【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1の歩行者検知システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
歩行者検知システムは、倉庫又は工場などの作業場内において産業車両と歩行者との間の接近を検知して警告を出力する。
【0014】
本実施例の歩行者検知システムは、受信機100と発信機200と位置把握システム300とから構成される。
【0015】
受信機100は、第一の受信部101、第一のID(identifier)読取部102、強度取得部103、ID判定部104、第一の通信部105、第一のID記憶部106、IDリスト記憶部107、警告判定部108、警告表示装置109、スピーカー110及び第一の送信部111を備える。
【0016】
受信機100は、フォークリフトなどの産業車両に設置され、当該産業車両と共に作業場内を移動する。
【0017】
発信機200は、第二のID記憶部201及び第二の送信部202を備える。
【0018】
発信機200は、歩行作業者(本明細書では単に歩行者とも記載する)に所持され、当該歩行作業者と共に作業場内を移動する。発信機200は、歩行者が手に持ってもよいし、ペンダント又はヘルメットのように歩行者に装着されてもよい。
【0019】
位置把握システム300は、複数の第二の受信部301、第二のID読取部302、位置判定部303、リスト作成部304及び第二の通信部305を備える。
【0020】
位置把握システム300は、複数の第二の受信部301と、サーバー400とによって構成される。サーバー400には、第二のID読取部302、位置判定部303、リスト作成部304及び第二の通信部305が含まれ、サーバー400と複数の第二の受信部301とはイーサネット又は無線LANによって通信可能である。
【0021】
複数の第二の受信部301は作業場内に配置される。サーバー400は作業場内又はその近くに設置されてもよいが、遠隔地に設置されてもよい。
【0022】
本実施例の歩行者検知システムは、少なくとも一つの受信機100及び少なくとも一つの発信機200を含む必要があり、一般には、複数の受信機100及び複数の発信機200を含む。また、本実施例では、受信機100が産業車両に、発信機200が歩行者に装着される例を示すが、これらはいずれも任意の移動体に装着することができる。このため、本発明の歩行者検知システムは、移動体検知システムとも呼ぶことができる。例えば受信機を歩行者が所持してもよいし、発信機200を産業車両に装着してもよい。あるいは、発信機200がさらに受信機100と同様の機能を有してもよい。
【0023】
受信機100は、第一のID記憶部106に記憶されたIDを第一の送信部111によって送信する。第一のID記憶部106は、例えば受信機100の固体識別可能な(すなわち、複数の受信機100がある場合に、それらの各々を一意に識別する)IDを電子情報として記録可能なメモリからなる。第一の送信部111は、第一のIDを送信可能な電磁波発生機であり、例えばブルートゥースなどの規格に則ったデータ形式でIDを送信する。第一の送信部111は、第一のID記憶部106からデータを読み取るためのマイコン、データ形式を変換するための変調器、及び、電磁波を送信するためのアンテナを含んでもよい。
【0024】
発信機200は、第二のID記憶部201に記憶されたIDを第二の送信部202によって送信する。第二のID記憶部201は、例えば発信機200の固体識別可能な(すなわち、複数の発信機200がある場合に、それらの各々を一意に識別する)IDを電子情報として記録可能なメモリからなる。第二の送信部202は、発信機のIDを送信可能な電磁波発生機であり、例えばブルートゥースなどの規格に則ったデータ形式でIDを送信可能である。第二の送信部202は第二のID記憶部201からデータを読み取るためのマイコン、データ形式を変換するための変調器、及び、電磁波として送信するためのアンテナを含んでもよい。
【0025】
位置把握システム300は、少なくとも一つの第二の受信部301によって受信機100のIDおよび発信機200のIDを受信する。各第二の受信部301は例えばアンテナ及びデコーダによって構成され、電磁波を受信可能である。各第二の受信部301によって受信された情報は、サーバー400に送信され、ID読取部302によってID情報の認識が行われる。また、位置判定部303によって、受信機100および発信機200の作業場内での位置が判定される。
【0026】
図2は、本発明の実施例1の発信機200のハードウェア構成の説明図である。
【0027】
発信機200は例えば
図2に示されるハードウェア構成で実現可能である。
【0028】
第二のID記憶部201は、メモリ1001によって構成される。
【0029】
第二の送信部202は、CPU1002、無線コントローラ1003及びアンテナ1004によって構成される。CPU1002と無線コントローラ1003は一つのICとして集積されても良い。メモリ1001はCPU1002に内蔵されても良い。
【0030】
本実施例において第二の送信部202が実行する処理は、実際には、CPU1002が、メモリ1001に格納されたプログラムに従って、必要に応じて無線コントローラ1003を制御して実行される。
【0031】
図3は、本発明の実施例1の受信機100のハードウェア構成の説明図である。
【0032】
受信機100は例えば
図3に示されるハードウェア構成で実現可能である。
【0033】
第一の受信部101および第一の送信部111は、アンテナ1104および無線コントローラ1103によって構成される。
