(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補助目的のうちの少なくとも1つは、処理後の損傷状態を最小限に抑えること、および/または、前記処理後の損傷状態が閾値を超えないことを予測することである、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
毛髪着色
毛髪着色は、数千年にわたって実践されており、現代社会において重要な役割を担っている。毛髪着色の技術分野における中心的な課題は、例えば、適切な毛髪着色組成物および/または処理パラメータ(例えば、処理時間、温度など)など、正確な処理を提供することである。
【0003】
国際出願PCT/IB2012/051351号は、複数の容器を備える分配装置を開示しており、各容器が、毛髪着色組成物のそれぞれの異なる成分を収容する。毛髪の初期スペクトルが測定および分析される。分析の結果に従って、カスタマイズされた毛髪着色組成物(すなわち、ユーザの毛髪および達成されるべき所望の結果に特有のもの)のための成分の組合せが、分配装置によって容器から分配される。
【0004】
毛髪着色組成物の成分の組合せは、測定された毛髪スペクトルの分析に従って選択される。それゆえ、ユーザの毛髪およびユーザの毛髪着色目標に最良に適するカスタマイズされた毛髪着色を提供するために、毛髪サンプルの初期スペクトルを正確に測定することが、非常に望ましい。
【0005】
仮説的毛髪着色組成物(HCC)による仮説的毛髪色処理の結果の予測(
図1)
当該技術分野において、着色直後の状態を予測すること、すなわち、毛髪色処理の直後の毛髪の色を予測することが知られている。毛髪の処理直後の状態は、(i)「初期毛髪」の色特性を記述するデータ(すなわち、比色分析またはスペクトルデータ)および(ii)毛髪着色組成物HCCを記述するデータ(例えば、毛髪着色組成物中の1つまたは複数の人工着色剤の濃度)から計算することができる。
【0006】
この目標に向かって、毛髪の毛髪着色前の色状態が(例えば、比色分析またはスペクトルデータを取得することによって)特徴付けまたは測定される。色状態データ(例えば、比色分析またはスペクトルデータ)は、例えば、色空間内で(例えば、LAB色座標内で)、または、スペクトル(um)(例えば、反射または透過または吸収スペクトル)として、または、比色分析の技術分野において知られている任意の他の方法において表現することができる。本開示の様々な実施例は、任意の色状態を一般的に/概略的に記述するように意図されている「色座標」に関し、比色分析またはスペクトルデータ、または、任意の他の知られている色状態の記述に関し得る。
【0007】
例えば、2012年3月21日付で提出された国際出願PCT/IB2012/051351号は、ケラチン、ユーメラニン、フェオメラニンおよび/または人工色素の濃度を呈する「初期毛髪」(すなわち、毛髪着色の前)の初期スペクトルを測定することを開示している。この例においては、HCCの染料の濃度が分かっている場合、(i)染色(例えば、酸化的毛髪染色)プロセス後の毛髪中の天然および人工着色剤の予測される濃度を計算し、(ii)予測される着色剤濃度から、処理後の色状態を表す、予測毛髪着色処理後スペクトル(例えば、反射または吸収スペクトル)を計算することが可能である。
図1は、第1の色座標および第2の色座標を概略的に示し、それらの座標は、処理前および処理後スペクトルの特徴であり得る。
【0008】
図1は、初期毛髪の処理後の色状態、すなわち、初期毛髪を毛髪着色処理にさらした直後の毛髪の予測される色状態の予測の計算を概略的に示す。
【0009】
毛髪着色処理の計算(
図2A〜
図2Bおよび
図3)
毛髪着色の技術分野において、ユーザの毛髪の初期色状態を測定し、ユーザの毛髪の所望の毛髪色を記述する目標色状態を請求することが知られている。例えば、黒髪の人が、特定の赤色の色調を所望し、白髪の人が、特定のブロンドの色調を所望する、などである。この情報に基づいて、ユーザの毛髪を目標色状態に変換すると予測される毛髪着色組成物(HCC)を計算することが可能である。この計算は、
図2Aに示されている。
【0010】
この計算を達成するための1つの実施態様が、
図2Bに示されている。特に、いくつかの候補HCCを記述するデータを生成することができ、候補HCCの各々について、それぞれの予測される目標状態が計算される。
図2Bの例において、予測される計算状態が、4つの候補HCC、すなわち、HCC cand1、HCC cand2、HCC cand3、およびHCC cand4について計算される。
【0011】
毛髪着色処理を「計算」するために、各HCCについて、目標色状態と予測される処理後の色状態との間のそれぞれの逸脱が計算される。
図3に示すように、逸脱が計算されると、「最良」の(または最高のスコアを有する)候補が、その対応する処理後の色状態が目標色状態からの最小の逸脱(すなわち、処理後の色状態)を有すると予測されるものとして選択される。
【0012】
この欲張り手法を利用する「HCC計算」エンジンを、多容器分配装置に動作可能に結合することが可能である。異なる毛髪着色剤が各容器内に貯蔵され、計算されるHCCは、各剤の相対量を指定する。着色剤は、各容器から、計算されるHCCによって決定される量において、HCCの計算に応答して分配することができる。
【0013】
白髪
本発明の実施形態は、「天然の白髪」に適したカスタマイズされた毛髪着色組成物を提供するために、天然の白髪を分析するための方法および装置に関する。
【0014】
相当の割合の人々について、年を取ると、人々の毛髪は白髪になり、人々の毛髪は「天然灰色」になる。「天然の白髪」は、人工着色剤の存在が個々の毛幹に灰色を与える「人工的な灰色」の毛髪から区別され得る。
【0015】
天然の白髪は、2つのタイプの毛幹、すなわち、(i)天然色素含有毛幹(例えば、黒色毛幹または赤色毛幹またはブロンド毛幹または茶色毛幹または他の天然色素含有毛幹などのメラニン含有毛幹)、および、(ii)例えば年齢に起因して実質的にメラニンを含まない天然白色毛幹の混合体である。単一の毛髪混体合内に両方の色タイプの毛幹が存在することによって、混合体は全体として、普段の裸眼の観察者には「白髪」として見えるようになる。
【0016】
本開示について、「毛幹」という用語は個々の毛髪を指し、個々の毛髪の「毛幹部分」(すなわち、毛根部分から離れている)には限定されない。
【0017】
天然の白髪は、本明細書において「毛髪の異色混合体」としても参照される、毛幹の毛幹異色「混合体」の一例であるが、唯一の例ではない。
【0018】
時として、天然の白髪は、全体的な外観を変える場合がある「毛髪着色処理」を受け、そのため、もはや「天然の白髪」とは考えられない。本開示について、「毛髪着色処理」は、毛幹の色を変更する何らかの処理である。毛髪着色処理の例は、毛髪染色処理(例えば、人工着色剤に基づく)および脱色である。毛髪染色処理は、一時的な、半永続的な、準永続的なまたは永続的な毛髪染色(例えば、酸化的毛髪染色)処理を含む。
【0019】
本開示について、「元は天然灰色だった毛髪(formerly natural gray hair)」は、(i)過去においては「天然灰色」だったが、毛髪着色処理によって変換されており、(ii)その毛髪色の元のステータスが天然の白髪であったことを示す特性を有するものとして現在(例えば、ヘアスタイリストまたは他の当業者による検査を受けて)認識可能である毛髪の混合体である。一例において、黒色毛幹と天然白色毛幹との混合体(すなわち、1つのタイプの天然の白髪)は、例えば、酸化的毛髪染色プロセスによって、人工的に赤色に染色される。
【0020】
この例において、赤色毛髪染色処理の結果として、各天然白色毛幹は、相対的に明るい色調の赤色になり、一方で、各天然黒色毛幹は、より暗い色調の赤色になる。これは、個々の毛幹の綿密な検査を受けて観測可能である。対照的に、混合体(すなわち、全体としての)の全体的な外観は、個々の毛幹の外観とは異なる(すなわち、分離して見える)。
【0021】
この例において、赤色染料による処理の前、毛髪は天然灰色であり、天然黒色毛幹と天然白色毛幹との混合体である。毛髪染色プロセスの後、毛髪は「元は天然灰色だった」ものであり、第1の色タイプの毛幹と第2の色タイプの毛幹との混合体である。第1の色タイプの毛幹は、染色プロセス前は天然黒色である毛幹であり、染色プロセス後、これらの毛幹は暗い赤色である。第2の色タイプの毛幹は、染色プロセス前は天然白色である毛幹であり、染色プロセス後、これらの毛幹は明るい赤色である。
【0022】
以下の交付済み特許および特許公報が、関連する可能性のある背景資料を提供し、それらの文献の全体がすべて参照により組み込まれる:米国特許出願公開第20080068604号明細書、米国特許出願公開第20060195300号明細書、米国特許出願公開第20040000015号明細書、米国特許第707929号明細書、国際公開第2012/127429号パンフレット、および国際公開第2010/004565号パンフレット。
【発明の概要】
【0023】
材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムであって、可能性のある毛髪着色処理の複数の異なる毛髪処理目的の相対的な重要性を記述する多目的相対重要性データを受信するための毛髪処理目的優先順位付けユーザインターフェース(HTOP UI:hair−treatment objective−prioritization user interface)と、可能性のある毛髪着色処理の目標色状態、および、少なくとも、可能性のある毛髪着色処理にさらされる前の、ユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するように構成されている毛髪状態回路と、HTOP UIを介して受信される入力に応答する毛髪着色組成物(HCC)予測エンジンであって、毛髪着色組成物予測エンジンは、初期毛髪状態データおよび目標色状態から、ユーザの毛髪の色状態を、初期色状態から目標色状態へと変換すると予測される、カスタマイズされた毛髪着色組成物を計算するように構成されている、毛髪着色組成物予測エンジンとを備え、HTOP UIは、多目的相対重要性データが、(A)目標色状態に達すること、および、(B)少なくとも1つの補助目的を達成すること、または、補助目的のユーザ指定の重み付き組合せを達成することの相対的な重要性を記述するように構成されており、補助目的を達成することと引き換えに、処理直後の色状態の正確度を優先する多目的相対重要性データが、HTOP UIを介して受信されるのに応答して、HCC予測エンジンは、補助目的を達成することと引き換えに、ユーザの毛髪を目標色状態へとより正確に変換すると予測される毛髪着色組成物を計算し、予測される処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的を達成することを優先する多目的相対重要性データが、HTOP UIを介して受信されるのに応答して、HCC予測エンジンは、処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的を達成する毛髪着色組成物を計算する、システム。
【0024】
材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムであって、システムは、可能性のある毛髪着色処理の複数の異なる毛髪処理目的の相対的な重要性を記述する多目的相対重要性データを受信するための毛髪処理目的優先順位付けユーザインターフェース(HTOP UI)と、可能性のある毛髪着色処理の目標色状態、および、少なくとも、可能性のある毛髪着色処理にさらされる前の、ユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するように構成されている毛髪状態回路と、それぞれ各容器内で異なる材料が分配される複数の容器を有する分配装置デバイスであって、分配装置デバイスは、それぞれ、各容器から、デジタルコンピュータによって実施される計算に応答して、かつ、その計算に従って、異なる量の材料を分配するように構成されている、分配装置デバイスとを備え、
