特許第6636615号(P6636615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特許6636615動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置
<>
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000096
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000097
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000098
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000099
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000100
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000101
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000102
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000103
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000104
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000105
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000106
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000107
  • 特許6636615-動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置 図000108
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6636615
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/537 20140101AFI20200120BHJP
   H04N 19/52 20140101ALI20200120BHJP
   H04N 19/513 20140101ALI20200120BHJP
   H04N 19/46 20140101ALI20200120BHJP
【FI】
   H04N19/537
   H04N19/52
   H04N19/513
   H04N19/46
【請求項の数】34
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2018-508146(P2018-508146)
(86)(22)【出願日】2015年8月24日
(65)【公表番号】特表2018-529270(P2018-529270A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】CN2015087947
(87)【国際公開番号】WO2017031671
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2018年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ツアン、ホン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ハイタオ
【審査官】 岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−521324(JP,A)
【文献】 特表2009−533887(JP,A)
【文献】 特表2005−515728(JP,A)
【文献】 特表2005−513929(JP,A)
【文献】 特開2003−244704(JP,A)
【文献】 特表2003−532309(JP,A)
【文献】 特開平09−084017(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/188243(WO,A1)
【文献】 Ehsan Maani and Ali Tabatabai,Intra mode coding using logical mode numbering,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,8th Meeting: San Jose, CA, USA,2012年 1月,JCTVC-H0407,pp.1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 − 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動きベクトル場符号化方法であって、
現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する段階であって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する段階であって、前記予測情報は、前記予測信号を取得するのに必要な情報を示すために使用され、および、フレーム内予測モードのインデックスを含み、前記フレーム内予測モードは、前記現在の動きベクトル場のフレーム内予測に適用され、前記現在の動きベクトル場ブロックの前記予測信号は、前記インデックスにより指定される前記フレーム内予測モードに応じて参照動きベクトル場ブロックから取得される、段階と、
前記予測信号および前記元の信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する段階であって、前記予測残差信号は、前記元の信号と前記予測信号との間の残差を示すために使用される、段階と、
前記予測情報および前記予測残差信号をビットストリームに書き込む段階と
を備える動きベクトル場符号化方法。
【請求項2】
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する前記段階は、
前記現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得する段階であって、前記第1参照動きベクトル場は、符号化されて再構成された動きベクトル場であり、前記第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームに対応する動きベクトル場であり、前記時点t1における前記映像フレームは、前記時点tにおける前記映像フレームに近い映像フレームである、段階と、
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階であって、前記時点t2は、前記第1参照動きベクトル場に対応する前記映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームに対応する時点である、段階と、
前記第2参照動きベクトル場に従って前記予測信号を取得する段階であって、前記予測信号は、前記第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含み、前記第2参照動きベクトル場における前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックの座標範囲は、前記現在の動きベクトル場における前記現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一である、段階と、
前記第1参照動きベクトル場に従って、前記予測情報を取得する段階であって、前記予測情報は、前記第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む、段階と
を有する、請求項1に記載の動きベクトル場符号化方法。
【請求項3】
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、数式
【数1】
に従う計算を用いて、前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得する段階であって、
【数2】
は、前記第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、前記第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である前記第2サンプリング点の前記動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、前記第2サンプリング点の位置と同一である、段階を有する、請求項2に記載の動きベクトル場符号化方法。
【請求項4】
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、
前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定する段階であって、前記第2サンプリング点の位置は、前記第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の前記移動ベクトルは、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、段階と、
前記少なくとも2つの第1サンプリング点の前記動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を前記第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階と
を有する、請求項2に記載の動きベクトル場符号化方法。
【請求項5】
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、
前記第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得する段階であって、前記第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、前記目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は前記第1サンプリング点の動きベクトルである、段階と、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、前記第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、前記少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階と
を有する、請求項2に記載の動きベクトル場符号化方法。
【請求項6】
動きベクトル場符号化方法であって、
現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する段階であって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する段階であって、前記予測情報は、前記予測信号を取得するのに必要な情報を示すために使用される、段階と、
前記予測信号および前記元の信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する段階であって、前記予測残差信号は、前記元の信号と前記予測信号との間の残差を示すために使用される、段階と、
前記予測情報および前記予測残差信号をビットストリームに書き込む段階と
を備え、
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する前記段階は、
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階であって、前記方向係数は、前記現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される、段階と、
前記第1成分の再構成値を取得する段階と、
前記第1成分の前記再構成値、および、前記方向係数に従って、前記予測信号を計算する段階であって、前記予測信号は、前記第2成分の予測子を含む、段階と、
前記方向係数に従って、前記予測情報を取得する段階であって、前記予測情報は、前記方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む、段階と
を有する、動きベクトル場符号化方法。
【請求項7】
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する前記段階は、
前記元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、
前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分を前記独立変数に対応する関数値として使用して、前記独立変数および前記関数値をフィッティングする段階と、
フィッティングを用いて取得した、前記予め設定された関数の係数を前記方向係数として使用する段階と
を有する、請求項6に記載の動きベクトル場符号化方法。
【請求項8】
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する前記段階は、
前記元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、
前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分を、前記独立変数に対応する関数値として使用して、前記独立変数および前記関数値をフィッティングする段階と、
前記現在の動きベクトル場にあり、かつ、前記現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階と、
フィッティングを用いて取得される関数係数、および、前記少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を、前記現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、
前記候補方向係数セットの前記候補方向係数に対応する前記現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得して、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する段階と
を有する、請求項6に記載の動きベクトル場符号化方法。
【請求項9】
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する前記段階は、前記現在の動きベクトル場にある、前記現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する段階を有する、請求項6に記載の動きベクトル場符号化方法。
【請求項10】
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する前記段階は、
前記現在の動きベクトル場にある、前記現在の動きベクトル場ブロックに隣接する、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数が、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、
前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、
前記元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、
前記少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第1成分と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率を、前記候補方向係数セットの候補方向係数として使用するか、または、
前記少なくとも1つのサンプリング点が少なくとも2つのサンプリング点であるとき、前記少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率の平均値を前記候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、
前記候補方向係数セットの前記候補方向係数に対応する前記現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する段階と
を実行する段階を有する、請求項6に記載の動きベクトル場符号化方法。
【請求項11】
動きベクトル場復号方法であって、
現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する段階であって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、
前記予測情報に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階であって、前記予測情報は、フレーム内予測モードのインデックスを含み、前記フレーム内予測モードは、前記現在の動きベクトル場のフレーム内予測に適用され、前記現在の動きベクトル場ブロックの前記予測信号は、前記インデックスにより指定される前記フレーム内予測モードに応じて参照動きベクトル場ブロックから取得される、段階と、
前記予測信号および前記予測残差信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する段階と
を備える動きベクトル場復号方法。
【請求項12】
前記予測情報は、前記動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含み、
前記予測情報に従って前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する前記段階は、
前記予測情報に従って前記第1参照動きベクトル場を取得する段階であって、前記第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場である、段階と、
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階であって、前記時点t2は、前記第1参照動きベクトル場に対応する前記映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点である、段階と、
前記第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得する段階であって、前記第2参照動きベクトル場における前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックの座標範囲は、前記現在の動きベクトル場における前記現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、前記予測信号は、前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックを含む、段階と
を有する、請求項11に記載の動きベクトル場復号方法。
【請求項13】
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、数式
【数1】
に従う計算を用いて、前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得する段階であって、
【数2】
は、前記第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、前記第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である前記第2サンプリング点の前記動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、前記第2サンプリング点の位置と同一である、段階を有する、請求項12に記載の動きベクトル場復号方法。
【請求項14】
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、
前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定する段階であって、前記第2サンプリング点の位置は、前記第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の前記移動ベクトルは、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、段階と、
前記少なくとも2つの第1サンプリング点の前記動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を前記第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階と
を有する、請求項12に記載の動きベクトル場復号方法。
【請求項15】
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、
前記第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得する段階であって、前記第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、前記目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は前記第1サンプリング点の動きベクトルである、段階と、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、前記第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、前記少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階と
を有する、請求項12に記載の動きベクトル場復号方法。
【請求項16】
動きベクトル場復号方法であって、
現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する段階であって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、
前記予測情報に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階と、
前記予測信号および前記予測残差信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する段階と
を備え、
前記予測情報は、前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含み、前記方向係数は、前記現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用され、
前記予測情報に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する前記段階は、
前記第1成分の再構成値を取得し、前記方向係数、および、前記第1成分の前記再構成値に従って、前記第2成分の予測子を計算する段階であって、前記予測信号は、前記第2成分の前記予測子を含む、段階を有する、
きベクトル場復号方法。
【請求項17】
前記方向係数情報は、前記現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、前記方向係数は、前記再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含むか、または、
前記方向係数情報は、前記方向係数の値を含む、
請求項16に記載の動きベクトル場復号方法。
【請求項18】
符号化装置であって、
現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する第1取得モジュールであって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する第2取得モジュールであって、前記予測情報は、前記予測信号を取得するために必要な情報を示すために使用され、および、フレーム内予測モードのインデックスを含み、前記フレーム内予測モードは、前記現在の動きベクトル場のフレーム内予測に適用され、前記現在の動きベクトル場ブロックの前記予測信号は、前記インデックスにより指定される前記フレーム内予測モードに応じて参照動きベクトル場ブロックから取得される、第2取得モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測信号、および、前記第1取得モジュールによって取得される前記元の信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する計算モジュールであって、前記予測残差信号は、前記元の信号と前記予測信号との間の残差を示すために使用される、計算モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測情報、および、前記計算モジュールによる計算を用いて取得される前記予測残差信号をビットストリームに書き込む符号化モジュールと
を備える符号化装置。
【請求項19】
前記第2取得モジュールは、
前記現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得することであって、前記第1参照動きベクトル場は、符号化されて再構成された動きベクトル場であり、前記第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームに対応する動きベクトル場であり、前記時点t1における前記映像フレームは、前記時点tにおける前記映像フレームに近い映像フレームである、ことと、
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することであって、前記時点t2は、前記第1参照動きベクトル場に対応する前記映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームに対応する時点であり、ことと、