【0034】
第一のID記憶部106およびIDリスト記憶部107は、メモリ1101によって構成される。
【0035】
第一の通信部105は、無線コントローラ1105およびアンテナ1106によって構成される。
【0036】
第一のID読取部102、強度取得部103、ID判定部104および警告判定部108は、CPU1102がメモリ1101に格納されたプログラムに従って電子的に行う処理によって構成できる。すなわち、本実施例において第一のID読取部102、強度取得部103、ID判定部104および警告判定部108が実行する処理は、実際には、CPU1102がメモリ1101に格納されたプログラムに従って実行する。
【0037】
表示装置109は、警告画面を出力(表示)する装置であり、ディスプレイ1107によって構成される。スピーカー110は、警告音声を出力する装置であり、スピーカー1108によって構成される。
【0038】
アンテナ1104およびアンテナ1106は同一であってもよく、無線コントローラ1103および無線コントローラ1105は同一であってもよい。CPU1102と無線コントローラ1103または無線コントローラ1105は一つのICとして集積されても良い。メモリ1101はCPU1102に内蔵されてもよい。
【0039】
図4は、本発明の実施例1の位置把握システム300のハードウェア構成の説明図である。
【0040】
位置把握システム300は例えば
図4に示されるハードウェア構成で実現可能である。
【0041】
サーバー400のID読取部302、位置判定部303およびリスト作成部304は、サーバー400のCPU1211がメモリ1213に格納されたプログラムに従って電子的に行う処理によって構成できる。すなわち、本実施例においてID読取部302、位置判定部303およびリスト作成部304が実行する処理は、実際には、CPU1211がメモリ1213に格納されたプログラムに従って実行する。
【0042】
通信部305は、通信コントローラ1212を介してネットワーク1240に接続された無線ルーター1230によって構成される。
【0043】
第二の受信部301は、通信コントローラ1221、CPU1222、無線コントローラ1223およびアンテナ1224によって構成される。
【0044】
通信コントローラ1221と無線コントローラ1223は同一のハードウェアであってもよい。
【0045】
CPU1222と通信コントローラ1221または無線コントローラ1223は集積化されたICとして構成されても良い。また、メモリ1213および1225は、それぞれCPU1211および1222に内蔵されてもよい。
【0046】
図5は、本発明の実施例1の位置把握システム300の設置例を示す説明図である。
【0047】
図5は作業場500内の上面図である。作業場500では、発信機200を所持する一人以上の歩行作業者と、受信機100を搭載した一台以上の産業車両とが同時に作業を行う。受信機100−1はIDの値「1001」を持つ受信機100である。発信機200−1はIDの値「2001」を持つ発信機200である。作業場500内には、棚又は柱などの産業車両も歩行者も通行が不可能な複数の移動不可能領域501、502、503、511、512、513が存在し、これらの移動不可能領域によって区切られた複数の通路が構成される。作業場500内にはこの通路に沿って、複数の第二の受信部301−11、301−12、301−13、301−14、301−15、301−16、301−21、301−22、301−23、301−24、301−25、301−26、301−31、301−32、301−33、301−34、301−35、301−36、301−41、301−42、301−43、301−44、301−45、および301−46が配置される。
【0048】
発信機200−1が
図5に示す場所で信号を発信すると、受信部301−11、301−21、および301−22がその信号を強い強度で受信し、その受信強度の計測によって、位置判定部303は発信機200−1の位置を把握することができる。このような位置の把握はどのような方法で行われてもよい。例えば、特開平5−11039号公報に記載されているような公知の方法を利用することもできる。また、第二のID読取部302は、受信部301−11等が受信した信号に含まれる発信機200−1のIDを読み取る。
【0049】
リスト作成部304は、第二のID読取部302で読み取ったIDと、位置判定部303によって判定された位置の情報から、受信機100に送信するためのIDリストを作成する。
【0050】
図6は、本発明の実施例1の位置把握システム300によるIDリストの作成の説明図である。
【0051】
位置把握システム300は、例えば作業場500内の移動可能な領域(すなわち
図5に示した移動不可能領域以外の領域)を複数のエリアに分割して管理する。分割されたエリアは、それぞれ、例えばAエリア510、B−1エリア521、B−2エリア522、B−3エリア523、B−4エリア524、Cエリア530、D−1エリア541、D−2エリア542、D−3エリア543、D−4エリア544、D−5エリア545、およびEエリア550と記載する。作業場500内に存在する発信機200および受信機100の位置は、位置把握システム300の位置判定部303によって検出される。なお、
図6では位置把握システム300の図示が省略されているが、複数の受信部301が
図5に示すように配置され、サーバー400は作業場500内のいずれかの場所にあってもよいし、作業場500の外にあってもよい。
【0052】
