特許第6636699号(P6636699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6636699
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/04 20060101AFI20200120BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20200120BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20200120BHJP
【FI】
   F25D21/04 M
   F25D19/00 520A
   F25D19/00 522A
   F25D19/00 540A
   F25D23/00 306A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-21886(P2015-21886)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2016-145654(P2016-145654A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2018年1月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴芳
(72)【発明者】
【氏名】高岡 光幸
(72)【発明者】
【氏名】西尾 正行
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−292019(JP,A)
【文献】 特開2011−127811(JP,A)
【文献】 特開2014−142062(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0133427(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/04
F25D 19/00
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口の断熱箱体からなる貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の天井の下面に取り付けられている蒸発器を有する冷却機と、
前記蒸発器を下から覆うように前記天井に掛止され、前記蒸発器が収容されている空気循環路を形成するダクト部と、
を備え、
前記ダクト部は、
底壁と、
前記底壁から上方に向かって延びる一対の側壁と、
を有し、前記ダクト部を前記天井に掛止するための掛止部が前記側壁に設けられており
前記天井は、開口と、前記開口を上側から塞ぐ断熱部材と、前記開口の内周面から水平方向に突出する突起であって前記掛止部が掛止される突起とを有し、
前記掛止部は前記側壁の上端面から上方に延びる略鈎状に形成されており、一方の前記側壁に設けられている前記掛止部と他方の前記側壁に設けられている前記掛止部とが上に向かって互いに離間するように傾斜している、冷却貯蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却貯蔵庫であって、
前記側壁は、前記側壁の外面から延びるフランジ部であって、当該フランジ部の上面が前記天井の下面に密接するフランジ部が設けられている、冷却貯蔵庫。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫であって、
記掛止部は、前記側壁の上端面から上方に延びる柱部と、前記柱部の上端部から水平方向に延びる凸部とを有する略鈎状に形成されており、
前記凸部は、前記凸部の先端部から水平方向に延びるガイド部であって、下面が前記柱部から離間する方向に向かって上に傾斜し、前記掛止部を前記突起に掛止する際に前記凸部を前記突起の上に案内するガイド部を有する、冷却貯蔵庫。
【請求項4】
請求項3に記載の冷却貯蔵庫であって、
前記凸部は下面が前記柱部から離間する方向に向かって上に傾斜しており、
前記ガイド部の下面の傾斜角度は前記凸部の下面の傾斜角度より大きい、冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前面開口の断熱箱体からなる貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の天井の下面に取り付けられている蒸発器を有する冷却機と、
前記蒸発器を下から覆うように前記天井に掛止され、前記蒸発器が収容されている空気循環路を形成するダクト部と、
を備え、
前記ダクト部は、
底壁と、
前記底壁から上方に向かって延びる一対の側壁と、
を有し、前記ダクト部を前記天井に掛止するための掛止部が前記側壁に設けられており、
