【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明は、
ブリードガスとして知られている、排気ガスの少なくとも一部をブリードオフし、前記ブリードガスを大気圧より低い圧力の膨張ガスになるように膨張させるように適合された、回収軸を中心に回転可能に取り付けられたタービンと、
冷熱源を使用して、前記膨張ガスを冷却ガスになるように冷却するように適合された第1の熱交換器と、
前記冷却ガスを大気圧まで圧縮するように適合された、前記回収軸を中心に回転可能に取り付けられた圧縮機と、
冷熱源を第1の熱交換器に送るように構成されたファンであって、回収軸に回転駆動されるファンと、
を備える、少なくとも1つのターボシャフトエンジンからの排気ガスからのエネルギ回収システムに関する。
【0014】
したがって、本発明によるシステムは、少なくとも1つのターボシャフトエンジンからの排気ガスからエネルギの少なくとも一部を回収することを可能にし、これは、従来技術とは異なり、オフセットして実施される。これは、この場合は、ターボシャフトエンジンの排気管に熱交換器が位置する従来技術よりもより良好な条件で、熱交換器によって熱交換を実施するために、排気ガスの一部がブリードオフされるからである。排気ガスをブリードオフすることができるタービンは、排気ガスの圧力を下げることもでき、したがって、排気ガスの温度を下げることができる。したがって、熱交換器はより低い圧力およびより低い温度を受けて、より優れた熱交換効率を有する材料の使用が可能になる。同様に、タービンと圧縮機との間を循環するガスの圧力が低く、大気圧より低いことは、一般にこれらのガスによるエネルギ回収システムの構成要素への内部応力を制限する。
【0015】
好ましくは、主に高温ガスを取り除くことによって良好なレベルの効率を維持するために、エネルギ回収システムは排気ガスのすべてをブリードオフはせず、ブリードオフされる排気ガスの割合は、排気ガスを排出することができるターボシャフトエンジンの排気管の空気力学に依存する。ブリードオフは、排気管の屈曲部で有利に実施されることができる。たとえば、この種の屈曲部は、一般にヘリコプタに取り付けられたターボシャフトエンジンの排気管内に存在する。
【0016】
排気ガスから回収されるエネルギは、排気ガスがタービンを通過して回収軸に送られるときに発生する機械的エネルギと、第1の熱交換器によって冷却された排気ガスを圧縮するために圧縮機を回転駆動するために、回収軸によって消費されるエネルギとの間の差から生じる。交換器に冷熱源を送るのに必要とされるエネルギは、必要に応じて、この回収エネルギから取られてもよい。したがって、回収エネルギは、回収軸によって伝達される機械的エネルギの形で使用されることができる。回収軸は、さらに、たとえば、リレーボックスを介して他の軸に連結されて、これらの他の軸にさらなる機械的エネルギを供給する。回収軸で回収されるエネルギを使用可能な軸は、たとえば、ターボシャフトエンジンのフリータービンの軸、ターボシャフトエンジンのガス発生器の軸、ヘリコプタのメイン・トランスミッション・ボックスの軸、ヘリコプタのテールロータに連結された後軸などである。回収軸で回収されるこのエネルギは、機械的エネルギの形であるが、続いて別の(電気的、空気的などの)形に変換されることができる。
【0017】
さらに、排気ガスのブリードオフ部分は、ターボシャフトエンジン内に圧力損失を生じさせない。ターボシャフトエンジンの排気管に交換器が位置した従来技術とは異なり、タービンによる排気ガスのブリードは、ターボシャフトエンジンの通常動作を阻害せず、したがって、圧力損失を制限する。加えて、エネルギ回収システムのいかなる故障も、ターボシャフトエンジンの動作に影響を及ぼすことはなく、その排気ガスのすべてが排気管を通って排出される。さらに、エネルギ回収システムは、このようにして既存のターボシャフトエンジンに適合され、これが設置されているターボシャフトエンジンの動作点のいかなる変更も必要とせず、したがって、その性能に影響を及ぼさない。
【0018】
有利には、本発明によるシステムは、第1の熱交換器に入る前に膨張ガスの予備冷却を実施するように適合された第2の熱交換器を備える。
【0019】
