(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6637512
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】パワーアシスト折り畳みナイフ
(51)【国際特許分類】
B26B 1/04 20060101AFI20200120BHJP
【FI】
B26B1/04
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-537947(P2017-537947)
(86)(22)【出願日】2015年1月19日
(65)【公表番号】特表2018-503443(P2018-503443A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】CN2015071002
(87)【国際公開番号】WO2016115658
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年12月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515196791
【氏名又は名称】杭州巨星工具有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】515196805
【氏名又は名称】杭州巨星科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイイ ワン
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0167647(US,A1)
【文献】
米国特許第06079106(US,A)
【文献】
中国実用新案第201432308(CN,Y)
【文献】
中国特許出願公開第103707325(CN,A)
【文献】
特開2005−185800(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0208595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーアシスト折り畳みナイフであって、
ブレードホルダと、
ブレードホルダ内に配置されたブレードと、
前記ブレードホルダに回転可能に連結されたハンドルと、
前記ブレードホルダを展開位置及び/又は折り畳み位置にロックするためのロック機構と、を含み、
前記パワーアシスト折り畳みナイフは、
パワーアシスト折り畳みナイフを展開するときに補助力を提供するための、ブレードホルダおよびハンドルに接続された補助機構を含み、
前記補助機構は鋼線であり、
前記ブレードホルダが、第1の部分と第2の部分とを含み、鋼線が、第1の部分と第2の部分との間に配置され、
ブレードホルダの第1の部分が第1の円弧状のスロットを備えて配置され、第1の円弧状のスロットの軸が第1の回転軸と一致し、第1の回転軸はブレードホルダとハンドルの回転軸を参照し、鋼線の第1の端部には第1の円弧状スロットを通過する第1の湾曲部が設けられ、ハンドルの開口部に埋め込まれる、ことを特徴とする、パワーアシスト折り畳みナイフ。
【請求項2】
ブレードホルダの第2の部分の一方側はブレードの方を向き、スロットが設けられ、鋼線の第2の端部にはスロットに埋め込まれた第2の湾曲部分が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のパワーアシスト式折り畳みナイフ。
【請求項3】
パワーアシスト折り畳みナイフの展開プロセスの間、鋼線の弾性力によって生成されたトルクが、ブレードホルダおよびハンドルを展開側に回転させることを可能にし、鋼線の第2の端部が第1の端部と第1の回転軸との接続線の延長線を通過した後に展開方向に移動し、パワーアシスト折り畳みナイフを展開するための補助力を提供することを特徴とする請求項2に記載のパワーアシスト折り畳みナイフ。
【請求項4】
パワーアシスト折り畳みナイフの折り曲げ工程の間に、鋼線の弾性力によって生成されるトルクが、ブレードホルダおよびハンドルを、鋼線の第2の端部が第1の端部と第1の回転軸の接続線の延長線を通過した後に折り畳み方向に回転させることを可能にし、パワーアシスト折り畳みナイフのセルフロックを実現することを特徴とする請求項2に記載のパワーアシスト折り畳みナイフ。
【請求項5】
ブレードホルダの第1の部分と第2の部分が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーアシスト折り畳みナイフ。
【請求項6】
前記ロック機構はサイドロックまたはバックロックであることを特徴とする請求項1に記載のパワーアシスト折り畳みナイフ。
【請求項7】
ブレードホルダのブレード取付部分が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーアシスト折り畳みナイフ。
【請求項8】
