(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る放熱モジュールを、図面を参照しながら説明する。図面において、説明の便宜上、いくつかの部分が拡大され又は省略されているが、図面に表されている各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
図1は、電子デバイスの構造の一例、及びこの構造を有する電子デバイス10に本実施形態に係る放熱モジュールを適用した例を示す断面図である。
【0016】
電子デバイス10は、開口を有するU字形の筐体11と、筐体11の開口を塞ぐように筐体11に固定された表示デバイス12と、筐体11と表示デバイス12との間の空間に収容された、プリント基板(PCB)13と、プリント基板13に実装された発熱体14と、バッテリ15と、を含んでいる。
表示デバイス12は、たとえば、液晶パネルモジュールや有機ELパネルモジュールである。発熱体14は、たとえば、CPU(中央処理装置)である。
【0017】
発熱体14の上面14tと表示デバイス12の裏面12bとの間の空間、及び、バッテリ15の上面15tと表示デバイス12の裏面12bとの間の空間に、本実施形態に係る放熱モジュール1が配されている。一例として、発熱体14の上面14tと表示デバイス12の裏面12bとの間の距離は0.40mmである。
なお、放熱モジュール1は、
図1に例示されている電子デバイス10に限らず、同様の空間的制限を有するいかなる電子デバイスにも適用可能である。
【0018】
放熱モジュール1は、第一面2aと第一面2aとは反対側の第二面2bとを有する金属板2と、金属板2に係合するヒートパイプ3とを備えている。
図1の例において、第一面2aは、表示デバイス12の裏面12bに接し、第二面2bは発熱体14及びバッテリ15に対向している。ヒートパイプ3は、発熱体14に直接的に熱接触している。「直接的に熱接触している」とは、金属板のような実質的に放熱を担う他の要素を間に挟むことなく熱的に接触していることをいう。
ヒートパイプ3と発熱体14との接触を確保するために、ヒートパイプ3と発熱体14との間に、これらの熱接触を実質的に阻害しないように、グリスや接着剤等を配してもよい。なお、このような接触のための補助的材料を介在させることは、「直接的な熱接触」からの逸脱を意味しない。
【0019】
金属板2は、
図4に例示するように、第一面2aから第二面2bまで貫通する貫通穴2cを有している。金属板2の材料の一例として、銅、アルミ、ステンレス、マグネシウム等が挙げられるが、これらに限られない。金属板2に求められる剛性、熱伝導性、加工性等に応じて、適宜の金属板を用いることができる。一例として、厚さが0.20mmの銅板が挙げられる。あるいは、剛性、軽量、熱伝導性の観点から、ステンレス板とグラファイトシート(グラフェン)との組み合わせた板を金属板2として用いてもよい。
【0020】
ヒートパイプ3は、
図5に例示するように、中空のコンテナ4と、コンテナ4内に収容されたウィック5と、を備えている。コンテナ4は密閉されており、コンテナ4の中に作動流体が入れられている。コンテナ4の材料は、作動流体の種類や使用温度等の条件によって、公知の金属材料から適宜に選択することができる。特に、銅やアルミなどの熱伝導率の高い金属材料を用いる場合、高い熱輸送性および高い熱拡散性が得られる。一例として、銅製のコンテナ4を用いた、厚さが0.40mmのヒートパイプ3が挙げられる。
【0021】
ウィック5は、
図5に例示されているように、コンテナ4の内壁面4f上に、コンテナ4の長手方向に沿って配置されている。ウィックの材料の一例として、金属極細線ファイバー、金属メッシュ、及び金属粉末の焼結体が挙げられる。気相の作動流体はコンテナ4の中のウィック5が設けられていない空間を流通可能である。一方、液相の作動流体は、毛細管現象によりウィック5を伝って移動可能である。
【0022】
