(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
需要家毎に設定された制御モデル情報であって、エネルギーを使用する設備を運転させることによって当該需要家に与える快適性のレベルを示す快適レベル毎に、前記設備の運転制御の内容を示す制御パターンと、当該制御パターンに従って当該需要家の前記設備を運転させたときのエネルギーの予想削減量と、を対応付けすることによって生成された制御モデル情報を記憶する制御モデル情報記憶手段と、
エネルギー使用量の削減要求に応じて、要求された削減量を各需要家に分配することで各需要家のエネルギー削減量を決定する決定手段と、
各需要家に対してエネルギー使用量の削減を指示する指示手段と、
を有し、
前記決定手段は、前記制御モデル情報記憶手段に記憶された各需要家の制御モデル情報に基づいて、各需要家に適用する制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量の合計が前記要求された削減量以上となり、かつ各需要家における快適性が同程度のレベルとなるよう、各需要家に適用する制御パターンを当該需要家の制御モデル情報の中から選択し、その選択した制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量を当該需要家のエネルギー削減量として決定し、
前記指示手段は、前記決定手段により選択された各需要家の制御パターンを、当該需要家の削減指示として送ることを特徴とする設備管理装置。
エネルギーを使用する設備の運転制御の内容を示す制御パターンと、当該制御パターンによって設備の運転が制限されるレベルを示す制限レベルとが対応付けられた制御パターンマスタ情報を記憶する制御パターンマスタ情報記憶手段と、
需要家毎に、前記制御パターンマスタ情報記憶手段に記憶された制御パターンマスタ情報の中から当該需要家への適用対象とする複数の制御パターンを抽出し、その抽出した複数の制御パターンそれぞれに対応するエネルギーの予想削減量を算出し、その算出したエネルギーの予想削減量を当該制御パターンに対応付けることによって当該需要家の前記制御モデル情報を生成する生成手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の設備管理装置。
前記生成手段は、需要家が削減指示として送られてきた制御パターンに従って当該需要家の前記設備を運転させたときに得られたエネルギー削減量で、前記決定手段により選択された当該需要家の制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量を更新することを特徴とする請求項2に記載の設備管理装置。
需要家が削減指示として送られてきた制御パターンに従って当該需要家の前記設備を運転させた後に得られた当該需要家における快適性の実感を示す快適性データを収集する収集手段を有し、
前記生成手段は、前記収集手段により収集された各需要家の快適性データに基づき得られる快適レベルに基づき当該需要家の制御モデル情報を調整することを特徴とする請求項2に記載の設備管理装置。
前記生成手段は、前記決定手段により選択された各需要家の制御パターンに対応する快適レベルが、前記収集手段により収集された快適性データに基づき得られる当該需要家の快適性の実感と一致していない場合、一致するよう当該需要家の制御モデル情報を更新することを特徴とする請求項5に記載の設備管理装置。
需要家毎に設定された制御モデル情報であって、エネルギーを使用する設備を運転させることによって当該需要家に与える快適性のレベルを示す快適レベル毎に、前記設備の運転制御の内容を示す制御パターンと、当該制御パターンに従って当該需要家の前記設備を運転させたときのエネルギーの予想削減量と、を対応付けすることによって生成された制御モデル情報を記憶する制御モデル情報記憶手段をアクセス可能なコンピュータを、
エネルギー使用量の削減要求に応じて、要求された削減量を各需要家に分配することで各需要家のエネルギー削減量を決定する決定手段、
各需要家に対してエネルギー使用量の削減を指示する指示手段、
として機能させ、
前記決定手段は、前記制御モデル情報記憶手段に記憶された各需要家の制御モデル情報に基づいて、各需要家に適用する制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量の合計が前記要求された削減量以上となり、かつ各需要家における快適性が同程度のレベルとなるよう、各需要家に適用する制御パターンを当該需要家の制御モデル情報の中から選択し、その選択した制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量を当該需要家のエネルギー削減量として決定し、
前記指示手段は、前記決定手段により選択された各需要家の制御パターンを、当該需要家の削減指示として送ることを特徴とするプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アグリゲータが電力会社から要請された電力の削減量を需要家に分配する場合、契約内容やインセンティブに従ってある程度分配することは可能であるかもしれない。
【0005】
しかしながら、電力会社から要請された電力の削減量は特に決められたわけではないので、需要家との契約を上回る、あるいは下回る場合がある。つまり、需要家との契約内容だけに従って分配できない場合も起こりうる。この場合でも、需要家の状況を考慮しつつ要求された削減量をどのような配分にするかを決定する必要がある。
