(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6636145
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】武術トレーニング装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20200120BHJP
【FI】
A63B69/00 513C
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-521041(P2018-521041)
(86)(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公表番号】特表2018-531115(P2018-531115A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(86)【国際出願番号】US2016057751
(87)【国際公開番号】WO2017070238
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年10月17日
(31)【優先権主張番号】62/243,445
(32)【優先日】2015年10月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518136062
【氏名又は名称】モラン、ロバート ジェイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モラン、ロバート ジェイ.
【審査官】
中村 和正
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0057132(US,A1)
【文献】
米国特許第7121986(US,B1)
【文献】
米国特許第6110079(US,A)
【文献】
米国特許第5145133(US,A)
【文献】
米国特許第4171803(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00−69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
武術トレーニング装置であって、
a.第1のマットであって、前記第1のマットを通る開口を有する第1のマットと、
b.第2のマットであって前記第2のマットを通る開口を有する第2のマットと、
c.前記第1のマットと前記第2のマットは各々、反対側の第1と第2の端部を有し、前記第1のマットと前記第2のマットは、前記第1のマットの前記第2の端部と前記第2のマットの前記第2の端部とが離間する、開位置と前記第1のマットの前記第2の端部と前記第2のマットの前記第2の端部とが互いに近接する、閉位置との間での移動のために、それらの各々の前記第1の端部で、互いにヒンジ結合され、前記閉位置においては前記第1および第2のマットを通る前記開口部が整列され、
d.前記第1および第2のマットの各々を通る開口に整列し、開口を塞ぐように、前記閉位置において前記第1のマットと前記第2のマットとの間に取り付けられるターゲットと、
を備える、武術トレーニング装置。
【請求項2】
前記マットが、多密度フォームから成る、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項3】
前記マットが、滑り止めビニールによって覆われた外面を有する、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項4】
前記マットが、前記ターゲットを適所に保持するように前記ターゲットに係合する内側対向面を有し、前記内側対向面は、滑り止め低密度フォームによって覆われる、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項5】
前記第1のマットが、少なくとも1つの歯を備えた内部表面を有し、前記第2のマットが、前記第1のマット上の前記歯に対応する少なくとも1つの溝を画定する内部表面を有し、前記第1および第2のマットが閉位置にある場合に、前記第1のマットと第2のマットとの間に配置される前記ターゲットが、これを適所に保持するように歯(または2つ以上の場合は複数の歯)と溝(複数の溝)との間に把持される、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項6】
前記ターゲットが、貫通可能な材料である、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項7】
前記ターゲットが、ロール紙、一枚の紙、カードストック紙、または普通の屑紙のうちの1つである、請求項6に記載の武術トレーニング装置。
【請求項8】
前記ターゲットが紙であり、前記第1および第2のマットが、閉位置にある場合に、各々対向する内部表面を有し、前記第1および第2のマットが閉位置にある場合に、該第1および第2のマットの前記内部表面の間に紙を連続的に供給するために前記第1および第2のマットの少なくとも1つに固定される紙スクロールをさらに備える、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項9】
