特許第6637503号(P6637503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6637503
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】複合材料用のエポキシ系樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/24 20060101AFI20200120BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20200120BHJP
   C08G 59/38 20060101ALI20200120BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20200120BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20200120BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20200120BHJP
   B32B 27/04 20060101ALI20200120BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20200120BHJP
【FI】
   C08G59/24
   C08G59/50
   C08G59/38
   C08L63/00 A
   C08J5/04CFC
   C08J5/24
   B32B27/04 Z
   B32B27/38
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-531699(P2017-531699)
(86)(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公表番号】特表2018-500423(P2018-500423A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】US2015065651
(87)【国際公開番号】WO2016100244
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年9月14日
(31)【優先権主張番号】62/092,448
(32)【優先日】2014年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516100285
【氏名又は名称】サイテック インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ボノー, マーク リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ビヨー, クロード
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−127421(JP,A)
【文献】 特表2015−508125(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/130378(WO,A1)
【文献】 特表2014−501835(JP,A)
【文献】 特開2011−016985(JP,A)
【文献】 特開2013−080931(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103140536(CN,A)
【文献】 特表2010−525102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G59/00−59/72
C08L63/00−63/10
B32B 1/00−43/00
C08J 5/04− 5/10
C08J 5/24
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ成分であって:
(i)以下の構造(I)によって表わされるビスフェノールF二官能性エポキシ:

(ii)以下の構造(II)によって表わされるアントラシル化合物:

;及び
(iii)三官能性エポキシ
を含む、エポキシ成分と、
(B)ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、末端アミン基を有するPES−PEESコポリマーから選択される熱可塑性ポリマーと、
(C)アミン含有硬化剤と
を含み、
エポキシ成分の100重量部につき、三官能性エポキシが30部未満の量で存在し、二官能性エポキシがアントラシル化合物より多い量で存在し、
アミン含有硬化剤に対するエポキシ成分の比が、エポキシド基1モルにつき0.7〜0.8モルのアミン−水素基が存在するようなものである、
硬化性エポキシ系樹脂組成物。
【請求項2】
