(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間膜が、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種の共重合体を含有する2つのB膜と、前記2つのB膜間に配置された前記A膜と、を含む少なくとも3つの膜が積層された多層構造を有する請求項1に記載の合わせガラス。
前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体がエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、前記エチレン・ビニルエステル共重合体がエチレン・酢酸ビニル共重合体であり、前記エチレン系重合体がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種の共重合体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の合わせガラス。
前記A膜に含まれる前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が共重合体の全質量に対して1質量%〜10質量%である請求項4に記載の合わせガラス。
前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体の合計含有量が、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、前記エチレン・ビニルエステル共重合体、及び前記エチレン系重合体の合計質量に対して5質量%以上45質量%未満であり、前記エチレン系重合体の含有量が、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、前記エチレン・ビニルエステル共重合体、及び前記エチレン系重合体の合計質量に対して55質量%を超え95質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の合わせガラス。
エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種の共重合体と、エチレン系重合体(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体を除く)と、を含有するA膜を含み、厚み400μmにおけるヘイズが50%以上99.5%以下であり、厚み400μmにおける全光線透過率が50%以上85%以下である合わせガラス用中間膜。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<合わせガラス用中間膜>
合わせガラスは、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種の共重合体と、エチレン系重合体(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体を除く)と、を含有するA膜を含む合わせガラス用中間膜(以下、単に中間膜ともいう)を有する。
中間膜は、厚み400μmにおける、ヘイズが50%以上99.5%以下であり、全光線透過率が50%以上90%以下である。
中間膜は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種を含有する2つのB膜と、前記2つのB膜間に配置された前記A膜と、を含む少なくとも3つの膜が積層された多層構造を有することが好ましい。
【0010】
本明細書における(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含することを意味する。
【0011】
本発明の一実施態様の効果が現れる理由は明確ではないが、以下のように推定される。
すなわち、本発明の一実施態様は、合わせガラスの中間膜が含むA膜を、光透過性が高く屈折率の異なる、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種の共重合体と、エチレン系重合体(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体を除く)と、を含む構成とすることで、中間膜全体として、光透過性を維持したまま、両者の屈折率の差から乳白色となり、目隠し性を発現するものと考えられる。
また、A膜にエチレン系重合体(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体を除く)が含まれることで、中間膜は耐水性にも優れたものになると考えられる。
【0012】
以下に、中間膜に含まれるA膜について、詳細に説明する。
【0013】
≪A膜≫
中間膜は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種の共重合体と、エチレン系重合体(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体を除く)と、を含有するA膜を含む。
中間膜がA膜を含むことで、中間膜全体として、光透過性、目隠し性、及び耐水性に優れたものとなる。
A膜は、必要に応じて、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体、及びエチレン系重合体以外の樹脂を含んでいてもよい。
【0014】
[エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体]
A膜は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び後述のエチレン・ビニルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種の共重合体を含む。
エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、少なくとも、エチレンに由来する構成単位と、不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位と、を含む。エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、交互共重合体であってもよい。