【0006】
本発明は、需要家が感じる快適性を考慮しつつ、要求されたエネルギー削減量を各需要家に分配することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る設備管理装置は、需要家毎に設定された制御モデル情報であって、エネルギーを使用する設備を運転させることによって当該需要家に与える快適性のレベルを示す快適レベル毎に、前記設備の運転制御の内容を示す制御パターンと、当該制御パターンに従って当該需要家の前記設備を運転させたときのエネルギーの予想削減量と、を対応付けすることによって生成された制御モデル情報を記憶する制御モデル情報記憶手段と、エネルギー使用量の削減要求に応じて、要求された削減量を各需要家に分配することで各需要家のエネルギー削減量を決定する決定手段と、各需要家に対してエネルギー使用量の削減を指示する指示手段と、を有し、前記決定手段は、前記制御モデル情報記憶手段に記憶された各需要家の制御モデル情報に基づいて、各需要家に適用する制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量の合計が前記要求された削減量以上となり、かつ各需要家における快適性が
同程度のレベルとなるよう、各需要家に適用する制御パターンを当該需要家の制御モデル情報の中から選択し、その選択した制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量を当該需要家のエネルギー削減量として決定し、前記指示手段は、前記決定手段により選択された各需要家の制御パターンを、当該需要家の削減指示として送るものである。
【0008】
また、エネルギーを使用する設備の運転制御の内容を示す制御パターンと、当該制御パターンによって設備の運転が制限されるレベルを示す制限レベルとが対応付けられた制御パターンマスタ情報を記憶する制御パターンマスタ情報記憶手段と、需要家毎に、前記制御パターンマスタ情報記憶手段に記憶された制御パターンマスタ情報の中から当該需要家への適用対象とする複数の制御パターンを抽出し、その抽出した複数の制御パターンそれぞれに対応するエネルギーの予想削減量を算出し、その算出したエネルギーの予想削減量を当該制御パターンに対応付けることによって当該需要家の前記制御モデル情報を生成する生成手段と、を有するものである。
【0009】
また、前記制御パターンマスタ情報は、需要家の特性に対応させて複数設定されており、前記生成手段は、需要家の特性に対応した制御パターンマスタ情報を用いて当該需要家の制御モデル情報を生成するものである。
【0010】
また、前記生成手段は、需要家が削減指示として送られてきた制御パターンに従って当該需要家の前記設備を運転させたときに得られたエネルギー削減量で、前記決定手段により選択された当該需要家の制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量を更新するものである。
【0011】
また、需要家が削減指示として送られてきた制御パターンに従って当該需要家の前記設備を運転させた後に得られた当該需要家における快適性の実感を示す快適性データを収集する収集手段を有し、前記生成手段は、前記収集手段により収集された各需要家の快適性データに基づき得られる快適レベルに基づき当該需要家の制御モデル情報を調整するものである。
【0012】
また、前記生成手段は、前記決定手段により選択された各需要家の制御パターンに対応する快適レベルが、前記収集手段により収集された快適性データに基づき得られる当該需要家の快適性の実感と一致していない場合、一致するよう当該需要家の制御モデル情報を更新するものである。
【0013】
また、需要家との契約情報を記憶する契約情報記憶手段を有し、前記決定手段は、更に契約情報を参照し、需要家との契約内容を優先して当該需要家のエネルギー削減量を決定するものである。
【0014】
また、アグリゲータによって使用されるものである。
【0017】
本発明に係るプログラムは、需要家毎に設定された制御モデル情報であって、エネルギーを使用する設備を運転させることによって当該需要家に与える快適性のレベルを示す快適レベル毎に、前記設備の運転制御の内容を示す制御パターンと、当該制御パターンに従って当該需要家の前記設備を運転させたときのエネルギーの予想削減量と、を対応付けすることによって生成された制御モデル情報を記憶する制御モデル情報記憶手段をアクセス可能なコンピュータを、エネルギー使用量の削減要求に応じて、要求された削減量を各需要家に分配することで各需要家のエネルギー削減量を決定する決定手段、各需要家に対してエネルギー使用量の削減を指示する指示手段、として機能させ、前記決定手段は、前記制御モデル情報記憶手段に記憶された各需要家の制御モデル情報に基づいて、各需要家に適用する制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量の合計が前記要求された削減量以上となり、かつ各需要家における快適性が
同程度のレベルとなるよう、各需要家に適用する制御パターンを当該需要家の制御モデル情報の中から選択し、その選択した制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量を当該需要家のエネルギー削減量として決定し、
