(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記パイプ取付筒部の外周面に、上記シール部材の上記シール筒状部の内面に当接するリング状のパイプ取付筒部突条部を形成し、該パイプ取付筒部突条部を上記シール筒状部に押圧した請求項1又は請求項2に記載のパイプの取付構造。
【背景技術】
【0002】
中空部材、例えば、自動車用燃料タンクには、燃料タンク内に燃料を注入したり、燃料をエンジンに送付したり、燃料ガスをキャニスターに送付したりするパイプが取付けられている。
このような燃料タンクは、従来、金属製のものが用いられていたが、近年車両の軽量化や、錆が発生しないこと、所望の形状に成形しやすいことなどによって熱可塑性樹脂製のものも用いられるようになってきた。
【0003】
このような金属製や熱可塑性樹脂製のいずれの燃料タンク1においても、
図5に示すように、各種のパイプや燃料部品を取付ける取付部材とともに、燃料タンク1に燃料を注入するためのフィラーパイプ140を取付けるためのフィラーパイプ取付部材120が、燃料タンク1の外壁に取付けられている。
【0004】
例えば、
図6に示すように、熱可塑性合成樹脂製の燃料タンク101のタンク外壁102にフィラーパイプ140を取付けるフィラーパイプ取付部材120が溶着されている(例えば、特許文献1参照。)。このフィラーパイプ取付部材120は、燃料タンク101の内側と外側を貫通する円筒部121と、円筒部121をタンク外壁102に取付けるフランジ部122を有している。
【0005】
フランジ部122に溶着部123を形成し、溶着部123をタンク外壁102と溶着してフランジ部122を取付けて、円筒部121をタンク外壁102に固定している。
円筒部121に、フィラーパイプ140を挿入して、フィラーパイプ140を燃料タンク101に取付けている。
しかしながら、この場合には、一旦フィラーパイプ140を燃料タンク101に取付けた後に、修理等でフィラーパイプ140を取外すことは困難であった。
【0006】
また、
図7に示すように、熱可塑性合成樹脂製の燃料タンク201のタンク外壁202にフィラーパイプ240を取付けるフィラーパイプ取付部材220を溶着し、フィラーパイプ取付部材220と、フィラーパイプ240をゴムホース250で接続するものもある。
この場合は、フィラーパイプ取付部材220のフランジ部222をタンク外壁202に溶着して、フィラーパイプ取付部材220の円筒部221をタンク外壁202の内側と外側に連通して、位置させる。
【0007】
フィラーパイプ取付部材220の円筒部221のタンク外壁202の外側の部分にゴムホース250の一方の端を取付け、ゴムホース250の他方の端をフィラーパイプ240の端に取付ける。ゴムホース250の両側の端をパイプバンド251で締結する。
この場合には、フィラーパイプ240の取り外しは可能であるが、部品点数が増加して、組付けの手間がかかり、コストも増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、中空部材とパイプの取り外しが可能であり、組付けも容易なパイプの取付構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、中空部材に取付けるパイプの取付構造において、
パイプを取付けるパイプ取付部材を中空部材の外壁に取付けて、パイプ取付部材にパイプを挿入し、パイプを取付けるパイプの取付構造であって、
パイプ取付部材は、中空部材の外壁に取付けられる取付フランジ部と、取付フランジ部の上面から延設され中空部材の外壁の外側に位置するパイプ取付筒部と、取付フランジ部の下面から延設され中空部材の内部に位置するタンク内筒部を有し、
パイプ取付部材と、パイプの先端に設けられてパイプ取付部材に取付けられるパイプ先端部との間にシール部材を設け、シール部材は、パイプ取付部材とフィラーパイプとの間に位置するシール筒状部と、パイプ先端部に係合するシール係合部を有し、
シール係合部は、シール筒状部の下端の外周に溝状に形成されたシール係合部溝部を有し、シール係合部溝部にパイプ先端部が挿入され、
パイプ先端部の外周側にシール係合部溝部の内面に当接するパイプ先端突部を形成し、