補助目的を達成することと引き換えに、処理直後の色状態の正確度を優先する多目的相対重要性データが、HTOP UIを介して受信されるのに応答して、分配装置デバイスは、補助目的を達成することと引き換えに、ユーザの毛髪を目標色状態へとより正確に変換する毛髪着色組成物の相対量において、容器から材料を分配し、処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的を達成することを優先する多目的相対重要性データが、HTOP UIを介して受信されるのに応答して、分配装置デバイスは、処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的を達成する毛髪着色組成物の相対量において、容器から材料を分配する、システム。
【0025】
いくつかの実施形態において、補助目的のうちの少なくとも1つは、処理後の色保持洗浄耐性である。
【0026】
いくつかの実施形態において、補助目的のうちの少なくとも1つは、複数の異なる色の初期毛幹の間で均一な色状態を達成することである。
【0027】
いくつかの実施形態において、補助目的のうちの少なくとも1つは、処理後の損傷状態を最小限に抑えること、および/または、処理後の損傷状態が閾値を超えないことを予測することである。
【0028】
いくつかの実施形態において、補助目的のうちの少なくとも1つは、処理複雑度を最小限に抑えることである。
【0029】
ユーザの毛髪および目標毛髪色状態に対してカスタマイズされている毛髪着色組成物を計算する方法であって、毛髪着色組成物は、複数の人工着色剤を含み、方法は、ユーザの毛髪の初期色状態、および、任意選択的に、ユーザの毛髪の補助的毛髪状態データを記述する初期毛髪状態データを受信することと、少なくとも、以下の2つの少なくとも部分的に相反する目標、すなわち、初期色状態から目標色状態へと毛髪を変換すること、および、最適な洗浄耐性を有する毛髪着色組成物を提供することについて、複数の目標に対して最適化されている相対量において、複数の成分複数の候補成分から選択される成分の、最適化された毛髪分配を実施することとを含む、方法。
【0030】
ユーザの毛髪および目標毛髪色状態に対してカスタマイズされている毛髪着色組成物を計算する方法であって、毛髪着色組成物は、複数の人工着色剤を含み、方法は、ユーザの毛髪の初期色状態、および、任意選択的に、ユーザの毛髪の補助的毛髪状態データを記述する初期毛髪状態データを受信することと、複数の候補の各候補毛髪着色組成物について、それぞれ、初期毛髪状態データから、候補毛髪着色組成物によるユーザの毛髪の着色後の、ユーザの毛髪の予測される処理直後の色状態、および、候補毛髪着色組成物による着色後のユーザの毛髪の処理後洗浄後のユーザの毛髪の予測される色保持を計算することと、目標色状態と候補特有の処理直後の色状態との間の候補特有の予測される色の逸脱が低減(増大)するにつれて、候補のスコアが増大(低減)するように、かつ、予測される色保持が向上するにつれて、毛髪着色組成物のスコアが増大(低減)するように、競合するスコア付け基準に従って、各候補毛髪着色組成物をスコア付けすることとを含み、予測される色保持は、各人工着色剤に対して1つの、複数の着色剤濃度減衰曲線に従って計算される、方法。
【0031】
いくつかの実施形態において、濃度減衰曲線は、ユーザの毛髪の予測される処理後の損傷状態に依存するように、損傷依存である。
【0032】
いくつかの実施形態において、補助的毛髪状態データは、毛髪の処理前の損傷状態を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、補助的毛髪状態データは、毛髪の太さを含む。
【0034】
材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムであって、システムは、可能性のある毛髪着色処理の複数の異なる毛髪処理目的の相対的な重要性を記述する多目的相対重要性データを受信するための毛髪処理目的優先順位付けユーザインターフェース(HTOP UI)と、可能性のある毛髪着色処理の目標色状態、および、少なくとも、可能性のある毛髪着色処理にさらされる前の、ユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するように構成されている毛髪状態回路と、HTOP UIを介して受信される入力に応答する毛髪着色組成物(HCC)予測エンジンであって、毛髪着色組成物予測エンジンは、初期毛髪状態データおよび目標色状態から、ユーザの毛髪の色状態を、初期色状態から目標色状態へと変換すると予測される、カスタマイズされた毛髪着色組成物を計算するように構成されている、毛髪着色組成物予測エンジンとを備え、HTOP UIは、多目的相対重要性データが、(A)目標色状態に達すること、および、(B)少なくとも1つの補助目的を達成すること、または、補助目的のユーザ指定の重み付き組合せを達成することの相対的な重要性を記述するように構成されており、第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的を優先する多目的相対重要性データが、HTOP UIを介して受信されるのに応答して、毛髪着色組成物(HCC)予測エンジンは、第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的を達成すると予測される毛髪着色組成物を計算し、第1の補助目的と引き換えに第2の補助目的を優先する多目的相対重要性データが、HTOP UIを介して受信されるのに応答して、毛髪着色組成物(HCC)予測エンジンは、第1の補助目的と引き換えに第2の補助目的を達成すると予測される毛髪着色組成物を計算する、システム。
【0035】
材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムであって、システムは、可能性のある毛髪着色処理の複数の異なる毛髪処理目的の相対的な重要性を記述する多目的相対重要性データを受信するための毛髪処理目的優先順位付けユーザインターフェース(HTOP UI)と、可能性のある毛髪着色処理の目標色状態、および、少なくとも、可能性のある毛髪着色処理にさらされる前の、ユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するように構成されている毛髪状態回路と、それぞれ各容器内で異なる材料が分配される複数の容器を有する分配装置デバイスであって、分配装置デバイスは、それぞれ、各容器から、デジタルコンピュータによって実施される計算に応答して、かつ、その計算に従って、異なる量の材料を分配するように構成されている、分配装置デバイスとを備え、第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的を優先する多目的相対重要性データが、HTOP UIを介して受信されるのに応答して、分配装置デバイスは、第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的を達成すると予測される毛髪着色組成物の相対量において、容器から材料を分配し、第1の補助目的と引き換えに第2の補助目的を達成することを優先する多目的相対重要性データが、HTOP UIを介して受信されるのに応答して、分配装置デバイスは、第1の補助目的と引き換えに第2の補助目的を達成すると予測される毛髪着色組成物の相対量において、容器から材料を分配する、システム。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1の補助目的は耐久性であり、第2の補助目的はジェントルネスである。
【0037】
いくつかの実施形態において、第1の補助目的は均一性/適用範囲であり、第2の補助目的はジェントルネスである。
【0038】
いくつかの実施形態において、第1の補助目的は耐久性であり、第2の補助目的は均一性/適用範囲である。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1の補助目的は、本明細書において記載されている任意の第1の目的であり、第2の補助目的は、本明細書において記載されている任意の第2の目的である。
【0040】
いくつかの実施形態において、目標色状態および/または初期毛髪状態データは、スペクトルデータおよび比色分析データのうちの少なくとも1つを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、スペクトルデータは、反射スペクトル、透過スペクトルおよび吸収スペクトルのうちの少なくとも1つを含む。
【0042】
いくつかの実施形態は、材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムに関し、システムは、a.(i)目標色状態、および(ii)少なくとも、ユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するためのコンピュータ記憶装置と、b.初期毛髪状態データおよび目標色状態から、ユーザの毛髪の色状態を、初期色状態から(例えば、概ねまたは正確に)目標色状態に向けて変換すると予測される、カスタマイズされた毛髪着色組成物を計算するように構成されている計算エンジンと、c.(i)目標色状態に達すること、および、(ii)少なくとも1つの補助目的を達成すること、または、補助目的のユーザ指定の重み付き組合せを達成することの相対的な重要性を記述する多目的相対重要性データを受信するためのユーザインターフェースとを備え、i.補助目的を達成することと引き換えに、処理直後の色状態の正確度を優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、計算エンジンは、補助目的を達成することと引き換えに、ユーザの毛髪を目標色状態へとより正確に変換する毛髪着色組成物を計算し、ii.処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的を達成することを優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、計算エンジンは、処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的をより良好に達成する毛髪着色組成物を計算する。
【0043】
いくつかの実施形態は、材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムに関し、システムは、a.(i)目標色状態、および(ii)少なくとも、ユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するためのコンピュータ記憶装置と、b.(i)目標色状態に達すること、および、(ii)少なくとも1つの補助目的を達成すること、または、補助目的のユーザ指定の重み付き組合せを達成することの相対的な重要性を記述する多目的相対重要性データを受信するためのユーザインターフェースと、c.それぞれ各容器内で異なる材料が分配される複数の容器を有する分配装置デバイスであって、分配装置デバイスは、それぞれ、各容器から、デジタルコンピュータによって実施される計算に応答して、かつ、その計算に従って、異なる量の材料を分配するように構成されている、分配装置デバイスとを備え、i.補助目的を達成することと引き換えに、処理直後の色状態の正確度を優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、分配装置デバイスは、補助目的を達成することと引き換えに、ユーザの毛髪を目標色状態に向けてより正確に変換する毛髪着色組成物の相対量において、容器から材料を分配し、ii.処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的を達成することを優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、分配装置デバイスは、処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的をより良好に達成する毛髪着色組成物の相対量において、容器から材料を分配する。