前記第2参照動きベクトル場に従って前記予測信号を取得することであって、前記予測信号は、前記第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含み、前記第2参照動きベクトル場における前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックの座標範囲は、前記現在の動きベクトル場における前記現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一である、ことと、
前記第1参照動きベクトル場に従って前記予測情報を取得することであって、前記予測情報は、前記第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む、ことと
を行う、請求項18に記載の符号化装置。
【請求項20】
前記第2取得モジュールは、数式
【数1】
に従う計算を用いて前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得し、
【数2】
は、前記第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、前記第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である前記第2サンプリング点の前記動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、前記第2サンプリング点の位置と同一である、請求項19に記載の符号化装置。
【請求項21】
前記第2取得モジュールは、前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定し、前記第2サンプリング点の位置は、前記第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の前記移動ベクトルは、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積であり、
前記少なくとも2つの第1サンプリング点の前記動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を前記第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する、
請求項19に記載の符号化装置。
【請求項22】
前記第2取得モジュールは、前記第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得することであって、前記第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、前記目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は前記第1サンプリング点の動きベクトルである、ことと、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、前記第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、前記少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することと
を行う、請求項19に記載の符号化装置。
【請求項23】
符号化装置であって、
現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する第1取得モジュールであって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する第2取得モジュールであって、前記予測情報は、前記予測信号を取得するために必要な情報を示すために使用される、第2取得モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測信号、および、前記第1取得モジュールによって取得される前記元の信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する計算モジュールであって、前記予測残差信号は、前記元の信号と前記予測信号との間の残差を示すために使用される、計算モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測情報、および、前記計算モジュールによる計算を用いて取得される前記予測残差信号をビットストリームに書き込む符号化モジュールと
を備え、
前記第2取得モジュールは、
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得することであって、前記方向係数は、前記現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される、ことと、
前記第1成分の再構成値を取得することと、
前記第1成分の前記再構成値、および、前記方向係数に従って、前記予測信号を計算することであって、前記予測信号は、前記第2成分の予測子を含む、ことと、
前記方向係数に従って、前記予測情報を取得することであって、前記予測情報は、前記方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む、ことと
を行う、符号化装置。
【請求項24】
前記第2取得モジュールは、前記元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、
前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分を、前記独立変数に対応する関数値として使用し、前記独立変数および前記関数値をフィッティングすることと、
フィッティングを用いて取得される前記予め設定された関数の係数を前記方向係数として使用することと、
を行う、請求項23に記載の符号化装置。
【請求項25】
前記第2取得モジュールは、
前記元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得し、
前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分を、前記独立変数に対応する関数値として使用して、前記独立変数および前記関数値をフィッティングし、
前記現在の動きベクトル場にあり、かつ、前記現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を取得し、
フィッティングを用いて取得される関数係数、および、前記少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を、前記現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用し、
前記候補方向係数セットの前記候補方向係数に対応する前記現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得して、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する、
請求項23に記載の符号化装置。
【請求項26】
前記第2取得モジュールは、前記現在の動きベクトル場にある、前記現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する、請求項23に記載の符号化装置。
【請求項27】
前記第2取得モジュールは、
前記現在の動きベクトル場にある、前記現在の動きベクトル場ブロックに隣接する、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数が、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、
前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、
前記元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、
前記少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第1成分と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率を、前記候補方向係数セットの候補方向係数として使用するか、または、
前記少なくとも1つのサンプリング点が少なくとも2つのサンプリング点であるとき、前記少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率の平均値を前記候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、
前記候補方向係数セットの前記候補方向係数に対応する前記現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用することと
を実行するように構成される、請求項23に記載の符号化装置。
【請求項28】
復号装置であって、
現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する第1取得モジュールであって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、
前記第1取得モジュールによって取得される前記予測情報に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する第2取得モジュールであって、前記予測情報は、フレーム内予測モードのインデックスを含み、前記フレーム内予測モードは、前記現在の動きベクトル場のフレーム内予測に適用され、前記現在の動きベクトル場ブロックの前記予測信号は、前記インデックスにより指定される前記フレーム内予測モードに応じて参照動きベクトル場ブロックから取得される、第2取得モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測信号、および、前記第1取得モジュールによって取得される前記予測残差信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する計算モジュールと
を備える復号装置。
【請求項29】
前記予測情報は、前記動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含み、
前記第2取得モジュールは、
前記予測情報に従って前記第1参照動きベクトル場を取得することであって、前記第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場である、ことと、
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することであって、前記時点t2は、前記第1参照動きベクトル場に対応する前記映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点である、ことと、
前記第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得することであって、前記第2参照動きベクトル場における前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックの座標範囲は、前記現在の動きベクトル場における前記現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、前記予測信号は、前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックを含む、ことと
を行う、請求項28に記載の復号装置。
【請求項30】
前記第2取得モジュールは、数式
【数1】
に従う計算を用いて前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得し、
【数2】
は、前記第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、前記第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である前記第2サンプリング点の前記動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、前記第2サンプリング点の位置と同一である、請求項29に記載の復号装置。
【請求項31】
前記第2取得モジュールは、前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定することであって、前記第2サンプリング点の位置は、前記第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の前記移動ベクトルは、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、ことと、
前記少なくとも2つの第1サンプリング点の前記動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を前記第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することと
を行う、請求項29に記載の復号装置。
【請求項32】
前記第2取得モジュールは、前記第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得することであって、前記第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、前記目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は前記第1サンプリング点の動きベクトルである、ことと、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、前記第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、前記少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することと
を行う、請求項29に記載の復号装置。
【請求項33】
復号装置であって、
現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する第1取得モジュールであって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、
前記第1取得モジュールによって取得される前記予測情報に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する第2取得モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測信号、および、前記第1取得モジュールによって取得される前記予測残差信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する計算モジュールと
を備え、
前記予測情報は、前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含み、前記方向係数は、前記現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用され、
前記第2取得モジュールは、前記第1成分の再構成値を取得し、前記方向係数、および、前記第1成分の前記再構成値に従って、前記第2成分の予測子を計算し、前記予測信号は、前記第2成分の前記予測子を含む、
号装置。
【請求項34】
前記方向係数情報は、前記現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、前記方向係数は、前記再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含むか、または、
前記方向係数情報は、前記方向係数の値を含む、
請求項33に記載の復号装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術の分野に関連し、具体的には、動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
国際電気通信連合(nternational telegraph union、略称:ITU)が1984年に最初の国際映像符号化規格H.120を策定して以来、映像符号化技術は急速かつ飛躍的に発達し、現代の情報技術にとって不可欠かつ重要な部分となった。インターネット(nternet)、無線通信ネットワーク、およびデジタル放送ネットワークの急速な発展の結果、人々がマルチメディアの情報を取得することに対する要求が増大している。映像符号化技術は、映像情報の有効な伝送および記憶のための重要な技術の1つである。
【0003】
動きベクトル場圧縮は、大部分の映像符号化ソリューションの重要な部分である。映像符号化において、1つの動きシナリオに対応する映像は、一連の映像フレームを含み、各映像フレームは静止画像を含む。一連の映像フレームは、連続する画像を比較的迅速に表示することによって、例えば、連続する画像を1秒あたり15フレームから30フレームのレートで表示させることによって、動きの錯覚をもたらす。比較的高いフレームレートに起因して、一連の映像フレームのすべてにおける画像は、類似性が非常に高い。一連の映像フレームから1つの映像フレームが参照画像として選択され、一連の映像フレームにおける別の映像フレームの動きベクトル場は、参照画像に対する、映像フレームの変位についての情報を示す。映像フレームは、参照画像に隣接する画像であっても、参照画像に隣接する画像でなくてもよいことに留意すべきである。
【0004】
具体的には、1つの映像フレームは、複数の画素を含む。映像フレームにおける画像は、複数の画像単位に分割され得る。各画像単位は、少なくとも1つの画素を含み、各画像単位におけるすべての画素の動きベクトルは同一である。すなわち、1つの画像単位は1つの動きベクトルを有する。映像フレームの動きベクトル場は、すべての画像単位の動きベクトルを含む。
【0005】
しかしながら、動きベクトル場を有効に圧縮するための方法は現在存在しない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、動きベクトル場の符号化方法、復号方法、符号化装置、および復号装置を提供し、これにより、動きベクトル場圧縮効率を改善する。
【0007】
本発明の実施形態の第1態様は、映像符号化方法であって、現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する段階であって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する段階であって、予測情報は、予測信号を取得するのに必要な情報を示すために使用され、および、フレーム内予測モードのインデックスを含み、フレーム内予測モードは、現在の動きベクトル場のフレーム内予測に適用され、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号は、インデックスにより指定されるフレーム内予測モードに応じて参照動きベクトル場ブロックから取得される、段階と、予測信号および元の信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する段階であって、予測残差信号は、元の信号と予測信号との間の残差を示すために使用される、段階と、予測情報および予測残差信号をビットストリームに書き込む段階とを備える映像符号化方法を提供する。
【0008】
第1態様に関連して、第1態様の第1の可能な実装において、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する段階は、現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得する段階であって、第1参照動きベクトル場は、符号化されて再構成された動きベクトル場であり、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームに対応する動きベクトル場であり、時点t1における映像フレームは、時点tにおける映像フレームに近い映像フレームである、段階と、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階であって、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームに対応する時点である、段階と、第2参照動きベクトル場に従って予測信号を取得する段階であって、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含み、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一である、段階と、第1参照動きベクトル場に従って、予測情報を取得する段階であって、予測情報は、第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む、段階とを有する。
【0009】
第1態様の第1の可能な実装に関連して、第1態様の第2の可能な実装において、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、数式
【数1】
に従う計算を用いて、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得する段階であって、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である、段階を有する。
【0010】
第1態様の第1の可能な実装に関連して、第1態様の第3の可能な実装において、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定する段階であって、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、段階と、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階とを有する。
【0011】
第1態様の第1の可能な実装に関連して、第1態様の第4の可能な実装において、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得する段階であって、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルである、段階と、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階とを有する。
【0012】
第1態様に関連して、第1態様の第5の可能な実装において、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する段階は、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階であって、方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される、段階と、第1成分の再構成値を取得する段階と、第1成分の再構成値、および、方向係数に従って、予測信号を計算する段階であって、予測信号は、第2成分の予測子を含む、段階と、方向係数に従って、予測情報を取得する段階であって、予測情報は、方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む、段階とを有する。
【0013】
第1態様の第5の可能な実装に関連して、第1態様の第6の可能な実装において、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階は、元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を独立変数に対応する関数値として使用して、独立変数および関数値をフィッティングする段階と、フィッティングを用いて取得した、予め設定された関数の係数を方向係数として使用する段階とを有する。
【0014】
第1態様の第5の可能な実装に関連して、第1態様の第7の可能な実装において、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階は、元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を、独立変数に対応する関数値として使用して、独立変数および関数値をフィッティングする段階と、現在の動きベクトル場にあり、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階と、フィッティングを用いて取得される関数係数、および、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得して、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用する段階とを有する。
【0015】
第1態様の第5の可能な実装に関連して、第1態様の第8の可能な実装において、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階は、現在の動きベクトル場にある、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用する段階を有する。
【0016】
第1態様の第5の可能な実装に関連して、第1態様の第9の可能な実装において、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階は、現在の動きベクトル場にある、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、サンプリング点の動きベクトルの第1成分と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用するか、または、少なくとも1つのサンプリング点が少なくとも2つのサンプリング点であるとき、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率の平均値を候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用する段階とを実行する段階を有する。
【0017】