パイプ先端部の外周面にリング状のパイプ先端凹部を形成し、シール係合部のシール係合部溝部にパイプ先端部のリング状のパイプ先端凹部に係合するリング状のシール係合部突条部を形成し、
パイプ先端部とパイプ取付筒部でシール筒状部を挟持するとともに、シール係合部でパイプ先端部を保持して、中空部材にパイプを取付けることを特徴とするパイプの取付構造である。
【0011】
請求項1の本発明では、中空部材に取付けるパイプの取付構造において、パイプを取付けるパイプ取付部材を中空部材の外壁に取付けて、パイプ取付部材にパイプを挿入し、パイプを取付けるパイプの取付構造であって、パイプ取付部材は、中空部材の外壁に取付けられる取付フランジ部と、取付フランジ部の上面から延設され中空部材の外壁の外側に位置するパイプ取付筒部と、取付フランジ部の下面から延設され中空部材の内部に位置するタンク内筒部を有している。
【0012】
このため、パイプ取付部材の取付フランジ部を中空部材の外壁に取付けることにより、パイプ取付筒部を中空部材の外壁に位置させて、パイプを取付けることができるとともに、タンク内筒部を中空部材の内部に位置させて、パイプから燃料等を中空部材の内部に注入することができる。
【0013】
パイプ取付部材と、パイプの先端に設けられてパイプ取付部材に取付けられるパイプ先端部との間にシール部材を設け、シール部材は、パイプ取付部材とフィラーパイプとの間に位置するシール筒状部と、パイプ先端部に係合するシール係合部を有する。このため、シール部材のシール筒状部でパイプとパイプ取付部材の間をシールし、シール係合部により、パイプの先端部を保持することができる。また、シール部材を弾性変形させてパイプ先端部を引き抜くことにより、容易にパイプをパイプ取付部材から取外すことができる。
シール部材のシール係合部は、シール筒状部の下端の外周に溝状に形成されたシール係合部溝部を有し、シール係合部溝部にパイプ先端部が挿入されている。このため、シール係合部溝部にパイプ先端部を挿入して押圧すれば、容易にシール部材とともに、パイプ先端部をパイプ取付部材に取付けることができる。また、シール係合部溝部がパイプ先端部の先端を保持して、パイプ先端部とシール係合部溝部の間をシールすることができる。
パイプ先端部の外周側にシール係合部溝部の内面に当接するパイプ先端突部を形成したため、シール係合部溝部がパイプ先端部を確実に保持することができ、パイプ先端突部がシール係合部溝部の内面を押圧して、シール性が向上するとともに、組付けも容易である。
パイプ先端部の外周面にリング状のパイプ先端凹部を形成し、シール係合部のシール係合部溝部にパイプ先端部のリング状のパイプ先端凹部に係合するリング状にシール係合部突条部を形成した。このため、パイプ先端部の外周面とシール係合部溝部の間のシール性を向上させることができる。
【0014】
パイプ先端部とパイプ取付筒部でシール筒状部を挟持しているため、シール部材のシール筒状部でパイプとパイプ取付部材の間をシールすることができる。
シール係合部でパイプ先端部を保持して、中空部材にパイプを取付けているため、シール係合部にパイプ先端部を挿入して、シール部材とパイプ先端部をパイプ取付部材に取付けることができる。
【0015】
請求項2の本発明は、中空部材に取付けるパイプは、燃料タンクに燃料を注入するフィラーパイプであるパイプの取付構造である。
【0016】
請求項2の本発明では、中空部材に取付けるパイプは、燃料タンクに燃料を注入するフィラーパイプであるため、簡単な構造でフィラーパイプの先端をパイプ取付部材に取付けて、フィラーパイプを強固に保持することができる。また、フィラーパイプを燃料タンクから取外すことも容易である。
【0023】
請求項3の本発明は、パイプ取付筒部の外周面に、シール部材のシール筒状部の内面に当接するリング状のパイプ取付筒部突条部を形成し、パイプ取付筒部突条部をシール筒状部に押圧したパイプの取付構造である。
【0024】
請求項3の本発明では、パイプ取付筒部の外周面に、シール部材のシール筒状部の内面に当接するリング状のパイプ取付筒部突条部を形成し、パイプ取付筒部突条部をシール筒状部に押圧した。このため、パイプ取付部材のパイプ取付筒部とシール部材のシール筒状部の間のシール性を向上させることができるとともに、シール部材がパイプ取付筒部から、外れにくくすることができる。
【0025】