前記ターゲットが、貫通できない弾性材料である、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項10】
前記第1および第2のマットを前記閉位置に固定するための少なくとも1つのラッチをさらに含む、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項11】
前記第1および第2のマットを前記閉位置に固定するために、前記第2のマットのヒンジ結合された第1の側を除いては、前記第2のマットの両側に少なくとも1つのラッチをさらに含む、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項12】
前記第1および第2のマットの1つは打撃面を有し、前記第1および第2のマットの前記開口部以外の異なるサイズおよび/または形状の開口部を有する追加マットと、前記追加マットを前記第1または第2のマットのいずれかの前記打撃面に固定するための手段とをさらに含む、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項13】
前記第1または第2のマットが、ペグを係合させるために前記マットの前面または打撃面にいくつかの凹部を含み、前記第1および第2のマットの前記開口部以外の異なるサイズおよび/または形状の開口部を有する追加マットをさらに含み、前記追加マットが前記第1または第2のマットに取り付けられるように構成されるように、背面が、前記第1または第2のマットの前記凹部に対応するペグを含む、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項14】
前記第1または第2のマットが、凹部を係合させるために前記マットの前面または打撃面にいくつかのペグを含み、前記第1および第2のマットの前記開口部以外の異なるサイズおよび/または形状の開口部を有する追加マットをさらに含み、前記追加マットが前記第1または第2のマットに取り付けられるように構成されるように、背面が、前記第1または第2のマットの前記ペグに対応する凹部を含む、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項15】
1以上の音を、a)前記ターゲットが適切に打たれる場合に第1の音を、又はb)前記ターゲットが適切に打たれない場合に第2の音を、発するための音機構をさらに備える、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項16】
1以上の光を、a)前記ターゲットが適切に打たれる場合に第1の光を、又はb)前記ターゲットが適切に打たれない場合に第2の光を、放射するための光機構をさらに備える、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項17】
手動でトリガされるように構成される音または光デバイスをさらに備える、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項18】
前記ヒンジがピアノヒンジである、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【請求項19】
前記第1および第2のマットの1つに取り付けられる一対の離間したハンドルを備える、請求項1に記載の武術トレーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2015年10月19日に出願された米国仮出願第62/243,445号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、武術トレーニングで用いる練習用ターゲットに関する。
【背景技術】
【0003】
パンチ技および打撃技が普及している武術に関していくつかのスタイルがある。これらの形の武術の練習をする生徒は、武術に秀でるために必要な精度とスキルを取得するように、ターゲットを繰り返しパンチし、打たなければならない。
【0004】
武術の生徒をトレーニングするためのさまざまなツールが存在する。たとえば、フォーカスミットは、インストラクタによって着用され、正確な精度を必要とせずに、生徒がパンチしキックするための比較的安全で大きなパッド付きの表面を提供することができる。また、武術におけるキックターゲットとして使用される吊り下げられたブランケットを開示している、Strongらの米国特許第8,029,422号明細書、および空手におけるターゲットとして使用される吊り硬質シートを開示している、Hoffman(ホフマン)の米国特許第5,254,062号明細書を参照されたい。
【0005】
