(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、近位端と遠位端とを有するフィラメント状本体、フィラメント状本体の遠位端にある停止要素を有する創傷閉鎖装置を提供するものであり、この装置は自己保持縫合糸であってもよい。縫合糸は任意の好適な方法によって形成され得るが、好ましくは、米国特許出願公開第2007/0257395号(全体として参照により本明細書に援用される)に更に詳細に記載される方法でプリフォームリボン又はストリップ材料から打ち抜かれた複合異形材である。一部の実施形態において、停止要素は略扁平であってもよく、かつ矩形若しくは正方形様の形状を有してもよく、又は他の実施形態ではより卵形若しくは円形に近い形状をとってもよい。本明細書において用いられるとき、用語「停止要素」は、縫合糸の後端部(又は遠位)にある装置を指し、「アンカー」、又は「エンドエフェクタ」とも称され得る。本発明において有用となり得るエンドエフェクタの1つのタイプには、米国特許出願公開第2013/0085525号(この内容全体が本明細書において参照により援用される)に記載されるものが含まれる。前述のエンドエフェクタは有用であるが、本発明は、増強された停止力及び保持力をもたらすと同時に外科手技中及び手技後の不耐容性及び他の問題を回避する改良されたエンドエフェクタを提供しようとするものである。
【0010】
図1は、タブ(「固定タブ」とも称される)の形態の、細長い縫合糸本体102の遠位端(106)に位置するエンドエフェクタ108を備える先行技術の縫合装置100を示す。縫合糸本体102は、その遠位端と反対側の近位端(見えない)との間に中心長軸を有し、ここで近位端は挿入端であり、針などの組織刺通特徴部を備え得る。自己保持縫合糸については、本体102が複数のリテーナ104を備えてもよく、リテーナ104は縫合糸本体102に沿って、例えば対称、らせんを含めた任意の配置で、又はランダムな向きで配設され得る。
【0011】
見て分かるとおり、エンドエフェクタ108は細長い長さ及び幅の略矩形であって、前縁厚さ(t)、前縁幅(w)によって画定される前縁110を備え、長さ(l)もまた有する。本明細書において用いられるとき、またこの図を見ると分かるとおり、エンドエフェクタの長さは縫合糸本体102の中心長軸と平行である。エンドエフェクタ108の幅はフィラメント状要素の中心長軸と実質的に垂直である。
図1に見られるような装置において、縫合装置100は好適な材料の単一のプリフォーム又はリボンから形成されてもよく、ここで装置100は所望の形にダイカットされるか、又はスタンピングされるか、又は異形打ち抜きされる。かかる実施形態において、縫合糸本体102とエンドエフェクタ108とは同じプリフォームからスタンピングされ、従って単一の一体構造である。
【0012】
構成要素の各々に関連して本明細書において用いられるとき、かつ本願全体を通して、用語「近位」は、縫合装置の組織に挿入される端部を指すものとし、一方、用語「遠位」は、縫合装置の挿入端の反対側にある端部を指すものとする。
図1の縫合装置において、遠位端はエンドエフェクタ108を含み、挿入端(図示せず)は、エンドエフェクタ108の反対側にある、縫合糸本体102に沿って最も離れた端部であり得る。本明細書に記載されるとおりのエンドエフェクタもまた、近位端と遠位端とを有することができ、ここでエンドエフェクタの近位端は、エンドエフェクタが縫合糸本体102に取り付けられている位置(例えば、縫合糸本体遠位端106)であり、エンドエフェクタの遠位端は、エンドエフェクタのその長さに沿って反対側にある縁部である。用語「遠位」及び「近位」は、概して、縫合装置のこれらの端部及び/又は本明細書に記載されるエンドエフェクタの端部を指し得る。
【0013】
図1にあるようなエンドエフェクタを有する公知の縫合糸は、典型的には単一のシート材料からスタンピングされるか又は型形成され、従ってエンドエフェクタの厚さ形態は縫合糸本体それ自体と同じである。すなわち、本装置は単一のピースからスタンピングされるため、エンドエフェクタ108の厚さ形態が縫合糸本体102の厚さ形態と異なることはない。すなわち、縫合糸本体102の厚さはエンドエフェクタ108の厚さ110と実質的に同様である。一部の実施形態では、縫合糸本体(102)の中心部分がリテーナ104と異なる厚さを有してもよく、この厚さの変化はエンドエフェクタ108の長さ及び幅に沿って同様であり得る。従って、エンドエフェクタ108は、
図2に見ることができ、以下に記載するとおり、その幅に沿って変化する厚さ形態を有し得る。好適なエンドエフェクタは矩形である必要はなく、円形、卵形、正方形、又は他の形態であってもよい。一部の実施形態において、
図1のエンドエフェクタの厚さ(t)は約203〜635マイクロメートル(約8〜25ミル)であってもよく、幅(w)は約1778〜3048マイクロメートル(約70〜120ミル)であってもよく、長さ(l)は約990〜5080マイクロメートル(約39〜200ミル)であってもよい。停止要素の長さ対幅の比は少なくとも1.5であり得る。
【0014】
図1に見られるような従来装置は、エンドエフェクタ108の本体に、あるパターン又は他のプリフォーム形態を備えることができ、これにより、縫合糸本体102の長さに沿ってエンドエフェクタに至るまで同じパターン又はプリフォーム形態が存在することが可能になる。例えば、
図1では、縫合糸本体102の中心軸に沿った厚さはリテーナ104などの中心軸に隣接する領域と比べていくつかの点で厚くなっており、この厚さの変化はエンドエフェクタ108の長さに沿って一貫している。
【0015】
例として、従来のエンドエフェクタは、約152〜635マイクロメートル(約6〜25ミル)、典型的には101〜305マイクロメートル(4〜12ミル)の厚さを有する単一のシート材料から形成されてもよく、縫合装置の中心軸に沿って(すなわち、縫合糸本体102の中心軸に沿って)及び/又は第1及び/又は第2の外縁で厚さが最大となり、中心軸と第1及び/又は第2の外縁との間の位置で厚さが最小となる。
図2は、その長さに沿って(すなわち幅及び厚さが見えるように)見たときの
図1のエンドエフェクタの拡大図を示す。見て分かるとおり、この実施形態では、エンドエフェクタの中心領域122は縫合糸本体102の中心軸に沿って延びており、エンドエフェクタはまた、第1の外側領域120、第2の外側領域120、厚さt