請求項4の本発明は、シール部材のシール筒状部の先端側の肉厚を、シール係合部が設けられた側の肉厚よりも厚く形成し、肉厚の変化する部分を傾斜面状に形成したパイプの取付構造である。
【0026】
請求項4の本発明では、シール部材のシール筒状部の先端側の肉厚を、シール係合部が設けられた側の肉厚よりも厚く形成し、肉厚の変化する部分を傾斜面状に形成した。このため、パイプ取付筒部の先端と当接する部分を厚肉にして、シール筒状部の先端側とパイプ取付筒部の先端との密着力を向上させて、シール性と保持力を向上させることができる。肉厚の変化する部分を傾斜面状に形成したため、パイプ取付筒部の挿入時にパイプ取付筒部とシール筒状部の摩擦を低下させて、挿入が容易となる。
【0027】
請求項5の本発明は、シール部材は、合成ゴムで形成されたパイプの取付構造である。
【0028】
請求項5の本発明では、シール部材は、合成ゴムで形成されたため、弾性を有し、変形し
やすく、組付けと取り外しが容易になるとともに、組付け後は、パイプ取付部材とパイプ先端部と密着して、シール性を向上させることができる。
【0029】
請求項6の本発明は、パイプ取付部材は、合成樹脂又は金属で形成されたパイプの取付構造である。
【0030】
請求項6の本発明では、パイプ取付部材は、合成樹脂又は金属で形成されている。合成樹脂で形成された場合には、合成樹脂製の中空部材に強固に溶着することができ、部品の軽量化にも貢献して、錆の発生もなく、耐久性に優れている。金属で形成されている場合には、剛性を大きくすることができる。
【0031】
請求項7の本発明は、パイプ先端部の外周面をパイプバンドで締結したパイプの取付構造である。
【0032】
請求項7の本発明では、パイプ先端部の外周面をパイプバンドで締結したため、パイプ先端部をパイプ取付部材に強固に取付けるとともに、シール部材を強く挟持してシール性を向上することができる。また、パイプバンドを外せば、容易にパイプ先端部を外すことができる。
【発明の効果】
【0033】
パイプ取付部材と、パイプの先端に設けられてパイプ取付部材に取付けられるパイプ先端部との間にシール部材を設け、シール部材は、パイプ先端部とパイプ取付筒部でシール筒状部を挟持しているため、シール部材のシール筒状部でパイプとパイプ取付部材の間をシールすることができる。シール係合部でパイプ先端部を保持して、中空部材にパイプを取付けているため、シール係合部にパイプ先端部を挿入して、シール部材とパイプ先端部をパイプ取付部材に容易に取付けることができる
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、中空部材に取付けるパイプの取付構造について広く使用することができるが、本発明を燃料タンク1とフィラーパイプ40を例にとり、その実施の形態を
図1〜
図5に基づき説明する。また、燃料タンク1に使用される各種のパイプやホースの取付にも使用することができる。
図5は本発明の実施の形態のフィラーパイプ40の取付構造が使用される燃料タンク1の断面図である。
【0036】
図5に示すように、燃料タンク1は、ブロー成形で形成され、タンク外壁2は一体に形成されている。タンク外壁2は、熱可塑性合成樹脂の1層で形成することもできるし、熱可塑性合成樹脂の複数の層を有するように形成することもできる。
複数の層で形成された場合は、剛性を有する層と、燃料透過性の低い層を組み合わせて形成することができる。
【0037】
複数の層で形成された場合は、例えば、中央の層がエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)又はナイロンで形成された燃料透過を防止するバリヤー層と、そのバリヤー層の上下に変性ポリエチレンから形成される接着剤層と、その接着剤層のそれぞれの外面に高密度ポリエチレン(HDPE)から形成される外層から構成される。
【0038】
タンク外壁2の上部には、
図1に示すフィラーパイプ取付部材20と、フィラーパイプ取付部材20を取付ける平坦な部分であるパイプ取付部10が形成されている。フィラーパイプ取付部材20は、燃料タンク1内に燃料を注入するフィラーパイプ40を取付けるものである。
【0039】
また、
図5に示すように、タンク外壁2の上部には、ブリーザポート取付部7も形成されている。ブリーザポート取付部7は、燃料給油時に燃料タンク1内のガスをタンク外に逃がすためブリーザホース(図示せず)を取付けるものである。また、8は燃料タンク1から車輌転倒時の燃料漏れを防ぐカットオフバルブである。