再度壊すことができるボードは、パンチおよび打撃を練習する生徒のための抵抗のあるターゲットを提供する。再度壊すことができるボードの利益は、それらが再利用可能であり、したがって費用対効果の高いことである。しかし、生徒が再度壊すことができるボードを不正確に打つと、強打が生徒に怪我を生じることもある。さらに、次の生徒のためにボードを再組立てするための時間が必要とされる。Perry(ペリー)の米国特許第4,173,336号明細書、練習用「壊すことができる」空手板およびSmithの米国特許第4,171,803号明細書、武術ターゲットボードを適所に保持するための一対のクランプ、ならびにYocumの米国特許第7,942,791号明細書、武術におけるターゲットに使用されるばね負荷され、接続されたボードを参照されたい。
【0006】
Williamsの米国特許第4,201,379号明細書は、バッグを通して延在する水平な円筒状の開口部のある垂直に向けられた円筒状の練習用バッグを開示している。偽の腕および脚が、競争相手の腕および脚を模擬するように水平な円筒状の開口部を通して延在される。
【0007】
Doschの米国特許第4,757,990号明細書は、キックまたはハンドターゲットとして使用される紙を強固に保持するための装置を開示している。しかし、万一武術の参加者が所期のターゲットを打ちそこなうようであるならば、ホルダーのねじ付きロッドおよびフレームが安全性の問題をもたらす。
【0008】
Daleの米国特許第3,601,353号明細書は、Doschの発明のもう1つのバージョンを開示している。Daleの発明は、2つの平行な支持バーの間でキックされるべき的紙を保持する。再び、安全性が関心事であり得る。
【0009】
また、ターゲットは、他の分野においても使用される。たとえば、Suの米国特許第8,556,268号明細書は、開口部を有するバックボードと、開口部の上の的紙と、的紙の前に配置される固体ディスクとを持つ多層ターゲットを開示している。ディスクが弾丸によって打たれると、ディスクは、バックボードの開口部を通して的紙を叩く。
【0010】
West,Jr.の米国特許第6,019,375号明細書は、ターゲット照準を向上させるように反射性および光捕獲性材料を持つ層を含む射撃ターゲットを開示している。
【0011】
Franceの米国特許第5,145,133号明細書は、ターゲット射撃のための折り畳み可能なターゲットホルダーを開示している。ターゲットボードは、弾丸が開口部を通過するようにターゲットが配置される開口部を有する。
【0012】
武術トレーニングのクラスで用いる使いやすく、安全で、再使用できる、費用対効果の高いターゲットの必要性が残っている。万一生徒がパンチし打撃する間にターゲットを打ちそこなうようであるならば、ターゲットは、打撃に耐え、同時に必要な柔軟性を包含しなければならず、ほとんど再組み立てを必要としてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第8,029,422号明細書
【特許文献2】米国特許第5,254,062号明細書
【特許文献3】米国特許第4,173,336号明細書
【特許文献4】米国特許第4,171,803号明細書
【特許文献5】米国特許第7,942,791号明細書
【特許文献6】米国特許第4,201,379号明細書
【特許文献7】米国特許第4,757,990号明細書
【特許文献8】米国特許第3,601,353号明細書
【特許文献9】米国特許第8,556,268号明細書
【特許文献10】米国特許第6,019,375号明細書
【特許文献11】米国特許第5,145,133号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の武術トレーニング装置は、使いやすく、安全で、再使用できる、費用対効果の高い武術ターゲットである。1つの好ましい実施形態においては、ターゲットは、第1のマットが第2のマットの頂部に折り重なるように一緒にヒンジ結合される2つの正方形のフォームマットを含む。各マットは、マットが折り畳まれた位置にある場合に各マットの開口部が整列するように、マットの概ね中心にある開口部を有する。紙材料は、折り畳まれた位置においてマットの開口部が塞がれるように、第1のフォームマットと第2のフォームマットとの間に配置される。
【0015】
マットの覆いをした孔は、武術の生徒のためのターゲットとして役立つ。使用時に、折り畳まれたマットは、インストラクタによって保持され、生徒は、握りこぶしまたは足でマットの覆いをした開口部に狙いを定め、パンチする。ターゲットが適切に打たれるならば、生徒の握りこぶしまたは足は紙を打ち、これが破れることになる。たとえ生徒が紙を打ちそこない、フォームターゲットに当てるとしても、生徒は、怪我をしないであろう。
【0016】
照明または音機構は、生徒がマットの開口部内の紙を適切に打つならば、音または光がインストラクタによって手でトリガされ、あるいは(近接センサ440などの)正確なパンチまたはキックを示すようにマットに取り付けられる音または光機構よって自動的にトリガされ得るように、マットに付加され得る。
【0017】
1つの好ましい実施形態においては、マットは、高品質、多密度フォームコアから作られる。各マットの外側パンチ面は、滑らかな滑り止めビニールで覆われる。各マットの内側面は、紙を確実に係合させるように滑り止め低密度フォームで覆われる。任意の所望の色、質感、または強度の紙のスクロールが、生徒のための新しいターゲットを迅速に生成するように折り畳まれたマットの開口部の間で紙を連続的にスクロールさせるために、マットに取り付けられ得る。
