(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
特に定めのない限り、同様の参照番号は、図面のいくつかの図の記載全体にわたって、同様の部分を指す。加えて、本明細書に記載されたさまざまな特徴における寸法に対して目標値が列記されているが、これらの値は、製作公差等の要因に若干起因して変動することがあること、またそのような変動は、本明細書に記載された実施形態の想定範囲内であることが理解される。
【0008】
図1〜3は、作動前の状態(
図1)、及び作動後のさまざまな段階(
図2及び3)での加圧ガス式アクチュエータの概略断面側面図を示す。アクチュエータ10は、任意の好適な装置または機構に搭載されてもよく、該装置または機構に(以下にさらに詳細に記載されるピストン棒50を介して)動作可能に結合されて、装置または機構に力を伝達してもよい。作動力は、以下に記載されたような方法での、アクチュエータのハウジング内への加圧ガスの導入に応答して発生する。加圧ガスは、ハウジングに(たとえば、ハウジングに組み込まれたガス発生器によって)発生させてもよく、またはガスは、ハウジング内部と流体連通している外部のガス源から、ハウジング内に導入されてもよい。本明細書に記載されたアクチュエータのための1つの可能な用途は、自動車車両のフードの一部を持ち上げることにある。
【0009】
図1〜3に示される実施形態では、アクチュエータ10は、ハウジング12と、ハウジング内部に摺動可能に位置付けられたピストン30と、ピストンに取り付けられて、ピストンとともに動くピストン棒50とを有する。ハウジング12は、第1の端12aと、第2の端12bと、ハウジング12の長手方向中心軸L1とを画定する最外ハウジング壁12dと、第1及び第2の端に接続する本体12cとを有する。壁12dはさらに、ハウジングの中空内部12eを画定する。
図1〜3に示される実施形態では、ハウジングの第1の端12aは、その内部に挿入されて、圧着、接着取付、または任意の他の好適な方法によって保持される好適なガス発生器14(たとえば、周知のマイクロガス発生器)を収納するように半径方向外向きに広がる。代替的に、ガス発生器14は、任意の好適な保持方法を用いて、ハウジングの第1の端に取り付けられてもよい。ガス発生器14のガス放出部14aは、ハウジング内部に位置付けられ、それによって、ガス発生器の作動後に、発生させたガスがハウジングに流入するようにする。所望であれば、好適な封止(たとえば、エポキシシール、Oリングシールまたは他の封止手段;図示せず)を設けて、ガス発生器14とハウジング12との間発生させたガスが、ハウジングの外部に漏れることを防止するかまたは最小限にするようにしてもよい。本明細書に記載された実施形態では、ガス発生器14は、ピストンまたはピストン/ピストン棒の組み合わせの外部に位置付けられる(すなわち、ピストンの内部(たとえば、ピストンに形成されたキャビティの内部)に存在するガス発生器14の部分はない)。加えて、本明細書に記載された実施形態では、ピストンまたはピストン/ピストン棒の組み合わせは、ガス発生器14から離間して配置される。
【0010】
図1〜3に示される実施形態では、ハウジングの第2の端12bは、それを通して、ハウジング内部に摺動可能に位置付けられたピストン30に取り付けられたピストン棒50を受けるように構成された開口12fを有する。開口12fは、棒の一部が開口12fを通してハウジングに出入りするときに、ピストン棒50を横方向に抑制するかまたは支持するようなサイズにされるか、そうでなければそのように構成されてもよい。
図1〜3に示された特定の実施形態では、端壁12gは、ハウジング12の一部から形成され、開口12fは、壁12gに穴あけされるか、または別の方法で形成される。
【0011】
ピストン30は、外壁30bを有するベース30aを有する。溝30cは、壁30bに形成されて、内部にOリング40または別の好適な弾性ガス密封止を受けるように構成される。周知のようにして、Oリング40は、ハウジング壁12dの内表面に弾性的に摺接し、それによってピストン30と壁12dとの間の実質的なガス密封止を提供する。ピストン30が、ハウジング壁の内表面に接触しているOリング40を備えるハウジング12内に位置付けられると、Oリングとハウジング壁との間の接触領域は、ピストンの比較的高圧側P1とピストンの比較的低圧側P2との間の境界を画定する。
【0012】
