(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<粉体送給装置の構成>
以下、図面を参照しながら本実施形態の粉体送給装置100について説明する。
図1に示すように、粉体80を貯留するメインホッパ11と、モータ20で駆動されてメインホッパ11の中の粉体80を下方向に送り出すオーガスクリュー23と、オーガスクリュー23が送り出した粉体80を受け入れる計量容器である計量ホッパ16と、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量を計測する重量計であるロードセル34と、モータ20の回転速度(rpm)を調整してオーガスクリュー23の回転速度(rpm)を調整する制御部70と、を備えている。
【0017】
図1に示すように、メインホッパ11、サブホッパ13はフレーム10によって支持されている。また、メインホッパ11とサブホッパ13との間は、接続ダクト12によって接続され、接続ダクト12には、アクチュエータ18で開閉するシャッタ14が配置されている。
【0018】
メインホッパ11は、すり鉢状で、中央下部にはノズル15が取り付けられており、オーガスクリュー23はノズル15の中で回転できるように構成されている。オーガスクリュー23の回転軸22は、メインホッパ11の上方に向かって延びて、メインホッパ11の上部でモータ20の回転軸21と接続されている。また、モータ20には回転軸21の回転速度(rpm)を検出する回転数センサ24が取り付けられている。ノズル15の先端は、オーガスクリュー23を囲みながら計量ホッパ16の内部に延びている。オーガスクリュー23の回転軸22の先端には、オーガスクリュー23によって送り出された粉体80を受ける円板状の受皿25が取り付けられている。受皿25はノズル15の先端よりも突出しており、
図1中に矢印で示すように、オーガスクリュー23で送り出された粉体80は、受皿25に当たった後、ノズル15の先端と受皿25の上面との間から計量ホッパ16の中に落下していく。計量ホッパ16の底部にはアクチュエータ19で開閉するシャッタ17が配置されており、シャッタ17が閉の場合には、ノズル15から計量ホッパ16の内部に落下した粉体80は、計量ホッパ16の内部に溜まる。
【0019】
シャッタ17の側面には支持アーム33が延び、フレーム10と支持アーム33との間には重量計であるロードセル34が取り付けられている。ロードセル34は計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWを計測する。シャッタ17の下部にはフレーム10に支持される円環のケーシング32が配置された、その下部には、フレーム10に支持されたロート状の充填ノズル41が配置されている。ケーシング32の下端35の大きさは、充填ノズル41の上端に開口42よりも大きく、充填ノズル41の下端43の大きさは、充填容器60の開口61よりも小さくなっている。充填容器60は、コンベア50によって充填位置に移動し、充填が終わったらコンベア50によって次の工程に送られる。
【0020】
モータ20、各アクチュエータ18,19は制御部70に接続され、制御部70の指令によって動作する。また、回転数センサ24、ロードセル34は制御部70に接続され、回転数センサ24、ロードセル34の検出した各信号は、制御部70に入力されるよう構成されている。制御部70は、内部にCPUと、メモリや制御データを格納するメモリと、を備えるコンピュータである。
【0021】
<粉体送給装置によって標準的な流動性の粉体を送給する場合の動作>
図2、
図3を参照しながら本実施形態の粉体送給装置100によって標準的な流動性の粉体80を送給する場合の動作について説明する。制御部70は、アクチュエータ18を開閉動作させて、所定量の粉体80をサブホッパ13からメインホッパ11の中に落下させておく。そして、制御部70は、
図2のステップS101に示すように大供給回転速度、小供給回転速度、大供給目標値TW1、小供給目標値TW2、最終目標値TW3等の各設定値を確認する。最初、各設定値は、標準的な流動性の粉体80を送給する場合の標準的な値である各初期設定値となっている。ここで、大供給目標値TW1は、モータ20或いはオーガスクリュー23を大供給回転速度(高速回転速度)から小供給回転速度(低速回転速度)に変更する際の計量ホッパ16内の粉体80の重量TWであり、小供給目標値TW2は、モータ20或いはオーガスクリュー23の回転を停止する際の計量ホッパ16内の粉体80の重量TWであり、最終目標値TW3は、充填容器60に移送する粉体80の重量TWである。本実施形態では、大供給目標値TW1は、最終目標値TW3の10%以上80%未満、小供給目標値TW2は最終目標値TW3の80%以上100%未満であるとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0022】