前記指示手段は、前記決定手段により選択された各需要家の制御パターンを、当該需要家の削減指示として送るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、需要家が感じる快適性を考慮しつつ、要求されたエネルギー削減量を各需要家に分配することができる。
【0019】
また、需要家の特性に対応した制御モデル情報を生成することができる。
【0020】
また、エネルギー使用量の削減のために適用された制御パターンに従った設備の運転実績に基づく学習により、制御パターンに対応するエネルギーの予想削減量の精度を向上させることができる。
【0021】
また、エネルギー使用量の削減のために適用された制御パターンに従った設備の運転実績に基づく学習により、需要者が感じる快適性の予測精度を向上させることができる。
【0022】
また、需要家による契約情報に基づく要望に優先的に応えつつ、要求されたエネルギー削減量を各需要家に分配することができる。
【0023】
また、エネルギー供給元から要求された削減量を、需要家、更に需要家の各空間と細分化したレベルでエネルギー削減量を決定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、本実施の形態においては、電気をエネルギーの例として説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態における設備管理システムの一例を示した全体構成図である。
図1には、電力の供給元である電力会社1、アグリゲータ2及び電力会社1からの電力の供給を受けて使用する各ビル3が示されている。そして、電力会社1、アグリゲータ2及びビル3それぞれが使用するコンピュータは、ネットワーク4に接続されている。アグリゲータ2は、需要家であるビル3を予め多数取りまとめて事前に契約し、電力会社1が必要となったタイミングで契約したビル3の中から 最適な組合せを選んで必要なネガワットを集める事業者である。本実施の形態におけるアグリゲータ2は、電力会社1からの使用電力の削減要請(削減要求)に応じて、要求された削減量を各ビル3に分配することで、各ビル3に対して使用電力量の削減を指示する。
【0027】
図2は、本発明に係る設備管理装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。本実施の形態における設備管理装置10は、アグリゲータ2によって使用され、後述する処理によって、電力会社1から要求された使用電力量の削減量を各ビル3に分配する。
【0028】
図3は、本実施の形態における設備管理装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において設備管理装置10を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等の従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、
図3に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。
【0029】
図2に戻り、本実施の形態における設備管理装置10は、快適性データ収集部11、制御モデル情報生成部12、制御パターン選択部13、削減指示部14、快適性データ記憶部15、制御パターンリスト記憶部16、制御モデル情報記憶部17及びビル情報記憶部18を有している。なお、
図2には、本実施の形態における説明に必要な構成要素のみ図示しており、アグリゲータ2として機能するために従前から有している構成については省略している。
【0030】
快適性データ収集部11は、収集手段として設けられ、ビル3が削減指示として送られてきた制御パターンに従って当該ビル3に設置された設備を運転させた後に得られた当該ビル3における快適性の実感を示す快適性データを収集し、快適性データ記憶部15に蓄積する。制御モデル情報生成部12は、生成手段として設けられ、ビル3毎に、制御パターンリスト記憶部16に記憶された制御パターンリストの中から当該ビル3への適用対象とする複数の制御パターンを抽出し、その抽出した複数の制御パターンそれぞれに対応する使用電力量の予想削減量を算出し、その算出した使用電力量の予想削減量を当該制御パターンに対応付けることによって当該ビル3の制御モデル情報を生成し、制御モデル情報記憶部17に登録する。制御パターン選択部13は、決定手段として設けられ、電力会社1からのエネルギー使用量の削減要求に応じて、要求された削減量を各ビル3に分配することで各ビル3の使用電力量の削減量を決定する。詳細については後述するが、制御パターン選択部13は、制御モデル情報記憶部17に記憶された各ビル3の制御モデル情報に基づいて、各ビル3に適用する制御パターンに対応する予想削減量の合計が、電力会社1から要求された削減量以上となり、かつ各ビル3における快適性が所定の選択条件を満たすよう、各ビル3に適用する制御パターンを当該ビル3の制御モデル情報の中から選択し、その選択した制御パターンに対応する予想削減量を当該ビル3の使用電力量の削減量として決定する。削減指示部14は、指示手段として設けられ、制御パターン選択部13により決定された各ビル3の制御パターンを、当該ビル3の削減指示として送ることで各ビル3に対して使用電力量の削減を指示する。
【0031】
