制御が行われ、各モードにおいて、腕部19及びクローラ33が一定時間自動的に所定の動作を行うように、前記各駆動装置20,34の駆動が制御される。
【0030】
前記第1のモードとして、不整地状態の地面を走行するための不整地走行モードがある。この不整地走行モードでは、複腕移動ロボット10が地面Sから突出した段差Sを乗り越えられない場合に、当該段差Sを乗り越えるために、
図5(A),(B)に示されるように、腕部19及びクローラ33を協調して動作させ、クローラ33全体の回転動作による移動をアシストする。先ず、
図1に示されるように、前後のフリッパ37がメインクローラ36に対してほぼ一直線となる姿勢(以下、この姿勢を「水平姿勢」と称する)で、これらクローラ33の回転により地面上を前進している際に、空間認識センサ48の検出結果により、
図6(A)に示されるように、進行方向(同図中右方)の先に地面Gから突出した段差Sが発見された場合、段差Sの手前で、左右両側の前方のフリッパ37の先端側を上方に持ち上げる。そして、同図(B)に示されるように、当該前方のフリッパ37を段差Sの上端に引っ掛けながら、クローラ33全体の回転動作で段差Sを上る。この際、地面Gに対して車体14が少し持ち上がるが、姿勢センサ46での自己姿勢の検出結果に基づき、複腕移動ロボット10全体のゼロモーメントポイント(以下、単に「ロボットのZMP」と称する)が前方に移動するように、前方の腕部19を下げる。更に、同図(C)に示されるように、前方のフリッパ37を水平姿勢にするとともに、車体14を更に持ち上げるように、後方のフリッパ37の先端側を下方に揺動させ、当該フリッパ37を地面Gに対して起立する方向に屈曲させる(以下、この姿勢を「起立姿勢」と称する)。ここで、位置センサ47の検出結果により、車体14が前進しておらず、クローラ33全体の回転動作のみでは段差Sを上れないと判断された場合には、同図(D)に示されるように、各腕部19の先端を地面Gに接触させ、当該腕部19で地面Gを押しながら車体14を更に持ち上げる。そして、同図(E)に示されるように、前方のフリッパ37が段上の地面Gに乗ったら、前後両側の腕部19の先端で地面Gを押さえながら、クローラ33全体の回転動作により段上の地面G上で車体14を前進させる。そして、姿勢センサ46による自己姿勢の検出結果に基づき、同図(F)に示されるように、ロボットのZMPが中央に移動するように、全ての腕部19を上げ、前後のフリッパ37を共に水平姿勢にして、クローラ33全体の回転動作により車体14を更に前進させる。
【0031】
ここで、
図6(C)の状態から、位置センサ47の検出結果により、車体14が前進しており、クローラ33全体の回転動作のみで段差Sを上れていると判断された場合には、腕部19の先端を地面Gに接触させずに、前述した以降の動作が行われる。
【0032】
また、前記不整地走行モードにおいて、空間認識センサ48により、
図7(A)に示されるように、同図中右方となる進行方向の前方に地面Gから凹んだ段差Sが発見された場合、姿勢センサ46での検出結果に基づき、ロボットのZMPが後方に移動するように、後方の腕部19を下げる。そして、位置センサ47及び空間認識センサ48の検出結果により、同図(B)に示されるように、メインクローラ36が段差Sよりも前方に突出したと判断されると、クローラ33全体の回転動作を停止し、前方のフリッパ37の先端側を下げる。そして、位置センサ47の検出結果によって、当該前方のフリッパ37が地面Gに接触せず、クローラ33全体の回転動作のみでは段差Sを下れないと判断された場合には、同図(C)に示されるように、前方の腕部19の先端を段差Sの先の地面Gに接触させる。その上で、当該前方の腕部19の先端を更に先の地面Gに接触させながら、クローラ33全体の回転動作を再び開始し、同図(D)に示されるように、前方のフリッパ37を水平姿勢にするとともに、後方のフリッパ37の先端側を上げる。そして、同図(E)に示されるように、全ての腕部19を上げるとともに、前後のフリッパ37を共に水平姿勢にして、クローラ33全体の回転動作により車体14を更に前進させる。
