特許第6636077号(P6636077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6636077-偏光フィルムおよび表示装置 図000028
  • 特許6636077-偏光フィルムおよび表示装置 図000029
  • 特許6636077-偏光フィルムおよび表示装置 図000030
  • 特許6636077-偏光フィルムおよび表示装置 図000031
  • 特許6636077-偏光フィルムおよび表示装置 図000032
  • 特許6636077-偏光フィルムおよび表示装置 図000033
  • 特許6636077-偏光フィルムおよび表示装置 図000034
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6636077
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】偏光フィルムおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20200120BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20200120BHJP
   C09B 31/28 20060101ALI20200120BHJP
   C09B 31/062 20060101ALI20200120BHJP
【FI】
   G02B5/30
   C09B67/20 K
   C09B31/28
   C09B31/062
【請求項の数】21
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2018-71398(P2018-71398)
(22)【出願日】2018年4月3日
(62)【分割の表示】特願2013-230986(P2013-230986)の分割
【原出願日】2013年11月7日
(65)【公開番号】特開2018-112756(P2018-112756A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0125682
(32)【優先日】2012年11月7日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】李 龍柱
(72)【発明者】
【氏名】文 得圭
(72)【発明者】
【氏名】朴 商浩
(72)【発明者】
【氏名】元 鍾勳
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲ヒョン▼豪
(72)【発明者】
【氏名】金 明萬
(72)【発明者】
【氏名】金 永煥
(72)【発明者】
【氏名】房 非非
(72)【発明者】
【氏名】鄭 明燮
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0050652(US,A1)
【文献】 特開2010−107975(JP,A)
【文献】 特開2011−048311(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/157614(WO,A1)
【文献】 特開平09−281335(JP,A)
【文献】 国際公開第02/037147(WO,A1)
【文献】 特開2009−217012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン樹脂と、
下記の一般式1で表わされる二色性染料と、
を含み、
前記ポリオレフィン樹脂と前記二色性染料との溶解度パラメーター差は、7.4(J/cm0.5未満であることを特徴とする偏光フィルム:
【化1】
式中、
Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C15のアリーレン基であり、
、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基または置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基であり、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C20のアリール基、C1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、−NRまたはこれらの組み合わせであり、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成し、
nおよびmは、それぞれ1である。
【請求項2】
nおよびmがそれぞれ1であり、
、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基または置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基であり、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C20のアリール基、−NRまたはこれらの組み合わせであり、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成することを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルム。
【請求項3】
前記Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のフェニレン基、置換若しくは非置換のナフタレン基、置換若しくは非置換のビフェニレン基を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の偏光フィルム。
【請求項4】
前記置換されたフェニレン基、前記置換されたナフタレン基および前記置換されたビフェニレン基は、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、ハロゲン基、ハロゲン含有基またはこれらの組み合わせで置換されていることを特徴とする請求項に記載の偏光フィルム。
【請求項5】
前記ポリオレフィン樹脂の溶解度パラメーターは、15〜18(J/cm0.5であり、
前記二色性染料の溶解度パラメーターは、24(J/cm0.5未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の偏光フィルム。
【請求項6】
前記二色性染料の分解温度は、245℃以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の偏光フィルム。
【請求項7】
前記ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、これらの共重合体またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の偏光フィルム。
【請求項8】
前記ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)との混合物であり、
前記ポリエチレンとポリプロピレンの共重合体(PE−PP)は、エチレンの含量が1〜50重量%であることを特徴とする請求項に記載の偏光フィルム。
【請求項9】
前記二色性染料は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部で含まれていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の偏光フィルム。
【請求項10】
前記二色性染料は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して0.05〜1重量部で含まれていることを特徴とする請求項に記載の偏光フィルム。
【請求項11】
前記偏光フィルムは、380nm〜780nmの可視光波長領域における二色比が3〜10であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の偏光フィルム。
【請求項12】
前記偏光フィルムは、前記ポリオレフィン樹脂と前記二色性染料との溶融混合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光フィルム。
【請求項13】
前記二色性染料は、前記ポリオレフィン樹脂に分散されており、
前記ポリオレフィン樹脂は、400〜1000%で一軸延伸されていることを特徴とする請求項12に記載の偏光フィルム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の偏光フィルムを備える表示装置。
【請求項15】
ポリオレフィン樹脂と、
下記の一般式1で表わされる二色性染料と、
を含み、
前記ポリオレフィン樹脂と前記二色性染料との溶解度パラメーター差は、7.4(J/cm0.5未満であることを特徴とする偏光フィルム用の組成物:
【化2】
式中、
Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C15のアリーレン基であり、
、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基または置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基であり、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C20のアリール基、C1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、−NRまたはこれらの組み合わせであり、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成し、
nおよびmは、それぞれ1である。
【請求項16】
nおよびmがそれぞれ1であり、
、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基または置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基であり、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C20のアリール基、−NRまたはこれらの組み合わせであり、ここで、RとRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成することを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルム用の組成物。
【請求項17】
前記ポリオレフィン樹脂は、300℃以下の溶融点(Tm)を有することを特徴とする請求項15または16に記載の偏光フィルム用の組成物。
【請求項18】
前記ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)との混合物であることを特徴とする請求項1517のいずれか一項に記載の偏光フィルム用の組成物。
【請求項19】
前記ポリオレフィン樹脂は、前記ポリプロピレン及び前記ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体を1:9〜9:1の重量比で含むことを特徴とする請求項18に記載の偏光フィルム用の組成物。