本発明の実施形態の第2態様は、動きベクトル場復号方法であって、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する段階であって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階であって、予測情報は、フレーム内予測モードのインデックスを含み、フレーム内予測モードは、現在の動きベクトル場のフレーム内予測に適用され、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号は、インデックスにより指定されるフレーム内予測モードに応じて参照動きベクトル場ブロックから取得される、段階と、予測信号および予測残差信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する段階とを備える動きベクトル場復号方法を提供する。
【0018】
第2態様に関連して、第2態様の第1の可能な実装において、予測情報は、動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含み、予測情報に従って現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階は、予測情報に従って第1参照動きベクトル場を取得する段階であって、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場である、段階と、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階であって、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点である、段階と、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得する段階であって、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含む、段階とを有する。
【0019】
第2態様の第1の可能な実装に関連して、第2態様の第2の可能な実装において、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、数式
【数1】
に従う計算を用いて、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得する段階であって、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である、段階を有する。
【0020】
第2態様の第1の可能な実装に関連して、第2態様の第3の可能な実装において、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定する段階であって、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、段階と、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階とを有する。
【0021】
第2態様の第1の可能な実装に関連して、第2態様の第4の可能な実装において、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得する段階であって、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルである、段階と、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階とを有する。
【0022】
第2態様に関連して、第2態様の第5の可能な実装において、予測情報は、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含み、方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用され、予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階は、第1成分の再構成値を取得し、方向係数、および、第1成分の再構成値に従って、第2成分の予測子を計算する段階であって、予測信号は、第2成分の予測子を含む、段階を有する。
【0023】
第2態様の第5の可能な実装に関連して、第2態様の第6の可能な実装において、方向係数情報は、現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、方向係数は、再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含むか、または、方向係数情報は、方向係数の値を含む。
【0024】
本発明の実施形態の第3態様は、符号化装置であって、現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得するように構成される第1取得モジュールであって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得するように構成される第2取得モジュールであって、予測情報は、予測信号を取得するために必要な情報を示すために使用され、および、フレーム内予測モードのインデックスを含み、フレーム内予測モードは、現在の動きベクトル場のフレーム内予測に適用され、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号は、インデックスにより指定されるフレーム内予測モードに応じて参照動きベクトル場ブロックから取得される、第2取得モジュールと、第2取得モジュールによって取得される予測信号、および、第1取得モジュールによって取得される元の信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算するように構成される計算モジュールであって、予測残差信号は、元の信号と予測信号との間の残差を示すために使用される、計算モジュールと、第2取得モジュールによって取得される予測情報、および、計算モジュールによる計算を用いて取得される予測残差信号をビットストリームに書き込むように構成される符号化モジュールとを備える符号化装置を提供する。
【0025】
第3態様に関連して、第3態様の第1の可能な実装において、第2取得モジュールは、現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得するように構成され、第1参照動きベクトル場は、符号化されて再構成された動きベクトル場であり、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームに対応する動きベクトル場であり、時点t1における映像フレームは、時点tにおける映像フレームに近い映像フレームであり、第2取得モジュールは、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得するように構成され、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームに対応する時点であり、第2取得モジュールは、第2参照動きベクトル場に従って予測信号を取得するように構成され、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含み、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、第2取得モジュールは、第1参照動きベクトル場に従って、予測情報を取得するように構成され、予測情報は、第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む。
【0026】
第3態様の第1の可能な実装に関連して、第3態様の第2の可能な実装において、第2取得モジュールは、数式
【数1】
に従う計算を用いて第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得するように構成され、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である。
【0027】
第3態様の第1の可能な実装に関連して、第3態様の第3の可能な実装において、第2取得モジュールは、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定するように構成され、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積であり、第2取得モジュールは、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するように構成される。
【0028】
第3態様の第1の可能な実装に関連して、第3態様の第4の可能な実装において、第2取得モジュールは、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得するように構成され、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルであり、第2取得モジュールは、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するように構成される。
【0029】
第3態様に関連して、第3態様の第5の可能な実装において、第2取得モジュールは、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得するように構成され、方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用され、第2取得モジュールは、第1成分の再構成値を取得するように構成され、第2取得モジュールは、第1成分の再構成値、および、方向係数に従って、予測信号を計算するように構成され、予測信号は、第2成分の予測子を含み、第2取得モジュールは、方向係数に従って、予測情報を取得するように構成され、予測情報は、方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む。
【0030】
第3態様の第5の可能な実装に関連して、第3態様の第6の可能な実装において、第2取得モジュールは、元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得するように構成され、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を、独立変数に対応する関数値として使用し、独立変数および関数値をフィッティングするように構成され、フィッティングを用いて取得される予め設定された関数の係数を方向係数として使用するように構成される。
【0031】
第3態様の第5の可能な実装に関連して、第3態様の第7の可能な実装において、第2取得モジュールは、元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得するように構成され、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を、独立変数に対応する関数値として使用して、独立変数および関数値をフィッティングするように構成され、現在の動きベクトル場にあり、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を取得するように構成され、フィッティングを用いて取得される関数係数、および、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用するように構成され、候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得して、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用するように構成される。
【0032】
第3態様の第5の可能な実装に関連して、第3態様の第8の可能な実装において、第2取得モジュールは、現在の動きベクトル場にある、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用するように構成される。
【0033】
第3態様の第5の可能な実装に関連して、第3態様の第9の可能な実装において、第2取得モジュールは、現在の動きベクトル場にある、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、サンプリング点の動きベクトルの第1成分と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用するか、または、少なくとも1つのサンプリング点が少なくとも2つのサンプリング点であるとき、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率の平均値を候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用することとを実行するように構成される。
【0034】
本発明の実施形態の第4態様は、復号装置であって、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得するように構成される第1取得モジュールであって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得するように構成される第2取得モジュールであって、予測情報は、フレーム内予測モードのインデックスを含み、フレーム内予測モードは、現在の動きベクトル場のフレーム内予測に適用され、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号は、インデックスにより指定されるフレーム内予測モードに応じて参照動きベクトル場ブロックから取得される、第2取得モジュールと、第2取得モジュールによって取得される予測信号、および、第1取得モジュールによって取得される予測残差信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算するように構成される計算モジュールとを備える復号装置を提供する。
【0035】
第4態様に関連して、第4態様の第1の可能な実装において、予測情報は、動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含み、第2取得モジュールは、予測情報に従って第1参照動きベクトル場を取得するように構成され、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場であり、第2取得モジュールは、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得するように構成され、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点であり、第2取得モジュールは、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得するように構成され、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含む。
【0036】
第4態様の第1の可能な実装に関連して、第4態様の第2の可能な実装において、第2取得モジュールは、数式
【数1】
に従う計算を用いて第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得するように構成され、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である。
【0037】
第4態様の第1の可能な実装に関連して、第4態様の第3の可能な実装において、第2取得モジュールは、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定するように構成され、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積であり、第2取得モジュールは、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するように構成される。
【0038】
第4態様の第1の可能な実装に関連して、第4態様の第4の可能な実装において、第2取得モジュールは、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得するように構成され、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルであり、第2取得モジュールは、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するように構成される。
【0039】
第4態様に関連して、第4態様の第5の可能な実装において、予測情報は、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含み、方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用され、第2取得モジュールは、第1成分の再構成値を取得し、方向係数、および、第1成分の再構成値に従って、第2成分の予測子を計算するように構成され、予測信号は、第2成分の予測子を含む。
【0040】
第4態様の第5の可能な実装に関連して、第4態様の第6の可能な実装において、方向係数情報は、現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、方向係数は、再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含むか、または、方向係数情報は、方向係数の値を含む。
【0041】
上記の技術的解決法から、本発明の実施形態は以下の利点を有することが理解され得る。
【0042】
本発明の実施形態において、現在のブロックの符号化の間、現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を符号化する必要が無く、代わりに、予測情報および予測残差信号が符号化される。したがって、動きベクトル場圧縮効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明に係る、動きベクトル場符号化方法の実施形態のフローチャートである。
【0044】
図2】連続分割および離散分割の模式図である。
【0045】
図3図1に示される実施形態における、現在のブロックの予測信号を取得する実施形態のフローチャートである。
【0046】
図4図3に示される実施形態における、第1セット内の各第1サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する実施形態のフローチャートである。
【0047】
図5図1に示される実施形態における、現在のブロックの予測信号を取得する実施形態のフローチャートである。
【0048】
図6図5に示される実施形態における現在のブロックの方向係数を取得する実施形態のフローチャートである。
【0049】
図7図5に示される実施形態における、現在のブロックの方向係数を取得する別の実施形態のフローチャートである。
【0050】
図8図5に示される実施形態における現在のブロックの方向係数を取得する別の実施形態のフローチャートである。
【0051】
図9】本発明に係る動きベクトル場復号方法の実施形態のフローチャートである。
【0052】
図10】本発明に係る符号化装置の実施形態の概略構造図である。
【0053】
図11】本発明に係る復号装置の実施形態の概略構造図である。
【0054】
図12】本発明に係る符号化装置の別の実施形態の構造ブロック図である。
【0055】
図13】本発明に係る復号装置の別の実施形態の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
当業者が本発明の解決法をより良く理解できるように、以下では、本発明の実施形態における添付図面を参照しながら、本発明の実施形態における技術的解決法を明確かつ完全に説明する。説明される実施形態が、本発明の実施形態のすべてではなく一部であるに過ぎないことは明らかである。 創造的努力なく本発明の実施形態に基づいて当業者によって得られるすべての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0057】
以下では、詳細な説明を個別に提供する。
【0058】
本発明の明細書、特許請求の範囲、および添付図面における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、異なる対象を区別することを意図するものであり、具体的な順序を示すものではない。加えて、「備える」、「有する」、「含む」などの用語、および、それらのいずれかの他の変形は、非排他的な包含を含むことを意図するものである。例えば、一連の段階またはユニットを含む、プロセス、方法、システム、製品、もしくは装置は、列挙された段階またはユニットに限定されるものではなく、任意で、列挙されていない段階もしくはユニットをさらに含むか、または、任意で、プロセス、方法、製品、もしくは装置に固有である別の段階もしくはユニットをさらに含む。
【0059】
以下では、本発明の実施形態において提供される動きベクトル場符号化方法を最初に説明する。本発明の実施形態において提供される動きベクトル場符号化方法は、符号化装置によって実行される。符号化装置は、映像を出力または記憶する必要がある任意の装置、例えば、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、またはビデオサーバなどの装置であり得る。
【0060】
本発明における動きベクトル場符号化方法の実施形態において、動きベクトル場符号化方法は、現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する段階であって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する段階であって、予測情報は、予測信号を取得するのに必要な情報を示すために使用される、段階と、予測信号および元の信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する段階であって、予測残差信号は、元の信号と予測信号との間の残差を示すために使用される、段階と、予測情報および予測残差信号をビットストリームに書き込む段階とを備える。
【0061】
第1に、図1を参照すると、図1は、本発明の実施形態において提供される動きベクトル場符号化方法の概略フローチャートである。図1に示されるように、本発明のこの実施形態において提供される動きベクトル場符号化方法は、以下の内容を備え得る。
【0062】
101:現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する。
【0063】
動きベクトル場は、別の画像に対する、画像の動き情報である。映像圧縮において、動きベクトル場は、目標映像フレームの参照映像フレームに対する、目標映像フレームの動き情報を記述するために使用される。目標映像フレームは、複数の画像ブロックを含み、各画像ブロックは、参照映像フレームにおいて、対応するマッチブロックを有する。動きベクトル場におけるサンプリング点と、目標映像フレームにおける画像ブロックとの間には、1対1の対応がある。各サンプリング点の値は、サンプリング点に対応する画像ブロックの動きベクトルであり、動きベクトルは、参照映像フレームにおける画像ブロックのマッチブロックに対する画像ブロックの変位についての情報である。
【0064】
この実施形態において、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトルの圧縮の間、動きベクトル場は、異なる動きベクトル場ブロックに分割され、各動きベクトル場ブロックに対して圧縮符号化を実行することによって、動きベクトル場に対して圧縮符号化が実行される。1つの動きベクトル場ブロックは、少なくとも1つのサンプリング点を含む。以下では、説明を容易にするために、現在の圧縮予定の動きベクトル場ブロックを現在のブロックと呼び、現在のブロックが位置する動きベクトル場を現在の場と呼ぶ。
【0065】
動きベクトル場が異なる動きベクトル場ブロックに分割されるとき、動きベクトル場ブロックは、必ずしも、動きベクトル場に対応する映像フレームを分割することによって取得される画像ブロックに対応する必要はないことに留意すべきである。動きベクトル場をブロックに分割する方法については、映像フレームをブロックに分割する方法を参照されたい。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0066】
102:現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する。
【0067】
予測信号を取得するための複数の方法が存在する。例えば、映像フレームの35フレーム内予測モードが、現在のHEVC規格において提供される。35フレーム内予測モードは、33方向予測モード、Intra_DCモード、およびIntra_Planarモードを含む。この実施形態において、動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する間、フレーム内予測モードが、現在の場のフレーム内予測に適用される。
【0068】
具体的には、1つのフレーム内予測モードが決定され、現在の場にある、現在のブロックに近い、少なくとも1つの符号化されて再構成された動きベクトル場ブロックが、現在のブロックの参照動きベクトル場ブロックとして使用され、現在のブロックの予測信号は、フレーム内予測モードおよび参照動きベクトル場ブロックに従って取得される。
【0069】
現在のブロックに近い動きベクトル場ブロックは、動きベクトル場ブロックに隣接する(すなわち、動きベクトル場ブロックに相接する)動きベクトル場ブロックであり得るか、または、予め設定された数の動きベクトル場ブロックだけ現在のブロックから隔てられている動きベクトル場ブロックであり得る。これは、本明細書において、限定されるものではない。実際の適用において、現在の場におけるすべての動きベクトル場ブロックは、左から右、および、上から下の順に符号化される。したがって、概して、現在のブロックの左、現在のブロックの左下、現在のブロックの上、または現在のブロックの右上にあり、隣接する、符号化されて再構成された動きベクトル場ブロックが、参照動きベクトル場ブロックとして使用される。
【0070】
予測モードおよび参照動きベクトル場ブロックに従って予測信号を計算するための複数の方法が存在する。例えば、取得されたフレーム内予測モードは、33方向予測モードにおける水平予測モードである。この場合、現在のブロックの参照動きベクトル場ブロックは、現在のブロックと同一の行に位置する、かつ、現在のブロックの左の第1の動きベクトル場ブロックである、動きベクトル場ブロックである。参照動きベクトル場ブロックの再構成信号は、現在のブロックの予測信号として使用される。
