(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
回転装置は、例えば事務機器や家電機器における駆動源として多く用いられている。回転装置には、基板を有するものがある。基板は、例えば、回転装置を駆動させるための駆動回路であったり、回転装置の回転動作を検知するための検知部が搭載されているものであったりする。
【0003】
図5は、従来の回転装置の側断面図である。
【0004】
図5においては、例えば駆動回路が搭載された回路基板を有する回転装置801の一例が示されている。
【0005】
回転装置801は、回転装置801のハウジング820と、基板850と、カバー860とを有している。回転装置801は、インナーロータ型のブラシレスモータである。回転装置801の回転軸810には、マグネット815が取り付けられており、回転軸810は、ハウジング820に対して回転可能になっている。
【0006】
基板850は、回転装置801の駆動回路が搭載された回路基板である。基板850は、ハウジング820の一方の端部近傍(図において右側の端部近傍)に取り付けられている。基板850のうち、ハウジング820が取り付けられている側とは反対側(図において右側)の表面は、基板850に向けて開口する椀形状を有するカバーにより覆われて、保護されている。カバー860は、カバー860の開口端部860aが、基板850のカバー860側の表面に設けられている固定部に係合することにより、基板850に対して固定されている。
【0007】
なお、下記特許文献1には、減速部を経由して動力を出力するモータにおける、減速部を内蔵するギアハウジングの構造が開示されている。この構造では、ギアハウジングは、第1ギアハウジングと第2ギアハウジングとが組み合わされて構成されている。第1ギアハウジングの外側面に形成された係止凸部と、第2ギアハウジングの外周縁部に形成された係止爪とがスナップフィット係合することにより、第1ギアハウジングに対して第2ギアハウジングが固定される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態における回転装置について説明する。
【0020】
本実施の形態において、回転装置(モータ)は、いわゆるインナーロータ型のブラシレスモータである。モータは、回路基板を有している。回路基板には、モータの駆動回路が搭載されている。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態におけるモータ1を示す側断面図である。
【0023】
以下の説明において、
図1における左右方向(回転軸2の長手方向)を軸方向又は回転軸方向と呼ぶことがある。特に、
図1における左方向(基板50に対してハウジング20が配置されている側の方向)を前と呼び、右方向(基板50に対してカバー60が配置されている側の方向)を後と呼ぶことがある(前方、後方、前側、後側、前端部、後端部等の表現における「前」又は「後」も、これと同様である。)。また、回転軸2に近づく方向又は離れる方向を、径方向と呼ぶことがある。回転軸2周りの方向(モータ1の回転方向)を、周方向と呼ぶことがある。また、例えば
図1、
図5における左方向を出力軸側と呼び、
図1、
図5における右方向を反出力軸側と呼ぶことがある。
【0024】
図1に示されるように、回転装置(以下、モータということがある)1は、大まかに、円柱形状のフレーム組立体1aと、フレーム組立体1aに対して回転軸2周りに回転可能に支持されたロータ1bと、基板50と、カバー60とを有している。本実施形態において、モータ1は、いわゆるインナーロータ型のブラシレスモータである。なお、モータ1は本実施形態に限定されず、アウターロータ型のモータ、インナーロータ型のブラシ付きモータ、アウターロータ型のブラシ付きモータ等であっても構わない。
【0025】
ロータ1bは、回転軸(シャフト)2と、ロータハウジング13と、マグネット15とを有している。回転軸2の後方には、エンコーダ用基板17が取り付けられている。
【0026】
ロータハウジング13は、回転軸2に対して固定されている。ロータハウジング13は、前方に向かって開口する椀形状を有している。
【0027】
マグネット15は、環状に形成されており、ロータハウジング13の外周面に固定されている。マグネット15の外周部は、異なる磁極が周方向に沿って並ぶように着磁されている。
【0028】
回転軸2の後方には、後述するエンコーダ37が設けられており、
図1にはエンコーダ37に用いる基板が示されている。エンコーダ37は図示しないホール素子、受光素子等のセンサを備えている。ホール素子をセンサとして用いている場合には、エンコーダ用基板17には磁石が設けられ、受光素子がセンサとして用いられる場合には、エンコーダ用基板17には光が通過するスリットが設けられている。また、エンコーダ37は、ブラシ、給電部を備えるものであってもよい。この場合には、エンコーダ用基板17には、ブラシと接触する配線が形成されている。