【0033】
ここで、
図7(B)の状態から、位置センサ47の検出結果によって、前方のフリッパ37が地面Gに接触し、クローラ33全体の回転動作のみで段差Sを下れると判断された場合には、腕部19の先端を地面Gに接触させずに、前述した以降の動作が行われる。
【0034】
なお、位置センサ47の検出結果により、前記各手順を経ても段差Sの上り下りが出来ないと判断されたときには、クローラ33全体の回転動作を逆方向にして複腕移動ロボット10を後退させ、別ルートで複腕移動ロボット10を前進させる。
【0035】
更に、前記不整地走行モードにおいて、姿勢センサ46の検出結果により、複腕移動ロボット10が、進行方向の左右に傾く斜面や同左右の段差の影響で、同左右何れかに傾いており、クローラ33の地面Gの接地のみでは地面G上を走行不能と判断された場合、次のように腕部19とクローラ33の動作が制御される。紙面直交方向が進行方向となる
図8(A)に示されるように、複腕移動ロボット10が地面Gの低い方に横転しないよう、ロボットのZMPを考慮しながら、左右両側の腕部19の先端を地面Gに接触させ、当該地面Gに押し当てる。この状態では、各フリッパ37を水平姿勢にし、クローラ33全体の回転動作により車体14を走行させる。また、姿勢センサ46の検出結果により、
図8(A)のように動作しても、更に前記横転が発生する可能性がある場合には、同図(B)や(C)に示されるように、ロボットのZMPを考慮して、左右両側の腕部19の先端を地面Gに接触させて当該地面Gに押し当てながら、地面Gの低い方に存在する側のフリッパ37を起立姿勢にし、車体14の低い方を地面Gから持ち上げ、車体14がより水平状態に近づくようにする。
【0036】
なお、前記手順を経ても地面Gでの走行が出来ないと判断されたときには、クローラ33全体の回転動作を逆方向にして複腕移動ロボット10を後退させ、別ルートで複腕移動ロボット10を前進させる。
【0037】
前記第2のモードとして、複腕移動ロボット10の進行方向の前方に存在する障害物をクローラ33で踏まずに跨いで乗り越える跨ぎ走行モードがある。この跨ぎ走行モードでは、次の手順で腕部19及びクローラ33を動作させることで、車体14を障害物よりも高い位置に持ち上げながら車体14を前進させるように、各駆動装置20,34の駆動が制御される。先ず、空間認識センサ48によって、
図9(A)に示されるように、同図中右方となる進行方向の前方にクローラ33で踏むことのできない障害物Hが発見された場合には、左右両側の前後のフリッパ37を起立姿勢とし、車体14を障害物Hよりも高い位置に持ち上げる。その後、姿勢センサ46及び位置センサ47の各検出結果を利用しながら、同図(B)に示されるように、各腕部19をそれぞれ地面に接触させる。この際、前方の腕部19は、障害物Hの先の地面G上に接触させる。そして、同図(C)に示されるように、各腕部19で車体14を支持しながら、前方のフリッパ37の先端側を上げて水平姿勢にする。次いで、同図(D)に示されるように、地面Gに接触した腕部19の動作により、車体14を前進させる。この際、姿勢センサ46の検出結果に基づき、ロボットのZMPを考慮しながら、各腕部19の位置及び姿勢により車体14のバランスを取る。そして、位置センサ47及び空間認識センサ48の検出結果によって、前方のフリッパ37が障害物Hの上方を越えたと判断されたときに、同図(E)に示されるように、当該前方のフリッパ37を再び起立姿勢とした後、同図(F)に示されるように、前方の腕部19を更に前方に動かし、後方のフリッパ37の先端側を上げて水平姿勢にする。その状態から、同図(G)に示されるように、地面Gに接触した腕部19の動作により、車体14を前進させる。そして、位置センサ47及び空間認識センサ48の検出結果によって、後方のフリッパ37が障害物Hの上方を越えたと判断されたときに、同図(H)に示されるように、後側のフリッパ37を再び起立姿勢とする。その後、同図(I)に示されるように、各腕部19を上げて地面Gから離した後、前後のフリッパ37を下げて水平姿勢にし、クローラ33全体の回転動作により車体14を更に前進させる。