【請求項20】
固形分が90重量%以上であることを特徴とする請求項1519のいずれか一項に記載の偏光フィルム用の組成物。
【請求項21】
溶媒を含んでいないことを特徴とする請求項1520のいずれか一項に記載の偏光フィルム用の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光フィルムおよび偏光フィルムを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(liquid crystal display;LCD)および有機発光表示装置(organic light emitting diode device;OLED device)などの表示装置は、表示板の外側に取り付けられている偏光板を備える。偏光板は、特定の方向に振動する光のみ通過させ、その他の光は吸収または反射することにより、表示板に入射する光または表示板から出射される光の方向を制御することができる。
【0003】
偏光板は、一般に、偏光子およびこれを保護するための保護層を備える。偏光子は、例えば、ヨウ素または二色性染料をポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)に吸着および配向して用いることができ、保護層には、例えば、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)が用いられる。
【0004】
しかしながら、偏光子および保護層を備える偏光板は、工程が複雑であり、生産コストが高いだけではなく、偏光板が厚くなって表示装置の厚さにまで影響が出る虞がある。この理由から、保護層を必要としない偏光フィルムに関する研究が進んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、偏光特性を改善することのできる偏光フィルムを提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、前記偏光フィルムを備える表示装置を提供することである。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、偏光フィルム用の組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、ポリオレフィン樹脂と、下記の一般式1で表わされる二色性染料と、を含み、前記ポリオレフィン樹脂と前記二色性染料との溶解度パラメーター差は、約7.4未満であることを特徴とする偏光フィルムを提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
式中、
Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C15のアリーレン基であり、
は、置換若しくは非置換のC1〜C30の脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、置換若しくは非置換のC1〜C30のヘテロ脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC1〜C30のヘテロ芳香族有機基またはこれらの組み合わせであり、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30の脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、置換若しくは非置換のC1〜C30のヘテロ脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC1〜C30のヘテロ芳香族有機基、置換若しくは非置換のアミノ基またはこれらの組み合わせであり、
nおよびmは、それぞれ独立して、0または1である。
【0011】
前記Rは、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C30のケトン基、置換若しくは非置換のC1〜C30のオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のC2〜C20のアルケニル基、置換若しくは非置換のC2〜C30のアルキニル基またはこれらの組み合わせであってもよく、Rは、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C20のアリール基、C1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、−NRまたはこれらの組み合わせであり、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成してもよい。
【0012】
nおよびmがそれぞれ1であるとき、Rは、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C30のケトン基、置換若しくは非置換のC1〜C30のオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のC2〜C20のアルケニル基、置換若しくは非置換のC2〜C30のアルキニル基またはこれらの組み合わせであってもよく、前記Rは、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C20のアリール基、−NRまたはこれらの組み合わせであってもよく、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成してもよい。
【0013】
nおよびmがそれぞれ0であるとき、Rは、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C30のケトン基、置換若しくは非置換のC1〜C30のオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のC2〜C20のアルケニル基、置換若しくは非置換のC2〜C30のアルキニル基またはこれらの組み合わせであってもよく、Rは、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、−NRまたはこれらの組み合わせであってもよく、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成してもよい。
【0014】
nは1であり、且つ、mは0であるとき、Rは、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C30のケトン基、置換若しくは非置換のC1〜C30のオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のC2〜C20のアルケニル基、置換若しくは非置換のC2〜C30のアルキニル基またはこれらの組み合わせであってもよく、Rは、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C30のアリール基、−NRまたはこれらの組み合わせであってもよく、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成してもよい。
【0015】
前記Rは、置換若しくは非置換のC6〜C30のアリール基を含んでいてもよい。
【0016】
前記Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のフェニレン基、置換若しくは非置換のナフタレン基、置換若しくは非置換のビフェニレン基を含んでいてもよい。
【0017】
前記置換されたフェニレン基、前記置換されたナフタレン基および前記置換されたビフェニレン基は、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、ハロゲン基、ハロゲン含有基またはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0018】
前記ポリオレフィン樹脂の溶解度パラメーターは、約15〜18であってもよく、前記二色性染料の溶解度パラメーターは、24未満であってもよい。
【0019】
前記二色性染料の分解温度は、約245℃以上であってもよい。
【0020】
前記ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、これらの共重合体またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0021】
前記ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)との混合物であってもよく、前記ポリエチレンとポリプロピレンの共重合体(PE−PP)は、エチレンの含量が1〜50重量%であってもよい。
【0022】
前記ポリオレフィン樹脂は、約1g/10min〜約15g/10minのメルトフローレート(MFI)を有していてもよい。
【0023】
前記二色性染料は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して約0.01〜約5重量部で含まれていてもよい。
【0024】
前記二色性染料は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して約0.05〜約1重量部で含まれていてもよい。
【0025】
前記偏光フィルムは、約380nm〜約780nmの可視光波長領域における二色比が約3〜約10であってもよい。
【0026】
前記偏光フィルムは、前記ポリオレフィン樹脂と前記二色性染料との溶融混合物であってもよい。
【0027】
前記二色性染料は、前記ポリオレフィン樹脂に分散されていてもよく、前記ポリオレフィン樹脂は、約400〜約1000%で一軸延伸されていてもよい。
【0028】
本発明の他の態様によれば、前記偏光フィルムを備える表示装置を提供する。
【0029】
本発明のさらに他の態様によれば、ポリオレフィン樹脂と、上記の一般式1で表わされる二色性染料と、を含み、前記ポリオレフィン樹脂と前記二色性染料との溶解度パラメーター差は約7.4未満であることを特徴とする偏光フィルム用の組成物を提供する。
【0030】
前記ポリオレフィン樹脂は、約300℃以下の溶融点(Tm)を有していてもよい。
【0031】
前記ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)との混合物であってもよい。
【0032】
前記ポリオレフィン樹脂は、約1g/10min〜約15g/10minのメルトフローレート(MFI)を有していてもよい。
【0033】
前記ポリプロピレン(PP)は、約0.1g/10min〜約5g/10minのメルトフローレート(MFI)を有していてもよく、前記ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、約5g/10min〜約15g/10minのメルトフローレート(MFI)を有していてもよい。
【0034】
前記ポリオレフィン樹脂は、前記ポリプロピレン及び前記ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体を約1:9〜約9:1の重量比で含んでいてもよい。