【0029】
フレーム組立体1aは、ハウジング20、コア41、及びコイル42などで構成されている。
【0030】
ハウジング20は、モータ1を構成する部材(例:ロータ1b等)を収容するものである。本実施の形態において、ハウジング20は、ケース21と、ベアリングホルダ25と、インシュレータ30とで構成されている。ハウジング20の構成は、本実施の形態に限定されない。例えば、マグネット15を収容するケース21をハウジングとして扱ったり、コア41を収容するインシュレータ30をハウジングとして扱ったりしても構わない。
【0031】
インシュレータ30は、コア41と、コイル42と共に、大まかに円筒形状を有するステータを構成している。インシュレータ30は、絶縁性を有する樹脂部材で形成されている。また、インシュレータ30は平面形状が 環状の部材である。コア41は、ケイ素鋼板 や強磁性体製の板(例えば鋼板)であり、回転軸2に向かって径方向に突出する突出部を有している。この突出部は、コア41にマグネット14が接触することで磁極部となり、いわゆる突極部となっている。 ステータは、周方向に並ぶ複数の突極部を有し、各突極部についてコイル42が巻回されている。モータ1を駆動させるためにコイル42に電流が流れることで、各突極部が励磁され、回転軸2が回転する。
【0032】
インシュレータ30の径方向の中央部には、ロータ1bと、ベアリングホルダ25とが配置される空間が設けられている。すなわち、インシュレータ30は、後方に開口する開口部31を有している。
【0033】
インシュレータ30の開口部31の近傍(すなわち、インシュレータ30の後端部の近傍)には、後方に突出する端部33が形成されている。端部33の平面形状は環状である。端部33の内側は、開口部31となっている。換言すると、端部33は、開口部31を形成している。端部33のうち一部には、スナップ部36及びループ部37を1つの組とする固定部35が設けられている。固定部35は、後述のようにして、カバー60及び基板50をインシュレータ30に対して固定する。
【0034】
ケース21は、前側の中央部から回転軸2が突出するようにして前側の部位がふさがれた、筒形状を有している。具体的には、ケース21は、開口部21aを有する前面21bと、筒状部21cと、開口部21dを有する後面21eとを備えている。前面21bの開口部21aは、後面21eの開口部21dよりも小さく形成されている。前面21b及び後面21eの開口部21a,21dは、前面21b及び後面21eの内周部により形成される。ケース21は、例えば、金属板等の金属部材や、ABS等の樹脂部材を用いて形成されている。
【0035】
上述のように、ケース21の後側の端部は、開口部21dとなっている。ケース21の内部には、インシュレータ30を含むステータが配置されている。インシュレータ30の後側の端部33と、後述するようにカバー60と係合する固定部35が形成されている部位は、ケース21の開口部21dよりも後方に位置している。すなわち、本実施の形態において、インシュレータ30の開口部31が、ハウジング20の開口部となっている。
【0036】
ケース21の前側の中央部には、ベアリングホルダ25が配置されている。ベアリングホルダ25は、大まかに、径方向において中央部に回転軸2が貫通する空間が設けられた筒形状を有している。ベアリングホルダ25は、例えばダイカスト製又は樹脂製等の部材である。ベアリングホルダ25の前端部近傍と後端部近傍とのそれぞれには、軸受5,6がはめ込まれて固定されている。軸受5,6には、回転軸2が回転可能に固定(本実施実施形態では圧入)されている。回転軸2は、2箇所の軸受5,6により、ハウジング20に対して回転可能に保持されている。
【0037】
マグネット15及びそれを支持するロータハウジング13の筒部は、ベアリングホルダ25の外周面とコア41の内周部との間の空間に位置している。そして、ロータハウジング13の内側に、軸受6が位置している。基板50よりも前側に、軸受5に対して後側に位置する軸受6を配置することができるので、軸受6を基板50よりも後側に配置した場合と比較して、モータ1の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0038】
基板50は、ハウジング20の後方の開口部(すなわち、インシュレータ30の開口部31)に取り付けられている。具体的には、基板50は、インシュレータ30の端部33の近傍に取り付けられている。本実施の形態における基板50は、回転装置1の駆動回路が搭載された回路基板であり、平面形状が略円形の板形状を有している。基板50の構成は本実施の形態に限定されず、配線が複数形成された基板であったり、ハウジング20の開口部をふさぐ基板などであったりしても構わない。
