(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明において、n
+、n
−及びp
+、p、p
−の表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」および「−」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「−」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置100の平面図である。
図2は、
図1のA−A’線およびB−B’線を含む斜視断面図である。
なお、
図1では、絶縁層26が省略され、導電部20が破線で表されている。
【0009】
図1および
図2に表すように、半導体装置100は、p
+形半導体領域1、n
−形半導体領域2、導電部20、絶縁層25、絶縁層26、接続部27、アノード電極30、およびカソード電極31を有する。
なお、ここでは、2つの電極のうち、より高い電位に設定される電極をアノード電極と呼び、より低い電位に設定される電極をカソード電極と呼ぶ。
本実施形態の説明には、XYZ直交座標系を用いる。p
+形半導体領域1からn
−形半導体領域2に向かう方向をZ方向(第1方向)とし、Z方向に対して垂直であり互いに直交する2方向をX方向およびY方向とする。
【0010】
図2に表すように、アノード電極30は、半導体装置100の裏面に設けられている。
p
+形半導体領域1は、アノード電極30の上に設けられ、アノード電極30と電気的に接続されている。
n
−形半導体領域2は、p
+形半導体領域1の上に設けられている。
【0011】
導電部20は、p
+形半導体領域1中およびn
−形半導体領域2中に、絶縁層25を介して設けられている。導電部20は、第1部分20aおよび第2部分20bを有する。第1部分20aは、X方向において、絶縁層25を介してp
+形半導体領域1と対面し、第2部分20bは、絶縁層25を介してn
−形半導体領域2と対面している。第1部分20aのZ方向における長さは、第2部分20bのZ方向における長さよりも短い。
【0012】
導電部20は、
図1に表すように、X方向において複数設けられ、それぞれがY方向に延びている。
導電部21は、
図2に表すように、複数の導電部20の上に設けられ、各導電部20と接続されている。また、導電部21は、n
−形半導体領域2の上に絶縁層25を介して設けられている。なお、導電部20と21は、一体に設けられていてもよい。
【0013】
絶縁層26は、導電部21の上に設けられている。
カソード電極31は、絶縁層26の上に設けられ、絶縁層26中に形成された接続部(コンタクトプラグ)27を介して、導電部21と電気的に接続されている。
【0014】
次に、各構成要素の材料の一例を説明する。
p
+形半導体領域1およびn
−形半導体領域2は、半導体材料として、シリコンまたは炭化シリコンを含む。半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
導電部20および21は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。
絶縁層25および26は、酸化シリコンなどの絶縁材料を含む。
接続部27、アノード電極30、およびカソード電極31は、アルミニウムなどの金属を含む。
【0015】
ここで、本実施形態に係る半導体装置100の動作および効果について、
図3を参照しつつ説明する。
図3(a)は、半導体装置100の一部を表す断面図である。
図3(b)は、半導体装置100への印加電圧と容量の関係を表すグラフである。
図3(c)は、スナバ回路を用いた回路の一例を表す電気回路図である。
【0016】
半導体装置100では、p
+形半導体領域1およびn
−形半導体領域2と、導電部20と、絶縁層25と、によってキャパシタが構成されている。p
+形半導体領域1は、アノード電極30と電気的に接続され、導電部20は、カソード電極31と電気的に接続されている。このため、カソード電極31に対してアノード電極30に正の電圧が印加されると、p
+形半導体領域1と導電部20との間の電位差により、n
−形半導体領域2の絶縁層25近傍の領域の電子が排斥され、
図3(a)に表すように、正孔の反転層ILが形成される。これにより、キャパシタへの蓄積電荷が増加し、アノード電極30とカソード電極31との間の容量が増加する。
【0017】
図3(b)は、カソード電極31に対するアノード電極30の正電圧Vと、アノード電極30とカソード電極31との間の容量Cと、の関係を表している。
図3(b)に表されるように、半導体装置100では、電圧Vが大きくなるに伴って、容量がCminからCmaxに増加する。