制御部70は、
図2のステップS102に示すように、
図3の時刻0にモータ20を大供給回転速度(高速回転速度)で回転させる。すると、メインホッパ11に貯留された粉体80は、オーガスクリュー23の回転によってノズル15から計量ホッパ16に送り出される。この際、計量ホッパ16の下端のシャッタ17は閉となっているので、計量ホッパ16に送りだされた粉体80は、計量ホッパ16の内部に溜まっていく。計量ホッパ16は、支持アーム33を介してフレーム10との間にロードセル34が取り付けられているシャッタ17の上に載置されているので、制御部70は、ロードセル34によって計測した重量信号に基づいて計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWを計測する。粉体80の流動性が標準的な場合、計量ホッパ16に受け入れられる粉体80の重量TWは、
図3の実線aに示すように上昇していく。そして、制御部70は、
図2のステップS103に示すように、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが大供給目標値TW1に達するまでモータ20を大供給回転速度(高速回転速度)で回転させる。
【0023】
図3の時刻ts1に計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが大供給目標値TW1に達したら、制御部70は、
図2のステップS104に進み、モータ20の回転数を大供給回転速度(高速回転速度)よりも低い小供給回転速度(低速回転速度)に変更し、オーガスクリュー23を低速回転速度で回転させる。時刻ts1にモータ20の回転速度を大供給回転速度(高速回転速度)から小供給回転速度(低速回転速度)に変更しても、オーガスクリュー23の回転慣性と、粉体80がノズル15から排出されて計量ホッパ16に落下するまでの時間遅れにより、
図3に示す時刻ts1から時刻ts1´までの少しの間、計量ホッパ16には大供給回転速度(高速回転速度)の場合と同様の割合で粉体80が送り出される。この間に重量ΔWFs1の粉体80が計量ホッパ16に送り出される。
図3に示す時刻ts1´の後、計量ホッパ16に送り出される粉体80の重量TWは、
図3において*を付した線bで示すように、小供給回転速度(低速回転速度)に応じた増加速度に低下し、ゆっくりと増加していく。
図2のステップS105に示すように、制御部70は、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWをロードセル34で計測し、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが小供給目標値TW2に達するまでオーガスクリュー23を小供給回転速度(低速回転速度)で回転させる。そして、
図3の時刻ts2に計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが小供給目標値TW2に達すると、制御部70は、
図2のステップS106に進み、モータ20を停止してオーガスクリュー23の回転を停止する。
【0024】
オーガスクリュー23の回転が停止しても、ノズル15から排出された粉体80が遅れて計量ホッパ16の中に落下してくる。このため、計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWは、
図3の破線cに示すように、オーガスクリュー23の停止後に小供給目標値TW2から充填容器60に移送する粉体80の目標重量である最終目標値TW3まで増加する。この増加量は、最終目標値TW3の2〜15%程度である。
【0025】
制御部70は、その後、
図2に示すステップS107に進み、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが第1下限目標重量TWsLと第1上限目標重量TWsHで規定される所定の目標重量範囲に入っているかどうか、つまり、TWsL≦TW≦TWsHとなっているかどうかを確認する。所定の目標重量範囲は充填する粉体80によって自由に決めることができるが、例えば、最終目標値TW3±2〜3%の範囲であってもよい。そして、粉体80の重量TWが所定の目標重量範囲に入っていたら、制御部70は、
図2のステップS108に示すように、アクチュエータ19を動作させて計量ホッパ16のシャッタ17を開とし、充填ノズル41を通して計量ホッパ16に溜まった粉体80を充填容器60に落下させ、充填容器60に移送する。制御部70は、充填容器60に粉体80を移送したら、コンベア50によって充填容器60を次の工程に送る。
【0026】
制御部70は、
図2のステップS108で粉体80を充填容器60に移送したら、
図2のステップS109に進み、モータ20或いはオーガスクリュー23が回転を開始してから回転を停止するまでの期間ΔTR(
