特許第6636691号(P6636691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6636691プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6636691
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20200120BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20200120BHJP
【FI】
   H05H1/46 L
   H01L21/302 101C
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-201807(P2014-201807)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-72138(P2016-72138A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】ガナシェフ イヴァン ペトロフ
(72)【発明者】
【氏名】板 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】東野 秀史
(72)【発明者】
【氏名】本川 剛治
【審査官】 藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−044961(JP,A)
【文献】 特開2013−084730(JP,A)
【文献】 特開2013−145793(JP,A)
【文献】 特開2003−031558(JP,A)
【文献】 特開2012−209354(JP,A)
【文献】 特開平07−288196(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0073757(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00−1/54
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、
前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、
前記処理容器の内部に設けられ、被処理物を載置する載置部と、
前記処理容器の内部にガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器に設けられ、電磁波を透過させる窓部と、
前記窓部の外側に設けられ、電磁場を発生させる複数の導体部を有した負荷部と、
前記負荷部と前記窓部との間に設けられ、スリットを有するファラデーシールドと、
前記負荷部と前記ファラデーシールドとの間に設けられた絶縁部と、
前記負荷部に電力を印加する電源と、
前記複数の導体部のそれぞれの接地側に直列接続された容量部と、
前記容量部の容量を制御して、前記電磁場の強さを前記複数の導体部毎に調整し、水平方向におけるプラズマの密度分布を変化させる制御部と、
を備え、
前記複数の導体部は、円形の閉ループ状の図形の周上の、前記円の中心に対して、互いに回転対称となる位置に配置され、前記電源に並列に接続されているプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記複数の導体部毎に設けられ、プラズマの密度を直接的または間接的に測定する測定
部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記測定部による測定結果に基づいて、前記容量部の容量制御する請求項記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記複数の導体部は、前記処理容器の中心軸を中心とする前記円の周上に配置されている請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記複数の導体部と並列に接続され、位相を制御する位相調整部をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記絶縁部の厚みは、変化している請求項1〜のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記絶縁部は、樹脂材料を含む請求項1〜のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記絶縁部は、ポーラス材料を含む請求項1〜のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
誘導結合型プラズマを用いたプラズマ処理方法であって、
電磁場を発生させる複数の導体部が、円形の閉ループ状の図形の周上の、前記円の中心に対して、互いに回転対称となる位置に配置され、且つ、前記複数の導体部が、電源に並列に接続されている負荷部と、
前記負荷部において発生した電磁場を透過させる窓部と、
前記負荷部と前記窓部との間に設けられ、スリットを有するファラデーシールドと、
前記負荷部と前記ファラデーシールドとの間に設けられた絶縁部と、
前記複数の導体部のそれぞれの接地側に直列接続された容量部と、
を備え、
前記電源が前記負荷部に電力を印加し、
前記容量部の容量の制御を行い、前記電磁場の強さを前記複数の導体部毎に調整し、水平方向におけるプラズマの密度分布を変化させる工程を備えるプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記水平方向におけるプラズマの密度分布を変化させる工程において、