2を有する第1の中間領域124、及び同様に厚さt
2を有する第2の中間領域124も含む。各外側領域120の厚さは同一である必要はなく、中間領域124の厚さもまた同一である必要はない。エンドエフェクタ108の断面厚さ形態は図示されるものと異なってもよく、例えば、必要に応じて厚さはエンドエフェクタ108の全幅にわたって実質的に同じであってもよい。
【0016】
エンドエフェクタの寸法を増加させるとエンドエフェクタの保持強度が増加し得る。しかしながら、植え込むことのできるサイズ及び質量に関しては、実際上及び臨床上の制限がある。例えば、装置は小さ過ぎる場合には低強度をもたらし得るが、大き過ぎる場合、植え込む体内に大きい質量が残ることになり得るため望ましくない。加えて、大きい質量は時に、製造及び妥当な構造の提供という点で困難に陥ることもある。本発明は、かかる制約を回避しながらも、保持強度の改善を可能にする。具体的には、本発明は溶接されたエンドエフェクタを提供し、ここで溶接されたエンドエフェクタの全体的な質量は、
図1〜
図2に見られるとおりの非改良タブエンドエフェクタの質量の約1.1〜3.0倍であり、より具体的には約1.5〜約2.0倍である。しかし溶接されたエンドエフェクタの厚さは、
図1〜
図2に見られるとおりの非改良タブエンドエフェクタの厚さの約1.1倍〜2倍未満増加するに過ぎない。望ましい実施形態では、同じ非改良タブエンドエフェクタと比較すると質量の増加(非改良タブエンドエフェクタと比較して)が厚さの増加より大きい。
図2に見られるとおりの溶接されていないタブの断面は不規則な輪郭形状を有するが、溶接されたタブは実質的に矩形の断面形態を有し得る。一部の実施形態において、溶接されたタブは異なる形状を有してもよく、これは、任意の所望の形態を有する付形されたダイによって形成することができる。これについては以下で更に説明する。
【0017】
本装置100は、吸収性又は非吸収性のポリマー、金属又はセラミック材料で作られ得る。更に別の実施形態において、本装置は、吸収性及び非吸収性材料の組み合わせ及び/又は共重合体を含めた、ポリジオキサノン、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、グリコリド及び/又はラクチド及び/又はカプロラクトンの共重合体、ポリオキサエステル類、ポリグレカプロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエステル類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素重合体、熱可塑性エラストマー、イオノマー、エチレン・メタクリル酸共重合体、ポリアミド類、ポリテトラメチレン酸化物、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリブチレン等で作られる吸収性及び非吸収性ホモポリマー、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はブレンドからなる群から選択されるポリマー材料で作られる。
【0018】
図3Aを見ると分かるとおり、本発明は、細長い縫合糸本体202と、複数のリテーナ204とを有する縫合装置200を含み、縫合糸本体は近位端(挿入端)206と遠位端208とによって画定される。装置200は、遠位端208に取り付けられた、
図1のものと同様であり得るエンドエフェクタ210を備える。見て分かるとおり、
図3Aのエンドエフェクタ210は幅(w)にわたって厚さが変化する形態を含み、これは、
図2に見られる厚さ形態を有し得る。当然ながら、エンドエフェクタ210は、必要に応じてその幅にわたって一貫した厚さを有してもよい。縫合装置200は、単一のプリフォーム又はリボン材料から装置をスタンピング又は異形打ち抜きすることにより形成されてもよく、それにより縫合糸本体202とエンドエフェクタ210とが一体構造で形成され、かつ同じ材料を含むことが確実となる。
【0019】
本発明は、この縫合装置200を取り、その質量及び保持強度を増加させると同時にエンドエフェクタのサイズ増加に伴う困難な事態を回避する様々な方法でそのエンドエフェクタ210を改良しようとするものである。
図3〜
図11は、この目的を達成するのに好適な様々な形態を示す。この複合装置には、上記のとおりのエンドエフェクタを有する縫合糸が、エンドエフェクタに溶接又は接着される構成要素と共に含まれる。一部の実施形態において、エンドエフェクタには2つ以上のエンドアタッチメントが溶接される。最終的な装置は複合エンドエフェクタ(溶接固定タブ又は複合固定タブとも称される)であり、以下に記載するとおり、これらのピースは互いに溶接される。複合固定タブとは、「溶接された」固定タブ又は「接着された」固定タブを指すことができ、複合固定タブには、互いに溶接されるか(すなわち、エネルギーを加えることによる)、あるいは化学的接着又は他の公知の接着技術を適用することによるなどして互いに接着され得る様々な構成要素が含まれ得ることが理解されなければならない。従って、複合固定タブは化学的手段によって接着されてもよく、又はエネルギーを加えることによって溶接されてもよい。
【0020】
複合固定タブは、金属治具による引張試験において固定タブ単独と比較したとき破断点における最大荷重、伸び、及びエネルギーの統計的に有意な増加をもたらすことが示されている。しかしながら、重要なことには、この複合固定タブはエンドエフェクタの質量を望ましくない水準にまで増加させることはなく、また、装置に異質材料を導入することもない。
【0021】
図3A〜
図3Dは、シングル平行溶接アタッチメントを用いる一形態を説明する。
図3Aは、上記の縫合糸本体200、及び縫合糸200のエンドエフェクタ210と同様のプロフィールを有する別個のエンドアタッチメント250を示す。上記に指摘したとおり、この装置は、プリフォーム又はリボンと称される同じ前駆材料から縫合糸及びエンドエフェクタをカット又はスタンピングすることによって形成され得る。具体的には、エンドアタッチメント250はエンドエフェクタ210と同様の厚さ形態及び同様の幅を有する。長さは異なってもよく、又は同じであってもよい。