【0071】
別の例として、取得されるフレーム内予測モードは、Intra_DCモードである。現在のブロックの参照動きベクトル場ブロックが取得された後、参照動きベクトル場ブロックの再構成画素の平均値が、現在のブロックの予測信号として使用される。
【0072】
次に、対応して、予測情報は、フレーム内予測モードのインデックス、および、参照動きベクトル場ブロックのインデックスである。
【0073】
代替的に、予測情報は、参照動きベクトル場ブロックのインデックスを含まないことがあり得る。符号化装置および復号装置は、各フレーム内予測モードに対応する、かつ、現在のブロックに使用される参照動きベクトル場ブロックの、現在のブロックに対する位置を予め決定する。この実施形態において、符号化装置および復号装置はさらに、各フレーム内予測モードに対応する予測信号計算方法を予め設定する。このように、予測情報を受信後、復号装置は、予め設定された計算方法を使用することによって、予測情報における予測モードおよび参照動きベクトル場ブロックのインデックスに従って予測信号を計算する。
【0074】
実際の適用において、現在のブロックの予測信号を取得する間、1つのフレーム内予測モードが直接決定され得る。現在のブロックの予測信号は、フレーム内予測モードを使用することによって計算され、フレーム内予測モードのインデックスは予測情報に追加される。代替的に、すべてのフレーム内予測モードが走査(traverse)され得て、現在のブロックの予測信号は、すべてのフレーム内予測モードを使用することによって計算され、現在のブロックの元の信号のエネルギーとの差(すなわち、後述する予測残差信号)が最小であるエネルギーを有する予測信号に対応するフレーム内予測モードのインデックスが予測情報に追加される。後続の予測残差信号は、予測信号を使用することによって計算される。
【0075】
103:予測信号および元の信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する。
【0076】
予測残差信号は、元の信号と予測信号との間の差を示すために使用される。予測信号は、予測情報に従って取得される予測信号である。現在のブロックの予測信号が取得された後に、現在のブロックの元の信号と予測信号との間の差が計算され、これにより、現在のブロックの予測残差信号が取得される。
【0077】
現在のブロックの元の信号と予測信号との間の差を計算するための方法は、従来技術に属し、詳細は本明細書において説明されない。
【0078】
104:予測情報および予測残差信号をビットストリームに書き込む。
【0079】
復号装置は、予測情報に従って、現在のブロックに対して予測を実行することによって、現在のブロックの予測信号を取得し得て、これにより、現在のブロックの予測残差信号に関連して、現在の場の元の信号を計算できる。したがって、符号化装置は、現在のブロックに対して圧縮符号化を実行するとき、予測情報および予測残差信号をビットストリームに書き込み、ビットストリームを復号装置に送信するだけで、復号装置が、現在のブロックの元の信号を取得できる。
【0080】
この実施形態において、予測残差信号の符号化については、映像規格における、映像フレームの予測残差信号の符号化を参照されたい。実際の適用において、予測残差信号の符号化中、予測残差信号が最初に圧縮され、次に、圧縮されたデータがビットストリームに書き込まれる。
【0081】
予測残差信号の圧縮は、概して、非可逆圧縮および可逆圧縮に分類される。可逆圧縮とは、圧縮後に、再構成された動きベクトル場信号が、元の信号と厳密に同一であり、情報損失が存在しないことを意味する。非可逆圧縮とは、圧縮後に、再構成された動きベクトル場信号が、元の信号と厳密に同一ではなく、特定の情報損失が存在することを意味する。可逆圧縮のプロセスは、変換およびエントロピー符号化を含み得る。非可逆圧縮のプロセスは、変換、量子化、およびエントロピー符号化を含み得る。これは、従来技術に属し、詳細は本明細書において説明されない。
【0082】
この実施形態において、現在のブロックの符号化の間、現在のブロックの元の信号が符号化される必要は無く、代わりに、予測情報および予測残差信号が符号化される。したがって、符号化される必要がある情報の量が大きく減り、動きベクトル場符号化効率が改善する。加えて、予測情報は、現在のブロックの予測信号を取得するために必要な情報なので、予測情報に従って復号装置によって取得できる予測信号は、符号化装置によって取得される予測信号と同一である。したがって、復号装置は、予測情報および予測残差信号に従って、現在のブロックの元の信号との類似性が高い信号を再構成できる。
【0083】
この実施形態において、複数の種類の予測情報が存在する。対応して、予測情報に従って、現在のブロックの予測信号を取得するための複数の方法が存在する。以下では、例を使用することによって、方法のうちのいくつかを説明する。
【0084】
第1例において、場内予測方式が使用され得る。すなわち、現在の場に従って、現在のブロックに対して予測が実行される。現在のブロックと、現在のブロックに空間的に隣接する動きベクトル場ブロックとの間には特定の相関性が存在するので、場内予測方式に従って、現在のブロックに対して予測が実行され得る。
【0085】
実際の適用において、複数の場内予測方式が存在する。例えば、場内予測方式は、角度予測およびフレーム内領域分割予測を含む。角度予測方法において、現在のブロックの予測信号は、段階102の説明において記載されるように、フレーム内予測モード、および、現在のブロックの参照動きベクトル場ブロックに従って取得され得る。
【0086】
フレーム内領域分割予測方法は、具体的には、以下の通りである。現在のブロックは、少なくとも2つの領域に分割され、各領域において、1つの動きベクトルが領域の予測信号として取得される。したがって、フレーム内領域分割予測方法において、予測情報は、領域分割方法についての情報と、各領域の予測信号を決定するための方法についての情報とを含む。領域分割方法についての情報は、領域分割方法が、例えば、領域分割方法のインデックスであることを示すために使用される。各領域の予測信号を決定するための方法についての情報は、各領域の予測信号が、例えば、各領域の予測信号を決定するための方法のインデックスであると決定するための方法を示すために使用される。
【0087】
代替的に、予測情報は、各領域の予測信号を決定するための方法についての情報を含まないことがあり得るが、符号化装置および復号装置は、各領域の予測信号を決定するための、同一の予め設定された方法を記憶し得る。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0088】
この実施形態において、各領域の予測信号を決定するための複数の方法が存在する。例えば、領域におけるすべてのサンプリング点の動きベクトルの平均値が領域の予測信号として使用され得るか、領域におけるサンプリング点の1つの動きベクトルが領域の予測信号として使用され得るか、または、別の方法が使用され得る。これは、本明細書において、限定されるものではない。領域におけるサンプリング点の1つの動きベクトルが領域の予測信号として使用されるとき、領域におけるすべてのサンプリング点は1回走査され得て、予測残差信号のエネルギーが最小となる、サンプリング点の動きベクトルが、予測信号として決定される。
【0089】
この実施形態において、現在のブロックを分割するための複数の方法が存在する。例えば、現在のブロックが最初に2つの領域に分割され、次に、2つの領域の少なくとも1つが2つの領域に分割されるなどの方法がある。予め設定された条件が満たされたとき、領域分割が終了する。
【0090】
予め設定された条件は、複数の種類の設定を有する。例えば、現在のブロックの歪み値は、各分割後に計算され得て、歪み値は、分割後の現在のブロックにおけるすべての領域の予測信号と元の信号との間の差の最大値である。歪み値が、予め設定された値より小さいとき、予め設定された条件が満たされる。当然ながら、上記は、例を使用することによる、予め設定された条件の説明に過ぎず、いかなる限定も構成しない。
【0091】
別の例として、予め設定された値が予め設定され得て、現在のブロックが分割されて生じる領域の数は、各分割の後に計算される。当該数が、予め設定された値に到達したとき、予め設定された条件が満たされる。
【0092】
1つの領域が2つの領域に分割されるとき、領域のうちのうち1つまたは2つは、台形または三角形の形状であり得る。当然ながら、領域の形状は、代替的に別の形状であり得る。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0093】
任意で、この実施形態において、各領域の分割中、領域のすべての分割方法が走査され、各分割方法が使用されるときの、領域における2つのサブ領域の予測信号が計算され、2つのサブ領域の予測信号に従って、これらの分割方法の中で最適な分割方法が決定される。具体的には、最適な分割方法は、レート歪み最適化原理を使用することによって決定され得る。
【0094】
この実施形態において、現在のブロックが異なる領域に分割されるとき、現在のブロックに対して連続分割または離散分割が実行され得る。以下では、図2を参照して、連続分割および離散分割を個別に説明する。
【0095】
図2における左の図に示されるように、連続分割とは、直線Lを使用することによって、現在のブロックSが2つの領域P1およびP2に直接分割されることを意味する。離散分割とは、現在のブロックSが、複数の画素ブロックから構成され、分割中、現在のブロックは、現在のブロックにおける画素ブロックのエッジに沿って分割され、現在のブロックSが、2つの領域P1およびP2に分割されることを意味する。
【0096】
代替的に、現在のブロックが異なる領域に分割されるとき、現在のブロックに対して輪郭分割が実行され得る。すなわち、現在のブロックは、現在のブロックにおける画像によって表される物体の輪郭に従って分割される。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0097】
第2例において、場間予測方法が使用され得る。すなわち、参照動きベクトル場を使用することによって、および、現在のと、現在のブロックに時間的に近い動きベクトル場との間の相関性に従って、現在のブロックに対して予測が実行される。参照動きベクトル場は、現在の場に時間的に近い別の動きベクトル場である。
【0098】
現在の場に近い動きベクトル場は、現在の場に隣接する動きベクトル場(すなわち、現在の場に対応する映像フレームに時間的に後続または先行する映像フレームの動きベクトル場)であり得るか、または、現在の場から、少なくとも1つの動きベクトル場で隔てられ得る(すなわち、現在の場に対応する映像フレームから、少なくとも1つの映像フレームで時間的に隔てられる映像フレームに対応する動きベクトル場であり得る)ことに留意すべきである。以下では、例を使用することによって、場間予測方法の2つの実施形態を説明する。
【0099】
実施形態1:物体の動きには、時間上に特定の一貫性が存在するので、動きベクトル場の間には、時間上に特定の相関性が存在する。すなわち、現在のブロックの少なくとも一部が参照動きベクトル場に現れる。しかしながら、現在の場における現在のブロックの位置は、参照動きベクトル場における現在のブロックの位置と必ずしも同一ではない。
【0100】
説明を明確にするべく、本明細書において、動きベクトル場における動きベクトル場ブロックの位置は、動きベクトル場における動きベクトル場ブロックの座標範囲である。したがって、動きベクトル場Pにおける動きベクトル場ブロックpの位置が、動きベクトル場Qにおける動きベクトル場ブロックqの位置と同一であるとき、動きベクトル場Pにおける動きベクトル場ブロックpの座標範囲は、動きベクトル場Qにおける動きベクトル場ブロックqの座標範囲と同一であることを意味する。
【0101】
したがって、この実施形態において、現在のブロックの予測信号を取得する段階は、具体的には、現在のブロックの参照動きベクトル場を決定する段階と、参照動きベクトル場における現在のブロックのマッチブロックを検索する段階と、マッチブロックの再構成信号を現在のブロックの予測信号として使用する段階とを含む。マッチブロックの検索には、複数の方法が存在する。例えば、参照動きベクトル場におけるすべての動きベクトル場ブロックが走査され得て、それらの動きベクトル場ブロックと現在のブロックとの間の差が計算され、現在のブロックとの差が最小である動きベクトル場ブロックが現在のブロックのマッチブロックとして使用される。
【0102】
現在のブロックの予測情報を取得する段階は、具体的には、参照動きベクトル場についての情報と、マッチブロックについての情報とを予測情報として使用する段階を含み、参照動きベクトル場についての情報は、参照動きベクトル場を示すために使用され、マッチブロックについての情報は、マッチブロックを示すために使用される。具体的には、参照動きベクトル場についての情報は、参照動きベクトル場のインデックスであり得て、マッチブロックについての情報は、参照動きベクトル場における第1動きベクトル場ブロックの位置に対する、マッチブロックの位置の変位情報であり得る。参照動きベクトル場における第1動きベクトル場ブロックの位置は、現在の場における現在のブロックの位置と同一である。代替的に、マッチブロックについての情報は、マッチブロックのインデックスであり得る。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0103】
実施形態2:この実施形態において、映像シーケンスにおいて撮影される同一のオブジェクトの動き状態は、比較的短い時間の間は、変化しないままである、すなわち、動きの方向および大きさは変化しないと仮定する。この場合、現在のブロックの予測信号は、参照動きベクトル場に従って推定され得る。
【0104】
具体的には、図3に示されるように、この実施形態において、現在のブロックの予測信号を取得する段階は、具体的には、以下の段階を含む。
【0105】
S11:現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得する。
【0106】
第1参照動きベクトル場は、現在の場に近い、符号化されて再構成された動きベクトル場である。説明を容易にするために、現在の場に対応する映像フレームを、時点tにおける映像フレームと呼び、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームを、時点t1における映像フレームと呼ぶ。時点t1は、時点tの前であっても、時点tの後であってもよい。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0107】
S12:第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する。
【0108】
理解を容易にするべく、以下では最初に、記述対象の動きベクトル場および映像フレームについて説明する。時点t1での映像フレームにおける目標物体の位置はAであり、当該映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームは、時点t2での映像フレームであり、時点t2での映像フレームにおける目標物体の位置はBである。この場合、第1参照動きベクトル場における目標物体に対応する第1サンプリング点の動きベクトル
【数3】
は、位置Bから位置Aへの変位を示すために使用される。
【0109】
目標物体の(速度および方向を含む)動き状態は、変化しないままである、すなわち、t1からt2までの時間内の、目標物体に対応する変位は、
【数3】
であると仮定する。この場合、tからt1までの時間内の、目標物体の変位は、
【数4】
となるはずであると推定できる。すなわち、時点tでの映像フレームにおける目標物体の位置がCであると仮定すると、この場合、位置Aから位置Cまでの変位は、
【数4】
となるはずである。
【0110】
上記の方法に従って、第1参照動きベクトル場における各サンプリング点は、目標物体と見なされ、時点tで各サンプリング点が移動する先の位置を推定できる。第1参照動きベクトル場における各サンプリング点を移動させる。サンプリング点が移動した後の各サンプリング点の位置と、サンプリング点が移動する前のサンプリング点の位置との間の変位は、
【数1】
であり、サンプリング点が移動する前のサンプリング点の動きベクトルは、
【数2】
であり、サンプリング点の動きベクトルは、サンプリング点が移動した後に、
【数1】
に変化する。説明を容易にするために、第1参照動きベクトル場におけるすべてのサンプリング点が上記の規則に従って移動し、かつ、すべてのサンプリング点の動きベクトルが変化した後に形成される新しい動きベクトル場を第2参照動きベクトル場と呼ぶ。
【0111】
したがって、第2参照動きベクトル場の取得中、数式
【数1】
に従う計算を用いて、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルが取得され、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である。
【0112】
この実施形態において、第1参照動きベクトル場におけるすべてのサンプリング点を移動させることにより第2参照動きベクトル場を取得するとき、第1参照動きベクトル場における少なくとも2つのサンプリング点が、時点tでの動きベクトル場における同一の位置に移動する。
【0113】
言い換えれば、第1参照動きベクトル場におけるすべてのサンプリング点の現在の速度および方向は、変化しないままであり、時点tで形成される動きベクトル場(すなわち、第2参照動きベクトル場)において、第1参照動きベクトル場における少なくとも2つのサンプリング点が同一の位置に移動する可能性がある。第2参照動きベクトル場における当該位置でのサンプリング点の動きベクトルを決定するための複数の方式が存在する。例えば、サンプリング点の1つの動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積は、当該位置におけるサンプリング点の動きベクトルとして使用され得る。
【0114】
代替的に、この場合、当該位置における動きベクトルは、以下の方法を使用して決定されることが好ましい。
【0115】
第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点が決定され、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である。
【0116】
少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積は、第2サンプリング点の動きベクトルとして使用される。以下での説明を容易にするために、当該第2サンプリング点を目標第2サンプリング点と呼び、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点を第1セットと呼ぶ。
【0117】
第1セットにおけるすべての第1サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する間、第1セットにおけるすべての第1サンプリング点の動きベクトルの加重は、等しくなるように、すなわち、第1セットにおけるすべての第1サンプリング点の動きベクトルの平均値が目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用されるように、予め設定され得る。
【0118】
代替的に、図4に示されるように、第1セットにおけるすべての第1サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する段階は、具体的には、以下の段階を含む。
【0119】
S21:第2参照動きベクトル場にあり、かつ、目標第2サンプリング点の周囲に位置する少なくとも1つの第2サンプリング点の動きベクトルを取得する。
【0120】
説明を容易にするために、目標第2サンプリング点の周囲に位置する少なくとも1つの第2サンプリング点を第2セットと呼び、各第2サンプリング点は、第2セットの要素である。
【0121】
任意で、第2セットは、目標第2サンプリング点の周囲に位置する、かつ、目標第2サンプリング点に隣接する4つの第2サンプリング点のうち少なくとも1つを含み得る。
【0122】
S22:第1セットにおける第1サンプリング点の動きベクトルの各々と、第2セットの動きベクトルとの間の類似度を計算する。
【0123】
第1セットにおける各第1サンプリング点について、第1サンプリング点の動きベクトルと、第2セットにおける各サンプリング点の動きベクトルとの間の類似度を計算する。類似度計算には、複数の方法が存在する。例えば、第1サンプリング点の動きベクトルと、第2セットにおけるすべての要素の動きベクトルとの間の差が計算され得て、次に、すべての差の和または平均値が、第1サンプリング点の動きベクトルと、第2セットの動きベクトルとの間の類似度として使用される。この場合、差の和または平均値がより小さいことは、類似度がより高いことを示す。
【0124】
当然ながら、上記の説明は、例に過ぎず、いかなる限定も構成しない。
【0125】
S23:類似度に従って、第1セットにおける各第1サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する。ここで、第1サンプリング点の動きベクトルと、第2セットの動きベクトルとの間の類似度がより高いことは、第1サンプリング点の動きベクトル加重がより大きいことを示す。
【0126】
第1セットにおける各要素の動きベクトルに対応する類似度が決定された後、第1セットにおける各要素の動きベクトルの加重が、類似度の大きさに従って決定される。より高い類似度を有する要素は、より大きい動きベクトル加重を有する。具体的には、種々のランクに対応する加重が予め設定され得る。第1セットにおける各要素の類似度のランクが決定された後、要素のランクに対応する加重が要素の動きベクトルの加重として使用される。
【0127】
上記は、第1参照動きベクトル場における少なくとも2つの第1サンプリング点が、時点tに参照動きベクトル場における同一の位置に移動する場合を説明するものである。
【0128】
実際の適用において、第2参照動きベクトル場において特殊位置が存在し、第1参照動きベクトル場における、いずれのサンプリング点も、時点tに特殊位置へ移動しない可能性もある。
【0129】
この場合、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点が取得され、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルである。
【0130】
少なくとも1つの第2サンプリング点が1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値は、目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用される。
【0131】
少なくとも1つの第2サンプリング点が少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値は、目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用される。
【0132】
説明を容易にするために、以下では少なくとも1つの第2サンプリング点を第3セットと呼ぶ。
【0133】
第3セットにおけるすべての第2サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する間、第3セットにおけるすべての第2サンプリング点の動きベクトルの加重は、等しくなるように、すなわち、第3セットにおけるすべての第2サンプリング点の動きベクトルの平均値が目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用されるように、予め設定され得る。
【0134】
代替的に、第3セットにおけるすべての第2サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する段階は、具体的には、第3セットにおける各第2サンプリング点と、目標第2サンプリング点との間の距離を取得し、距離に従って、第3セットにおける各第2サンプリング点の加重を決定する段階を含み、ここで、目標第2サンプリング点からの距離がより短い第2サンプリング点は、より大きい動きベクトル加重を有する。
【0135】
当然ながら、第3セットにおける第2サンプリング点が1つだけ存在するとき、第3セットにおける第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値は、第2サンプリング点の動きベクトルである。
【0136】
具体的には、例えば、目標第2サンプリング点にもっとも近い左の(動きベクトルが
【数5】
である)第2サンプリング点と、目標第2サンプリング点との間の距離はmであり、目標第2サンプリング点にもっとも近い右の(動きベクトルが
【数6】
である)第2サンプリング点と、目標第2サンプリング点との間の距離はnである。この場合、目標第2サンプリング点の動きベクトルは、
【数7】
である。当然ながら、上記の説明は例に過ぎず、いかなる限定も構成しない。
【0137】
S13:第2参照動きベクトル場に従って予測信号を取得する。ここで、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含む。
【0138】
第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一である。
【0139】
第2参照動きベクトル場は時点tでの予測動きベクトル場であるので、第2参照動きベクトル場は、現在の場の予測信号である。現在の場における異なるブロックに使用さえる予測方法は、必ずしも、この実施形態において説明される方法であるわけではない。したがって、この実施形態において説明される方法が現在のブロックに使用されるとき、第2参照動きベクトル場における、現在のブロックが位置する領域における動きベクトル場ブロックの信号は、現在のブロックの予測信号として使用される。
【0140】
S14:第1参照動きベクトル場に従って予測情報を取得する。ここで、予測情報は、第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む。
【0141】