前記複数の導体部のそれぞれの中間位置におけるインピーダンスの虚数成分が0(ゼロ)となるように制御する請求項記載のプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波電力を印加することで発生させるプラズマに誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)がある。誘導結合型プラズマは、広い領域に高密度なプラズマを発生させることができるため各種のプラズマ処理に広く利用されている。
この様な誘導結合型プラズマを発生可能なプラズマ処理装置には、高周波電力が印加されるプラズマ励起用の負荷部(アンテナなどとも称される)が設けられている。また、負荷部は、処理容器の外部に設けられ、処理容器に設けられた誘電体などからなる窓部を介して電磁場を処理容器の内部に導入することができるようになっている。
【0003】
ここで、均一な密度のプラズマを発生させるために、渦巻き状を呈する負荷部が提案されている(特許文献1を参照)。
また、ループ状の負荷部を複数設け、複数の負荷部を電気的に並列接続する技術も提案されている(特許文献2を参照)。
しかしながら、さらに均一な密度のプラズマを発生させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−214197号公報
【特許文献2】特開2002−100615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、均一な密度のプラズマを発生させることができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るプラズマ処理装置は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、前記処理容器の内部に設けられ、被処理物を載置する載置部と、前記処理容器の内部にガスを供給するガス供給部と、前記処理容器に設けられ、電磁波を透過させる窓部と、前記窓部の外側に設けられ、電磁場を発生させる複数の導体部を有した負荷部と、前記負荷部と前記窓部との間に設けられ、スリットを有するファラデーシールドと、前記負荷部と前記ファラデーシールドとの間に設けられた絶縁部と、前記負荷部に電力を印加する電源と、前記複数の導体部のそれぞれの接地側に直列接続された容量部と、前記容量部の容量を制御して、前記電磁場の強さを前記複数の導体部毎に調整し、水平方向におけるプラズマの密度分布を変化させる制御部と、を備えている。
前記複数の導体部は、円形の閉ループ状の図形の周上の、前記円の中心に対して、互いに回転対称となる位置に配置され、前記電源に並列に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、均一な密度のプラズマを発生させることができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るプラズマ処理装置1を例示するための模式図である。
図2】ファラデーシールド10を例示するための模式図である。
図3】(a)、(b)は、負荷部20を例示するための模式図である。
図4】(a)、(b)は、エッチング量の分布を例示するためのグラフ図である。
図5】(a)、(b)は、負荷部120を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、特に断らない限り、電位差と電流の振幅や位相はフェーザ表示を使って表し、フェーザ表示の基準を電流が実数成分のみの場合、すなわち位相が0(ゼロ)の場合とする。
また、本明細書において、電位が0(ゼロ)は接地電位を意味し、特に断らない限り、電位差は接地電位に対するものとしている。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るプラズマ処理装置1を例示するための模式図である。
図2は、ファラデーシールド10を例示するための模式図である。
なお、図2は、図1におけるA−A線断面図である。
図1に示すように、プラズマ処理装置1には、処理容器2、窓部3、載置部4、電源6a、電源6b、減圧部9、ゲートバルブ17、ガス供給部18、負荷部20、ファラデーシールド10、絶縁部11、測定部25、および制御部24などが設けられている。
なお、プラズマ処理装置1には、負荷部20の代わりに負荷部120を設けることもできる。
【0011】
処理容器2は、両端が閉塞された略円筒形状を呈している。処理容器2は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。
処理容器2の内部には、被処理物Wをプラズマ処理するための空間である処理空間15が設けられている。被処理物Wは、例えば、半導体ウェーハ、フォトマスク基板、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板などとすることができる。
【0012】
処理容器2の天井中央部分には、ガスGを導入するためのガス導入口12が設けられている。
窓部3は、誘電体材料(例えば、石英など)などから形成されている。窓部3は、後述する負荷部20(負荷部120)において発生した電磁場を透過させる。窓部3は、処理容器2の天井中央部分であって、ガス導入口12の周囲に設けられている。
【0013】
載置部4は、処理容器2の内部であって、処理空間15の下方に設けられている。載置部4の上面は被処理物Wを載置するための載置面となっている。載置部4は、載置部4の内部に内蔵された図示しない静電チャックなどにより載置された被処理物Wを保持する。 載置部4に載置された被処理物Wの中心の位置は、処理容器2の中心軸2a上にあるようになっている。