図1〜3に示される実施形態では、突起30dは、ベース30aから延びる。突起30dは、関連するピストン棒50を締りばめで係合するように(または、それに対して好適に取り付けるように)、そうでなければ、ピストン棒50のピストン30への取り付けを可能にするかまたは容易にするように構成される。
【0013】
図1〜3に示される実施形態では、駆動ポケット30eは、ピストンベース30aに形成される。駆動ポケット30eは、アクチュエータの構築で用いる、その内部に駆動ツールを挿入し得る容器を提供する。駆動ポケット30eは、中心軸L1に対して平行な軸に沿って、ガス発生器14に最も近いピストンの表面30sから測定された深さd1を有する。特定の実施形態では、駆動ポケット30eを画定する壁は、六角形構造(たとえば、
図5に示されるような)に配置され、アクチュエータの構築に用いるための、キャビティ内に挿入された相補的な六角形の駆動ツールを係合する。
【0014】
特定の実施形態では、所与の駆動ポケットまたは駆動ポケット/膨張キャビティ構造における、駆動ポケット30eを画定する壁によって形成された形状250aは、その特定の駆動ポケットまたは駆動ポケット/膨張キャビティ構造に対応する(及び/またはそれに特有である)ように構成される。たとえば、
図4に示されるように構成された膨張キャビティを有するピストン/ピストン棒の組み合わせは、駆動ポケットを画定する壁によって形成された第1の形状(たとえば、六角形)を有してもよく、一方で、
図6に示されるように構成された膨張キャビティを有するピストン/ピストン棒の組み合わせは、駆動ポケットを画定する壁によって形成された第2の形状(たとえば、正方形)を有してもよく、この場合、第2の形状は第1の形状とは異なる。加えて、
図7に示されるように構成された膨張キャビティを有するピストン/ピストン棒の組み合わせは、駆動ポケットを画定する壁によって形成された第3の形状(たとえば、八角形)を有してもよく、この場合、第3の形状は第1及び第2の形状とは異なる。これにより、駆動ポケットまたは駆動ポケット/膨張キャビティ構造が、駆動ポケットの外側境界形状のみを用いて特定されることが可能になる。
【0015】
本明細書に記載された実施形態では、駆動ポケットの寸法(深さd1を含む)及びポケット外壁によって画定された形状は、アクチュエータの構築を容易にするのに十分な相補的形状の駆動ツールとの係合を提供する必要性、駆動ポケット付近のピストンの所望の壁厚さ等の要因、及び他の関係する要因によって決定される。所望であれば、または必要であれば、これらの駆動ポケット寸法は、多様なピストンサイズ及び構成について標準化されるかまたは一定にされ、それによって、多様な類似のアクチュエータの実施形態を構築するために、単一の駆動ツールが用いられることを可能にしてもよい。駆動ポケットの機能的及び/または空間的要件は、駆動ポケット寸法が他の設計上の考慮点に従って変更され得る度合(もしあれば)を限定する場合がある。しかしながら、可能であれば、駆動ポケット構造及び寸法は、さまざまな空所(たとえば、本明細書に記載されたような空所100)の容積を変化させるように、またそれに応じてアクチュエータの応答または性能特性を変化させるように変更されてもよい。
【0016】
図1〜3に示される実施形態では、ピストン30に形成された調節可能または調整可能な膨張キャビティ30xは、中心軸L1に対して平行な軸に沿った、駆動ポケット30eの端からの距離d2に延びる。本明細書に記載された実施形態では、膨張キャビティは、ガス発生器14に近接するかまたは流体連通して位置付けられた端の反対に位置する駆動ポケットの端から延びる。膨張キャビティは、駆動ポケット30eとは分離しており、駆動ポケットと流体連通している。
図1〜3に示される実施形態では、膨張キャビティ30xは、駆動ポケット30eと同心であり、突起30dの端に近接して形成された壁30wで終わる止まり穴である。キャビティ30x及び壁30wは、たとえばピストン30の端に、止まり穴を方向Vに向かって穴あけすることによって画定され得る。このように、膨張キャビティ30xは、ピストン表面30sからのd1+d2の総深さdTまで延びる。
【0017】
図1〜3に示される実施形態では、膨張キャビティ30xは、長手方向に円筒の形状であり、一定の半径を有する。しかしながら、本明細書に記載されたような膨張キャビティは、特定の用のために使用可能である任意の断面及び/または長手方向形状を有していてもよい。また、本明細書に記載された膨張キャビティの実施形態は、関連する駆動ポケットと、または関連するピストン棒またはピストン/ピストン棒の組み合わせと同心であるが、これらの特徴の1以上と同心ではない膨張キャビティが設けられてもよい。