本発明のこの態様によれば、第2の交換器により、第1の熱交換器に入る前に排気ガスの温度を下げることができるようになって、第1の熱交換器の温度制約のさらなる軽減が可能になり、したがって、第1の熱交換器は、より効率的な材料および縮小されたサイズによって、高い熱交換性能を可能にするように設計されることができる。有利には、かつ本発明によれば、第1の交換器に使用される材料はアルミニウムであり、軽減した重量(約2700kg/m
3の密度)に対する良好な熱交換性能(約150W/m/℃の熱伝導率)間の良好な妥協が可能になる。
【0020】
有利には、本発明によるシステムは、第1の熱交換器に入る前に膨張ガスの予備冷却を実施するように適合された外気取入口を備える。
【0021】
本発明のこの態様によれば、空気取入口により、膨張ガスが、その温度を下げるために、外部からの空気と混合することができるようになる。空気取入口を通した外気の注入は、膨張ガスが外気の大気圧より低い圧力であることによって容易になる。このようにして冷却されたガスは、第1の交換器に送られる。空気取入口は、前述の第2の交換器に取って代わるか、またはこれを補うことができる。
【0022】
有利には、本発明によるシステムは、複数のターボシャフトエンジンから発生する排気ガスをブリードオフするために、タービンを複数の排気管に連結する複数のダクトを備える。
【0023】
本発明のこの態様によれば、単一のエネルギ回収システムは、複数のターボシャフトエンジンから発生する排気ガスのエネルギの一部の回収を可能にする。
【0024】
本発明はまた、本発明によるエネルギ回収システムを装備したターボシャフトエンジンに関する。
【0025】
本発明によるターボシャフトエンジンは、エネルギ回収システムによる、排気ガスに含まれる熱の形のポテンシャルエネルギの一部の回収によって、より優れた動作の全体効率を可能にする。
【0026】
有利には、本発明によるターボシャフトエンジンは、ガス発生器軸に回転駆動されるガス発生器をさらに備え、回収軸がガス発生器軸に連結されている。
【0027】
本発明のこの態様によれば、エネルギ回収システムによって回収された機械的エネルギは、ガス発生器軸で使用され、それによってターボシャフトエンジンの性能を向上させる。エネルギ回収システムの故障の場合に、ガス発生器は正常に動作することができ、唯一の結果は、ターボシャフトエンジンの性能が低下することである。
【0028】
有利には、本発明によるターボシャフトエンジンは、フリータービン軸を回転駆動するフリータービンをさらに備え、回収軸がフリータービン軸に連結されている。
【0029】
本発明のこの態様によれば、エネルギ回収システムによって回収された機械的エネルギは、たとえばプロペラの回転を駆動するよう意図された、フリータービン軸で使用され、それによってターボシャフトエンジンの性能を向上させる。エネルギ回収システムの故障の場合に、ガス発生器は正常に動作することができ、唯一の結果は、ターボシャフトエンジンの性能が低下することである。
【0030】
本発明はまた、本発明によるターボシャフトエンジンを備えるヘリコプタに関する。
【0031】
有利には、かつ本発明によれば、ヘリコプタは後軸に駆動されるテールロータをさらに備え、回収軸が前記後軸に連結されている。
【0032】
本発明はまた、
排気ガスの少なくとも一部をブリードオフするステップと、
ブリードオフステップでブリードオフされた排気ガスを膨張させるステップと、
膨張ステップで膨張された排気ガスを冷却するステップと、
冷却ステップで冷却された排気ガスを圧縮するステップと、
を有する、ターボシャフトエンジン排気ガスからのエネルギ回収方法に関する。
【0033】
有利には、本発明によるエネルギ回収方法は、本発明によるエネルギ回収システムによって実施される。
【0034】
有利には、本発明によるエネルギ回収システムは、本発明によるエネルギ回収方法を実施する。
【0035】
本発明はまた、上記または下記の特徴の全部または一部による組み合わせを特徴とする、エネルギ回収システム、エネルギ回収方法、ターボシャフトエンジン、およびヘリコプタに関する。
【0036】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、全く非限定的に与えられ、添付の図面を参照する、以下の説明を読めば明らかになるであろう。