【0035】
前記偏光フィルム用の組成物は、固形分が約90重量%以上であってもよい。
【0036】
前記偏光フィルム用の組成物は、溶媒を含んでいなくてもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ポリオレフィン樹脂と二色性染料の組み合わせによって相溶性および分散性を高めることによって偏光特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一態様に係る偏光フィルムを示す概略図である。
図2】本発明の一態様に係る液晶表示装置を示す断面図である。
図3】本発明の一態様に係る有機発光表示装置を示す断面図である。
図4】本発明の実施例1〜5による偏光フィルムの可視光線領域における異色比を示すグラフである。
図5】本発明の実施例6による偏光フィルムの可視光線領域における異色比を示すグラフである。
図6】本発明の実施例7〜9による偏光フィルムの可視光線領域における異色比を示すグラフである。
図7】本発明の比較例1〜4による偏光フィルムの可視光線領域における異色比を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の好適な一態様に係る偏光フィルムおよび表示装置について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施可能なように詳述する。しかしながら、本発明は種々の異なる態様にて実現可能であり、ここで説明する態様に何ら限定されない。
【0040】
本明細書において、特に断りのない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、C1〜C20のアルコキシ基、シアノ基、アミノ基、C1〜C20のエステル基、C1〜C20のアルキル基、C6〜C20のアリール基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20のアルキニル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれた置換基で置換されたことを意味する。
【0041】
以下、本発明の一態様に係る偏光フィルムについて説明する。
【0042】
図1は、本発明の一態様に係る偏光フィルムを示す概略図である。
【0043】
図1を参照すると、本発明の一態様に係る偏光フィルム70は、ポリオレフィン樹脂71と二色性染料72を含む。
【0044】
ポリオレフィン樹脂71は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンとポリプロピレンとの共重合体(PE−PP)から選ばれた少なくとも2種の混合物である。
【0045】
ポリオレフィン樹脂71は、例えば、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)の混合物である。
【0046】
ポリプロピレン(PP)は、例えば、約0.1g/10min〜約5g/10minのメルトフローレート(melt flow index;MFI)を有していてもよい。ここで、メルトフローレート(MFI)は、10分当たりに溶融状態の高分子が流下する量を示すものであり、溶融状態の高分子の粘度と関連がある。すなわち、メルトフローレート(MFI)が小さいほど高分子の粘度が高く、メルトフローレート(MFI)が大きいほど高分子の粘度が低いことが分かる。ポリプロピレンのメルトフローレート(MFI)が前記範囲内である場合に、加工性を効率よく改善することができ、最終製品の物性を効率よく向上させることができる。具体的には、ポリプロピレンは、約0.5g/10min〜約5g/10minのメルトフローレート(MFI)を有する。
【0047】
ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、共重合体の総含量に対して約1重量%〜約50重量%のエチレン基を含んでいてもよい。ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)におけるエチレン基の含量が前記範囲内である場合に、ポリプロピレンとポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)との相分離を効率よく防止または緩和することができる。なお、優れた透光度および配向度を有しながらも、伸び率を高めることができて改善された偏光特性を実現することができる。具体的には、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、共重合体の総含量に対して約1重量%〜約25重量%のエチレン基を含む。
【0048】
ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、約5g/10min〜約15g/10minのメルトフローレート(MFI)を有していてもよい。ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)のメルトフローレート(MFI)が前記範囲内である場合に、加工性を効率よく改善することができ、最終製品の物性を効率よく向上させることができる。具体的には、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、約10g/10min〜約15g/10minのメルトフローレート(MFI)を有する。
【0049】
ポリオレフィン樹脂71は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)を約1:9〜約9:1の重量比で含んでいてもよい。ポリプロピレン(PP)とポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)が前記範囲内で含まれる場合に、優れた機械的な強度を有しながらも、ポリプロピレンの結晶化を防いでヘイズ特性を効率よく改善することができる。具体的には、ポリオレフィン樹脂71は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)を約4:6〜約6:4の重量比、さらに具体的には、約5:5で含む。
【0050】
ポリオレフィン樹脂71は、約1g/10min〜約15g/10minのメルトフローレート(MFI)を有していてもよい。ポリオレフィン樹脂71のメルトフローレート(MFI)が前記範囲内である場合に、樹脂内に過度な結晶が形成されないことから、優れた透光度を確保することができると共に、フィルムとしての製造に適した粘度を有することができて加工性を改善することができる。具体的には、ポリオレフィン樹脂71は、約5g/10min〜約15g/10minのメルトフローレート(MFI)を有する。
【0051】
ポリオレフィン樹脂71は、約5%以下のヘイズを有していてもよい。ポリオレフィン樹脂71が前記範囲のヘイズを有することにより、透過度が増大して優れた光学特性を有することができる。具体的には、ポリオレフィン樹脂71は、約2%以下のヘイズを有していてもよく、さらに具体的には、約0.5%〜約2%のヘイズを有する。
【0052】
ポリオレフィン樹脂71は、約50%以下の結晶化度を有していてもよい。ポリオレフィン樹脂71が前記範囲の結晶化度を有することにより、ヘイズを低めることができて優れた光学特性を達成することができる。具体的には、ポリオレフィン樹脂71は、約30%〜約50%の結晶化度を有する。
【0053】
ポリオレフィン樹脂71は類似の物理的光学的特性を有する他の樹脂に代替されることができる。例えば、ポリオレフィン樹脂71は融点が約130℃以上であり結晶化度が50%以下である透明樹脂に代替されながら、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチルレンテレフタルレートグリコール(PETG)およびポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル樹脂に代替されることができる。
【0054】
ポリオレフィン樹脂71は、一軸方向に延伸されている。一軸方向は、二色性染料72の長手方向と同じであってもよい。
【0055】
二色性染料72はポリオレフィン樹脂71に分散されており、ポリオレフィン樹脂71の延伸方向に沿って一方向に配列されている。二色性染料72は、所定の波長領域に対して二つの偏光直交成分のうちの一つの偏光直交成分のみを透過させることができる。
【0056】
二色性染料72は、ポリオレフィン樹脂71との溶解度パラメーター(solubility parameter)差が約7.4未満の化合物から選ばれ得る。溶解度パラメーターは、2種類以上の化合物間の相互作用(interaction)の度合いを示す数値であって、化合物間の溶解度パラメーター差が少ないほど相互作用が大きいことを意味し、化合物間の溶解度パラメーター差が大きいほど相互作用が少ないことを意味する。
【0057】
溶解度パラメーターは、化合物の構造と関連しており、本態様においては、ポリオレフィン樹脂71との溶解度パラメーター差が約7.4未満の二色性染料72が選ばれ得る。上記の範囲の溶解度パラメーター差を有することによって偏光フィルムの加工時にポリオレフィン樹脂71と二色性染料72との相互作用を高めて溶融混合性を高めることができ、これにより、ポリオレフィン樹脂71内で二色性染料同士が固まることを防止し、ポリオレフィン樹脂71内で二色性染料72が均一に分散することができる。
【0058】
ポリオレフィン樹脂71と二色性染料72の溶解度パラメーター差は前記範囲内で約7.0以下であり得、中でも、約6.7以下であり得る。
【0059】
ポリオレフィン樹脂71の溶解度パラメーターは、例えば、約15〜18であり得る。
【0060】
ポリオレフィン樹脂71の溶解度パラメーターが前記範囲であるとき、二色性染料72は溶解度パラメーターが、例えば、24未満の化合物から選ばれ得る。
【0061】
このような二色性染料72としては、例えば、下記の一般式1で表わされる化合物を含む。
【0062】
【化2】
【0063】
式中、
Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C15のアリーレン基であり、
は、置換若しくは非置換のC1〜C30の脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、置換若しくは非置換のC1〜C30のヘテロ脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC1〜C30のヘテロ芳香族有機基またはこれらの組み合わせであり、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30の脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、置換若しくは非置換のC1〜C30のヘテロ脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC1〜C30のヘテロ芳香族有機基、置換若しくは非置換のアミノ基またはこれらの組み合わせであり、
nおよびmは、それぞれ独立して、0または1である。
【0064】