【0015】
不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位としては、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステルに由来する構成単位が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位における不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸アルキルエステルに由来する構成単位におけるアルキル部位としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基を挙げることができ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、及びイソオクチル等のアルキル基を例示できる。中でも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
【0016】
エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が特に好ましい。中でも(メタ)アクリル酸エステルとして1種類の化合物に由来する構成単位を含む共重合体が好ましい。エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の例としては、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸n−ブチル共重合体、及びエチレン・メタクリル酸イソブチル共重合体が挙げられる。
【0017】
エチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の全質量に対して40質量%〜80質量%であることが好ましく、50質量%〜70質量%であることがより好ましい。
【0018】
不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体全質量に対して20質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。
不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が上記範囲にあれば、中間膜のヘイズがより向上し、目隠し性と光透過性を両立できる。
【0019】
エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、不飽和カルボン酸エステル及びエチレン以外の他のモノマーに由来する構成単位を、本発明の一実施態様の特性を損なわない範囲で更に含んでいてもよい。ただし、その他のモノマーに由来する構成単位の含有量は不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量を超えないことが好ましい。
【0020】
エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、従来公知の方法で製造してもよく、市販されているものを用いてもよい。
エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、加工性及び機械強度の観点から、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(JIS−K7210(1999年))が、0.1g/10分〜150g/10分であることが好ましく、特に0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましい。
【0021】
[エチレン・ビニルエステル共重合体]
A膜は、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種の共重合体を含む。
エチレン・ビニルエステル共重合体は、少なくとも、エチレンに由来する構成単位と、ビニルエステルに由来する構成単位と、を含む。エチレン・ビニルエステル共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、交互共重合体であってもよい。
【0022】
エチレン・ビニルエステル共重合体としては、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、及びエチレン・ステアリン酸ビニル共重合体が例示され、エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0023】
エチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレン・ビニルエステル共重合体の全質量に対して40質量%〜80質量%であることが好ましく、50質量%〜70質量%であることがより好ましい。
【0024】
ビニルエステルに由来する構成単位の含有量は、共重合体全質量に対して20質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。
ビニルエステルに由来する構成単位の含有量が上記範囲にあれば、中間膜のヘイズがより向上し、目隠し性と光透過性を両立できる。
【0025】
エチレン・ビニルエステル共重合体は、ビニルエステル及びエチレン以外の他のモノマーに由来する構成単位を、本発明の一実施態様の特性を損なわない範囲で更に含んでいてもよい。ただし、その他のモノマーに由来する構成単位の含有量はビニルエステルに由来する構成単位の含有量を超えないことが好ましい。
【0026】
エチレン・ビニルエステル共重合体は従来公知の方法で製造してもよいし、市販されているものを用いてもよい。
エチレン・ビニルエステル共重合体は、加工性及び機械強度の観点から、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(JIS−K7210(1999年))が、0.1g/10分〜150g/10分であることが好ましく、特に0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましい。