三官能性エポキシ樹脂が以下の構造(III):

によって表わされる、請求項1に記載の硬化性エポキシ系樹脂組成物。
【請求項3】
アミン含有硬化剤がジアミノジフェニルスルホン(DDS)又はフルオレンアミンである、請求項1に記載の硬化性エポキシ系樹脂組成物。
【請求項4】
二官能性エポキシに対するアントラシル化合物の重量比が0.4〜0.6である、請求項1に記載の硬化性エポキシ系樹脂組成物。
【請求項5】
エポキシ成分100重量部につき:
49〜51部の二官能性エポキシ、
24〜26部のアントラシル化合物、及び
23〜25部の三官能性エポキシ樹脂
を含む、請求項1に記載の硬化性エポキシ系樹脂組成物。
【請求項6】
熱可塑性ポリマーが、末端アミン基を有するPES−PEESコポリマーである、請求項1から5のいずれか一項に記載の硬化性エポキシ系樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の硬化性エポキシ系樹脂組成物に埋め込まれた又は同硬化性エポキシ系樹脂組成物を注入した強化繊維を含む複合材料。
【請求項8】
強化繊維が:炭素繊維、アラミド繊維、及びファイバーグラス繊維から選択される、請求項7に記載の複合材料。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の硬化性エポキシ系樹脂組成物を含浸させた一方向性繊維を含むプリプレグ。
【請求項10】
一方向性繊維が:炭素繊維、アラミド繊維、及びファイバーグラス繊維から選択される、請求項9に記載のプリプレグ。
【請求項11】
積層配列に配置されて、各々が請求項1から6のいずれか一項に記載の硬化性エポキシ系樹脂組成物を含浸させた一方向性繊維を含む複数のプリプレグを含む複合積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年12月16日出願の米国仮特許出願第62/092448号の利益を主張し、参照によりその開示内容全体が本明細書に包含される。
【背景技術】
【0002】
ポリマーマトリックス複合(PMC)材料は、多数の用途に広く使用されている。例えば、このような複合材料は、航空機の部品といった高性能航空宇宙構造及び自動車において、金属に代わる高強度で軽量の材料としてその使途を拡大している。PMC材料は、炭素、ガラス及びアラミド繊維といった、ポリマーマトリックス材料に埋め込まれた強化繊維を含有する。PMC材料は、良好な機械特性(例えば、強度、剛性、靱性)を呈するだけでなく、広い加工温度窓及び製造容易性を実現するもので、そのため航空宇宙用途によく適している。
【0003】
繊維強化複合材料の生産方法には、シート状強化用繊維に未硬化のマトリックス樹脂を含浸させることによりプリプレグを形成する方法が含まれる。この方法はしばしば「プリプレグ化(prepregging)」法と呼ばれる。プリプレグの複数のプライを積層し、圧密化し、その後硬化させて複合部品を形成する。別法では、複合部品は、樹脂トランスファ成形(RTM)法を用いて形成され、これは、鋳型内又は鋳型上に配置された強化用繊維のプリフォーム中に液体樹脂を注入すること、及びそれに続いて樹脂注入プリフォームを加熱して樹脂を硬化させることを含む。
【0004】
PMC材料に使用されるマトリックス樹脂として、その高い耐溶剤性及び耐熱性により、熱硬化性樹脂が主に使用される。エポキシ樹脂と強化用繊維の間の接着性及び得られる複合材料の強度及び剛性といった機械的特性のために、多くの場合エポキシ樹脂が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
プリプレグ特性及び結果として得られる複合材構造の品質は、プリプレグから作製されて結果として得られる複合構造の品質及び特性を操作するために制御することができる。
【0006】
考慮される複合材料を特徴付ける応力の状態、形状及び境界条件に応じて、複合材料の作製には様々な設計考慮が使用されうる。そのような一つの設計考慮はノッチ特性である。ノッチ特性は、設計される複合部品が締結具を受ける穴を含むとき、極めて重要である。ノッチ特性は、複合材料自体の耐荷重領域に穴が開けられた後、所与の複合材料の荷重担持能を測定する。このようなノッチ特性を測定するための一つの方法は、有孔引張(OHT)強度試験、例えば、ASTMD5766であり、これは、繊維強化ポリマー複合材の引張強度に対する穴の影響を決定するための十分に確立された静的方法である。
【0007】
有孔引張特性は、主に炭素繊維の強度の影響を受け、硬化した樹脂マトリックスによる影響は小さい。これは、硬化した樹脂マトリックスが支配的な有孔圧縮とは逆である。所与の繊維について、配合された樹脂マトリックス特性を操作して、OHT又はOHCを増大させることができるが、これらの特性の一方を、他方に悪影響を与えずに改善できることはまれである。
【0008】