絶縁リング5は、誘電体材料(例えば、石英など)などから形成されている。絶縁リング5は、載置部4の周囲を覆っている。
【0014】
電源6aは、整合器16aを介して載置部4に電気的に接続されている。電源6aは、いわゆるバイアス制御用の高周波電源である。すなわち、電源6aは、載置部4に載置、保持された被処理物Wに引き込むイオンのエネルギーを制御するために設けられている。 電源6aは、イオンを引き込むために適した比較的低い周波数(例えば、13.56MHz以下)を有する高周波電力を載置部4に印加するものとすることができる。
整合器16aには、電源6a側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路などが設けられている。
【0015】
電源6bは、プラズマPを発生させるための高周波電源である。すなわち、電源6bは、処理空間15において高周波放電を生じさせてプラズマPを発生させるために設けられている。
電源6bは、100KHz〜100MHz程度の周波数を有する高周波電力を負荷部20(負荷部120)に印加するものとすることができる。この場合、プラズマPの発生に適した比較的高い周波数(例えば、13.56MHz)を有する高周波電力を負荷部20(負荷部120)に印加するものとすることができる。
【0016】
また、電源6bは、出力する高周波電力の周波数fを変化させることができるものとすることができる。
電源6bの端子B1は、整合器16bを介して負荷部20(負荷部120)に電気的に接続されている。電源6bの端子B2は、例えば、接地することができる。
整合器16bには、電源6b側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路などが設けられている。
【0017】
減圧部9は、処理容器2の内部が所定の圧力となるように減圧する。減圧部9は、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。減圧部9は、処理容器2の底部に設けられた排気口7に圧力制御部8を介して接続されている。
圧力制御部8は、処理容器2の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、処理容器2の内圧が所定の圧力となるように制御する。圧力制御部8は、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0018】
処理容器2の側壁には、被処理物Wを搬入搬出するための搬入搬出口19が設けられている。また、搬入搬出口19を気密に閉鎖するゲートバルブ17が設けられている。
ゲートバルブ17は、O(オー)リングのようなシール部材14を備える扉13を有している。扉13は、図示しないゲート開閉機構により開閉される。扉13が閉まった時には、シール部材14が搬入搬出口19の壁面に押しつけられ、搬入搬出口19が気密に閉鎖されるようになっている。
【0019】
ガス供給部18は、ガス導入口12を介して処理容器2の内部にガスGを供給する。ガス供給部18は、例えば、ガスGを収納した高圧ボンベなどとすることができる。
また、処理容器2の内部に供給するガスGの種類を切り替える切換部21を設けることができる。
例えば、ガス供給部18は、エッチング処理などのような被処理物Wのプラズマ処理に用いられるガスを供給するガス供給部18aと、クリーニング処理などに用いられるガスを供給するガス供給部18bとを備えたものとすることができる。この場合、切換部21は、プラズマ処理の種類に応じて処理容器2の内部に供給するガスGの種類を切り替える。
また、ガス供給部18から処理容器2の内部にガスGを供給する際に流量や圧力などを制御する図示しないMFC(Mass Flow Controller)などを設けることができる。
【0020】
負荷部20または負荷部120は、窓部3の上方に設けられている。
負荷部20は、電磁場を発生させる複数の導体部20aを有している。そのため、負荷部20は、処理容器2に設けられた誘電体などからなる窓部3を介して、電磁場を処理容器2の内部に導入することができる。
この場合、導体部20aは、インダクタンスLを変化させることができるものとすることができる。
負荷部120は、複数の導体部20a、および複数の導体部20aのそれぞれに電気的に直列接続された容量部20bを有している。
この場合、複数の導体部20aのそれぞれの接地側には、容量部20bが直列接続されているようにすることができる。
また、容量部20bは、容量Cを変化させることができるものとすることができる。 そのため、負荷部120は、処理容器2に設けられた誘電体などからなる窓部3を介して、電磁場を処理容器2の内部に導入することができる。
なお、負荷部20および負荷部120に関する詳細は後述する。
【0021】
また、負荷部20(負荷部120)と窓部3との間にはファラデーシールド10が設けられている。負荷部20(負荷部120)とファラデーシールド10との間には絶縁部11が設けられている。
【0022】
図2に示すように、ファラデーシールド10には、金属などの導体から形成された本体部10aと、複数のスリット10bとが設けられている。
ファラデーシールド10の本体部10aは、電気的に接地することができる。
なお、後述するクリーニング処理などの場合には、本体部10aに電圧を印加することもできる。ファラデーシールド10の本体部10aに電圧を印加する場合には、図示しない電源を本体部10aに電気的に接続すればよい。
スリット10bは、放射状に配置することができる。この場合、放射状のスリット10bの中心は、処理容器2の中心軸2a(円周上に配置された複数の導体部20aの中心)と一致するようにすることができる。この様にすれば、導体部20aによる高周波電界方向に対して実質的に直角な方向に伸びるスリット10bとすることができる。