式中、Ar〜Arは、例えば、置換若しくは非置換のフェニレン基、置換若しくは非置換のナフタレン基、置換若しくは非置換のビフェニレン基を含む。このとき、置換されたフェニレン基、置換されたナフタレン基および置換されたビフェニレン基は、例えば、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、ハロゲン基、ハロゲン含有基またはこれらの組み合わせで置換される。
【0065】
式中、Rは、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C30のケトン基、置換若しくは非置換のC1〜C30のオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のC2〜C20のアルケニル基、置換若しくは非置換のC2〜C30のアルキニル基またはこれらの組み合わせであってもよく、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C20のアリール基、C1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、−NRまたはこれらの組み合わせであり、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成していてもよい。
【0066】
例えば、一般式1において、nおよびmがそれぞれ1であるとき、
は、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C30のケトン基、置換若しくは非置換のC1〜C30のオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のC2〜C20のアルケニル基、置換若しくは非置換のC2〜C30のアルキニル基またはこれらの組み合わせであってもよく、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C20のアリール基、−NRまたはこれらの組み合わせであってもよく、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成していてもよい。
【0067】
一例として、Rは、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、または、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基であってもよく、Rは、−NRであってもよく、ここで、RとRは、互いに連結されて環を形成していてもよい。
【0068】
一例として、Rは、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、または、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基であってもよく、Rは、−NRであってもよく、ここで、RとRは、互いに連結されて環を形成していてもよく、Ar〜Arのうちの少なくとも1つは、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、ハロゲン基、ハロゲン含有基またはこれらの組み合わせで置換されたフェニレン基、ナフタレン基またはビフェニレン基であってもよい。
【0069】
一例として、Rは、置換若しくは非置換のC5〜C20のアルコキシ基、または、置換若しくは非置換のC5〜C20のチオアルキル基であってもよく、Rは、−NRであってもよく、ここで、RとRは、互いに連結されて環を形成していてもよい。
【0070】
下記表1は、nおよびmがそれぞれ1である二色性染料の例を示す。
【0071】
【表1A】
【表1B】
【0072】
例えば、一般式1において、nおよびmがそれぞれ0であるとき、
は、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C30のケトン基、置換若しくは非置換のC1〜C30のオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のC2〜C20のアルケニル基、置換若しくは非置換のC2〜C30のアルキニル基またはこれらの組み合わせであってもよく、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、−NRまたはこれらの組み合わせであってもよく、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成していてもよい。
【0073】
は、例えば、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、または、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基であってもよく、Rは、例えば、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基または−NRであってもよく、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または互いに連結されて環を形成していてもよい。
【0074】
下記表2は、nおよびmがそれぞれ0である二色性染料の例を示す。
【0075】
【表2】
【0076】
例えば、前記一般式1において、nは1であり、且つ、mは0であるとき、
は、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、置換若しくは非置換のC1〜C30のケトン基、置換若しくは非置換のC1〜C30のオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のC2〜C20のアルケニル基、置換若しくは非置換のC2〜C30のアルキニル基またはこれらの組み合わせであってもよく、
は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基、置換若しくは非置換のC6〜C30のアリール基、−NRまたはこれらの組み合わせであってもよく、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成していてもよい。
【0077】
は、置換若しくは非置換のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは非置換のC1〜C20のチオアルキル基、または、置換若しくは非置換のC1〜C30のアルキル基であってもよく、Rは、例えば、水素、置換若しくは非置換のC6〜C30のアリール基、−NR、またはこれらの組み合わせであってもよく、ここで、RとRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C10のアルキル基であるか、または、互いに連結されて環を形成していてもよい。
【0078】
下記表3は、nが1であり、且つ、mが0である二色性染料の例を示す。
【0079】
【表3】
【0080】
二色性染料72の分解温度は、約245℃以上であってもよい。ここで、分解温度とは、二色性染料72の重量が初期重量に比べて5%減少する個所における温度のことをいう。
【0081】
二色性染料72は、ポリオレフィン樹脂71 100重量部に対して約0.01〜5重量部で含まれていてもよい。前記範囲で含まれることにより、偏光フィルムの透過度を低下させないままで、十分な偏光特性を示すことができる。前記範囲内において、ポリオレフィン樹脂71 100重量部に対して約0.05〜1重量部で含まれていてもよい。
【0082】
偏光フィルム70は、約380nm〜780nmの可視光波長領域における二色比(dichroic ratio)が3〜10であってもよい。ここで、二色比は、高分子の軸に垂直な方向の平面偏光吸収をその水平な方向への偏光吸収で割った値であり、下記の数式1により求められる。
【0083】
[数式1]
DR=Log(1/T)/Log(1/T
【0084】
式中、
DRは、偏光フィルムの二色比であり、
は、偏光フィルムの透過軸に平行に入射した光に対する偏光フィルムの透光度であり、
は、偏光フィルムの透過軸に垂直に入射した光に対する偏光フィルムの透光度である。
【0085】
二色比は、偏光フィルム70内において二色性染料72が一方向に並んでいる度合いを示し、可視光波長領域において前記範囲の二色比を有することにより、高分子鎖の配向により二色性染料72の配向を導くことができて、偏光特性を改善することができる。
【0086】
偏光フィルム70は、約30%以上の透光度を有していてもよく、前記範囲内において約30%〜95%の透光度を有していてもよい。前記範囲の透光度を有することにより、表示装置の一方の面に適用したときに、表示装置からの光の出射が妨げられなくなる。
【0087】
偏光フィルム70は、ポリオレフィン樹脂71と二色性染料72との溶融混合物であってもよい。溶融混合物は、ポリオレフィン樹脂71と二色性染料72を含む偏光フィルム用の組成物をポリオレフィン樹脂71の融点(melting point;Tm)以上の温度において溶融混合して得られる。
【0088】
偏光フィルム用の組成物は、上述したポリオレフィン樹脂71と二色性染料72を含んでいてもよく、ポリオレフィン樹脂71と二色性染料72は、それぞれ粉末などの固体状であってもよい。偏光フィルム用の組成物は、例えば、固形分が約90重量%以上であってもよく、例えば、溶媒を含んでいなくてもよい。
【0089】
偏光フィルム70は、偏光フィルム用の組成物を溶融混合し、且つ延伸して製造することができる。
【0090】
さらに具体的に、偏光フィルム70は、例えば、高分子樹脂と二色性染料を含む偏光フィルム用の組成物を溶融混合するステップと、溶融混合物をモールドに入れて押し付けてシートを製造するステップと、シートを一軸延伸するステップと、を含む方法により製造することができる。
【0091】
溶融混合するステップは、上述した偏光フィルム用の組成物を、例えば、約300℃以下、具体的に、約50〜300℃において行うことができる。
【0092】
シートを製造するステップは、モールドに溶融混合物を入れ、高圧プレス機により押し付けたり、Tダイを用いてチルロールに吐き出して行ってもよい。
【0093】
一軸延伸するステップにおいては、約30〜200℃の温度において約400%〜約1000%の伸び率で延伸してもよい。ここで、伸び率とは、シートの延伸前の長さと延伸後の長さとの割合のことをいい、一軸延伸後にシートが伸びる度合いを意味する。
【0094】
偏光フィルム70は、約100μm以下の比較的に薄い厚さを有していてもよく、例えば、約30μm〜約95μmの厚さを有する。前記範囲の厚さを有することにより、トリアセチルセルロース(TAC)などの保護層が求められる偏光板と比較して厚さを減らすことができ、これにより、薄型表示装置を実現することができる。
【0095】
偏光フィルムは、様々な表示装置に適用可能である。
【0096】
表示装置は、液晶表示装置であってもよい。
【0097】
図2は、本発明の一態様に係る液晶表示装置を示す断面図である。
【0098】
図2を参照すると、液晶表示装置は、液晶表示パネル10および液晶表示パネル10の下部および上部に配設される偏光フィルム20を備える。
【0099】