【0018】
本明細書に記載された実施形態のいずれかでは、膨張キャビティの直径または他の最大外形寸法は、それが近接する駆動ポケットの最大最外寸法と同じか、それよりも大きいかまたは小さくてもよい。
図1〜3に示された特定の実施形態では、膨張キャビティ30xの直径は、駆動ポケットの最大最外寸法よりも小さい。この状態は、
図5にさらに示され、そこでは、たとえば膨張キャビティ250bの直径が、駆動ポケットの最大最外寸法(すなわち、六角形の駆動ポケットの交差する平面によって画定された正反対の角の間の距離M)を下回ることがわかる。
【0019】
本明細書に記載された実施形態では、駆動ポケットと、膨張キャビティと、ガス発生器を取り囲み、ガス発生器の作動前にガス発生器14とピストンとの間に位置するハウジング内部の部分とがさらに組み合わさって、ガス発生器14の作動の結果として生じるガス発生器燃焼生成物の膨張をその内部に収容するように構成されたチャンバまたは空所を画定する。たとえば、
図1〜3に示された特定の実施形態では、駆動ポケット30eと、膨張キャビティ30xと、ガス発生器を取り囲み、ガス発生器14とピストン30との間に位置するハウジング内部の部分12zとがさらに組み合わせられて、ガス発生器14の作動の結果として生じるガス発生器燃焼生成物の膨張をその内部に収容するように構成されたチャンバまたは空所(全体として100で示される)を画定する。また、膨張キャビティ30xは、発生したガスの膨張を制限して流す働きをする。キャビティ30x内に膨張したガスは、壁30wを押圧して、ピストンの方向Vへの移動を起こさせる(
図2)。
【0020】
本明細書に記載された実施形態では、駆動ポケットの形状及び寸法は、好適な駆動ツールを係合する必要性によって制約され得るが、膨張キャビティの形状及び/または寸法は、駆動ポケットの寸法とは無関係に制御可能であり、本明細書に記載されたように、空所の容積を調整するように、または所望の空所容積を提供し、それに応じてアクチュエータ応答特性を調整するように指定されてもよい。たとえば、
図1〜3に示される実施形態では、駆動ポケット30eの形状及び寸法は、好適な駆動ツールを係合する必要性によって制約され得るが、膨張キャビティ30xの形状及び/または寸法は、駆動ポケット寸法とは無関係に制御可能であり、本明細書に記載されたように、空所100の容積を調整するように、または所望の空所容積を提供し、それに応じてアクチュエータ応答特性を調整するように指定されてもよい。より具体的には、他の設計パラメータ、たとえばピストンとガス発生器14との間の間隔、ピストンのそのストローク長さに沿った移動に起因する空所の増大の既知量、ガス発生器の出力、及び/またはピストン及び/またはピストン棒またはアクチュエータの全長とは無関係に(かつそれらを変更する必要なく)膨張キャビティの容積を制御することによって、ピストンまたはピストン/ピストン棒の組み合わせに作用する圧力(そして、アクチュエータによって及ぼされる、結果として得られる力)は、それに応じて制御され得る。たとえば、膨張キャビティの容積が比較的小さいと、発生させたガスの膨張に対して使用可能である空間は比較的小さく、ピストンに作用する圧力は、比較的高い。反対に、膨張キャビティの容積が比較的高いと、発生させたガスの膨張に対して使用可能である空間は比較的大きく、ピストンに作用する圧力は比較的低い。また、膨張キャビティの容積及び/または駆動ポケットを変更することによって調整または調節されるアクチュエータの力または応答の能力によって、ガス発生器出力を変更する必要なく、応答を制御することが可能になる。したがって、単一のガス出力を有するガス発生器を用いて、広範なアクチュエータ応答を提供し得る。
【0021】
ピストン30の製造中、膨張キャビティ30xの深さd2を、多様な所望の値のいずれかに調節して、それに応じて、アクチュエータの作動前の膨張キャビティの容積30xを、ひいては空所100の総容積を増減してもよい。深さd2は、ピストンの全長、深さd1の寸法、及び突起30dの端におけるピストンの所望の壁厚さ等の要因によって制限され得る。このように、燃焼生成物の膨張を収容するために使用可能である、作動前の空所100の総容量は、膨張キャビティ30xの全体の寸法(深さd2を含む)を独立して制御することによって、制御され得る。