図3に示す時刻0から時刻ts2までの期間、オーガスクリュー回転期間)が、下限目標期間ΔTRsLと上限目標期間ΔTRsHで規定される所定の目標期間の間に入っているか、つまり、ΔTRsL≦ΔTR≦ΔTRsHとなっているかどうかを確認する。
図3に示すように、粉体80の流動性が標準的な場合、時刻0から時刻TS2までのオーガスクリュー回転期間ΔTRは、下限目標期間ΔTRsLと上限目標期間ΔTRsHの間に入っているので、制御部70は、
図2のステップS109でYESと判断し、
図2のステップS113からS116に示す大供給回転速度の調整を行わずに粉体80の充填動作を終了する。この後、制御部70は、ステップS101に戻って次の充填容器60への粉体80の充填動作を開始する。従って、次の充填容器60への粉体80の充填動作における
図2に示すステップS102〜S106においては、前回の充填動作の際に用いられた各設定値と同様の設定値が用いられる。
【0027】
<粉体送給装置によって標準よりも流動性が高い粉体を送給する場合の動作>
次に、
図2、
図4を参照しながら本実施形態の粉体送給装置100によって標準よりも流動性が高い粉体80を送給する場合の動作について説明する。先に、
図2、
図3を参照して説明した標準的な流動性の粉体80を送給する際と同様の動作についての詳しい説明は省略する。
【0028】
制御部70は、
図2のステップS101に示すように各設定値を確認したら、
図2のステップS102に示すように、
図4の時刻0にモータ20を大供給回転速度(高速回転速度)で回転させる。すると、メインホッパ11に貯留されている粉体80は、オーガスクリュー23の回転によってノズル15から計量ホッパ16に送り出され、計量ホッパ16の中に溜まっていく。粉体80は流動性が標準よりも高いので、モータ20或いはオーガスクリュー23の回転速度が
図3を参照して説明した標準的な流動性の粉体80を送給する場合と同様の速度であっても、
図4の二点鎖線dに示すように単位時間当たりに計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWは多くなる。つまり、
図4に示す二点鎖線dの傾きは
図3に示す実線aの傾きよりも大きくなる。そして、制御部70は、
図2のステップS103に示すように、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが大供給目標値TW1に達するまでモータ20を大供給回転速度(高速回転速度)で回転させる。
【0029】
図4の時刻t1に計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが大供給目標値TW1に達したら、制御部70は、
図2のステップS104に進み、モータ20の回転数を大供給回転速度(高速回転速度)よりも低い小供給回転速度(低速回転速度)に変更し、オーガスクリュー23を低速回転速度で回転させる。先に
図3を参照して説明したと同様、
図4に示す時刻t1に回転速度を変更した後も
図4に示す時刻t1´までの間、オーガスクリュー23の回転慣性と、粉体80がノズル15から排出されて計量ホッパ16に落下するまでの時間遅れにより計量ホッパ16には大供給回転速度(高速回転速度)の場合と同様の割合で粉体80が送り出される。先に説明したように、粉体80の流動性が標準よりも高い場合には、
図4に示すように単位時間当たりに計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWが
図3に示す流動性が標準的な粉体80を送給する場合よりも多くなるので、
図4に示す時刻t1からt1´までの間に計量ホッパ16に送り出される粉体80の重量ΔWF11も
図3の時刻ts1から時刻ts1´までの間に計量ホッパ16に送り出される粉体80の重量ΔWFs1よりも大きくなる。
図4に示す場合、重量ΔWF11は、小供給目標値TW2と大供給目標値TW1との差(TW2−TW1)の50〜80%程度となっている。
【0030】
図4に示す時刻t1´の後、計量ホッパ16に送り出される粉体80の重量TWは、
図4において*を付した線eで示すように、小供給回転速度(低速回転速度)に応じた増加速度に低下し、ゆっくりと増加していく。
図2のステップS105に示すように、制御部70は、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWをロードセル34で計測し、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが小供給目標値TW2に達するまでオーガスクリュー23を小供給回転速度(低速回転速度)で回転させる。そして、
図4の時刻t2に計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが小供給目標値TW2に達すると、制御部70は、