前記ダクト部は、前記掛止部と前記側壁とに跨って一体に形成されているリブであって、前記空気循環路に収容されている電気部品から延びる電線が巻かれる電線係止部を有するリブが設けられている、冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
天井に掛止されて蒸発器が収容されている空気循環路を形成するダクト部を備える冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫本体の天井の下面に取り付けられている蒸発器を下から覆うように天井に掛止されて蒸発器が収容されている空気循環路を形成するダクト部を備える冷却貯蔵庫が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のダクト部は、底壁と、底壁から上方に向かって延びる一対の側壁と、側壁から所定寸法内側に入った位置に設けられている取付板とを有し、ダクト部を天井に掛止するための掛止部が取付板に設けられている。特許文献1に記載の冷却貯蔵庫では取付板が側壁の近くに設けられており、このため側壁と取付板との間に狭い空間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−24381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の冷却貯蔵庫では、側壁と取付板との間の空間に氷ができる可能性がある。一般に冷却貯蔵庫は圧縮機を停止させて除霜を行うので氷ができても除霜の際に溶けるが、側壁と取付板との間の空間が狭いと氷が溶けずに残ってしまう可能性がある。氷が溶けずに残ってしまった場合、その氷が成長してダクト部が変形あるいは破損してしまう虞がある。
【0006】
本明細書では、除霜の際に溶けずに残った氷が成長してダクト部が変形あるいは破損してしまうことを防止する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、前面開口の断熱箱体からなる貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の天井の下面に取り付けられている蒸発器を有する冷却機と、前記蒸発器を下から覆うように前記天井に掛止され、前記蒸発器が収容されている空気循環路を形成するダクト部と、を備え、前記ダクト部は、底壁と、前記底壁から上方に向かって延びる一対の側壁と、を有し、前記ダクト部を前記天井に掛止するための掛止部が前記側壁に設けられている。
【0008】
上記の冷却貯蔵庫によると、掛止部がダクト部の側壁に設けられているので、ダクト部は掛止部が設けられている取付板を側壁とは別に備えなくてよい。取付板を備えなければ、側壁と取付板との間の空間が存在しないので、側壁と取付板との間の空間に残った氷が成長してダクト部が変形あるいは破損してしまうことを防止できる。
【0009】
また、前記側壁は、前記側壁の外面から延びるフランジ部であって、当該フランジ部の上面が前記天井の下面に密接するフランジ部が設けられていてもよい。
【0010】
上記の冷却貯蔵庫によると、フランジ部の上面が天井の下面に密接することにより、空気循環路内の空気が側壁と天井との間から漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0011】
また、前記天井は、開口と、前記開口を上側から塞ぐ断熱部材と、前記開口の内周面から水平方向に突出する突起であって前記掛止部が掛止される突起とを有し、前記掛止部は前記側壁の上端面から上方に延びる略鈎状に形成されており、一方の前記側壁に設けられている前記掛止部と他方の前記側壁に設けられている前記掛止部とが上に向かって互いに離間するように傾斜していてもよい。
【0012】
略鈎状の掛止部を突起に掛止した場合、輸送時にダクト部が突起の突出方向に振動したり、あるいはダクト部の取り付け作業中にダクト部が突起の突出方向に押されたりしたときに、掛止部が突起の突出方向の先端から突出方向に外れてしまう虞がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、一方の側壁に設けられている掛止部と他方の側壁に設けられている掛止部とが上に向かって互いに離間するように傾斜しているので、各掛止部はそれぞれ開口の内周面に向けて押し付けられる。これにより、掛止部が突起から突出方向に外れてしまうことを抑制できる。
【0013】
また、前記天井は、開口と、前記開口を上側から塞ぐ断熱部材と、前記開口の内周面から水平方向に突出する突起であって前記掛止部が掛止される突起とを有し、前記掛止部は、前記側壁の上端面から上方に延びる柱部と、前記柱部の上端部から水平方向に延びる凸部とを有する略鈎状に形成されており、前記凸部は、前記凸部の先端部から水平方向に延びるガイド部であって、下面が前記柱部から離間する方向に向かって上に傾斜し、前記掛止部を前記突起に掛止する際に前記凸部を前記突起の上に案内するガイド部を有していてもよい。
【0014】