図1の例において、ヒートパイプ3の一端(蒸発部)は、金属板2及び発熱体14に直接的に熱接触している。発熱体14で発生した熱は、ヒートパイプ3の蒸発部において、液相の作動流体が蒸発して気相の作動流体に転移することより回収される。気相の作動流体は、ヒートパイプ3の他端(凝縮部)に向かってコンテナ4の中の空間を流通し凝縮されて、液相の作動流体に戻る。液相の作動流体は、毛細管現象によりウィック5を伝って蒸発部に移動する。
このように、ヒートパイプ3は、作動流体の液相/気相間の相転移を繰り返し利用して、蒸発部で回収した熱を凝縮部に繰り返し輸送することができる。また、ヒートパイプ3は金属板2に係合して直接的に熱接触しているため、ヒートパイプ3が回収した熱をより効率的に消散させることができる。
【0023】
図3は、表示デバイス12及び発熱体14を含む電子デバイス10内に配された放熱モジュール1と、発熱体14との接触を模式的に示す断面図である。なお、本図の例では、表示デバイス12と放熱モジュール1とが直接接しているが、電子デバイスの設計によっては表示デバイス12と放熱モジュール1とが直接接しない場合もある。
【0024】
コンテナ4は、
図3に例示するように、金属板2から脱落しないように貫通穴2cに係合している。特に、重力方向において第二面2bが第一面2aよりも下になるように金属板2が配された際に、コンテナ4が金属板2から脱落しないように、金属板2とコンテナ4とが互いに係合している。
したがって、金属板2に対するヒートパイプ3の移動が規制される。その結果、電子デバイス10において、金属板2とヒートパイプ3との直接的な熱接触、及びヒートパイプ3と発熱体14との直接的な熱接触を確保することができる。
【0025】
コンテナ4は、
図3に例示するように、第一面4aと、第一面4aとは反対側の第二面4bと、を有する。第一面4aは、金属板2の第一面2aと面一になっていてもよい。
この場合、表示デバイス12の裏面12bに金属板2の第一面2aが接する電子デバイスにおいて、表示デバイス12の裏面12bと発熱体14の上面14tとの間の距離に実質的に等しい厚さを有するヒートパイプ3を用いることができる。すなわち、電子デバイス10内の、表示デバイス12の裏面12bと発熱体14の上面14tとの間の空間において、コンテナ4(ヒートパイプ3)の厚み(容量)を最大化することができる。
電子デバイスの設計により表示デバイス12の裏面12bと金属板2の第一面2aとが直接接しない場合にも、ヒートパイプ3の容量を最大化することができる。
ヒートパイプの放熱性能は、幅が同じであれば、その厚さが厚いほど高くなる。したがって、より冷却性能の高い放熱モジュール1を提供できる。
さらに、金属板2の第一面2aにおける平坦性が確保できるため、表示デバイス12の裏面12bに金属板2の第一面2aが接する電子デバイスにおいて、タッチパネルとして機能する表示デバイス12のスムーズな操作性を確保できる。
第一面4aは、金属板2の第一面2aから凹んだ位置にあってもよい。この場合でも、金属板2とヒートパイプ3との直接的な熱接触、及びヒートパイプ3と発熱体14との直接的な熱接触を確保することができる。放熱モジュール1に要求される重量、熱回収効率、及び面内熱拡散性等の特性、並びに、発熱体14の形状等に応じて、コンテナ4の第二面4bを適宜の位置に配することができる。
【0026】
コンテナ4は、
図3に例示するように、金属板2の第二面2bから露出している。したがって、ヒートパイプ3は、発熱体14に対して直接的に熱接触して、発熱体14で発生した熱を直接的に回収できる。このため、発熱体14で発生した熱を効率的に消散させることができる。
【0027】
コンテナ4(第二面4b)は、
図3に例示するように、金属板2の第二面2bから突出していてもよい。この場合、相対的に金属板2の厚さを薄く、ヒートパイプ3の厚さを厚くできる(すなわち、ヒートパイプ3の容量を大きくできる)。
【0028】
たとえば、表示デバイス12の裏面12bと発熱体14の上面14tとの間の距離と実質的に等しい厚さを有するヒートパイプ3と、電子デバイス10への実装に耐えうる強度が確保できて且つ、金属板2とヒートパイプ3との係合が確保できる程度に薄い金属板2と、を備える放熱モジュール1を実現できる。