液晶表示パネル10は、ねじれネマチック(Twisted Nematic;TN)モード、垂直配向(patterned vertical alignment;PVA)モード、平面内スイッチング(in plane switching;IPS)モード、光学補償ベンド(optically compensated bend;OCB)モードなどであってもよい。
【0100】
液晶表示パネル10は、第1表示板100と、第2表示板200と、第1表示板100と第2表示板200との間に介装されている液晶層300と、を備える。
【0101】
第1表示板100は、例えば、基板(図示せず)の上に形成されている薄膜トランジスター(図示せず)およびここに接続されている第1電場生成電極(図示せず)を備えていてもよく、第2表示板200は、例えば、基板(図示せず)の上に形成されているカラーフィルター(図示せず)および第2電場生成電極(図示せず)を備えていてもよい。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、カラーフィルターが第1表示板100に内蔵されていてもよく、第1電場生成電極及び第2電場生成電極が第1表示板100に並設されていてもよい。
【0102】
液晶層300は、複数の液晶分子を含んでいてもよい。液晶分子は、正または負の誘電率異方性を有していてもよい。液晶分子が正の誘電率異方性を有する場合に、電場のない状態でその長軸が第1表示板100および第2表示板200の表面に対してほとんど平行をなすように配向され、電場が印加された状態でその長軸が第1表示板100および第2表示板200の表面に対してほとんど垂直をなすように配向されてもよい。これとは逆に、液晶分子が負の誘電率異方性を有する場合に、電場のない状態でその長軸が第1表示板100および第2表示板200の表面に対してほとんど垂直に配向され、電場が印加された状態でその長軸が第1表示板100および第2表示板200の表面に対してほとんど平行に配向されてもよい。
【0103】
偏光フィルム20は、液晶表示パネル10の外側に配設され、図面には、液晶表示パネル10の下部および上部にそれぞれ形成されていると示されているが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、液晶表示パネル10の下部および上部のうちのいずれか一方にのみ形成されてもよい。
【0104】
偏光フィルム20は、上述したように、ポリオレフィン樹脂および前記ポリオレフィン樹脂と所定の範囲の溶解度パラメーター差を有する二色性染料を含み、その詳細については、上述した通りである。
【0105】
表示装置は、有機発光表示装置であってもよい。
【0106】
図3は、本発明の一態様に係る有機発光表示装置を示す断面図である。
【0107】
図3を参照すると、本発明の一態様に係る有機発光表示装置は、ベース基板410と、下部電極420と、有機発光層430と、上部電極440と、封止基板450と、位相差フィルム460および偏光フィルム470を備える。
【0108】
図3を参照すると、本発明の一態様に係る有機発光表示装置は、ベース基板410と、下部電極420と、有機発光層430と、上部電極440と、封止基板450と、位相差フィルム460および偏光フィルム470を備える。
【0109】
ベース基板410は、ガラスまたはプラスチックから作製可能である。
【0110】
下部電極420および上部電極440のうちの一つはアノードであり、もう一つはカソードである。アノードは、正孔が注入される電極であって、仕事関数が高く、発光光が外部に出射可能なように透明導電物質から作製されてもよく、例えば、ITOまたはIZOである。カソードは、電子が注入される電極であって、仕事関数が低く、有機物質に影響を及ぼさない導電物質から作製されてもよく、例えば、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)から選ばれ得る。
【0111】
有機発光層430は、下部電極420と上部電極440に電圧が印加されたときに発光する有機物質を含む。
【0112】
下部電極420と有機発光層430との間および上部電極440と有機発光層430との間には補助層(図示せず)がさらに配設されていてもよい。補助層は、電子と正孔とのバランスを取るための正孔伝達層と、正孔注入層と、電子注入層および電子伝達層を備えていてもよい。
【0113】
封止基板450は、ガラス、金属または高分子から作製されてもよく、下部電極420と、有機発光層430および上部電極440を封止して外部から水分および/または酸素が流入することを防ぐことができる。
【0114】
位相差フィルム460は、偏光フィルム470を通過した光を円偏光させて位相差を発生することができ、光の反射、吸収に影響を及ぼすことがある。位相差フィルム460は、場合によって省略可能である。
【0115】
偏光フィルム470は、光出射側に配設されてもよい。例えば、ベース基板410側に光が出射される背面発光(bottom emission)構造である場合にベース基板410の外側に配設されてもよく、封止基板450側に光が出射される前面発光(top emission)構造である場合に封止基板450の外側に配設されてもよい。
【0116】
偏光フィルム470は、上述したように、ポリオレフィン樹脂およびポリオレフィン樹脂と所定の範囲の溶解度パラメーター差を有する二色性染料を含み、外光を吸収する吸光層として働いて外光の反射によって表示特性に不良になることを防ぐことができる。
【0117】
以下、実施例を挙げて上述した本発明の態様について詳述する。但し、下記の実施例は単に説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0118】
(溶解度パラメーターの計算)
二色性染料とポリオレフィン樹脂との間の相溶性を計算するために、ヒルデブラント溶解度パラメーターを用いた。
【0119】
分子間の凝集は、分子の間にファンデルワールス(van der Waals)および双極子モーメント(dipole moments)などの結合力が複合的に働いて起こるが、このような凝集の原因となるエネルギーを凝集エネルギー(cohesive energy;Ecoh)と定義した。このような凝集エネルギーは、1モル当たりの内部エネルギーの変化であり、下記の関係式1で表わされ得る。
【0120】
[関係式1]
coh=ΔU=ΔH−ΔT
【0121】
式中、Ecohは凝集エネルギーであり、ΔUは1モル当たりの内部エネルギーの変化量であり、ΔHは、エンタルピーの変化量であり、ΔTは、温度の変化量である。
【0122】
また、単位体積当たりの凝集エネルギーは、凝集エネルギー密度(CED)と定義可能であり、凝集エネルギー密度(CED)は、下記の関係式2で表わされ得る。
【0123】
[関係式2]
CED=(ΔH−RT)/Vm
【0124】
式中、CEDは、凝集エネルギー密度であり、ΔHは、エンタルピーの変化量であり、Rは、定数であり、Tは、温度であり、Vmは、モル体積である。
【0125】
凝集エネルギー密度は、ヒルデブラントによって溶解能を数値的に表現可能な溶解度パラメーターを定義するのに用いられ、溶解度パラメーターは、特定の温度において密度やモル体積を用いれば、下記の関係式3によって計算され得る。
【0126】
[関係式3]
δ=(CED)0.5=(ΣEcoh/ΣVm0.5
【0127】
式中、δは、溶解度パラメーターであり、CEDは、凝集エネルギー密度であり、Ecohは、分子内の官能基iに対する凝集エネルギーであり、Vmは、モル体積である。
【0128】
二色性染料の構造の設計時に用いられたヒルデブラント溶解度パラメーター値は、分子の基の寄与を用いて計算することができる。
【0129】
二色性染料の溶解度パラメーターを計算するのに用いられる凝集エネルギー(Ecoh)とモル体積(Vm)の基の寄与を、表4に示す(参考文献:Polym. Eng. Sci. 1974, 14, 147.; J. Appl. Polym. Sci. 2005, 96, 416.)。
【0130】
【表4A】
【表4B】
【0131】
例えば、下記の一般式1aで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、下記表5に示す凝集エネルギー(Ecoh)およびモル体積(Vm)と関係式3を用いて計算することができる。
【0132】
【化3】
【0133】
【表5】
【0134】
一般式1aで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、21.9であった。
【0135】
(二色性染料の合成)
合成例1
1−1.モノアゾ化合物の合成
4−(4−ニトロフェニルアゾ)フェノール(4-(4-nitrophenylazo)phenol)(日本国の東京化成工業株式会社製)10g(41.1mmol)をアセトン200mLに溶かした後、ここに1−ブロモオクタン(1-bromooctane)8.5mL(48.9mmol)と炭酸カリウム(KCO)11.4g(82.5mmol)を入れた。次いで、反応混合物を60℃において24時間還流攪拌した後、室温まで降温した。次いで、反応混合物を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(silica gel column chromatography)(CHCl:n‐ヘキサン=2:1)で精製して4−ニトロ化合物(4-nitro)12.3g(34.6mmol)を得た。このとき、歩留まりは、84%であった。精製された4−ニトロ化合物5.7g(16.0mmol)を熱いエタノール150mLに溶かした後、ここに熱いエタノールと水に溶かしたNaS・9HO11.5g(47.9mmol)を入れた。次いで、反応混合物を80℃において5時間攪拌した後、室温まで降温した。次いで、析出された結晶をろ過し、水で複数回洗浄した後に乾燥して、4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼン(4-amino-4’-octyloxyazobenzene)4.3g(13.2mmol)を得た。このとき、歩留まりは、82%であった。
【0136】
4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼンの構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0137】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0138】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 3 H, CH3), 1.26 - 1.34 (m, 8 H, CH2 X 4), 1.45 - 1.49 (m, 2 H, CH2), 1.57 - 1.83 (m, 2 H, CH2), 3.98 (br s, 2H, NH2), 4.02 (t, J = 6.6 Hz, 2H, OCH2), 6.74 (d, J = 8.9 Hz, 2H, ArH), 6.97 (d, J = 8.9 Hz, 2H, ArH), 7.76 (d, J = 8.9 Hz, 2H, ArH), 7.82 (d, J = 8.9 Hz, 2H, ArH).