図2のステップS106に進み、モータ20を停止してオーガスクリュー23の回転を停止する。
【0031】
図3を参照して説明したと同様、オーガスクリュー23の回転が停止しても、ノズル15から排出された粉体80が遅れて計量ホッパ16の中に落下してくる。先に説明したオーガスクリュー23の回転速度を変更した後の時刻t1からt1´の間と同様、粉体80の流動性が標準よりも高い場合にはオーガスクリュー23の回転が停止した後に計量ホッパ16に落下する粉体80の重量は、
図4の破線fに示すように、[(最終目標値TW3−小供給目標値TW2)+ΔWF12]であり、
図3を参照して説明した粉体80の流動性が標準的な場合にオーガスクリュー23の回転を停止した後に計量ホッパ16に落下する粉体80の重量(最終目標値TW3−小供給目標値TW2)よりも大きくなる。このため、
図4に示すように、最終的に計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWは、充填容器60に移送する粉体80の目標重量である最終目標値TW3よりも重量ΔWF12だけ多くなってしまう。
【0032】
制御部70は、
図2のステップS106でオーガスクリュー23の回転を停止した後、
図2のステップS107に進み、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが第1下限目標重量TWsLと第1上限目標重量TWsHで規定される所定の目標重量範囲に入っているかどうか、つまり、TWsL≦TW≦TWsHとなっているかどうかを確認する。
【0033】
重量ΔWF12が第1上限目標重量TWsHを超えている場合には、制御部70は、
図2のステップS110に示すように、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが第2下限目標重量TWsLLと第2上限目標重量TWsHHで規定される小供給目標値TW2の調整可能範囲にいるかどうか、つまり、TWsLL≦TW≦TWsHHとなっているかどうかを確認する。小供給目標値TW2の調整可能範囲は、粉体80を充填容器60に移送しうる最大重量範囲であり、且つ、小供給目標値TW2を調整することによって計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWを計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWに近づけることができる重量の範囲であり、たとえば、最終目標値TW3±4〜5%の範囲である。これ以上、重量TWと最終目標値TW3との差異が大きい場合には、調整過剰となって逆に重量TWと最終目標値TW3との差異が大きくなってしまう場合があるからである。TWsLL≦TW≦TWsHHの場合、制御部70は、
図2のステップS110でYESと判断し、
図2のステップS111に進んで粉体80を充填容器60に移送し、
図2のステップS112に進んで、重量TWと最終目標値TW3との差分だけ小供給目標値TW2を増減し、
図2のステップS109に進む。また、制御部70は、
図2のステップS110でNOと判断した場合には、
図2のステップS117に進み、NG信号をディスプレイ等に表示し、計量ホッパ16に溜まった粉体80を廃棄する。粉体80の破棄は、例えば、コンベア50によって充填容器60と形状の異なる廃棄容器を充填ノズル41の下に移動させた状態で、計量ホッパ16のシャッタ17を開として計量ホッパ16に溜まった粉体80を廃棄容器に移送することとしてもよい。
【0034】
図4に示す場合、重量ΔWF12は第1上限目標重量TWsHを超えており、第2上限目標重量TWsHHよりも小さいので、制御部70は、
図2のステップS107でNOと判断し、
図2のステップS110でYESと判断して粉体80を充填容器60に移送し、
図2のステップS112で、小供給目標値TW2を初期設定値よりも重量TWと最終目標値TW3との差分のΔWF12だけ小さいTW2´(
図4に示す)に変更して
図2のステップS109に進む。
【0035】
制御部70は、
図2のステップS109でモータ20或いはオーガスクリュー23が回転を開始してから回転を停止するまでのオーガスクリュー回転期間ΔTR1(
図4に示す時刻0から時刻t2までの期間)が、下限目標期間ΔTRsLと上限目標期間ΔTRsHで規定される所定の目標期間の間に入っているか、つまり、ΔTRsL≦ΔTR1≦ΔTRsHとなっているかどうかを確認する。
図4に示すように、オーガスクリュー回転期間ΔTR1は下限目標期間ΔTRsLよりも短いので、制御部70は、
図2のステップS109、
図2のステップS113でNOと判断し、
図2のステップS115に進み、オーガスクリュー回転期間ΔTR1が下限目標期間ΔTRsLよりも短いことを確認する。つまり、