【0022】
所与のガス発生器出力に所望のピストン起動圧力範囲を提供するために必要とされる空隙室容積は、周知の方法を用いた実験法によって、分析的に及び/または繰り返して判定されてもよい。
【0023】
特定の実施形態では、ピストン外壁30bの最小厚さは、2ミリメートルである。
特定の実施形態では、ピストン壁30wの最小厚さは、1ミリメートルである。
ピストン棒50は、それを通して、ピストン棒と位置合わせされた要素(たとえば、車両のフードの一部(図示せず))にアクチュエータ力が伝達される機構である。ピストン棒50は、ピストンに取り付けられてピストンとともに動く第1の端50aを有する。第1の端の反対の第2の端50bは、アクチュエータ力が伝達される要素または機構に取り付ける用に(または、それとの接触を容易にするように)構成され得る。
図1〜3に示される実施形態では、ピストン棒50は中空である。代替的に、ピストン棒(または、その長さの一部)は、
図4及び7に示されるように、中実であってもよい。また、ピストン棒は、特定の用途に好適または必要とされる任意の特定の長さ、直径、形状及び/または他の特性を有していてもよい。
【0024】
本明細書に記載された実施形態では、ピストン棒は、金属材料、ポリマー材料、または任意の他の好適な材料から形成されてもよい。
特定の実施形態では、ピストン棒は、中空シェルまたは管から形成される。シェルは、金属材料または任意の他の好適な材料から形成されてもよい。そして、任意の膨張キャビティのさまざまな部分は、シェルが好適な型または器具に位置付けられたときに、そして所望の膨張キャビティを画定するコアまたはインサート(図示せず)が、シェル内部の中に位置付けられた後、シェル内部に(たとえば、シェル壁に形成された開口を通して)好適な流動性フィラー材料(ポリマー等)を注入することによって、シェル内部の内側に形成される。フィラー材料の注入後、コアが取り除かれて、膨張キャビティが残る。この手順によって、膨張キャビティの容積に対するより高い度合の制御が可能になる。
【0025】
たとえば、
図11、9A及び9Cに示されるように、ピストン棒751は、中空シェルまたは管752を含む。シェル752は、金属材料または任意の他の好適な材料で形成されてもよい。そして、膨張キャビティ750bのさまざまな部分(たとえば、
図11に示されるような部分750b−1及び750b−2)は、環状プレナム602を画定し、(それらが取り除かれた後に)所望の膨張キャビティを画定するコアまたはインサート(図示せず)がシェル内部の中に位置付けられた後、シェル内部に好適な流動性フィラー材料600(ポリマー等)を注入することによって、シェル752の内部の内側に形成される。フィラー材料600を注入してプレナムを充填した後、コアが取り除かれて、管の内側に環状スリーブが残り、当該スリーブは、膨張キャビティ750bを形成するチャンバを含む。この手順によって、膨張キャビティの容積に対するより高い度合の制御が可能になる。
【0026】
流動性フィラー材料は、たとえばポリマー溶融体、未硬化かつ硬化性のポリマー材料、または任意の他の好適な材料を含み得る。好適な材料の一例は、ABS材料であり、これは周知のアクリロニトリル、ブタジエン、及びスチレンの共重合体である。ABS材料は、多様な周知の供給元のいずれかから、たとえば、Lake Orion、MichiganのPremier Plastic Resins,Inc.から入手し得る。これらの材料の性質は、たとえばhttp://www.absmaterial.com/で述べられている。他の好適な材料は、さまざまな配合またはグレードの液晶ポリマー(LCP)材料であり、これらは、たとえばWinona、MNのRTP Companyから入手し得る。これらの材料の性質は、たとえばhttp://www.rtpcompany.com/contact/で述べられている。製造者または販売者の推奨に準拠して、用いられる特定の材料が加工されて、冷却されるかまたは硬化されてもよい。
【0027】
図11、9A及び9Cに示された実施形態の別の態様では、アクチュエータを形成する方法によって製品が作られてもよく、当該方法は、中空管を設けるステップと、管の内部に少なくとも1つのコアを挿入して、管とコアとの間に環状プレナムを画定するステップと、環状プレナム内部にフィラー材料を位置付けし、それによって、フィラー材料からスリーブを形成して、その内部にチャンバを画定するステップと、チャンバからコアを取り除くステップとを含む。
