特許第6636900号(P6636900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6636900包装袋、及び取付部材付き包装袋の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6636900
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】包装袋、及び取付部材付き包装袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20200120BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20200120BHJP
   B31B 70/81 20170101ALI20200120BHJP
【FI】
   B65D33/00 Z
   B65D33/38
   B31B70/81
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-222609(P2016-222609)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-79946(P2018-79946A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2018年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−043250(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0029884(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00−33/38
B31B 70/81−70/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材からなるとともに、開口部に取付部材を取り付けて用いられる包装袋であって、
前記開口部は、前記シート材の周縁の一部が未接着とされてなる部分であり
前記開口部を構成する未接着の周縁部分における前記取付部材が接着される部分に、当該周縁部分の面形状を示す印部が設けられていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記印部は、前記開口部を構成する未接着の周縁部分に沿った直線状、又は目盛状であることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の包装袋の前記開口部に前記取付部材を挿入する挿入工程と、
前記開口部を形成する未接着の周縁部分と前記取付部材とを接着する接着工程とを有し、
前記挿入工程及び前記接着工程の少なくとも一方の後に、前記印部の状態を確認することを特徴とする取付部材付き包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部に口具等の取付部材を取り付けて用いられる包装袋、及び取付部材付き包装袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対の側面シートと、底面シートとから構成される包装袋が開示されている。特許文献1の包装袋は、折り目が上方を向くように底面シートを上下に二つ折りし、その底面シートを挟み込むようにして一対の側面シートを配置した状態で、側面シートの両側辺及び下辺に沿って、側面シート同士を接着するとともに側面シートと底面シートとを接着することによって袋状に形成されている。また、包装袋の上辺部分には口具が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−55649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されるような包装袋に対して口具を取り付ける作業は、例えば次のようにして行われる。まず、周縁の一部に側面シート同士が未接着とされた開口部を有する包装袋を用意する。そして、包装袋の開口部に口具を挿入し、側面シートの間に口具を挟み込んだ状態として、側面シート同士を接着するとともに側面シートと口具とを接着する。
【0005】
ここで、包装袋の開口部に口具を挿入する際に、開口部と口具とが接触して開口部の縁に折れ曲がりや皺が生じ、その状態のままで口具が接着されてしまう場合がある。そのため、品質確保等の観点において、包装袋の開口部の縁が折れ曲がりや皺等のない正常な状態で口具に接しているか否かを判別する必要がある。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、開口部に口具等の取付部材を挿入又は接着した後に、開口部の縁が正常な状態であるか否かを容易に判別することのできる包装袋、及び取付部材付き包装袋の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための包装袋は、シート材からなる包装袋であって、周縁の一部が未接着とされてなる開口部を有し、前記開口部を構成する未接着の周縁部分に、当該周縁部分の面形状を示す印部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記包装袋において、前記印部は、前記開口部を構成する未接着の周縁部分に沿った直線状、又は目盛状であることが好ましい。