パワーアシスト折り畳みナイフは、さらに前記ブレードホルダに配置された、ブレード押しピンを含むことを特徴とする請求項1に記載のパワーアシスト折り畳みナイフ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はハンドツールに関し、特にパワーアシスト折り畳みナイフに関する。
【0002】
折り畳みナイフは、通常、展開するためには2本の手を必要とし、比較的大きな力を必要とする。当業者は、折り畳みナイフの展開を容易にし、片手で操作できるように、補助機構を使用したパワーアシスト式折り畳みナイフを提供するように努めている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、折り畳みナイフの展開を容易にし、かつ片手で操作できるように、折畳みナイフを展開する際に補助力を提供する補助機構を用いたパワーアシスト式折り畳みナイフを提供することである。パワーアシスト折り畳みナイフには、折り畳みナイフの安全な使用を確実にするために展開位置にブレードホルダをロックするロック機構が設けられている。
【0004】
本発明は、パワーアシスト折り畳みナイフを提供し、それは、ブレードホルダと、ブレードホルダ内に配置されたブレードと、ブレードホルダに回転可能に連結されたハンドルと、ブレードホルダを展開位置及び/又は折り畳み位置にロックするためのロック機構と、を含み、パワーアシスト折り畳みナイフは、さらに、パワーアシスト折り畳みナイフを展開するときに補助力を提供するための、ブレードホルダおよびハンドルに接続された補助機構を含むことを特徴とする。
【0006】
さらに、ブレードホルダは、第1の部分と第2の部分とを含み、鋼線は、第1の部分と第2の部分との間に配置される。
【0007】
さらに、ブレードホルダの第1の部分には、第1の円弧状のスロットが配置され、第1の円弧状のスロットの軸線は第1の回転軸と一致し、第1の回転軸はブレードホルダおよびハンドルの回転軸を参照し、鋼線の第1の端部には、第1の円弧状スロットを貫通しハンドルの開口に埋め込まれた第1の湾曲部が設けられている。
【0008】
さらに、ブレードホルダの第2の部分の一方側は、ブレード側に面し、スロットが設けられ、鋼線の第2の端部にはスロットに埋め込まれた第2の湾曲部が設けられている。
【0009】
さらに、パワーアシスト折り畳みナイフの展開過程において、鋼線の弾性力によって発生するトルクにより、鋼線の第2の端部が第1の端部と第1の回転軸と接続線の延長線を通過した後に、ブレードホルダ及びハンドルが展開方向に回転することが可能となり、パワーアシスト折り畳みナイフを展開するための補助力を提供する。
【0010】
さらに、パワーアシスト折り畳みナイフの折り畳み中に、鋼線の弾性力によって生成されたトルクが、鋼線の第2の端部が第1の端部および第1の回転軸との接続線の延長線を通過した後にブレードホルダ及びハンドルを折り畳み方向に回転させることができ、パワーアシスト折り畳みナイフの自己ロックを実現する。
【0011】
さらに、ブレードホルダの第1の部分および第2の部分は一体化されている。
【0012】
さらに、ロック機構はサイドロックまたはバックロックである。
【0013】
さらに、ブレードホルダのブレード取付部が一体化されている。
【0014】
さらに、ブレードホルダにはブレード押しピンが設けられている。
【0015】
さらに、補助機構は、引張りバネまたは加圧バネを含む。
【0016】
さらに、引っ張りバネまたは加圧バネがハンドル内に配置されている。
【0017】
さらに、引っ張りバネまたは加圧バネの第1の端部には、第1のヒンジピンが配置され、引っ張りバネまたは加圧バネの第2の端部には、第2のヒンジピンが配置される。
【0018】
さらに、ハンドルには、第2の円弧状スロットが配置され、第2の円弧状スロットの軸線は第1の回転軸と一致し、第1の回転軸は、ブレードホルダの回転軸とハンドルとを参照
し、引っ張りバネの第1のヒンジピンは、第2の円弧状スロットを通過し、ブレードホルダの開口に埋め込まれている。
【0019】
さらに、第2の円弧状スロットの円弧状開口部は、パワーアシスト式折り畳みナイフのブレードの背面から離れる方向に回転する。
【0020】
さらに、ハンドルには、第3の円弧状スロットが配置され、第3の円弧状スロットの軸線が第1の回転軸と一致し、第1の回転軸は、ブレードホルダの回転軸とハンドルとを参照し、加圧バネの第1のヒンジピンは、第3円弧状スロットを通過し、ブレードホルダの開口に埋め込まれている。
【0021】
さらに、第3円弧状スロットの円弧状開口部は、パワーアシスト折り畳みナイフのブレードの後側に向かって回転する。
【0022】
さらに、引っ張りばねまたは加圧ばねの第2のヒンジピンは、ハンドルの開口に埋め込まれている。
【0023】
さらに、引っ張りバネまたは加圧バネは、ブレードホルダ内に配置される。
【0024】
さらに、ロック機構はサイドロックまたはバックロックである。
【0025】
さらに、アシスト機構は、ねじりバネを備えている。
【0026】