図6の例では、二つの受信機100が作業場500内に存在する。位置把握システム300は、ID「1001」を持つ受信機100−1がB−2エリア522に、ID「1002」を持つ受信機100−2がEエリア550にあることを検出する。
【0053】
また、
図6の例では、四つの発信機200が作業場500内に存在する。位置把握システム300は、ID「2001」を持つ発信機200−1がAエリア510に、ID「2002」を持つ発信機200−2がB−3エリア523に、ID「2003」を持つ発信機200−3がD−2エリア542に、ID「2004」を持つ発信機200−4がEエリア550にあることを検出する。
【0054】
リスト作成部304は、各受信機100の所在エリアに対して、同一のエリアまたはそれに隣接するエリアに所在が確認される発信機200のIDをリスト化して、第二の通信部305から受信機100に送信する。ここで、ある二つのエリアが隣接するとは、それらの一方からもう一方に直接移動できること、すなわち、一方からもう一方に、それら以外のエリアを経由せずに移動できることを意味する。同一でもなく隣接もしない二つのエリアにある移動体同士は、それらが接近する方向に移動していたとしても、接触するまでにはある程度以上の時間(例えば、次回に警告判定部108の処理が実行されるまでの時間以上の長さの時間)がかかると予想されるため、それらの移動体の衝突を警戒する必要性は低いと言える。
【0055】
位置判定部303は、各受信機100と同一のエリアまたは隣接するエリアに所在が確認される発信機200を特定するために、どのような方法を使用してもよい。例えば、位置把握システム300のメモリ1213が、受信機100または発信機200から信号を受信した受信部301と当該受信機または発信機200の所在エリアとを対応付ける情報、および、各エリアに隣接するエリアを特定する情報を保持し、位置判定部303は、少なくともいずれかの受信部301が各受信機100および各発信機200から信号を受信すると、受信した信号および上記の情報を参照して、その受信部301に対応するエリアを各受信機100および各発信機200の所在エリアとして特定し、各受信機100と同一のエリアまたは隣接するエリアの発信機200を特定してもよい。
【0056】
あるいは、メモリ1213が作業場500の地図情報を保持してもよい。この地図情報は、少なくとも、作業場500内の座標値とエリアとを対応付ける情報を含む。この情報に基づいて、各エリアに隣接するエリアを特定することができる。位置判定部303は、少なくともいずれかの受信部301が各受信機100および各発信機200から信号を受信すると、受信した信号に基づいて各受信機100および各発信機200の座標値を特定し、特定した座標値に基づいて各受信機100および各発信機200の所在エリアを特定し、受信機100と同一のエリアまたは隣接するエリアの発信機200を特定することができる。
【0057】
図6において受信機100−1が存在するB−2エリア522に隣接するエリアはAエリア510とCエリア530である。リスト作成部304は、上述のAエリア510とB−2エリア522とCエリア530のいずれかに所在が確認される発信機200のIDのリストを作成する。
図6の例ではAエリア510に存在する発信機200−1のID2001がリストに記録される。
【0058】
同様にして、受信機100−2に対しては、D−2エリア542に存在する発信機200−3のID「2003」と、Eエリア550に存在する発信機200−4のID「2004」がリストに記録される。
【0059】
位置把握システム300は、作成されたIDリストを第二の通信部305から受信機100に送信する。前述の通り、異なる位置に存在する受信機100−1および受信機100−2に対して、異なるIDリストが作成され、それぞれの受信機に対応するIDリストが送付される。
【0060】
各受信機100は、第一の通信部105によって位置把握システム300からのIDリストを受け取る。第二の通信部305および第一の通信部105は、例えばイーサネットまたは無線LANによって通信を行う。受信されたIDリストは、IDリスト記憶部107に記憶される。
【0061】
第一の受信部101が発信機200からの電磁波を受信すると、第一のID読取部102が発信機200のID情報を読取り、強度取得部103が電磁波の受信強度を取得する。ID情報および受信強度に基づき、ID判定部104および警告判定部108が判定を行う。
【0062】
図7は、本発明の実施例1の第一の受信部101が信号を受信してから警告判定部108が判定を行うまでの処理を示すフローチャートである。
【0063】
本図によれば、第一の受信部101がいずれかの発信機200の送信部202から信号を受信する信号受信ステップS401によって処理が開始される。
【0064】
ID取得ステップS402では、受信した信号から、第一のID読取部102が送信元の発信機200のIDを読み取る。
【0065】
強度取得ステップS403では、強度取得部103が信号の受信強度を取得する。受信強度は例えばRSSI強度とする。
【0066】
ID判定ステップS404では、ID取得ステップS402で取得されたID情報がIDリスト記憶部107に記憶されたIDリストに含まれるかをID判定部104が判定する。取得されたID情報がIDリストに含まれる場合、強度判定ステップS405に進み、それ以外の場合は処理終了ステップS407に進む。
【0067】
強度判定ステップS405では、警告判定部108が、強度取得部103によって取得された受信強度が任意の強度値(例えば予め規定された閾値としての強度値)よりも高いかを判定する。受信強度が任意の強度値よりも高い場合は、警告ステップS406に進み、それ以外の場合は処理終了ステップS407に進む。