【0039】
基板50には、外部機器に接続されるコネクタ部52や、モータ1の回転状況を把握するためのエンコーダ57や、その他の回路素子が搭載されている。コネクタ部52は、モータ1を駆動させるドライバ回路や、外部制御回路からの入力信号を受信したり外部制御回路への出力信号を送信するためのコネクタ部となっている。エンコーダ57は、モータ1の回転数、回転方向を検出し、検出結果を外部制御回路にフィードバックする。これらの回路素子等は、主に、基板50の後側の面に取り付けられている。また、基板50は、各コイル42に接続されている。基板50は、コネクタ部52を介して基板50に外部制御回路から送信された入力信号が入力されることで、コイル42に通電し、ロータ1bを回転させ、モータ1を駆動させる。
【0040】
カバー60は、大まかに、前方に開口する開口部を有する椀形状を有している。具体的には、底部を有する筒形状を有している。カバー60の開口部は、環状の端部(前端部)で形成されている。後方側におけるカバー60の面は、底部60aとなる。底部60aから前方に向けて延在する、平面形状が円筒状の筒部60bが底部60aの前方側に設けられている。カバー60は、基板50の後方に配置され、基板50の後側の表面の全体を覆うように配置されている。これにより、基板50上の駆動回路や電子部品が保護されている。
【0041】
カバー60の筒部60bには、後述のようにインシュレータ30に係合するカバー側係合部である、凸部65が形成されている。凸部65は、筒部60bの内側の表面から径方向に突出するようにして形成されている。凸部65は、固定部35のループ部37に向けて突出するように形成されている。
【0042】
カバー60の筒部60bのうち、コネクタ部52が設けられている部分には、開口部63が形成されている。コネクタ部52は、開口部63を介して、カバー60の外部に露出している。これにより、コネクタ部52に外部装置に接続するためのハーネス等を接続することができる。
【0043】
図2は、モータ1のカバー側(後側)の側面図である。
【0044】
図2において、説明のため、基板50が実線で示されており、カバー60は二点鎖線で示されている。また、基板50に隠れ、本来は後側には現れないインシュレータ30の一部分が、破線で示されている。
【0045】
図2に示されるように、基板50には、外周縁部から径方向に凹む凹部56が形成されている。本実施の形態においては、基板50には、3箇所の凹部56が形成されている。3箇所の凹部56は、基板50の周方向に、略等間隔で並ぶように(回転軸2を中心に周方向に略120度の間隔を開けるように)配置されている。
【0046】
また、基板50には、3箇所の位置決め部56bが形成されている。位置決め部56bは、基板50の外周縁部から、基板50の一部を切り欠くようにして形成されている。すなわち、位置決め部56bの平面形状は、基板50の外周縁部から内側に凹む凹部となっている。位置決め部56bの位置は、インシュレータ30に形成された突起(以下、位置決め突起と呼称)33aの位置に対応している。位置決め突起33aが位置決め部56bにはまり込むようにして、基板50がインシュレータ30に配置される。これにより、基板50がインシュレータに対して、回転軸2回りに回転しないように位置決めされた状態になる。
【0047】
本実施の形態において、固定部35は、3箇所に形成されている。3箇所の固定部35は、基板50の周方向に互いに異なる位置に配置されている。3箇所の固定部35は、回転軸2を中心に周方向に略120度の間隔を開け、略等間隔に並んでいる。固定部35と凹部56とは、互いに対応する位置に設けられている。
【0048】
インシュレータ30の端部33は、固定部35が設けられている部分を除き、基板50側から見て略円環状をなすように形成されている。
【0049】
図3は、インシュレータ30の端部33付近の構造を示す拡大斜視図である。
【0050】
図3においては、3つの固定部35のうち1つが設けられている部分が示されている。
図3に示されるように、位置決め突起33aは、端部33の端面から突出するピン形状を有している。なお、位置決め突起33aの形状はこれに限られるものではない。
【0051】
本実施の形態では、固定部35には、スナップ部36及びループ部37の2つの係合部が含まれる。スナップ部36及びループ部37は、インシュレータ30の後端部30aに、径方向に並んで設けられている。本実施の形態では、スナップ部36及びループ部37は、インシュレータ30の一部である。
【0052】