図3Aに見られる実施形態では、エンドエフェクタ210及びエンドアタッチメント250の両方の厚さが、中心領域212、第1の外側領域214、第2の外側領域216、第1の中間領域218及び第2の中間領域220に沿って別個の厚さを有する。中心領域212の厚さは第1の外側領域214及び第2の外側領域216と同じであってもよく、又は異なってもよい。第1の外側領域214は第2の外側領域216と同じ厚さ又は異なる厚さを有してもよい。この実施形態のエンドアタッチメント250は、その幅に沿ってエンドエフェクタ210と実質的に同様の厚さプロフィールを有しなければならない。
【0022】
図3Bを見ると分かるとおり、エンドアタッチメント250の1つの表面がエンドエフェクタ210の1つの表面上に置かれ、各々の幅及び長さが互いに実質的に整列している。機械的保持装置及び/又は接着剤若しくは化学的固定など、これらの構成要素が互いに配置された状態を維持する方法を用いることが有用であり得る。構成要素の維持は一時的であってもよく、溶接が完了するまで2つの構成要素を互いに動かせないようにする。一部の実施形態では、溶接手順の前及びその最中の両方で、複数の構成要素をダイ内に一体に保持してもよい。ダイは、ポリマー部品及び/又は金属部品を含め、RFダイであってもよい。
【0023】
エンドアタッチメント250が縫合糸それ自体と同じ出発リボンからカット又はスタンピングされることが、幅及び厚さプロフィールがエンドエフェクタ210と実質的に同じであることが確実となるため特に有用である。加えて、エンドアタッチメント250が縫合糸200それ自体と同じリボンから形成される場合、最終的な複合材料が、縫合糸の形成に用いられる同一の材料、特に同じバッチのポリマー材料から作られることになり得る。
【0024】
エンドエフェクタ210及びエンドアタッチメント250が取り付けられ、一体に保持されたところで、これらの部品を共に溶接して
図3Cに見られるとおりの装置を形成することが望ましく、ここで得られる複合固定タブ270が、固定複合装置である。一部の実施形態では、溶接プロセスによって実質的に平らな表面(この表面は長さl及び幅wによって画定される)を有する複合固定タブ270がもたらされることが有用である。一部の実施形態において、得られる複合固定タブ270は、溶接前のエンドエフェクタ210及びエンドアタッチメント250と同様の厚さプロフィールを有し得る。側面から見た固定タブ270(従って溶接タブ270の厚さが図示されている)の図を
図3Dに見ることができる。見て分かるとおり、複合固定タブ270の厚さは縫合糸本体202の厚さより僅かに大きいに過ぎない。複合固定タブ270の厚さは必要に応じて変えることができる。複合固定タブ270は実質的に矩形の断面を有してもよく、又は使用するダイの形状に応じて任意の他の所望の形状であってもよい。複合固定タブ270の側面及び遠位端は実質的に平らな表面を有してもよく、又はエンドエフェクタ210とエンドアタッチメント250とが共に接着されたところに継ぎ目があってもよい。
【0025】
溶接タブ270は、エンドエフェクタ210とエンドアタッチメント250とを互いに任意の好適な形で溶接するか、又は他の方法で取り付けることによって製造され得る。例えば、本装置は、高周波発生器で溶接することによって互いに取り付けられてもよい。本装置を共に溶接するには、超音波溶接又は熱溶接を含め、他のエネルギー源が用いられてもよい。高周波溶接機を使用してタブに追加の材料を加えると、最終的な複合固定タブの引張強度が50〜100%増加し、装置全体の体積の増量は無視し得る程度であることが示されている。溶接プロセスは、装置に一層多くの材料が加わるためタブの質量が必然的に増加し得る一方で、固定タブのプロフィールを均一にして、元の厚さの約25〜50%増加するに過ぎない一様な厚さをもたらす。あるいは、化学的接着を用いてタブが取り付けられてもよい。
【0026】
適切なダイ設計及び適正な機械パラメータにより、装置の残りの部分、特に縫合糸本体102のコア、及びエンドエフェクタの直前にある縫合糸の部分(例えば遠位端208)には影響を与えないままエネルギーをエンドエフェクタ210に加えることができる。縫合糸コアはその元の強度及び特性を保つ一方、得られる溶接固定装置は、その剪断応力抵抗性を高めるユニークな形態を有することができる。他の普通の形態の溶接(熱、超音波、溶剤)と異なり、高周波エネルギーは、装置の外部から内部ではなく、内側から外側へと加熱することが可能である。これは、別個の部品の表面上のポリマーが溶融し始め、タブにおける残りの配向のひずみが最小限となる溶接を形成することができるため利点である。高周波エネルギーを用いると結果が改善されるとはいえ、他のエネルギー源が企図され、特定の実施形態では有用であり得る。例えば、熱エネルギーを用いた溶接が可能であり、部品を共に融合させることが可能であろう。これは場合によっては有用であり得るが、他の場合には、高周波エネルギーがより望ましいものであり得る。
【0027】
同じ厚さ形態を含め、同じ材料及び同じ寸法を用いることにより、得られる溶接エンドエフェクタの強度が大幅に増加するが、ばらつきは増加しない。溶接タブは当初のエンドエフェクタよりも質量が大きく、例えば、1つのエンドアタッチメントが用いられる場合、それは当初の設計のほぼ2倍の質量を有する。しかしながら、得られる複合固定タブ270は元のエンドエフェクタ210と実質的に同様の長さ及び幅を有し、最大厚さが約10%〜約25%増加するに過ぎない。このように厚さの増加が比較的小さいこと及び他の寸法のサイズが維持されることは、元のエンドエフェクタ210及びエンドアタッチメント250の両方が同じプリフォーム材料で作られ、従って各々が溶接前に同様の輪郭を持つ表面構造を有することが確実になるという事実によるものである。得られる複合固定タブ270の強度の増加に加えて、固定装置に追加の質量が加わることにより、固定タブデータを正規化可能であることが示されている。公称固定タブ強度値はいかなる公知の分布にも従わないため、製造管理が一層困難となる。エンドエフェクタ210をエンドアタッチメント250と溶接すると、タブの弱い部分が十分に増強され、装置強度を正規分布を含めたいくつかの分布でモデル化することができる。
【0028】