【0023】
この様なスリット10bをファラデーシールド10に設けるようにすれば、導体部20aによる高周波電界の方向と同一方向に電流経路が形成されるのを抑制することができる。そのため、処理容器2の内部に高周波電界を発生させることができるとともに、導体部20aとプラズマPとの間の容量結合を抑制することができる。その結果、導体部20aから導入される電磁場のエネルギーをプラズマPの生成に効率よく利用することができる。
【0024】
また、導体部20aとプラズマPとの間の容量結合を抑制することができるので、プラズマ処理中に窓部3などに負のバイアスがかかることを抑制することができる。そのため、窓部3にプラズマP中のイオンが衝突することを抑制することができるので、窓部3の損傷を抑制することができる。
【0025】
絶縁部11は、誘電体からなるものとすることができる。絶縁部11は、例えば、樹脂材料、石英、セラミックス、空気(空間)などや、これらを組み合わせたものからなるものとすることができる。
絶縁部11に樹脂材料を用いる場合は、例えば、電気絶縁性が高く且つ耐熱温度が100℃を超える樹脂材料(PTFE、PCTFE、PI、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ULTEM)を用いることが好ましい。
【0026】
また、導体部20aに流れる電流の一部がファラデーシールド10に漏れると、処理容器2内のプラズマPの密度分布に影響を及ぼす場合がある。そこで、絶縁部11の厚み、材料、構造などを適宜選択し、絶縁部11の静電容量を小さくする。
例えば、絶縁部11の材料を誘電率の低いポーラス材料とすることができる。また、漏れ電流が発生する場所において絶縁部11の厚みを変化させ、静電容量の分布を調整することもできる。
この様にすれば、導体部20aからファラデーシールド10へ漏れる電流を抑制することができる。そのため、プラズマPの密度を均一にすることができる。
【0027】
測定部25は、複数設けられている。測定部25は、複数の導体部20a毎に設けられている。この場合、1つの導体部20aに対して、1つの測定部25を設けることができる。
ここで、プラズマPの密度が変わると、その付近の導体部20aのインピーダンスも変わる。また、その導体部20aの電流又は電圧も変わる。
そのため、測定部25は、導体部20aのインピーダンス、電流、および電圧の少なくとも1つを測定するものとすることができる。
また、プラズマPの密度の分布が偏ると、プラズマPの発光強度の分布も偏る。
そのため、測定部25は、発光強度の変化を検出するものとすることもできる。
以上は、プラズマPの密度を間接的に測定する場合である。
測定部25は、プラズマPの密度を直接的に測定するものとすることもできる。
この場合、測定部25は、例えば、ラングミュアプローブやプラズマ吸収プローブなどとすることができる。
【0028】
制御部24は、測定部25による測定結果に基づいて、導体部20aのインダクタンスL、および電源6bの周波数fの少なくともいずれかを制御する。
また、後述するように、負荷部120が容量部20bを有するものの場合には、制御部24は、測定部25による測定結果に基づいて、導体部20aのインダクタンスL、容量部20bの容量C、および電源6bの周波数fの少なくともいずれかを制御する。
なお、測定部25による測定、および制御部24による制御に関する詳細は後述する。
【0029】
次に、負荷部20についてさらに説明する。
図3(a)、(b)は、負荷部20を例示するための模式図である。
なお、図3(a)は、負荷部20の構成を例示するための模式図である。
図3(b)は、負荷部20における高周波電位の分布を例示するための模式グラフ図である。
また、図3(a)、(b)中におけるLは導体部20aのインダクタンス、Iは導体部20aに流れる電流、φは周方向角度、ωは角周波数、D1は導体部20aにおけるインピーダンスの虚数成分、D2は導体部20aにおけるインピーダンスの実数成分である。
【0030】
図3(a)、(b)に示すように、負荷部20には、複数の導体部20aが設けられている。
なお、図3(a)、(b)においては、3つの導体部20aが設けられる場合を例示したが、導体部20aの数は2つ以上であればよい。
また、複数の導体部20aのインダクタンスLは、同じ値となっている。
なお、インダクタンスLの値には、多少のばらつきがあってもよい。例えば、インダクタンスLの値は、製造時における誤差の範囲内でばらついていてもよい。
【0031】
複数の導体部20aは、処理容器2の中心軸2aを中心とする円周上に配置されている。複数の導体部20aは、等間隔で配置されている。この場合、複数の導体部20aは、処理容器2の中心軸2aを中心として、互いに回転対称となる位置に設けることができる。
【0032】
複数の導体部20aは、電源6bに電気的に並列接続されている。すなわち、複数の導体部20aの一方の端部のそれぞれは、電源6bの端子B1に電気的に接続されている。複数の導体部20aの他方の端部のそれぞれは、接地されている。
【0033】
この様な構成を有する負荷部20を設けるようにすれば、円周上に配置された複数の導体部20aの中心に対して、互いに回転対称となる位置に電磁場を導入することができる。
また、複数の導体部20aは、電気的に並列接続され、且つ、複数の導体部20aのインダクタンスLは、同じ値となっている。
そのため、処理容器2の内部の互いに回転対称となる位置に同じ強さの電磁場を導入することができる。すなわち、プラズマP中の互いに回転対称となる位置に同じ強さの電磁場を導入することができる。
その結果、均一な密度のプラズマPを発生させることができ、また、均一な密度のプラズマPの維持が可能となる。