この場合、ヒートパイプ3と発熱体14との直接的な熱接触を確保しつつ、金属板2を薄肉化することできる。その結果、放熱モジュール1の軽量化を実現できるとともに、より冷却性能の高い放熱モジュール1を提供できる。
【0029】
なお、コンテナ4の第二面4bは、金属板2の第二面2bと面一であってもよい。第二面4bと発熱体14の上面14tとの間にグリス等の補助材を配置する場合には、その補助材の厚さ分だけ、第二面4bが金属板2の第二面2bから凹んだ位置にあってもよい。放熱モジュール1に要求される重量、熱回収効率、及び面内熱拡散性等の特性、並びに、発熱体14の形状等に応じて、コンテナ4の第二面4bを適宜の位置に配することができる。
図3に例示されている放熱モジュール1は1本のヒートパイプ3を備えているが、放熱モジュール1が適用される電子デバイスの構成に応じて、複数のヒートパイプ3を備えていてもよい。
【0030】
ウィック5は、
図5に例示されているように、コンテナ4内において、第二面4bにより近い位置に配置されていてもよい。ウィック5は液相の作動流体を含んでいるため、電子デバイス10内にて、発熱体14に接する第二面4bにより近い位置にウィック5を配することにより、作動流体の蒸発による発熱体14からの熱回収をより効率的に行うことができる。
ただし、放熱モジュール1が適用される電子デバイスに応じて、コンテナ4内におけるウィック5の位置は適宜に決定できる。たとえば、コンテナ4の長手方向に垂直な断面において、コンテナ4の内壁面全周にウィック5を配してもよい。
【0031】
本実施形態に係る放熱モジュール1に比べて、ヒートパイプの厚さよりも厚い金属板を用いて、発熱体に対向する面のみが露出するようにヒートパイプが金属板に埋没している放熱モジュールでは、金属板の厚さのために、放熱モジュールの総重量が重くなって且つ、電子デバイスにおける占有スペースが大きくなる。さらに、ヒートパイプと表示デバイス12との間における金属板の存在のために、ヒートパイプの厚さが制限されて、放熱モジュールの冷却性能が低下する。
【0032】
一方、本実施形態に係る放熱モジュール1によれば、金属板2に係合するヒートパイプ3の両面(すなわち、第一面4a及び第二面4b)が金属板2から露出しているため、金属板2へのヒートパイプ3の固定を確保しつつ、電子デバイス10内の表示デバイス12の裏面12bと発熱体14の上面14tとの間の空間においてヒートパイプ3(コンテナ4)の厚みの最大化することができる。すなわち、ヒートパイプ3の容量を最大化することができる。したがって、より冷却性能の高い放熱モジュール1を提供できる。
さらに、電子デバイス10への実装に耐えうる強度、及び、金属板2とヒートパイプ3との固定が確保できる限りにおいて、金属板2の厚さを薄くできるため、より、軽量であり、且つ、電子デバイスにおける占有スペースがより少ない放熱モジュール1を提供できる。
特に、放熱モジュールを配置できる隙間(すなわち、発熱体14の主たる発熱面とその上方にある要素との間の隙間)がサブミリメートルである電子デバイスに対して、上述の放熱モジュール1は顕著な効果を奏する。
【0033】
以下、
図4及び
図5を参照しながら、互いに係合可能な金属板2及びヒートパイプ3の構造の一例について詳細に説明する。なお、図において左右対称の構造を有する要素について、左右の構造の一方のみについて説明し、他方についての説明を省略することがある。ただし、それら要素は、同様の効果を奏する限りにおいて、必ずしも左右対称の構造を有する必要はない。
【0034】
図4に例示されている金属板2は、第一面2aと、第一面2aとは反対側の第二面2bと、第一面2aから第二面2bまで貫通する貫通穴2cと、を有する。貫通穴2cは、幅w1を有する第一の穴2dと、幅w1よりも小さい幅w2を有して且つ第一の穴2dに連通する第二の穴2eと、を含む。
図4に例示されている貫通穴2cは、当該断面においてハット形状である。
【0035】
図2の例において、第一の穴2d及び第二の穴2eを含む貫通穴2cは、ヒートパイプ3が配される領域に対応する領域に設けられている。