【0068】
なお、例えば作業場500の広さおよび移動可能な領域の配置等に応じて、接触する可能性がある移動体に関する警報を確実に発するために適切な値をS407の強度値として設定することができる。また、この値は0にしてもよく、その場合は、受信強度に関わらず、信号の受信が確認できればステップS407においてYesと判定され、処理がステップS407に進む。
【0069】
また、発信機200の送信部202は、当該発信機のIDに加えて、送信強度を示す情報を含む信号を送信してもよい。この場合、警告判定部108は、強度判定ステップS405において、送信強度に対応する受信強度の閾値と比較してもよい。これによって、発信機200ごとに送信強度が異なる場合にも適切に警告を出力するか否かを判定することができる。
【0070】
警告ステップS406では、受信機100が設置された産業車両の運転者に対して、表示装置109またはスピーカー110が、警告表示または警告音を出力することによって、受信機100と発信機200の接近を報知する。
【0071】
終了ステップS407によって処理が終了する。
【0072】
このような判定処理を行うことで、不要な警告を防止することができる。例えば
図6において、受信機100−1は発信機200−1、200−2、200−3からの信号を第一の受信部101により受信可能である。受信機100−1の所在エリアと同一のエリアでも隣接するエリアでもないエリアに存在する発信機200−2を所持する歩行者および発信機200−3を所持する歩行者が、受信機100−1が設置された産業車両と直ちに接触する危険性は無い。上記の処理によれば、受信機100−1が保持するIDリストにこれらの発信機200のIDが無いため、警告が出力されない。このような処理によって警告の信頼性を上げることができる。
【0073】
図8は、本発明の実施例1の変形例を示すフローチャートである。
【0074】
本変形例は
図1と同様の要素で構成される。位置把握システム300のリスト作成部304の作成するリストの内容と、第一の受信部101が信号を受信してから警告判定部108が判定を行うまでの処理が
図8に示す処理フローとなる点が、
図1から
図7を参照して説明した実施例と異なる。
【0075】
本変形例では、リスト作成部304は二種類のリストを作成する。第一のリストは受信機100と同一のエリアに所在が確認される発信機200のIDのリストである。第二のリストは受信機100が存在するエリアに隣接するエリアに所在が確認される発信機200のIDリストである。
【0076】
図6の例では、受信機100−1に対して、第一のリストにはIDは登録されず、第二のリストにID2001が登録される。同様に受信機100−2に対して、第一のリストにはID2004が登録され、第二のリストにはID2003が登録される。二種類のリストは対応する受信機100に送信される。
【0077】
受信機100は第一のリストおよび第二のリストをIDリスト記憶部107に記憶する。
【0078】
第一の受信部101が発信機200の信号を受信すると、
図8に示す処理が実施される。
【0079】
本図によれば、第一の受信部101がいずれかの発信機200の送信部202から信号を受信する信号受信ステップS501によって処理が開始される。
【0080】
ID取得ステップS502では、受信した信号から、第一のID読取部102がID情報を読み取る。
【0081】
強度取得ステップS503では、強度取得部103が信号の受信強度を取得する。受信強度は例えばRSSI強度とする。
【0082】
第一のID判定ステップS504では、ID取得ステップS502で取得されたID情報がIDリスト記憶部107に記憶された第一のIDリストに含まれるかをID判定部104が判定する。取得されたID情報が第一のIDリストに含まれる場合、第一の強度判定ステップS505に進み、それ以外の場合は第二のID判定ステップS507に進む。
【0083】
第一の強度判定ステップS505では、警告判定部108が、強度取得部103によって取得された受信強度が第一の任意強度値(例えば予め規定された閾値としての強度値)よりも高いか判定する。受信強度が第一の任意強度値よりも高い場合は第一の警告ステップS506に進み、それ以外の場合は処理終了ステップS510に進む。
【0084】
第一の警告ステップS506では、受信機100が設置された産業車両の運転者に対して、表示装置109またはスピーカー110が、警告表示または警告音を出力することによって、受信機100と発信機200の接近を報知する。
【0085】
第二のID判定ステップS507では、ID取得ステップS502で取得されたID情報がIDリスト記憶部107に記憶された第二のIDリストに含まれるかをID判定部104が判定する。取得されたID情報が第二のIDリストに含まれる場合、第二の強度判定ステップS508に進み、それ以外の場合は処理終了ステップS510に進む。
【0086】
第二の強度判定ステップS508では、警告判定部108が、強度取得部103によって取得された受信強度が第二の任意強度値(例えば予め規定された閾値としての強度値)よりも高いかを判定する。この第二の任意強度値は、第一の任意強度値と同一であってもよいし、異なっていてもよい。受信強度が第二の任意強度値よりも高い場合は第二の警告ステップS509に進み、それ以外の場合は処理終了ステップS510に進む。
【0087】