【0139】
1−2.ビスアゾ化合物の合成
上記において得られた4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼン2g(6.15mmol)をジメチルアセトアミド(dimethylacetamide;DMAc)120mLと酢酸(acetic acid;AcOH)30mLに溶かした後、ここに12N HCl3mLを添加し、0℃に保持した。次いで、硝酸ナトリウム(NaNO)446mg(6.46mmol)を水2mLに溶かした後、反応混合物に徐々に滴加した。滴加が終わると、反応物を0℃に保持しながら1時間攪拌した。次いで、メタノール150mLにm−トルイジン(m-toluidine)6.15mmolを溶かした後、反応混合物に徐々に滴加し、0℃において1時間攪拌した。次いで、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で中和を行って反応を終えた後、析出された固体をろ過した。混合物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製してビスアゾ(bisazo)化合物を得た。このとき、歩留まりは、60〜80%であった。
【0140】
1−3.トリアゾ化合物の合成
上記において得られたビスアゾ化合物1mmolをジメチルアセトアミド(DMAc)20mLと酢酸(AcOH)5mLに溶かした後、12N HCl(0.5mL)を添加し、0℃に保持した。次いで、硝酸ナトリウム(NaNO)72mg(1.04mmol)を水1mLに溶かした後、反応混合物に徐々に滴加した。滴加が終わると、反応物を0℃に保持しながら1時間攪拌した。次いで、メタノール25mLに2−ピペリジノチオフェン(2-piperidinothiophene)167mg(1mmol)を溶かした後、反応混合物に徐々に滴加し、0℃において約1時間攪拌した。次いで、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で中和を行って反応を終えた後、析出された固体をろ過した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン:EtOAc=3:1)で精製して下記の一般式1aで表わされるトリアゾ二色性染料398mg(0.64mmol)を得た。このとき、歩留まりは、64%であった。
【0141】
【化4】
【0142】
上記の一般式1aで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0143】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0144】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ(ppm): 0.90 (t, J = 6.6 Hz, 3 H, CH3), 1.25 - 1.33 (m, 8 H, CH2 X 4), 1.45 - 1.48 (m, 2 H, CH2), 1.70 - 1.88 (m, 8 H, CH2 X 4), 2.80 (s, 3 H, CH3), 3.44 - 3.46 (m, 4 H, NCH2 X 2), 4.05 (t, J = 6.5 Hz, 2 H, OCH2), 6.20 (d, J = 4.5 Hz, 1 H, ArH), 7.02 (d, J = 8.9 Hz, 2 H, ArH), 7.58 - 8.07 (m, 10 H, ArH).
【0145】
上記の一般式1aで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、21.9であった。
【0146】
合成例2
m−トルイジンの代わりに、3−クロロアニリン(3-chloroaniline)を用いた以外は、合成例1の方法と同様にして下記の一般式1bで表わされる二色性染料456mg(0.71mmol)を得た。このとき、歩留まりは、71%であった。
【0147】
【化5】
【0148】
上記の一般式1bで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0149】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0150】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.90 (t, J = 6.7 Hz, 3 H, CH3), 1.25 - 1.38 (m, 8 H, CH2 X 4), 1.45 - 1.49 (m, 2 H, CH2), 1.71 - 1.86 (m, 8 H, CH2 X 4), 3.46 - 3.50 (m, 4 H, NCH2 X 2), 4.06 (t, J = 6.4 Hz, 2 H, OCH2), 6.24 (d, J = 4.8 Hz, 1 H, ArH), 7.02 (d, J = 9.0 Hz, 2 H, ArH), 7.61 - 8.12 (m, 10 H, ArH).
【0151】
上記の一般式1bで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、22.5であった。
【0152】
合成例3
4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼンの代わりに、4−アミノ−2−クロロ−4’−オクチルオキシアゾベンゼン(4-amino-2-chloro-4’-octyloxyazobenzene)を用い、m−トルイジンの代わりに、3−クロロアニリン(3-chloroaniline)を用いた以外は、合成例1の方法と同様にして下記の一般式1cで表わされる二色性染料 450mg(0.7mmol)を得た。このとき、歩留まりは、70%であった。
【0153】
【化6】
【0154】
上記の一般式1cで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0155】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0156】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.90 (t, J = 6.7 Hz, 3 H, CH3), 1.25 - 1.36 (m, 8 H, CH2 X 4), 1.45 - 1.50 (m, 2 H, CH2), 1.71 - 1.85 (m, 8 H, CH2 X 4), 3.43 - 3.47 (m, 4 H, NCH2 X 2), 4.06 (t, J = 6.6 Hz, 2 H, OCH2), 6.21 (d, J = 4.7 Hz, 1 H, ArH), 7.02 (d, J = 9.0 Hz, 2 H, ArH), 7.59 - 8.11 (m, 10 H, ArH).
【0157】
上記の一般式1cで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、22.5であった。
【0158】
合成例4
m−トルイジンの代わりに、o−トルイジン(o-toluidine)を用いた以外は、合成例1の方法と同様にして、下記の一般式1dで表わされる二色性染料466mg(0.75mmol)を得た。このとき、歩留まりは、75%であった。
【0159】
【化7】
【0160】
上記の一般式1dで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0161】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0162】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.90 (t, J = 6.6 Hz, 3 H, CH3), 1.22 - 1.36 (m, 8 H, CH2 X 4), 1.45 - 1.50 (m, 2 H, CH2), 1.71 - 1.86 (m, 8 H, CH2 X 4), 2.67 (s, 3 H, CH3), 3.42 - 3.45 (m, 4 H, NCH2 X 2), 4.05 (t, J = 6.5 Hz, 2 H, OCH2), 6.18 (d, J = 4.7 Hz, 1 H, ArH), 7.02 (d, J = 8.9 Hz, 2 H, ArH), 7.56 - 8.07 (m, 10 H, ArH).
【0163】
上記の一般式1dで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、21.9であった。
【0164】
合成例5
4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼンの代わりに、4−アミノ−4’−ブチルオキシアゾベンゼン(4-amino-4’-butyloxyazobenzene)を用いた以外は、合成例1の方法と同様にして下記の一般式1eで表わされる二色性染料357g(0.63mmol)を得た。このとき、歩留まりは、63%であった。
【0165】
【化8】
【0166】
上記の一般式1eで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0167】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0168】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 1.00 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3), 1.47 - 1.59 (m, 2 H, CH2), 1.70 - 1.86 (m, 8 H, CH2 X 4), 2.80 (s, 3 H, CH3), 3.43 - 3.46 (m, 4 H, NCH2 X 2), 4.06 (t, J = 6.4 Hz, 2 H, OCH2), 6.19 (d, J = 4.3 Hz, 1 H, ArH), 7.02 (d, J = 8.5 Hz, 2 H, ArH), 7.57 - 8.07 (m, 10 H, ArH).