このように、本実施形態によれば、半導体装置の容量を、アノード電極30に対するカソード電極31への印加電圧に応じて変化させることが可能となる。
【0018】
本実施形態に係る半導体装置100の適用例について説明する。
図3(c)に表す回路では、MOSFET81、インダクタンス82、電源83、ゲート信号源84、およびスナバ回路85が用いられている。
図3(c)に表す回路において、MOSFET81をオン状態からオフ状態へスイッチングした際、インダクタンス82の誘導起電力によって、ドレイン電極側には瞬間的に大きなサージ電圧が発生する。サージ電圧が生じると、ソース電極とドレイン電極との間の電圧(ドレイン電圧)が振動する。このドレイン電圧の振動は、ドレイン電極とソース電極との間にスナバ回路85を接続することで抑制できる。
【0019】
しかし、スナバ回路85が接続された場合、MOSFET81のスイッチングの際にスナバ回路85のキャパシタに充放電が行われるため、電力損失が大きくなる。また、キャパシタの容量が大きいほど、ドレイン電圧の振動を抑制できるが、キャパシタの容量が大きいほど、キャパシタによる電力損失は増大する。
【0020】
この点について、本実施形態に係る半導体装置100は、上述したように、ドレイン電圧が大きくなるほど容量が大きくなる。従って、本実施形態に係る半導体装置100をスナバ回路85として用いた場合、ドレイン電圧が低いオン状態では容量が小さく、ドレイン電圧が高いオフ状態では容量Cが大きくなる。すなわち、サージ電圧が生じるターンオフ時にドレイン電圧の上昇とともに容量が増大するが、ターンオンの際にはドレイン電圧の低下とともに容量が低下する。
このため、本実施形態に係る半導体装置100をスナバ回路85として用いることで、ドレイン電圧の振動を抑制しつつ、電圧に対して容量が一定のキャパシタをスナバ回路に用いた場合に比べて、キャパシタにおいて充放電される電荷量が小さくなり、スナバ回路85による電力損失を抑えることができる。
【0021】
次に、本実施形態に係る半導体装置100のより望ましい形態について説明する。
p
+形半導体領域1中およびn
−形半導体領域2中に複数の導電部20が設けられていることで、反転層ILの面積を増加させ、反転層ILが形成された際のキャパシタの容量を大きくすることができる。すなわち、
図3(b)に表す容量Cmaxを大きくすることができる。
また、第1部分20aのZ方向における長さは、第2部分20bのZ方向における長さよりも短く、第1部分20aとp
+形半導体領域1との対面する面積は、小さいことが望ましい。このような構成によれば、反転層ILが形成されていないときの半導体装置100の容量を小さくすることができる。すなわち、
図3(b)に表す容量Cminを小さくすることができる。
容量Cmaxを大きくすることで、
図3(c)に表す回路において、MOSFET81をターンオフした際のドレイン電圧の振動をより一層抑制することができる。また、容量Cminを小さくすることで、半導体装置100をスナバ回路85として用いた場合に、スナバ回路85の充放電に必要な電荷量をより小さくし、電力損失をさらに抑えることができる。
【0022】
なお、導電部20の配置や形状は、適宜変更可能である。例えば、導電部20がY方向において複数設けられ、それぞれがX方向に延びていてもよい。あるいは、導電部20が、X−Y面に沿って格子状に設けられていてもよい。
【0023】
(第1変形例)
図4は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置110の斜視断面図である。
半導体装置110は、導電部21が設けられていない点で、半導体装置100と異なる。
このため、半導体装置110では、導電部20の上面が絶縁層26によって覆われており、導電部20とカソード電極31とが、絶縁層26中の接続部27によって直接接続されている。
【0024】
本変形例に係る半導体装置110においても、半導体装置100と同様に、アノード電極30に対するカソード電極31への印加電圧に応じて、その容量が変化する。
また、本変形例によれば、導電部21が設けられていないことで、アノード電極30からカソード電極31へ流れる変位電流の経路が狭まるため、アノード電極30とカソード電極31との間の電気抵抗を高めることができる。このため、実施形態に係る半導体装置がスナバ回路として用いられる場合、スナバ回路における電気抵抗を高め、サージ電圧が生じた際の瞬間的なドレイン電圧の増大を抑制することができる。
【0025】
(第2変形例)
図5は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置120の斜視断面図である。