【0038】
前記第3のモードとして、腕部19の動作による特定の作業を自動化する作業モードがある。この作業モードでは、次の手順で腕部19やクローラ33が動作するように、各駆動装置20,34の駆動が制御される。先ず、瓦礫等の物体を把持する把持作業の場合、空間認識センサ48により、進行方向の前方に把持対象とする物体が発見されると、当該物体に最も近い腕部19を物体に近づける。そして、腕部19の先端のクラブ25の位置及び姿勢を調整し、クラブ25を動作させて物体を把持する。
【0039】
また、前記作業モードとして、把持した物体をその場で保持する場合、前記把持作業と同様の手順により、何れか2本の腕部19で物体を把持した後、その把持状態を維持する。ここで、物体の重量等によって、物体の把持状態を維持できないと判断された場合には、物体を把持している腕部19を動作させて当該物体の保持姿勢を変更し、或いは、他の腕部19を更に使って物体を保持する。
【0040】
更に、前記作業モードとして、前述の手順により2本の腕部19で保持された把持物体に付着した付着物体を把持物体から引き剥がす作業のような場合、把持物体を保持していない他の腕部19が、次にように動作する。先ず、
図10(A)に示されるように、把持物体Aを把持している腕部19に、把持物体Aを把持していない他の腕部19を接近させる。その前後に、空間認識センサ48により、引き剥がす対象となる付着物体Bが認識され、当該付着物体Bに対する所定の基準位置からの距離が特定される。その後、前記他の腕部19の先端を付着物体Bに近づけながら、この腕部19の先端のクラブ25の位置及び姿勢を調整し、同図(B)に示されるように、当該クラブ25を動作させて付着物体Bを把持する。そして、同図(C)に示されるように、当該他の腕部19を動作させ、付着物体Bを把持物体Aから引き剥がす。また、この引き剥がし作業の際に、姿勢センサ46の検出結果により、車体14が不安定になる場合には、
図10(D)に示されるように、一部のフリッパ37をメインクローラ36に対して下向きに屈曲させ、クローラ33で踏ん張ることで、引き剥がし作業時の車体14の安定化を図る。また、同図(E)に示されるように、把持物体Aの把持作業や付着物体Bの引き剥がし作業に使用していない腕部19を地面Gに押し当てることで、引き剥がし作業時の車体14の安定化を図る。なお、これらの車体14の安定化動作は、引き剥がし作業以外の別の作業でも、当該作業を安定して行えないような場合や、当該作業時に車体14が倒れる可能性がある場合に、同様に適用可能である。また、
図10(D)で説明したフリッパ37の屈曲動作と、同図(E)で説明した作業不使用の腕部19の地面Gへの押し当て動作とを併用し、作業時の車体14の安定化を図ることも可能である。
【0041】
なお、前記自動制御手段51での腕部19及びクローラ33の動作制御中に、前記マニュアル制御手段50での腕部19及びクローラ33の動作指令を行うことも可能である。
【0042】
前記複腕移動ロボット10によれば、
図11にも示されるように、障害物Hが散乱した不安定な地面Gでも作業を行うことができ、また、4本の腕部で異なる物体Aを同時に把持する等、1台で多彩な作業を行うことができる。
【0043】
なお、前記実施形態では、前記制御装置44での制御機能として、マニュアル制御手段50及び自動制御手段51を設けているが、何れか一方のみを設けた態様とすることも可能である。
【0044】
また、前記自動制御手段51では、検出装置43の検出結果を利用して各種の自動制御を行うようになっているが、当該検出結果の一部若しくは全部を利用せずに、操作者等の目視による同様の状況認識後に、操作者の操作等に基づいて、腕部19及びクローラ33の一部の動作のみを自動化するように自動制御手段51を構成しても良い。
【0045】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。