なお、タンク外壁2の上面には、燃料移送用ホース等の各種のホースを保持するホースクランプを設けてもよい。これらのホースを取付ける取付部材にも本発明を使用することができる。
【0040】
タンク外壁2の上面には、さらに燃料ポンプ取付孔4が形成され、燃料ポンプ取付孔4からタンク外壁2の下部の内面にサブタンク5が取付けられる。燃料ポンプ取付孔4は、蓋体50で塞がれて、蓋体50はロックプレート51で燃料ポンプ取付孔4に周囲を螺着される。燃料ポンプ取付孔4と蓋体50の間にはシールリング52が取付けられて、燃料ポンプ取付孔4と蓋体50の間がシールされる。
【0041】
そして、サブタンク5内に燃料ポンプユニット6が取付けられている。サブタンク5は、車両が傾いたり振動したりしたときに、燃料タンク1内の燃料を燃料ポンプユニット6が確実にエンジンに送り出すことができるように設けられている。燃料ポンプユニット6は蓋体50に取付けられて、修理やメンテナンスが行われる。燃料ポンプユニット6からパイプが延びて、タンク外壁2の上部の蓋体50にフューエルメインポート取付部9が接続している。フューエルメインポート取付部9にはエンジンに燃料を送る燃料パイプ(図示せず)が取付けられている。
【0042】
図5に示すように、燃料タンク1のタンク外壁2の上部に、パイプ取付部10が形成されている。
図3と
図4に示すように、パイプ取付部10は、後述するフィラーパイプ取付部材20を取付ける燃料タンク1に形成された孔であるタンク開口11と、タンク開口11の周囲に形成され、フィラーパイプ取付部材20を取付ける取付部材保持フランジ12が形成されている。取付部材保持フランジ12は、フィラーパイプ取付部材20を取付けるため、上面が平坦な面に形成されている。
【0043】
フィラーパイプ40は、車体の燃料注入口(図示せず。)と燃料タンク1を連結するパイプであり、耐燃料油性の合成樹脂等で形成されている。フィラーパイプ40の先端は円筒状に形成されたフィラーパイプ先端部41が形成されている。フィラーパイプ先端部41は、
図1に示すように、フィラーパイプ40の本体部分よりも拡径して形成することもできる。
【0044】
フィラーパイプ先端部41は、
図1に示すように、外周方向に屈曲したフィラーパイプ先端突部43を形成することができる。また、
図2に示すように、フィラーパイプ先端部41の最先端から若干離れた外周面にリング状のフィラーパイプ先端凹部42を形成することもできる。フィラーパイプ先端突部43とフィラーパイプ先端凹部42は、後述するシール部材30のシール係合部溝部33aとの間のシール性を向上させることができる。
【0045】
次に、
図1と
図2に基づき、パイプ取付部材であるフィラーパイプ取付部材20と、フィラーパイプ取付部材20とフィラーパイプ先端部41の間に使用するシール部材30について説明する。
フィラーパイプ取付部材20は、フィラーパイプ40の先端のフィラーパイプ先端部41を挿入するフィラーパイプ取付筒部21と、燃料タンク1の内部に位置するタンク内筒部22と、パイプ取付部10の取付部材保持フランジ12に取付けられる取付フランジ部23を有する。
【0046】
取付フランジ部23は、中心にフィラーパイプ取付筒部21とタンク内筒部22を通す中心孔25を有する円盤状に形成され、下面(取付フランジ部23に対向する面)の外周には下方にリング状に突出する取付フランジ部先端部24が形成されている。取付フランジ部先端部24は、タンク外壁2の取付部材保持フランジ12に溶着又は接着される。
【0047】
このため、取付フランジ部23は、燃料タンク1のタンク外壁2の外面と同種の材料で形成されることが好ましい。取付フランジ部先端部24が取付部材保持フランジ12に溶着又は接着されるため、パイプ取付部10に取付フランジ部23を強固に固着して、取付フランジ部先端部24と取付部材保持フランジ12の間のシール性を確保することができる。
【0048】
取付フランジ部23の上面の中心孔25の周囲からタンク外壁2の外部方向に円筒状のフィラーパイプ取付筒部21が形成される。フィラーパイプ取付筒部21には、シール部材30を介して、フィラーパイプ40のフィラーパイプ先端部41が取付けられる。フィラーパイプ取付筒部21の先端付近の外周には、外方にリング状に突出したフィラーパイプ取付筒部突条部21aを形成することもできる。