【0018】
ここで図面を参照すると、同様の参照数字は、いくつかの図を通して対応する構造を示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】的紙を装置に装填した状態の、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図2】本発明の武術トレーニング装置の正面図である。
【
図2A】その閉位置における本発明の武術トレーニング装置の上面ヒンジ図である。
【
図2B】その閉位置における本発明の武術トレーニング装置の側面図である。
【
図2C】その閉位置における本発明の武術トレーニング装置の底面図である。
【
図3】的紙を装置に装填していない状態の、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図3A】紙をトレーニング装置の1つのマットの1つの開口部の上に挿入した状態の、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図4】生徒の握りこぶしがまさにターゲットを打とうとしている状態の閉位置における、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図4A】生徒の握りこぶしがターゲットを打っている状態の閉位置における、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図5】破れたターゲットを示している閉位置における、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図6】的紙を装置に装填し、装置を保持または把持するためにハンドルを背面に取り付けた状態の、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の前面斜視図である。
【
図6A】ハンドルと、装置の背面側の音および光を作動させるためのメカボックスとを示す閉位置における、本発明の武術トレーニング装置の背面斜視図である。
【
図7】サウンドスピーカおよびライトボックスが前面にある状態の、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図7A】生徒の握りこぶしがターゲットを打ち、音をトリガし、ライトを点けている状態の閉位置における、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図8】ラッチを、2つのマットを一緒に固定するように背面マットにタブを係合させる前面マットに取り付けた状態の開位置における、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図8A】背面マットのタブから切り離された前面マットに取り付けられたラッチを示す開位置における、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図9】背面マットの頂部に取り付けられたロール紙と共に示される閉位置における、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図9A】マットの縁部からマットの間に供給されている紙を示すように前面マットの一部を切り取った状態の、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図10】追加マットが前面マットに取り付けられ得るように、追加マットの背面側に取り付けられたペグを受け入れるために前面または打撃面に孔を有するトップマットと共に示される、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図10A】装置に固定される追加のトップマットと共に示される、本発明の武術トレーニング装置の1つの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図11】非円形形状の開口部を有する追加マットの斜視図である。
【
図12】大きな背面マットとそれにヒンジ結合されるより小さい前面マットとを有し、光および音機構とそれに固定されるハンドルとをさらに示す、本発明の武術トレーニング装置の第2の好ましい実施形態の背面側の斜視図である。
【
図13】紙を把持するためのマットの歯と溝の配置を示す、紙を両者の間に取り付けた状態の閉位置における、マットの一部端視図である。
【
図14】ハンドルと、閉位置において前後のマットを一緒に固定するための一対の前面留め金とを示す、本発明の武術トレーニング装置の第2の好ましい実施形態の上面図である。
【
図15】本発明の武術トレーニング装置の第2の好ましい実施形態の正面図である。
【
図16】ハンドルと、側部留め金と、背面マットに対して開いた関係にある前面マットとを示す、本発明の武術トレーニング装置の第2の好ましい実施形態の側面図である。
【
図17】前面マットがその開位置にある状態の、本発明の武術トレーニング装置の第2の好ましい実施形態の斜視図である。
【