制御パターンリスト記憶部16は、各制限レベルに制御パターンを対応付けて定義された制御パターンリストを制御パターンマスタ情報として記憶する制御パターンマスタ情報記憶手段である。
図4には、本実施の形態における制御パターンリスト記憶部16に記憶されている制御パターンリストのデータ設定例が示されている。なお、
図4には、夏場における空調機を設備として想定して定義された制御パターンが例示されている。制御パターンリストは、電気を使用する設備の運転制御の内容を示す制御パターンと、当該制御パターンによって設備の運転が制限されるレベルを示す制限レベルとが対応付して生成される。
図4において、制限レベルは丸数字によって示されており、数値が大きいほど厳しい制限の制御パターンが対応付けされる。なお、本実施の形態では、10の制限レベルを事前に設定した例を示しているが、制限レベル数は、これに限定されるものではない。
【0032】
図4において、例えば、制限レベルが1の“風速 弱(10/30分)” というのは、運転時間が30分あったらそのうち10分間は風速を現在より弱めて運転するという制御内容を意味する。また、制限レベルが4の“設定温度+1℃(5/30分)” というのは、運転時間が30分あったらそのうち5分間は設定温度を現在より1度上げて運転するという制御内容を意味する。この例のように、風速を弱めたり、設定温度を上げたりことで使用電力量の削減が見込める。なお、風速や温度を変更して運転する時間は、必ずしも連続としなくてもよい。例えば、“風速 弱(10/30分)”の制御パターンの場合、30分間の中で風速を5分間弱めた運転を2回行うようにしてもよいし、2分間弱めた運転を5回行うようにしてもよい。このように、風速を弱めた運転時間の合計が10分間となればよい。また、5分間弱めた運転を2回行う場合でも、例えば制御開始10分経過後に5分間弱めた運転を1セットとし、このセットを所定回数(ここでは2回)繰り返すというように周期的な運転制御としてもよいし、30分間の中で任意のタイミングで5分間を2回弱めた運転をしてもよい。この合計10分間の風速を弱める運転制御は、制御パターン固有としてもよいし、ビル3側で、例えば制御パターンを受け取った設備のコントローラが所望のパターンで設備の運転を制御するようにしてもよい。
【0033】
なお、
図4に示した制御パターンの制限レベル4,5の関係によると、30分間のうち設定温度を1度上げて5分間運転させた方が風速を30分間弱める、すなわち風速を常時弱めた状態にて運転するより使用電力量の削減効果は大きくなると仮定している。そして、使用電力量の削減効果が大きいほど快適性のレベルが低下すると仮定している。本実施の形態では、制御パターンとして
図4に示した設定例を用いているが、この設定例に限定する必要はない。
【0034】
ビル情報記憶部18には、アグリゲータ2が契約している各ビル3に関する情報、具体的には、ビル3の階数、大きさ、居室数等の建物情報、ビル3に設置された設備の数、設置場所等の設備情報、更に本実施の形態の場合、制御パターンの選択条件に関する契約内容等が設定されている。なお、その他の記憶部15〜17に関しては、追って詳細を説明する。
【0035】
設備管理装置10における各構成要素11〜14は、設備管理装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。その他の記憶部15〜18は、設備管理装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0036】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0037】
電力会社1からの使用電力量の削減要求に応じて、アグリゲータ2は、要求された削減量を、契約している各ビル3に分配することでその削減要求に応じることになるが、本実施の形態においては、要求された削減量を各ビル3における快適性を考慮しつつ分配することを特徴としている。この特徴的な分配を実施するためには、前述した制限パターンリストを事前に定義しておくことに加えて制御モデル情報に初期設定を行っておく必要がある。以下、制御モデル情報生成部12が実施する初期設定処理について説明する。
【0038】
図5は、本実施の形態における制御モデル情報記憶部17に記憶されている制御モデル情報のデータ設定例を示した図である。各ビル3の制御モデル情報は、制御パターンと予想削減量との組を、快適性のレベルを示す目標快適レベルに対応させて設定される。制御モデル情報生成部12は、初期設定において各ビル3の制御モデル情報を生成することを目的としている。
【0039】
図6には、制限パターンリストから所定数の制御パターンを抽出して制御モデル情報を生成する処理を概念的に示している。本実施の形態では、所定数として5つの制御パターンを抽出する場合を例にして説明する。
図6では、ビルAに対して4〜8の制限レベルに対応する5つの制御パターンを、ビルBに対して3〜7の制限レベルに対応する5つの制御パターンを、それぞれ抽出する場合を例示している。制御モデル情報生成部12は、例えばビルAのために制御パターンを抽出すると、その抽出した制御パターンをビルAの制御モデル情報のテーブルに当てはめる。ビルB,Cに対しても同様にして抽出した制御パターンを、各ビルB,Cの制御モデル情報のテーブルに当てはめる。
【0040】
このようにして、制御モデル情報生成部12は、各ビル3の目標快適レベルに上記抽出した制御パターンを対応付ける。