【0027】
A膜におけるエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体の合計含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体、並びに後述のエチレン系重合体(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体を除く)の合計質量に対して50質量%以下が好ましく、5質量%以上45質量%未満がより好ましく、15質量%以上35質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上30質量%以下が最も好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体の合計含有量が上記範囲であると、光透過性及び目隠し性に優れる。
【0028】
[エチレン系重合体]
A膜は、エチレン系重合体(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体を除く)を含む。
エチレン系重合体は、エチレン、プロピレン、及びブテン等の炭化水素のみを重合した単独重合体でもよく、エチレンに由来する構成単位を含み、さらに他の構成単位(以下、コモノマーに由来する構成単位ともいう)を含む共重合体でもよい。エチレン系重合体が共重合体の場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、交互共重合体であってもよい。
【0029】
エチレン系重合体が単独重合体である場合の例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、及びポリブテン等が挙げられる。
エチレン系重合体が共重合体である場合の例としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー、エチレン・αオレフィン共重合体等が挙げられる。
エチレン系重合体の中でも、高密度ポリエチレン、並びにエチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーが好ましく、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーがより好ましい。
【0030】
エチレン系重合体が共重合体の場合、コモノマーに由来する構成単位としては、例えば、プロピレン、ブテン、及びオクテン等のα−オレフィンに由来する構成単位、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、及び無水マレイン酸モノエステル等の不飽和カルボン酸に由来する構成単位が挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸に由来する構成単位が好ましく、メタクリル酸に由来する構成単位がより好ましい。
【0031】
エチレン系重合体が共重合体の場合、エチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレン系重合体の全質量に対して75質量%〜99質量%が好ましく、80質量%〜99質量%がより好ましく、90質量%〜99質量%がさらに好ましい。
【0032】
エチレン系重合体が共重合体の場合、コモノマーに由来する構成単位の含有量は、エチレン系重合体の全質量に対して1質量%〜25質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%がさらに好ましい。
コモノマーに由来する構成単位の含有量が上記範囲内であると、エチレン系重合体の耐水性、耐熱性がより向上し、かつ目隠し性と光透過性を両立できる。
【0033】
エチレン系重合体がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体である場合、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンに由来する構成単位及び不飽和カルボン酸に由来する構成単位の合計100質量%に対し、0質量%を超えて30質量%以下の範囲(好ましくは0質量%を超えて25質量%以下の範囲)で、その他の共重合性モノマーに由来する構成単位を含んでもよい。ただし、その他の共重合性モノマーに由来する構成単位の含有量は不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量を超えないことが好ましい。
【0034】
その他の共重合性モノマーとしては、不飽和エステル、例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。その他の共重合体モノマーに由来する構成単位を上記範囲で含むことにより、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の柔軟性が向上するため好ましい。
【0035】
エチレン系重合体としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを用いることができる。アイオノマーは、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体中のカルボン酸基を金属で中和したものである。
カルボン酸基を中和する金属としては、リチウム及びナトリウムなどのアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム、亜鉛及びアルミニウムなどの多価金属などが挙げられる。
【0036】
アイオノマーにおけるエチレンに由来する構成単位及び不飽和カルボン酸単量体に由来する構成単位の含有量の好ましい範囲は、上記のエチレン系重合体におけるエチレンに由来する構成単位の含有量及びコモノマーに由来する構成単位の含有量と同じである。
【0037】