現在のブロックの予測信号の取得中、現在のブロックの予測信号は、第1参照動きベクトル場の内容のみに従って決定できる。したがって、復号装置は、第1参照動きベクトル場についての情報を予測情報として使用することのみによって、現在のブロックの予測信号を計算できる。第1参照動きベクトル場ブロックについての情報は、第1参照動きベクトル場を示すために使用される。例えば、第1参照動きベクトル場についての情報は、第1参照動きベクトル場のインデックスである。
【0142】
この実施形態において、現在のブロックの予測情報は、第1参照動きベクトル場についての情報のみを含むので、現在のブロックを符号化するのに必要なビット数が大きく減少する。
【0143】
上記のすべての方法は、動きベクトルを例として使用することによって説明されているが、代替的に、動きベクトルは、実際の適用において、動きベクトルの成分によって置き換えられ得ることに留意すべきである。
【0144】
第3例において、動きベクトル場成分間予測方法が使用され得る。すなわち、現在のブロックにおける各サンプリング点の動きベクトルの各成分に対して、現在のブロックの方向係数、および、現在のブロックにおけるサンプリング点の動きベクトルの別の成分に従って予測が実行される。
【0145】
動きベクトルは、方向および大きさを含み、動きベクトルは、2つの成分、すなわち、横方向成分および縦方向成分に分解され得る。例えば、動きベクトル
【数2】
について、動きベクトルと横方向との間の挟角はθである。この場合、動きベクトルの横方向成分および縦方向成分の大きさは、それぞれ、
【数8】
および
【数9】
である。したがって、
【数10】
および
【数11】
と推定できる。実際の適用において、符号化装置は概して、サンプリング点の動きベクトルの横方向成分および縦方向成分を記憶することによって、各サンプリング点の動きベクトルを記憶する。この実施形態において、動きベクトルの成分の予測信号は、動きベクトルの別の成分の大きさ、および、別の成分と当該成分との間の関係を使用することによって計算される。
【0146】
具体的には、図5を参照すると、現在のブロックの予測信号を取得することは、具体的には、以下の段階を含む。
【0147】
S31:現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する。
【0148】
サンプリング点の動きベクトルは、縦方向成分および横方向成分に分解され得る。説明を容易にするために、動きベクトルの縦方向成分および横方向成分のうちの1つを第1成分と呼び、他の成分を動きベクトルの第2成分と呼ぶ。現在のブロックは、少なくとも1つのサンプリング点を含み、現在のブロックは、第1成分ブロックおよび第2成分ブロックに分解され得る。第1成分ブロックは、現在のブロックにおける各サンプリング点の第1成分を含み、第2成分ブロックは、現在のブロックにおける各サンプリング点の第2成分を含む。
【0149】
現在のブロックの方向係数は、各サンプリング点の第1成分の値と第2成分の値との間の関係を示すために使用される。すなわち、現在のブロックの予測中、現在のブロックにおけるすべてのサンプリング点の第1成分と第2成分との間の関数関係は同一であると仮定する。
【0150】
S32:第1成分の再構成値を取得する。
【0151】
この実施形態において、現在のブロックの圧縮は、現在のブロックの第1成分ブロックおよび第2成分ブロックの圧縮を含む。第1成分ブロックの符号化中、第1成分ブロックは、図1に示される実施形態における方法を使用することによって、または、場内予測方式、もしくは、上記の場間予測方法を使用することによって符号化され得る。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0152】
第2成分ブロックの符号化中、すべてのサンプリング点の第1成分と第2成分との間の関数関係は同一であると仮定し、第2成分ブロックにおける各サンプリング点の予測子は、サンプリング点の第1成分および方向係数を使用することによって計算され得る。
【0153】
復号装置は、方向係数、および、サンプリング点の第1成分の再構成値に従って、現在のブロックにおける各サンプリング点の第2成分の予測子を計算する。したがって、現在のブロックの予測信号を計算する前に、符号化装置は最初に、方向係数と、現在のブロックにおける各サンプリング点の第1成分の再構成値とを取得する。方向係数の情報量は比較的小さいので、符号化装置は概して、方向係数に対して可逆符号化を実行することに留意すべきである。したがって、符号化装置は、方向係数の再構成値を取得する必要は無いが、方向係数の元の値を直接使用する。
【0154】
S33:第1成分の再構成値、および、方向係数に従って、予測信号を計算する。ここで、予測信号は、第2成分の予測子を含む。
【0155】
復号器は、第1成分の再構成値を取得できる。したがって、現在のブロックの予測信号が第2成分の予測子を含むとき、復号器は、第2成分の予測子、および、第1成分の再構成値に従って、現在のブロックの予測信号を取得できる。
【0156】
現在のブロックにおける各サンプリング点について、現在のブロックの方向係数がサンプリング点の方向係数として使用される。すなわち、サンプリング点の第2成分が、サンプリング点の第1成分、および、現在のブロックの方向係数に従って計算される。このように、現在のブロックにおける各サンプリング点の予測信号は、第2成分の予測子を含む。
【0157】
S34:方向係数に従って予測情報を取得する。ここで、予測情報は、方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む。
【0158】
この実施形態において、現在のブロックの予測情報は、1つの方向係数を含み、現在のブロックを符号化するのに必要なビット数は、比較的小さい。
【0159】
図5に示される実施形態において、現在のブロックの方向係数を取得するための、複数の方法が存在する。以下では、例を使用することによって方法のうちのいくつかを説明する。
【0160】
図6に示される第1例において、現在のブロックの方向係数を取得する段階は、以下の段階を含む。
【0161】
S41:元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得する。
【0162】
S42:少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を、独立変数に対応する関数値として使用し、独立変数および関数値をフィッティングし、フィッティングを用いて取得される予め設定された関数の係数を方向係数として使用する。
【0163】
この実施形態において、現在のブロックにおける少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルがフィッティングされる。フィッティング中、すべてのサンプリング点の動きベクトルの第1成分は、予め設定された関数の独立変数として使用され、その第2成分は、予め設定された関数の関数値として使用され、それにより、現在のブロックにおけるすべてのサンプリング点の第1成分と第2成分との間の関数関係が取得される。
【0164】
具体的には、すべてのサンプリング点は、1本の直線としてフィッティングされ得る。すべてのサンプリング点が1本の直線としてフィッティングされるとき、直線の予め設定された関数方程式は、y=kx(kは0に等しくない)か、または、y=ax+b(aは0に等しくない)である。予め設定された関数方程式がy=kxであるとき、kは現在のブロックの方向係数である。これは、現在のブロックにおけるすべての点が、同一方向の直線運動を実行することを示す。予め設定された関数方程式がy=ax+bであるとき、aおよびbは、現在のブロックの方向係数である。
【0165】
代替的に、すべての点は、1本の曲線としてフィッティングされ得る。この場合、曲線に対応する関数方程式における係数は、現在のブロックの方向係数である。例えば、曲線に対応する予め設定された関数方程式は、y=ax+bx+cである。この場合、a、b、およびcは、現在のブロックの方向係数である。
【0166】
この実施形態において、予測情報の一部として、現在の動きベクトル場の方向係数情報は、具体的には、方向係数の値を含む。当然ながら、符号化装置および復号装置は、異なる数の係数に対応する関数方程式を予め設定する必要がある。このように、符号化装置は、方向係数をビットストリームに書き込むだけでよく、これにより、復号装置は、方向係数に含まれる値の数に従って、対応する関数方程式を決定できる。
【0167】
第2例において、図7に示されるように、現在のブロックの方向係数を取得する段階は、以下の段階を含む。
【0168】
S51:元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得する。
【0169】
S52:少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を、独立変数に対応する関数値として使用し、独立変数および関数値をフィッティングする。
【0170】
詳細な説明については、第1例における段階S42の記載の一部を参照されたい。詳細は本明細書において再度説明しない。
【0171】
S53:現在の動きベクトル場にあり、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化された動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する。
【0172】
S54:フィッティングを用いて取得される関数係数、および、少なくとも1つの符号化された動きベクトル場ブロックの方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用する。
【0173】
S55:候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用する。
【0174】
第1例との違いとして、この実施形態においては、現在のブロックにおけるサンプリング点のフィッティング関数の係数が計算された後に、フィッティング関数の係数は、現在のブロックの方向係数として直接使用されない。現在のブロックの周囲に位置し、かつ、現在のブロックに隣接するすべての符号化ブロックにおいて、現在のブロックに対応する画像、および、すべての符号化ブロックの1つに対応する画像は、同一のオブジェクトである可能性がある。この場合、現在のブロックの方向係数は、符号化ブロックの1つの方向係数と同一である可能性がある。
【0175】
したがって、この実施形態において、すべての符号化ブロックの方向係数がさらに取得され、フィッティング関数の係数、および、すべての符号化ブロックの方向係数は、現在のブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用される。各候補方向係数に対応する現在のブロックの候補予測信号および候補予測残差信号が計算される。最小のエネルギーを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数は、現在のブロックの方向係数として使用される。
【0176】
この実施形態において、現在のブロックの方向係数が関数の係数であるとき、方向係数情報は、方向係数の値を含む。現在のブロックの方向係数が符号化ブロックの方向係数であるとき、方向係数情報は、符号化ブロックを示すために使用されるか、または、符号化ブロックの方向係数の値を含む。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0177】
第3例において、現在のブロックの方向係数を取得する段階は、現在の動きベクトル場にあり、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用する段階を含む。
【0178】
現在のブロックに隣接する少なくとも2つの符号化ブロックの方向係数が同一であるとき、少なくとも2つの符号化ブロックに対応する画像は同一のオブジェクトに属すると推定できる。さらに、現在のブロックに対応する画像、および、少なくとも2つの符号化ブロックに対応する画像は、同一のオブジェクトに属すると仮定する。したがって、現在のブロックの方向係数は、少なくとも2つの符号化ブロックの方向係数と同一であると直接決定され得る。
【0179】
この実施形態において、現在の動きベクトル場の方向係数情報は、具体的には、符号化ブロックを示すために使用されるか、または、符号化ブロックの方向係数の値を含む。例えば、方向係数情報は、符号化ブロックのインデックスを含む。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0180】
第4例において、図8に示されるように、現在のブロックの方向係数を取得する段階は、以下の段階を含む。
【0181】
S61:現在の動きベクトル場にあり、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、当該サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、以下の段階を実行する。
【0182】
S62:少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を候補方向係数セットの候補方向係数として使用する。
【0183】
S63:元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得する。ここで、少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、当該サンプリング点の動きベクトルの第1成分と、当該サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用する。または、少なくとも1つのサンプリング点が、少なくとも2つのサンプリング点であるとき、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率の平均値を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用する。
【0184】
S64:候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用する。
【0185】
第3例との違いとして、この実施形態では、現在の動きベクトル場にあり、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数は、現在のブロックの方向係数として直接使用されない。在のブロックにおけるすべてのサンプリング点に対応する画像は、同一のオブジェクトである可能性がある。この場合、現在のブロックの方向係数は、サンプリング点の1つの方向係数と同一である可能性がある。
【0186】
したがって、この実施形態において、元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルがさらに取得され、符号化ブロックの方向係数、および、少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率の平均値が、候補方向係数セットの候補方向係数として使用されるか、または、符号化ブロックの方向係数、および、動きベクトルの第1成分と、動きベクトルの第2成分との比率が、候補方向係数セットの候補方向係数として使用される。
【0187】
この実施形態において、現在のブロックの方向係数が関数の係数であるとき、方向係数情報は、方向係数の値を含む。現在のブロックの方向係数が符号化ブロックの方向係数であるとき、方向係数情報は、符号化ブロックを示すために使用されるか、または、符号化ブロックの方向係数の値を含む。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0188】
上記では、予測信号と、現在のブロックの予測情報とを取得するための複数の方法を説明した。実際の適用において、現在の動きベクトル場におけるすべての動きベクトル場ブロックの圧縮符号化の間、種々の動きベクトル場ブロックの予測信号および予測情報を取得するために、同一の方法、または、種々の方法が使用され得る。
【0189】
種々の動きベクトル場ブロックの予測信号および予測情報を取得するために種々の方法が使用されるとき、現在のブロックの予測信号および予測情報を取得するために使用される方法を決定するための、複数の方法が存在する。例えば、各取得方法に対応するインデックスは、符号化装置および復号装置において予め設定され得る。現在のブロックの予測信号および予測情報を取得するとき、符号化装置は、すべての取得方法を走査し、各取得方法が使用されるときの予測残差信号を計算し、現在のブロックの取得方法として、最小エネルギーを有する予測残差信号に対応する取得方法を選択し、取得方法のインデックスを現在のブロックの予測情報に追加する。
【0190】
上記では、本発明の実施形態における動きベクトル場符号化方法を説明した。以下では、本発明の実施形態において提供される動きベクトル場復号方法を説明する。本発明の実施形態において提供される動きベクトル場復号方法は、復号装置によって実行される。復号装置は、映像を出力または再生するのに必要な任意の装置、例えば、携帯電話、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはパーソナルコンピュータなどの装置であり得る。
【0191】
本発明における動きベクトル場復号方法の実施形態において、動きベクトル場復号方法は、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する段階であって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階と、予測信号および予測残差信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する段階とを備える。
【0192】
図9を参照すると、図9は、本発明の別の実施形態において提供される動きベクトル場復号方法の概略フローチャートである。図9に示されるように、本発明の別の実施形態において提供される動きベクトル場復号方法は、以下の内容を含み得る。
【0193】
901:現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する。
【0194】
映像ビットストリームを受信後、復号装置は、映像ビットストリームを復号して、元の映像シーケンスにおけるすべてのビデオ画像を再構成する。各映像フレームの復号の間、映像フレームは、映像フレームの参照フレーム、および、映像フレームの動きベクトル場を使用することによって復号される。
【0195】
したがって、復号装置は最初に、映像フレームの参照フレームおよび動きベクトル場を復号する必要がある。この実施形態において、現在復号されようとしている動きベクトル場を、現在の動きベクトル場と呼ぶ。現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tでの映像フレームに対応する動きベクトル場である。
【0196】
現在の動きベクトル場の復号の間、現在の動きベクトル場の再構成信号は、現在の動きベクトル場におけるすべての動きベクトル場ブロックを順番に再構成することによって取得される。現在のブロックの復号の間、最初に現在のブロックの予測情報および予測残差信号が、映像ビットストリームから取得される。
【0197】
902:予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する。
【0198】
異なる内容を含む予測情報については、予測情報に従って現在のブロックの予測信号を取得するための方法も異なる。
【0199】
例えば、予測情報がフレーム内予測モードのインデックス、および、参照動きベクトル場ブロックのインデックスであるとき、予測情報に従って現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階は、具体的には、フレーム内予測モードのインデックスに従って、フレーム内予測モードを決定する段階と、参照動きベクトル場ブロックのインデックスに従って、参照動きベクトル場ブロックを決定する段階と、次に、フレーム内予測モード、および、参照動きベクトル場ブロックの信号に従って、現在のブロックの予測信号を取得する段階とを含む。
【0200】
符号化装置および復号装置は、各フレーム内予測モードに対応する予測信号計算方法を予め設定する。このように、予測情報を受信後、復号装置は、予め設定された計算方法を使用することによって、予測情報における予測モードおよび参照動きベクトル場ブロックのインデックスに従って予測信号を計算する。
【0201】
例えば、取得されるフレーム内予測モードは、HEVC規格において提供される、映像フレームの、35種類のフレーム内予測モードのうちの水平予測モードである。この場合、現在のブロックの参照動きベクトル場ブロックの再構成信号は、現在のブロックの予測信号として使用される。
【0202】
別の例において、取得されるフレーム内予測モードは、35種類のフレーム内予測モードのうちのIntra_DCモードである。この場合、参照動きベクトル場ブロックの再構成画素の平均値は、現在のブロックの予測信号として使用される。
【0203】
実際の適用において、復号装置によって取得される予測情報は、代替的に、参照動きベクトル場ブロックのインデックスを含まないことがあり得る。復号装置および符号化装置は、各フレーム内予測モードに対応する、かつ、現在のブロックに使用される参照動きベクトル場ブロックの、現在のブロックに対する位置を事前に指定する。このように、予測情報を受信後、復号装置は、予測情報におけるフレーム内予測モードに従って、現在のブロックの参照動きベクトル場を決定する。
【0204】
903:予測信号および予測残差信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する。
【0205】
予測残差信号は、現在のブロックの元の信号と、予測信号との間の差を示すために使用される。現在のブロックの予測信号を取得後、復号装置は、予測残差信号を使用することによって予測信号を修正し、これにより、現在のブロックの再構成信号を取得する。
【0206】
この実施形態において、予測情報は、現在のブロックの予測信号を取得するために必要な情報なので、予測情報に従って復号装置によって取得できる予測信号は、符号化装置によって取得される予測信号と同一である。したがって、復号装置は、予測情報および予測残差信号に従って、現在のブロックの元の信号との類似性が高い信号を再構成できる。
【0207】
この実施形態において、複数の種類の予測情報が存在する。対応して、予測情報に従って、現在のブロックの予測信号を取得するための複数の方法が存在する。以下では、例を使用することによって、方法のうちのいくつかを説明する。
【0208】
第1例において、予測情報は、領域分割方法についての情報と、各領域の予測信号を決定するための方法についての情報とを含む。
【0209】
領域分割方法についての情報は、領域分割方法が、例えば、領域分割方法のインデックスであることを示すために使用される。各領域の予測信号を決定するための方法についての情報は、各領域の予測信号が、例えば、各領域の予測信号を決定するための方法のインデックスであると決定するための方法を示すために使用される。
【0210】
予測情報に従って現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階は、領域分割方法についての情報に従って領域分割方法を決定し、領域分割方法を使用して現在のブロックを異なる領域に分割する段階と、各領域の予測信号を決定するための方法についての情報に従って、各領域の予測信号を決定するための方法を取得し、当該方法を使用することによって、各領域の予測信号を取得する段階とを有する。
【0211】
例えば、各領域の予測信号を決定するための方法についての情報は、領域の予測信号が、領域におけるすべてのサンプリング点の動きベクトルの平均値であることを示す。この場合、領域の予測信号を取得する間、領域におけるすべてのサンプリング点の動きベクトルの平均値が計算され、平均値は、領域の予測信号として使用される。
【0212】
代替的に、各領域の予測信号を決定するための方法についての情報は、領域の予測信号が、領域における1つのサンプリング点の動きベクトルであることを示す。この場合、領域の予測信号を取得する間、サンプリング点の動きベクトルが、サンプリング点のインデックスに従って取得され、サンプリング点の動きベクトルが、領域の予測信号として使用される。
【0213】
当然ながら、上記の説明は、例に過ぎず、本明細書において、いかなる限定も構成しない。
【0214】
代替的に、予測情報は、各領域の予測信号を決定するための方法についての情報を含まないことがあり得るが、符号化装置および復号装置は、各領域の予測信号を決定するための、同一の予め設定された方法を記憶し得る。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0215】
この実施形態において、現在のブロックを分割するための複数の方法が存在する。詳細については、動きベクトル場符号化方法における、予測情報および予測信号の取得の第1例の説明における、現在のブロックを分割するための方法の例示的な説明を参照されたい。詳細は本明細書において再度説明しない。
【0216】
第2例において、予測情報は、参照動きベクトル場についての情報と、マッチブロックについての情報とを含み、参照動きベクトル場についての情報は、参照動きベクトル場を示すために使用され、マッチブロックについての情報は、マッチブロックを示すために使用される。
【0217】
具体的には、参照動きベクトル場についての情報は、参照動きベクトル場のインデックスであり得て、マッチブロックについての情報は、参照動きベクトル場における第1動きベクトル場ブロックの位置に対する、マッチブロックの位置の変位情報であり得る。参照動きベクトル場における第1動きベクトル場ブロックの位置は、現在の場における現在のブロックの位置と同一である。代替的に、マッチブロックについての情報は、マッチブロックのインデックスであり得る。これは、本明細書において、限定されるものではない。
【0218】
予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階は、参照動きベクトル場についての情報に従って、参照動きベクトル場を決定する段階と、マッチブロックについての情報に従って、参照動きベクトル場におけるマッチブロックを検索する段階と、現在のブロックの予測信号としてマッチブロックの再構成信号を使用する段階とを有する。
【0219】
第3例において、予測情報は、動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む。
【0220】