また、被処理物Wの面内における処理の均一性(例えば、エッチングレートの均一性など)を向上させることができる。
【0034】
図4(a)、(b)は、エッチング量の分布を例示するためのグラフ図である。
図4(a)は、比較例に係る場合(導体部20aを直列に接続した場合)である。
図4(b)は、本実施の形態に係る場合(導体部20aを並列に接続した場合)である。
プラズマPの密度の分布を直接測定するのは困難である。そのため、エッチング量の分布から、プラズマPの密度の分布を間接的に評価することにした。
なお、図4(a)、(b)は、同じ導体部20aを3個用いた場合である。
また、図4(b)の場合は、3個の導体部20aが、処理容器2の中心軸2aを中心とする円周の中心に対して、互いに回転対称となる位置に設けられているものとした。
導体部20aに流れる電流の値は同じになる様にした。そのため、図4(b)の場合は、図4(a)の場合と比べて、電源6bから約3倍の電流が流れることになる。
そこで、位相調整部26の容量Cmが、「C/N」となるようにした。なお、位相調整部26の容量Cmに関する詳細は後述する。
エッチングのプロセス条件は、同じになるようにした。
なお、エッチング量は、モノトーン色の濃淡で表し、エッチング量が少ないほど濃く、エッチング量が多いほど淡くなる様にした。
図4(a)から分かるように、導体部20aを直列に接続すると、エッチング量の分布が左右、上下とも非対称となる。
図4(b)から分かるように、導体部20aを並列に接続すると、エッチング量の分布が左右、上下ともほぼ対称となるようにすることができる。
ここで、エッチング処理においては、載置部4に載置された被処理物Wの中心の位置(処理容器2の中心軸2aの位置)の近傍におけるエッチング量の均一性が重要となる。 そのため、図4(a)、(b)中の領域100においてエッチング量の均一性を評価した。
図4(a)の場合(導体部20aを直列に接続した場合)では、エッチング量の均一性は、3σで1.0%であった。
図4(b)の場合(導体部20aを並列に接続した場合)では、エッチング量の均一性は、3σで0.2%であった。
すなわち、エッチング量の均一性が5倍改善した。
なお、容量20bの容量Cを選択することで、導体部20aに印加される電圧を低くすることができる。そのため、高電圧に起因する異常放電および誘電体スパッターを抑制することができる。
【0035】
ここで、複数の導体部を直列に接続した場合に発生するプラズマと同様のプラズマを、複数の導体部20aを並列に接続した場合にも発生させることを考慮すると、導体部20aには直列接続の場合と同様の電流を流す必要がある。
ところが、複数の導体部20aを並列に接続した場合に、導体部20aに直列接続の場合と同様の電流を流すと、電源6bに流れる電流の値は、「導体部20aの数×1つの導体部20aに流れる電流の値」となる。電源6bに流れる電流が増加すると、電源6bが過熱するおそれがある。
この場合、位相を制御して電力が所定の範囲内に収まるようにすれば、電流が増加しても電源6bが過熱するのを抑制することができる。
そのため、電源6bには、位相を制御する位相調整部26が、複数の導体部20aと並列に電気的に接続されている。
位相調整部26のサセプタンスの絶対値は、導体部20aのサセプタンスの絶対値とほぼ同じとなるようにする。
位相調整部26における位相は、導体部20aにおける位相と逆になるようにする。
この様にすれば、電源6bには、導体部20aに流れる電流と同様の振幅で逆位相の電流を流すことができる。
そのため、合計のサセプタンスが減り、電源6bに流れる合計電流が抑制される。その結果、電源6bの過熱を抑えることができる。
【0036】
ここで、並列共振となるようにすれば、電源6bに流れる合計電流を最小化することができる。
並列共振となるようにするためには、位相調整部26の容量Cmが以下の式を満足するようにすればよい。
Cm=(C/N)/(4πCL−1)
ここで、Nは導体部20aの数、Lは各導体部20aのインダクタンス、Cは各導体部20aに接続された容量部20bの容量、fは電源周波数である。
この場合、「4πCL」が1を超えるようにする必要がある。
そのため、各導体部20aに接続された容量部20bのリアクタンス「1/(2πfC)」が、導体部20aのリアクタンス「2πfL」より小さくなるようにすればよい。
すなわち、「C>1/(4πfL)」となるようにすればよい。
後述するように、導体部20aの中間位置におけるインピーダンスの虚数成分が0(ゼロ)となるようにすれば、容量部20bの容量Cは、「1/(2πL)」となるので、「C>1/(4πfL)」となるようにすることができる。
この場合、位相調整部26の容量Cmは、「C/N」となる。
【0037】
次に、負荷部120についてさらに説明する。
図5(a)、(b)は、負荷部120を例示するための模式図である。
なお、図5(a)は、負荷部120の構成を例示するための模式図である。
図5(b)は、負荷部120における高周波電位の分布を例示するための模式グラフ図である。
また、図5(a)、(b)中におけるLは導体部20aのインダクタンス、Cは容量部20bの容量、Iは導体部20aに流れる電流、φは周方向角度、ωは角周波数、D1は導体部20aにおけるインピーダンスの虚数成分、D2は導体部20aにおけるインピーダンスの実数成分である。
【0038】
図5(a)、(b)に示すように、負荷部120には、複数の導体部20a、および複数の導体部20aのそれぞれに電気的に直列接続された容量部20bが設けられている。
なお、図5(a)、(b)においては、導体部20aと容量部20bとが3組設けられる場合を例示したが、導体部20aと容量部20bの組数は2つ以上であればよい。
【0039】
また、複数の導体部20aのインダクタンスLは、同じ値となっている。