幅w1及び幅w2は、貫通穴2cとヒートパイプ3のコンテナ4とが係合するように、適宜決定すればよい。幅w1と幅w2とが異なるため、第一の穴2dと第二の穴2eとの間に段差(中間面2f)が形成される。すなわち、金属板2は、第一の穴2dと第二の穴2eとの間に形成される中間面2fを有する。一例として、第一の穴2dの深さは0.15mm、第二の穴2eの深さは0.05mmである。
【0036】
第一の穴2dおよび第二の穴2eの形状に対応する形状のコンテナ4を有するヒートパイプ3は、金属板2に係合可能である。特に、重力方向において第二面2bが第一面2aよりも下になるように金属板2が配された際に、第一の穴2dと第二の穴2eとの間に形成された中間面2fにコンテナ4(後述するリップ部41)が引っ掛かるため、ヒートパイプ3が金属板2から脱落するのを防止できる。
上述のような、第一の穴2d及び第二の穴2eを含むハット形状の貫通穴2cは、たとえば、金属板に対して2段階の切削加工を施すことにより得ることができる。
【0037】
図5に例示されているヒートパイプ3は、中空のコンテナ4と、コンテナ4内に収容されたウィック5と、を備えている。コンテナ4は、
図5に例示されているように、金属板2の中間面2fに当接可能に構成されたリップ部41を有している。コンテナ4の少なくとも一部は、第一の穴2d及び第二の穴2eに収容可能に構成されている。
より具体的に、コンテナ4は、幅w3を有する第一面4aと、第一面4aとは反対側であって幅w3よりも小さい幅w4を有する第二面4bと、第一面4aの端から第二面4bを含む平面に向かって延びる第一側面4cと、第二面4bの端から第二面4bを含む平面に向かって延びる第二側面4eと、第一側面4cと第二側面4eとを接続する中間面4dと、を有している。
図5に例示されているコンテナ4は、当該断面においてハット形状である。
一例として、w3が5mm、リップ部41の長さ(片側)が0.4mm、リップ部41の厚さが0.15mm、総厚が0.40mmのコンテナが挙げられる。
【0038】
リップ部41は、コンテナ4のうちの、第二側面4eから外側に延びている部分であり第一側面4cおよび中間面4dを含む。コンテナ4の中間面4dが金属板2の中間面2fに当接することにより、ヒートパイプ3と金属板2とが互いに係合する。
上述のようなハット形状のヒートパイプ3(コンテナ4)は、たとえば、略円筒形状の中空コンテナ内にウィック5を配し、コンテナの長手方向に垂直な断面においてハット形状を付与するためのメス金型を用いて当該コンテナに対しプレス加工を施すことにより得ることができる。
【0039】
ヒートパイプ3の長さは、放熱モジュール1に要求される放熱性能に応じて適宜決定できる。
リップ部41は、コンテナ4の長さ方向において、全長に渡って形成されていてもよく、部分的に形成されていてもよい。たとえば、
図1を参照して、発熱体14の上面14tと表示デバイス12の裏面12bとの間に配置される部分にリップ部41を形成し、その他の部分にリップ部41を形成しなくてもよい。
【0040】
図4及び
図5に例示されているような、互いに係合する金属板2及びヒートパイプ3において、金属板2の第一の穴2dの幅w1と、金属板2の第二の穴2eの幅w2と、コンテナ4の第一面4aの幅w3と、コンテナ4の第二面4b幅w4とは、w1≧w3、w3>w2、且つw2≧w4の関係を満たす。
【0041】
w1=w3、且つw2=w4を満たす場合、すなわち、金属板2の第一の穴2dの側壁とコンテナ4の第一側面4cとが当接して且つ、金属板2の第二の穴2eの側壁とコンテナ4の第二側面4eとが当接する場合、金属板2とヒートパイプ3とが互いに最も安定に係合し、金属板2とヒートパイプ3との接触面積が最大となる。この場合、ヒートパイプ3の金属板2からの脱落をより確実に防止でき、さらに、ヒートパイプ3で回収した熱をより効率的に金属板2に拡散することができる。
なお、上述のようなハット形の係合を利用した放熱モジュールは、接触面積の大きさの点およびヒートパイプの金属板への固定性において、後述する変形例よりも有利である。