上記の目的を達成するための取付部材付き包装袋の製造方法は、上記包装袋の前記開口部に取付部材を挿入する挿入工程と、前記開口部を形成する未接着の周縁部分と前記取付部材とを接着する接着工程とを有し、前記挿入工程及び前記接着工程の少なくとも一方の後に、前記印部の状態を確認することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、包装袋の開口部に取付部材を取り付けた後、印部の状態を確認すること、例えば、直線状に形成された印部が途切れたり曲がったりしていないか、目盛状に形成された印部の目盛間隔が不均一になっていないかを確認することにより、折れ曲がりや皺が生じる等の開口部の縁の形状の変化を容易に把握することができる。これにより、開口部の縁が正常な状態で口具に接着されているか否かを容易に判別することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開口部に取付部材を挿入又は接着した後に、開口部の縁が正常な状態であるか否かを容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は、包装袋の斜視図、(b)は包装袋の分解斜視図。
図2】包装袋の上部の拡大正面図。
図3】口具を取り付けた包装袋の上部の拡大正面図。
図4】口具を取り付けた包装袋(折れ曲がり部分が生じた場合)の上部の拡大正面図。
図5】口具を取り付けた包装袋(皺が生じた場合)の上部の拡大正面図。
図6】変更例の包装袋の上部の拡大正面図。
図7】変更例の包装袋(皺が生じた場合)の上部の拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、包装袋Aは、シート材からなる袋状の袋本体10を備えている。袋本体10は、折り目が上方を向くように二つ折りにされた横長長方形状の底面シート11と、その底面シート11を挟み込むように対向配置された一対の縦長長方形状の側面シート12とから構成されている。袋本体10は、底面シート11を挟んで一対の側面シート12を重ね合わせた状態とされ、その左辺部分、右辺部分及び下辺部分がそれぞれ接着されることにより、上辺部分を開口可能な袋状に形成されている。本実施形態においては、袋本体10の上辺部分が、袋本体10の周縁の一部が未接着とされてなる開口部13を構成する。なお、図面において、ドットが付与されている領域は、シート材同士が接着されている部分を示している。
【0013】
袋本体10の両側縁部分には、一対の補強部材20が取り付けられている。補強部材20は、袋本体10の縁部の接着部分を外側から覆う横断面コ字状(溝状)をなす柱状の部材である。両補強部材20は、袋本体10の上縁部分の端部及び両側縁部分に対して一体に固定されている。
【0014】
図1(a)に示すように、包装袋Aは、開口部13に取付部材としての口具30を取り付けて使用される。詳述すると、口具30は、上下に開口する円筒状の筒部31を備えている。筒部31の下部には、半径方向に突出する取付部32が設けられている。筒部31の上部の外周には、図示しないキャップが係合する雄螺子31aが設けられている。また、筒部31における取付部32の上部には、取付部32よりも半径方向に突出するフランジ33が設けられている。口具30の取付部32を包装袋Aの開口部13に挿入する挿入工程、及び取付部32の周面と袋本体10の開口部13(袋本体10の上辺部分)とを接着するとともに、開口部13の側面シート12同士を接着する接着工程を順に行うことにより、包装袋Aの開口部13に口具30が取り付けられる。これにより、口具付き包装袋(取付部材付き包装袋)が得られる。
【0015】
ここで、図1(a)及び図2に示すように、包装袋Aの上辺部分、すなわち、開口部13を構成する未接着の周縁部分の外面には、当該周縁部分の面形状を示す印部14が設けられている。印部14は、開口部13の縁(包装袋Aの上辺)に沿った目視可能な直線として表示されている。印部14は、開口部13の縁の近傍位置、より具体的には、包装袋Aに口具30を取り付けた状態において、上方斜め45度から見た場合に、口具30のフランジ33の陰に隠れる位置に設けられている。
【0016】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図3図5に示すように、本実施形態の包装袋Aは、開口部13に対して、口具30を接着した後(接着工程後)に、印部14の状態を確認することにより、開口部13の縁が正常な状態で口具30に接着されているか否かを判別することができる。すなわち、図3に示すように、包装袋Aの開口部13が折れ曲がりや皺のない正常な状態である場合には、正面視において、印部14は包装袋Aの上辺に沿った直線状に見える。
【0017】