図18】前面マットが背面マットと閉じた関係にある状態の、本発明の武術トレーニング装置の第2の好ましい実施形態の前側の斜視図である。
【
図19】的紙を受け入れるように前面マットが背面マットと開いた関係にある状態の、本発明の武術トレーニング装置の第2の好ましい実施形態の前側の斜視図である。
【
図20】的紙が前面マットと背面マットとの間にどのように装填され把持されるかを示す、本発明の武術トレーニング装置の第2の好ましい実施形態の縁部の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の完全な理解のために、添付の特許請求の範囲を含む次の詳細な説明を上記の図面に関連して参照されたい。本開示は、例示的な実施形態と関連して説明されているが、本開示は、本明細書において記述した特定の形態に限定されることを意図するものではない。状況が示唆するかまたは好都合にすることができるにつれて均等物のさまざまな省略および置換が考えられるが、これらは、本開示の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく適用または実施を包含するように意図されていることが理解される。また、本明細書において使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【0021】
本明細書において、用語「第1の(first)」、「第2の(second)」等は、任意の順序、量、または重要性を示すものではなく、むしろある要素を別の要素と区別するために使用され、本明細書における用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、量の制限を示すものではなく、むしろ参照された項目の少なくとも1つの存在を示すものである。
【0022】
本発明の武術トレーニング装置10は、
図1に示されるように、武術トレーニングクラスで用いるための使用しやすく、安全で、再使用できる、費用対効果の高い武術ターゲットツールである。
【0023】
第1の好ましい実施形態においては、武術トレーニング装置10は、ヒンジ12によって第2のマット30にヒンジ結合される概ね正方形の形状を有するものとして示される第1のマット20を含む。ヒンジ機構は、ねじまたは任意の他の知られているヒンジおよび取り付け手段によってマットに固定される「ピアノ」スタイルのヒンジであることができる。あるいは、第1のマット20および第2のマット30は、形成されたヒンジ12に沿って折り重なるように一体に形成され得る。マットは、第1のマット20が本のように第2のマット30上に折り重なるように、一緒にヒンジ結合されるかまたは形成される。
【0024】
マット20は、開口部22を画定し、マット30は、開口部32を画定し(
図3を参照されたい)、各開口部は、マットの概ね中心にある。開口部22および32は、マットが折り畳まれた(閉じられた本)位置にある場合に整列する。
【0025】
通常、紙製品または他の貫通可能な材料から成るターゲット40は、折り畳まれた位置において、マット20,30の開口部22および32がそれぞれターゲット40によって塞がれるように、マット20とマット30との間に配置される。(
図1および
図3Aを参照されたい)。
【0026】
1つの好ましい実施形態においては、ターゲット40は、生徒によって適切に打たれた場合にこれが貫通され得ることを条件として、任意の所望の色、質感、または強度から成ることができる。例示として、ターゲット40は、ロール紙、普通紙、厚紙もしくはカードストック紙、リサイクルされた事務用紙などの普通の屑紙、または費用対効果の高い使用のためのスパムメールまたは捨てられた雑誌ページでさえあってもよい。また、ターゲット40には、生徒がターゲットを打つことに集中するのを助けるように、または単にエンターテインメントや目新しさのためにそれの上に図面または絵を有することもできる。
【0027】
代替実施形態においては、ターゲット40は、打たれると伸びることになるが、人体を打つ場合の応答を模倣するように壊れることにならず、または特定の打撃基準が満たされない限り壊れることにならない弾性材料で作られるかもしれない。
【0028】
1つの好ましい実施形態においては、マットは、低密度もしくは高密度の発泡ゴムで作られ、または高品質、多密度フォームコアを有する。各マットの外側パンチ面は、マットを保護し、生徒の手または足の擦り傷を減らすことになる滑らかな、滑り止めビニール60または同様の材料によって覆われ得る。各マットの内側面は、ターゲット40を係合させ、これを適所に保持するための滑り止め、低密度フォーム70によって覆われる。
【0029】
マットの前面または打撃面は、怪我から生徒を保護し、トレーニング装置の構成要素を保護し、トレーニング装置の衝撃吸収能力を最適化し、トレーニング装置の剛性を維持するように十分に詰め物をされる。
【0030】
図9および
図9Aに示される1つの好ましい実施形態においては、武術トレーニングツール10は、閉位置にある場合に凹部がマット20,30の隣接する内部表面の間に形成されるように形成され得る。紙のスクロールは、紙が凹部を通して連続的に供給され得るようにマットのうちの1つに取り付けられる。武術トレーニング装置10の各使用後に、紙が打撃によって破れた場合には、紙は、次の生徒を受け入れるように迅速かつ便利にスロットを通して引き続きスクロールされ得る。