掛止部が側壁の上端面に設けられている場合、作業者が掛止部を突起に掛止するとき、掛止部を目視確認することが難しい。このため、掛止部を突起に掛止する作業にコツや経験が必要になる虞がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、掛止部を突起に掛止する際にガイド部によって凸部が突起の上に案内されるので、掛止部を突起に掛止する作業が容易になる。
【0015】
また、前記凸部は下面が前記柱部から離間する方向に向かって上に傾斜しており、前記ガイド部の下面の傾斜角度は前記凸部の下面の傾斜角度より大きくてもよい。
【0016】
上記の冷却貯蔵庫によると、凸部を突起の上により確実に案内することができる。
【0017】
また、前記ダクト部は、前記掛止部と前記側壁とに跨って一体に形成されているリブであって、前記空気循環路に収容されている電気部品から延びる電線が巻かれる電線係止部を有するリブが設けられていてもよい。
【0018】
上記の冷却貯蔵庫によると、リブを設けることで掛止部の強度が増すとともに、空気循環路に収容されている電気部品から延びる電線を電線係止部に巻きつけてまとめることにより、ダクト部の組み付け作業が容易になる。
【発明の効果】
【0019】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫によれば、除霜の際に溶けずに残った氷が成長してダクト部が変形あるいは破損してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る冷却貯蔵庫の正面図
図2図1に示すA−A線の断面図
図3】断熱箱体の天井壁の上面図
図4】冷却貯蔵庫のダクト部周辺の断面図
図5】冷却貯蔵庫のダクト部周辺の断面斜視図
図6】ダクト部の斜視図
図7】ダクト部の上面図
図8】実施形態2に係るダクト部の正面図
図9】実施形態3に係るダクト部周辺の断面図
図10】実施形態4に係るダクト部周辺の断面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
以下、実施形態1を図1ないし図7に基づいて説明する。以降の説明において上下方向、及び、左右方向とは図1に示す上下方向、及び、左右方向のことをいい、前後方向とは図2に示す前後方向のことをいうものとする。
【0022】
(1)冷蔵庫の全体構成
図1を参照して、実施形態1に係る冷却貯蔵庫としての冷蔵庫1の全体構成について説明する。冷蔵庫1は業務用の4ドア式のものであり、前面開口の断熱箱体からなる貯蔵庫本体10を備えている。貯蔵庫本体10には前面開口を開閉する観音開き式の左右一対の断熱扉12が上下に二組取り付けられている。また、貯蔵庫本体10の下面には貯蔵庫本体10を支持する4つの脚部13が取り付けられている。
【0023】
貯蔵庫本体10の上には上側が開放されている機械室11が設けられている。機械室11には図示しない制御部や、冷却機をユニット化した冷却ユニット30(図2参照)が収容されている。図示しない制御部は庫内温度に応じて冷却機の運転と停止とを切り替えることにより、庫内温度が庫内設定温度に略一定となるように制御する。
【0024】
また、機械室11の前面には操作部14が設けられている。操作部14は上述した庫内設定温度などの各種の設定値をユーザが設定するための操作ボタンや、庫内温度などの冷蔵庫1の状態に関する各種の情報を表示する表示装置を備えて構成されている。なお、操作部14はタッチパネルによって構成されてもよい。
【0025】
(2)貯蔵庫本体の内部構造
図2に示すように、貯蔵庫本体10の左側の内壁面20、及び、後側の内壁面21には棚受部材22が固定されている。また、貯蔵庫本体10の図示しない右側の内壁面にも棚受部材22が固定されている。これらの棚受部材22には上下方向に複数の段部が設けられており、それらの段部によって棚網23が多段に支持されている。
【0026】
貯蔵庫本体10の後側の壁10Cには上下方向に貫通する排水路10Dが形成されている。また、後側の壁10Cには庫内と排水路10Dとを連通する連通穴10Eが形成されている。排水路10D及び連通穴10Eは後述する除霜水を排水するためのものである。排水路10Dの下端にはドレンホースが接続され、除霜水はドレンホースによって所定の排水箇所に排水される。
【0027】
また、貯蔵庫本体10の天井壁10Aには略矩形の開口10Bが形成されている。図3に示すように開口10Bには上から合成樹脂製の枠部材24が嵌合装着されている。枠部材24の内周面のうち左右の内周面にはそれぞれ水平方向に突出する2つの突起25F,25Rが前後に離間して設けられている。
図4に示すように、前側の突起25Fは上面が後側に向かって下に傾斜している。一方、後側の突起25Rは上面の前側が後側に向かって上に傾斜しており、後側は略水平となっている。
【0028】
以降の説明において突起25Fと突起25Rとを互いに区別しない場合は単に突起25と記す。以降に説明する他の構成要素についても同様である。
【0029】
(3)冷却ユニット