アイオノマーの中和度は、通常80%以下が好ましい。中和度が80%以下であると、光透過性と目隠し性とが両立した中間膜を得ることができる。一般的に、中和度は60%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。中和度の下限は、10%が好ましい。
【0038】
上記のエチレン系重合体は、各重合成分を高温及び高圧下でラジカル共重合することで得ることができる。また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーは、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体と金属化合物を反応させることによって得ることができる。
【0039】
エチレン系重合体は、加工性及び機械強度の観点から、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)(JIS−K7210(1999年))が、0.1g/10分〜150g/10分であることが好ましく、特に0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましい。
【0040】
A膜におけるエチレン系重合体の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体、並びにエチレン系重合体の合計質量に対して50質量%以上が好ましく、55質量%を超え95質量%以下がより好ましく、65質量%以上85質量%以下がさらに好ましく、70質量%以上80質量%以下が最も好ましい。
【0041】
[その他の樹脂]
A膜は、本発明の一実施態様の目的を損なわない範囲内においてその他の樹脂を含んでもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリクロロプレンが挙げられる。
【0042】
[その他の添加剤]
A膜は、本発明の一実施態様の目的を損なわない範囲内において、各種添加剤を含んでもよい。かかる添加剤としては、例えば、架橋剤、架橋助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤及びシランカップリング剤が挙げられる。
【0043】
架橋剤としては、半減期1時間の分解温度が通常90℃〜180℃、好ましくは100℃〜150℃の有機過酸化物を用いることが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド及びジクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
A膜における架橋剤の含有量は、エチレン系重合体100質量部に対し、0.1質量部〜5質量部が好ましく、0.5質量部〜3質量部がより好ましい。
【0044】
架橋助剤としては、例えば、多不飽和化合物が挙げられる。多不飽和化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート及びジアリルマレエートなどのポリアリル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリロキシ化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
A膜における架橋助剤の含有量は、エチレン系重合体100質量部に対し、5質量部以下が好ましく、0.1質量部〜3質量部がより好ましい。
【0045】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリチレート及びp−オクチルフェニルサリチレートなどのサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0046】
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤として、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(o−クロロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェノキシアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチル−2,4−ジオキソ−3−nオクチル−スピロ[4,5]デカン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−アセトキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリアジン−2,4,6−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)ホスファイト、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3−トリカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロパン−1,1,2,3−テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレートが挙げられる。
【0047】
酸化防止剤としては、例えば、各種ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びホスファイト系酸化防止剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロール、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
また、ホスファイト系酸化防止剤の具体例としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファネートジメチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファネートなどが挙げられる。
A膜における酸化防止剤、光安定剤及び紫外線吸収剤の含有量は、A膜の全質量を100質量部としたときに、各々5質量部以下が好ましく、0.1質量部〜3質量部がより好ましい。