多くの複合部品においてOHT及びOHCの両方が重要であり、一方の特性を達成するために他方が低下することは望ましくない。上部及び下部の翼外板を有する航空機の翼のように、複合部品が曲げられる場合、一方の側が引っ張られ、他方の側が圧縮されることになる。引張強度の増大が重要である別の例は、内部が加圧される複合材貯蔵タンクである。
【0009】
本明細書に開示されるのは、強化繊維と組み合わせ、次いで硬化させると、靱性に優れ且つ高いOHTを呈し、航空宇宙用途に特に適した硬化製品/構造を形成することのできる硬化性エポキシ系樹脂組成物である。複合構造にこのような組成物を組み込むことにより、OHC特性に悪影響を与えることなくOHT特性を上昇させることができる。
【0010】
エポキシ系樹脂組成物
本発明の一実施態様によれば、エポキシ系樹脂組成物は:
(A)エポキシ成分であって:
(i)以下の構造(I)によって表わされるビスフェノールF二官能性エポキシ:
(ii)以下の構造(II)によって表わされるアントラシル化合物:
;及び
(iii)三官能性エポキシ
を含む、エポキシ成分と、
(B)熱可塑性ポリマーと;
(C)アミン含有硬化剤と
を含有し、
エポキシ成分の100重量部につき、三官能性エポキシが30部未満、好ましくは20〜29部の量で存在し、二官能性エポキシがアントラシル化合物より多い量で存在する。
【0011】
アントラシル化合物は、二つのエポキシド官能基を有する固有のモノマーであり、且つエポキシ様である。アントラシル化合物が、適切な適用及び条件下において、硬化樹脂及び硬化樹脂から形成される硬化複合材料の機械特性を修正できることが発見された。この予期せぬ発見は、成分(A)から(C)の特定の化学量論比におけるOHTの増加である。
【0012】
一実施態様によれば、エポキシ成分(A)は、エポキシ成分の100重量部につき:
49〜51部の二官能性エポキシ、
24〜26部のアントラシル化合物、及び
23〜25部の三官能性エポキシ樹脂
を含有する。
【0013】
熱可塑性ポリマー(B)は、エポキシ成分100部につき、20から60部、好ましくは25から35部の量で存在し、一実施態様では、エポキシ成分100部につき30部の量で存在する。
【0014】
好ましい一実施態様では、組成物中のアミン硬化剤(D)の量は、総エポキシ当量の70%から90%、好ましくは75%から80%である。換言すれば、エポキシ成分に対するアミン含有硬化剤の比は、エポキシド基1モルについて、アミン−水素基が0.7〜0.9モル、好ましくは0.75−0.8モル存在するようなものである[即ちエポキシは、化学量論量未満のアミンと組み合わせられる]。
【0015】
多くの場合、反応性エポキシ基の量は、1:1の比で、同量のアミン反応基で硬化するように設計される。これにより、最大のエポキシ変換に最速の反応速度が保証される。これよりも少ないアミン硬化剤の量又はこれよりも低い化学量論比では、過剰なエポキシが、もっと遅い速度で依然として単独重合(即ち、自己硬化)により硬化するであろう。結果として、本発明のエポキシ樹脂組成物は、より高いアミン/エポキシ化学量論比を有するコントロールと比較して、それよりも低いアミン/エポキシ化学量論比下において良好なOHTの結果を産むことが分かった。
【0016】
適切な三官能性エポキシ樹脂(三つのエポキシド基を含有)には:
4−グリシジルオキシ−N,N−ジグリシジルアニリン(Huntsman Advanced MaterialsからAraldite(登録商標)MY0510として市販);
3−グリシジルオキシ−N,N−ジグリシジルアニリン(Huntsman Advanced MaterialsからAraldite(登録商標)MY0610として市販)
が含まれる。
【0017】
熱可塑性樹脂成分がエポキシ系樹脂組成物に添加されて、衝撃後の圧縮強度(CAI)及びG1c 破壊靱性などの、より高いレベルの靱性が付与される。破壊靱性は、ひずみエネルギー解放率(G)として定量化することができ、これは新しくつくられる破壊表面積の単位当たりの、破壊時に放出されるエネルギーである。GにはG1cが含まれる(モード1−開口モード)。下付きの「1c」は、モードIの亀裂開口を意味し、これは亀裂に直交する垂直引張応力下において形成される。
【0018】
適切な熱可塑性ポリマーは:ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、末端アミン基を有するPES−PEESコポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される。一実施態様では、末端アミン官能基を有するPES−PEESコポリマーが熱可塑性成分として使用される。このようなPES−PEESコポリマーの製造は、米国特許第6437080号に開示されている。このPES−PEESコポリマーの使用は、樹脂組成物の粘性を向上させることが分かっており、これにより、処理、製造能及びプリプレグの取り扱いが改善されうる。
【0019】