第二の警告ステップS509では、表示装置109またはスピーカー110が、警告表示または警告音を出力することによって、受信機100と発信機200の接近を報知する。このとき、警告表示の色、表示内容、警告音の音量、または警告音の音色を、第一の警告ステップS506の表示または警告音と異なるものとしても良い。
【0088】
終了ステップS510によって処理が終了する。
【0089】
本変形例では、発信機200と受信機100との位置関係に応じて、警告判定部108において、強度取得部103で取得した受信強度と比較する任意強度値が変更されれば良い。例えば、リスト作成部304が、発信機200のIDに対応する情報として任意強度値をリストに付加し、受信機100に送付しても良い。
【0090】
また、リスト作成部304は、作業場500内のすべての発信機200のIDおよび位置情報をリストとして受信機100に送付しても良い。この構成では位置把握システム300は受信機100に対して受信機100の位置情報も送付する。受信機100は、発信機200からの信号を第一の受信部101によって受信して、発信機200のIDがIDリストに存在する場合、受信機100の位置情報とIDリストにある発信機200の位置情報から、任意強度値を決定し、警告判定部108がその決定した任意強度値を比較に用いて警告の判定を行う。
【0091】
例えば
図6に示すようなエリアが設定されている場合、あるエリアに位置する移動体からそのエリア内の別の移動体を見通すことは可能であるが、隣接するエリア内の移動体は、棚などに遮蔽されて見通せない場合がある。このように、移動体間の位置関係によって想定される危険の程度および種類が異なる場合がある。上記のように、同一エリアの場合と隣接エリアの場合で信号の受信強度の規定値および出力する警告をそれぞれ独立に設定することによって、危険の程度および種類に応じた適切な警告を作業者に与えることができる。
【0092】
上記の変形例では、二種類のIDリストが作成され、発信機200のIDがそれらのいずれに含まれているかによって発信機200の所在エリアが受信機100と同一のエリアまたはそれに隣接するエリアのいずれであるかが判定される。しかし、このようなIDリストは、発信機200の所在エリアが受信機100と同一のエリアまたはそれに隣接するエリアのいずれであるかを示す情報の一例であり、別の形態の情報で置き換えることもできる。例えば、受信機100と同一のエリア又はそれに隣接するエリアのいずれかにある発信機200のIDのリストが作成され、そのリストに、それぞれの発信機200が受信機100と同一のエリア又はそれに隣接するエリアのいずれにあるかを示す情報が含まれてもよい。
【0093】
上記の変形例も含めて、実施例1では、発信機200が受信機100と同一のエリア又はそれに隣接するエリアにあるか否かが判定される。これは、発信機200と受信機100との位置関係が所定の条件を満たすか否か、すなわち、発信機200が受信機100の警戒範囲内にあるか否かを判定する方法の一例である。発信機200が受信機100の警戒範囲内にないということは、例えば、各移動体の移動速度およびそれらの位置に基づいて、所定の時間内(例えば次回の警告判定部108の処理が実行されるまでの時間内)に、発信機200と共に移動する移動体と受信機100共に移動する移動体とが接触する可能性がないことを意味する。そして、作成されるIDリストは、その判定の結果を含む情報の一例である。上記の例では、受信機100と同一のエリア又はそれに隣接するエリア内の発信機200が警戒範囲内にあると判定される。しかし、本実施例では、他の方法で警戒範囲内の発信機を特定することもできる。
【0094】
例えば、サーバー400がメモリ1213に作業場500の地図情報を保持し、位置判定部303は、第二の受信部301が受信した信号に基づいて作業場500内の受信機100および発信機200の位置を特定し、地図情報に基づいて、受信機100と発信機200との間の移動可能な領域のみを通る最短ルートの距離を計測し、その距離の長さが所定の条件を満たすかを判定し、リスト作成部304がその判定の結果に応じてIDリストを作成しても良い。より詳細には、例えば、リスト作成部304は、第一の所定距離と、それよりも長い第二の所定距離とに基づいて、最短距離が第一の所定距離以下の発信機200をIDリスト1に追加し、最短距離が第二の所定距離以下かつ第一の所定距離よりも大きい発信機200をIDリスト2に追加してもよい。これらのIDリストは、上記の変形例に記載したものと同様に使用される。この場合、受信機100までの最短ルートの距離が第二の所定距離以下の位置にある発信機200が、警戒範囲内の発信機200と判定される。
【0095】
なお、ここで使用される地図情報は、作業場500内の任意の2点間の移動経路を探索できるものであればよく、例えば作業場500内の移動可能な各領域の位置、形状およびそれらの間の接続関係を示す情報であってもよい。
【0096】
このように、本実施例では、受信機100との位置関係が所定の条件を満たす発信機200が警戒範囲内の発信機200と判定され、その判定の結果と、受信機100が発信機200から受信した信号とに基づいて、警告を出力するか否かが判定される。
【0097】
また、受信強度の閾値は、受信機100の所在エリアに応じて変更されてもよい。これは、それぞれのエリアで行われる作業に依存して、それぞれのエリアを移動する移動体の移動速度の傾向が異なる場合があるためである。例えば、移動体が比較的高速に移動する傾向が強いエリアでは閾値を低く、比較的低速に移動する傾向が強いエリアでは閾値を高く設定することによって、それぞれのエリアで、不要な警告の出力を抑えながら、必要な警告を適切に出力することができる。
【0098】