図4に示す二点鎖線d,*を付した線e、破線fで示すように送給する粉体80の重量が増加した場合には、オーガスクリュー回転期間ΔTR1が所定の目標期間に対して短くなっており、モータ20或いはオーガスクリュー23の大供給回転速度を低減することが必要と判断する。そして、制御部70は、
図2のステップS116に進み、大供給回転速度(高速回転速度)を低減する。
【0036】
大供給回転速度(高速回転速度)の低減の方法は、さまざまな方法があるが、例えば、オーガスクリュー回転期間ΔTR1と所定の目標期間の中央値であり、
図3に示す標準的な流動性の粉体80を送給した場合の標準的なオーガスクリュー回転期間ΔTRとの比率、(ΔTR1/ΔTR)を大供給回転速度(高速回転速度)の初期設定値に掛けたものとしてもよいし、例えば、実験によって
図6に示すようなオーガスクリュー回転期間と大供給回転速度(高速回転速度)を変化させるマップを準備しておき、このマップに基づいて大供給回転速度(高速回転速度)を低減するようにしてもよい。或いは、オーガスクリュー回転期間ΔTR1が標準的なオーガスクリュー回転期間ΔTRよりも短い場合の回転速度の低減量を予め決めておき、
図2に示すフローチャートのステップS101からS116のループを複数回繰り返すことによって段階的に標準的なオーガスクリュー回転期間ΔTRに近づけるようにしてもよい。また、上記の低減量をオーガスクリュー回転期間ΔTR1と標準的なオーガスクリュー回転期間ΔTRとの差が大きい場合には大きくし、差が小さい場合には小さくしてもよい。
【0037】
制御部70は、
図2のステップS116で大供給回転速度(高速回転速度)を低減したら、粉体80の充填動作と、小供給目標値TW2及び大供給回転速度の調整動作を終了する。そして、制御部70は、
図2のステップS101に戻って、次の充填容器60への粉体80の充填動作を開始する。
【0038】
制御部70は、
図2のステップS101で、各設定値の確認を行う。先に述べたように、前回の粉体80の充填動作で、小供給目標値TW2は初期設定値からΔWF12だけ小さいTW2´に変更されており、大供給回転速度は、初期設定値よりも遅い回転数に変更されているので、それぞれ変更後の目標値、回転速度で粉体送給装置100が動作するように設定値を再セットする。
【0039】
制御部70は、
図4に時刻0に、初期設定値よりも低減された大供給回転速度(高速回転速度)でモータ20或いはオーガスクリュー23を回転させる。大供給回転速度(高速回転速度)が低減されているので、単位時間当たりに計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWが少なくなるので、計量ホッパ16が受け入れる粉体80の重量TWは、先に説明した
図4の二点鎖線dよりも傾きが小さい
図4の実線gに示すように増加していく。そして、時刻t3に計量ホッパ16に送給された粉体80の重量TWが大供給目標値TW1に到達したら、
図2のステップS104に示すように、制御部70は、モータ20或いはオーガスクリュー23の回転速度を大供給回転速度(高速回転速度)から小供給回転速度(低速回転速度)に変更する。大供給回転速度(高速回転速度)は初期設定値から低減されているので、オーガスクリュー23の回転慣性と、粉体80がノズル15から排出されて計量ホッパ16に落下するまでの時間遅れによって時刻t3から時刻t3´の間に計量ホッパ16に入ってくる粉体80の重量TWは、先に説明した重量ΔWF11よりもずっと少ないΔWF21である。
図4に示すように、ΔWF21は、小供給目標値TW2と大供給目標値TW1との差(TW2−TW1)の20〜25%程度となっている。
【0040】
図4に示す時刻t3´の後、計量ホッパ16に送り出される粉体80の重量TWは、
図4において*を付した線hで示すように、小供給回転速度(低速回転速度)に応じた増加速度に低下し、ゆっくりと増加していく。
図2のステップS105に示すように、制御部70は、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWをロードセル34で計測し、計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが変更後の小供給目標値TW2´に達するまでオーガスクリュー23を小供給回転速度(低速回転速度)で回転させる。そして、
図4の時刻t4に計量ホッパ16が受け入れた粉体80の重量TWが変更後の小供給目標値TW2´に達すると、制御部70は、
図2のステップS106に進み、モータ20を停止してオーガスクリュー23の回転を停止する。
【0041】
時刻t4にオーガスクリュー23の回転を停止すると、先に説明したと同様、ノズル15から排出された粉体80が遅れて計量ホッパ16の中に落下してくる。小供給回転速度(低速回転速度)は変更していないので、落下してくる粉体80の重量TWは、先に説明したと同様、