【0042】
w1>w3、又はw2>w4を満たすように、金属板2およびヒートパイプ3を設計してもよい。この場合、金属板2とヒートパイプ3とを係合する作業の効率を高めることができる。また、金属板2の貫通穴2c及びヒートパイプ3のコンテナ4の加工精度が高くない場合にも、金属板2とヒートパイプ3とをより容易に係合できる。
【0043】
なお、ヒートパイプ3と金属板2とが接触する部分(より具体的には、中間面2fと中間面4dとが接触する部分)に、これらの熱接触を実質的に阻害しないように、半田や接着剤を配してもよい。この場合、ヒートパイプ3の金属板2への固定をより確実に行うことができる。
【0044】
<変形例>
互いに係合可能な金属板及びヒートパイプを含む放熱モジュールの変形例について、
図6を参照しながら説明する。上述したのと同じ構造を有する要素については説明を省略する。
図6は、表示デバイス12及び発熱体14を含む電子デバイス10内に配された放熱モジュール21と、発熱体14との接触を模式的に示す断面図である。なお、本図の例では、表示デバイス12と放熱モジュール21とが直接接しているが、電子デバイスの設計によっては表示デバイス12と放熱モジュール21とが直接接しない場合もある。
図6に例示されている放熱モジュール21は、金属板22とヒートパイプ23とを備えている。ヒートパイプ23は、発熱体14に直接的に熱接触している。ヒートパイプ23と発熱体14との間に、これらの熱接触を実質的に阻害しないように、グリスや接着剤を配してもよい。
【0045】
金属板22は、貫通穴の断面形状を除き、
図4に示される金属板2と同じ構造を有している。金属板22の貫通穴22cは、幅が第一面22aから第二面22bに向かって漸次減少する第三の穴22fを含んでいる。すなわち、金属板22の第一面2aと第二面2bとの間に、第一面2aから第二面2bにかけて第三の穴22fの開口面積が漸次減少するように、内壁が形成されている。
図6に例示されている貫通穴22cは、当該断面において台形形状である。
上述のような、第三の穴22fを含む台形形状の貫通穴22cは、たとえば、金属板22の厚さ方向において開口面積が漸次減少するように、金属板に対して切削加工を施すことにより得ることができる。
【0046】
ヒートパイプ23は、コンテナの断面形状を除き、
図5に示されるヒートパイプ3と同じ構造を有している。ヒートパイプ23のコンテナ24は、第一面24aと、第一面24aとは反対側の第二面24bと、第一面24aの端と第二面24bの端とを接続する側面24gを有している。第一面24aの幅は第二面24bの幅よりも大きく、したがって、側面24gは、第一面24a及び第二面24bに対して傾斜している。
図6に例示されているコンテナ24は、当該断面において台形形状である。
ヒートパイプ23は、第二面24bにおいて、発熱体14に直接的に熱接触している。
上述のような台形形状のヒートパイプ23(コンテナ24)は、たとえば、略円筒形状の中空コンテナ内にウィック5を配し、コンテナの長手方向に垂直な断面において台形形状を付与するためのメス金型を用いて当該コンテナに対しプレス加工を施すことにより得ることができる。
断面台形形状のヒートパイプ23(コンテナ24)は、コンテナの容量の大きさの観点において、上述した断面ハット形状のヒートパイプ3よりも有利である。
【0047】
上述のような金属板22及びヒートパイプ23を備える放熱モジュール21において、コンテナ24の少なくとも一部は、金属板22の第三の穴22fに嵌合している。したがって、放熱モジュール21によれば、
図3に例示されている放熱モジュール1と同様に、ヒートパイプ23が金属板22から脱落するのを防止できる。さらに、放熱モジュール21の金属板22及びヒートパイプ23の構造は、上述したハット形状の貫通穴を有する金属板2及びハット形状のコンテナ4を有するヒートパイプ3の構造よりも単純であるため、金属板及びヒートパイプの加工工程を簡略化できる。
【0048】
図6に例示されているように、放熱モジュール21において、金属板22の第三の穴22fの側壁の全面とコンテナ24の側面24gとが接していてもよい。