【0049】
取付フランジ部23の下面の中心孔25の周囲から燃料タンク1の内部方向に円筒状のタンク内筒部22が形成される。このため、パイプ取付部10に取付フランジ部23を取付けると、タンク内筒部22を燃料タンク1のタンク外壁2の面よりも燃料タンク1の内部側に位置するように取付けることができる。
【0050】
フィラーパイプ取付部材20は、燃料タンク1とは別に射出成形により成形される。フィラーパイプ取付筒部21及びタンク内筒部22と、取付フランジ部23の部分は、それぞれ同種の材料で形成されることが好ましい。別の材料で形成された場合には、フィラーパイプ取付筒部21及びタンク内筒部22の材料と、取付フランジ部23材料は、射出成型時に互いに融着することが必要である。
【0051】
取付フランジ部23は、タンク外壁2の材料と同じ材料が使用される。例えば接着が容易で剛性の高い高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等が使用される。これにより取付フランジ部先端部24はタンク外壁2と融着する。
フィラーパイプ取付筒部21とタンク内筒部22は、耐燃料油性の材料であるポリアセタール、ポリアミド等の合成樹脂を使用することができる。
なお、フィラーパイプ取付部材20は、金属で形成することもできる。この場合には、フィラーパイプ取付部材20の剛性を大きくすることができる。
【0052】
次に、シール部材30について説明する。
図1に示すように、シール部材30は、フィラーパイプ取付部材20のフィラーパイプ取付筒部21とフィラーパイプ40のフィラーパイプ先端部41との間に位置するシール筒状部31と、フィラーパイプ先端部41に係合するシール係合部33を有する。
【0053】
シール筒状部31の先端には、内径方向に張出すシール部材先端部32がリング状に形成されている。シール部材先端部32は、
図4に示すように、フィラーパイプ取付筒部21の先端に当接して、フィラーパイプ取付部材20とシール部材30の間をシールすることができる。
【0054】
シール部材30のシール筒状部31の先端側の肉厚を、シール係合部33が設けられた側の肉厚よりも厚く形成したシール筒状部厚肉部31aを形成することができる。この場合には、シール筒状部厚肉部31aとシール筒状部31の先端側との密着力を向上させて、シール性と保持力を向上させることができる。
【0055】
図2に示すように、シール筒状部31のシール筒状部厚肉部31aと比べてシール筒状部厚肉部31aよりも下方の部分は肉厚が薄くなり、その肉厚の変化する部分である境界部分はシール部材傾斜面34を形成している。このため、フィラーパイプ取付筒部21にシール部材30のシール筒状部31とフィラーパイプ40のフィラーパイプ先端部41を挿入するときに、シール部材傾斜面34までは、摩擦を少なくさせて、シール部材傾斜面34ではフィラーパイプ取付筒部21とシール筒状部31の摩擦を低下させて、挿入が容易となる。
【0056】
また、フィラーパイプ取付部材20にフィラーパイプ取付筒部突条部21aを設けた場合には、フィラーパイプ取付筒部突条部21aをフィラーパイプ取付筒部21に圧入してシール性と保持力を向上させることができる。
また、シール筒状部厚肉部31aが形成されている場合には、フィラーパイプ取付筒部突条部21aをシール筒状部厚肉部31aに圧入して、一層シール性と保持力を向上させることができる。
【0057】
フィラーパイプ先端部41に係合するシール係合部33をシール筒状部31の下端に形成する。
図1に示すように、シール係合部33は、シール筒状部31の下端の外周にリング状の溝状に形成されたシール係合部溝部33aを有する。シール係合部溝部33aは、その外周を形成するシール係合部外周壁33bが形成されている。フィラーパイプ先端部41をシール部材30に取付けたときに、シール係合部溝部33aにフィラーパイプ先端部41が挿入されて、シール係合部外周壁33bがフィラーパイプ先端部41を保持している。
【0058】