体積の増加が最小限であることに加えて、装置に追加的な材料を加える方法によってまた、装置に加わる追加の表面積も最小限となる。例えば、エンドエフェクタに単一の追加の層を加えても、装置の表面積の増加は約0.3%に過ぎない。表面積は添加剤又はコーティングがポリマー物品中に拡散し得る速度を大きく左右するため、このように表面積の変化が最小限であることは注目に値する。溶接後の最終的な複合固定タブ270の表面積を本質的に維持することにより、固定装置の溶接前から溶接後まで添加剤又はコーティングの用量要件を維持し得るものと思われる。同様の表面積はまた、生体内での更なる細菌定着部位又は組織反応部位の数が減少することも意味する。
【0029】
図3に見られる上記の溶接タブ設計は、平行配置でエンドエフェクタ210に取り付けられた単一のエンドアタッチメント250を使用する。すなわち、各々における分子整列が合わせられ、各々における厚さ形態もまた合わせられる。この平行整列によれば、溶接前に存在した元のエンドエフェクタ210及びプリフォームの配向を利用することが可能となるが、しかしながら、それゆえ種々の方法でタブの強度及び性能を高める複数の配置及び配向が可能である。例えば、プリフォームを平行配向に構成することにより、プリフォームの幅にわたる所与の範囲内の配向が、より多くの配向がその上に加わることになるため増加し得る。
図5は、ダブル平行構成を用いた配置を示し、これによれば2つ以上のエンドアタッチメントがエンドエフェクタに取り付けられ、各アタッチメントは平行配置で取り付けられている。
図5Aに見られるとおり、縫合糸はプリフォームエンドエフェクタを備え、第1のエンドアタッチメント250及び第2のエンドアタッチメント250が提供される。第1及び第2のエンドアタッチメント250はエンドエフェクタ210に取り付けられ、エンドエフェクタ210が各エンドアタッチメント250の間に挟まれるか、又はエンドアタッチメント250が互いに直接隣接し、かつエンドエフェクタ210がそれらの2つのエンドアタッチメント250の外側に配置されるか、いずれかである。
図5B及び
図5Cは溶接された形態(それぞれ上面図及び側面図)を示し、溶接された固定装置280が縫合装置200の遠位端208に位置している。
【0030】
別の可能な構成は、
図4に示すとおりの垂直配向であり、これは
図3と同じ質量の材料を使用するが、エンドアタッチメント300は、エンドアタッチメント300における材料の整列がエンドエフェクタ210と比較して約90度回転するようにカットされている。エンドアタッチメント300はなおもエンドエフェクタ210とほぼ同じ寸法サイズ及び形状(例えば、ほぼ同じ幅、長さ及び/又は厚さ)を有するが、アタッチメントにおける分子整列が異なる。加えて、エンドエフェクタ210の厚さの変化は、
図2に見られるとおり、その幅に沿ったものであり得るが、一方、エンドアタッチメント300の厚さの変化は、
図4Aを見ると分かるとおり、その長さに沿ったものであり得る。これらの2つの部品は、上記に記載されるとおり整列させて溶接することができ、得られる複合固定タブ310は
図4B及び
図4Cに見られ得る。従って、複合固定タブ310は、分子配向が第1の方向に配列された第1の側面と、分子配向が垂直方向に配列された第2の側面とを含む。元のエンドエフェクタ210とエンドアタッチメント300との配向が垂直であるため、複合固定タブ310の長さ又は幅伝いにクラック又は裂け目が伝播しにくいことが確実になるなど、最終的な複合固定タブ310の強度及び安定性が高くなり得る。かかるクラック又は裂け目は、垂直方向に並んだ分子によって阻止される可能性がより高い。
【0031】
図6に見られる別の垂直配置では、プリフォームエンドエフェクタ210を有する元の縫合糸200が上記に記載されるとおり形成され、及び追加のエンドアタッチメント350がカットされる。しかしながら、この実施形態では、エンドアタッチメントは複数のピース(各々350)にカットされる。各エンドアタッチメントピース350は独立にエンドエフェクタ210と平行であってもよく、又はエンドエフェクタ210と垂直であってもよい。
図6Aに見られる実施形態では、4つのエンドアタッチメントピース350が形成され、各々が元のエンドエフェクタ210の長さの約半分であり、かつエンドエフェクタ210とほぼ同じ幅を有する。これにより、各ピース350をエンドエフェクタ210上の所望の位置に置いて溶接することが可能になる。ここでは2つのエンドアタッチメントピース350がエンドエフェクタ210の上面に溶接され、2つのエンドアタッチメントピース350がエンドエフェクタ210の下面に溶接される。各エンドアタッチメントピース350をエンドエフェクタ210に対して垂直配置で取り付けるか、又は各エンドアタッチメントピース350をエンドエフェクタ210に対して平行配置で取り付けるか、又はこれらの組み合わせが望ましいこともある。各エンドアタッチメントピース350は上記のとおりエンドエフェクタ210に取り付けられ、同様に上記のとおり溶接に供される。得られる複合固定タブ360が、
図6B及び
図6Cに見られる。
【0032】
図3〜
図6の様々な実施形態を見て分かるとおり、エンドエフェクタ(210)に溶接される追加の材料は、いくつもの方法で形成し、整列させて、最終的に溶接することができる。部品が共に溶接されると、得られる複合固定タブは硬くしっかりしており、元の部品は容易には分離しない。上記のとおり、上記の実施形態のいずれにおいても、得られる複合固定タブは実質的に平らな表面を有してもよく、又は必要に応じて厚さの変化を有してもよい。
図3及び
図4は、1つのエンドアタッチメントのみを加えることによって複合固定タブを作製する方法を説明し、一方、
図5及び
図6は、様々な層及び部品を全て加えて所望の複合固定タブを形成し得ることを示す。各実施形態が異なる強度プロフィール、使用及び形成の容易さ、並びに剛性の増強をもたらす。所望の最終的な複合固定タブに応じて、これらの図に見られる実施形態のいずれを用いることもできる。
【0033】
1つのエンドアタッチメントのみを使用するとき、エンドアタッチメントがエンドエフェクタのサイズ及び形状とほぼ等しい場合、得られる複合固定タブは溶接前の元のエンドエフェクタの約2倍の質量を有する。2つのエンドアタッチメントを使用する実施形態では、各エンドアタッチメントがエンドエフェクタのサイズ及び形状とほぼ等しい場合、得られる複合固定タブは溶接前の元のエンドエフェクタの約3倍の質量を有する。この複合体は略サンドイッチ配置であってもよく、ここでは第1のエンドアタッチメントがエンドエフェクタの上面に置かれ、かつ第2のエンドアタッチメントがエンドエフェクタの下面に置かれる。