半導体装置120では、アノード電極30およびカソード電極31の配置が半導体装置100と異なっている。また、これに伴って、p
+形半導体領域1およびn
−形半導体領域2に代えて、n
+形半導体領域3およびp
−形半導体領域4が設けられている。
なお、本変形例では、n
+形半導体領域3からp
−形半導体領域4に向かう方向をZ方向(第1方向)とし、Z方向に対して垂直であり互いに直交する2方向をX方向およびY方向として説明する。
【0026】
カソード電極31は、半導体装置120の裏面に設けられている。
n
+形半導体領域3は、カソード電極31の上に設けられ、カソード電極31と電気的に接続されている。
p
−形半導体領域4は、n
+形半導体領域3の上に設けられている。
【0027】
導電部20は、n
+形半導体領域3中およびp
−形半導体領域4中に絶縁層25を介して設けられている。
導電部21は、複数の導電部20の上に設けられている。導電部21は、複数の導電部20と接続されるとともに、絶縁層26中の接続部27を介してアノード電極30と電気的に接続されている。
【0028】
半導体装置120では、カソード電極31に対してアノード電極30に正の電圧が印加されると、絶縁層25近傍のp
−形半導体領域4に電子の反転層が形成される。このため、半導体装置120においても、半導体装置100と同様に、アノード電極30に対するカソード電極31への印加電圧に応じて、その容量が変化する。
【0029】
このように、導電部20に接続される電極の極性を変化させた場合でも、本実施形態を実施することが可能である。
【0030】
(第3変形例)
図6は、第1実施形態に係る半導体装置100を含む半導体パッケージを表す平面図である。
なお、
図6では、封止樹脂97が透過して表されている。
【0031】
図6(a)に表す半導体パッケージでは、端子T1を有する金属板95の上に半導体装置100が載置されている。半導体装置100のカソード電極31は、端子T2を有する金属板96とボンディングワイヤで接続され、端子T1とT2とが反対方向に引き出されている。金属板95の一部、金属板96の一部、および半導体装置100は、封止樹脂97によって封止されている。
【0032】
図6(b)に表す半導体パッケージでは、金属板95の上に載置された半導体装置100のカソード電極が、金属板96と接続され、端子T1とT2とが同じ側に引き出されている。
【0033】
このように、本実施形態に係る半導体装置は、種々の半導体パッケージに実装することが可能である。
【0034】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る半導体装置200の平面図である。
図8は、
図7のA−A’断面図である。
なお、
図7では、絶縁層26が省略され、導電部20が破線で表されている。
【0035】
半導体装置200は、n
−形半導体領域5、p形半導体領域6、n
−形半導体領域7、導電部20、導電部21、絶縁層25、絶縁層26、アノード電極30、およびカソード電極31を有する。
本実施形態では、n
−形半導体領域5からp形半導体領域6に向かう方向をZ方向(第1方向)とし、Z方向に対して垂直であり互いに直交する2方向をX方向およびY方向として説明する。
【0036】
図7に表すように、半導体装置200では、上面にアノード電極30およびカソード電極31が設けられている。
図8に表すように、p形半導体領域6は、n
−形半導体領域5の一部の上に設けられている。p形半導体領域5の一部は、X方向に延びて絶縁層25と接し、他の一部は、Z方向に延びて接続部28に接続されている。
n
−形半導体領域7は、p形半導体領域6の上に設けられている。n
−形半導体領域5とn
−形半導体領域7は、図示されない部分でつながっていてもよい。
【0037】
導電部20は、絶縁層25を介して、n
−形半導体領域5中およびp形半導体領域6に設けられている。導電部20は、
図7に表すように、Y方向において複数設けられ、それぞれがX方向に延びている。
【0038】
導電部21は、複数の導電部20の上に設けられ、各導電部20と接続されている。
絶縁層26は、n
−形半導体領域5、p形半導体領域6、n
−形半導体領域7、および導電部21を覆っている。カソード電極31およびアノード電極30は、それぞれ、絶縁層26に形成された接続部27および28を通して、p
−形半導体領域4および導電部21と接続されている。
【0039】
本実施形態に係る半導体装置においても、第1実施形態と同様に、カソード電極31に対してアノード電極30に正電圧が印加されると、絶縁層25近傍のn
−形半導体領域7に正孔の反転層が形成される。このため、アノード電極30への印加電圧の増大に伴って、アノード電極30とカソード電極31との間の容量を増加させることができる。