【0031】
1つの好ましい実施形態においては、生徒がマットの開口部22,32内のターゲット40を適切に打つならば、音が発せられて正確なパンチまたはキックを示すように、音機構がマットのうちの1つまたは複数に取り付けられ得る。サウンドデバイスは、強打または当てそこないを一瞥するために異なる音を発するようにプログラムされ得る。小さなスピーカ160は、生徒に音を放出するために、1つまたは複数のマットの前面で凹所に隠され得る。さらに、スピーカは、(可逆性のために)一方または両方のマットの外面の方へ凹所に隠されるかもしれない。
【0032】
1つの好ましい実施形態においては、生徒がマットの開口部22,32内のターゲット40を適切に打つならば、光が放射されて正確なパンチまたはキックを示すことになるように、光機構150が、マットのうちの1つまたは複数に追加され得る。光機構は、強打または当てそこないを一瞥するために異なる光を放射するようにプログラムされ得る。さらに、ライトは、(可逆性のために)一方または両方のマットの外面の方へ凹所に隠されるかもしれない。
【0033】
本発明の1つの好ましい実施形態においては、ハンドル85は、ターゲットが打たれる場合にマットをしっかりと保持し把持するために背面マットに取り付けられる。
【0034】
図8および
図8Aに示される本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、ラッチ110が、マットの間に固定されるターゲットと共にマットをロックするために他方のマットを係合させるように、一方のマットに取り付けられる。通常、一方のマットは、ラッチアームを担持することになり、他方のマットは、嵌合ラッチ構成要素を担持することになる。ラッチは、ターゲットを適所に最もよく保持するように、ラッチ強度をできるだけターゲット締付位置の近くに持って来るように配置される。
【0035】
使用時に、マット20および30は、生徒の前にインストラクタによって閉位置に保持され得る。(あるいは、ラッチ機構は、マットがトレーニングの目的で使用されている場合に、第1のマット20および第2のマット30を折り畳まれた位置にロックした状態に保つように使用され得る。)生徒は、ターゲット40を通して握りこぶしまたは足の狙いをつけ、パンチし、それにより、ターゲット40が壊れることになる。たとえ生徒がマットのどの部分を打つとしても、生徒は、傷付けられないことになる。いったんターゲットが壊されれば、マットは、分離され(開いているブックカバーのように)、ターゲット40は、取り外され、新しいターゲット40に置き換えられる。あるいは、紙スクロールが使用される場合には、紙は、新しいターゲットを広げるようにマットの間の凹部を通して引っ張られる。
【0036】
本発明の代替実施形態においては、マットのサイズおよび形状は、所期の使用に適合するように、および使用の快適さのために変更され得る。たとえば、異なる形状のマットが、特定の用途または異なるインストラクタに対して保持することがより容易であり得る。同様に、開口部のサイズおよび形状が、異なる用途に合わせて調整され得る。握りこぶしによって打たれる場合には、開口部は、より丸みを帯びてもよく、キックのための開口部は、より長円形であってもよい。
【0037】
開口部のサイズおよび形状を変更するための1つの方法は、追加マットの使用である。追加マット120は、トレーニング装置の開口部22,32よりも小さいサイズの開口部140を有する。追加マットの開口部140は、任意の所望の形状から成ることができる。
【0038】
図10および
図10Aに示されるように、追加マット120は、追加マットの背面側にペグ130を備えている。1つの好ましい実施形態においては、ペグはねじボスである。あるいは、限定されないが、プラスチック製のねじ山形成ねじまたは結合ねじ付きインサートが、利用され得る。
【0039】
追加マット120をトレーニング装置に固定するために、トレーニング装置の前面マットは、追加マットが前面マットに取り付けられ得るように、ペグ130を受け入れるための凹部140を備えている。
【0040】
また、追加マットをトレーニング装置に固定するための他の手段が、本発明によって予想される。
【0041】
トレーニング装置の第2の好ましい実施形態が、
図12〜
図20に示されている。
図16を参照すると、武術トレーニング装置は、概ね正方形の形状を有するものとして示される第1のまたはベースマット220を含む。ヒンジ212によってベースマット220にヒンジ結合されるのは、より小さい第2のマット230である。ヒンジ機構は、任意の知られている手段によってフォームマットに取り付けられ得る。あるいは、第1のマット220および第2のマット230は、形成されたヒンジ212に沿って折り畳まれるように一体に形成され得る。マットは、第1のマット220がブックまたはカバーのように第2のマット230の一部の上に折り重なるように、ヒンジ結合されるかまたは一緒に形成される。
【0042】
マット220は、開口部222を画定し、マット230は、開口部232を画定する(