【0044】
いくつかの実施形態において、補助目的のうちの少なくとも1つは、処理後の色保持洗浄耐性、例えば、「耐久性」である。
【0045】
いくつかの実施形態において、補助目的のうちの少なくとも1つは、複数の異なる色の初期毛幹の間で均一な色状態を達成すること、例えば、適用範囲である。
【0046】
いくつかの実施形態において、補助目的のうちの少なくとも1つは、処理後の損傷状態を最小限に抑えること、および/または、処理後の損傷状態が閾値を超えないことを予測することである。
【0047】
いくつかの実施形態において、補助目的のうちの少なくとも1つは、処理複雑度(例えば、処理ステップの数)を最小限に抑えることである。
【0048】
いくつかの実施形態は、ユーザの毛髪および目標毛髪色状態に対してカスタマイズされている毛髪着色組成物を計算する方法に関し、毛髪着色組成物は、複数の人工着色剤を含み、方法は、a.ユーザの毛髪の初期色状態、および、任意選択的に、ユーザの毛髪の補助的毛髪状態データを記述する初期毛髪状態データを受信することと、b.以下の2つの少なくとも部分的に相反する目標、すなわち、(i)初期色状態から目標色状態へと毛髪を変換すること、および、(ii)最適な洗浄耐性を有する毛髪着色組成物を提供することについて、複数の目標に対して最適化されている相対量において、複数の成分複数の候補成分から選択される成分の、最適化された毛髪分配を実施することとを含む。
【0049】
いくつかの実施形態は、ユーザの毛髪および目標毛髪色状態に対してカスタマイズされている毛髪着色組成物を計算する方法に関し、毛髪着色組成物は、複数の人工着色剤を含み、方法は、a.ユーザの毛髪の初期色状態、および、任意選択的に、ユーザの毛髪の補助的毛髪状態データを記述する初期毛髪状態データを受信することと、b.複数の候補の各候補毛髪着色組成物について、それぞれ、初期毛髪状態データから、i.候補毛髪着色組成物によるユーザの毛髪の着色後の、ユーザの毛髪の予測される処理後の色状態、および、ii.候補毛髪着色組成物による着色後のユーザの毛髪の処理後洗浄後のユーザの毛髪の予測される色保持を計算することと、c.(i)目標色状態と候補特有の処理直後の色状態との間の候補特有の予測される色の逸脱が低減(増大)するにつれて、候補のスコアが増大(低減)するように、かつ、(ii)予測される色保持が向上するにつれて、毛髪着色組成物のスコアが増大(低減)するように、競合するスコア付け基準に従って、各候補毛髪着色組成物をスコア付けすることとを含み、予測される色保持は、各人工着色剤に対して1つの、複数の着色剤濃度減衰曲線に従って計算される。
【0050】
いくつかの実施形態において、濃度減衰曲線は、ユーザの毛髪の予測される処理後の損傷状態に依存するように、損傷依存である。
【0051】
いくつかの実施形態において、補助的毛髪状態データは、毛髪の処理前の損傷状態を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、補助的毛髪状態データは、毛髪の太さを含む。
【0053】
いくつかの実施形態は、材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムに関し、システムは、a.(i)目標色状態、および(ii)少なくとも、ユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するためのコンピュータ記憶装置と、b.初期毛髪状態データおよび目標色状態から、ユーザの毛髪の色状態を、初期色状態から(例えば、概ねまたは正確に)目標色状態に向けて変換すると予測される、カスタマイズされた毛髪着色組成物を計算するように構成されている計算エンジンと、c.第1の補助目的および第2の補助目的、ならびに、任意選択的に、目標色状態に達することの相対的な重要性を記述する多目的相対重要性データを受信するためのユーザインターフェースとを備え、i.第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的を優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、計算エンジンは、第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的をより良好に達成すると予測される毛髪着色組成物を計算し、ii.第1の補助目的と引き換えに第2の補助目的を優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、計算エンジンは、第1の補助目的と引き換えに第2の補助目的をより良好に達成すると予測される毛髪着色組成物を計算する。
【0054】
いくつかの実施形態は、材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムに関し、システムは、a.(i)目標色状態、および(ii)少なくとも、ユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するためのコンピュータ記憶装置と、b.第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的を優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、計算エンジンは、第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的をより良好に達成すると予測される毛髪着色組成物を計算し、c.それぞれ各容器内で異なる材料が分配される複数の容器を有する分配装置デバイスであって、分配装置デバイスは、それぞれ、各容器から、デジタルコンピュータによって実施される計算に応答して、かつ、その計算に従って、異なる量の材料を分配するように構成されている、分配装置デバイスとを備え、i.第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的を優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、分配装置デバイスは、第2の補助目的と引き換えに第1の補助目的をより良好に達成すると予測される毛髪着色組成物の相対量において、容器から材料を分配し、ii.第1の補助目的と引き換えに第2の補助目的を達成することを優先する多目的相対重要性データが受信されるのに応答して、分配装置デバイスは、第1の補助目的と引き換えに第2の補助目的をより良好に達成すると予測される毛髪着色組成物の相対量において、容器から材料を分配する。
【0055】
いくつかの実施形態において、第1の補助目的は耐久性であり、第2の補助目的はジェントルネスである。
【0056】
いくつかの実施形態において、第1の補助目的は均一性/適用範囲であり、第2の補助目的はジェントルネスである。
【0057】
いくつかの実施形態において、第1の補助目的は耐久性であり、第2の補助目的は均一性/適用範囲である。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1の補助目的は、本明細書において記載されている任意の第1の目的であり、第2の補助目的は、本明細書において記載されている任意の第2の目的である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
添付の特許請求の範囲は、図面を参照しながら例示的な実施形態のこの詳細な説明を参照することによって、より良好に理解される。本明細書、実施形態および図面は、特許請求項の範囲を限定するものとして考えられるべきではない。本明細書において開示されている方法および装置のすべての特徴が、すべての実施態様において必要であるとは限らないことが理解されるべきである。また、本開示全体を通じて、プロセスまたは方法が図示または記載されている場合、方法のステップは、1つのステップが最初に実施される別のステップに依存することが文脈から明らかでない限り、任意の順序においてまたは同時に実施されてもよいことも理解されるべきである。本出願全体を通じて使用されるものとして、「〜してもよい(may)」という単語は、強制の意味(すなわち、「〜しなければならない(must)」を意味する)ではなく、許可の意味(すなわち、「〜する可能性を有する(having the potential to)」を意味する)において使用される。
【0061】
明瞭にするために、別個の実施形態の文脈において記載されている本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが諒解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴はまた、別個にもしくは任意の適切な部分組合せにおいて提供されてもよい。
【0062】
本発明の実施形態は、毛髪処理目的優先順位付けユーザインターフェース(HTOP UI)3108を含み、HTOP UI3108を介して受信されるユーザ入力に従って動作する毛髪着色システムに関する。下記により詳細に論じるように、HTOP UI3108は、ユーザが、補助目的を含む様々な毛髪着色目的の相対的な重要性を明示的に指定し、それによって、特定の毛髪着色目的を、他の毛髪着色目的よりも優先することを可能にする。下記に論じる
図4A〜
図4Bは、HTOP UI3108を含む例示的な毛髪着色システムのブロック図である。
【0063】
主要な目的は、毛髪の処理直後の色状態を目標(例えば、ユーザ指定の)色状態へと変換すると予測されるHCCを得ることのままである。したがって、毛髪着色システムは、初期毛髪の色状態を、(例えば、ユーザ指定の)目標色状態にある程度類似する処理後の色状態へと変換すると予測される毛髪着色組成物(HCC)を計算する。正確度(すなわち、予測される処理後の色状態がどれだけ目標状態に近いか)は、HTOP UI3108を介して受信されるユーザ指定のデータに依存し得る。
【0064】
特に、HTOP UI3108は、ユーザが、「補助目的」として参照される、競合する毛髪着色目標を達成するためにどの程度の処理直後の色の正確度が犠牲にされることになるかを指定することを可能にする。補助目的の例は、以下を含む。
A.「色耐久性」または処理後の色保持洗浄耐性、すなわち、処理後洗浄の、処理後の毛髪の色状態に対する影響が最小限であるとき、この処理後洗浄は、処理後洗浄の、処理後の毛髪の色状態に対する影響がより大きいときよりも「より大きい色耐久性」を与える(
図8A〜
図8Cを参照した下記の論述を参照されたい)。
B.損傷/ジェントルネス、何らかの毛髪着色処理は、他の毛髪着色処理よりも大きい損傷を毛髪に負わせる可能性がある、例えば、より高濃度の、過酸化水素のような酸化剤を伴う毛髪着色処理はより大きい損傷を負わせる(
図13A〜
図13Bおよび
図14A〜
図14Cを参照した下記の論述を参照されたい)。
C.適用範囲/均一性、これは、例えば、天然の白髪に関係し得る(
図9A〜
図9Eを参照した下記の論述を参照されたい)。
【0065】
コンピュータ制御の毛髪着色システムが(i)初期毛髪の(すなわち、着色処理前の)色状態の記述、(ii)目標色状態(すなわち、所望の着色処理後の状態)の記述、および(iii)1つまたは複数の毛髪処理目的(すなわち、HTOP UI3108を介して受信される)の相対的な重要性を指定する相対重要性データを受信すると、毛髪着色組成物(HCC)が計算される。計算されるHCCは、「初期毛髪」の色状態を、目標色状態に変換すると予測され(すなわち、必ずしも正確に目標色状態に至るとは限らない。正確度は、達成可能であるものの関数であり得、また、処理直後の正確度の優先度にも依存し得る)、補助目的を達成すると予測される(すなわち、必ずしも正確であるとは限らない。正確度は、達成可能であるものの関数であり得、また、HTOP UI3108を介して指定される各補助目的のユーザ指定の優先度にも依存し得る)。