【0040】
導電部20の下端は、n
−形半導体領域5中にまで達していてもよい。しかし、アノード電極30に正電圧が印加された際に、導電部20とp形半導体領域6との間の電位差によって、絶縁層25近傍のn
−形半導体領域7には反転層が形成されるが、n
−形半導体領域5では反転層が形成され難い。また、導電部20の下端がn
−形半導体領域5中にも設けられていると、導電部20の体積が増加するため、
図3(b)に表す容量Cminが大きくなる。このため、導電部20の下端は、p形半導体領域6中に設けられていることが望ましい。
【0041】
なお、導電部20の下端をn
−形半導体領域5中に設ける場合、p形半導体領域6が導電部20および絶縁層25によって分断されないように、導電部20および絶縁層25を設けることが望ましい。これは、p形半導体領域6が導電部20および絶縁層25によって分断されてしまうと、p形半導体領域6の一部がアノード電極30と電気的に分離され、アノード電極30に正電圧を印加した際に、当該p形半導体領域6の一部からは電子が排斥された領域に正孔が注入されず、反転層ILが形成されなくなってしまうためである。
【0042】
(第1変形例)
図9は、第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置210の平面図である。
図10は、
図9のA−A’断面図の一例である。
図11は、
図9のA−A’断面図の他の例である。
なお、
図9では、絶縁層26が省略されている。
【0043】
半導体装置210では、n
−形半導体領域5の上にp形半導体領域6が設けられ、p形半導体領域6の上にn
+形半導体領域8が設けられている。また、p形半導体領域6の上には、絶縁層25を介して導電部21が設けられている。導電部21は、絶縁層26に覆われており、絶縁層26中の接続部28を介してアノード電極30と電気的に接続されている。n
+形半導体領域8は、絶縁層26中の接続部27を介してカソード電極31と電気的に接続されている。
【0044】
半導体装置210では、カソード電極31に対してアノード電極30に正電圧が印加されると、絶縁層25のp形半導体領域8に電子の反転層が形成される。このため、半導体装置200と同様に、アノード電極30への印加電圧の増大に伴って、アノード電極30とカソード電極31との間の容量を増加させることができる。
【0045】
なお、
図10に表す例では、カソード電極31とp形半導体領域6との間にn
+形半導体領域8が設けられていたが、
図11に表すように、p形半導体領域6は、カソード電極31と直接接していてもよい。
【0046】
図11に表すように、p形半導体領域6とカソード電極31とが直接接していることで、反転層ILをより低い電圧で形成することができる。
一方で、
図10に表すように、半導体装置p形半導体領域6とカソード電極31とがn
+形半導体領域8を介して接続され、p形半導体領域6の電位がフローティングであることで、
図3(b)に表す容量Cminを小さくすることができる。
【0047】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係る半導体装置300の平面図である。
図13は、
図12のA−A’断面図である。
【0048】
図12および
図13に表すように、半導体装置300は、n
+形ドレイン領域10と、n
−形半導体領域5と、p形半導体領域6と、n
−形半導体領域7と、n
+形半導体領域11と、p形ベース領域12と、n
+形ソース領域13と、p
+形コンタクト領域14と、導電部20および21と、絶縁層25および26と、ドレイン電極30Dと、ソース電極31Sと、ゲートパッド32と、金属層33と、ゲート電極40と、ゲート絶縁層41と、を備える。
本実施形態では、n
−形半導体領域5からp形半導体領域6に向かう方向をZ方向(第1方向)とし、Z方向に対して垂直であり互いに直交する2方向をX方向およびY方向として説明する。
【0049】
図12に表すように、ソース電極31S、ゲートパッド32、および金属層33は、半導体装置300の上面に、互いに離間して設けられている。ゲートパッド32の一部は、例えば、ソース電極31Sと金属層33との間に位置している。
【0050】
図13に表すように、ドレイン電極30Dは、半導体装置300の下面に設けられている。
n
+形ドレイン領域10は、ドレイン電極30Dの上に設けられ、ドレイン電極30Dと電気的に接続されている。
n
−形半導体領域5は、n
+形ドレイン領域10の上に設けられている。
【0051】
n
−形半導体領域5の一部の上には、半導体装置200と同様の構造が設けられている。すなわち、半導体装置200と同様に、p形半導体領域6、n