【0028】
フィラー材料で管を充填した後、駆動ポケットは、膨張キャビティを形成するチャンバと流体連通して位置付けられ得る。駆動ポケットは、たとえば管に、またはフィラー材料に取り付け可能な駆動ポケットアタッチメントに形成されてもよい。
【0029】
フィラー材料を位置付けするステップは、ポリマー溶融体を含むフィラー材料を設けるステップと、環状プレナム内部に、ポリマー溶融体を挿入するステップと、ポリマー溶融体を冷却してポリマースリープを形成し、ポリマースリーブ内部にチャンバを画定するステップとを含み得る。
【0030】
代替的に、フィラー材料を位置付けするステップが、未硬化のポリマー材料を含むフィラー材料を設けるステップと、環状プレナム内部に、未硬化のポリマー材料を挿入するステップと、ポリマー材料を硬化させてポリマースリーブを形成し、ポリマースリーブ内部にチャンバを画定するステップとを含み得る。
【0031】
本方法は、アクチュエータハウジングを設けるステップと、ハウジング内部にピストン棒を位置付けるステップと、ハウジング内部にガス発生器を固定して、ガス発生器とハウジングとの間のガス密封止を形成し、かつガス発生器がチャンバと流体連通するようにするステップとをさらに含み得る。
【0032】
本明細書に記載された実施形態では、ある一定の設計パラメータの値、たとえばガス発生器のサイズ、ピストンとガス発生器14との間の間隔、及びピストン30またはアクチュエータ10の全長は、所望のピストン棒ストローク長さ、アクチュエータに対して許容可能なエンベロープサイズ等の要因、及び他の関係する要因によって決定されるかまたは制約されることがある。これらの要因は、ピストンとガス発生器との間の間隔、及びピストン/ピストン棒またはアクチュエータの全長が変更され得る度合(もしあれば)を制限することがある。しかしながら、可能であれば、全述したように、ピストンとガス発生器との間の間隔を変更させて、さまざまな空所(たとえば、本明細書に記載された空所100)の容積を変更するように、そしてそれに応じてアクチュエータの応答または性能特性を変更するようにしてもよい。
【0033】
図4を参照すると、アクチュエータ及びピストンの特定の実施形態では(たとえば、実施形態110、さらには
図6、6A及び7に示された実施形態では)、前述したようなピストン130及びピストン棒52は、単一のパーツとして、ピストン/ピストン棒の組み合わせ150に形成される。ピストン/ピストン棒150は、上述した実施形態における駆動ポケット30e、膨張キャビティ30x、及び壁30wと同様に、駆動ポケット150aと、駆動キャビティの端から延びて壁150cで終端する膨張キャビティ150bとを有する。膨張キャビティは、ガス発生器14に近接して位置付けられた端の反対に位置する駆動ポケットの端から延びる。壁150cは、たとえばピストン150の端に、止まり穴を方向Vに向かって穴あけすることによって画定され得る。膨張キャビティ150b内に膨張したガスは、壁150cを押圧して、ピストン150の方向Vへの移動を起こさせる(
図2)。
【0034】
ピストン/ピストン棒150は、ハウジング内部12eの中に摺動可能に位置付けられる。ピストン130は、外壁130bを備えるベース130aを有する。溝130cは、壁130bに形成されて、その内部にOリング40または他の好適な弾性ガス密封止を受けるように構成される。周知のようにして、Oリング40は、ハウジング壁12dの内表面に弾性的に摺接し、それによってピストン130と壁12dとの間の実質的なガス密封止を提供する。ピストン130が、ハウジング壁の内表面に接触しているOリング40を備えるハウジング12内に位置付けられると、前述したように、Oリングとハウジング壁との間の接触領域は、ピストンの高圧側P1とピストンの低圧側P2との間の境界を画定する。
【0035】
駆動ポケット150aは、中心軸L1に対して平行な軸に沿って、ガス発生器14に最も近いピストン/ピストン棒150の端表面150sから測定された深さdd1を有する。膨張キャビティ150bは、同じく中心軸L1に対して平行な軸に沿って、駆動ポケット150aの端から測定された深さdd2を有する。また、膨張キャビティ150bは、端表面150sからの総深さ、dd1+dd2=ddTまで延びる。