予測情報に従って現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階は、予測情報に従って第1参照動きベクトル場を取得する段階であって、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場である、段階と、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階であって、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点である、段階と、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得する段階であって、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含む、段階とを有する。
【0221】
この実施形態において、理解を容易にするべく、以下では最初に、記述対象の動きベクトル場および映像フレームについて説明する。時点t1での映像フレームにおける目標物体の位置はAであり、当該映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームは、時点t2での映像フレームであり、時点t2での映像フレームにおける目標物体の位置はBである。この場合、第1参照動きベクトル場における目標物体に対応する第1サンプリング点の動きベクトル
【数3】
は、位置Bから位置Aへの変位を示すために使用される。
【0222】
目標物体の(速度および方向を含む)動き状態は、変化しないままである、すなわち、t1からt2までの時間内の、目標物体に対応する変位は、
【数3】
であると仮定する。この場合、tからt1までの時間内の、目標物体の変位は、
【数4】
であるはずであると推定できる。すなわち、時点tでの映像フレームにおける目標物体の位置がCであると仮定すると、この場合、位置Aから位置Cまでの変位は、
【数4】
となるはずである。
【0223】
上記の方法に従って、第1参照動きベクトル場における各サンプリング点は、目標物体と見なされ、時点tで各サンプリング点が移動する先の位置を推定できる。第1参照動きベクトル場における各サンプリング点を移動させる。サンプリング点が移動した後の各サンプリング点の位置と、サンプリング点が移動する前のサンプリング点の位置との間の変位は、
【数1】
であり、サンプリング点が移動する前のサンプリング点の動きベクトルは、
【数2】
であり、サンプリング点の動きベクトルは、サンプリング点が移動した後に、
【数1】
に変化する。説明を容易にするために、第1参照動きベクトル場におけるすべてのサンプリング点が上記の規則に従って移動し、かつ、すべてのサンプリング点の動きベクトルが変化した後に形成される新しい動きベクトル場を第2参照動きベクトル場と呼ぶ。
【0224】
したがって、任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、具体的には、数式
【数1】
に従う計算を用いて、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得する段階であって、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である、段階を有する。
【0225】
この実施形態において、第1参照動きベクトル場におけるすべてのサンプリング点を移動させることにより第2参照動きベクトル場を取得するとき、第1参照動きベクトル場における少なくとも2つのサンプリング点が、時点tでの動きベクトル場における同一の位置に移動する。
【0226】
言い換えれば、第1参照動きベクトル場におけるすべてのサンプリング点の現在の速度および方向は、変化しないままであり、時点tで形成される動きベクトル場(すなわち、第2参照動きベクトル場)において、第1参照動きベクトル場における少なくとも2つのサンプリング点が同一の位置に移動する可能性がある。第2参照動きベクトル場における当該位置でのサンプリング点の値を決定するための複数の方式が存在する。例えば、サンプリング点の1つの動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積は、当該位置におけるサンプリング点の動きベクトルとして使用され得る。
【0227】
代替的に、任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、具体的には、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定する段階であって、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、段階と、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階とを有する。
【0228】
以下での説明を容易にするために、当該第2サンプリング点を目標第2サンプリング点と呼び、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点を第1セットと呼ぶ。
【0229】
第1セットにおけるすべての第1サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する間、第1セットにおけるすべての第1サンプリング点の動きベクトルの加重は、等しくなるように、すなわち、第1セットにおけるすべての第1サンプリング点の動きベクトルの平均値が目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用されるように設定され得る。
【0230】
代替的に、第1セットにおけるすべての第1サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する段階は、具体的には、以下の段階を含む。
【0231】
S71:第2参照動きベクトル場にあり、かつ、目標第2サンプリング点の周囲に位置する少なくとも1つの第2サンプリング点の動きベクトルを取得する。
【0232】
説明を容易にするために、目標第2サンプリング点の周囲に位置する少なくとも1つの第2サンプリング点を第2セットと呼び、各第2サンプリング点は、第2セットの要素である。
【0233】
任意で、第2セットは、目標第2サンプリング点の周囲に位置する、かつ、目標第2サンプリング点に隣接する4つの第2サンプリング点のうち少なくとも1つを含み得る。
【0234】
S72:第1セットにおける第1サンプリング点の動きベクトルの各々と、第2セットの動きベクトルとの間の類似度を計算する。
【0235】
第1セットにおける各第1サンプリング点について、第1サンプリング点の動きベクトルと、第2セットにおける各サンプリング点の動きベクトルとの間の類似度を計算する。類似度計算には、複数の方法が存在する。例えば、第1サンプリング点の動きベクトルと、第2セットにおけるすべての要素の動きベクトルとの間の差が計算され得て、次に、すべての差の和または平均値が、第1サンプリング点の動きベクトルと、第2セットの動きベクトルとの間の類似度として使用される。この場合、差の和または平均値がより小さいことは、類似度がより高いことを示す。
【0236】
当然ながら、上記の説明は、例に過ぎず、いかなる限定も構成しない。
【0237】
S73:類似度に従って、第1セットにおける各第1サンプリング点の動きベクトルの加重を決定する。ここで、第1サンプリング点の動きベクトルと、第2セットの動きベクトルとの間の類似度がより高いことは、第1サンプリング点の動きベクトル加重がより大きいことを示す。
【0238】
第1セットにおける各要素の動きベクトルに対応する類似度が決定された後、第1セットにおける各要素の動きベクトルの加重が、類似度の大きさに従って決定される。より高い類似度を有する要素は、より大きい動きベクトル加重を有する。具体的には、種々のランクに対応する加重が予め設定され得る。第1セットにおける各要素の類似度のランクが決定された後、要素のランクに対応する加重が要素の動きベクトルの加重として使用される。
【0239】
上記は、第1参照動きベクトル場における少なくとも2つの第1サンプリング点が、時点tに参照動きベクトル場における同一の位置に移動する場合を説明するものである。
【0240】
実際の適用において、第2参照動きベクトル場において特殊位置が存在し、第1参照動きベクトル場における、いずれのサンプリング点も、時点tに特殊位置へ移動しない可能性もある。
【0241】
したがって、任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階は、具体的には、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得する段階であって、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルである、段階と、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階とを有する。
【0242】
第3例における解決法の具体的な説明については、動きベクトル場符号化方法における図3および図4に示される実施形態の説明を参照されたい。詳細は本明細書において再度説明しない。
【0243】
第4例において、予測情報は、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む。方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、当該サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される。
【0244】
予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階は、第1成分の再構成値を取得し、方向係数、および、第1成分の再構成値に従って、第2成分の予測子を計算する段階であって、予測信号は第2成分の予測子を含む、段階を有する。
【0245】
現在の動きベクトル場ブロックの方向係数情報には、複数の種類が存在する。例えば、方向係数情報は、現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、方向係数は、再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含む。代替的に、方向係数情報は、方向係数の値を含む。
【0246】
第4例における解決法の具体的な説明については、動きベクトル場符号化方法における図5に示される実施形態の記載を参照されたい。詳細は本明細書において再度説明しない。
【0247】
上記では、本発明における動きベクトル場符号化方法および動きベクトル場復号方法を説明した。以下では、本発明における符号化装置を説明する。
【0248】
図10を参照すると、本発明の実施形態において提供される符号化装置は、現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得するように構成される第1取得モジュール1001であって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得するように構成される第2取得モジュール1002であって、予測情報は、予測信号を取得するために必要な情報を示すために使用される、第2取得モジュールと、第2取得モジュールによって取得される予測信号、および、第1取得モジュールによって取得される元の信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算するように構成される計算モジュール1003であって、予測残差信号は、元の信号と予測信号との間の残差を示すために使用される、計算モジュールと、第2取得モジュールによって取得される予測情報、および、計算モジュールによる計算を用いて取得される予測残差信号をビットストリームに書き込むように構成される符号化モジュール1004とを備える。
【0249】
この実施形態において、現在のブロックを符号化するとき、符号化装置は、現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を符号化する必要は無いが、予測情報および予測残差信号を符号化する。したがって、動きベクトル場圧縮効率が改善する。
【0250】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、フレーム内予測モードを決定し、現在の動きベクトル場にある、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化されて再構成された動きベクトル場ブロックを現在のブロックの参照動きベクトル場ブロックとして使用し、フレーム内予測モードおよび参照動きベクトル場ブロックに従って、現在のブロックの予測信号を取得するように構成される。
【0251】
例えば、取得されるフレーム内予測モードは、33方向予測モードにおける水平予測モードである。この場合、現在のブロックの参照動きベクトル場ブロックは、現在のブロックと同一の行に位置する、かつ、現在のブロックの左の第1の動きベクトル場ブロックである、動きベクトル場ブロックである。この場合、第2取得モジュール1002は、参照動きベクトル場ブロックの再構成信号を現在のブロックの予測信号として使用するように構成される。
【0252】
別の例については、取得されるフレーム内予測モードは、Intra_DCモードである。現在のブロックの参照動きベクトル場ブロックを取得後、第2取得モジュール1002は、参照動きベクトル場ブロックの再構成画素の平均値を現在のブロックの予測信号として使用するように構成される。
【0253】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得するように構成され、第1参照動きベクトル場は、符号化されて再構成された動きベクトル場であり、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームに対応する動きベクトル場であり、時点t1における映像フレームは、時点tにおける映像フレームに近い映像フレームであり、第2取得モジュールは、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得するように構成され、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームに対応する時点であり、第2取得モジュールは、第2参照動きベクトル場に従って予測信号を取得するように構成され、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含み、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、第2取得モジュールは、第1参照動きベクトル場に従って、予測情報を取得するように構成され、予測情報は、第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む。
【0254】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、数式
【数1】
に従う計算を用いて第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得するように構成され、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である。
【0255】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定するように構成され、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するように構成される。
【0256】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得するように構成され、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルであり、第2取得モジュールは、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するように構成される。
【0257】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得するように構成され、方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用され、第2取得モジュールは、第1成分の再構成値を取得するように構成され、第2取得モジュールは、第1成分の再構成値、および、方向係数に従って、予測信号を計算するように構成され、予測信号は、第2成分の予測子を含み、第2取得モジュールは、方向係数に従って、予測情報を取得するように構成され、予測情報は、方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む。
【0258】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得するように構成され、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を、独立変数に対応する関数値として使用し、独立変数および関数値をフィッティングするように構成され、フィッティングを用いて取得される予め設定された関数の係数を方向係数として使用するように構成される。
【0259】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得するように構成され、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を、独立変数に対応する関数値として使用して、独立変数および関数値をフィッティングするように構成され、現在の動きベクトル場にある、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を取得するように構成され、フィッティングを用いて取得される関数係数、および、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用するように構成され、候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得して、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用するように構成される。
【0260】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、現在の動きベクトル場にある、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用するように構成される。
【0261】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1002は、現在の動きベクトル場にある、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、サンプリング点の動きベクトルの第1成分と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用するか、または、少なくとも1つのサンプリング点が少なくとも2つのサンプリング点であるとき、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率の平均値を候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用することとを実行するように構成される。
【0262】
上記では、本発明における、動きベクトル場符号化方法、動きベクトル場復号方法、および符号化装置を説明した。以下では、本発明における復号装置を説明する。
【0263】
図11を参照すると、本発明の実施形態において提供される復号装置1101は、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得するように構成される第1取得モジュールであって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得するように構成される第2取得モジュール1102と、第2取得モジュールによって取得される予測信号、および、第1取得モジュールによって取得される予測残差信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算するように構成される計算モジュール1103とを備える。
【0264】
本発明のいくつかの可能な実装において、予測情報は、動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含み、第2取得モジュール1102は、予測情報に従って第1参照動きベクトル場を取得するように構成され、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場であり、第2取得モジュールは、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得するように構成され、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点であり、第2取得モジュールは、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得するように構成され、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含む。
【0265】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1102は、数式
【数1】
に従う計算を用いて第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得するように構成され、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である。
【0266】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1102は、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定するように構成され、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するように構成される。
【0267】
本発明のいくつかの可能な実装において、第2取得モジュール1102は、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得するように構成され、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルであり、第2取得モジュールは、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するように構成される。
【0268】
本発明のいくつかの可能な実装において、予測情報は、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含み、方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、当該サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される。
【0269】
第2取得モジュール1102は、第1成分の再構成値を取得し、方向係数、および、第1成分の再構成値に従って、第2成分の予測子を計算するように構成され、予測信号は、第2成分の予測子を含む。
【0270】
本発明のいくつかの可能な実装において、方向係数情報は、現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、方向係数は、再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含む。代替的に、方向係数情報は、方向係数の値を含む。
【0271】
図12を参照すると、図12は、本発明の別の実施形態において提供される符号化装置1200の構造ブロック図である。符号化装置1200は、少なくとも1つのプロセッサ1201、メモリ1205、および少なくとも1つの通信バス1202を備え得る。任意で、符号化装置1200はさらに、少なくとも1つのネットワークインタフェース1204および/またはユーザインタフェース1203を備え得る。ユーザインタフェース1203には、例えば、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーン、LCD、ホログラフィック画像(Holographic)、CRT、または、プロジェクタ(Projector))、クリックデバイス(例えば、マウス、トラックボール(trackball)デバイス、タッチパネル、またはタッチスクリーン)、カメラ、および/または音響ピックアップ装置が含まれる。
【0272】
メモリ1205は、リードオンリメモリおよびランダムアクセスメモリを含み得て、プロセッサ1201のための命令およびデータを提供する。メモリ1205の一部は、不揮発性ランダムアクセスメモリをさらに含み得る。
【0273】
いくつかの実装において、メモリ1205は要素として、様々な基本サービスを実装するように、および、ハードウェアベースのタスクを処理するように構成される、様々なシステムプログラムを含むオペレーティングシステム12051、および、様々なアプリケーションサービスを実装するように構成される、様々なアプリケーションプログラムを含むアプリケーションプログラムモジュール12052、すなわち、実行可能モジュールもしくはデータ構造、または、そのサブセット、または、その拡張セットを記憶する。
【0274】
本発明のこの実施形態において、プロセッサ1201は、メモリ1205に記憶されたプログラムまたは命令を呼び出すことにより、現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得することであって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割して取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、ことと、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得することであって、予測情報は、予測信号を取得するのに必要な情報を示すために使用される、ことと、予測信号および元の信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算することであって、予測残差信号は、元の信号と予測信号との間の残差を示すために使用される、ことと、予測情報および予測残差信号をビットストリームに書き込むこととを行うように構成される。