図6に例示したように、制御モデル情報に当てはめるために抽出する制御パターンの制限レベルは、ビル3間で必ずしも一致させる必要はなくビル3の特性等を参照にビル毎に決めてもよい。ただ、
図5では、
図6とは異なり、説明の便宜上、ビルBに対してもビルA,Cと同様に、制御パターンリストのほぼ中央当たりの4〜8の制限レベルに対応する制御パターンを初期値として抽出した場合を示している。本実施の形態では、数値の小さい方が快適性のレベルが高い、すなわち快適であることを意味している。
【0041】
なお、詳細は後述するように、本実施の形態では、各ビル3においてアグリゲータ2から指示された制御パターンで空調設備を運転させてから所定時間経過後に、快適性についてのアンケートを各ビル3の居住者に回答してもらい、アグリゲータ2は、そのアンケートの結果を回収することになる。そして、例えば"送風(5/30分)"という制御パターンを送ることでした削減指示をした場合、アグリゲータ2は、ビル3の居住者が感じる快適性のレベルは2であるとアンケートの結果から得られることを目標としている。そのため、制御モデル情報では「目標快適レベル」と称している。
【0042】
以上のように各ビル3に対し、各目標快適レベルに対応させて制御パターンを設定すると、続いて、制御モデル情報生成部12は、設定した各制御パターンに対応させて予想削減量を設定する。予想削減量というのは、対応する制御パターンに従って空調設備を運転させたときの予想削減量(エネルギーの予想削減量)である。制御モデル情報生成部12は、空調設備の設置台数等の設置情報、性能等の仕様情報を含む各ビル3のビル情報を参照してビル毎に予想削減量を算出するが、各ビル3の空調設備の設置台数、設置位置、空調設備の性能等が異なると、各ビル3の予想削減量の値は同じ制御パターンに基づき運転しても異なってくる。
【0043】
なお、本実施の形態では、制御モデル情報に設定する目標快適レベルの数を5としたが、この設定例は一例であってこの例に限定されるものではない。また、本実施の形態では、連続した制限レベルを抽出したが、必ずしも連続に限定する必要はない。もちろん、レベルを示しているので制限レベルの大きさの順に並べて制御モデル情報に設定する必要はある。
【0044】
本実施の形態における制御モデル情報生成部12は、以上のようにして制御モデル情報の初期設定を行う。初期設定が終了した後、需要家であるビル3では、通常通りの運用にて設備を動作させる。この通常通りの運用では、制御モデル情報を参照する必要はない。
【0045】
ここで、アグリゲータ2は、電力会社1から使用電力量の削減が要求されると、その削減要求にて指定された使用電力量の削減量(以下、「削減要求電力量」)を分配する使用電力量削減処理が開始される。以下、本実施の形態における使用電力量削減処理について
図7に示したフローチャートを用いて説明する。
【0046】
削減要求電力量を取得すると(ステップ101)、制御パターン選択部13は、各ビル3に適用する制御パターンを当該ビル3の制御モデル情報の中から選択し、そして削減要求量の分配量を決定する(ステップ102)。この制御パターン及び分配する使用電力量を決定する基本的な処理について
図8を用いて説明する。
【0047】
例えば、電力会社1から30kWhの電力量の削減が要求されたとする。このとき、制御パターン選択部13は、各ビル3の快適性がばらつかず、同程度の目標快適レベルとなるようになるように各ビル3の制御パターンを選択することを試みる。
図8に示した設定例によると、各ビル3の目的快適レベルが2の予想削減量を合算すると7.0+10.5+11.0=28.5kWhで電力会社1から要求された削減要求電力量に応えられない。また、各ビル3の目的快適レベルが3の予想削減量を合算すると8.0+12.0+14.0=34.0kWhで電力会社1から要求された削減要求電力量の削減が可能になるけれども必要以上に使用電力量を削減してしまう。つまり、ビル3に対し無用な削減を要求してしまうことにもなる。
【0048】
そこで、制御パターン選択部13は、所定の選択条件及び優先度に従っていずれかのビルA〜Cの目的快適レベルを調整して、各ビル3における快適性が極力ばらつかないように、そして、各ビル3の予想削減量の合計の削減要求電力量からの超過が極力少なくなるように、各ビル3に適用する制御パターンを当該ビル3の制御モデル情報の中から選択する。
図8に示した設定例によると、ビルAとビルCの目的快適レベルとして2を選択し、ビルBの目的快適レベルとして3を選択すると、ばらつき度が1であり、各ビル3の予想削減量の合計が削減電力量と同じ30kWhとなるので、制御パターン選択部13は、各ビル3に対し、その制御パターン及び予想削減量を決定する。このようにして、制御パターン選択部13は、各ビル3の予想削減量を使用電力量の削減量(以下、「電力削減量」)を決定する。
【0049】
以上のようにして削減要求電力量が各ビル3に分配されると、削減指示部14は、各ビル3に対して決定された制御パターンを当該ビル3に通知することで使用電力量の削減を指示する(ステップ103)。
【0050】
各ビル3においては、削減指示の際に通知されてきた制御パターンに従い空調設備の運転の制御パターンを変更する。例えば、ビルAにおいては、運転時間が30分のうち5分間は送風にて運転させるよう空調設備が制御される。この指示に従って空調設備の運転が制御されれば、ビルAにおいて7.0kWhの使用電力量の削減が見込める。