【0036】
駆動ポケット150aと、膨張キャビティ150bと、ガス発生器を取り囲み、ガス発生器14とピストン30との間に位置するハウジング内部の部分112zとがさらに組み合わせられて、ガス発生器14の作動の結果として生じるガス発生器燃焼生成物の膨張をその内部に受けるように構成されたチャンバまたは空所(全体として200で示される)を画定する。また、膨張キャビティ150bは、発生したガスの膨張を制限して流す働きをする。キャビティ150b内に膨張したガスは、壁150cを押圧して、ピストンの方向Vへの移動を起こさせる(
図2)。
【0037】
前述の実施形態に関して述べたように、ピストン/ピストン棒150の製造中、膨張キャビティ150bの寸法(深さdd2を含む)は、空所容積に影響を及ぼす他の設計パラメータとは無関係に調整され得る。膨張キャビティの寸法を、多様な所望の値のいずれかに変更して、それに応じて、アクチュエータの作動前の膨張キャビティ150bの容積を、ひいては空所200の総容積を増減してもよい。深さdd2は、たとえばピストンの全長及び深さdd1の寸法等の要因によって制限され得る。
【0038】
このように、前述したような、燃焼生成物の膨張(そして、ピストンに作用する圧力)に適応するように使用可能である、
図4の空所200の作動前の総容積は、膨張キャビティ150bの全体の寸法(深さdd2を含む)を、空所容積に影響を及ぼす他のパラメータとは無関係に制御することによって制御され得る。また、可能であれば、かつ前述したように、空所の他の構成要素(たとえば、駆動ポケット150aの全体の寸法(深さdd1を含む)及び/またはピストン/ピストン棒150とガス発生器14との間の初期の間隔を変更して、ガスを受ける空所の総容積を調整する支援としてもよい。
【0039】
特定の実施形態では、駆動ポケット150aあるいは膨張キャビティ150bを囲むピストン/ピストン棒150の最小壁厚さは、2ミリメートルである。
図5、6、及び6Aを参照すると、特定の実施形態では、かつ前述したように、ピストン230及びピストン棒252は、前述したように、単一のパーツとして、ピストン/ピストン棒の組み合わせ250に形成される。ピストン/ピストン棒250は、壁251及び深さdd1を有する駆動ポケット250aと、駆動ポケットの端から延びる膨張キャビティ250bとを有する。膨張キャビティ250bは、ガス発生器14に近接して位置付けられた駆動ポケットの端の反対に位置する駆動ポケットの端から延びる。本実施形態では、ピストン/ピストン棒250は、駆動ポケットの端から、駆動ポケット端の反対のピストン棒の端までずっと中空である。膨張キャビティ250bは、駆動ポケットの端から、ピストン棒252の長さに沿って延び、ピストン230に接合された端の反対に位置するピストン棒の端252eに近接する。プラグまたはキャップ300は、ピストン棒端252eに固定されて、プラグとピストン棒との間の実質的なガス密封止を形成し、それによって、ガス発生器の作動によって発生した膨張するガスを閉じ込めて、膨張キャビティの境界を画定する。膨張キャビティ250b内に膨張したガスは、プラグ300を押圧して、ピストン/ピストン棒250の方向Vへの移動を起こさせる(
図2)。
【0040】
図6及び6Aに示された特定の実施形態では、膨張キャビティ250bは、ピストン棒の第1及び第2の端の間に延びる連続的なキャビティを用いて形成される。膨張キャビティ250bは、部分250b−1と近接し、かつそれと流体連通している第1の部分250b−1及び第2の部分250b−2を有する。さまざまな膨張キャビティの部分を、棒材の一部を、たとえば周知の方法で、または任意の他の好適な方法によって穿孔することによって形成してもよい。キャビティの第1の部分250b−1は、前述したように、駆動ポケットの端からピストン棒の閉塞端に向かう第1の距離v1に延びる。プラグ300がピストン棒に固定されているため、キャビティの第2の部分250b−2は、キャビティの第1の部分250b−1から、プラグ300がピストン棒との封止を形成するところまでの第2の距離v2に延びる。このように、膨張キャビティ250bの全長は、v1+v2=vTである。そして、ピストン及びピストン棒内部に存在する空所の全長は、vT+d
drive(駆動ポケット250aの長さ)=vTTである。
【0041】