さらに、ハンドルおよびブレードホルダは、第3のヒンジピンによって回転連結を形成し、ねじりバネは、第3のヒンジピンに覆われる。
【0027】
さらに、ねじりばねはハンドルの開口に配置される。
【0028】
さらに、ねじりばねの第1の端部は、ねじりばねの半径方向に沿ってハンドルのスロットに埋め込まれている。
【0029】
さらに、ねじりバネの第2の端部は、ねじりバネの軸方向と平行な方向にブレードホルダの開口内に埋設されている。
【0030】
さらに、ねじりバネは、ブレードホルダの開口に配置される。
【0031】
さらに、ねじりバネの第1の端部は、ねじりバネの軸方向に平行な方向に沿ってハンドルの開口部に埋め込まれている。
【0032】
さらに、ねじりばねの第2の端部は、ブレードホルダの開口内に固定されている。
【0033】
さらに、ロック機構は、プッシュボタンと、バネと、プッシュロッドとを備える。
【0034】
さらに、ばねおよびプッシュロッドはハンドルのスロットに配置される。
【0035】
さらに、バネの一端はプッシュロッドに覆われている。
【0036】
さらに、ハンドルを連結するブレードホルダの端部には、第1の凹部と第2の凹部とを有する突出リムが設けられている。
【0037】
さらに、プッシュロッドは、第1の凹部と協働して、ブレードホルダを折り畳み位置にロックする。
【0038】
さらに、プッシュロッドは第2の凹部と協働してブレードホルダを展開位置にロックする。
【0039】
また、プッシュボタンは、第3のヒンジピンから遠ざかる方向に移動し、プッシュロッドを第2の凹部から退避させることができる。
【0040】
本発明によるパワーアシスト折り畳みナイフは、以下の有利な効果を有する。
【0041】
(1)折り畳みナイフを展開する際に補助力を提供するための支援機構を適用し、折り畳みナイフの展開を容易にし、片手操作を可能にする。
【0042】
(2)折り畳まれたナイフを安全に使用するために、展開位置および/または折り畳まれた位置にブレードホルダをロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の一実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフの正面図である。
【
図2】
図1に示すパワーアシスト折り畳みナイフの分解図である。
【
図3】折り畳まれた状態の
図1に示されるパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図4】展開または折畳みプロセスにおける
図1に示したパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図5】展開状態の、
図1に示すパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図6】
図1に示すパワーアシスト折り畳みナイフの鋼線の接続関係図である。
【
図7】
図1に示すパワーアシスト折り畳みナイフのブレードホルダの第2の部分の斜視図である。
【
図8】折り畳み時にロックトルクを提供する、
図1に示すパワーアシスト折り畳みナイフの力解析図である。
【
図9】展開時に展開トルクを提供する、
図1に示すパワーアシスト折り畳みナイフの力解析図である。
【
図10】折り畳まれた状態の本発明の別の実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図11】
図11は、展開または折畳み工程における
図10に示すパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図12】展開状態の
図10に示すパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図13】折り畳み状態の本発明のさらなる実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図14】本発明のさらなる実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフの正面図である。
【
図15】
図14に示すパワーアシスト折り畳みナイフの上面断面図である。
【
図16】
図14に示すパワーアシスト折り畳みナイフの背面断面図である。
【
図17】ロック機構が折り畳み位置をロックしている、
図14に示すパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図18】ロック機構が展開位置をロックしている、
図14に示すパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【
図19】折り畳まれた状態の本発明のさらなる実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフの断面図である。
【0044】