この場合、金属板22とヒートパイプ23とが互いにより安定的に係合するため、ヒートパイプ23の金属板22からの脱落をより確実に防止できる。
【0049】
また、
図6に例示されているように、コンテナ24の第一面24aは、金属板22の第一面22aと面一であって且つ、金属板22の第一面22aにおける貫通穴22cの幅とコンテナ24の第一面24aの幅とが一致していてもよい。
この場合、表示デバイス12の裏面12bに金属板22の第一面22aが接する電子デバイスにおいて、金属板22の第一面22aが接する表示デバイス12の裏面12bと発熱体14の上面14tとの間の距離に実質的に等しい厚さを有するヒートパイプ23を用いることができる。すなわち、電子デバイス10内の、表示デバイス12の裏面12bと発熱体14の上面14tとの空間において、ヒートパイプ23の厚みの最大化することができる。電子デバイスの設計により表示デバイス12の裏面12bと金属板22の第一面22aとが直接接しない場合にも、ヒートパイプ23の容量を最大化することができる。
したがって、より冷却性能の高い放熱モジュール21を提供できる。
第一面24aは、金属板22の第一面22aから凹んだ位置にあってもよい。この場合でも、金属板22とヒートパイプ23との直接的な熱接触、及びヒートパイプ23と発熱体14との直接的な熱接触を確保することができる。放熱モジュール21に要求される重量、熱回収効率、及び面内熱拡散性等の特性、並びに、発熱体14の形状等に応じて、コンテナ24の第二面24bを適宜の位置に配することができる。
【0050】
また、金属板22の第一面22aにおける平坦性が確保できるため、タッチパネルとして機能する表示デバイス12のスムーズな操作性を確保できる。
さらに、金属板22とヒートパイプ23との接触面積がより大きくなるため、ヒートパイプ23で回収した熱をより効率的に金属板22に拡散することができる。特に、放熱モジュールを配置できる隙間(すなわち、発熱体14の主たる発熱面とその上方にある要素との間の隙間)がサブミリメートルである電子デバイスに対して、上述の放熱モジュール21は顕著な効果を奏する。
【0051】
コンテナ24(第二面24b)は、
図6に例示するように、金属板22の第二面22bから突出していてもよい。この場合、相対的に金属板22の厚さを薄く、ヒートパイプ23の厚さを厚くできる(すなわち、ヒートパイプ23の容量を大きくできる)。
このため、放熱モジュール21の軽量化を実現できるとともに、より冷却性能の高い放熱モジュール21を提供できる。
【0052】
たとえば、表示デバイス12の裏面12bと発熱体14の上面14tとの間の距離と実質的に等しい厚さを有するヒートパイプ23と、電子デバイス10への実装に耐えうる強度が確保できて且つ、金属板22とヒートパイプ23との係合が確保できる程度の薄い金属板22と、を備える放熱モジュール21を実現できる。
この場合、ヒートパイプ23と発熱体14との直接的な熱接触を確保しつつ、金属板22を薄肉化することできる。その結果、放熱モジュール21の軽量化を実現できるとともに、より冷却性能の高い放熱モジュール21を提供できる。
【0053】
コンテナ24の第二面24bは、金属板22の第二面22bと面一であってもよい。第二面24bと発熱体14の上面14tとの間にグリス等の補助材を配置する場合には、その補助材の厚さ分だけ、第二面24bが金属板22の第二面22bから凹んだ位置にあってもよい。放熱モジュール21に要求される重量、熱回収効率、及び面内熱拡散性等の特性、並びに、発熱体14の形状等に応じて、コンテナ24の第二面24bを適宜の位置に配することができる。
【0054】
なお、ヒートパイプ23と金属板22とが接触する部分(より具体的には、第三の穴22fと側面24gとが接触する部分)に、これらの熱接触を実質的に阻害しないように、半田や接着剤を配してもよい。この場合、ヒートパイプ23の金属板22への固定をより確実に行うことができる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。