【0034】
エンドエフェクタ及び2つの別個のエンドアタッチメント(又は更に多くのエンドアタッチメント)を取り入れるのではない3倍の質量の複合固定タブを形成する代替方法を
図7A〜
図7Cに見ることができる。この実施形態では、上記のとおりエンドエフェクタ210を備える縫合装置200が調製され、別個のエンドアタッチメント400が形成され、ここでエンドアタッチメント400はエンドエフェクタ210の長さの約2倍であり、かつエンドアタッチメント400は装置の幅と平行な線に沿って折り畳むことが可能である。この装置は、
図7Aに見られるとおり、折り畳み領域405を備え得る。折り畳まれたエンドアタッチメント400をエンドエフェクタ210の遠位端に被せて配置し、所定位置に保持し、最終的に所定位置に溶接することができ、これにより
図7B及び
図7Cに見られるとおりの複合固定タブ410が形成される。複合固定タブ410は、溶接された折り畳み領域415を備え、これは、溶接が完了した後の折り畳み領域405と同じ領域である。望ましくは、折り畳み可能なエンドアタッチメント400は、折り畳み後、折り畳まれた装置の長さ及び幅がエンドエフェクタ210の長さ及び幅とほぼ等しくなるようなサイズ及び形状である。得られる複合固定タブ410は、元のエンドエフェクタ210の約3倍の質量を有する。
【0035】
約3倍の質量の複合固定タブを調製する別の実施形態を
図8A〜
図8Cに見ることができる。この場合もまた、エンドエフェクタ210を有する元の縫合糸200が調製され、別個の折り畳み可能なエンドアタッチメント450もまた、望ましくは縫合糸200と同じ材料及び同じプリフォームから調製される。折り畳み可能なエンドアタッチメント450は、
図7に見られるのと実質的に同様の折り畳まれたエンドアタッチメントを使用し、ここで折り畳み可能なエンドアタッチメント450はその幅に沿って折り畳み可能領域455を備えるが、この実施形態では、エンドアタッチメント450の中央から材料の一部が取り除かれている(領域460として見られる)。領域460で中央部分を取り除くと、折り畳み可能なエンドアタッチメント450を縫合糸200の近位端206に被せて差し入れ、縫合糸本体202の長さに沿って摺動させることができ、ここでは折り畳み可能なエンドアタッチメント450がエンドエフェクタ210と整列する。縫合糸本体202に沿って動かす前又は動かしている間に折り畳み可能なエンドアタッチメント450をねじるか又は回転させることが望ましく又は必要となり得る。エンドアタッチメント450がエンドエフェクタ210に達すると、それをエンドエフェクタ210の近位端の周りに折り畳むように位置決めすることができる。この装置を溶接することができ、
図8B及び
図8Cに見られる複合固定タブ470が形成され得る。この実施形態では、得られる複合固定タブ470は、複合固定タブ470の近位端に配置された溶接折り畳み領域475を備える。
図7と同じく、溶接折り畳み領域475は折り畳み領域460とほぼ同じ位置にあるが、ただし溶接される。この形態は、固定タブ470をその近位端で更に保護することにより役立つ。
【0036】
上記の様々な実施形態では、別個の1つ又は複数の部品(すなわち、エンドアタッチメント)がエンドエフェクタ210に加えられ、所定位置で溶接される。エンドエフェクタに追加の材料を加えることに代わる方法は、エンドエフェクタの幾何学的形状をその当初の形成時に、すなわちそれがスタンピング又は打ち抜きされるときにやや変えることか、又は得られる複合固定タブの長さが元のエンドエフェクタ210よりも短い装置の提供によるものである。
【0037】
例えば、
図9A〜
図9Cは、エンドエフェクタ500を有する縫合糸本体202を備える装置を示す。この実施形態では、エンドエフェクタの長さ(近位端510から遠位端515までを測ったとき)は、最終的な所望の溶接エンドエフェクタの所望の長さの約2倍であり、折り畳み可能なエンドエフェクタ500の幅に沿って延びる折り畳み領域505に沿って折り畳み可能である。この実施形態では、折り畳み可能なエンドエフェクタ500は半分に折り畳まれ、近位端510が溶接前の遠位端515と略面一にされる。折り畳まれたエンドエフェクタが、次にその場に溶接されて溶接固定装置520を形成する(
図9B)。この実施形態の側面図を
図9Cに見ることができる。この方法には、追加の材料の使用、又はエンドエフェクタ500の材料と異なり得るいかなる追加の部品の追加も回避されるという利点がある。加えて、この方法により、別個のピースを互いに取り付ける必要性が回避される。これはまた、最終的な複合固定タブ520が上記の元のタブと等しい所望の長さを有することも維持する。加えて、最終的な溶接固定装置520は装置の質量が当初の形成時と同じである。
【0038】
図10A〜
図10Cに見られるような一部の実施形態において、エンドエフェクタ550は、(
図1にあるような)従来装置と比較して長さが細長く、その幅にわたって延びる折り畳み領域555に沿って折り畳み可能である。この実施形態では、エンドエフェクタ550が折り畳まれてその近位端560が遠位端565と略面一になると、溶接エンドエフェクタ570の得られる長さは
図9の実施形態よりも長くなる。この実施形態によれば厚さが増加して溶接固定装置570の剛性が高くなり得るが、
図9と比べて長さは長くなる。
【0039】
図11A〜
図11Cに見られる別の実施形態では、プロングを有する二つ折り設計を備えるエンドエフェクタが調製され得る。この実施形態では、エンドエフェクタ600は長さが細長く、第1の折り畳み領域605がその幅に沿って延び、第2の折り畳み領域610が異なる領域でその幅に沿って延び、エンドエフェクタ600の遠位端に第1及び第2のプロング615がある。第1の領域の長さ(エンドエフェクタ600の近位端〜第1の折り畳み領域605によって画定される)は、第2の領域の長さ(第1の折り畳み領域と第2の折り畳み領域610との間の長さとして画定される)とほぼ等しい。プロングの長さ(第2の折り畳み領域610とエンドエフェクタ600の遠位端との間の長さとして画定される)は、第1の領域及び第2の領域の長さとほぼ等しくてもよい。
【0040】
図11A〜