本発明の目的、特徴および効果を十分に理解するために、本発明の概念、詳細な構造および技術的効果を、添付の図面と組み合わせてさらに説明する。
【0045】
図1〜
図9に示すように、本発明の一実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフは、ブレードホルダ2と、ブレードホルダ2内に配置されたブレード1と、ブレードホルダ2に回転自在に連結されたハンドル3と、ブレードホルダ2を展開位置および/または折り畳み位置にロックするためのロック機構と、を含み、パワーアシスト折り畳みナイフは、さらに、パワーアシスト折り畳みナイフを展開するときに補助力を提供するために、ブレードホルダ2およびハンドル3に接続された補助機構と、を含む。
【0046】
この実施形態のパワーアシスト折り畳みナイフは、折り畳みナイフを展開する際に補助力を提供する補助機構を使用して、折り畳みナイフの折り畳みを容易にし、片手操作を可能にする。パワーアシスト折り畳みナイフには、パワーアシスト折り畳みナイフの安全な使用を確実にするために、ブレードホルダを展開位置および/または折り畳み位置にロックすることができるロック機構が設けられている。
【0047】
この実施形態では、ブレードホルダ2は、対向配置された第1の部分21と第2の部分22とを含み、第1の部分21と第2の部分22との間にブレード1が配置されている。
【0048】
ブレードホルダ2の第1の部分21と第2の部分22とを一体化してもよいし、ブレードを取り付けるためのブレードホルダ2の一部を一体化してもよい。
【0049】
この実施形態では、ロック機構は、
図1、
図6に示すようにサイドロック312である。サイドロック312は、一端がハンドル31に接続された弾性リーフである。パワーアシスト折り畳みナイフが展開されているとき、サイドロック312は、ハンドル31の内側に向かってポップアップする。サイドロック312の他端は、ブレードホルダ2がハンドル3に向かって回転することを防止し、ブレードホルダ2を展開位置にロックする。ハンドル31の内側とは、ハンドル31のブレードホルダ2側の面をいう。
【0050】
パワーアシスト折り畳みナイフを折り畳んでサイドロック312をハンドル31の外側に押すと、ブレードホルダ2はハンドル3に向かって回転することができる。
【0051】
ロック機構は、バックロックなどの他のロック手段を使用することもできる。ブレードホルダをロックするための構造に関する多くの先行技術があり、本明細書では詳述しない。
【0053】
この実施形態では、弾性部材は、ブレードホルダ2の第1の部分21と第2の部分22との間に配置される鋼線である。
【0054】
図6に示すように、ブレードホルダ2の第1の部分21には、第1の円弧状のスロット211が設けられている。円弧状のスロット211の軸線は、ハンドル3およびブレードホルダ2の回転軸と一致する。
図1に示すように、ハンドル3とブレードホルダ2とはヒンジピン5によって回転連結を形成し、ハンドル3とブレードホルダ2の回転軸はヒンジピン5の軸51である。
【0055】
図7に示すように、ブレードホルダ2の第2の部分22の、ブレードに面する側にスロット221が配置されている。
【0056】
図6、
図7に示すように、弾性部材は鋼線41であり、その第1の端部411には、第1の部分21の第1の円弧状のスロット211を通り、ハンドル31の開口311に埋め込まれた第1の湾曲部分4111が設けられ、鋼線41の第2の端部412には、第2の部分22のスロット221に埋め込まれた第2の湾曲部分4121が設けられている。
【0057】
本実施例のパワーアシスト折り畳みナイフは、鋼線41の弾性力によるパワーアシスト機能を実現しており、鋼線41は、一端をハンドル31のアパーチャ311に固定し、他端はブレードホルダ2の第2の部分22にスロット221に沿って自由に移動することができる。
【0058】
図8に示すように、この実施形態のパワーアシスト折り畳みナイフが折り畳まれているとき、鋼線41の第2の端部412は、ヒンジピン5の軸51の接続線の延長線上を通過し、鋼線41の端部411であり、鋼線41の弾性力は第1の端部411でF1、第2の端部でF2であり、F1とF2は第1の端部411の接続線上にあり、第2の端部412を反対方向に回転させる。
【0059】
F1の接線方向の成分はF1aであり、それは第1の湾曲部分4111を通ってハンドル3に作用し、
図8に示すように、ハンドル3をブレードホルダ2に向かって時計回り方向に回転させるトルクを発生する。
【0060】
F2の接線方向の成分はF2aであり、それは第2湾曲部4121を介してブレードホルダ2に作用し、ブレードホルダ2をハンドル3に向けて回転させるトルクを
図8に示すように反時計方向に発生する。
【0061】
F1aのトルクにより、ハンドル3がブレードホルダ2に向かって回転することができ、F2aにより発生したトルクにより、ブレードホルダ2がハンドル3に向かって回転すること、すなわち、鋼線の弾性力によって生じたトルクがブレードホルダ2およびハンドル3を折り畳み方向に回転させ、パワーアシスト折り畳みナイフのセルフロックを実現する。