次に、図2を参照して、冷却ユニット30について説明する。冷却ユニット30は冷却機を構成する圧縮機31、凝縮器32、蒸発器33、キャピラリチューブ(図示せず)などを断熱性のユニット台35に取り付けることによってユニット化したものである。ユニット台35は断熱部材の一例である。
【0030】
具体的には、圧縮機31、凝縮器32、及び、キャピラリチューブはユニット台35の上面に取り付けられており、蒸発器33はユニット台35の下面に取り付けられている。また、ユニット台35の下面には庫内温度を検出するための庫内温度センサ36が取り付けられている。
【0031】
図2及び図5に示すように、ユニット台35は貯蔵庫本体10の天井壁10Aに形成されている開口10Bよりも一回り大きい略矩形に形成されており、開口10Bを塞ぐように天井壁10Aの上に配置されている。蒸発器33はユニット台35の下面に取り付けられているので機械室11には収容されておらず、天井とダクト部37とによって構成される空気循環路に収容されている。
【0032】
貯蔵庫本体10の天井壁10A、枠部材24、及び、ユニット台35は貯蔵庫本体10の「天井」の一例である。つまり、本実施形態では貯蔵庫本体10の「天井」は貯蔵庫本体10の天井壁10A、枠部材24、及び、ユニット台35によって構成されている。
【0033】
(4)ダクト部
図2に示すように、ダクト部37は蒸発器33を下から覆うように貯蔵庫本体10の天井に掛止されている。ダクト部37は天井との間に蒸発器33が収容されている空気循環路を形成するためのものである。
【0034】
また、ダクト部37は蒸発器33に付着した霜が溶けた水である除霜水を受けるドレンパンとしての役割も有している。具体的には、前述したように制御部は冷却機の運転と停止とを切り替える。冷却機が停止すると庫内温度が上昇し、蒸発器33に付着した霜が溶ける。その霜が溶けた水が除霜水としてダクト部37によって受けられる。
ダクト部37は合成樹脂製であり、図6に示すように底壁41と底壁41の左右両側の縁部から上方に向かって略平行に延びる一対の側壁42L,42Rとを有している。
【0035】
(4−1)底壁
底壁41は天井壁10Aの開口10Bとほぼ同じ大きさの平面略方形の皿状に形成されており、前側に円形の吸込口43が形成されている。吸込口43の開口縁部には上方に立ち上がる環状の壁44が形成されている。
図2に示すように、環状の壁44には庫内の空気を空気循環路に吸い込むための庫内ファン38が上から嵌合装着される。庫内ファン38が回転すると庫内の空気が吸込口43から空気循環路に吸い込まれ、蒸発器33によって冷却される。
【0036】
また、図6に示すように、底壁41の後側の縁部には上に立ち上がる奥壁45が形成されている。奥壁45はダクト部37によって受けられた除霜水が庫内に流れ落ちないようにするためのものである。奥壁45の高さは空気循環路を塞いでしまわないよう側壁の後端部の高さの1/4〜1/3程度である。
【0037】
また、奥壁45には除霜水を排水路10Dに排出するための溝を形成する排水部46が後側に突出するように形成されている。具体的には、奥壁45は貯蔵庫本体10の後側の壁10Cに形成されている連通穴10Eに対応する位置が切り欠かれており、排水部46はその切り欠きの周囲の縁部から後側に向かって下に傾斜しながら延びている。排水部46は側壁42の後端より後側まで延びており、図2に示すように先端部分が連通穴10Eに挿入される。
【0038】
また、図7に示すように、奥壁45は側壁42の後端より前側に位置している。このため、ダクト部37が天井に掛止されたとき、奥壁45と貯蔵庫本体10の後側の壁10Cとの間に隙間ができる。この隙間が吹出口として機能し、蒸発器33によって冷却された空気がその吹出口から庫内に吹き出される。
【0039】
(4−2)側壁
図6に戻る。一対の側壁42L,42Rは、左側の側壁42Lの外面(左側を向く面)と右側の側壁42Rの外面(右側を向く面)との間隔が、天井壁10Aに形成されている開口10Bの左右方向の内径と略一致している。
側壁42は前側から後側に向けて次第に背が高くなるように形成されており、ダクト部37は側壁42の上縁が水平姿勢をなすように天井に掛止される。このため、ダクト部37が天井に掛止されているとき、底壁41は後側に向けて下り勾配となった傾斜姿勢となる。
【0040】
側壁42の上端面にはそれぞれ前後に離間して2つの掛止部47F,47Rが一体に形成されている。掛止部47F,47Rは天井壁10Aの開口10Bに設けられている突起25にダクト部37を掛止するためのものである。
【0041】
図4に示すように、掛止部47は側壁42の上端面から上方に延びる柱部48と、柱部48の上端部から後側に向かって突出する凸部49とを有する略鈎状に形成されている。前側の掛止部47Fは凸部49の下面が後側に向かって下に傾斜している。一方、後側の掛止部47Rは凸部49の下面が後側に向かって上に傾斜している。
【0042】