このため、シール係合部溝部33aにフィラーパイプ先端部41を挿入してフィラーパイプ取付筒部21に沿って押圧すれば、容易にシール部材30とともに、フィラーパイプ先端部41をフィラーパイプ取付部材20に取付けることができる。また、シール係合部溝部33aがフィラーパイプ先端部41の先端を保持して、フィラーパイプ先端部41とシール係合部溝部33aの間をシールすることができる。
【0059】
図2に示すように、フィラーパイプ先端部41の外周面にリング状のフィラーパイプ先端凹部42を形成し、シール係合部溝部33aのシール係合部外周壁33bにフィラーパイプ先端凹部42に係合するリング状のシール係合部突条部33cを形成することができる。この場合には、フィラーパイプ先端部41の外周面とシール係合部溝部33aの間のシール性を向上させることができる。
【0060】
シール部材30は、合成ゴムで形成することができる。合成ゴムとしては、耐油性に優れた材料を選択することができる。例えば、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)を使用することができる。また、内層と外層を別な材料を使用することができる。
合成ゴムを使用すると、弾性が優れて、フィラーパイプ先端部41の組付けと取り外しが容易になるとともに、組付け後は、フィラーパイプ取付部材20とフィラーパイプ先端部41と密着して、シール性を向上させることができる。
【0061】
次に、
図1〜
図4に基づき、フィラーパイプ取付部材20にフィラーパイプ先端部41を取付ける方法について説明する。
まず、フィラーパイプ取付部材20を燃料タンク1のタンク外壁2のパイプ取付部10に取付ける。パイプ取付部10の取付部材保持フランジ12にフィラーパイプ取付部材20の取付フランジ部23を溶着する。
【0062】
図1に示すように、取付フランジ部23に下方に延出する取付フランジ部先端部24を形成した場合には、取付フランジ部先端部24を溶融して、取付部材保持フランジ12に溶着することができる。この場合には、取付フランジ部先端部24が確実にタンク外壁2の取付部材保持フランジ12に溶着して、密着性を向上させることができる。
【0063】
次に、
図2に示すようにシール部材30のシール係合部33のシール係合部溝部33aにフィラーパイプ40のフィラーパイプ先端部41を挿入する。
その後、
図3に示すように、フィラーパイプ先端部41とシール部材30を一緒にフィラーパイプ取付部材20のフィラーパイプ取付筒部21に挿入する。
【0064】
この時、フィラーパイプ取付筒部21への挿入につれて、
図3の矢印に示すように、シール部材30のシール筒状部31がフィラーパイプ先端部41の内面に密着するように撓むことができる。また、シール部材傾斜面34が設けられているため、シール部材傾斜面34までは、挿入時において、シール筒状部31との摩擦や干渉が少なく、挿入が容易である。シール部材傾斜面34においてもフィラーパイプ取付筒部21の先端が挿入されるときの挿入摩擦を低減できる。
更に、
図4に示すように、フィラーパイプ先端部41を挿入すると、シール係合部33がフィラーパイプ取付部材20の取付フランジ部上面部23aに密着する。
【0065】
その時、フィラーパイプ取付部材20にフィラーパイプ取付筒部突条部21aを設けた場合には、フィラーパイプ取付筒部突条部21aがシール筒状部31に押圧されてシール性を向上させることができる。シール筒状部31にシール筒状部厚肉部31aを設けた場合には、フィラーパイプ取付筒部突条部21aが、一層、シール筒状部厚肉部31aに食い込んでシール性をより向上させることができる。
【0066】
また、
図1に示すように、フィラーパイプ先端突部43を設けた場合には、フィラーパイプ先端突部43がシール係合部外周壁33bの内面に当接して、シール性を向上させることができる。さらに、
図2に示すように、シール係合部突条部33cをフィラーパイプ先端凹部42に嵌め込んだ場合にも、シール性をより向上させることができる。
【0067】
さらに、フィラーパイプ先端部41を挿入後に、
図4に示すように、フィラーパイプ先端部41の外周面へパイプバンド60を締結することができる。この場合には、フィラーパイプ先端部41をフィラーパイプ取付部材20に強固に取付けるとともに、シール部材30を強く挟持してシール性を向上することができる。また、パイプバンド60を外せば、容易にフィラーパイプ先端部41を外すことができる。