適切なアミン硬化剤(curing agent)(又は硬化剤(curative))には、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)及び4,4′−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS)を含むジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミン;及び9,9−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)フルオリン(CAF)などのフルオレンアミン、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0020】
樹脂組成物は、本明細書に説明されるように、未硬化又は硬化樹脂の、機械的特性、レオロジー特性、電気的特性、光学的特性、化学的特性、及び/又は熱的性質のうちの一又は複数に作用する、少量の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤は、エポキシ樹脂と化学的に反応する物質、その成分と相互作用する物質、又は成分に対して非反応性の物質をさらに含みうる。添加剤の例には、限定されないが、損傷耐性、靱性、耐摩耗性のうちの一又は複数を強化する、強靭化粒子(例えば熱可塑性又はエラストマー粒子、コアシェルゴム粒子)、難燃剤、紫外線(UV)安定剤、酸化防止剤、着色剤、及び無機充填剤(例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、金属粒子)が含まれる。
【0021】
複合材料
本明細書に記載されるエポキシ系樹脂組成物は、複合材料、特にプリプレグを作製するために適している。この文脈における複合材料は、繊維強化樹脂複合材を指し、これはマトリックス樹脂に埋め込まれた強化樹脂からなる。本明細書で使用される用語「プリプレグ」は、硬化性マトリックス樹脂を含浸させた一層の繊維材料を指す。繊維強化材料は、織布又は不織布のプライの形態とするか、又は一方向性のテープの形態とすることができる。「一方向性テープ」は、シート状の構成において同じ方向に整列した一層の強化繊維を指す。本明細書で使用される用語「プリプレグレイアップ」は、積層配列にレイアップされた複数のプリプレグプライを指す。例として、プリプレグプライの数は2〜100、又は10〜50とすることができる。
【0022】
複数の硬化性プリプレグプライは、積層配列に、手作業で又はAutomated Tape Laying(ATL)のような自動化された方法により、レイアップすることができる。レイアップ内部のプリプレグプライは、互いに対して選択された配向に配置することができる。例えば、プリプレグのレイアップは、レイアップの最大寸法、例えば長さに対して選択された角度θ、例えば0°、45°、又は90°に配向された繊維を有する、一方向繊維アーキテクチャを有するプリプレグプライを含む。特定の実施態様では、プリプレグが、一方向に整列した繊維、多方向性の繊維、及び織布などの、どのような繊維アーキテクチャの組み合わせをも有しうることをさらに理解されたい。
【0023】
プリプレグは、連続的な一方向性繊維又は織布に、本明細書に開示される硬化性樹脂組成物を注入するか又は含浸させて、積層可能な接着性の材料シートを形成することにより、製造することができる。これはしばしばプリプレグ化法と呼ばれる。また、1平方メートル当たりの繊維の容積を、要件に応じて特定することができる。繊維面積重量(FAW)は、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)として測定される。いくつかの実施態様の場合、繊維の各面に適用される樹脂フィルムは、10〜200gsmのフィルム重量を有し、布は布面積重量(FAW)100〜600gsmを有する。
【0024】
用語「含浸」は、硬化性マトリックス樹脂材料を強化繊維に導入し、繊維を樹脂で部分的に又は完全に包み込むことを指す。プリプレグをつくるためのマトリックス樹脂は、樹脂フィルム又は液体の形態をとることができる。さらに、マトリックス樹脂は、結合前は硬化可能/未硬化状態である。含浸は、加熱及び/又は加圧により促進されうる。
【0025】
例として、含浸法には:
(1)溶融した含浸用のマトリックス樹脂組成物の(温)浴槽に繊維を連続的に通し、繊維を完全に又は実質的に完全に湿らせること;又は
(2)一番上と下の樹脂フィルムを、平行に配置された連続的な一方向性繊維又はファブリックプライに対して押し付けながら、80℃から300℃の範囲内の温度で加熱すること
が含まれる。
【0026】