スナップ部36は、基板50にスナップフィットにより係合するように形成されている。スナップ部36は、可撓性を有している。スナップ部36は、インシュレータ30側からカバー60側に向けて(後方に向けて)、軸方向に突出している。これにより、スナップ部36のカバー60側の先端部は、径方向に変位しやすくなっている。換言すると、スナップ部36は、インシュレータ30側(前側)がインシュレータ30本体に接合された固定端となり、カバー60側の先端部が自由端となる、片持ち梁状に形成されている。
【0053】
スナップ部36のカバー60側の先端部近傍における部位には、爪部36aが形成されている。爪部36aは、径方向内側に向けて突出するように形成されている。すなわち、爪部36aは、基板50に向けて突出するように設けられている。
【0054】
ループ部37は、カバー60にスナップフィットにより係合するように形成されている。ループ部37は、可撓性を有している。ループ部37は、インシュレータ30側からカバー60側に向けて(後方に向けて)、軸方向に突出している。これにより、ループ部37のカバー60側の先端部は、径方向に変位しやすくなっている。換言すると、ループ部37は、インシュレータ30側(前側)がインシュレータ30本体に接合された固定端となり、カバー60側の先端部が自由端となる、片持ち梁状に形成されている。
【0055】
ループ部37は、径方向に見て貫通穴37cが形成されるような、ループ形状を有している。すなわち、ループ部37は、外周側から見て、径方向に凹む部分(係合凹部)を有しているといえる。なお、貫通穴37cに代えて、径方向に貫通していない一面を有する凹部が形成されていてもよい。
【0056】
なお、
図2に示されるように、スナップ部36及びループ部37は、軸方向から見て、凹部56の内側に位置している。凹部56の内側にスナップ部36及びループ部37が配置されているので、モータ1の径方向の寸法を小さくすることができる。なお、スナップ部36のみが凹部56の内側に位置するように構成されていてもよい。
【0057】
図1に示されるように、基板50は、スナップ部36に係合する被係合部50aを備える。被係合部50aは、凹部56の端縁部である。スナップ部36の爪部36aは、被係合部50aに係合している。基板50は、被係合部50aがスナップ部36に係合した状態で、ハウジング20に取り付けられている。すなわち、基板50は、前側の表面がインシュレータ30の端部33に当接し、外周部のうち3箇所の凹部56の端縁部がスナップ部36の爪部36aに係合した状態になる。そのため、基板50は、インシュレータ30に対して固定された状態になっている。
【0058】
また、カバー60は、ループ部37と係合する被係合部を備えている。本実施の形態において、被係合部は、凸部65である。カバー60は、凸部65とループ部37とが係合した状態で、ハウジング20に取り付けられている。例えば、筒部60bの前端部がハウジング20の一部に当接した状態で、ループ部37に凸部65が嵌合した状態になる。これにより、カバー60がインシュレータ30に対して固定された状態になっている。
【0059】
図4は、基板50及びカバー60のインシュレータ30への取り付け構造を説明する図である。
【0060】
図4においては、軸方向が上下方向となるようにして、取り付け構造が示されている。
【0061】
基板50とインシュレータ30とは、次のようにして、スナップフィットにより互いに係合する。すなわち、基板50は、後方(図において上方)より、下方のインシュレータ30の開口部31に向けて(前方に向けて)押し付けられる(矢印S1)。そうすると、基板50の凹部56の端縁部が、爪部36aの後端部に当接する状態になる。
【0062】
爪部36aの後端部は、径方向内側に向けて次第に前に位置するように傾斜する傾斜面を有している。基板50の端縁部がこのような傾斜面に当接した状態で、基板50が前方に押し付けられることにより、スナップ部36が撓み、スナップ部36の後端部が径方向外側に変位する(矢印V1)。そうすると、基板50が端部33により支持されるまで前方に押し込まれることにより、爪部36aが基板50の端縁部に係合可能となり、スナップ部36の撓みが元に戻る。このように、スナップフィットにより、基板50にスナップ部36が係合し、基板50がインシュレータ30に対して固定される。
【0063】
カバー60とインシュレータ30とは、次のようにして、スナップフィットにより互いに係合する。すなわち、カバー60は、後方より、前方に向けて押し付けられる(矢印S2)。そうすると、カバー60の凸部65が、ループ部37の後端部に当接する状態になる。
【0064】
ここで、凸部65の前側の端面は、径方向内側に近づくにつれて次第に後に位置するように傾斜する傾斜面を有している。このような傾斜面にループ部37の後端部が当接した状態で、カバー60が前方に押し付けられると、ループ部37が撓み、ループ部37の後端部が径方向内側に変位する(矢印V2)。カバー60がさらに押し付けられることにより、凸部65がループ部37に係合可能となり、ループ部37の撓みが元に戻る。このように、スナップフィットにより、ループ部37に凸部65が係合することにより、カバー60が、インシュレータ30から抜脱しないように、インシュレータ30に取り付けられる。