図17を参照されたい)。開口部232は、マット230の概ね中心にある。ベースマット220は第2のマット230よりも大きいので、ベースマットの開口部222は、中心からずれているが、
図12に示されるように第2のマット230が折り畳まれた(閉じられた本)位置にある場合は、開口部222と整列するように配置される。
【0043】
通常、紙製品または他の貫通可能な材料から成るターゲット240は、閉位置においてマット220,230の開口部222および232がそれぞれターゲット240によって塞がれるように、マット220と230との間に配置される。(
図20を参照されたい。)
【0044】
再び、ターゲット240は、任意の所望の色、質感または強度から成ってもよく、生徒がターゲットを打つことに集中するのを助けるように、または単にエンターテインメントや目新しさのためにそれの上に図面または絵を有することができる。
【0045】
図20に示されるように、ベースマットおよび第2マットは、マットが閉位置にある場合に隣接する内部表面を有する。一方のマットの内部表面は、少なくとも1つの歯400を備えていることができ、他方のマットの内部表面は、第1のマット上の少なくとも1つの歯に対応する少なくとも1つの溝410を画定することができる。ターゲットを第1マットと第2マットとの間に配置した状態で第2マットが閉位置にある場合には、ターゲットは、これを適所に保持するように歯または複数の歯と対応する溝または複数の溝410との間に把持される。
【0046】
マットのうちの1つの内部表面に画定される1対の溝460、または異なるタイプの「マーカー」が、ターゲットがトレーニング装置内に取り付けられるべき場所の縁部にマークを付けるように使用され得る。
【0047】
生徒がマットの開口部222,232内のターゲット240を適切に打つならば、音が発せられて正確なパンチまたはキックを示すように、音機構420が、マットのうちの1つまたは複数に取り付けられ得る。サウンドデバイスは、強打または当てそこないを一瞥するために異なる音を発するようにプログラムされ得る。音機構は、生徒に音を放出するために、1つまたは複数のマットの前面で凹所に隠され得る。
【0048】
1つの好ましい実施形態においては、生徒がマットの開口部222,232内のターゲット240を適切に打つならば、光が放射されて正確なパンチまたはキックを示すことになるように、光機構500が、マットのうちの1つまたは複数に追加され得る。光機構は、強打または当てそこないを一瞥するために異なる光を放射するようにプログラムされ得る。
【0049】
生徒がターゲットを打つのを助けるために、LEDライトが、たとえば
図15に示されるように頂部に沿ってなどの、トレーニング装置の前面に取り付けられ得る。これらのLEDは、任意の所望の色および形状から成ることができる。
【0050】
1つの好ましい実施形態においては、近接センサ440が、ターゲットに対する打撃を検出するために使用される。スピーカ、ストライクライト、LED、近接センサ、およびバッテリは、Arduinoマイクロコントローラによって制御される。1つの好ましい実施形態においては、リチウムポリマー(LiPo)バッテリ(図示せず)が、音および照明機構に電力を供給する。リード線が、マイクロコントローラ430からスピーカ、LED500、バッテリおよび近接センサ440まで延びる。近接センサ440は、
図15に示されるようにハウジングの中へ凹所に隠され得る。近接センサは、ターゲットの0〜20cm以内の打撃を感知するために理想的に較正されるが、他の範囲も可能である。
【0051】
もう1つの好ましい実施形態においては、「失敗」ボタン450が、ハンドルの近くに追加され得る。生徒がターゲットを正しく打たない場合、トレーニング装置を保持しているインストラクタは、フェールライト(理想的には赤色であるが、他の色も可能である)および失敗した打撃を示す音を伝えるように失敗ボタンを押すことができる。
【0052】
ハンドル285は、ターゲットが打たれたる場合にマットをしっかりと保持し把持するために背面マットに取り付けられる。
【0053】
ラッチ310は、一方のマットに取り付けられて、マットの間に固定されるターゲットと一緒にマットをロックするために他方のマット上に担持される取付バーを係合させる。ラッチは、ヒンジ側を除いて、トレーニング装置の片面またはあらゆる側面に取り付けられ得る。
【0054】
使用時に、ターゲット240は、マット220の開口部222上に配置され、マット230は、閉位置まで回転され、ラッチ310によって適所にロックされ、インストラクタは、生徒の前にハンドル285によってトレーニング装置を保持する。生徒は、ターゲット240を通して握りこぶしまたは足の狙いをつけ、パンチし、それにより、ターゲット240が壊れることになる。たとえ生徒がマットのどの部分を打つとしても、生徒は、傷付けられないことになる。いったんターゲットが壊れるならば、マット230は、アンラッチされ、開位置に回転され、弱ったまたは壊されたターゲット240は、新しいターゲットと置き換えられる。
【0055】
第1の実施形態と同様に、第2の実施形態は、追加マットを受け入れるようにペグ330を備えている。