複合基材(例えばプリプレグ)中の強化繊維は、チョップドファイバー、連続的繊維、フィラメント、トウ、束、シート、プライ、及びこれらの組み合わせの形態を取ることができる。連続的繊維はさらに、一方向性(一方向に整列)、多方向性(異なる方向に整列)、不織、織、編み、ステッチ、巻、及び編み組みの構成と、スワールマット、フェルトマット、及びチョップドマット構造のいずれかを採用することができる。織物繊維構造は、各々が複数のフィラメント、例えば数千のフィラメントからなる複数の織物トウを含むことができる。さらなる実施態様では、トウは、クロストウステッチ、よこ糸挿入編みステッチ、又は少量の樹脂結合剤、例えば熱可塑性樹脂により所定の位置に保持される。
【0027】
繊維材料には、限定されないが、ガラス(電気用又はEガラスを含む)、炭素、グラファイト、アラミド、ポリアミド、高モジュラスポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリ−p−フェニレン−ベンゾキサゾール(PBO)、ホウ素、石英、玄武岩、セラミック、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0028】
航空宇宙及び自動車のための高強度複合材料といった高強度複合材料の作製のために、強化用繊維は3500MPaを上回る引張強度を有することが好ましい。
【実施例】
【0029】
実施例1
エポキシ樹脂組成物を、以下の表1に示す配合組成に従って調製した。成分A〜Eの量は重量部で示される。
【0030】
Huntsman Advanced Materialsにより供給された
Mitsubishi Chemical Corporationにより供給された
Huntsman Advanced Materialsにより供給された
【0031】
プリプレグ試料を、表1の樹脂配合組成を用いて調製した。エポキシ樹脂A、B、Cを混合し、華氏約150度に加熱した。次いで熱可塑性プラスチックDを加え、分散させて、混合物を華氏255度に加熱することにより溶解した。熱可塑性プラスチックが溶解したら、混合物を華氏165度まで冷却した。すると硬化剤成分Dは混合物中にスラリー化した。樹脂を凍結して樹脂の前進を最小化した。一般的なホットメルト処理装置を用いてフィルムコーティングとプリプレグ処理を実行した。これらの実験を行うために、単一の樹脂配合組成を華氏180度(82oC)で剥離紙上にコーティングし、二つの均等な長さのフィルムに割く二フィルム法が用いられた。ホットメルトプリプレグ化装置の使用により、樹脂フィルムは、一方向性炭素繊維の上下に同時に適用された。炭素繊維の標的FAWは145gsmであり、標的樹脂含有量は33%であった。ホットメルトプリプレグ化装置には、華氏230度(130oC)の加熱プレート上を前後に移動するローラー付き移動スレッドが含まれた。得られるプリプレグの圧密化を促進するために、この後に3のニップを続けた。複合パネルは、24のプリプレグプライを、配向[+/90/−/0]3Sに従ってレイアップすることにより作製され、オートクレーブ内の減圧下において3時間華氏350度(176.7oC)で硬化される14x14インチのパネルが生成された。
【0032】
OHT試験片を、14×14インチの硬化パネルから12×1.5インチの試片を切断することにより形成した。0.25インチの穴を各試験試片の中心に穿孔した。試片を、張力下で装填又はクランプし、室温で1分間に0.5インチの速度で試験した。
【0033】
有孔圧縮のためのデータを取得するために(OHCq−HW 180°F), 硬化した複合材料の12×1.5インチの試験試片を上述のようにして作製した。0.25インチの穴を各試験試片の中心に穿孔した。試片を、華氏160度の湿度チャンバー内で水につけた状態で14日間調整した。次いで試片を装填し、室温で及び華氏180度で1分間に0.5インチの速度で試験した。
【0034】
結果として、配合組成4は、コントロール配合組成1〜3と比較して最も高いOHT強度を有した。コントロール3及び本配合組成の結果は、成分A及びB両方の存在により、アントラシルジ−エポキシ(成分B)を含有しないコントロール1及び2と比較してそれよりも高いOHT強度が生成されることを示すものである。しかしながら、コントロール3は、三官能性エポキシ(成分C)の高い含有量と、高い硬化剤/エポキシ化学量論比を有し、改善された好ましい組成である配合組成4と比較して、結果的により低いOHT強度を有した。
【0035】
実施例2
比較のために、実施例1において上述したものと同じ方法により、表2に開示の樹脂配合組成を用いてプリプレグ試料を調製した。成分B〜Eの量は重量部で示される。
【0036】
3、4Huntsman Advanced Materialsにより供給された
Sumika Excelにより供給された
【0037】
表2の樹脂配合組成は、表1の樹脂配合組成に含まれるようなビスフェノール−F二官能性エポキシ(成分A)を含有せず、且つ硬化剤/エポキシ化学量論比が高い。樹脂配合組成5〜7のOHT数が、表1の配合組成4から得られる硬化複合材に得られるもの程高くないことに注目されたい。