【0066】
いくつかの実施形態において、システムは、HCCの計算に応答して、予測されるHCCを製造するための材料(例えば、酸化的毛髪着色のための毛髪染色タブレット)を(例えば、自動的に)分配する。複数の異なる成分の相対量が、計算されるHCCによって決定される。
【0067】
カスタマイズされた(例えば、最適な)着色組成物を計算するとき、または、この組成物のための成分を(すなわち、複数の異なる容器から)分配するときに、「ハードワイヤード」のメリット/スコア関数のみに依拠する(すなわち、候補HCCをスコア付けするために)代わりに、本発明の実施形態は、ユーザが、競合する、かつ/または、「少なくとも部分的に」相反する毛髪着色目標の相対的な重要性を指定することを可能にするユーザインターフェースを提供する。このユーザインターフェースによって、メリット/スコア関数が、処理直後の色状態に関して欲張りであるようにハードワイヤードにされているシステム(例えば、
図3参照)において可能であるよりも、大きな度合いのカスタマイズが可能である。このユーザインターフェースによってまた、HCCを計算するときに1つまたは複数の補助目標が考慮に入れられるが、それらの補助目標の相対的な重要性がユーザによって指定されないシステムにおいて可能であるよりも、大きな度合いのカスタマイズが可能である。
【0068】
図1、
図2A〜
図2Bおよび
図3において論じられている従来技術は、可能な最良の(すなわち、目標状態(例えば、ユーザ指定の目標状態)に最も近い)処理後の「色状態」を達成すると予測されるHCCの計算に焦点を当てている。対照的に、本明細書において開示されるHTOP UI3108を含むシステムは、(i)1つまたは複数の「補助目的」を達成するために、処理直後の色状態においてある程度の正確度を犠牲にするHCCを計算する(または成分を分配する)ことを可能にし、(ii)処理直後の色状態における正確度の重要性に対する1つまたは複数の補助目的の相対的な重要性(または、別の補助目的に対する1つの補助目的の相対的な重要性)のユーザカスタマイズを可能にする。
【0069】
ユーザが着色直後の正確度の相対的な重要性を指定することができるHTOP UI3108の一例が、
図5A〜
図5Cに示されている。さらに、このHTOP UI3108に関する特定の使用事例が、
図6A〜
図6Cを参照して提示される。
図6A〜
図6Cの例において、初期処理前毛髪色状態および目標処理後毛髪色状態は、常に同じである。
【0070】
図5A〜
図5Bの例において、HTOP UI3108は、4つのGUIスライダ554A〜554Dを備える。各スライダは、ユーザによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を計算するために、および/または、カスタマイズされた毛髪着色組成物を達成するための互いに対する相対量において、分配装置の容器から成分を分配するために使用される全体的なスコア/メリット関数を修正するために調整することができる。
【0071】
第1のGUIスライダ554Aは、着色正確度と略される、予測される処理直後の正確度に対応する。後述する他のスライダ554B〜554Dは、補助目的に対応し、ここで、スライダ554Bは「耐久性」(後述する特徴、すなわち、予測される「耐久性」)に対応し、スライダ554Cは「ジェントルネス」または損傷のなさ(後述、すなわち、予測されるジェントルネス)に対応し、スライダ554Dは処理後の色均一性(すなわち、予測される処理後の色均一性)に対応する。
【0072】
図5Aの構成(構成A)において、処理直後の正確度の重要性は最大であり、すべての補助目的の重要性はゼロである。この事例において、候補HCCは、
図3に記載されている「欲張り」システムに従って互いに対してスコア付け/ランク付けされ、一切の補助目標は無視される。したがって、考慮されるのは処理直後の正確度のみである。この構成はまた、選択されるHCCが、予測される処理後の色状態が目標に最も近いHCC cand2である、
図6Aの状況にも対応する。
【0073】
図5Aの構成(構成A)において、処理直後の正確度の重要性は最大であり、すべての補助目的の重要性はゼロである。この事例において、候補HCCは、
図3に記載されている「欲張り」システムに従って互いに対してスコア付け/ランク付けされる。したがって、考慮されるのは処理直後の正確度のみである。この構成はまた、選択されるHCCが、予測される処理後の色状態が目標に最も近いHCC cand2である、
図6Aの状況にも対応する。
【0074】
対照的に、
図5Bの構成(構成B)および
図5Cの構成(構成C)において、一定の度合いの予測される処理直後の正確度が、補助目標のために犠牲にされる。
図5Bの例において、ジェントルネスと均一性との組合せのために、一定の度合いの予測される処理直後の正確度が犠牲にされる。したがって、対応する
図6Bにおいて、たとえHCC cand2の処理後の予測される色状態がより良好である(すなわち、目標色状態により近密に類似する)としても、HCC cand4が選択される。これは、より良好な予測されるジェントルネスおよび/またはより良好な予測される均一性に起因して、他の考慮事項(すなわち、
図5BのGUI3108によって優先順位付けされる)によってHCC cand4がより良好にスコア付けされるためである。したがって、HCC cand4が、HCC cand2よりもやさしい処理および/またはより良好な均一性を提供すると予測される。
【0075】
図5Cの例において、「耐久性」のために、一定の度合いの予測される処理直後の正確度が犠牲にされる。したがって、対応する
図6Cにおいて、たとえHCC cand2の処理後の予測される色状態がより良好である(すなわち、目標色状態により近密に類似する)としても、HCC cand3が選択される。これは、より良好な予測される耐久性に起因して、他の考慮事項(すなわち、
図5CのGUI3108によって優先順位付けされる)によってHCC cand3がより良好にスコア付けされるためである。HCC cand2の処理直後の色状態は、目標により近密に類似すると予測されるが、HCC cand3が、より良好な耐久性を提供する、すなわち、洗浄後においても目標により近い色を保持すると予測されるため、HCC cand3が選択される。
【0076】
いくつかの実施形態において、候補HCCのスコアを計算するとき(後述するステップS117を参照されたい)、着色処理直後の色正確度および1つまたは複数の補助目標を考慮に入れる複合スコアを計算することが可能である。複合スコアScoreCOMPOSITE ()の1つの非限定例は、式1に示すような加重平均である。
【0077】
式中、Score
iは、(i=1の場合)排他的に着色処理後の色正確度のみに基づくスコアであり、または(i>1の場合)排他的に単一の補助目的のみに基づくスコアである。num_of_scoresはスコア付けカテゴリの数であり、α
iは重み付け係数である。
【0078】
図5A〜
図5Cおよび
図6A〜
図6Cの例においては、以下のような4つのスコア付けカテゴリがある((num_of_scores=4)。
【0079】
(i)i=1、Score
1は、排他的に、予測される着色処理後の色正確度のみに基づくスコアであり、
図3のように、予測される色状態が目標に近くなるほど(例えば、色空間における逸脱が小さくなるほど)、Score
1は大きくなる。
(ii)i=2、Score
2は、排他的に、予測される耐久性のみに基づくスコアであり、予測される毛髪色状態がその毛髪の色をより長く(すなわち、洗浄に対抗して)保持すると予測されるほど、Score
2は大きくなる。Score
2を計算するためには、「耐久性」を予測する必要がある場合がある。耐久性を予測するための例示的な技法は、
図8A〜
図8Cを参照して下記に開示する。
(iii)i=3、Score
3は、排他的に、予測されるジェントルネスのみに基づくスコアであり、着色処理が毛髪に負わせると予測される損傷が少なくなるほど、Score
3は大きくなる。Score
3を計算するためには、「損傷」を予測する必要がある場合がある。損傷を予測するための例示的な技法は、
図13A〜
図13Bおよび
図14A〜
図14Bを参照して下記に開示する。
(iv)i=4、Score
4は、排他的に、予測される処理後の毛髪色均一性のみに基づくスコアであり、色に関して毛髪色がより均一になると予測されるほど、Score
4は大きくなる。Score
4を計算するためには、「均一性」を予測する必要がある場合がある。損傷を予測するための例示的な技法は、
図9A〜
図9Fを参照して下記に開示する。
【0080】
式1において、α
iは重み付け係数である。
図5Aにおいては、α
1=3、α
2=0,α
3=0、かつα
4=0である。
図5Bにおいては、α
1=2、α
2=0、α
3=2、かつα
4=2である。
図5Cにおいては、α
1=2、α
2=3、α
3=0、かつα
4=0である。
【0081】
「スライダ」は、ユーザインターフェースを介したデータ受信のほんの1つの特定の例に過ぎないことに留意されたい。例えば、ラジオボタン、テキストボックスなどの、当該技術分野において知られている、ユーザインターフェースにデータを受信する方法が使用されてもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0082】
図5A〜
図5Dの別の特徴は、複数の所定の選択肢が直接の/各カテゴリについて提示されていることであり、ユーザは、複数の所定の選択肢から1つの選択肢を選択する。
【0083】
また、いくつかの実施形態において、重み付けする方法、および、主要な「色正確度目標」に対する「補助目標」に関する情報を提供する代わりに(またはそれに加えて)、いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース(すなわち、デジタルコンピュータおよび/またはエンジンおよび/またはそれに従って応答する分配装置)は、ユーザが、第1の補助目標を第2の補助目標に対して重み付けするための情報を提供することを可能にする。
【0084】
非限定例において、以下の「補助目標」のうちのいずれか1つが、「色正確度目標」または以下のうちの別の補助目標に対して重み付けされ得る。(i)耐性/耐久性、(ii)ジェントルネス/損傷の最小化、(iii)適用範囲/均一性、(iv)処理の単純さ(すなわち、必要とされるボウルおよび/または処理ステップの数を最小化すること)。
【0085】
後述する
図4A〜
図4Bは、毛髪処理目的優先順位付けユーザインターフェース(HTOP UI)3108を含むシステムの一例を示す。
図7A〜
図7Bは、
図4Aまたは
図4Bのシステムを使用して実施することができる方法の流れ図である。
【0086】
図4A〜
図4Bのシステムは、(i)ユーザが、GUI3108を介して、可能性のあるHCCがそれによって評価される補助目的の特定のスコア付け基準を定義することを可能にし、(ii)初期毛髪データ(例えば、毛髪読取り機3110を介して取得される)を分析し、可能性のあるHCCを格付け/スコア付けするための計算エンジン(後述)を含み、(iii)任意選択的に、分配装置3130の複数の異なる容器からカスタマイズされた材料の混合体を分配するために分配装置3130を含み、かつ/または、分配装置3130に動作可能に連結されている。
【0087】
HTOP UI3018は、目標色状態と、予測される処理直後の色状態との間の、処理直後の予測される類似度以外の目標として定義される、1つまたは複数の「補助目標」を指定することを可能にする。
【0088】
上述したように、着色正確度の「主要な」目標は、1つまたは複数の補助目標と「競合」および/または少なくとも部分的に相反する場合がある。また、補助目標は、互いに「競合」および/または少なくとも部分的に相反する場合があり、例えば、第1の補助目標が、第2の補助目標と「競合」および/または少なくとも部分的に相反する場合がある。