−形半導体領域7、導電部20および21、絶縁層25および26が、設けられている。
【0052】
導電部21は、絶縁層26中の接続部を介してソース電極31Sと電気的に接続されている。また、導電部21の上には、絶縁層26を介して、ゲートパッド32が設けられている。
p形半導体領域6は、絶縁層26中の接続部を介して金属層33と電気的に接続されている。
【0053】
n
+形半導体領域11は、n
−形半導体領域5の上に設けられ、p形半導体領域6およびp形ベース領域12と離間して設けられている。n
+形半導体領域11は、n
−形半導体領域5とp形半導体領域6とを電気的に接続するために設けられており、p形半導体領域6およびp形ベース領域12よりも半導体装置300の外周側に位置している。このため、p形半導体領域6は、n
+形半導体領域11とp形ベース領域12との間に位置している。
【0054】
n
+形半導体領域11は、絶縁層26中の接続部を介して金属層33と電気的に接続されている。すなわち、p形半導体領域6は、金属層33を介してn
+形半導体領域11と電気的に接続されている。
【0055】
p形ベース領域12は、n
−形半導体領域5の他の一部の上に設けられている。
n
+形ソース領域13およびp
+形コンタクト領域14は、p形ベース領域12の上に選択的に設けられている。
ゲート電極40は、n
−形半導体領域5中およびp形ベース領域12中にゲート絶縁層41を介して設けられ、ゲート絶縁層41を介してp形ベース領域12と対面している。また、ゲート電極40は、ゲートパッド32と電気的に接続されている。
【0056】
p形ベース領域12、n
+形ソース領域13、p
+形コンタクト領域14、導電部20、およびゲート電極40は、Y方向において複数設けられ、それぞれがX方向に延びている。
【0057】
ソース電極31Sは、n
+形ソース領域13およびp
+形コンタクト領域14の上に設けられ、これらの半導体領域と電気的に接続されている。
ソース電極31Sとゲート電極40との間には、絶縁層26が設けられ、これらの電極は、電気的に分離されている。
【0058】
ここで、半導体装置300の動作について説明する。
ソース電極31Sに対してドレイン電極30Dに正電圧が印加された状態で、ゲート電極40に閾値以上の電圧が印加されると、ゲート絶縁層41近傍のp形ベース領域12に電子の反転層が形成される。これにより、半導体装置300に含まれるMOSFETがオン状態となり、ドレイン電極30Dからソース電極31Sに電流が流れる。
その後、ゲート電極40への印加電圧が閾値未満になると、電子の反転層が消滅し、MOSFETがオフ状態となる。
【0059】
また、半導体装置300の外周近傍に設けられたn
+形半導体領域11の電位は、ドレイン電極30Dと略等しい。このため、p形半導体領域6には、n
+形半導体領域11および金属層33を介して、ドレイン電極30Dと略等しい電圧が印加される。ソース電極31Sに対してドレイン電極30Dに正電圧が印加されると、半導体装置200と同様に、n
−形半導体領域7の絶縁層25近傍に正孔の反転層が形成される。これにより、ドレイン電極30Dとソース電極31Sとの間の容量が増加する。
【0060】
すなわち、本実施形態に係る半導体装置300では、MOSFETとスナバ回路がともにn
−形半導体領域5の上に設けられている。
図3(c)を参照しつつ説明したように、MOSFETにスナバ回路が接続されることで、ターンオフ時のドレイン電圧の振動を抑制することができる。
また、このように、MOSFETとスナバ回路を1つの半導体基板上に集積させることで、MOSFETとスナバ回路を別々の基板上に形成し、混載させて実装する場合に比べて、デバイスを小型化することが可能となる。
【0061】
(第1変形例)
図14は、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置310の断面図である。
半導体装置310は、絶縁層25の構造について、半導体装置300と差異を有する。
【0062】
半導体装置310では、p形半導体領域6およびn
−形半導体領域7と導電部20との間の絶縁層25が、下方(−Z方向)に向かうほど、厚くなっている。このため、p形半導体領域6中の絶縁層25の厚みは、n
−形半導体領域7中の絶縁層25の厚みよりも厚い。絶縁層25の厚みは、
図14に表すように、ステップ状に増していても良いし、ほぼ連続的に漸増していてもよい。
【0063】
ソース電極31Sに対してドレイン電極30Dに正電圧が印加され、p形半導体領域6と導電部20との間に電位差が生じた際に、絶縁層25の厚みが十分でないと、絶縁層25において絶縁破壊が生じる可能性がある。
本変形例に係る半導体装置310では、絶縁層25が下方に向かうほど厚くなっているため、絶縁層25の絶縁破壊が生じる可能性を低減することができる。