【0275】
本発明のこの実施形態において、現在のブロックの符号化の間、現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を符号化する必要が無く、代わりに、予測情報および予測残差信号が符号化される。したがって、動きベクトル場圧縮効率が改善する。
【0276】
任意で、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得することは、現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得することであって、第1参照動きベクトル場は、符号化されて再構成された動きベクトル場であり、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームに対応する動きベクトル場であり、時点t1における映像フレームは、時点tにおける映像フレームに近い映像フレームである、ことと、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することであって、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームに対応する時点である、ことと、第2参照動きベクトル場に従って予測信号を取得することであって、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含み、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一である、ことと、第1参照動きベクトル場に従って、予測情報を取得することであって、予測情報は、第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む、こととを有する。
【0277】
任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することは、数式
【数1】
に従う計算を用いて、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得することであって、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である、ことを有する。
【0278】
任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することは、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定することであって、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、ことと、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することとを有する。
【0279】
任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することは、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得することであって、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルである、ことと、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することとを有する。
【0280】
任意で、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得することは、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得することであって、方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される、ことと、第1成分の再構成値を取得することと、第1成分の再構成値、および、方向係数に従って、予測信号を計算することであって、予測信号は、第2成分の予測子を含む、ことと、方向係数に従って、予測情報を取得することであって、予測情報は、方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む、こととを有する。
【0281】
任意で、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得することは、元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を独立変数に対応する関数値として使用して、独立変数および関数値をフィッティングすることと、フィッティングを用いて取得した、予め設定された関数の係数を方向係数として使用することとを有する。
【0282】
任意で、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得することは、元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分を、独立変数に対応する関数値として使用して、独立変数および関数値をフィッティングすることと、現在の動きベクトル場にあり、かつ、現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を取得することと、フィッティングを用いて取得される関数係数、および、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得して、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用することとを有する。
【0283】
任意で、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得することは、現在の動きベクトル場にある、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用することを有する。
【0284】
任意で、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得することは、現在の動きベクトル場にある、現在の動きベクトル場ブロックに隣接する、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、サンプリング点の動きベクトルの第1成分と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用するか、または、少なくとも1つのサンプリング点が少なくとも2つのサンプリング点であるとき、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第2成分との比率の平均値を候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、候補方向係数セットの候補方向係数に対応する現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を現在の動きベクトル場ブロックの方向係数として使用することとを実行することを有する。
【0285】
図13を参照すると、図13は、本発明の別の実施形態において提供される復号装置1300の構造ブロック図である。復号装置1300は、少なくとも1つのプロセッサ1301、メモリ1305、および、少なくとも1つの通信バス1302を備え得る。任意で、映像復号装置1300はさらに、少なくとも1つのネットワークインタフェース1304、および/または、ユーザインタフェース1303を備え得る。ユーザインタフェース1303には、例えば、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーン、LCD、ホログラフィック画像(Holographic)、CRT、または、プロジェクタ(Projector))、クリックデバイス(例えば、マウス、トラックボール(trackball)、タッチパネル、またはタッチスクリーン)、カメラ、および/または音響ピックアップ装置が含まれる。
【0286】
メモリ1305は、リードオンリメモリおよびランダムアクセスメモリを含み得て、プロセッサ1301のための命令およびデータを提供する。メモリ1305の一部はさらに、不揮発性ランダムアクセスメモリを含み得る。
【0287】
いくつかの実装において、メモリ1305は要素として、様々な基本サービスを実装するように、および、ハードウェアベースのタスクを処理するように構成される、様々なシステムプログラムを含むオペレーティングシステム13051、および、様々なアプリケーションサービスを実装するように構成される、様々なアプリケーションプログラムを含むアプリケーションプログラムモジュール13052、すなわち、実行可能モジュールもしくはデータ構造、または、そのサブセット、または、その拡張セットを記憶する。
【0288】
本発明のこの実施形態において、メモリ1305に記憶されたプログラムまたは命令を呼び出すことによって、プロセッサ1301は、現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得することであって、現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割して取得され、現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、ことと、予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得することと、予測信号および予測残差信号に従って、現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算することとを行うように構成される。
【0289】
任意で、予測情報は、動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む。
【0290】
予測情報に従って現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得することは、予測情報に従って第1参照動きベクトル場を取得することであって、第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場である、ことと、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することであって、時点t2は、第1参照動きベクトル場に対応する映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点である、ことと、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得することであって、第2参照動きベクトル場における第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックの座標範囲は、現在の動きベクトル場における現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、予測信号は、第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含む、こととを有する。
【0291】
任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することは、数式
【数1】
に従う計算を用いて、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得することであって、
【数2】
は、第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である第2サンプリング点の動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、第2サンプリング点の位置と同一である、ことを有する。
【0292】
任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することは、第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定することであって、第2サンプリング点の位置は、第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルは、少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、ことと、少なくとも2つの第1サンプリング点の動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することとを有する。
【0293】
任意で、第1参照動きベクトル場、時点t、時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することは、第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得することであって、第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は第1サンプリング点の動きベクトルである、ことと、少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することとを有する。
【0294】
任意で、予測情報は、現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む。方向係数は、現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、サンプリング点の動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される。
【0295】
予測情報に従って、現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得することは、第1成分の再構成値を取得し、方向係数、および、第1成分の再構成値に従って、第2成分の予測子を計算することであって、予測信号は、第2成分の予測子を含む、ことを有する。
【0296】
任意で、方向係数情報は、現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、方向係数は、再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含む。代替的に、方向係数情報は、方向係数の値を含む。
【0297】
当業者であれば、上記のシステム、装置、およびユニットの詳細な動作プロセスについては、説明を容易かつ簡潔にするために、上記の方法の実施形態における対応する処理を参照できることを明確に理解するであろう。詳細は本明細書において再度説明しない。
【0298】
本願において提供される複数の実施形態において、開示されるシステム、装置、および方法は、他の方式で実装され得ることを理解すべきである。例えば、説明されている装置の実施形態は、例に過ぎない。例えば、ユニットの分割は、論理的機能の分割に過ぎず、実際の実装においては他の分割であってよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントは、組み合わされ得るか、または、別のシステムに統合され得るか、または、いくつかの特徴が無視されるか、もしくは実行されないことがあり得る。加えて、表示または説明される、相互連結、直接連結、または通信接続は、いくつかのインタフェースを使用することによって実装され得る。装置またはユニット間の間接連結または通信接続は、電気的、機械的、または他の形式で実装され得る。
【0299】
別個の部分として説明されたユニットは、物理的に分かれていても、そうでなくてもよい。また、ユニットとして表示された部分は、物理的なユニットであっても、そうでなくてもよく、1か所に配置されてよく、または、複数のネットワークユニットにおいて分散されてよい。ユニットの一部または全部は、実施形態における解決法の目的を達成するために、実際の要求に従って選択され得る。
【0300】
さらに、本発明の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてよく、または、ユニットの各々は、物理的に単独で存在してよく、または、2つもしくはそれより多くのユニットが、1つのユニットに統合されてよい。統合されたユニットは、ハードウェアの形式で実装され得るか、または、ソフトウェア機能ユニットの形式で実装され得る。
【0301】
統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形式で実装され、独立した製品として販売または使用されるとき、統合されたユニットは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。そのような理解に基づいて、本発明の技術的解決法は本質的に、または従来技術に寄与する部分は、または技術的解決法の全部もしくは一部は、ソフトウェア製品の形態で実装されてよい。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に格納され、本発明の実施形態で説明された方法の段階のすべてまたはいくつかを実行すべく、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイス等であってよい)に命令するためのいくつかの命令を含む。上記の記憶媒体は、プログラムコードを格納できる、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、リードオンリメモリ(ROM、Read−Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク、または光ディスクなどの任意の媒体を含む。
【0302】
上記の実施形態は、本発明の技術的解決法を説明することを意図するものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明は、上記の実施形態に関連して詳細に説明されているが、本発明の実施形態の技術的解決法の主旨および範囲から逸脱することなく、さらに、上記の実施形態において説明された技術的解決法に対して変更を施し、または、これらのいくつかの技術的機能に対して均等な置き換えを行い得ることを当業者は理解すべきである。
本願によれば、以下の各項目もまた開示される。
(項目1)
動きベクトル場符号化方法であって、
現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する段階であって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する段階であって、前記予測情報は、前記予測信号を取得するのに必要な情報を示すために使用される、段階と、
前記予測信号および前記元の信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する段階であって、前記予測残差信号は、前記元の信号と前記予測信号との間の残差を示すために使用される、段階と、
前記予測情報および前記予測残差信号をビットストリームに書き込む段階と
を備える動きベクトル場符号化方法。
(項目2)
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する前記段階は、
前記現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得する段階であって、前記第1参照動きベクトル場は、符号化されて再構成された動きベクトル場であり、前記第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームに対応する動きベクトル場であり、前記時点t1における前記映像フレームは、前記時点tにおける前記映像フレームに近い映像フレームである、段階と、
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階であって、前記時点t2は、前記第1参照動きベクトル場に対応する前記映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームに対応する時点である、段階と、
前記第2参照動きベクトル場に従って前記予測信号を取得する段階であって、前記予測信号は、前記第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含み、前記第2参照動きベクトル場における前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックの座標範囲は、前記現在の動きベクトル場における前記現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一である、段階と、
前記第1参照動きベクトル場に従って、前記予測情報を取得する段階であって、前記予測情報は、前記第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む、段階と
を有する、項目1に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目3)
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、数式
【数1】
に従う計算を用いて、前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得する段階であって、
【数2】
は、前記第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、前記第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である前記第2サンプリング点の前記動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、前記第2サンプリング点の位置と同一である、段階を有する、項目2に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目4)
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、
前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定する段階であって、前記第2サンプリング点の位置は、前記第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の前記移動ベクトルは、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、段階と、
前記少なくとも2つの第1サンプリング点の前記動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を前記第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階と
を有する、項目2に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目5)
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、
前記第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得する段階であって、前記第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、前記目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は前記第1サンプリング点の動きベクトルである、段階と、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、前記第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、前記少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階と
を有する、項目2に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目6)
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する前記段階は、
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階であって、前記方向係数は、前記現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される、段階と、
前記第1成分の再構成値を取得する段階と、
前記第1成分の前記再構成値、および、前記方向係数に従って、前記予測信号を計算する段階であって、前記予測信号は、前記第2成分の予測子を含む、段階と、
前記方向係数に従って、前記予測情報を取得する段階であって、前記予測情報は、前記方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む、段階と
を有する、項目1から5のいずれか一項に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目7)
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する前記段階は、
前記元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、
前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分を前記独立変数に対応する関数値として使用して、前記独立変数および前記関数値をフィッティングする段階と、
フィッティングを用いて取得した、前記予め設定された関数の係数を前記方向係数として使用する段階と
を有する、項目6に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目8)
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する前記段階は、