図6及び6Aに示される実施形態では、膨張キャビティの部分250b−1及び250b−2のいずれかの直径または最外寸法は、膨張キャビティの部分250b−1及び250b−2の他方の直径または最外寸法よりも大きいかあるいは小さい場合がある。
図6及び6Aに示された特定の実施形態では、膨張キャビティの第1の部分250b−1の直径は、膨張キャビティの第2の部分250b−2の直径よりも小さい。しかしながら、キャビティの部分250b−1及び250b−2の長さ及び直径(または最外寸法)の両方が、前述したように、他の設計パラメータとは無関係に調節されて、特定の用途の要件に従った総空所容積を提供することができる。
【0042】
図6及び6Aに示された実施形態に類似した別の特定の実施形態では、膨張キャビティは、一定の直径または最外寸法を有し、駆動ポケットの端からピストン棒の第2の端までずっと延びる連続的なキャビティを用いて形成される。本実施形態では、ピストン/ピストン棒250は、駆動ポケットの端から、駆動ポケット端の反対のピストン棒の端までずっと中空である。
【0043】
図6及び6Aに示された実施形態に類似した別の特定の実施形態では、膨張キャビティの部分250b−1及び250b−2の少なくとも1つは、キャビティ部分の軸方向長さの少なくとも一部に沿って先細りにされる。この構造は、膨張キャビティ容積に対し、膨張キャビティ部分を所定の長さ以内に制御することのさらなる柔軟性を提供する。
図10A〜10Dは、先細りにされた膨張キャビティ部分のさまざまな構造を示す。これらの実施形態は、
図4及び6Aに示された実施形態と概ね同様であり、そうでなければ本明細書に記載される。他の構造が、さらに考えられる。
【0044】
図10Aでは、ピストン/ピストン棒の組み合わせ350は、前述したように、駆動ポケット350a及び膨張キャビティ350bを有する。さらに、膨張キャビティ350bは、その一端に形成された先細り部350tを有する。
【0045】
図10Bに示される実施形態は、
図10Aに示された実施形態と類似しており、ピストン/ピストン棒の組み合わせ350は、駆動ポケット350a及び膨張キャビティの第1の部分350bを有する。膨張キャビティは、膨張キャビティ部分350bの端に形成された先細り部350cと、先細り部350cから延びてピストン棒の端に続くさらなる膨張キャビティ部分350fとをさらに有する。
【0046】
図10Cに示される実施形態では、ピストン/ピストン棒の組み合わせ350は、駆動ポケット350a及び膨張キャビティの第1の部分350bを有する。膨張キャビティは、膨張キャビティの部分350bの端に形成された先細り部350cと、先細り部350cから延びるさらなる先細り部350tとを有する。さらなる膨張キャビティの部分350fは、第2の先細り部350tから延びて、ピストン棒の端に続く。
【0047】
図10Dに示される実施形態では、ピストン/ピストン棒の組み合わせ350は、駆動ポケット350a及び膨張キャビティの第1の部分350bを有する。膨張キャビティは、第1の部分350bから延びてピストン棒の端に続く先細り部350rをさらに有する。
【0048】
また、可能であれば、かつ前述したように、空所他の構成要素(たとえば、全体寸法(駆動ポケット250aの深さdd1を含む)及び/またはピストン/ピストン棒250とガス発生器14との間の初期の間隔を変更して、ガスを受ける空所の総容積を調節する支援としてもよい。
【0049】
図7に示される実施形態では、ピストン/ピストン棒の組み合わせは、駆動ポケット250aのみを含み、別個の膨張キャビティは省略されている。ピストン棒252は、駆動ポケット250a近傍の中実部260aと、中空部の端から、ピストン230に接合された端の反対に位置するピストン棒の端252eに延びる中空部260b(たとえば、パーツ重さを低減させるために設けられる)とを有する。本実施形態では、駆動ポケットの容積は、アクチュエータ応答を制御するように調節される(すなわち、駆動ポケット単独で膨張キャビティとして機能する)。必要な場合に駆動ポケット容積に対して少しの調節を行う能力によって、それに応じて、中空のピストン軸を設ける必要なく、アクチュエータ応答に対して少しの調節を行うことが可能になる。
【0050】
特定の実施形態では、駆動ポケットは、ピストン及びピストン棒とは別個に形成された駆動ポケットアタッチメントに組み込まれる。駆動ポケットアタッチメントは、溶接、接着剤塗布、ねじ接続、または任意の他の好適な方法を用いて、ピストンまたはピストン棒に取り付けられる。