【0051】
運転が変更されてから所定期間経過後、各ビル3において、当該ビル3の居住者に対して快適性についてアンケートを実施する。これは、例えば、居住者が使用している端末に快適性を入力させるウィンドウ画面を表示して、快適性を示すレベル、例えば1〜5の数値を入力させる。
【0052】
以上のようにして実施されたアンケートの結果が送られてくると、快適性データ収集部11は、このアンケートの結果を取得し、快適性データとして快適性データ記憶部15に蓄積する(ステップ104)。快適性データは、アンケートに回答した居住者が居住するビル3の識別情報と当該居住者が回答した快適レベルとが少なくとも含まれている。また、各ビル3においては、削減指示を受ける直前の所定期間(例えば、30分間)における使用電力量と、削減指示を受けてから所定期間(例えば、30分間)における使用電力量と、の差分から実際の電力削減量を算出するが、快適性データ収集部11は、各ビル3において算出された実際の電力削減量を各ビル3から取得する(ステップ105)。
【0053】
以上のようにして、削減指示部14が通知した制御パターンに基づく運転制御の結果が快適性データ収集部11により得られると、制御モデル情報生成部12は、各ビル3の制御モデル情報を次のようにして更新する(ステップ106)。
【0054】
図9は、制御モデル情報生成部12における制御モデル情報の更新処理を説明するために用いる図である。
図9には、ステップ102において決定した各ビル3の制御パターン(実施制御)、目標快適レベル及び電力削減量(これらを「予想情報」31と総称)と、ステップ104,105において得られた快適レベル及び電力削減量(これらを「実績情報」32と総称)と、これらの情報31,32に基づき制御モデル情報生成部12によって必要により更新された制御モデル情報と、が示されている。なお、実績情報32における快適レベルは、当該ビル3の快適性データに含まれる快適レベルから、制御モデル情報生成部12が、例えば平均値等を算出することによって求めることを想定しているが、他の計算方法によって算出してもよいし、あるいはアンケート結果に基づきビル3側において計算された快適レベルを取得して利用してもよい。
【0055】
まず、ビルAに着目する。予想情報31を参照すると、アグリゲータ2は、ビルAに対し、送風(5/30分)の制御パターンで空調設備を運転させるよう削減指示すると、7.0kWhの電力削減量が見込め、このときの居住者は快適レベル“2”の快適性を感じることを予想していたことになる。そして、実績情報32を参照すると、ビルAでは、実際には7.8kWhの電力量が削減され、居住者は快適レベル“3”の快適性を感じたことになる。つまり、送風(5/30分)の制御パターンでの運転制御は、ビルAにとっては、予想以上の削減効果(7.8−7.0=0.8kWhの削減量)が得られ、居住者に対し予想以上の不快感(快適レベル“2”ではなく“3”)を与えたことになる。従って、制御モデル情報生成部12は、実績情報32に従い、送風(5/30分)の制御パターンに対応する予想削減量を“7.0”から“7.8”に更新する。更に、現在のところ目標快適レベルを“2”にしていた送風(5/30分)の制御パターンを“3”に変更する。この制御パターンの変更は、
図9に示したように、
図4における制御パターンリストを1レベルずつ下方にスライドさせる。このようにして、ビルA目標快適レベル1〜5に対応させる制限レベル4〜8を制限レベル3〜7に変更する。
【0056】
次に、ビルBに着目する。ビルBにおいてもビルAと同様に処理すればよい。従って、実施させた送風(5/30分)の制御パターンに対応する予想削減量を“10.5”から“9.7”に更新する。なお、ビルBの場合、予想と実績の快適レベルが同じ“2”なので、制御パターンの目標快適レベルの調整を行う必要はない。また、ビルCに関しては、予想したとおりの結果を得られたので、制御モデル情報に対し何ら更新を行う必要はない。制御モデル情報生成部12は、以上のようにして、削減指示に応じて得られた実績情報に基づき制御モデル情報を適宜更新する。
【0057】
この後、電力会社1から使用電力量の削減要請が改めて送られてくると、
図7に示した使用電力量削減処理が実施され、これにより、制御モデル情報は更新されることになる。このように、制御モデル情報は予想と実績に基づき学習により精度が向上されていくことになる。
【0058】
本実施の形態によれば、以上のようにして電力会社1から使用電力量の削減要請に応じて、要求された削減量(削減要求電力量)を各ビル3に分配する。
【0059】
以上の処理は基本的な処理である。この基本的な処理のステップ102において各ビル3に適用する制御パターンを決定する際、制御パターン選択部13は、各ビル3の快適性がばらつかず、ほぼ均等になるようにした。もちろん、要求された削減要求電力量の電力量は削減する必要はある。基本的な処理では、このような制御パターンの選択条件を用いていたが、この例に限らず、その他の選択条件、または選択条件を組み合わせて、更に複数の選択条件を採用する場合には優先度を設定して、各ビル3に適用する制御パターンを決定してもよい。
【0060】