【0089】
HCC予測エンジンは(例えば、HTOP UI3108を介して受信される入力に応答して)、初期毛髪状態データおよび目標色状態から、ユーザの毛髪の色状態を、初期色状態から目標色状態へと変換すると予測される、カスタマイズされた毛髪着色組成物を計算するように構成されている。HTOP UI3108は、1つまたは複数の補助目的に対するユーザ指定の重みに従って最適化されたHCCを計算するように、HCC予測エンジンの動作をカスタマイズすることを可能にする。したがって、ユーザは、処理直後の色正確度の標準的な目的に対する1つまたは複数の補助目的の相対的な重要性、および/または、(ii)第2の補助目的に対する第1の補助目的の相対的な重要性を指定することができる。
【0090】
カスタマイズされた(例えば、最適な)着色組成物を計算するとき、または、この組成物のための成分を(すなわち、複数の異なる容器から)分配するときに、「ハードワイヤード」のメリット/スコア関数のみに依拠する代わりに、本発明の実施形態は、ユーザが、競合する、かつ/または、「少なくとも部分的に」相反する毛髪着色目標の相対的な重要性を指定することを可能にするユーザインターフェースを提供する。このユーザインターフェースによって、メリット/スコア関数が、処理直後の色状態に関して欲張りであるようにハードワイヤードにされているシステムにおいて可能であるよりも、大きな度合いのカスタマイズが可能である(例えば、
図3参照)。このユーザインターフェースによってまた、HCCを計算するときに1つまたは複数の補助目標が考慮に入れられるが、それらの補助目標の相対的な重要性がユーザによって指定されないシステムにおいて可能であるよりも、大きな度合いのカスタマイズが可能である。
【0091】
図4A〜
図4Bのシステムは、以下の要素、すなわち、HTOP UI3108、HCC予測エンジン3140、毛髪状態回路3117、毛髪読取り機3110、システムコントローラ3120、分配決定エンジン3141、および分配装置デバイス3130のうちの1つまたは複数(すなわち、いずれかの組合せ)を含むことができる。
図4A〜
図4Bの非限定的な実施態様において、システムコントローラ3120は、HCC予測エンジン3140を含み、かつ/または、HCC予測エンジン3140に連結されている。
【0092】
後述するように、
図4A〜
図4Bの非限定的な実施態様において、HCC予測エンジン3140は、以下を備える。
(i)その特性が考慮している、可能性のあるまたは候補HCCソリューションを表すデータを生成するHCC候補生成エンジン3150(例えば、データは、複数の異なるタイプの毛髪着色染料の相対量、複数の異なる人工着色剤の濃度、本開示を読んだ後に当業者に分かる任意の他の表現を記述することができる)。一般的に、HCC候補生成エンジン3150は、分析される複数の候補(例えば、少なくとも数千間少なくとも数百万)を記述するデータを生成する。HCC候補生成エンジン3150は、無数の可能性から分析されるべき候補HCCを生成するための組合せ論において知られているまたは組合せ論に関係する技法を使用することができ、例えば、遺伝的アルゴリズムのような探索技法を利用することができる。
(ii)初期毛髪(例えば、読取り機3110によって測定される特性を有する)の毛髪着色処理後の状態(例えば、エンジン3150によって生成される候補HCCのうちの1つによる処理の後の)の予測を計算することができる処理後状態予測エンジン3160。異なる実施形態において、処理後状態予測エンジン3160は、例えば、処理後の損傷状態、または、毛髪が、処理後洗浄に対して毛髪の色を保持する処理後の能力、処理後の色均一性、または任意の他の特性などの、補助目的に関係する1つまたは複数の特性の予測を計算することができる。
(iii)HCC候補スコア付けエンジン3170、例えば、スコア付けエンジン3170は、HTOP UI3108を介して受信される入力によって構成可能であるか、または、カスタマイズすることができる。各候補HCCは、それぞれの予測される処理後状態または特性(例えば、エンジン3160によって計算される)と関連付けられる。候補HCCをスコア付けまたは等級付けするために、候補HCCの予測される処理後状態または特性をスコア付けまたは分析することができる。したがって、
図5A〜
図5CのScore
1について、スコアは、予測される処理直後の色状態と目標状態との間の予測される逸脱のみに基づく。しかしながら、復号スコアが使用されてもよく、1つの非限定例が、式1を参照して上記に提示されている。その非限定例において、ユーザは、HTOP UI3108を介して、HCC候補スコア付けエンジン3170の動作を構成するためのα係数を指定し、このように、HTOP UI3108は、HCC予測エンジン3140の動作を構成することができる。システムコントローラ3120および/またはHCC予測エンジン3140は、スコア付けエンジン3170によって使用される基準および/またはスコア付けエンジン3170の出力に従って、最高のスコアを有するHCC候補を出力/選択することができる。
【0093】
同じく
図4A〜
図4Bに示すように、システムは、以下の要素のうちの1つまたは複数を備えることができる。
i.可能性のある毛髪着色処理の目標色状態、および/または、少なくとも、可能性のある毛髪着色処理にさらされる前のユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するように構成されている毛髪状態回路3117。いくつかの実施形態において、回路3117は、1つまたは複数の規則を記憶することができる。異なる実施形態において、回路3117は、揮発性および/または不揮発性コンピュータ可読記憶装置を含む。
ii.例えば、毛髪を照明し、毛髪によって反射および/または透過および/または屈折される光を検出することによって、毛髪から光学データを光学的に取得する毛髪読取り機3110。
iii.光学データと(例えば、ユーザによって所望される目標色調を記述する)毛髪目標データの両方を受信する、システムコントローラ3120(例えば、デジタルコンピュータを含む)。
iv.分配決定エンジン3141が、分配装置がHCC予測エンジン3140によって計算/出力されるHCCの相対量において(例えば、応答して)、分配装置3130の容器から材料を分配するように決定および/または命令することができる。その後、分配装置3130の動作を制御する電子コントローラ3143が、命令を実行し、材料が、分配装置3130の容器から分配されるようにする。
【0094】
分配装置は、毛髪着色組成物のための(例えば、図示されていない混合管への)材料の分配に進む。これらの材料は、ユーザの毛髪に被着される、カスタマイズされた毛髪着色組成物を形成するために、自動的にまたは手動で混合することができる。
【0095】
様々な例において、毛髪読取り機3110は、カメラまたは任意の他の撮像デバイス、分光計(例えば、「色分散光学装置」を含む)、分光器、ハイパースペクトル撮像デバイスのうちのいずれか1つまたは複数(すなわち、任意の組合せ)であってもよく、または、含んでもよい。異なる例において、反射および/または吸収および/または透過スペクトルが測定されても良い。色状態データは、これらの機器のいずれかによって取得することができる。
【0096】
図4A〜
図4Bにはまた、表示画面(例えば、コンピュータキオスクまたはデスクトップコンピュータまたはラップトップまたは携帯電話またはタブレットデバイスのもの、そうである必要はないがタッチスクリーンであってもよい)を含むことができるユーザインターフェース3108(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI))も示されている。ユーザインターフェース3108は、ユーザに情報を提示(例えば、表示)し、ユーザからデータを受信する。いくつかの実施形態において、「目標色状態」または「毛髪目標データ」も、ユーザインターフェース(3108または別のユーザインターフェースのいずれか)を介して受信される。
【0097】
図4Bに示すように、毛髪読取り機3110(または毛髪の特性を測定するための任意の他のデバイス)を含む必要はない。代替的にまたは付加的に、毛髪の処理前特性を記述する初期毛髪データは、別の様式で、例えば、GUIを介して提供されてもよい。
【0098】
毛髪着色剤の分配装置3130の1つの非限定例が、
図11に示されている。この非限定例において、複数の容器180A〜180Qが、各容器が内部に毛髪着色に関係する異なるそれぞれの材料を収容するように、分配装置3130に係合されている。分配装置3130は、例えば、ポート182内に位置する混合管(図示せず)内にこれらの材料の組合せを分配する。
【0099】
一例において、3140、3150、3141、3143、3160、3117および/または3170のうちの1つまたは複数は、揮発性および/または不揮発性メモリ内に記憶されるソフトウェアとして実装される。
【0100】
電子回路または任意の「デジタルコンピュータ」または任意の種類の「エンジン」は、限定ではないが、フィールドプログラマブル論理アレイ(FPLA)要素、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)要素、および特定用途向け集積回路(ASIC)要素を含む、任意の実行可能コードモジュール(すなわち、コンピュータ可読媒体上に記憶される)ならびに/またはファームウェアおよび/もしくはハードウェア要素を含むことができる。限定ではないが、縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャおよび/または複数命令セットコンピュータ(CISC)アーキテクチャを含む、任意の命令セットアーキテクチャが使用されてもよい。電子回路は、単一のロケーション内に配置されてもよく、または、複数のロケーションの間で分散されてもよく、この場合、様々な回路要素が互いに有線または無線で電子的に通信することができる。
【0101】
図12A〜
図12Bは、いくつかの実施形態による毛髪読取り機3110の非限定例を示す。毛髪読取り機3110は、ハウジング804(例えば、不透明)および窓808を含む。
図12Bにおいて、複数のケラチン繊維812が、「y」軸に対応する整列軸に沿って実質的に整列される。
【0102】
図7A〜
図7Bは、例えば、
図4Aまたは
図4Bのシステムを使用した毛髪着色のための技法の非限定例の流れ図である。ステップの順序は例示であり、限定ではないことを、当業者は理解するであろう。
【0103】
ステップS101において、ユーザ目標データが受信され、記憶される(例えば、揮発性および/または不揮発性コンピュータ可読記憶媒体内に)。一般的に、ユーザ目標データは、選択される色調または色に関係し、例えば、ユーザは、自身の毛髪を、選択される色調または色に着色することを所望する。ステップS105において、ユーザの毛髪の特性が、後述するように、例えば、少なくとも、
図2もしくは
図4に示すもの、または、国際出願PCT/IB2012/051351号に開示されているもの、もしくは関連する毛髪読取り機デバイスのような毛髪読取り機デバイス(例えば、少なくとも1つの毛髪反射値または毛髪反射スペクトル(a)を測定するための)を使用して測定される。
【0104】
ステップS117において、多目的相対重要性データが、例えば、ユーザが
図5A〜
図5Bのスライダを構成することによって、または、任意の他の方法で、毛髪処理目的優先順位付けユーザインターフェース(HTOP UI)3108を介して受信される。
【0105】
これによって、ステップS95において、HCCスコア付けエンジン3170が、毛髪処理目的優先順位付けユーザインターフェースに従って動作するように、例えば、1つの非限定例においては、スライダを介して受信されるα係数(例えば、式1)を「強制」するように、構成される。
【0106】
ステップS105において受信されるこれらの特性は、ステップS109において電子的に分析することができる。
図7A〜