一方、図4に示すように、包装袋Aの開口部13の縁の一部が内側に折れ曲がり、折れ曲がり部分40が生じている場合には、正面視において、印部14は、直線の一部が途切れたように見える。また、図5に示すように、包装袋Aの開口部13の縁に皺41が生じている場合には、正面視において、印部14は、その一部又は全体が曲がったように見える。このように、本実施形態の包装袋Aの構成によれば、接着工程後、印部14の状態を確認することにより、開口部13の縁が正常な状態で接着されているか否かを容易に判別することができる。
【0018】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)シート材からなる包装袋Aは、周縁の一部が未接着とされてなる開口部13を有している。開口部13を構成する未接着の周縁部分に、当該周縁部分の面形状を示す印部14が設けられている。
【0019】
上記構成によれば、接着工程後、印部14の状態を確認することにより、開口部13の縁が正常な状態で接着されているか否かを容易に判別することができる。
(2)印部14は、目視可能に設けられている。
【0020】
上記構成によれば、接着工程後の印部14の状態を作業者の目で確認することができる。そのため、印部14の状態を確認する際に、カメラ等の機器を用いる必要がない。
(3)印部14は、直線状に形成されている。
【0021】
上記構成によれば、直線状の印部14が途切れているか否か、曲がっているか否かによって、印部14が形成されている部分の面形状を判断することができる。そのため、印部14を人の目で確認する場合には、開口部の縁が正常な状態で接着されているか否か直感的に判断することができる。また、カメラ等を用いて画像解析により印部14を確認する場合には、解析処理を簡易にすることができる。
【0022】
(4)印部14は、開口部13の縁の近傍位置(口具30の陰に隠れる位置)に設けられている。
上記構成によれば、包装袋Aの意匠性に与える印部14の影響を小さくすることができる。
【0023】
なお、上記実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
・印部14の形状は、開口部を構成する周縁部分の面形状に応じて変化する形状であれば特に限定されるものではない。例えば、図6に示すように、目盛状の印部14としてもよい。目盛状の印部14とした場合には、図7に示すように、開口部13の縁に皺41が生じた状態であると、目盛の間隔が変化する(例えば、等間隔から不均一になる)ことにより、開口部13の縁が正常な状態でないことを判断することができる。
【0024】
・印部14を目視不可能なものとしてもよい。例えば、紫外線を照射した場合等の特殊な条件においてのみ、目視可能な印部14とする。このように構成した場合には、特殊な条件にない通常時には、印部14は目視不可能になるため、印部14によって包装袋Aの意匠性が損なわれることを回避できる。また、カメラ等を用いて画像解析により印部14の状態を確認する場合には、常に目視不可能な印部14(例えば、赤外線カメラにより確認できる印部)とすることもできる。
【0025】
・印部14の位置は、開口部13(開口部13を構成する未接着の周縁部分)において、口具30等の取付部材が接着される部分の範囲であれば特に限定されるものではない。また、印部14は、開口部13の片側のみに設けられていてもよいし、両側に設けられていてもよい。
【0026】
・包装袋Aの周縁における開口部13の形成位置は特に限定されるものではなく、例えば、包装袋Aの側部や斜め上部に開口部13が設けられていてもよい。また、包装袋Aの複数の位置に開口部13が設けられていてもよい。
【0027】
・包装袋Aの構成は特に限定されるものではなく、開口部13を有し、シート材からなるものであればよい。例えば、補強部材20や底面シート11を省略してもよい。また、袋本体10を構成する各シート材の材質についても、合成樹脂製や紙製等、特に限定されるものではない。
【0028】
・口具30の構成は、上記実施形態に記載した構成に限定されるものではない。また、取付部材は、口具30に限定されるものではなく、包装袋Aの開口部13に挿入されるとともに開口部13に接着されるものであればよい。
【0029】
・上記実施形態においては、接着工程後に印部14の状態を確認する作業を行っていたが、当該作業を挿入工程後に行うことで、接着工程の前に、開口部13の縁が正常な状態であるか否かを判別してもよい。また、挿入工程後及び接着工程後の各工程後に、印部14の状態を確認する作業を行ってもよい。
【0030】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
(イ)前記印部は、目視可能に設けられている前記包装袋。
(ロ)前記印部は、目視不可能に設けられている前記包装袋。
【符号の説明】
【0031】
A…包装袋、10…袋本体、11…底面シート、12…側面シート、13…開口部、14…印部、20…補強部材、30…口具、31…筒部、31a…雄螺子、32…取付部、33…フランジ、40…折れ曲がり部分、41…皺。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7