【0051】
たとえば、
図9Bに示された特定の実施形態では、駆動ポケット730eは、ピストン棒750とは別個に形成され、溶接、接着剤塗布、または任意の他の好適な方法を用いてピストン棒に取り付けられた駆動ポケットアタッチメント730に形成される。本実施形態では、駆動ポケットアタッチメント730は、本質的にピストンとして機能し、アタッチメント730が固定されるピストン棒750の部分は、中実である。
【0052】
図9Aに示された特定の実施形態では、駆動ポケット731eは、ピストン棒751とは別個に形成され、溶接、接着剤塗布、または任意の他の好適な方法を用いてピストン棒に取り付けられた駆動ポケットアタッチメント731に形成される。本実施形態では、駆動ポケットアタッチメント731は、本質的にピストンとして機能する。アタッチメント731は、ピストン棒の中空部750b内に延び、膨張キャビティの一部を画定する突起731pを含み、ピストン棒にアタッチメント731を位置付けて固定することを支援する。
【0053】
図9Cに示された特定の実施形態では、駆動ポケット731eは、
図9Aに示されたものに類似する駆動ポケットアタッチメント731に形成される。本実施形態では、駆動ポケットに当接する膨張キャビティの部分750bは、周知の方法で(たとえば、シェルの壁に形成された開口を通して)ピストン棒751の中空部に導入されたフィラー材料600(本明細書の他の部分に記載された通り)によって画定される。
【0054】
駆動キャビティを、ピストン及びピストン棒とは別個に形成された部品に組み込むことによって、駆動ポケット近傍の膨張キャビティの部分が、駆動ポケットの最外寸法の直径よりも大きい直径または最外寸法を有して形成されることが可能になる。
【0055】
図12は、本明細書に記載された別の実施形態による、ピストン/ピストン棒の組み合わせの概略断面側面図である。本実施形態では、穿孔または通路349は、ピストン棒の長さを通って、及び/またはピストン330の一部を通って延びる。膨張チャンバ350bは、プラグ990を穿孔349に沿って所望の場所に挿入して固定することによって形成され、それによって、膨張チャンバの対応する所望の容積を提供する。プラグ990は、ピストン棒に構成され、及び/またはそれに固定されて、それによってプラグと穿孔の壁との間に実質的なガス密封止が形成されるようにする。プラグは、穿孔壁との締りばめを形成してもよく、またはプラグは、任意の他の好適な方法を用いて、適所に固定されてもよい。プラグ990は、
図12において、ピストン/ピストン棒の組み合わせの端を基準にして場所p1に挿入され、それによって、膨張キャビティの限度を画定し、第1の所定の容積を有する膨張キャビティを提供して示される。しかしながら、所望であれば、プラグは、代替的に穿孔349に場所p2まで挿入されて、第1の容積とは異なる第1の所定の容積を有する膨張キャビティを提供してもよい。プラグ990は、任意の好適な材料から形成されてもよい。プラグ990を、穿孔349の長さに沿って任意の所望の場所に位置付ける能力によって、膨張チャンバ容積に対するより高い度合の制御が提供される。
【0056】
図8は、本明細書に記載された実施形態による調節可能な膨張キャビティを含むアクチュエータ10を利用するか又は含む、車両880に設置された、フード持ち上げ装置を組み込んだ歩行者保護システム900の一部の概略図である。歩行者保護システム900の実施形態では、車載センサ810は、車両と歩行者(図示せず)の間の接触を検出する。この検出された接触に応答して、フード持ち上げ機構10に作動信号が送信され、その結果ガス発生器を作動させるか、そうでなければハウジング12の内部に加圧ガスを放出して、前述したように、ピストン棒50のハウジングからの延伸を引き起こす。そして、延伸したピストン棒50は、車両用フード902の一部を引き上げる。フード持ち上げ作動信号は、センサ810から、またはセンサ810からの車両−歩行者接触信号を受信して、それに応答して作動信号を発生させる、好適に構成されたコントローラ(図示せず)から送信されてもよい。
【0057】
このように、本発明の実施形態を説明したが、同様のものが、多くのやり方で変更されてもよいことが明らかであろう。そのような変形は、本発明の本質及び範囲からの逸脱として見なされるものではなく、そのような、当業者によって理解されるであろうすべての変更は、以下に続く請求項の範囲内に含まれることが意図される。