図7Bの技法によれば、(i)ユーザの毛髪の初期処理前状態(例えば、ステップS105において測定され、ステップS109において分析されるものとしての)、および、(ii)ユーザ目標データに特有の「カスタマイズされた」毛髪処理を計算することが可能である。
【0107】
一般的に「ユーザ目標」または「目標色状態」または「毛髪目標データ」という用語は、例えば、Hunter Lab色空間または任意の他の色空間のような色空間における値として表現可能な目標色調を含む。目標色調に加えて、ユーザ目標データはまた、例えば、「毛幹全体」とは対照的な「毛根のみ」の処理、最大処理時間などの、任意の提案される毛髪処理の何らかの他の所望の特性をも含むことができる。
【0108】
複数の仮説的または「候補」毛髪処理プロトコルを分析および考慮することができる。「毛髪処理」は、以下のいずれか1つを指すことができる。(A)毛髪に適用されるべき毛髪着色組成物の内容(または、連続的にまたは同時に被着することができる2つ以上の毛髪着色組成物、例えば、染料含有組成物および脱色組成物)、および/または、(B)例えば、処理継続時間、処理温度などの他の処理パラメータ。「毛髪処理」の計算または指定は、少なくとも、毛髪着色組成物(例えば、「多剤」組成物)の1つまたは複数の毛髪着色剤の絶対的または相対的な量または「負荷」(すなわち、モル単位において、または重量として、または体積として、または、当該技術分野において知られている任意の他の様式で表現される)を指定することを含むことができる。「毛髪着色剤」という用語は、一時的、準永続的、半永続的または永続的な毛髪着色のために当該技術分野において使用される、人工着色剤/染料、酸化剤、アルカリ化薬、または、他の物質を含むことができる。毛髪着色剤は、限定ではないが、液体、ゲル、マウス、クリーム、固体、粉末、タブレット、または当該技術分野において知られている任意の他の形態を含む、任意の相または形態であってもよい。任意選択的に、「毛髪処理」はまた、処理時間、処理温度、多段階処理または任意の他の処理パラメータに関係するデータをも含む。例えば、毛髪処理は、例えば、異なる段階において施与される着色混合物および脱色混合物など、毛髪着色剤の複数の個別の組合せの生成を伴ってもよい。
【0109】
本開示について、「仮説的」および「候補」という用語は、交換可能に使用され、実現される場合もあれば、されない場合もある、可能性のある処理を指す。
【0110】
一般的に、各ユーザの毛髪の特定の特性は非常に個別的であり(例えば、ユーザの遺伝子型、年齢、環境による影響などに基づく)、可能性のある目標色調または色の数もまた、相対的に大きいものであり得る。初期毛髪特性と目標毛髪特性との可能性のある組合せは無数にあるため、可能性のある候補/仮説的毛髪処理プロトコルの数は極めて大きくなり得、いずれの毛髪処理プロトコルが、毛髪を、毛髪の初期状態から、ステップS101において受信される目標データに一致する状態へと変換するために有効である(または最も有効である)と予測されるかは、常に事前に分かるとは限らない。
【0111】
そのため、初期毛髪の目標色への変換に成功する処理(または2つ以上の仮説的毛髪処理からなるセット)を識別するために、複数の仮説的毛髪処理を電子的に分析することが必要であり得る。
【0112】
これは、ステップS113およびS117において行われる。したがって、ステップS113において、ステップS105において測定される毛髪特性および特定の候補毛髪処理について、毛髪のプロトコル後状態が予測される。ステップS117において、カスタマイズされたスコア付けシステムに従って、HCCがマッチングされる。このプロトコル後状態がユーザ目標データの指定に一致するか否かを、電子的に(すなわち、特定のスコア付けの結果に従って)決定することができる。
【0113】
「毛髪色処理」という用語は、毛髪への着色剤(例えば、人工着色剤)の導入(すなわち、「着色」)に限定されず、毛髪脱色をも含むことができる。
【0114】
1つの非限定例では、(i)ステップS105において、1つまたは複数の初期反射スペクトル(a)が測定され、(ii)ステップS113において、仮説的処理後反射スペクトルが、初期反射スペクトルおよび候補毛髪処理プロトコルの仕様から計算され、色値(例えば、LAB値)が、仮説的処理後反射スペクトルから計算され、(iii)ステップS117において、この初期毛髪仕様および候補プロトコル特有のLAB値が、ステップS101において受信されるユーザ目標データと関連付けられるLAB値と比較される。
【0115】
異なる実施形態において、反射スペクトル、透過スペクトル、屈折光のスペクトル、および吸収スペクトルを測定することが可能である。
【0116】
ステップS121において、ユーザ目標データに一致するプロトコルが選択される。任意選択的に、例えば、2つ以上の候補プロトコルがユーザ目標データに一致する場合、これらの候補プロトコルを分析および/またはスコア付けすることができ、より好ましい一致する毛髪着色プロトコルを、それに従って選択することができる。
【0117】
ステップS125において、選択された毛髪着色プロトコルに従って、複数の毛髪着色剤について、それぞれの量の毛髪着色剤が各々、ステップS121において選択される毛髪着色プロトコルの仕様に従って分配される。
【0118】
毛髪着色剤の分配装置の1つの非限定例が、
図11に示されている。この非限定例において、異なるそれぞれの毛髪着色剤が、複数の容器180A〜180Qの各容器に分配される。ステップS121の結果に応答して、少なくとも2つまたは少なくとも3つまたは少なくとも4つまたは少なくとも5つまたは少なくとも任意の数の毛髪着色剤について、それぞれの量の各毛髪着色剤が、ポート192内に位置する管(図示せず)内に分配される。
【0119】
いくつかの実施形態において、分配装置は自動であり、分配される毛髪着色剤の量を調整するための電子回路を含む。
【0120】
本開示について、何らかの種類の計算的および/または電子的演算(例えば、仮説的毛髪処理後スペクトル(例えば、反射スペクトル)、または、当該スペクトルから導出される色値の予測)の結果による複数の毛髪着色剤の分配は、以下の2つの状況のうちの1つまたは複数を指す。(i)電子回路がそれによって分配デバイスを自動的に制御する状況(当業者は、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/IB2012/051351号を参照されたい)、および/または、それによって電子的予測から計算される毛髪着色指示が、人間のユーザに(例えば、コンピュータ画面を介して視覚的に、または、任意の他の様式で)通信される状況。毛髪着色指示は、毛髪着色剤の相対量に関係し得、人間のユーザは、命令に従って、例えば、コンピュータによって与えられる指示によって指定される量に従って、毛髪着色剤を分配する。化学剤の容器は、任意のフォームファクタ(例えば、剛性の容器、チューブなど)を有してもよく、
図2に示すように分配装置デバイスに取り付けられてもよく、または、「自由」または取り付けられていない容器であってもよい。
【0121】
これらの薬剤が管内へと分配されると、任意選択的に、管(図示せず)の内容物を毛髪着色混合物に変換するための1つまたは複数のステップが実施されてもよく、毛髪着色混合物はその後、毛髪を着色するためにユーザの毛髪に被着することができる。
【0122】
本開示について、「入力ケラチン繊維」および「初期毛髪」という用語は、交換可能に使用され、これらは両方とも、1つまたは複数の仮説的毛髪処理の最終状態を予測する目的のために、1つまたは複数の測定(例えば、例として毛髪反射スペクトル(a)を測定するための光学測定および/または反射測定)にさらされるケラチン繊維(例えば、毛髪)を指す。
【0123】
すべての実施形態において
図7A〜
図7Bのすべてのステップが必要とされるとは限らず、
図7A〜
図7Bのステップの順序は限定ではなく、ステップは異なる順序で実施されてもよく、追加のステップが実施されてもよく、1つまたは複数のステップが修正されてもよいことを、当業者は諒解するであろう。
【0124】
以下の文献が、参照により本明細書に組み込まれる。2014年9月28日付で提出された国際出願第PCT/IL2014/050850号、および、2015年4月27日付で提出された国際出願第PCT/IB2015/053065号。
【0125】
定義
便宜上、本明細書における記載の文脈において、様々な用語がここで提示される。本出願のこの部分または他の箇所において明示的にまたは黙示的に定義が与えられる範囲において、そのような定義は、当業者による定義された用語の使用と一致するものとして理解される。さらに、そのような定義は、そのような使用と一致する可能な最も広い意味において解釈されるべきである。
【0126】
「光検出器」または「検出器」は、例えば、画像センサとして、かつ/または、受光器の1Dもしくは2Dアレイにおいて構成されている1つまたは複数の受光器を指す。別の例において、受光器の1Dまたは2D「開始」アレイと等価な走査受光器装置が使用される。光検出器において光が画像平面内に収束するとき、光検出器の受光器は、画像平面内にある。
【0127】
「色彩付与剤」という用語は、毛髪着色剤(例えば、永続的な毛髪着色のための)はその成分を指す。
【0128】
「実質的な大部分」は、少なくとも75%を意味する。いくつかの実施形態において、「実質的な大部分」は、少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも99%である。別途指定されない限り、「大部分」は「少なくとも大部分」を意味する。別途指定されない限り、「少なくとも大部分」は、いくつかの実施形態において、「大部分」が少なくとも実質的な大部分、すなわち、少なくとも75%または少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも99%であることを意味する。
【0129】
「毛髪着色処理」は、毛幹の色を変更する何らかの処理である。毛髪着色処理の例は、毛髪染色処理(例えば、人工着色剤に基づく)および脱色である。毛髪染色処理の例は、一時的な、半永続的な、準永続的なまたは永続的な毛髪染色(例えば、酸化的毛髪染色)である。
【0130】
「初期スペクトル」は、毛髪処理の前のスペクトルに関する。
【0131】
「毛髪不均質性パラメータ」としても参照される「毛幹間不均質性毛髪パラメータ」は、個々の毛幹の間の色特性変動(またはその欠如)に関する。「毛髪不均質性パラメータ」の一例は、毛髪サンプルが「天然の白髪」または「元は天然灰色だった毛髪」または「白髪でも元は天然灰色だった毛髪でもない毛髪」であるという情報である。毛髪不均質性パラメータの別の例は、特定の毛髪サンプルが25%黒色毛髪(すなわち、特定の黒色の色調)と75%白色毛髪との混合体であるという事実である。
【0132】
本開示について、「毛幹」という用語は個々の毛髪を指し、個々の毛髪の「毛幹部分」(すなわち、毛根部分から離れている)には限定されない。
【0133】
毛髪に対する「損傷」(または「毛髪損傷」)は、(i)毛髪の数学的構造もしくは特性および/または(ii)毛髪内の天然分子の化学的状態を不可逆的に変化させるものを指す。毛髪の「天然分子」は、天然色素(例えば、メラニン種)、および、毛髪に当該分子の構造を与える毛髪のタンパク質(例えば、ケラチンのような繊維構造タンパク質)である。天然分子の「化学的状態」は、毛髪内の当該分子の濃度または当該分子の分子構造に関する。したがって、「天然分子の化学的状態」の不可逆的変化の例は、(i)天然色素(例えば、メラニン種)の濃度が不可逆的に低減すること、および、(ii)例えば、タンパク質の変性によって分子構造が不可逆的に変化することを含む。
【0134】
「損傷状態」は、毛髪の以前の損傷を反映した毛髪の状態を指す。
【0135】
毛髪の「損傷」の原因は、限定ではないが、UV光への暴露、毛髪の加熱(例えば、以前の毛髪着色プロセスの間の)、毛髪の乾燥条件への暴露、機械的損傷(結ぶなど)、毛髪の化学物質(塩素など)への暴露、および、毛髪をカール処理にさらすことを含む。