【0064】
(第2変形例)
図15は、第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置320の断面図である。
半導体装置320は、フィールドプレート電極(以下、FP電極という)45をさらに備える点で、半導体装置300と異なる。
【0065】
FP電極45は、絶縁層46を介してn
−形半導体領域5中に設けられている。絶縁層46の厚みは、ゲート絶縁層41の厚みよりも厚い。ゲート電極40は、FP電極45の上に離間して設けられている。FP電極45は、ソース電極31Sまたはゲートパッド32と電気的に接続されている。
【0066】
本変形例に係る半導体装置320の製造工程において、絶縁層25および46は、同時に形成することが可能である。このため、絶縁層25の厚みは、例えば、絶縁層46の厚みと等しい。
【0067】
FP電極45が設けられていると、MOSFETをターンオフした際に、n
−形半導体領域5と絶縁層46との境界からもn
−形半導体領域5へ空乏層が広がる。このため、FP電極45が設けられている場合、ターンオフ時の半導体装置の容量の減少が大きく、より大きなドレイン電圧の振動が生じる。
しかし、半導体装置200と同様の構造が設けられていることで、このようなドレイン電圧の振動を好適に抑制することが可能となる。また、このような大きなドレイン電圧の振動を抑制するために、
図3(b)に表す容量Cmaxを大きくした場合であっても、容量Cminを小さくすることで、スナバ回路による電力損失の増大を抑えることができる。
【0068】
(第3変形例)
図16は、第3実施形態の第3変形例に係る半導体装置330の断面図である。
半導体装置330は、p
−形ピラー領域15をさらに備える点で、半導体装置300と異なる。
【0069】
p
−形ピラー領域15は、n
−形半導体領域5中に設けられ、p形ベース領域12の下に位置している。p
−形ピラー領域15は、Y方向において複数設けられ、それぞれがX方向に延びている。n
−形半導体領域5の一部とp
−形ピラー領域15がX方向において交互に設けられていることで、スーパージャンクション構造が形成されている。
【0070】
本変形例に係る半導体装置330の製造工程において、p形半導体領域6とp
−形ピラー領域15は、例えば、n
−形半導体層の形成とp形不純物のイオン注入とを交互に繰り返すことで同時に形成することができる。このため、p形半導体領域6の下端とp
−形ピラー領域15の下端とは、例えば、同じ深さに位置している。
【0071】
スーパージャンクション構造が設けられていると、MOSFETをターンオフした際に、n
−形半導体領域5とp
−形ピラー領域15との境界からX方向に空乏層が広がる。このため、p
−形ピラー領域15が設けられている場合、ターンオフ時の半導体装置の容量の減少が大きく、より大きなドレイン電圧の振動が生じる。
しかし、半導体装置320と同様に、半導体装置200と同様の構造が設けられていることで、このような大きなドレイン電圧の振動を好適に抑制することが可能である。
【0072】
以上で説明した各実施形態における、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、SCM(走査型静電容量顕微鏡)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいものとみなすことができる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。
また、各半導体領域における不純物濃度については、例えば、SIMS(二次イオン質量分析法)により測定することが可能である。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態に含まれる、例えば、p
+形半導体領域1、n
−形半導体領域2、n
+形半導体領域3、p
−形半導体領域4、n
−形半導体領域5、p形半導体領域6、n
−形半導体領域7、n
+形半導体領域8、n
+形ドレイン領域10、n
+形半導体領域11、p形ベース領域12、n
+形ソース領域13、p
+形コンタクト領域14、p
−形ピラー領域15、導電部20および21、絶縁層25および26、接続部27および28、アノード電極30、カソード電極31、ゲートパッド32、金属層33、ゲート電極40、およびゲート絶縁層41などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の技術から適宜選択することが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。