上記の実施例1では、リスト作成部304は、各受信機100の警戒範囲内の発信機200のIDリストを作成し、各受信機100は、IDリストに含まれる識別情報によって識別される発信機200から受信した信号の受信強度が所定の値を超える場合に警報を出力する。これは、IDリストとしていわゆるブラックリストが作成される例である。しかし、このようなIDリストは一例であり、リスト作成部304は、各受信機100の警戒範囲外の発信機200のIDリスト(いわゆるホワイトリスト)を作成してもよい。その場合、各受信機100は、受信した信号に含まれる識別情報がIDリストに含まれず、かつ、その信号の受信強度が所定の値を超える場合に警報を出力する。例えば、作業場500の広さ、その中のエリアの配置、およびその中で移動する移動体の数等に応じて、ブラックリストまたはホワイトリストのいずれか適切な一方を採用することができる。例えば、警戒範囲内の発信機200の数より警戒範囲外の発信機の数が多くなりがちな環境においてはブラックリストを採用し、警戒範囲内の発信機200の数より警戒範囲外の発信機の数が少なくなりがちな環境においてはホワイトリストを採用することによって、サーバー400から各受信機100に送信されるデータ量が抑えられる。
【0099】
本実施例において、警告判定部108は、表示装置109またはスピーカー110による警告の他に、産業車両の制御系に対して通信を行っても良い。この通信によって、産業車両は減速するなどの衝突を回避するための対応を行うことができる。
【実施例2】
【0100】
次に、本発明の実施例2について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例2のシステムの各部は、
図1〜
図8に示された実施例1の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0101】
図9は、本発明の実施例2の歩行者検知システムの構成を示すブロック図である。
【0102】
本実施例の歩行者検知システムは、受信機100および発信機200から構成される。
【0103】
受信機100は、受信部101、強度取得部103、警告判定部108、警告表示装置109、スピーカー110、第一の位置把握部112、位置情報読取部113、地図情報記憶部114、および位置判定部115を備える。
【0104】
受信機100は、フォークリフトなどの産業車両に設置され、作業場内を移動する。
【0105】
発信機200は、ID記憶部201、送信部202および第二の位置把握部203を備える。
【0106】
発信機200は、歩行作業者が所持し、作業場内を移動する。発信機200は歩行者が手に持ってもよいし、ペンダントまたはヘルメットなどのように歩行者に装着されてもよい。
【0107】
受信機100は、第一の位置把握部112によって、作業場内における受信機100の位置を把握する。
【0108】
第一の位置把握部112は、例えば屋内GPS(Global Positioning System)のような装置によって実現できる。あるいは、第一の位置把握部112は、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサの組み合わせによって変位を計測する自律航法を用いても良いし、他の方法を用いてもよい。
【0109】
発信機200は、第二の位置把握部203によって作業場内における発信機200の位置を把握する。第二の位置把握部203の構成は第一の位置把握部112同様である。発信機200は、第二の位置把握部203によって得られた位置情報と、ID記憶部201に記憶されたID情報とを送信部202によって送信する。ID記憶部201の構成は実施例1と同様であり説明を省略する。例えば発信機200が送信する位置情報は
図6に示す作業場500内を複数エリアに分割したエリア情報である。
【0110】
受信機100は、発信機200が発信した情報を、受信部101によって受信する。受信部101が信号を受信すると、警告を行うかの判定処理が行われる。
【0111】
実施例2の発信機200および受信機100のハードウェア構成は、実施例1と同様であるため、図示を省略する。ただし、地図情報記憶部114は受信機のメモリ1101によって構成される。また、位置情報読取部113および位置判定部115が実行する処理は、実際には、CPU1102がメモリ1101に保持されたプログラムに従って実行する。
【0112】
図10は、本発明の実施例2の第一の受信部101が信号を受信してから警告判定部108が判定を行うまでの処理を示すフローチャートである。
【0113】
本図によれば、受信部101が信号を受信すると、信号受信ステップS701によって処理が開始される。
【0114】
位置情報取得ステップS702では、受信した情報から位置情報読取部113が発信機200の位置情報を読み取る。
【0115】
強度取得ステップS703では、強度取得部103が、受信した信号の強度を取得する。
【0116】
警戒範囲内判定ステップS704では、位置判定手段116が、発信機200の位置情報と、第一の位置把握部112によって取得された受信機100の位置情報と、地図情報記憶部114に記憶された地図情報とから、警戒範囲内に発信機200が存在するかの判定を行い、警戒範囲内に発信機200が存在すると判定された場合には強度判定ステップS705に進み、それ以外の場合は終了ステップS707に進む。
【0117】
具体的には、位置判定手段116は、実施例1のリスト作成部304の処理と同様に、例えば受信機100と発信機200が隣接するエリアまたは同一のエリアに存在する場合に、警戒範囲内に発信機200が存在すると判定してもよい。この場合、警戒範囲とは、受信機100の所在エリアとそれに隣接するエリアとを合計したエリアに相当する。