選択条件としては、例えば、前述したように各ビル3の快適性がばらつかないようにすることがある。具体的には、設定する目標快適レベルの最大値(最悪)と最小値(最良)との差を最小にする、あるいは、各ビル3の目標快適レベルの平均値を最大としてもよい。また、各ビル3の予想削減量の合計が削減要求電力量と一致させることを優先させ、仮に一致する制御パターンの組合せが存在しない場合には予想削減量の合計と削減要求電力量との差分が最小となるようにする、あるいは差分の上限値を設定し、上限値を超えなければ、その中で選択させるようにしてもよい。
【0061】
また、各ビル3との契約範囲に制御パターンの選択条件を設定させておき、この契約情報を参照するようにしてもよい。契約に規定する選択条件としては、例えば、電力削減量(例えば最大20kWhまで)、所定の快適レベル(例えば、目標快適レベルが“3”)を下回る運転制御は実施しない、ビル3に支払われるインセンティブ優先とする、などである。
【0062】
図10は、制御モデル情報の設定例を示した図であり、
図8と同じ内容の制御モデル情報である。削減要求電力量(30kWh)を達成しうる制御パターンの組合せは数多くあるが、
図10では、契約情報を参照し従うこと、目標快適レベルの平均値が快適(目標快適レベルが1)に近くなる、という選択条件を適用する場合の例である。そして、ビルAは、快適レベルが3以上(1から3)という選択条件を契約情報に含めており、ビルCは、インセンティブ優先という選択条件を契約情報に含めているとする。この場合、ビルA,Bに対しては目標快適レベルが1の制御パターンが決定され、ビルCに対しては目標快適レベルが4の制御パターンが決定される。ビルCの目標快適レベルは4と、ビルA,Bと比較して低いが、その分、より多くのインセンティブを受け取ることになる。なお、
図10における目標快適レベルの平均は(1+1+4)/3=2.0で、
図8の(2+3+2)/3=2.3より快適レベルの平均値は高い。
【0063】
以上説明した各ビル3に適用する目標快適レベルを決定するために、優先度に準じた評価式、あるいは選択条件に重み付けした評価式を予め作成しておき、その評価式に削減要請された削減要求電力量を入力すると、各ビル3に適用する目標快適レベルが決定され、これに応じて制御パターンが決定されるようにしてもよい。
【0064】
ところで、前述したように、本実施の形態では、電力会社1から削減要請があると、上記使用電力量削減処理を実施し、制御モデル情報を更新していくことで精度の向上を図るようにした。ただ、場合によっては、矛盾が生じる可能性がある。このことについて、
図11を用いて説明する。
【0065】
図11では、ビルAを例にしている。
図11(a)は初期設定後の制御モデル情報、
図11(b)は電力会社1からの1回目の削減要請後の制御モデル情報、
図11(c)は電力会社1からの1回目の削減要請後の制御モデル情報、がそれぞれ示されている。また、
図11(a)と
図11(b)の間及び
図11(b)と
図11(c)の間には、それぞれ
図9で説明した予想情報31と実績情報32に対応する予想情報33,35と実績情報34,36が示されている。1回目の削減要請に対応する予想情報33と実績情報34を参照すると、快適レベルは一致したものの電力削減量が異なるため、制御モデル情報において削減指示時に送った制御パターンに対応する予想削減量を更新する。
【0066】
続いて、2回目の削減要請に対応する予想情報35と実績情報36を参照すると、快適レベルも電力削減量も異なるため、前述した処理の説明では、制御モデル情報に含める制御パターンをスライドし、また予想削減量を更新する必要が生じる。ここで、快適レベルに着目すると、1回目の削減要請に対する処理では、目標とした快適レベルが4で、アンケートの結果でも居住者は実際に4と感じていた。従って制御パターンをスライドする必要がなかった。一方、2回目の削減要請に対する処理では、目標とした快適レベルが3であるにもかかわらず、アンケートの結果によると居住者は4と感じていた。つまり、「送風(10/30分)」という制御パターンで運転しても、「設定温度+1℃()15/30分」という制御パターンで運転しても、快適レベルは同じ4である。つまり、快適レベルが4となるようで空調設備を運転させるためには、制御パターンとして「送風(10/30分)」または「設定温度+1℃(15/30分)」の一方を用意しておけばよいということになる。つまり、一方の制御パターンを制御モデル情報から削除する。
【0067】
このことについて、
図12を用いて更に説明を続けると、
図12(a)に示したように初期設定時に制御パターンリストから制限レベル4〜8の制御パターンを抽出してビルA用の制御モデル情報を生成した。なお、
図12では、制御モデル情報のうち制御パターンのみを示している。そして、1回目の削減要請では、
図12(b)に示したように制御パターンに変動はない。続いて、2回目の削減要請に応じて空調設備の運転制御を実行した結果、制御パターンを下げるようスライドさせるべきところが、前述したように1回目の削減要請においては、目標通りの快適レベルが得られている。従って、ここでは、制限レベルが6の「設定温度+1℃(15/30分)」の制御パターンは不要として削除するようにした。制限レベルが6の制御パターンを削除した場合、ビルAの制御モデル情報を制限レベル4,5,7〜9の制御パターンで構成する場合と、制限レベル3〜5,7,8の制御パターンで構成する場合とが考えられる。どちらを採用してもよいが、ここでは、予想通りの快適性が得られた快適レベルが4の「送風(10/30分)」を移動させないようにするために、