なお、インダクタンスLの値には、多少のばらつきがあってもよい。例えば、インダクタンスLの値は、製造時における誤差の範囲内でばらついていてもよい。
また、複数の容量部20bの容量Cは、同じ値となっている。
なお、容量Cの値には、多少のばらつきがあってもよい。例えば、容量Cの値は、製造時における誤差の範囲内でばらついていてもよい。
【0040】
複数の導体部20aは、処理容器2の中心軸2aを中心とする円周上に配置されている。複数の導体部20aは、等間隔で配置されている。この場合、複数の導体部20aは、処理容器2の中心軸2aを中心として、互いに回転対称となる位置に設けることができる。
【0041】
複数の導体部20aは、電気的に並列接続されている。すなわち、複数の導体部20aの一方の端部のそれぞれは、電源6bの端子B1に電気的に接続されている。複数の導体部20aの他方の端部のそれぞれは、容量部20bを介して、接地されている。
【0042】
また、容量部20bは、導体部20aの接地側の端部に接続されている。
容量部20bを導体部20aの接地側の端部に接続すれば、図5(b)に示すように、複数の導体部20aのそれぞれにおいて、インピーダンスの虚数成分D1が0(ゼロ)となる周方向角度φが生ずるようにすることができる。
【0043】
ここで、インピーダンスの虚数成分D1は、実数成分D2に比べて極めて大きなものとなる。
そのため、インピーダンスの虚数成分D1が0(ゼロ)となる周方向角度φが生ずるようにすれば、電位が最大となる点の電位差を低下させることができる。
そして、電位が最大となる点の電位差を低下させることができれば、異常放電により窓部3などが損傷するのを抑制することができる。
【0044】
この場合、複数の導体部20aのそれぞれにおいて、導体部20aの中間位置におけるインピーダンスの虚数成分が0(ゼロ)となるようにすることが好ましい。
導体部20aの中間位置におけるインピーダンスの虚数成分が0(ゼロ)となるようにすれば、正側と負側における電位の最大値の絶対値が同程度となるようにすることができる。
そのため、電位が最大となる点の電位差を大幅に低下させることができるので、異常放電により窓部3などが損傷するのをさらに抑制することができる。
【0045】
例えば、容量部20bの容量Cと、導体部20aのインダクタンスLと、電源6b(電力)の周波数fとの関係を以下の様にすれば、導体部20aの中間位置におけるインピーダンスの虚数成分が0(ゼロ)となるようにすることができる。
C=1/(2πL)
ここで、複数の導体部20aを取り付けた際に、複数の導体部20aが配置される円の中心位置と、処理容器2の中心軸2aの位置との間にずれが生じる場合がある。
また、処理容器2の形状が中心軸2aに対して対称となっていない場合がある。
また、処理容器2の中心軸2aの位置と、載置部4に載置された被処理物Wの中心位置との間にずれが生じる場合がある。
【0046】
そのため、処理容器2の中心軸2aに対して互いに回転対称となる位置に同じ強さの電磁場を導入することができなかったり、載置部4に載置された被処理物Wの中心位置からずれた位置に対して互いに回転対称となる位置に同じ強さの電磁場が導入されたりするおそれがある。
その結果、被処理物Wの面内におけるラジカルやイオンの分布の均一性が悪くなるおそれがある。
【0047】
また、プロセス条件などによりプラズマPが変動すると、インダクタンスLの値が影響を受ける。
また、プラズマ処理において用いられるラジカルは、主に、重力や気流により移動する。
ところが、処理容器2の中心軸2aに対して対称な位置からガスGが導入されなかったり、理容器2の中心軸2aに対して対称な位置から排気が行われなかったりする場合がある。
そのため、ガスの流れが偏り、被処理物Wの面内におけるラジカルの分布の均一性が悪くなるおそれがある。
【0048】
すなわち、組み立て誤差、処理容器2などの形状、プロセス条件、ガスの流れなどにより、被処理物Wの面内におけるラジカルやイオンの分布の均一性、ひいては処理の均一性が悪くなる場合がある。
この様な場合には、複数の導体部20a毎に、導入される電磁場の強さを調整すればよい。
例えば、処理容器2の中心軸2aの位置から遠い導体部20aから導入される電磁場の強さを強くし、近い導体部20aから導入される電磁場の強さを弱くすることができる。
これによりプラズマPの密度分布を調整することができる。この場合、例えば、水平方向におけるプラズマPの密度分布を変化させることができる。
ここで、導体部20a毎に設けられた測定部25は、プラズマPの密度を直接的または間接的に測定する。そのため、測定部25により、プラズマPの密度を測定すれば、導体部20aから導入される電磁場の強さを間接的に求めることができる。
【0049】
そして、測定部25による測定結果に基づいて、制御部24により導体部20aのインダクタンスL、容量部20bの容量C、および電源6bの周波数fの少なくともいずれかを制御する。
この様にすれば、複数の導体部20a毎に、導入される電磁場の強さを調整することができる。
【0050】
以上は、被処理物Wのプラズマ処理を行う場合である。
クリーニング処理を行う場合には、電位が最大となる点の電位差を所定の範囲内で大きくしたり、導体部20aの両端子間における電位差を所定の範囲内で大きくしたりする。 すなわち、導体部20aにおける電位を制御することで前述した関係が満たされないようにして、窓部3などに衝突するイオンを増やすようにする。
なお、窓部3などに衝突するイオンを増加させすぎると窓部3などが損傷するおそれがある。そのため、デポ物の付着量などに基づいて予め実験などにより求められた制御範囲内において制御を行うようにする。
【0051】