【0118】
強度判定ステップS705では、強度取得部103によって取得された電波強度が所定の強度値以上であるかを警告判定部108が判定し、電波強度が所定の強度値以上の場合は警告ステップS706に進み、それ以外の場合は終了ステップS707に進む。
【0119】
警告ステップS706では、受信機100が設置された産業車両の運転者に対して、表示装置109またはスピーカー110が、警告表示または警告音を出力することによって受信機100と発信機200の接近を報知する。
【0120】
このような判定処理を行うことで、不要な警告を防止することができる。また、本実施例の歩行者検知システムは、第一の位置把握部112を受信機100に、第二の位置把握部203を発信機200にそれぞれ搭載することによって、実施例1と比較して位置把握システム300を省略した構成となっており、システムの規模が縮小化されてコストダウンされる。
【0121】
なお、実施例2においても、実施例1の変形例と同様に、発信機200が受信機100と同一のエリアにある場合と隣接するエリアにある場合のそれぞれに対応する信号の受信強度の閾値を使用し、警告を出力すると判定された場合にはそれぞれに対応する内容の警告を出力してもよい。
【実施例3】
【0122】
次に、本発明の実施例3について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例3のシステムの各部は、
図1〜
図8に示された実施例1の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0123】
図11は、本発明の実施例3の歩行者検知システムの構成を示すブロック図である。
【0124】
本実施例の歩行者検知システムは、受信機100と発信機200と位置把握システム300とから構成される。
【0125】
受信機100は、第一の受信部101、第一のID読取部102、強度取得部103、ID判定部104、第一の通信部105、第一のID記憶部106、IDリスト記憶部107、警告判定部108、警告表示装置109、スピーカー110および第一の送信部111を備える。各構成要素は実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0126】
受信機100は、フォークリフト等の産業車両に設置され、作業場内を移動する。
【0127】
発信機200は、第二のID記憶部201、第二の送信部202および第三の通信部204を備える。第二のID記憶部201と第二の送信部202は実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0128】
発信機200は、歩行作業者が所持し、作業場内を移動する。発信機200は歩行者が手に持ってもよいし、ペンダントまたはヘルメットなどのように歩行者に装着されてもよい。
【0129】
位置把握システム300は、第二の受信部301、第二のID読取部302、位置判定部303、リスト作成部304および第二の通信部305を備える。位置把握システム300は、複数の第二の受信部301と、サーバー400で構成される。サーバー400には第二のID読取部302、位置判定部303、リスト作成部304および第二の通信部305が含まれ、サーバー400と第二の受信部301はイーサネットまたは無線LAN等によって通信可能である。各構成要素は実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0130】
本実施例の歩行者検知システムハードウェア構成は、実施例1と同様である(
図2〜
図4参照)。ただし、本実施例の発信機200の無線コントローラ1003は、通信部204を実現するために、無線信号の受信機能を有する。
【0131】
実施例1と同様、複数の第二の受信部301は作業場内に配置される。サーバー400は遠隔地に設置されてもよい。
【0132】
本実施例の位置把握システム300におけるリスト作成部304は、実施例1と同様の機能に加えて、発信機200の所在エリアと同一のエリアまたは隣接のエリアに所在が確認される受信機100のIDをリスト化して、第二の通信部305を通して発信機200に送信する。
【0133】
発信機200の第三の通信部204は、位置把握システム300の第二の通信部305からIDリストを受信する。
【0134】
本実施例の受信機100の第一の受信部101は受信頻度を変更可能である。受信頻度は例えば通常は1秒間に1回などと設定される。この場合、例えば、第一の受信部101は、1秒間に1回、所定の(1秒より十分に短い)時間だけ、無線信号の受信動作を行う。受信機100は、第一の通信部105がIDリストを受信し、IDリスト内に警戒すべき発信機200のIDが一つ以上ある場合、受信頻度を(例えば1秒間に10回などに)上げる。
【0135】
また、本実施例の発信機200の第二の送信部202は送信頻度を変更可能である。送信頻度は例えば通常は1秒間に1回などと設定される。発信機200は、第三の通信部204が受信したIDリスト内に警戒すべき受信機100のIDが一つ以上ある場合、送信頻度を(例えば1秒間に10回などに)上げる。
【0136】
図12は、本発明の実施例3の受信機100の動作を示すフローチャートである。
【0137】
受信機100は、処理開始ステップS1301から処理を開始する。
【0138】
初期設定ステップS1302では、受信機100は例えば1秒間に1回などの所定の初期値に受信頻度を決定する。
【0139】