【0048】
シランカップリング剤としては、ビニル基、アミノ基又はエポキシ基と、アルコキシ基などの加水分解基と、を有するシランカップリング剤、並びにチタネート系カップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプピルトリメトキシシラン及びN−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
A膜におけるシランカップリング剤の含有量は、A膜の全質量を100質量部としたときに、5質量部以下が好ましく、0.02質量部〜3質量部がより好ましい。シランカップリング剤が上記範囲で含まれていると、後述するガラスシートとA膜との接着性を向上させることができる。
【0049】
また、A膜には、上述した添加剤以外に、必要に応じて、着色剤、光拡散剤、難燃剤及び金属不活性剤などの添加剤を含有させることができる。
着色剤としては、顔料(無機顔料、有機顔料)、染料等が挙げられる。これらの着色剤は公知の種々のものから選択できる。
【0050】
無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトポン、バライト、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、せっこう、沈降性シリカ等の白色無機顔料、カーボンブラック、ランプブラック、チタンブラック、合成鉄黒等の黒色無機顔料、亜鉛末、亜酸化鉛、スレート粉等の灰色無機顔料、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、銀朱、べんがら、モリブテン赤、鉛丹等の赤色無機顔料、アンバー、酸化鉄茶等の褐色無機顔料、カドミウム黄、亜鉛黄、オーカ、シエナ、合成オーカ、黄鉛、チタン黄等の黄色無機顔料、酸化クロム緑、コバルト緑、クロム緑等の緑色無機顔料、群青、紺青、鉄青、コバルト青等の青色無機顔料、金属粉無機顔料が挙げられる。
【0051】
有機顔料としては、例えば、パーマネント・レッド4R、パラ・レッド、ファースト・エローG、ファースト・エロー10G、ジスアゾ・エローG、ジスアゾ・エローGR、ジスアゾ・オレンジ、ピラゾロン・オレンジ、ブリリアント・カーミン3B、ブリリアント・カーミン6B、ブリリアント・スカーレットG、ブリリアント・ボルドー10B、ボルドー5B、パーマネント・レッドF5R、パーマネント・カーミンFB、リソール・レッドR、リソール・レッドB、レーキ・レッドC、レーキ・レッドD、ブリリアント・ファスト・スカーレット、ピラゾロン・レッド、ボン・マルーン・ライト、ボン・マルーン・メジアム、ファイア・レッド等のアゾ顔料、ナフトール・グリーンB等のニトロソ顔料、ナフトール・エローS等のニトロ顔料、ローダミンBレーキ、ローダミン6Gレーキ等の塩基性染料系レーキ、アリザリン・レーキ等の媒染染料系レーキ、インダンスレン・ブルー等の建染染料系顔料、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、ファスト・スカイ・ブルー等のフタロシアニン顔料、ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン系顔料が挙げられる。
この他にも、有機蛍光顔料やパール顔料などが使用可能である。
【0052】
光拡散剤としては、無機系球状物質及び有機系球状物質が挙げられる。無機系球状物質としては、例えば、ガラスビーズ、シリカビーズ、シリコンアルコキシドビーズ、中空ガラスビーズが挙げられる。有機系球状物質としては、例えば、アクリル系ビーズ及びビニルベンゼン系ビーズなどのプラスチックビーズが挙げられる。
【0053】
難燃剤としては、臭素化物などのハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、並びに水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウムなどの金属水和物などが挙げられる。
【0054】
金属不活性剤としては、熱可塑性樹脂の金属害を抑制する化合物として周知のものから選択できる。金属不活性剤は、二種以上を併用してもよい。金属不活性剤の好ましい例としては、ヒドラジド誘導体、及びトリアゾール誘導体を挙げることができる。
ヒドラジド誘導体としては、デカメチレンジカルボキシル−ジサリチロイルヒドラジド、2’,3−ビス[3−[3,5−ジーtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]プロピオノヒドラジド、及びイソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニル−ヒドラジド)が好適に挙げられる。
トリアゾール誘導体としては、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾールが好適に挙げられる。
ヒドラジド誘導体、及びトリアゾール誘導体以外にも、金属不活性剤として、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル・ジフェニルメタン、トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三−ブチルフェニル)ブタン、2−メルカプトベンズイミダゾールとフェノール縮合物との混合物などが挙げられる。
【0055】
≪その他の層≫
中間膜は、少なくとも、前記A膜とその他の膜とが積層された多層構造を有していてもよい。
中間膜が多層構造を有する場合、中間層は、少なくともA膜を含み、厚み400μmにおける、ヘイズが50%以上99.5%以下であり、全光線透過率が50%以上90%以下であれば、A膜に積層するその他の膜の材質は特に制限されない。
その他の膜としては、中間膜の耐水性の観点から、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種の共重合体を含有する膜が好ましい。