またさらに、ファラデーシールド10の本体部10aに電圧を印加することで、クリーニング処理中に窓部3などに負のバイアスを印加することもできる。そのようにすれば、窓部3などにより多くのイオンを衝突させることができるので、クリーニング処理の効率を向上させることができる。
【0052】
次に、プラズマ処理装置1の作用について例示する。
この場合、一例として、被処理物Wをエッチング処理する場合について例示する。
ゲートバルブ17の扉13を、図示しないゲート開閉機構により開く。
図示しない搬送部により、搬入搬出口19から被処理物Wを処理容器2内に搬入する。搬入された被処理物Wは載置部4上に載置され、載置部4に内蔵された図示しない静電チャックなどにより保持される。
図示しない搬送部を処理容器2の外に退避させる。
図示しないゲート開閉機構によりゲートバルブ17の扉13を閉じる。
減圧部9により処理容器2内が所定の圧力となるように減圧される。この際、処理容器2の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、圧力制御部8により、処理容器2内が所定の圧力となるように制御される。
【0053】
次に、ガス供給部18aから切換部21、ガス導入口12を介して処理空間15内にエッチング処理に用いられるガスを供給する。この際、図示しないMFC(Mass Flow Controller)などにより供給するガスの流量や圧力などが制御される。エッチング処理に用いられるガスとしては、例えば、CF、CHF、NFなどやこれらの混合ガスなどを例示することができる。
【0054】
次に、電源6bにより所定の周波数(例えば、13.56MHz)を有する高周波電力が負荷部20(負荷部120)に印加される。また、電源6aにより所定の周波数(例えば、13.56MHz以下)を有する高周波電力が載置部4に印加される。
【0055】
すると、負荷部20(負荷部120)の導体部20aが誘導結合型電極を構成するので、導体部20aから窓部3を介して電磁場が処理容器2の内部に導入される。そのため、処理容器2の内部に導入された電磁場により処理空間15にプラズマPが発生する。発生したプラズマPによりエッチング処理に用いられるガスが励起、活性化されて中性活性種、イオン、電子などの反応生成物が生成される。この生成された反応生成物が、処理空間15内を下降して被処理物Wの表面に到達し、エッチング処理が施される。
【0056】
この場合、負荷部20(負荷部120)により、処理容器2の内部の互いに回転対称となる位置に同じ強さの電磁場を導入することができる。すなわち、プラズマP中の互いに回転対称となる位置に同じ強さの電磁場を導入することができる。
その結果、均一な密度のプラズマPを発生させることができ、また、均一な密度のプラズマPの維持が可能となる。
また、被処理物Wの面内における処理の均一性(例えば、エッチングレートの均一性など)を向上させることができる。
また、負荷部120により、異常放電による窓部3などの損傷を抑制することができる。
【0057】
また、前述したように、必要に応じて、複数の導体部20a毎に、導入される電磁場の強さを調整することもできる。
例えば、導体部20a毎に設けられた測定部25により、プラズマPの密度を直接的または間接的に測定する。
そして、制御部24は、測定部25による測定結果に基づいて、導体部20aのインダクタンスL、容量部20bの容量C、および電源6bの周波数fの少なくともいずれかを制御する。
この様にすれば、複数の導体部20a毎に、導入される電磁場の強さを調整することができる。
そのため、プロセス条件などの変動に対しても対応が可能となる。
【0058】
また、ファラデーシールド10の作用により、導体部20aとプラズマPとの間の容量結合が抑制される。そのため、エッチング処理中に窓部3などに負のバイアスがかかることを抑制することができるので、窓部3にプラズマP中のイオンが衝突することを抑制することができる。その結果、窓部3の損傷を抑制することができる。また、導体部20aから導入される電磁場のエネルギーをプラズマPの生成に効率よく利用することもできる。
【0059】
また、電源6aにより高周波電力が載置部4に印加されることにより、被処理物Wにバイアスが印加される。そのため、生成されたイオンを被処理物Wの表面に引き込むことができるので、効率の良い異方性エッチング処理を行うことができる。なお、電源6aによる高周波電力の印加を行わずにエッチング処理を行うこともできる。
【0060】
残余のガス、反応生成物、副生成物などの多くは、排気口7から処理容器2外に排出される。
【0061】
被処理物Wのエッチング処理が終了すると、処理容器2内の圧力とゲートバルブ17の扉13の外側の圧力とがほぼ等しくなるように、ガス導入口12からパージガスなどが導入される。
そして、ゲートバルブ17の扉13を図示しないゲート開閉機構により開く。
図示しない搬送部により、エッチング処理が施された被処理物Wを搬出する。
以上のようにして、被処理物Wのエッチング処理が終了する。
【0062】
次に、クリーニング処理を行う場合について例示をする。
生成されたイオンを窓部3などに衝突させることができれば、副生成物が付着することで形成されたデポ物を除去することができる。
そのため、クリーニング処理を行う場合には、導体部20aにおける電位が最大となる点の電位差の値を所定の範囲内で大きくしたり、導体部20aの両端子間における電位差を所定の範囲内で大きくしたりするようにする。
【0063】
この場合、測定部25による測定結果に基づいて、制御部24により導体部20aのインダクタンスL、容量部20bの容量C、および電源6bの周波数fの少なくともいずれかを制御するようにする。
【0064】
クリーニング処理を行う場合には、まず、図示しないゲート開閉機構によりゲートバルブ17の扉13を閉じる。