前記元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、
前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分を、前記独立変数に対応する関数値として使用して、前記独立変数および前記関数値をフィッティングする段階と、
前記現在の動きベクトル場にあり、かつ、前記現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する段階と、
フィッティングを用いて取得される関数係数、および、前記少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を、前記現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、
前記候補方向係数セットの前記候補方向係数に対応する前記現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得して、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する段階と
を有する、項目6に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目9)
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する前記段階は、前記現在の動きベクトル場にある、前記現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する段階を有する、項目6に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目10)
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得する前記段階は、
前記現在の動きベクトル場にある、前記現在の動きベクトル場ブロックに隣接する、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数が、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、
前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、
前記元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得する段階と、
前記少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第1成分と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率を、前記候補方向係数セットの候補方向係数として使用するか、または、
前記少なくとも1つのサンプリング点が少なくとも2つのサンプリング点であるとき、前記少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率の平均値を前記候補方向係数セットの候補方向係数として使用する段階と、
前記候補方向係数セットの前記候補方向係数に対応する前記現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する段階と
を実行する段階を有する、項目6に記載の動きベクトル場符号化方法。
(項目11)
動きベクトル場復号方法であって、
現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する段階であって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、段階と、
前記予測情報に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する段階と、
前記予測信号および前記予測残差信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する段階と
を備える動きベクトル場復号方法。
(項目12)
前記予測情報は、前記動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含み、
前記予測情報に従って前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する前記段階は、
前記予測情報に従って前記第1参照動きベクトル場を取得する段階であって、前記第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場である、段階と、
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する段階であって、前記時点t2は、前記第1参照動きベクトル場に対応する前記映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点である、段階と、
前記第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得する段階であって、前記第2参照動きベクトル場における前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックの座標範囲は、前記現在の動きベクトル場における前記現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、前記予測信号は、前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックを含む、段階と
を有する、項目11に記載の動きベクトル場復号方法。
(項目13)
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、数式
【数1】
に従う計算を用いて、前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得する段階であって、
【数2】
は、前記第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、前記第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である前記第2サンプリング点の前記動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、前記第2サンプリング点の位置と同一である、段階を有する、項目12に記載の動きベクトル場復号方法。
(項目14)
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、
前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定する段階であって、前記第2サンプリング点の位置は、前記第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の前記移動ベクトルは、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、段階と、
前記少なくとも2つの第1サンプリング点の前記動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を前記第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階と
を有する、項目12に記載の動きベクトル場復号方法。
(項目15)
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得する前記段階は、
前記第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得する段階であって、前記第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、前記目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は前記第1サンプリング点の動きベクトルである、段階と、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、前記第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、前記少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する段階と
を有する、項目12に記載の動きベクトル場復号方法。
(項目16)
前記予測情報は、前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含み、前記方向係数は、前記現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用され、
前記予測情報に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する前記段階は、
前記第1成分の再構成値を取得し、前記方向係数、および、前記第1成分の前記再構成値に従って、前記第2成分の予測子を計算する段階であって、前記予測信号は、前記第2成分の前記予測子を含む、段階を有する、
項目11から15のいずれか一項に記載の動きベクトル場復号方法。
(項目17)
前記方向係数情報は、前記現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、前記方向係数は、前記再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含むか、または、
前記方向係数情報は、前記方向係数の値を含む、
項目16に記載の動きベクトル場復号方法。
(項目18)
符号化装置であって、
現在の動きベクトル場ブロックの元の信号を取得する第1取得モジュールであって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、
前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号、および、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測情報を取得する第2取得モジュールであって、前記予測情報は、前記予測信号を取得するために必要な情報を示すために使用される、第2取得モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測信号、および、前記第1取得モジュールによって取得される前記元の信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測残差信号を計算する計算モジュールであって、前記予測残差信号は、前記元の信号と前記予測信号との間の残差を示すために使用される、計算モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測情報、および、前記計算モジュールによる計算を用いて取得される前記予測残差信号をビットストリームに書き込む符号化モジュールと
を備える符号化装置。
(項目19)
前記第2取得モジュールは、
前記現在の動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を取得することであって、前記第1参照動きベクトル場は、符号化されて再構成された動きベクトル場であり、前記第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームに対応する動きベクトル場であり、前記時点t1における前記映像フレームは、前記時点tにおける前記映像フレームに近い映像フレームである、ことと、
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することであって、前記時点t2は、前記第1参照動きベクトル場に対応する前記映像フレームに対してフレーム間予測を実行するために使用される参照映像フレームに対応する時点であり、ことと、
前記第2参照動きベクトル場に従って前記予測信号を取得することであって、前記予測信号は、前記第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを含み、前記第2参照動きベクトル場における前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックの座標範囲は、前記現在の動きベクトル場における前記現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一である、ことと、
前記第1参照動きベクトル場に従って前記予測情報を取得することであって、前記予測情報は、前記第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含む、ことと
を行う、項目18に記載の符号化装置。
(項目20)
前記第2取得モジュールは、数式
【数1】
に従う計算を用いて前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得し、
【数2】
は、前記第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、前記第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である前記第2サンプリング点の前記動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、前記第2サンプリング点の位置と同一である、項目19に記載の符号化装置。
(項目21)
前記第2取得モジュールは、前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定し、前記第2サンプリング点の位置は、前記第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の前記移動ベクトルは、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積であり、
前記少なくとも2つの第1サンプリング点の前記動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を前記第2サンプリング点の動きベクトルとして使用する、
項目19に記載の符号化装置。
(項目22)
前記第2取得モジュールは、前記第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得することであって、前記第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、前記目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は前記第1サンプリング点の動きベクトルである、ことと、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、前記第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、前記少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することと
を行う、項目19に記載の符号化装置。
(項目23)
前記第2取得モジュールは、
前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を取得することであって、前記方向係数は、前記現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用される、ことと、
前記第1成分の再構成値を取得することと、
前記第1成分の前記再構成値、および、前記方向係数に従って、前記予測信号を計算することであって、前記予測信号は、前記第2成分の予測子を含む、ことと、
前記方向係数に従って、前記予測情報を取得することであって、前記予測情報は、前記方向係数を示すために使用される方向係数情報を含む、ことと
を行う、項目18から22のいずれか一項に記載の符号化装置。
(項目24)
前記第2取得モジュールは、前記元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、
前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第1成分を、予め設定された関数の独立変数として使用し、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分を、前記独立変数に対応する関数値として使用し、前記独立変数および前記関数値をフィッティングすることと、
フィッティングを用いて取得される前記予め設定された関数の係数を前記方向係数として使用することと、
を行う、項目23に記載の符号化装置。
(項目25)
前記第2取得モジュールは、
前記元の信号の少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルを取得し、
前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第1成分を独立変数として使用し、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分を、前記独立変数に対応する関数値として使用して、前記独立変数および前記関数値をフィッティングし、
前記現在の動きベクトル場にあり、かつ、前記現在の動きベクトル場ブロックに近い、少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数を取得し、
フィッティングを用いて取得される関数係数、および、前記少なくとも1つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を、前記現在の動きベクトル場ブロックの候補方向係数セットの候補方向係数として使用し、
前記候補方向係数セットの前記候補方向係数に対応する前記現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得して、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を、前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する、
項目23に記載の符号化装置。
(項目26)
前記第2取得モジュールは、前記現在の動きベクトル場にある、前記現在の動きベクトル場ブロックに隣接する少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であるとき、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用する、項目23に記載の符号化装置。
(項目27)
前記第2取得モジュールは、
前記現在の動きベクトル場にある、前記現在の動きベクトル場ブロックに隣接する、少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの方向係数が同一であり、かつ、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数が、前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率を示すために使用されるとき、
前記少なくとも2つの符号化動きベクトル場ブロックの前記方向係数を、候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、
前記元の信号における少なくとも1つのサンプリング点の動きベクトルを取得することと、
前記少なくとも1つのサンプリング点が1つのサンプリング点であるとき、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第1成分と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率を、前記候補方向係数セットの候補方向係数として使用するか、または、
前記少なくとも1つのサンプリング点が少なくとも2つのサンプリング点であるとき、前記少なくとも2つのサンプリング点の動きベクトルの第1成分と、前記少なくとも2つのサンプリング点の前記動きベクトルの第2成分との比率の平均値を前記候補方向係数セットの候補方向係数として使用することと、
前記候補方向係数セットの前記候補方向係数に対応する前記現在の動きベクトル場ブロックの候補予測残差信号を取得し、最小信号エネルギーまたは最小レート歪みを有する候補予測残差信号に対応する候補方向係数を前記現在の動きベクトル場ブロックの前記方向係数として使用することと
を実行するように構成される、項目23に記載の符号化装置。
(項目28)
復号装置であって、
現在の動きベクトル場ブロックの予測情報および予測残差信号を取得する第1取得モジュールであって、前記現在の動きベクトル場ブロックは、現在の動きベクトル場をブロックに分割することによって取得され、前記現在の動きベクトル場は、時点tにおける映像フレームに対応する動きベクトル場である、第1取得モジュールと、
前記第1取得モジュールによって取得される前記予測情報に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの予測信号を取得する第2取得モジュールと、
前記第2取得モジュールによって取得される前記予測信号、および、前記第1取得モジュールによって取得される前記予測残差信号に従って、前記現在の動きベクトル場ブロックの再構成信号を計算する計算モジュールと
を備える復号装置。
(項目29)
前記予測情報は、前記動きベクトル場ブロックの第1参照動きベクトル場を示すために使用される情報を含み、
前記第2取得モジュールは、
前記予測情報に従って前記第1参照動きベクトル場を取得することであって、前記第1参照動きベクトル場は、時点t1における映像フレームの動きベクトル場である、ことと、
前記第1参照動きベクトル場、前記時点t、前記時点t1、および時点t2に従って、第2参照動きベクトル場を取得することであって、前記時点t2は、前記第1参照動きベクトル場に対応する前記映像フレームのために使用される参照映像フレームに対応する時点である、ことと、
前記第2参照動きベクトル場の動きベクトル場ブロックを取得することであって、前記第2参照動きベクトル場における前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックの座標範囲は、前記現在の動きベクトル場における前記現在の動きベクトル場ブロックの座標範囲と同一であり、前記予測信号は、前記第2参照動きベクトル場の前記動きベクトル場ブロックを含む、ことと
を行う、項目28に記載の復号装置。
(項目30)
前記第2取得モジュールは、数式
【数1】
に従う計算を用いて前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点の動きベクトルを取得し、
【数2】
は、前記第1参照動きベクトル場の第1サンプリング点の動きベクトルであり、前記第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である前記第2サンプリング点の前記動きベクトルに従って移動が実行される先の位置は、前記第2サンプリング点の位置と同一である、項目29に記載の復号装置。
(項目31)
前記第2取得モジュールは、前記第2参照動きベクトル場の第2サンプリング点を決定することであって、前記第2サンプリング点の位置は、前記第1参照動きベクトル場の少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の位置を開始点として、変位である前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の移動ベクトルに従って移動が実行される先の位置と同一であり、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の前記移動ベクトルは、前記少なくとも2つの第1サンプリング点の各々の動きベクトルと(t−t1)/(t1−t2)との積である、ことと、
前記少なくとも2つの第1サンプリング点の前記動きベクトルの加重平均値と(t−t1)/(t1−t2)との積を前記第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することと
を行う、項目29に記載の復号装置。
(項目32)
前記第2取得モジュールは、前記第2参照動きベクトル場の目標第2サンプリング点に近い少なくとも1つの第2サンプリング点を取得することであって、前記第1参照動きベクトル場の任意の第1サンプリング点の位置を開始点として、変位である
【数1】
に従って移動が実行される先の位置は、前記目標第2サンプリング点の位置と異なり、
【数2】
は前記第1サンプリング点の動きベクトルである、ことと、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、1つの第2サンプリング点であるとき、前記第2サンプリング点の動きベクトルの加重値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用するか、または、
前記少なくとも1つの第2サンプリング点が、少なくとも2つの第2サンプリング点であるとき、前記少なくとも2つの第2サンプリング点の動きベクトルの加重平均値を前記目標第2サンプリング点の動きベクトルとして使用することと
を行う、項目29に記載の復号装置。
(項目33)
前記予測情報は、前記現在の動きベクトル場ブロックの方向係数を示すために使用される方向係数情報を含み、前記方向係数は、前記現在の動きベクトル場ブロックのサンプリング点の動きベクトルの第1成分の値と、前記サンプリング点の前記動きベクトルの第2成分の値との間の関係を示すために使用され、
前記第2取得モジュールは、前記第1成分の再構成値を取得し、前記方向係数、および、前記第1成分の前記再構成値に従って、前記第2成分の予測子を計算し、前記予測信号は、前記第2成分の前記予測子を含む、
項目28から32のいずれか一項に記載の復号装置。
(項目34)
前記方向係数情報は、前記現在の動きベクトル場における再構成された動きベクトル場ブロックを示すために使用される情報を含み、前記方向係数は、前記再構成された動きベクトル場ブロックの方向係数を含むか、または、
前記方向係数情報は、前記方向係数の値を含む、
請求項33に記載の復号装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13