掛止部47を上述した形状にした理由は、凸部49の下面を後側に向かって上り勾配とすれば掛止部47を突起25に掛け易くなるが、掛止部47F,47Rとも凸部49の下面を上り勾配にするとダクト部37がずり落ちる虞があるため、片方の掛止部47Rのみ下面を上り勾配にすることにより、掛止部47Rを突起25Rに掛け易くしつつダクト部37がずり落ちないようにするためである。
【0043】
また、図6に示すように、側壁42にはフランジ部51L,51Rが一体に形成されている。フランジ部51は天井壁10Aに密接して空気循環路内の空気が側壁42と天井壁10Aとの間から庫内に漏れ出てしまうことを抑制するものである。
【0044】
具体的には、右側の側壁42Rに設けられているフランジ部51Rは、側壁42Rの外面(右側を向く面)の上端縁部から前後方向全体に亘って右側に略水平に延びている。また、フランジ部51Rの後端部は側壁42Rの後端で下に90度曲がっており、側壁42Rの後側の縁部に沿って下に延びている。
【0045】
同様に、左側の側壁42Lに設けられているフランジ部51Lは側壁42Lの外面(左側を向く面)の上端縁部から前後方向全体に亘って左側に略水平に延びている。フランジ部51Lの後端部も側壁42Lの後端で下に90度曲がっており、側壁42Lの後側の縁部に沿って下に延びている。
【0046】
また、ダクト部37には底壁41の前側の縁部にもフランジ部52が一体に形成されている。フランジ部52は底壁41の前側の縁部から左右方向全体に亘って前側に略水平に延びている。フランジ部51及びフランジ部52は一体化しており、上面が面一になっている。
【0047】
フランジ部51L及びフランジ部51Rには後側によった位置に水平方向に張り出す張り出し部が形成されており、その張り出し部にネジ穴53が形成されている。また。フランジ部52には左右方向の中央部及び左右の端部にネジ穴53が形成されている。
【0048】
(5)ダクト部の取り付け
ダクト部37は、前後の掛止部47がそれぞれ前後の突部25よりも前側に外れた位置で、フランジ部51及び52の上面が天井壁10Aの下面に当接するまで押し上げられる。フランジ部51及び52の上面が天井壁10Aの下面に当接したとき掛止部47の凸部49の下面は突起25の上方に位置し、その状態でダクト部37が後側に押し込まれることによって掛止部47が突起25に掛かる。
【0049】
そして、その状態でフランジ部51及び52が天井壁10Aにねじ止めされることにより、フランジ部51及び52の上面が天井壁10Aの下面に密接する。これにより、空気循環路内の空気が側壁42と天井壁10Aとの間から庫内に漏れ出てしまうことや、空気循環路内の空気が底壁41の前側の縁部と天井壁10Aとの間から庫内に漏れ出てしまうことが抑制される。
【0050】
(6)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係る冷蔵庫1によると、掛止部47がダクト部37の側壁42に設けられているので、ダクト部37は掛止部が設けられている取付板を側壁42とは別に備えなくてよい。取付板を備えなければ、側壁42と取付板との間の空間が存在しないので、側壁42と取付板との間の空間に残った氷が成長してダクト部37が変形あるいは破損してしまうことを防止できる。
【0051】
更に、冷却貯蔵庫によると、側壁42の外面に設けられているフランジ部51の上面が天井の下面に密接するので、空気循環路内の空気が側壁42と天井との間から漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0052】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図8によって説明する。
略鈎状の掛止部47を突起25に掛止した場合、輸送時にダクト部37が左右方向(突起25の突出方向)に振動したり、あるいはダクト部37の取り付け作業中にダクト部37が左右方向(突起25の突出方向)に押されたりしたときに、掛止部47が突起25の左右方向の先端から左右方向に外れてしまう虞がある。
【0053】
そこで、図8に示すように、実施形態2に係るダクト部237は、左側の掛止部247Lと右側の掛止部247Rとが上に向かって互いに離間するように傾斜している。
実施形態2に係る冷蔵庫の構成はその他の点において実施形態1に係る冷蔵庫1の構成と実質的に同一である。
【0054】
以上説明した実施形態2に係る冷蔵庫によると、一方の側壁42に設けられている掛止部247と他方の側壁42に設けられている掛止部247とが上に向かって互いに離間するように傾斜しているので、各掛止部47はそれぞれ開口10Bの内周面に向けて押し付けられる。これにより、掛止部247が突起25の左右方向の先端から左右方向に外れてしまうことを抑制できる。
【0055】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図9によって説明する。
掛止部47が側壁42の上端面に設けられている場合、作業者は掛止部47を突起25に掛止するとき、掛止部47を目視確認することが難しい。このため、掛止部47を突起25に掛止する作業にコツや経験が必要になる虞がある。