図12(c)に示したように制限レベル3〜5,7,8の制御パターンで構成されるよう、ビルAの制御モデル情報を更新するようにした。
【0068】
本実施の形態によれば、アグリゲータ2は、以上のようにして電力会社1からの使用電力量の削減要請に応じて、要求された使用電力量の削減を実現する。
【0069】
なお、本実施の形態では、制御パターンリスト記憶部16に設定された制御パターンリストを参照して各ビル3の制御モデル情報を初期設定した。ただ、ビル3の規模、階数、窓の向き等の構造、ビル3に設置された電気設備の台数等によって同じ制御パターンでも使用電力量の削減量は異なってくる場合がある。そこで、
図13に例示したように複数の制御パターンリストを予め用意して制御パターンリスト記憶部16に登録しておき、制御モデル情報生成部12は、初期設定時に各ビル3の制御モデル情報を生成する際、ビル情報記憶部18に記憶されている各ビル3の構造等が設定されているビル情報を参照することで、制御パターンリスト記憶部16に設定された複数の制御パターンリストの中から各ビル3に適用する制御パターンリストを特定するようにしてもよい。
【0070】
また、本実施の形態では、電気機器として空調設備を使用電力量の削減対象とし、空調設備の特化した制御パターンリストを予め設定した場合を例にして説明したが、照明設備等他の設備機器を使用電力量の削減対象としてもよい。また、複数の異なる種類の電気機器を組み合わせて使用電力量の削減対象としてもよい。
【0071】
ところで、前述したように、アグリゲータ2は、電力会社1からの要請に応じて削減要求電力量を各ビル3に分配し、各ビル3では、削減指示の際に指定された制御パターンに基づき空調設備を運転させることで指定された電力削減量分の使用電力量を削減することになる。各ビル3に内においてどのように削減するかというと、基本的にはビル3全体において制御パターンに従い各空調設備を同じように運転制御する、すなわち全ての空調設備に同じパターンにて運転させることを想定していた。ただ、ビル3の規模に差異があるように、ビル3内においても居室の広さや向き、空調設備の性能、設置台数、居住者人数等が異なる場合があり、このためビル3全体で空調設備を同じように運転させていたのでは、ビル3内の居住者に与える快適性にばらつきが生じてくる可能性がある。
【0072】
そこで、上記説明したように、アグリゲータ2が電力会社1からの要求された削減要求電力量を各ビル3に分配したように、各ビル3においても、アグリゲータ2から削減指示された電力削減量を当該ビルのフロア、居室等の各空間に分配して各空間における居住者の快適性にばらつきが生じないようにしてもよい。
【0073】
図14は、本実施の形態における制御モデル情報の他のデータ設定例を示した図である。
図5では、制御モデル情報をビル毎に生成したが、
図14では、エリア毎に生成した例が示されている。この場合、設備管理装置10は、電力会社1からの要求された削減要求電力量を各ビル3に分配した後、
図14に例示した制御モデル情報を参照して、各ビルに分配した電力削減量を当該ビル3の各エリアに分配する。このようにして、各エリアにおける快適性のばらつきが生じないようにしてもよい。
【0074】
なお、この場合、各ビル3から収集するアンケートには、ビル3の識別情報及び当該居住者が回答した快適レベルに加えて、当該居住者が所在するエリアの識別情報を含めておく必要がある。
【0075】
ただ、アグリゲータ2の設備管理装置10に各ビル3のエリアへの電力削減量を決定させるためには、アグリゲータ2に各ビル3のエリアに関する情報を持たせなくてはならない。また、処理負荷も増大する。そこで、アグリゲータ2への情報集中及び処理負荷の増大を回避するために、前述した設備管理装置10の処理機能を各ビル3に持たせるようにしてもよい。すなわち、各ビル3にも前述した設備管理装置10と同等の機能を有する設備管理装置10を設置する。あるいは、各ビル3に既設のビル管理装置あるいは設備の動作制御を行う制御装置(コントローラ)に設備管理装置10の処理機能を持たせて、それらの装置を設備管理装置10として利用する。この場合、ビル3において空調設備の制御単位となるエリアが、上記説明において使用電力量の削減要求を受けたビル3に相当し、需要家に相当する。
【0076】
なお、上記説明では、アグリゲータ2は削減指示として制御パターンのみを送っていたが、この場合、アグリゲータ2は、更に電力削減量(制御パターンに対応した制御モデル情報に含まれる予想削減量)を送る必要がある。そして、アグリゲータ2からの削減指示を前述した電力会社1からの削減要請とみなし、またアグリゲータ2からの電力削減量を前述した電力会社1からの削減要求電力量とみなせば、各ビル3に設置の設備管理装置10は、初期設定時に
図14に示した制御モデル情報を生成することで、各エリアに対して使用電力量の削減指示を、空調設備の動作制御を行うコントローラに出すことができる。そして、コントローラは、その削減指示に応じて、指定された制御パターンに基づき対応する空調設備の運転を制御することになる。
【0077】
このように、設備管理装置を階層的に設けることで、ビル3そしてビル3の各エリアにおける快適性を考慮しつつ電力会社1から要請された削減要求電力量分の削減を達成することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、エネルギーとして電気に適用した場合を例にして説明したが、ガス等他のエネルギーにも適用可能である。