図4の破線iに示すように、[(最終目標値TW3−変更前の小供給目標値TW2)+ΔWF12]である。今、小供給目標値TW2は初期設定値のTW2よりもΔWF12だけ小さいTW2´に変更してあるから、遅れて粉体80が落下した後の計量ホッパ16内の粉体80の重量TWは、
[TW2´+(最終目標値TW3−変更前の小供給目標値TW2)+ΔWF12]
=[(変更前の小供給目標値TW2−ΔWF12)+((最終目標値TW3−変更前の小供給目標値TW2)+ΔWF12)]
=最終目標値TW3
となる。つまり、計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWは、充填容器60に移送する粉体80の目標重量である最終目標値TW3に等しくなる。
【0042】
また、
図4の示すように、大供給回転速度(高速回転速度)を低減しているので、モータ20或いはオーガスクリュー23が回転を開始してから回転を停止するまでのオーガスクリュー回転期間ΔTR2(
図4に示す時刻0から時刻t4までの期間)が、下限目標期間ΔTRsLと上限目標期間ΔTRsHで規定される所定の目標期間の間となっている。
【0043】
従って、制御部70は、
図2に示すステップS107でYESと判断して
図2のステップS108に進んで計量ホッパ16の粉体80を充填容器60に移送し、
図2のステップS109に進む。制御部70は、
図2のステップS109でもYESと判断し、小供給目標値TW2及び大供給回転速度(高速回転速度)の調整を行わずに粉体80の充填動作を終了する。
【0044】
そして、制御部70は、
図2のステップS101に戻って、次の充填容器60への粉体80の充填動作を開始する。制御部70は、
図2のステップS101で、各設定値の確認を行う。前回の充填動作では、前々回の粉体80の充填動作変更した小供給目標値TW2´と変更した初期設定値よりも遅い大供給回転速度を用いて粉体送給装置100を動作させた結果、計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWが充填容器60に移送する粉体80の目標重量である最終目標値TW3に等しくなったので、各設定値が前回の動作と同様の設定値となっていることを確認してからステップS102〜S116を実行する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の粉体送給装置100は、供給期間の大部分を占める大供給回転速度(高速回転速度)でモータ20或いはオーガスクリュー23を回転させる期間を調整することにより、粉体80の流動性が標準よりも高くなり、粉体供給期間のバラツキが大きくなった場合でも、粉体供給期間のバラつきを好適に抑制することができる。
【0046】
また、
図4を参照して説明したように、粉体80の流動性が標準よりも高い場合には、オーガスクリュー23の回転慣性により計量ホッパ16に送り出される粉体80の重量と、ノズル15から遅れて計量ホッパ16に落下する粉体80の重量とを合わせた重量ΔWF11が小供給目標値TW2と大供給目標値TW1との差(TW2−TW1)、つまり、オーガスクリュー23が小供給回転速度(低回転速度)で動作する際に想定している粉体80の供給量の75〜80%程度となってしまい、特許文献2に記載された従来技術のように、オーガスクリュー23が小供給回転速度(低回転速度)で動作する時間等を調整するのみでは、計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWの調整を十分にできなくなってしまう。本実施形態の粉体送給装置100では、粉体80の流動性が標準よりも高い場合に、大供給回転速度(高速回転速度)を低減して大供給回転速度(高速回転速度)から小供給回転速度(低速回転速度)に回転速度を変更した際にオーガスクリュー23の回転慣性と、ノズル15からの粉体80落下の遅れによって計量ホッパ16に入ってくる粉体80の重量を、例えば、小供給目標値TW2と大供給目標値TW1との差(TW2−TW1)の20〜25%程度まで低減し、更に、小供給目標値TW2を調整することによって計量ホッパ16に送給する粉体80の重量TWを所定の重量範囲に調整するので、粉体80の流動性が高くなり、従来技術のような小供給目標値TW2の調整のみでは計量ホッパ16に送給する粉体80の重量TWを所定の重量範囲に調整することが難しくなる場合でも、計量ホッパ16に送給する粉体80の重量TWを所定の目標値に好適に制御することができる。
【0047】
<粉体送給装置によって標準よりも流動性が低い粉体を送給する場合の動作>
以上、粉体80の流動性が標準よりも高くなった場合の動作について説明したが、粉体80の流動性が標準よりも低い場合の動作について、
図2、
図5を参照しながら説明する。この際の動作は、基本的には
図2、
図4を参照して説明した粉体80の流動性が標準よりも高い場合の動作と逆の動作となる。以下、簡単に説明する。