頻度設定反映ステップS1303では、受信機100は決定された受信頻度を第一の受信部101に設定する。
【0140】
受信待機ステップS1304では、第一の受信部101が指定された受信頻度に応じた時間だけ待機を行う。
【0141】
信号受信ステップS1305では、第一の受信部101が信号を受信したかどうかを判定し、その結果に従って処理が分岐する。
【0142】
信号受信ステップS1305で信号が受信された場合、処理は連続受信回数増加ステップS1306に進み、受信機100は連続受信回数(すなわち受信機100がIDリストに含まれるIDを含む信号の受信に連続して成功した回数)のカウントを一つ上げる。なお、発信機200から送信される信号に、当該発信機200からの信号の送信頻度を示す情報が含まれる場合には、受信機100はその情報に基づいて信号の受信に連続して成功したか否かを判定してもよい。
【0143】
連続未受信回数リセットステップS1307では、受信機100が連続未受信回数(すなわち受信機100がIDリストに含まれるIDを含む信号の受信に連続して失敗した回数)のカウント値を0とする。
【0144】
連続受信回数判定ステップS1308では、受信機100が、連続受信回数のカウント値が所定値以上であるかを判定する。
【0145】
連続受信回数判定ステップS1308の判定が真であるならば、処理は高頻度設定ステップS1309に進み、受信機100は受信頻度を高く設定する。例えば、それまでの受信頻度が1秒間に1回に設定されていた場合に、その設定を1秒間に10回に変更してもよい。
【0146】
受信時処理ステップS1310では、
図10に示した処理と同様の受信時の処理が行われる。
【0147】
その後、処理は頻度設定反映ステップS1303に戻り、高頻度設定ステップS1309によって受信頻度の設定が行われていた場合はその設定が第一の受信部101に反映される。
【0148】
一方、信号受信ステップS1305で信号が受信されなかった場合、処理は連続未受信回数増加ステップS1311に進み、受信機100は連続未受信回数のカウントを一つ上げる。
【0149】
連続受信回数リセットステップS1312では、受信機100が連続受信回数のカウント値を0とする。
【0150】
連続未受信回数判定ステップS1313では、受信機100が、連続受信回数のカウント値が所定値以上であるかを判定する。
【0151】
連続未受信回数判定ステップS1313の判定が真であるならば、処理低頻度設定ステップS1314に進み、受信機100は受信頻度を低く設定する。例えば、それまでの受信頻度が1秒間に10回に設定されていた場合に、その設定を1秒間に1回に変更してもよい。
【0152】
その後、処理は頻度設定反映ステップS1303に戻り、低頻度設定ステップS1314によって受信頻度の設定が行われていた場合はその設定が第一の受信部101に反映される。
【0153】
受信機100における連続未受信回数が多いことは、当該受信機100が発信機200とすぐに接触する可能性が低いことを意味する。その場合、上記の処理によって信号を受信する処理を実行する頻度を低くすることによって、安全性に影響を与えずに受信機100の消費電力を低下させることができる。
【0154】
図13は、本発明の実施例3の発信機200の動作を示すフローチャートである。
【0155】
発信機200は、第三の通信部204によってIDリストを受信すると、リスト受信ステップS1401から処理を開始する。
【0156】
警戒判定ステップS1402では、発信機200は、受信した受信機100のIDリスト内に警戒すべき受信機100のIDが一つ以上含まれるかを判定する。本ステップでの別の判定方法として例えば、発信機200は、それぞれの受信機100について作成されたIDリストを受信し、いずれかの受信機100について作成されたIDリストに当該発信機200のIDが含まれる場合に、当該受信機100を警戒すべき受信機として特定してもよい。この場合、当該受信機100と当該発信機200との位置関係が所定の条件を満たす。
【0157】
警戒判定ステップS1402の判定が真であるならば、処理は高頻度設定ステップS1403に進み、発信機200は、送信部202が信号を送信する頻度を高く設定する。例えば、それまでの送信頻度が1秒間に1回に設定されていた場合に、その設定を1秒間に10回など、より高い頻度に変更してもよい。
【0158】
警戒判定ステップS1402の判定が偽であるならば、処理は低頻度設定ステップS1404に進み、発信機200は、送信部202が信号を送信する頻度を高く設定する。例えば、それまでの送信頻度が1秒間に10回に設定されていた場合に、その設定を1秒間に1回など、より低い頻度に変更してもよい。
【0159】
発信機200は、ステップS1403またはS1404において設定された送信頻度を示す情報を、その頻度で送信する信号に含めてもよい。
【0160】
終了ステップS1405によって処理が終了する。
【0161】
いずれの受信機100の警戒範囲にも入っていない発信機200は、いずれの受信機100ともすぐに接触する可能性が低いことから、上記の処理によって信号を送信する頻度を低くすることによって、安全性に影響を与えずに発信機200の消費電力を低下させることができる。
【0162】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0163】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0164】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。