【0136】
本開示について、毛髪内の「人工着色剤」の濃度は、天然分子の化学的状態または毛髪の機械的状態に関係しないため、「損傷状態」に関係しないものとして定義される。しかしながら、人工着色剤によって毛髪を染色することは、一定量の「副次的損傷」を引き起こす場合がある。
【0137】
「色彩付与剤」という用語は、毛髪着色剤(例えば、永続的な毛髪着色のための)はその成分を指す。
【0138】
「毛髪着色処理」は、毛幹の色を変更する何らかの処理である。毛髪着色処理の例は、毛髪染色処理(例えば、人工着色剤に基づく)および脱色である。毛髪染色処理の例は、一時的な、半永続的な、準永続的なまたは永続的な毛髪染色(例えば、酸化的毛髪染色)である。
【0139】
「ユーザ目標」という用語は一般的に、例えば、Hunter Lab色空間または任意の他の色空間のような色空間における値として表現可能な目標色調を含む。目標色調に加えて、ユーザ目標データはまた、例えば、「毛幹全体」とは対照的な「毛根のみ」の処理、最大処理時間などの、任意の提案される毛髪処理の何らかの他の所望の特性をも含むことができる。
【0140】
複数の仮説的または「候補」毛髪処理プロトコルを分析および考慮することができる。「毛髪処理」は、以下のいずれか1つを指すことができる。(A)毛髪に適用されるべき毛髪着色組成物の内容(または、連続的にまたは同時に被着することができる2つ以上の毛髪着色組成物、例えば、染料含有組成物および脱色組成物)、および/または、(B)例えば、処理継続時間、処理温度などの他の処理パラメータ。「毛髪処理」の計算または指定は、少なくとも、毛髪着色組成物(例えば、「多剤」組成物)の1つまたは複数の毛髪着色剤の絶対的または相対的な量または「負荷」(すなわち、モル単位において、または重量として、または体積として、または、当該技術分野において知られている任意の他の様式で表現される)を指定することを含むことができる。「毛髪着色剤」という用語は、一時的、準永続的、半永続的または永続的な毛髪着色のために当該技術分野において使用される、人工着色剤/染料、酸化剤、アルカリ化薬、または、他の物質を含むことができる。毛髪着色剤は、限定ではないが、液体、ゲル、マウス、クリーム、固体、粉末、タブレット、または当該技術分野において知られている任意の他の形態を含む、任意の相または形態であってもよい。任意選択的に、「毛髪処理」はまた、処理時間、処理温度、多段階処理または任意の他の処理パラメータに関係するデータをも含む。例えば、毛髪処理は、例えば、異なる段階において施与される着色混合物および脱色混合物など、毛髪着色剤の複数の個別の組合せの生成を伴ってもよい。
【0141】
本開示について、「仮説的」および「候補」という用語は、交換可能に使用され、実現される場合もあれば、されない場合もある、可能性のある処理を指す。
【0142】
「コンピュータ記憶装置」は、コンピュータ可読記憶装置を指し、揮発性(例えば、RAM)および/または不揮発性(例えば、フラッシュメモリ、磁気媒体、光媒体)メモリの任意の組合せであってもよい。
【0143】
毛髪の処理「直」後の状態(例えば、色状態)は、例えば、毛髪を毛髪着色組成物によって処理することによって、毛髪を毛髪着色処理にさらした後の、毛髪の予測される(すなわち、デジタルコンピュータ/電子回路/予測エンジン316によって計算される)状態である。
【0144】
図15の追加の論述
図15は、毛髪着色処理による、毛髪の初期色状態から目標色状態(例えば、ユーザ指定の)への変換を示す。この変換は、N次元色超空間内の座標の「変化」の観点から記述することができ、Nは2以上に等しい任意の正の整数であり、例えば、N=3である。
【0145】
近くで見たときに、ユーザの初期毛髪は、異なる色の毛幹を含み得、例えば、ユーザの毛髪のサンプルは、例えば、天然の白髪など、色に関して不均質であり得ることが諒解される。したがって、初期色状態は、毛幹の混合体の「代表的な」色状態であり得る。同様に、毛髪着色処理後、すべての毛幹が同じ色を有する必要はなく、処理後の色状態(すなわち、「目標色状態」と同一であるか、または、近似することが所望される)もまた、毛幹の混合体の「代表的な」色状態を指し得る。
【0146】
目標色状態は、色座標(例えば、LAB座標)の観点から表現することができる。すべての毛髪着色処理が、ユーザの毛髪を初期色状態から意図される目標色状態へと正確に変換するのに成功するとは限らず、結果は代わりに目標色状態の「近似」である場合があることが諒解される。したがって、本発明の実施形態は、毛髪の色状態を初期色状態から最終色状態へとまたは最終色状態「に向けて」(例えば、最終色状態に実質的に同一であるが、必ずしも正確に同一であるとは限らない色状態に)変換することに関する。したがって、毛髪着色処理後、(i)毛髪は処理後の色状態に変換され、(ii)最終色状態と初期色状態との間の色の差(例えば、色長空間内の差として表現される)は、最終色状態と処理後の色状態との間の差よりも大きい(例えば、大幅に大きい)。
【0147】
いくつかの実施形態において、デジタルコンピュータが、毛髪着色処理の結果を予測することができる。結果は、処理後の色状態(例えば、毛髪着色処理の直後であり、毛髪が洗浄にさらされる前の)を含む。一般的に、複数の毛髪着色処理または毛髪着色組成物が存在する場合、各処理(または組成物)が、処理後の「色状態」、および、任意選択的に、他の処理後の状態情報を含む、毛髪のそれぞれの予測される処理後(例えば処理直後)の状態と関連付けられ、その予測をデジタルコンピュータによって計算することができ、例えば、処理後の損傷状態を予測することができる。
【0148】
例えば、いくつかの「候補処理プロトコル」および/または「候補毛髪処理ソリューション」を計算することが可能である。一例において、分配装置の容器180の少なくともいくつかの各々は、酸化的毛髪着色のための異なるそれぞれのタイプの固形タブレットを収容する。例えば、2012年3月21日付で提出された国際出願第PCT/IB2012/051351号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、および、2014年9月28日付で提出された国際出願第PCT/IL2014/050850号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。この例において、複数の候補ソリューションの各候補ソリューションは、各容器から分配されるいくつかのタブレットと関連付けられる。
【0149】
例えば、(i)第1の候補ソリューションは、容器180Aからのx
1A個のタブレット、容器180Bからのx
1B個のタブレット、容器180Cからのx
1C個のタブレットなどの分配を必要とし、(ii)第2の候補ソリューションは、容器180Aからのx
2A個のタブレット、容器180Bからのx
2B個のタブレット、容器180Cからのx
2C個のタブレットなどの分配を必要とし、(iii)第3の候補ソリューションは、容器180Aからのx
3A個のタブレット、容器180Bからのx
3B個のタブレット、容器180Cからのx
3C個のタブレットなどの分配を必要とし、(iv)追加の候補ソリューションについて、以下同様である。
【0150】
図6Aに提示する4つの候補毛髪着色組成物の「処理直後の色状態の正確度」のみに基づくこの「純粋な」スコア付けシステム(
図5Aおよび
図6A参照)に従って、最高のスコアがcand2に割り当てられ、次に高いスコアがcand1に割り当てられ、次に高いスコアがcand4に割り当てられ、次に高い(最低の)スコアがcand3に割り当てられる。
【0151】
本発明の実施形態は、(処理直後の色状態の正確度の単一の考慮事項に基づく「純粋な」スコア付システムの代わりに)複数の目的に基づくメリット/スコア付けシステムに従って毛髪着色組成物(または関連付けられる処理)を計算することに関する。他の場所で論じられるように、いくつかの実施形態において、(例えば、ステップS117においてまたはエンジン3170によって)候補毛髪着色組成物(または処理)が各々評価されるメリット/スコア関数は、ユーザインターフェース3108を介してユーザが構成可能である。
【0152】
「耐久性」の予測−
図8A〜
図8Cの論述
図8Aは、「第1の人工着色剤」について、洗浄/減衰曲線を示しており、「0」回の洗浄が、第1の人工着色剤の処理直後の濃度を示している。実線の曲線は、損傷を受けていないまたは「通常」の毛髪に関し、一方、破線の曲線は、損傷を受けた毛髪に関する。「減衰」という用語は、各洗浄について、一定量の着色剤が毛髪から除去される場合があり、濃度が低減しているという事実に関する。洗浄の関数としての減衰は、損傷を受けた毛髪と損傷を受けていない毛髪とについて異なる。
図8Aは、人工着色剤「A」に関し、
図8Bは、人工着色剤「B」に関する。
図8A〜
図8Bを精査すると、減衰の速度は異なる着色剤について異なり、毛髪の異なる損傷状態について異なることが示される。
【0153】
当該技術分野において知られているように(例えば、参照により組み込まれる、2012年3月21日付で提出された国際出願第PCT/IB2012/051351号を参照されたい)、毛髪が複数の人工着色剤によって着色されるとき、(i)各人工着色剤の濃度を予測し、(ii)濃度を色状態に変換することによって、処理後の色状態を予測することが可能である。ちょうど毛髪の処理直後の(すなわち、「ゼロ」回の処理後洗浄の後の)状態を予測することが可能であるように、
図8A〜
図8Bのものと同様の減衰曲線を使用して、特定回数の洗浄後の毛髪の処理後状態を予測することが可能である。一例が
図8Cに示されており、毛髪着色処理(例えば、「候補」組成物による)後の初期毛髪の予測される色状態が示されている。点522A、522B、および522Cは、それぞれ、(i)522Aは毛髪着色処理の直後の(すなわち、「ゼロ」回の後続する洗浄後の)、(ii)522Bは、「5」回の後続する洗浄後の、および、(iii)522Cは、「10」回の後続する洗浄後の、毛髪の色状態を記述する、色超空間内の点である。
【0154】
人工着色剤のセットについて、各毛髪着色組成物は、各人工着色剤の異なる相対濃度によって特徴付けられる。しかしながら、ちょうど毛髪の処理直後の色状態を計算することが可能であるように、毛髪の処理後および洗浄後の色状態を計算することも可能である。ちょうど「処理直後の色状態の正確度」(「着色正確度」として参照される)に基づいて候補毛髪着色組成物または処理をスコア付けすることが可能であるように、たとえ洗浄後であっても目標状態に相対的に「近い」色状態を保持する処理直後の毛髪の予測される能力、すなわち、洗浄に関する処理後の色状態と「目標」色との間の「近さ」の「耐性」に基づいて、候補毛髪着色組成物または処理をスコア付けすることも可能である。
【0155】
最良の「処理直後の」色正確度を達成する候補毛髪着色組成物が、必ずしも、結果としての処理後の毛髪が経時的に/処理後洗浄にわたって目標状態に「近密に類似する」色状態を保持する組成物であるとは限らない。そのため、(i)処理直後の毛髪の着色正確度、および、(ii)後続の処理後洗浄に対する「耐久性」または「耐性」がある色状態を達成するという色処理目的/目標は、互いに競合し、または、「互いに部分的に相反する」可能性がある。
【0156】
図8Cは、洗浄後の2つの処理後の候補の色空間における「動き」を示す。処理直後の正確度について、点522Aは点523Bよりも目標に近いため、HCC cand2は、HCC cand1よりも優れている。しかしながら、10回の洗浄後、状況は逆転する。すなわち、523Cが523Bよりも目標に近いため、HCC cand1が優れている。
【0157】
「毛髪着色均一性」の予測−
図9A〜
図9Fの論述
近くで見たときに、ユーザの初期毛髪は、異なる色の毛幹を含み得、例えば、ユーザの毛髪のサンプルは、例えば、天然の白髪など、色に関して不均質であり得ることが諒解される。したがって、初期色状態は、毛幹の混合体の「代表的な」色状態であり得る。同様に、毛髪着色処理後、すべての毛幹が同じ色を有する必要はなく、処理後の色状態(すなわち、「目標色状態」と同一であるか、または、近似することが所望される)もまた、毛幹の混合体の「代表的な」色状態を指し得る。