図11Cの実施形態では、上記に更に詳細に説明したとおり、エンドエフェクタ600の長さが最終的な所望の溶接固定装置の長さの約3倍であるようにして、プリフォームからエンドエフェクタが最初にスタンピング又は打ち抜きされる。この実施形態では、略中心長さに沿ってエンドエフェクタ600の最も遠位端の3分の1から取り除かれた細長い領域があり、第1及び第2のプロング615を形成している。プロング615を形成するために取り除く材料の量は様々であり得るが、それは、プロング615の間の空所に縫合糸本体202を通すことが可能であるのに十分でなければならない。この延長したプロング形状により、エンドエフェクタを1回(第1の折り畳み領域605で)折り畳み、次にもう一度第2の折り畳み領域610で折り畳むことが可能になり、ここでプロング615は縫合糸本体202を通り越し、エンドエフェクタ600の近位端を越え得る(
図11Aに見られる)。装置は次に所定位置で溶接されて、
図11Bに見られるとおりの(側面プロフィールが
図11Cに見られる)溶接固定装置620を形成し得る。この設計は、
図8A〜
図8Cに見られる形態に関する前側で折り畳むのと同様の利点を有し、すなわちエンドエフェクタ600の前面が囲い込まれてクラック発生に対する抵抗性が高くなる。
【0041】
前述の構成及び方法の各々が、元のスタンピングされたエンドエフェクタよりも高い安定性及び有効性を有するが、得られる溶接エンドエフェクタの厚さ、幅又は長さはそれほど大幅に増加しない最終的な複合固定タブをもたらす。一部の実施形態において、上記のとおり、質量は2倍(例えば、1つのエンドアタッチメントを使用する場合)、又は3倍(例えば、2つのエンドアタッチメントを使用する場合)になり得るが、エンドエフェクタの厚さは、エンドアタッチメントの数及び1つ又は複数のエンドアタッチメントのサイズ/形状/形態に応じて僅か約10%〜約70%、又は約25%〜約50%増加するに過ぎない。更に、溶接プロセスによるため、最終的な溶接固定装置の幅に沿って実質的に同様の厚さの平滑な表面を有し、かつ平滑な縁部及び/又は角部を備え得る複合固定タブをもたらすことができる。更に、一部の実施形態では、エンドエフェクタと1つ又は複数のエンドアタッチメントとの分子整列又は物理的整列がずれていてもよく、又は垂直に構成されてもよいことにより、装置に複数の分子整列を提供し得る。これは装置の強度を高め得る。
【0042】
前述の形態のいずれにおいても、得られるエンドエフェクタの溶接は、望ましくは所望の水準の固定及び得られる形状をもたらすのに好適なサイズ及び形状のダイで実現される。特に、使用されるダイのサイズは、その溶接空間内に様々な部品がぴったりと嵌まり、従って複合装置の表面の各々に均等にエネルギーを加えることが可能なものであることが望ましい。加えるエネルギーは、様々なアタッチメントを元のエンドエフェクタに融合させるのに十分でなければならないが、様々な部品をその分子配向が実質的に変わるまで溶融させるほど高いエネルギーであってはならない。部品が望ましくない水準まで溶融すると、得られる溶接エンドエフェクタは所望よりも強度が低くなる。結果としてエネルギーが加わることにより、1つ又は複数のアタッチメントと元のエンドエフェクタとが互いに融合し、溶接エンドエフェクタの周囲を囲む視認可能な継ぎ目ができる。部品の融合は、通常の外科的使用時に加わる水準のエネルギーに破壊又は分離を起こすことなく耐えるのに十分でなければならない。
【0043】
使用時、複合固定タブを備える縫合装置の近位端が組織に挿入され、最終的には縫合糸が実質的に組織を通り抜け、かつ装置が植え込まれる組織の外表面に複合固定タブの近位端が当接する。溶接タブが組織表面に当接していることにより、縫合糸がそれ以上組織から引き抜かれることが防止される。これにより縫合糸が所定位置に保持され、使用者は体の所望の領域で組織の縫合を続けることができる。縫合糸が上記のとおりその本体に沿って複数のリテーナを備える場合、これらの組織リテーナが、縫合装置が挿入される組織の様々な領域において縫合糸を所定位置に保持する働きをする。複合固定タブと複数のリテーナとの組み合わせが、縫合糸を近位方向に引き過ぎることを防止するのに役立つと同時に、装置が遠位方向に外れることを防止又は制限する。
【0044】
得られる複合固定タブは、縫合装置の遠位端により強力でより確実な停止部を提供する一方で、製造上の困難及び植え込み後の困難(残る質量が大き過ぎる装置が使用されるときなど)などの問題を回避する。更に、得られる固定装置は、より平滑な及び/又はより一様な表面を備え得るため、容易な使用及び治癒が可能となる。
【0045】
本発明は、溶接固定装置を備える縫合糸を使用した組織の縫合方法を含む。この縫合糸は、その本体の少なくとも一部に沿って複数のリテーナを備えることができ、ここでリテーナは縫合糸本体に沿って対称に配置されてもよく、又は縫合糸本体の周りにらせん状に巻き付けられてもよく、又は縫合糸本体の周りにランダムに配置されてもよい。上記の溶接固定装置のいずれも、縫合糸の遠位端にある溶接固定装置として使用することができる。縫合糸本体の近位端は、組織に挿通するための針又は他の尖端などの挿入手段を備えていなければならない。使用時、医師又は他の臨床医などの使用者は縫合装置の近位端を組織の所望の位置に挿入し、組織を通して縫合糸本体を少なくとも部分的に引く。縫合糸本体のリテーナにより、縫合糸を近位方向に引くことはできるが、逆方向(遠位方向)への縫合糸の動きは制限される又は他の形で抑制される。縫合糸の近位端が組織を通して引かれ、最終的には固定装置の近位端が縫合糸を挿入した組織に当接する。この時点で、縫合糸本体は近位方向への更なる引きが制限され、縫合糸本体のリテーナの存在により、ここで縫合糸の遠位端が挿入部位でその場に保持される。固定装置が組織の最初の領域に当接する前又は当接した後のいずれかに、縫合糸本体の挿入端が組織の第2の領域に挿通されてもよい。組織の第2の領域は、例えば、第1の組織領域と反対側の創傷側にあり得る。使用者は必要なだけいくつもの組織領域に縫合装置の近位端を挿入し続けて、創傷閉鎖を達成し得る。
【0046】
代替実施形態において、中央溶接タブを有する両方向性の縫合装置が提供されてもよく、これは遠位端に非改良タブ(
図1〜