中間膜のより好ましい態様としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種の共重合体を含有する2つのB膜と、2つのB膜間に配置された前記A膜を含む少なくとも3つの膜が積層された多層構造を有する態様が挙げられる。
【0056】
B膜に含まれるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーとしては、前記A膜で説明したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーが挙げられる。
また、B膜は前記その他の樹脂及びその他の添加剤を含んでいてもよい。
B膜は、ヘイズが40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
【0057】
[中間膜の物性]
中間膜は、厚み400μmにおける、ヘイズが50%以上99.5%以下であり、全光線透過率が50%以上90%以下である。ヘイズ及び全光線透過率が上記範囲であることによって、合わせガラスのヘイズを50%以上99.5%以下にすることができ、全光線透過率を50%以上90%以下にすることができる。
【0058】
中間膜の厚み400μmにおけるヘイズが50%以上であると合わせガラスは目隠し性に優れ、99.5%以下であると合わせガラスは光透過性に優れる。
中間膜の厚み400μmにおけるヘイズは、60%以上99.5%以下が好ましく、80%以上99.5%以下がより好ましく、85%以上99.5%以下が更に好ましく、90%以上99%が最も好ましい。
【0059】
中間膜の厚み400μmにおける全光線透過率が50%以上であると合わせガラスは光透過性に優れ、90%を以下であると合わせガラスは目隠し性に優れる。
中間膜の厚み400μmにおける全光線透過率は、60%以上90%以下が好ましく、70%以上90%以下がより好ましく、75%以上85%以下が最も好ましい。
【0060】
ヘイズは、JIS−K7136:2000、全光線透過率は、JIS−K7361:1997に準じて測定された値である。
【0061】
[中間膜の成形]
中間膜の成形は、単層T−ダイ押出機、多層T−ダイ押出機、カレンダー成形機、単層インフレーション成形機、多層インフレーション成形機などを用いた公知の方法によって行なうことができる。
【0062】
例えば、中間膜がA膜のみで形成される場合、原料であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種の共重合体、並びにエチレン系重合体に、必要に応じ、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤及びシランカップリング剤等の添加剤を添加してドライブレンドし、T−ダイ押出機のホッパーから供給し、シート状に押出成形することにより得られる。
中間膜がA膜のみで形成される場合、中間膜の厚みは、10μm〜5000μmが好ましく、50μm〜2000μmがより好ましい。
【0063】
例えば、中間膜が多層構造を有する場合、その他の膜は、前記A膜と同様の方法で成形することができ、成形したのち真空加熱貼合器等を用いてA膜と貼り合わせてもよい。また、その他の膜は、多層押出機を用いてA膜と一体成形して多層構造を有する中間膜を成形してもよい。
その他の膜の厚みは、5μm〜1000μmが好ましく、10μm〜500μmがより好ましい。
【0064】
中間膜が、2つのB膜と、2つのB膜間に配置された前記A膜と、を含む少なくとも3つの膜が積層された多層構造を有する場合、各B膜の厚みが10μm〜200μmであり、A膜の厚みが40μm〜1800μmであることが好ましい。
【0065】
<合わせガラス>
合わせガラスは、2枚のガラスと、前記2枚のガラス間に配置されたエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン・ビニルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種の共重合体と、エチレン系重合体(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び前記エチレン・ビニルエステル共重合体を除く)と、を含有するA膜を含む中間膜(既述の中間膜)を有する。
また、合わせガラスは、ヘイズが50%以上99.5%以下であり、全光線透過率が50%以上90%以下である。
ヘイズが50%未満であると目隠し性に劣り、99.5%を超えると光透過性に劣る。ヘイズは、60%以上99.5%以下が好ましく、80%以上99.5%以下がより好ましく、85%以上99.5%以下がさらに好ましく、90%以上99.5%以下がさらに好ましく、90%以上99%以下が最も好ましい。
全光線透過率が50%未満であると光透過性に劣り、90%を超えると目隠し性に劣る。全光線透過率は、60%以上90%以下が好ましく、70%以上90%以下がより好ましく、75%以上85%以下が最も好ましい。
ヘイズは、JIS−K7136:2000年、全光線透過率は、JIS−K7361:1997年に準じて測定された値である。
本発明の一実施態様の合わせガラスは、既述の中間膜を有し、ヘイズ及び全光線透過率が上記の範囲にあることで、光透過性及び目隠し性に優れ、耐水性の高い合わせガラスとなる。
【0066】
合わせガラスの構成としては、例えば、シート状のガラス/中間膜(A膜単膜)/シート状のガラスの構成が挙げられる。
また、中間膜は、最外層としてB膜を有していてもよく、合わせガラスの構成としては、例えば、シート状のガラス/中間膜(B膜/A膜/B膜)/シート状のガラスの構成であってもよい。更に、これらの構成の中で、少なくとも1層に着色剤が配合されている構成なども挙げられる。
【0067】
シート状のガラスの材質は特に限定されず、ソーダライムガラスが好適に使用されるが、中でも高透過ガラス(いわゆる白板ガラス)が好ましく使用される。高透過ガラスは、鉄分の含有量の少ないソーダライムガラスであり、全光線透過率の高いガラスである。また、シート状のガラスとしては、表面にエンボス模様を施した型板ガラスも好適に使用される。また、シート状のガラスとしては、鉄分含有量の多いソーダライムガラス(いわゆる青板ガラス)、熱線反射ガラス、及び熱線吸収ガラスなども好ましく使用できる。