【0169】
上記の一般式1eで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、22.6であった。
【0170】
合成例6
m−トルイジンの代わりに、1−ナフチルアミン(1-naphthylamine)を用いた以外は、合成例1の方法と同様にして下記の一般式1fで表わされる二色性染料494mg(0.75mmol)を得た。このとき、歩留まりは、75%であった。
【0171】
【化9】
【0172】
上記の一般式1fで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0173】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0174】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 3 H, CH3), 1.22 - 1.36 (m, 8 H, CH2 X 4), 1.45 - 1.50 (m, 2 H, CH2), 1.73 - 1.85 (m, 8 H, CH2 X 4), 3.48 - 3.52 (m, 4 H, NCH2 X 2), 4.06 (t, J = 6.6 Hz, 2 H, OCH2), 6.24 (d, J = 4.7 Hz, 1 H, ArH), 7.02 (d, J = 9.0 Hz, 2 H, ArH), 7.63 - 8.19 (m, 11 H, ArH), 8.93 (d, J = 8.8 Hz, 1 H, ArH), 9.04 (d, J = 8.8 Hz, 1 H, ArH).
【0175】
上記の一般式1fで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、23.3であった。
【0176】
合成例7
4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼンの代わりに、4−アミノ−4’−ブチルアゾベンゼン(4-amino-4’-butylazobenzene)を用い、m−トルイジンの代わりに、フェノールを水酸化ナトリウム水溶液と併用した後、プロピルブロミドを用いた以外は、合成例1の方法と同様にして下記の一般式1gで表わされる二色性染料を得た。
【0177】
【化10】
【0178】
上記の一般式1gで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0179】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0180】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.95 (t, J = 7.3 Hz, 3 H, CH3), 1.07 (t, J = 7.3 Hz, 3 H, CH3), 1.34 - 1.43 (m, 2 H, CH2), 1.58 - 1.66 (m, 2 H, CH2), 1.82 - 1.89 (m, 2 H, CH2), 2.70 (t, J = 7.7 Hz, 2 H, ArCH2), 4.01 (t, J = 6.6 Hz, 2 H, OCH2), 7.01 (d, J = 9.0 Hz, 2 H, ArH), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 2 H, ArH), 7.86 - 8.02 (m, 8 H, ArH).
【0181】
上記の一般式1gで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、21.4であった。
【0182】
合成例8
4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼンの代わりに、4−アミノ−4’−N,N−ジメチルアゾベンゼン(4-amino-4’-N,N-dimethylazobenzene)を用い、m−トルイジンの代わりに、2−クロロフェノールを水酸化ナトリウム水溶液と併用した後、ヘプチルブロミドを用いた以外は、合成例1の方法と同様にして下記の一般式1hで表わされる二色性染料を得た。
【0183】
【化11】
【0184】
上記の一般式1hで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0185】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0186】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.91 (t, J = 6.6 Hz, 3 H, CH3), 1.31 - 1.39 (m, 6 H, CH2 X 3), 1.47 - 1.52 (m, 2 H, CH2), 1.85 - 1.92 (m, 2 H, CH2), 3.11 (s, 6 H, CH3 X 2), 4.12 (t, J = 6.5 Hz, 2 H, OCH2), 6.77 (d, J = 9.1 Hz, 2 H, ArH), 7.04 (d, J = 8.8 Hz, 1 H, ArH), 7.86 - 8.03 (m, 8 H, ArH).
【0187】
上記の一般式1hで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、21.7であった。
【0188】
合成例9
2−クロロフェノールの代わりに、3−クロロフェノールを用いた以外は、合成例8の方法と同様にして下記の一般式1iで表わされる二色性染料を得た。
【0189】
【化12】
【0190】
上記の一般式1iで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0191】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0192】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.93 (t, J = 7.0 Hz, 3 H, CH3), 1.28 - 1.42 (m, 6 H, CH2 X 3), 1.46 - 1.52 (m, 2 H, CH2), 1.81 - 1.88 (m, 2 H, CH2), 3.14 (s, 6 H, CH3 X 2), 4.05 (t, J = 6.6 Hz, 2 H, OCH2), 6.80 (d, J = 9.2 Hz, 2 H, ArH), 6.89 (dd, J = 9.2, 2.8 Hz, 1 H, ArH), 7.10 (d, J = 2.8 Hz, 1 H, ArH), 7.82 - 8.08 (m, 7 H, ArH).
【0193】
上記の一般式1iで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、21.7であった。
【0194】
比較合成例1
4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼンの代わりに、4−アミノ−4’−ブチルアゾベンゼンを用いた以外は、合成例6の方法と同様にして下記の一般式2aで表わされる二色性染料を得た。
【0195】
【化13】
【0196】
上記の一般式2aで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0197】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0198】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.96 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3), 1.37 - 1.41 (m, 2 H, CH2), 1.61 - 1.76 (m, 8 H, CH2 X 4), 2.71 (t, J = 7.7 Hz, 2 H, ArCH2), 3.48 - 3.52 (m, 4 H, NCH2 X 2), 6.24 (d, J = 4.7 Hz, 1 H, ArH), 7.33 - 8.17 (m, 13 H, ArH), 8.93 (d, J = 8.8 Hz, 1 H, ArH), 9.04 (d, J = 8.8 Hz, 1 H, ArH).
【0199】
上記の一般式2aで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、24.0であった。
【0200】
比較合成例2
4−アミノ−4’−オクチルオキシアゾベンゼンの代わりに、4−アミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン(4-amino-4’-hydroxyazobenzene)を用いた以外は、合成例6の方法と同様にして染料中間体を得た。
【0201】
染料中間体の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0202】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0203】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 1.71 - 1.85 (m, 6 H, CH2 X 2), 3.48 - 3.52 (m, 4 H, NCH2 X 2), 6.24 (d, J = 4.7 Hz, 1 H, ArH), 7.02 (d, J = 9.0 Hz, 2 H, ArH), 7.63 - 8.19 (m, 11 H, ArH), 8.93 (d, J = 8.8 Hz, 1 H, ArH), 9.04 (d, J = 8.8 Hz, 1 H, ArH).
【0204】
前記染料中間体500mg(0.92mmol)をジクロロメタン(CHCl)10mLおよびトリエチルアミン(EtN)1mLに溶かした後、ここに4−ブチルベンゾイルクロリド(4-butylbenzoyl chloride)258mL(1.38mmol)を添加し、24時間攪拌した。次いで、反応混合物を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン:EtOAc=3:1)で精製して下記の一般式2bで表わされる二色性染料545mg(0.77mmol)を得た。このとき、歩留まりは、84%であった。
【0205】
【化14】
【0206】
上記の一般式2bで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0207】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0208】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.96 (t, J = 7.3 Hz, 3 H, CH3), 1.36 - 1.43 (m, 2 H, CH2), 1.61 - 1.69 (m, 2 H, CH2), 1.71 - 1.78 (m, 6 H, CH2 X 3), 2.73 (t, J = 7.7 Hz, 2 H, ArCH2), 3.49 - 3.54 (m, 4 H, NCH2 X 2), 6.26 (d, J = 4.8 Hz, 1 H, ArH), 7.33 - 8.19 (m, 17 H, ArH), 8.94 (d, J = 8.5 Hz, 1 H, ArH), 9.05 (d, J = 8.5 Hz, 1 H, ArH).