【0056】
そこで、図9に示すように、実施形態3に係る後側の掛止部347Rには、凸部49の後側の先端部から後側に突出するガイド部55が設けられている。ガイド部55は掛止部347Rを突起25Rに掛止する際に凸部49を突起25Rの上に案内するためのものである。
【0057】
図9に示すようにガイド部55は下面が後側に向かって上に傾斜しており、その傾斜角度は凸部49の下面の傾斜角度より大きくなっている。
実施形態3に係る冷蔵庫の構成はその他の点において実施形態1に係る冷蔵庫1の構成と実質的に同一である。
【0058】
以上説明した実施形態3に係る冷蔵庫によると、掛止部347Rを突起25Rに掛止する際にガイド部55によって凸部49が突起25Rの上に案内されるので、掛止部347Rを突起25Rに掛止する作業が容易になる。
【0059】
更に、冷蔵庫1によると、ガイド部55の下面の傾斜角度が凸部49の下面の傾斜角度より大きいので、凸部49を突起25Rの上により確実に案内することができる。
【0060】
<実施形態4>
次に、実施形態4を図10によって説明する。
図10に示すように、実施形態4に係るダクト部437は、右側の側壁42Rに設けられている二つの掛止部47のうち前側の掛止部47Fと側壁42Rとに跨るリブ60が一体に形成されている。より具体的には、リブ60はダクト部437の内側において掛止部47F及び側壁42Rに対して水平方向に垂直に突出し、上下方向に延びている。
【0061】
また、リブ60は上端部61が掛止部47Fから離間している。そして、庫内ファン38から引き出された電線70は図10に示すようにリブ60の上端部61に一巻き以上巻かれ、ユニット台35と貯蔵庫本体10の天井壁10Aとの間に設けられている電線導出用の隙間から機械室11に導出されている。
実施形態4に係る冷蔵庫の構成はその他の点において実施形態1に係る冷蔵庫1の構成と実質的に同一である。
【0062】
上端部61は電線係止部の一例である。また、庫内ファン38は電気部品の一例である。なお、電気部品は庫内ファン38に限定されるものではなく、例えば庫内温度センサ36であってもよい。
【0063】
以上説明した実施形態4に係る冷蔵庫によると、リブ60を設けることで右側の掛止部47Fの強度が増すとともに、庫内ファン38から延びる電線70を上端部61に巻きつけてまとめることにより、ダクト部37の組み付け作業が容易になる。
【0064】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0065】
(1)上記実施形態では柱部48の上端部から凸部49が後側に延びている場合を例に説明した。これに対し、凸部49は柱部48の上端部から前側に延びていてもよい。
【0066】
(2)上記実施形態では掛止部47が略鈎状である場合を例に説明した。しかしながら、掛止部47は天井に掛かる形状であれば略鈎状に限られない。
【0067】
(3)上記実施形態では掛止部47が側壁42の上端面に設けられている場合を例に説明した。これに対し、掛止部47は例えば側壁42の外面に設けられていてもよい。
【0068】
(4)上記実施形態では一つの側壁42に掛止部47が2つ設けられている場合を例に説明した。しかしながら、掛止部47の数は2つに限られるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0069】
(5)上記実施形態3ではガイド部55の下面の傾斜角度が凸部49の下面の傾斜角度より大きい場合を例に説明した。これに対し、ガイド部55の下面の傾斜角度は凸部49の下面の傾斜角度と同じであってもよい。
【0070】
(6)上記実施形態では前側の突起25Fは上面が後側に向かって下に傾斜しており、後側の突起25Rは上面の前側が後側に向かって上に傾斜するとともに後側が略水平となっている場合を例に説明した。これに対し、突起25Fの形状と突起25Rの形状とが逆になっていてもよい。その場合は掛止部47の凸部49の下面もそれに応じて傾斜させるものとする。
【0071】
(7)上記実施形態では冷却貯蔵庫として冷蔵庫を例に説明したが、冷却貯蔵庫は冷凍庫であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1・・・冷蔵庫、10・・・貯蔵庫本体、10A・・・天井壁、24・・・枠部材、25F,25R・・・突起、30・・・冷却ユニット、33・・・蒸発器、35・・・ユニット台、37・・・ダクト部、41・・・底壁、42・・・側壁、47F,47R・・・掛止部、48・・・柱部、49・・・凸部、51L,51R・・・フランジ部、55・・・ガイド部、60・・・リブ、237・・・ダクト部、247L・・・掛止部、247R・・・掛止部、347R・・・掛止部、437・・・ダクト部、70・・・電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10