図2にあるとおりの)を有する2つの縫合糸を含む。この実施形態では、第1の縫合糸の非改良タブが第2の縫合糸の非改良タブに対して180度回転しており、第1のタブの遠位端が第2のタブの近位端と略面一になっている。次に第1及び第2のタブが高周波溶接又は他のエネルギーの適用などによって互いに溶接され得る。従って得られる構造は、近位端が第2の縫合糸の近位端と反対方向に向いた第1の縫合糸を含む。2つの近位端の間には中央溶接タブがある。必要に応じて、
図3〜
図11のいずれかに記載されるとおりのエンドアタッチメントを使用して、中央溶接タブに追加の質量が提供されてもよい。
【0047】
溶接固定装置を有する縫合糸は、縫合糸ホルダなど、好適なパッケージ内に収容され得る。望ましくは、縫合糸は、縫合糸の取り出し時に縫合糸がもつれないような方法でパッケージ内の所定位置に保持される。縫合糸パッケージ内で縫合糸を1つ以上のポスト又は他の保持手段に巻き付けることが望ましい場合もある。パッケージは、使用者が縫合糸の近位端(針が含まれ得る)を把持して縫合糸がつかえたりもつれたりすることなく縫合糸パッケージから縫合糸を近位に引っ張り出すことが可能なものでなければならない。縫合糸はその上に含まれる抗菌材料のコーティングを有してもよく、このコーティングは、浸漬、噴霧、蒸着などを含め、任意の手段によって提供されてもよい。パッケージ内に2本以上の縫合糸が収容されてもよく、又は1本の縫合糸が1つのパッケージ内に収容されてもよい。パッケージは、縫合糸を保護して縫合糸の無菌性を維持するため気密密閉され得る。
【実施例】
【0048】
実施例1−卓上インストロン試験
カスタム金属治具で卓上インストロン試験により各縫合糸の引張試験を行い、カスタム金属試験用治具は縫合糸及び/又は複合エンドエフェクタ用のサイズ及び形状であった。この試験は、より一般的には剪断強度試験と称され、この実施例については、それが試験する固定タブの剪断強度を計測するものであるため、固定タブ剪断強度試験と見なされる。各個別の縫合糸をカスタム金属試験用治具に装填することにより、各固定タブの剪断強度を試験した。各試験片を治具天板のスリットに導入して、固定タブが天板の下面に直接接触し、かつ縫合糸の自由端が天板の上面側で利用可能になるようにした。2.54センチメートル(1インチ)のゲージ長さで軽い(縫合糸を緊張させておくのに十分な)張力下で上側のインストロングリッパによって縫合糸の自由端を把持した。縫合糸はグリッパの中心に、それが治具と垂直になり、斜めにならないように整列させた。固定タブが破損するまで各試験片を30cm/分(12インチ/分)で引っ張った。
【0049】
図1の設計に従い縫合糸を形成し、スタンピングしたエンドエフェクタで形成後に操作しなかったものを対照(「公称」)とした。対照縫合糸はサイズ1縫合糸であり、PDSプリフォーム材料(縫合糸の作製に用いられる工程内原材料である)から打ち抜いた。タブエンドエフェクタは、長さ約5080マイクロメートル(約200ミル)、幅約2413マイクロメートル(約95ミル)、及び厚さ約495〜546マイクロメートル(約19.5〜21.5ミル)の寸法を有し、
図1〜
図2に見られる輪郭プロフィールを有した。加えて、同じ構成で第2の縫合糸を形成し、ただしシングル平行エンドアタッチメント(上記に記載され、かつ
図3C〜
図3Dのとおり見られる)を高周波溶接によってエンドエフェクタに溶接した。このシングル平行エンドアタッチメントは、対照縫合糸及び第2の縫合糸の形成に用いたのと同じPDSプリフォーム材料から実質的に矩形の形状にカットすることにより形成した。この矩形のエンドアタッチメントを第2の縫合糸の既存の固定タブに溶接した。カットされた矩形のアタッチメントは、長さ約5080マイクロメートル(約200ミル)、幅約2413〜2540マイクロメートル(約95〜100ミル)、及び厚さ約495〜546マイクロメートル(約19.5〜21.5ミル)の寸法を有した。このエンドアタッチメントは非改良タブと同じ輪郭厚さプロフィールを有し、最終的にアタッチメントとタブとが溶接されると、その時点で、溶接されたエンドエフェクタはより矩形の断面形態を有した。各個別の縫合糸をカスタム金属試験用治具に装填することにより、各固定タブの剪断強度を試験した。各試験片を治具天板のスリットに導入して、固定タブが天板の下面に直接接触し、かつ縫合糸の自由端が天板の上面側で利用可能になるようにした。
【0050】
2.54センチメートル(1インチ)のゲージ長さで軽い(縫合糸を緊張させておくのに十分な)張力下で上側のインストロングリッパによって縫合糸の自由端を把持した。縫合糸はグリッパの中心に、それが治具と垂直になり、斜めにならないように整列させた。固定タブが破損するまで各試験片を30cm/分(12インチ/分)で引っ張った。
【0051】
表Iは、同じロットの材料の、公称(溶接されていない、打ち抜きされた)タブと高周波溶接タブ(平行配置)との間の性能の違いを示す。平均強度の増加に加え、母集団の下限値が有意に上がり、これは変動係数の低下と解釈される。装置の変動が少ないということは、外科医の手に渡る製品の高い一貫性につながると解釈される。
【0052】
【表1】
【0053】
図12は、公称タブ付き装置(溶接されていない)を様々な本発明の実施形態と比較したときの金属治具で試験した引張強さを示す。本発明のサンプルは、公称比較装置と同じロットの材料から調製し、1つは平行積層体として形成し、1つはダブル平行積層体(
図5B〜
図5C)として形成し、1つは折り畳んだアタッチメント(
図7B〜
図7C)として形成した。
【0054】
これらの3つの設計についての公称(溶接されていない)固定装置に対する平均強度の増加%は、シングル平行積層エンドアタッチメントについて88%、ダブル平行積層エンドアタッチメントについて132%、及び後ろを囲むようにして折り畳む(後部折り畳み)エンドアタッチメントについて149%であった。
【0055】
実施例2−ブタ起始強度試験
起始強度は、実施例1に記載した剪断強度試験とは異なる試験である。起始強度試験では、縫合装置をブタ筋膜組織に挿通し、固定タブの近位端を組織に当接させ、縫合糸の自由端をインストロンに装填して破損するまで引っ張る。
【0056】
比較用(公称)縫合糸は
図1の設計に従い、かつ実施例1に説明するとおり形成し、形成後に溶接されなかった打ち抜きエンドエフェクタを備えていた。第2の縫合糸(「発明品1」)は同じ材料及びサイズで形成したが、シングル平行エンドアタッチメント(
図3C〜