【0209】
上記の一般式2bで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、24.4であった。
【0210】
比較合成例3
比較合成例2の染料中間体500mg(0.92mmol)をジクロロメタン(CHCl)10mLおよびトリエチルアミン(EtN)1mLに溶かした後、ここにペンタノイルクロリド(pentanoyl chloride)166mg(1.38mmol)を添加し、24時間攪拌した。次いで、反応混合物を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン:EtOAc=3:1)で精製して下記の一般式2cで表わされる二色性染料492mg(0.78mmol)を得た。このとき、歩留まりは、85%であった。
【0211】
【化15】
【0212】
上記の一般式2cで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0213】
H NMRの分析結果は、下記の通りであった。
【0214】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.99 (t, J = 7.3 Hz, 3 H, CH3), 1.43 - 1.50 (m, 2 H, CH2), 1.73 - 1.84 (m, 8 H, CH2 X 4), 2.61 (t, J = 7.5 Hz, 2 H, CH2CO2), 3.48 - 3.52 (m, 4 H, NCH2 X 2), 6.25 (d, J = 4.7 Hz, 1 H, ArH), 7.33 - 8.19 (m, 13 H, ArH), 8.93 (d, J = 8.3 Hz, 1 H, ArH), 9.05 (d, J = 8.3 Hz, 1 H, ArH).
【0215】
上記の一般式2cで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、24.5であった。
【0216】
比較合成例4
ビスアゾ化合物の代わりに、1−ナフチルレッドヒドロクロリド(1-naphthyl red hydrochloride)を用いた以外は、合成例1の方法と同様にして下記の一般式2dで表わされる二色性染料を得た。
【0217】
【化16】
【0218】
上記の一般式2dで表わされる二色性染料の構造をH NMR(Bruker Co. 300MHz)測定により分析した。
【0219】
H NMRの分析結果は、下記の通りである。
【0220】
1H NMR (300 MHz, acetone-d6) δ (ppm): 1.73 - 1.83 (m, 6 H, CH2 X 3), 3.59 - 3.63 (m, 4 H, NCH2 X 2), 6.53 (d, J = 4.8 Hz, 1 H, ArH), 7.54 - 8.08 (m, 10 H, ArH), 8.92 (d, J = 7.4 Hz, 1 H, ArH), 9.03 (d, J = 7.4 Hz, 1 H, ArH).
【0221】
上記の一般式2dで表わされる二色性染料の溶解度パラメーターは、24.8であった。
【0222】
(偏光フィルムの製造)
実施例1
ポリプロピレン(PP)とポリプロピレン−ポリエチレン共重合体(PP−PE)を5:5(w/w)で含むポリオレフィン樹脂(溶解度パラメーター:16.6)とポリオレフィン樹脂100重量部に対して、合成例1に従い得られた二色性染料0.5重量部を混合して、偏光フィルム用の組成物を準備した。
【0223】
偏光フィルム用の組成物を約230℃においてDSM社製のマイクロコンパウンダーを用いて溶融混合した。次いで、溶融混合物をシート状のモールドに入れた後、高温高圧プレスで押し付けてフィルムを製造した。
【0224】
次いで、115℃においてフィルムを1000%の倍率で一軸延伸(インストロン社製の引張試験機を用いて)して偏光フィルムを製造した。
【0225】
実施例2
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、合成例2に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0226】
実施例3
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、合成例3に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0227】
実施例4
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、合成例4に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0228】
実施例5
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、合成例5に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0229】
実施例6
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、合成例6に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0230】
実施例7
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、合成例7に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0231】
実施例8
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、合成例8に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0232】
実施例9
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、合成例9に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0233】
比較例1
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、比較合成例1に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0234】
比較例2
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、比較合成例2に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0235】
比較例3
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、比較合成例3に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0236】
比較例4
合成例1に従い得られた二色性染料の代わりに、比較合成例4に従い得られた二色性染料を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして偏光フィルムを製造した。
【0237】
(評価1)
実施例1〜9と比較例1〜4による偏光フィルムの可視光領域における透光度、偏光効率および二色比を評価した。
【0238】
透光度は、分光光度計(V−7100 UV/Vis、JASCO社製)を用いて評価した。
【0239】
透光度は、偏光フィルムの透過軸に平行に入射した光に対する偏光フィルムの透光度と、偏光フィルムの透過軸に垂直に入射した光に対する偏光フィルムの透光度をそれぞれUV−VIS分光測光器(JASCO社製、V−7100)を用いて測定した。
【0240】
前記測定した透光度を用いて二色比(dichroic ratio;DR)および偏光効率(polarizing efficiency;PE)を求めた。
【0241】
二色比(DR)は、下記の数式1によって求めた。
【0242】
[数式1]
DR=Log(1/T)/Log(1/T
【0243】
式中、
DRは、二色比であり、
は、偏光フィルムの透過軸に平行に入射した光に対する偏光フィルムの透光度であり、
は、偏光フィルムの透過軸に垂直に入射した光に対する偏光フィルムの透光度である。
【0244】
偏光効率は、下記の数式2により求めた。
【0245】
[数式2]
PE%=[T−T/T+T1/2×100
【0246】
式中、
PEは、偏光効率であり、
は、偏光フィルムの透過軸に平行に入射した光に対する偏光フィルムの透光度であり、
は、偏光フィルムの透過軸に垂直に入射した光に対する偏光フィルムの透光度である。
【0247】
その結果について、図4図7と表6に基づいて説明する。
【0248】
図4は、実施例1〜5による偏光フィルムの可視光領域における二色比を示すグラフであり、図5は、実施例6による偏光フィルムの可視光領域における二色比を示すグラフであり、図6は、実施例7〜9による偏光フィルムの可視光領域における二色比を示すグラフであり、図7は、比較例1〜4による偏光フィルムの可視光領域における二色比を示すグラフである。
【0249】
表6中、実施例1〜9と比較例1〜4による偏光フィルムの透光度、偏光効率および二色比は、偏光フィルムの最大吸収波長(λmax)における値を示す。
【0250】
【表6】
【0251】
図4図7と表1を参照すると、実施例1〜9による偏光フィルムは、比較例1〜4による偏光フィルムと比較して高い透光度、偏光効率および二色比を示すことがわかる。
【0252】
具体的に、実施例1〜9による偏光フィルムは、約30.0%以上の透光度と約90%以上の偏光効率を両立させることを確認することができる。これに対し、比較例1〜4による偏光フィルムは、約30.0%以上の透光度と約90%以上の偏光効率を両立させないだけではなく、二色比が低いことを確認することができる。
【0253】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の欄および添付図面の範囲内において種々に変形して実施することが可能であり、これもまた本発明の範囲に属するということはいうまでもない。
【符号の説明】
【0254】
10 液晶表示パネル
20、70、470 偏光フィルム
71 ポリオレフィン樹脂
72 二色性染料
100 第1表示板
200 液晶層
300 第2表示板
410 ベース基板
420 下部電極
430 有機発光層
440 上部電極
450 封止基板
460 位相差フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7