【0048】
粉体80の流動性が標準よりも低い場合、
図5の時刻t0に初期設定値の大供給回転速度(高速回転速度)でモータ20或いはオーガスクリュー23を回転させると、計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWは
図5に示す二点鎖線uのように、
図3に示す実線a(粉体80の流動性が標準の場合の重量増加ライン)よりもゆっくりと上昇していく。そして、時刻t5に小供給回転速度(低速回転速度)に切り替えた際、オーガスクリュー23の回転慣性により計量ホッパ16に送り出される粉体80の重量と、ノズル15から遅れて計量ホッパ16に落下する粉体80の重量とを合わせた重量ΔWF31(
図5に示す時刻t5〜時刻t5´の間に計量ホッパ16に落下する粉体80の重量TW)は、
図3に示すΔWFs1(粉体80の流動性が標準の場合、
図3に示す時刻t1とt1´の間に計量ホッパ16に落下する粉体80の重量TW)よりも小さくなる。また、小供給回転速度(低速回転速度)でモータ20或いはオーガスクリュー23を回転させた際の計量ホッパ16に溜まる粉体80の重量TWの増加速度(
図5の*を付した線vで示す)も粉体80の流動性が標準の場合よりも遅く、オーガスクリュー23を停止した後に計量ホッパ16に落下する粉体80の重量も流動性が標準の場合より小さくなり、
図5に示す破線wのように、計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWは、充填容器60に移送する粉体80の目標重量である最終目標値TW3よりもΔWF32だけ少なくなる。また、
図5に示すように、モータ20或いはオーガスクリュー23の回転を開始してから回転を停止するまでの期間ΔTR3(
図5に示す時刻0から時刻t6までの期間)が上限目標期間ΔTRsHよりも長くなってしまう。
【0049】
そこで、制御部70は、先に
図2、
図4を参照して説明したのとは反対に、
図2のステップS112で小供給目標値TW2をΔWF32だけ増加させて、
図5に示すTW2´´とする。また、
図2のステップS113でYESと判断して
図2のステップS114に進んで、先に
図4を参照して説明したと反対に、例えば、
図6に示すマップを参照する等により、大供給回転速度(高速回転速度)を増加させる。
【0050】
これにより、すると、計量ホッパ16に溜まる粉体80の重量TWの増加速度は、
図5の実線p,*を付した線g、破線rに示すように早くなり、モータ20或いはオーガスクリュー23の回転を開始してから回転を停止するまでのオーガスクリュー回転期間TR4(
図5に示す時刻0から時刻t8までの期間)が下限目標期間ΔTRsLと上限目標期間ΔTRsHで規定される所定の目標期間の間となる。
【0051】
また、小供給回転速度(低速回転速度)は変更していないので、
図5に示す時刻t8にオーガスクリュー23の回転を停止した後、ノズル15から排出され、遅れて計量ホッパ16の中に落下してくる粉体80の重量TWは、
図5の破線wに示すように、[(最終目標値TW3−変更前の小供給目標値TW2)−ΔWF32]である。今、小供給目標値TW2は初期設定値のTW2よりもΔWF32だけ大きいTW2´´に変更してあるから、遅れて粉体80が落下した後の計量ホッパ16内の粉体80の重量TWは、
[TW2´´+(最終目標値TW3−変更前の小供給目標値TW2)−ΔWF32]
=[(変更前の小供給目標値TW2+ΔWF32)+((最終目標値TW3−変更前の小供給目標値TW2)−ΔWF32)]
=最終目標値TW3
となる。つまり、計量ホッパ16に送給される粉体80の重量TWは、充填容器60に移送する粉体80の目標重量である最終目標値TW3に等しくなる。
【0052】
このように、本実施形態の粉体送給装置100は、供給期間の大部分を占める大供給回転速度(高速回転速度)でモータ20或いはオーガスクリュー23を回転させる期間を調整することにより、粉体80の流動性が標準よりも低くなった場合でも粉体供給期間のバラつきを抑制することができる。また、粉体80の流動性が標準よりも低い場合に、大供給回転速度(高速回転速度)を増加して大供給回転速度(高速回転速度)から小供給回転速度(低速回転速度)に回転速度を変更した際にオーガスクリュー23の回転慣性により計量ホッパ16に送給される粉体80の重量と、ノズル15から遅れて計量ホッパ16に落下してくる粉体80の重量とを増加させ、更に、小供給目標値TW2を調整することによって計量ホッパ16に送給する粉体80の重量TWを所定の重量範囲に調整可能とするので、粉体80の流動性が低下した場合でも計量ホッパ16に送給する粉体80の重量TWを所定の目標値に好適に制御することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の粉体送給装置100は、粉体80の流動性が変化した場合でも粉体供給量の精度および粉体供給期間を安定させることができる。