次に、減圧部9により処理容器2内が所定の圧力となるように減圧される。この際、処理容器2の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、圧力制御部8により、処理容器2内が所定の圧力となるように制御される。
【0065】
次に、切換部21により供給されるガスの種類が切り換えられる。そして、ガス供給部18bから切換部21、ガス導入口12を介して処理空間15内にクリーニング処理に用いられるガスを供給する。この際、図示しないMFC(Mass Flow Controller)などにより供給するガスの流量や圧力などが制御される。クリーニング処理に用いられるガスとしては、例えば、O、SF、NF、ClF、Cl、HCl、Arなどを例示することができる。
【0066】
次に、電源6bにより所定の周波数(例えば、13.56MHz)を有する高周波電力が負荷部20(負荷部120)に印加される。
すると、導体部20aが誘導結合型電極を構成するので、導体部20aから窓部3を介して高周波電力が処理容器2の内部に導入される。そのため、処理容器2の内部に導入された高周波電力により処理空間15にプラズマPが発生する。発生したプラズマPによりクリーニング処理に用いられるガスが励起、活性化されて中性活性種、イオン、電子などの反応生成物が生成される。この生成された反応生成物により処理容器2内に付着しているデポ物が除去される。
【0067】
ここで、測定部25による測定結果に基づいて、制御部24により導体部20aのインダクタンスL、容量部20bの容量C、および電源6bの周波数fの少なくともいずれかを制御することで、導体部20aにおける電位が最大となる点の電位差の値を所定の範囲内で大きくしたり、導体部20aの両端子間における電位差を所定の範囲内で大きくしたりする。
すなわち、導体部20aにおける電位を制御することで前述した関係が満たされないようにして、窓部3などに衝突するイオンを増やすようにする。
なお、窓部3などに衝突するイオンを増加させすぎると窓部3などが損傷するおそれがある。そのため、デポ物の付着量などに基づいて予め実験などにより求められた制御範囲内において制御を行うようにする。
【0068】
またさらに、ファラデーシールド10の本体部10aに電圧を印加することで、クリーニング処理中に窓部3などに負のバイアスを印加するようにすることもできる。このようにすれば、窓部3などにより多くのイオンを衝突させることができるので、クリーニング処理の効率を向上させることができる。
【0069】
残余のガス、反応生成物、除去されたデポ物などは、排気口7から処理容器2外に排出される。
なお、載置部4の載置面を保護するためにダミーの被処理物Wを載置した状態で前述したクリーニング処理を行うようにすることもできる。
以上のようにして、クリーニング処理が終了する。
【0070】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るプラズマ処理方法について例示をする。
本実施の形態に係るプラズマ処理方法は、誘導結合型プラズマを用いたプラズマ処理方法である。
そして、電磁場を発生させる複数の導体部20aが、円周上に配置され、且つ、複数の導体部20aが、電源6bに並列に接続されている負荷部20(負荷部120)に電力を印加する工程を備えている。
【0071】
この場合、複数の導体部20aは、円周の中心に対して、互いに回転対称となる位置に設けることができる。
そして、負荷部20(負荷部120)に電力を印加する工程において、プラズマP中の互いに回転対称となる位置に電磁場を導入するようにする。
【0072】
また、導体部20aのインダクタンスL、複数の導体部20aのそれぞれの接地側に直列接続された容量部20bの容量C、電力の周波数fからなる群より選ばれた少なくとも1つの制御を行う工程をさらに備えることができる。
そして、複数の導体部20aのそれぞれの中間位置におけるインピーダンスの虚数成分が0(ゼロ)となるように制御するようにする。
なお、各工程における内容や作用、効果などは、前述したプラズマ処理装置1において例示をしたものと同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0073】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、複数の導体部20aが円周上に配置されている例を示したが、複数の導体部20aは、閉ループ状の図形(例えば、円や、多角形など)の周上の位置に配置されていればよい。
また、例えば、負荷部20または負荷部120が窓部3の上方に設けられている例を示したが、負荷部20または負荷部120は、窓部3の側壁に設けられていてもよい。すなわち、負荷部20または負荷部120は、窓部3の外側に設けられていればよい。
また、プラズマ処理の一例として、エッチング処理、クリーニング処理を例示したがこれらに限定されるわけではない。誘導結合型プラズマを用いて行うプラズマ処理に広く適用させることができる。
また同様に、エッチング処理を行うプラズマエッチング処理装置に限定されるわけではない。誘導結合型プラズマを発生可能なプラズマ処理装置に広く適用させることができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0074】
1 プラズマ処理装置、2 処理容器、2a 中心軸、3 窓部、4 載置部、6a 電源、6b 電源、9 減圧部、10 ファラデーシールド、17 ゲートバルブ、18 ガス供給部、20 負荷部、20a 導体部、20b 容量部、21 切換部、24 制御部、25 測定部、26 位相調整部、120 負荷部、G ガス、P プラズマ、W 被処理物
図1
図2
図3
図4
図5