【0158】
適用範囲/均一性−上述したように、ある毛髪(すなわち、天然の白髪、ただし、天然の白髪だけではない)は、複数の色タイプの毛幹、すなわち、(i)天然色素含有毛幹(例えば、黒色毛幹または赤色毛幹またはブロンドの毛幹または茶色毛幹または他の天然色素含有毛幹のような、メラニン含有毛幹)および(ii)実質的にメラニンを含有しない天然白色毛幹の混合体である。そのような毛髪が毛髪着色処理にさらされると、天然色素含有毛幹の処理後の色状態は、天然白色毛幹のものとは異なり得る。各タイプの毛幹のそれぞれの処理後の色状態を計算するための技法を開示している、参照により本明細書に組み込まれる2015年3月25日付で提出された国際出願第PCT/IB2015/000724号を参照されたい。異なるタイプの毛幹の間の色の(予測される)逸脱が大きくなるほど、(予測される)「適用範囲/均一性」は低くなり、異なるタイプの毛幹の間の(予測される)逸脱が小さくなるほど、(予測される)「適用範囲/均一性」は高くなる。
【0159】
図9Aは、毛幹の色不均質混合体の一例を示しており、全体としての混合体の最終色状態のみを予測する代わりに、それぞれ第1の(例えば、色素含有)初期毛髪および第2の(例えば、天然の重量)初期毛髪についての第1の予測される処理後の色状態および第2の予測される処理後の色状態を計算することが可能である。当業者は、国際出願第PCT/IB2015/000724号を参照されたい。これらの予測される処理後の色状態が計算されると、候補毛髪着色処理の均一性/適用範囲を特徴付けるために、それらの間の「色の差」(例えば、色超空間における距離)を計算することが可能である。
【0160】
図9Bは、毛幹の混合体を候補色処理、または、候補毛髪組成物による処理にさらした後の、毛幹の色不均質混合体の予測される色状態に関係する色状態超空間(例えば、LAB空間)内の点を示す。特に、
図9Bは、色状態超空間内の以下の点を示す。(i)毛髪着色組成物cand2による候補毛髪着色処理後の「第1のタイプ」の毛幹の予測される(例えば、予測エンジンによって計算されるものとしての)色状態524B、(ii)毛髪着色組成物cand2による候補毛髪着色処理後の「第2のタイプ」の毛幹の予測される(例えば、予測エンジンによって計算されるものとしての)色状態524C、(iii)加重平均(すなわち、例えば、天然色素を含有するものおよび天然白色のものなど、第1のタイプおよび第2のタイプの毛幹の相対量によって重み付けされる)であり得る、毛髪着色組成物cand2による候補毛髪着色処理後の毛髪の毛幹の色不均質混合体の予測される(例えば、予測エンジンによって計算されるものとしての)「全体的な」混合平均色状態524A。
【0161】
点524Bと524Cとの間(または、524Aと524Bとの間、もしくは、524Aと524Cとの間)の距離が大きくなるほど、「均一性」または適用範囲は低くなる。逆に、点524Bと524Cとの間(または、524Aと524Bとの間、もしくは、524Aと524Cとの間)の距離が大きくなるほど、「均一性」または適用範囲は低くなる。
【0162】
目標が「色正確度」および「耐久性」である状況と同様に、着色正確度および適用範囲/均一性の目標は、競合する目標であり得る。また、「耐久性」および「適用範囲/均一性」の目標もまた、競合する目標であり得る。
【0163】
図9C〜
図9Dの例において、HCC cand1が、色に関して不均質である初期毛髪について分析される。
図9E〜
図9Fの例において、HCC cand2が、色に関して不均質である初期毛髪について分析される。
【0164】
本開示について、処理直後の色状態は、別途指定されない限り、一タイプの構成毛幹(例えば、毛幹色について色が不均質である毛髪、例えば、天然の白髪の)ではなく、毛髪を全体として代表する状態を表す。
【0165】
図9Cおよび
図9Eの例において、「x」は、
図9Cにおいて、
図9Eよりも目標に近い処理直後の色状態を表し、HCC cand1が、HCC cand2よりも良好な処理直後の正確度を有すると予測されることを示している。
【0166】
しかしながら、距離D1が距離D2よりも小さい
図9Dおよび
図9Fから観察されるように、HCC cand2の予測される色均一性の方が、より良好である。
【0167】
ジェントルネス/損傷の論述
いくつかの実施形態において、予測される処理後の損傷状態を最小限に抑え、かつ/または、予測される処理後の損傷状態が最大閾値を超えないことを保証する毛髪着色処理を提供することが望ましい。この目的に向けて、毛髪の初期損傷を測定することが有用である。毛髪の予測される処理後の損傷状態は、(i)毛髪の初期損傷状態、および、(ii)毛髪着色処理によって毛髪に負わされる、予測される損傷(例えば、これは、酸化剤(例えば、過酸化物)および/またはアルカリ化薬(例えば、アンモニア)の濃度および/または他の要因に依存し得る)の関数である。
【0168】
毛髪の初期損傷状態を測定するための技法は、2015年4月27日付で提出された国際出願第PCT/IB2015/053065号に記載されている。
図13A〜
図13Bおよび
図14A〜
図14Bも参照されたい。整列した毛幹に2つの測定(例えば、
図13A〜
図13Bおよび
図14A〜
図14Bに示す構成における)を受けさせ、異なる方向(例えば、
図13Aの方向1020Aおよび1020Bまたは
図13Bの方向1020Cおよび1020D)からの光ビームによって照明される整列した毛幹によって散乱される光の強度を比較することが可能であり、例えば、散乱光の強度が同様である場合、これは、損傷状態がより大きいことを示し得る。
【0169】
図8A〜
図8Bの曲線から明らかであるように、初期毛髪損傷の測定はまた、「耐久性」の予測にも有用であり得る。
【0170】
図10A〜
図10Cの論述
図10A〜
図10Cは、ジェントルネスに有用な関連する方法を示し、これらの方法はまた、追加の補助目的にも有用であり得る。いくつかの実施形態、すなわち、ユーザによって(すなわち、ユーザインターフェースを介して)提供される多目的相対重要性データ(例えば、耐久性対色正確度、色対損傷、均一性対色正確度、均一性対耐久性など、または、任意の組合せの相対重要性)による実施形態(ステップS209参照)において、ソリューションが利用可能でないことが決定され得、ユーザ指定の多目的相対重要性データ(例えば
図9A〜
図9Bのスライダによって提供される)によれば、すなわち、ステップS209において、「利用可能」なソリューションはあり得ず、これは、一般的に、または、分配装置の容器内に存在する材料によることを意味する。この状況において、ユーザに代替的なソリューションを提示することができ(ステップS231)(例えば、各代替的なソリューションの少なくともいくつかの態様、例えば、毛髪の予測される処理直後の色の記述)、任意選択的にステップS235において、入力を請求することができる。
【0171】
材料を分配することによって、カスタマイズされた毛髪着色組成物を調製するためのシステムであって、システムは、可能性のある毛髪着色処理についての目標色状態、および、少なくとも、可能性のある毛髪着色処理にさらされる前のユーザの毛髪の初期色状態を記述する初期毛髪状態データを記憶するように構成されている毛髪状態回路であり、毛髪状態回路は、(例えば、任意の揮発性または不揮発性記憶装置/メモリ内に記憶される)補助目的の達成を記述する補助目的規則を記憶するようにさらに構成されている、毛髪状態回路と、初期毛髪状態データおよび目標色状態から、ユーザの毛髪の色状態を、初期色状態から目標色状態へと変換すると予測される、カスタマイズされた毛髪着色組成物を計算するように構成されている毛髪着色組成物(HCC)予測エンジンと、計算されているHCCに関するまたは目標色状態に関する推奨を提示するための推奨提示ユーザインターフェースRP UIを備えるHCCユーザインターフェース(HCC UI)とを備え、HCC予測エンジンは、補助目的規則に違反することなく色状態を目標色状態へと変換すると予測される補助目的規則に準拠するHCCの存在を決定し(例えば、
図10B〜
図10CのステップS209参照)、補助目的規則に準拠するHCCが存在しないと計算される場合、毛髪着色組成物(HCC)予測エンジンは、予測される処理直後の色状態の正確度と引き換えに、補助目的規則に準拠すると予測される代替的なHCCを計算し、補助目的規則に準拠するHCCが存在しないと計算される場合(例えば、S209から出る分岐がないことを参照されたい)、RP UIは、存在しないことが計算されたことを告知すること(例えば、S231参照)および/または補助目的規則に準拠する代替的なHCCを提示することによって応答する、システム。
【0172】
いくつかの実施形態において、さらに、異なる材料がそれぞれ各容器内に分配される、複数の容器を有する分配装置デバイスをさらに備え、分配装置デバイスは、それぞれ、毛髪着色組成物(HCC)予測エンジンによって実施される計算に応答して、かつ、計算に従って、各容器から異なる量の材料を分配するように構成されている。
【0173】
いくつかの実施形態において、そのような補助目的規則に準拠するHCCが存在する場合、システムは、以下のうちの少なくとも1つを実施することによって応答する。i.HCC UIが、補助目的規則に準拠するHCCの存在を告知することによって応答する。および、ii.分配装置デバイスが、補助目的規則に準拠するHCCについて、HCC予測エンジンによって決定される相対量において、容器から材料を分配する。
【0174】
いくつかの実施形態において、補助目的規則は、毛髪の予測される毛髪着色処理後の損傷の量を制限する最大損傷規則である。
【0175】
いくつかの実施形態において、補助目的規則は、着色後洗浄に対する予測される色保持を要求する、洗浄耐性規則である。
【0176】
いくつかの実施形態において、補助目的規則は、初期着色前毛髪の複数の異なる色の毛幹の間の予測される毛髪色均一性を記述する、予測される毛髪色均一性規則である。
【0177】
本出願の明細書および特許請求の範囲において、動詞「備える」、「含む」および「有する」の各々、ならびにそれらの活用は、動詞の1つまたは複数の目的語が、必ずしも、動詞の1つまたは複数の対象物の部材、構成要素、要素または部分の完全な列挙ではないことを示すために使用される。
【0178】
本明細書において引用されているすべての引用文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。引用文献の引用は、引用文献が従来技術であることの承認を構成しない。
【0179】
冠詞「a」および「an」は、本明細書において、冠詞の文法的な対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を参照するために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0180】
「〜を含む(including)」という用語は、本明細書において、「〜を含むが、限定ではない」という語句を意味するために使用され、当該語句と交換可能に使用される。
【0181】
「または」という用語は、本明細書において、文脈が明確に別様に指示しない限り、「および/または」という用語を意味するために使用され、当該用語と交換可能に使用される。
【0182】
「〜のような(such as)」という用語は、本明細書において、「限定ではないが、〜のような」という語句を意味するために使用され、当該語句と交換可能に使用される。
【0183】
上記の例示的な実施形態をこのように説明してきたが、添付の特許請求項の範囲および精神から逸脱することなく、実施形態の様々な均等物、変更、修正、および改善が可能であることは当業者には明らかであろう。特に、異なる実施形態は、本明細書において記載されている以外の特徴の組合せを含むことができる。したがって、特許請求の範囲は、上記の論述に限定されない。