図3Dにあるとおり)を高周波溶接によってエンドエフェクタに溶接した(この形態は実施例1にあるとおり説明される)。第3の縫合糸(「発明品2」)は同じ材料及びサイズで形成したが、2つの実質的に同一の平行エンドアタッチメントを、1つはタブエンドエフェクタの上に、及び1つはタブエンドエフェクタの下に、タブに溶接した。エンドアタッチメント及びタブを互いに略面一になるように整列させ、各々を高周波溶接によって同時にエンドエフェクタに溶接した。この形態はダブル平行積層設計と称される(
図5B〜
図5Cにあるとおり)。
【0057】
起始強度試験は、ブタ正中線筋膜に植え込んだときの固定装置の強度を計測する。各試験片は、初めに縫合糸の近位端を頂点の近傍で切開の両側に挿通し、固定タブの近位端がブタ筋膜組織に当接するまで縫合糸を筋膜を通して引くことにより調製した。組織試験片を高くした治具に置いて、目視観察できるように切開範囲を露出させておき、かつ試験実施者によって装置又は組織の破損が記録されるまで縫合糸の近位端に荷重を加える(固定した組織平面に垂直の荷重)ことが可能であるようにした。このセットアップは、外科医が組織中への装置の起始後に縫合糸近位端を引っ張り「上げる」のを模擬する。
図13に示されるとおり、本発明の固定装置は公称固定装置と比べて起始強度の増加をもたらした。シングル平行エンドアタッチメントは公称タブと比べて約50%の増加をもたらした一方、ダブル平行エンドアタッチメントは公称固定タブと比べて約70%の増加をもたらした。
【0058】
図14は、公称固定装置、シングル平行エンドアタッチメント形態、及びダブル平行エンドアタッチメント形態についての、ブタ筋膜における起始強度(y軸)及び金属治具を使用した固定装置の剪断強度(x軸)の相関プロットを示す。データ点の線形フィットから0.9989のR
2値が得られ、これらの2つの試験方法の間の強い相関が示される。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) 複合縫合装置であって、
(a)本体が中心軸に沿って延びている、近位端と遠位端とを有する細長い縫合糸本体と、
(b)前記遠位端に取り付けられた複合固定タブと、を備え、前記複合固定タブが、
(i)上面及び下面を有し、それらの間の厚さと、前記中心軸と平行に延びる長さと、前記中心軸と垂直に延びる幅とを備える第1の層と、
(ii)上面及び下面を有し、それらの間の厚さと、前記中心軸と平行に延びる長さと、前記中心軸と垂直に延びる幅とを備える第2の層と、を備え、
前記第2の層の前記下面が前記第1の層の前記上面に溶接されている、複合縫合装置。
(2) 前記層が互いに実質的に同じ幅及び長さを有する、実施態様1に記載の複合縫合装置。
(3) 前記層が同じ材料で作られている、実施態様1又は2に記載の複合縫合装置。
(4) 前記縫合糸本体及び前記第1の層がプリフォームリボンから異形打ち抜きされ(profile punched)ている、実施態様1〜3のいずれかに記載の複合縫合装置。
(5) 前記第2の層が前記縫合糸本体と同じプリフォームリボンから作られている、実施態様4に記載の複合縫合装置。
【0060】
(6) 前記第1の層が、ある厚さ形態を有し、前記厚さ形態が前記中心軸においてより厚い領域を含む、実施態様1〜5のいずれかに記載の複合縫合装置。
(7) 前記第1の層の前記厚さ形態が、第1及び第2の側部においてより厚い領域を含む、実施態様6に記載の複合縫合装置。
(8) 第2の層が前記第1の層と実質的に同様の厚さ形態を有する、実施態様7に記載の複合縫合装置。
(9) 前記縫合糸本体が長さに沿って複数のリテーナを有し、前記リテーナの各々が前記遠位端の方に向いた尖端を有する、実施態様1〜8のいずれかに記載の複合縫合装置。
(10) 上面及び下面を有し、それらの間の厚さと、前記中心軸と平行に延びる長さと、前記中心軸と垂直に延びる幅とを備える第3の層を更に含む、実施態様1〜9のいずれかに記載の複合縫合装置。
【0061】
(11) 前記第3の層が前記第1の層の前記下面に溶接されている、実施態様10に記載の複合縫合装置。
(12) 前記第2の層と前記第3の層とが別個のピースである、実施態様10に記載の複合縫合装置。
(13) 前記第2の層と前記第3の層とが細長い要素を折り畳むことによって互いに取り付けられている、実施態様10に記載の複合縫合装置。
(14) 前記第1の層と前記第2の層とが垂直な分子整列を有する、実施態様1〜13のいずれかに記載の複合縫合装置。
(15) 前記複合固定タブの前記厚さが溶接前の前記第1の層の前記厚さの約1.1〜約2.0倍である、実施態様1〜14のいずれかに記載の複合縫合装置。
【0062】
(16) 実施態様1〜15のいずれかに記載の複合装置を作製する方法であって、第1の層及び第2の層を互いに連通した状態に置く工程と、前記第1の層と前記第2の層とを互いに溶接させるのに十分なエネルギーを前記層に加える工程と、を含む、方法。
(17) 複合固定タブを有する縫合装置を形成する方法であって、
a.所望の厚さ形態を有するプリフォームリボンから縫合装置を形成する工程であって、前記縫合装置が、本体が中心軸に沿って延びている、近位端及び遠位端と、固定タブとを備え、前記固定タブが上面及び下面を含み、かつ長さ、幅及び厚さを有する、工程と、
b.固定タブの上面にエンドアタッチメントを加える工程であって、前記エンドアタッチメントが前記縫合装置と同じプリフォームリボンから形成され、前記エンドアタッチメントが前記固定タブと実質的に同様の長さ及び幅を有する、工程と、
c.固定タブとエンドアタッチメントとを互いに溶接して複合固定タブを形成する工程と、を含む、方法。
(18) 前記固定タブの前記下面に第2のエンドアタッチメントを更に加え、前記第2のエンドアタッチメントを前記固定タブに溶接する、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記エンドアタッチメントが、前記固定タブの遠位端を折り畳み、前記固定タブとエンドアタッチメントとの積層形態を形成することによって形成される、実施態様17又は18に記載の方法。
(20) 前記固定タブとエンドアタッチメントとが垂直な分子整列を有する、実施態様17〜19のいずれかに記載の方法。
【0063】
(21) 前記複合固定タブの前記厚さが溶接前の前記第1の層の前記厚さの約1.1〜約2.0倍である、実施態様17〜20のいずれかに記載の方法。