シート状のガラス(又はガラス板)の厚みは特に制限がないが、通常は4mm以下、好ましくは2.5mm以下である。シート状のガラスの厚みの下限は制限が無いものの、通常は0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上である。
【0068】
合わせガラスの製造は、例えば、2枚のシート状のガラスの間に前記合わせガラス用中間膜(A膜単膜又は多層を有する中間膜)を入れ、加熱及び加圧下で熱圧着することで行うことができる。加熱温度は、例えば、100℃〜250℃程度が好ましく、圧力は、例えば、0.1kg/cm
2〜30kg/cm
2程度が好ましい。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の一実施態様を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の一実施態様はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0070】
下記の実施例及び比較例に用いた材料、各層の配合、基材、及び評価方法は、次の通りである。
【0071】
−(1)樹脂−
以下の樹脂原料を用意した。
1.エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)
酢酸ビニルに由来する構成単位含有量=41質量%
エチレンに由来する構成単位含有量=59質量%
2.エチレン・メタクリル酸共重合体(E−MAA)
メタクリル酸に由来する構成単位含有量=4質量%
エチレンに由来する構成単位含有量=96質量%
3.エチレン・メタクリル酸共重合体のZnアイオノマー
メタクリル酸に由来する構成単位含有量=9質量%
エチレンに由来する構成単位含有量=91質量%
中和イオン=Znイオン
中和度=18%
4.ポリエチレン(HDPE)
(株)プライムポリマー社製 ハイゼックス7000F
MFR(190℃、2160g荷重)=0.04g/10分
5.エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)
アクリル酸メチルに由来する構成単位含有量=20質量%
エチレンに由来する構成単位含有量=80質量%
MFR(190℃、2160g荷重)=8g/10分
6.エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)
アクリル酸メチルに由来する構成単位含有量=15質量%
エチレンに由来する構成単位含有量=85質量%
MFR(190℃、2160g荷重)=6g/10分
【0072】
−(2)基材−
以下の基材を用意した。
厚み3.2mmの青板強化ガラス(旭硝子(株)製)
−(3)B膜−
B膜には、以下の樹脂膜を用いた。
上記のアイオノマー80部と、上記のE−MAA20部と、シランカップリング剤(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン:信越化学工業(株)製の「KBM602」)0.2部と、を混合し、B膜形成用組成物を作製し、単層T−ダイ成形機により、樹脂温度160℃の条件にて、膜厚75μmとなるように樹脂膜を製膜した。
【0073】
[実施例1]
上記のEVAを28部と、上記のE−MAAを72部と、を混合し、いずれも、ダイ幅40mmのダイスを装着した40mmφコートハンガーダイ異形成形機(ナカタニ機械(株)製)を用いて、厚み250μmの単層シート(A膜)を作製した。
次に厚み3.2mmの青板強化ガラス(75mm×120mm)、上記のB膜、上記で得られた厚み250μmの単層シート(A膜)、上記のB膜、および厚み3.2mmの青板強化ガラス(75mm×120mm)をこの順に積層し、積層体を真空加熱貼合器(LM−50x50S、NPC社製の2重真空槽貼り合せ機)を用い、150℃、8分間の条件で貼り合わせ、青板強化ガラス/中間膜(B膜/A膜/B膜)/青板強化ガラスからなる構成の合わせガラス試料を作製した。
【0074】
<評価>
得られた合わせガラス試料を用い、下記の各種評価を実施した。評価結果を下記表1に示す。
【0075】
(ヘイズ及び全光線透過率)
合わせガラス試料を用い、ヘイズメーター(スガ試験機社製)にて、JIS−K7361に準じて全光線透過率(%)を、JIS−K7136に準じてヘイズ(%)を、それぞれ測定した。
【0076】
(耐水性)
合わせガラス試料を100℃の沸騰水中で2時間煮沸し、煮沸後の試料について、外観を目視で観察、並びにヘイズ及び全光線透過率を測定し、以下の基準に従い耐水性を評価した。なお、試料の変色の度合いが大きいほど、耐水性が悪いと評価した。
【0077】
−評価基準−
A:外観変化がなく、ヘイズ及び全光線透過率の変化率がいずれも3%未満である。
B:外観変化があり、ヘイズ及び全光線透過率の変化率のいずれか一方が3%以上である。
【0078】
[実施例2〜実施例4]
実施例1において、A膜の樹脂の種類および配合比率を下記表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして各実施例の合わせガラス試料を作製した。
また、各実施例の合わせガラス試料についても、実施例1と同様、各種評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0079】
[比較例1]
実施例1における中間膜の樹脂を上記のEVA100部に変更した以外は実施例1と同様にして合わせガラス試料を作製した。また、比較例1の合わせガラス試料についても、実施例1と同様に各種評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1より、実施例1〜実施例4は、目隠し性に優れ、耐水性が高いことがわかる。
比較例1は、ヘイズが低く、目隠し性に劣ることがわかる。また、比較例1は、
図1に示すように、白化しており耐水性に劣ることがわかる。
【0082】
2014年10月15日に出願された日本国特許出願2014−210738号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。