【0054】
次に、
図7を参照しながら、制御部70の他の動作について説明する。先に
図1〜
図6を参照して説明した動作と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
【0055】
本動作では、
図2のステップS107と同様、
図7のステップS107でTWsL≦TW≦TWsHとなっているかどうかを確認し、TWsL≦TW≦TWsHとなっていない場合、つまり、
図7のステップS107でNOと判断した場合には、
図7に示すように、ステップS117に進んで、NG信号をディスプレイ等に表示し、計量ホッパ16に溜まった粉体80を廃棄する。その後、
図7に示すステップS110に進み、TWsLL≦TW≦TWsHHとなっているかどうかを確認し、TWsLL≦TW≦TWsHHの場合、
図7のステップS110でYESと判断し、
図7のステップS112に進んで、重量TWと最終目標値TW3との差分だけ小供給目標値TW2を増減し、
図7のステップS109に進む。
【0056】
また、
図7のステップS107でYESと判断した場合には、
図7のステップS108で粉体80を充填容器60に移送した後、
図7のステップS112に進んで、重量TWと最終目標値TW3との差分だけ小供給目標値TW2を増減し、
図7のステップS109に進む。
【0057】
本動作は、
図2を参照して説明した動作よりも粉体80を充填容器60に移送する重量範囲が狭く、更に、TWsL≦TW≦TWsHの場合でも、重量TWと最終目標値TW3との差分だけ小供給目標値TW2を調整するようにしているので、粉体80の流動性が変化した場合、
図2を参照して説明した動作よりも精度よく粉体供給量および粉体供給期間を安定させることができる。
【0058】
次に、
図8を参照しながら、制御部70のもう一つの他の動作について説明する。先に
図1〜
図6を参照して説明した動作と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
図2を参照して説明した動作では、小供給目標値TW2の調整可能範囲を粉体80を充填容器60に移送しうる最大重量範囲であるTWsLL≦TW≦TWsHHと同じ範囲としたが、本実施形態では、第1下限目標重量TWsLと第2下限目標重量TWsLLとの間に第3下限目標重量TWsL1を、第1上限目標重量TWsHと第2上限目標重量TWsHHとの間に第3上限目標重量TWsH1を設定し、TWsL1≦TW≦TWsH1の場合には重量TWと最終目標値TW3との差分だけ小供給目標値TW2を増減し、重量TWがTWsL1≦TW≦TWsH1の範囲外の場合には、小供給目標値TW2の調整動作を行わないようにするものである。
【0059】
本動作では、
図2のステップS107と同様、
図8のステップS107でTWsL≦TW≦TWsHとなっているかどうかを確認し、TWsL≦TW≦TWsHとなっていない場合、つまり、
図8のステップS107でNOと判断した場合には、
図8のステップS120に進んで、TWsL1≦TW≦TWsH1かどうかを判断する。そして、
図8のステップS120でYESと判断した場合には、
図8のステップS121で粉体80を充填容器60に移送した後、
図8のステップS112に進んで、重量TWと最終目標値TW3との差分だけ小供給目標値TW2を増減し、
図8のステップS109に進む。
【0060】
一方、ステップS120でNOと判断した場合、つまり、重量TWがTWsL1≦TW≦TWsH1の範囲外の場合には、
図8のステップS110に進み、TWsLL≦TW≦TWsHHとなっているかどうかを確認し、TWsLL≦TW≦TWsHHの場合、
図8のステップS110でYESと判断し、
図8のステップS111で粉体80を充填容器60に移送した後、
図8のステップS109に進む。この場合、小供給目標値TW2の増減は行わない。また、
図8のステップS110でNOと判断した場合には、
図8のステップS117に進み、NG信号をディスプレイ等に表示し、計量ホッパ16に溜まった粉体80を廃棄する。
【0061】
本動作は、例えば、粉体80の流動性のバラツキ等により一時的に重量TWがTWsL1≦TW≦TWsH1の範囲外となってしまうような場合に、小供給目標値TW2を増減しないので、小供給目標値TW2が調整過剰となってしまうことを抑制し、
図2を参照して説明した動作よりも精度よく粉体供給量よび粉体供給期間を安定させることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、メインホッパ11とサブホッパ13の接続ダクト12に、アクチュエータ18で開閉するシャッタ14が配置されていることとして説明したが、
図2〜
図8を参照して説明した粉体送給装置100の動作は、シャッタ14を備えていない粉体送給装置100にも適用できる。