【0065】
以上のように構成されたモータ1では、ハウジング20側のインシュレータ30にカバー60が嵌合し、カバー60が取り付けられている。カバー60の取付位置は、基板50の位置にかかわらずに設定可能である。そのため、カバー60を基板50に固定する場合と比較して、カバー60を前方に配置することができるので、基板50からカバー60の底部60aまでの寸法(
図1において寸法w1)をできるだけ小さくすることができる。したがって、モータ1の回転軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0066】
また、基板50及びカバー60は、スナップフィットにより取り付けられる。したがって、容易に基板50及びカバー60をハウジング20に対して取り付けることができ、モータ1の製造コストを低く抑えることができる。基板50及びカバー60のそれぞれは、3箇所でハウジング20に対して取り付けられる。したがって、基板50やカバー60の取付強度を向上させることができる。
【0067】
本実施の形態において、カバー60には凸部65が形成されており、ハウジング20側のインシュレータ30にループ部37が形成されている。そのため、ループ部37をカバー60側に設ける場合と比較して、カバー60の軸方向の寸法を小さくすることができる。したがって、基板50からカバー60の底部60aまでの寸法を容易に小さくすることができる。
【0068】
スナップ部36とループ部37とは、径方向に並んで形成されている。そのため、樹脂によりインシュレータ30を成形する際に、容易に成形を行うことができる。
【0070】
上記の実施の形態の構成を適宜組み合わせたモータを構成してもよい。
【0071】
基板は、モータの駆動回路が搭載された回路基板に限られない。基板は、他の回路が搭載された回路基板であってもよいし、回路基板ではなく他の目的で配置されている板状の部材であってもよい。
【0072】
カバーは、基板の少なくとも一部を覆うように配置されているものであればよい。また、カバーの筒部が撓みやすく構成されており、主としてカバー側が撓んで、ハウジング側に設けられている係合部にスナップフィットにより係合するように構成されていてもよい。また、カバー側にループ部や係合凹部が形成されており、ハウジング側に、それに嵌合する凸部が形成されていてもよい。
【0073】
基板に凹部が設けられていなくてもよい。スナップ部は、基板の外周縁に係合すればよい。また、基板に孔部が形成されており、スナップ部が基板を貫通して孔部の端縁部に係合することにより、基板がハウジングに対して固定されるようにしてもよい。スナップ部の形状は、上記のような先端部に爪部が設けられているものに限られない。
【0074】
スナップ部及びループ部は、径方向に並んでいなくてもよく、インシュレータの周方向に互いに異なる位置に設けられていても構わない。スナップ部及びループ部の数は、それぞれ複数あっても構わない。また、1つのスナップ部と1つのループ部を1つの組として、この組が3組に限られず、2組や4組以上であってもよい。また、スナップ部の数とループ部の数とは異なっていてもよい。1つのスナップ部及び1つのループ部のみが設けられていてもよい。
【0075】
インシュレータが完全にケースの内側に配置されていてもよい。この場合、ケースの開口部の端部近傍部位に形成されたループ部等の係合部に、カバー側の係合部が係合して、カバーがケースに取り付けられていてもよい。また、基板は、ケースの開口部の端部近傍部位に形成されたスナップ部に係合して、ケースに対して固定されていてもよい。
【0076】
モータは、上述のようなブラシレスインナーロータ型モータに限られず、基板がハウジングに取り付けられている他の種類のモータであってもよい。
【0077】
上記の実施の形態では、カバーが有する筒部の平面形状が円筒状であるが、これに限定されず、平面形状がトラック状であったり、四角形等の矩形状であったりしても構わず、筒状であればよい。
【0078】
上記の実施の形態では、固定部には、スナップ部とループ部との2つの係合部が含まれるが、これに限定されず、固定部には、スナップ部とループ部とのうち一方が含まれるものであっても構わない。
【0079】
上記の実施の形態では、スナップ部とループ部とは、インシュレータの一部として設けられているが、これに限定されない。スナップ部又はループ部を、インシュレータとは別の部材で形成してインシュレータに取り付けることにより、ハウジングに設けても構わない。
【0080】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。