【0062】
この実施例のパワーアシスト折り畳みナイフが展開されているとき、
図1に示すように、ブレード押しピン6を押して、鋼線によって生じる自己ロック力に打ち勝って、ブレードホルダ2を回転させるためのトルクを提供する。
【0063】
図9に示すように、本実施形態のパワーアシスト折り畳みナイフが展開されているとき、鋼線41の第2の端部412は、ヒンジピン5および鋼線41の第1の端部411の軸線51の接続線の延長線上を通過し、F1aは第1湾曲部4111を通ってハンドル3に作用し、そこで、生成されたトルクは、
図9に示すように、反時計方向にハンドルがブレードホルダ2から遠位方向に回転することを可能にする。F2aは第2湾曲部4121を通ってブレードホルダ2に作用し、そこで、生成されたトルクは、
図9に示すように、時計方向にブレードホルダ2がハンドル3から遠位方向に回転することを可能にし、その結果、折り畳みナイフを展開する補助力を提供し、すなわち、鋼線の弾性力がパワーアシスト折り畳みナイフを展開するためのトルクを提供する。
【0064】
図10〜
図12に示すように、本発明の別の実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフは、
図1に示す実施形態とは、弾性部材が引っ張りバネ42であり、引っ張りバネ42は、ハンドル3内に配置され、ブレードホルダ内に配置されてもよい。
【0065】
ハンドル3は、第2の円弧状スロット321を備え、第2の円弧状スロット321の軸は、ハンドル3およびブレードホルダ2の回転軸と一致する。ハンドル3およびブレードホルダ2は、ヒンジピン5によって回転接続を形成し、そこでは、ハンドル3とブレードホルダ2との回転軸がヒンジピン5の軸線である。
【0066】
引っ張りばね42の第1の端部421には、第2の円弧状スロット321を貫通してブレードホルダ2の開口に埋め込まれた第1のヒンジピンが配置されている。
【0067】
引っ張りバネ42の第2の端部422には、ハンドル3の開口に埋め込まれた第2のヒンジピンが配置されている。
【0068】
図10に示すように、パワーアシスト折り畳みナイフは、折り畳まれた状態にあり、引っ張りばね42の第1の端部421は、第2の円弧形スロット321の第2の端部422に対して遠位の位置にあり、引張りばね42は伸長状態、すなわちエネルギー蓄積状態にある。
【0069】
図1に示す実施形態と同様に、パワーアシスト折り畳みナイフが折り畳まれているとき、第2の端部422は、ヒンジピン5の軸線と第1の端部421との接続線の延長線上を通過し、引っ張りバネ42の弾性力により発生するトルクにより、ブレードホルダ2とハンドル3とが折り畳み方向に回動してセルフロックが実現され、パワーアシスト折り畳みナイフが展開されているとき、第2の端部422は、ヒンジピン5の軸線と第1の端部421との接続線の延長線上を通過し、引っ張りばね42の弾性力によって生成されたトルクがブレード2およびハンドル3を展開方向に回転させて、パワーアシスト折り畳みナイフを展開するための補助力を提供することができる。
【0070】
この実施形態では、ロック機構はサイドロックを使用し、ブレードホルダ2を展開位置にロックするためにバックロックを使用することもできる。
図10に示すように、ブレードホルダ2には、パワーアシスト折り畳みナイフを展開するためのトルクを提供するブレード押しピン6が配置されている。
【0071】
図13に示されるように、本発明のさらなる実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフは、
図10〜
図12に示されるパワーアシスト折り畳みナイフとは異なり、弾性部材は加圧バネ43であり、第3の円弧状スロット331の方向は第2の円弧状スロット321の方向とは異なり、第3の円弧状スロット331の円弧状の開口部はブレードの裏側に回っている。
【0072】
パワーアシスト折り畳みナイフが折り畳まれているとき、第2の端部432は、ヒンジピン5の軸線と第1の端部431との接続線の延長線上を通過し、圧力ばね43の弾性力によって生成されたトルクは、ブレードホルダ2とハンドル3とを折り畳む方向に回転させてセルフロックを実現し、パワーアシスト折り畳みナイフが展開されているとき、第2の端部432は、ヒンジピン5の軸線と第1の端部431との接続線の延長線上を通過し、圧力ばね43の弾性力によって生成されたトルクが、ブレードホルダ2とハンドル3とを展開方向に回転させて、パワーアシスト折り畳みナイフを展開するための補助力を提供する。
【0073】
パワーアシスト折り畳みナイフが折り畳まれた状態にあるとき、加圧バネ43の第一端部431は、第三円弧状スロット331の加圧バネ43の第二端部432に近接する位置にあり、加圧バネ43は圧縮状態、すなわちエネルギー蓄積状態にあり、パワーアシスト折り畳みナイフが展開されているときには、加圧バネ43の弾性力によってアシスト力が得られる。
【0074】
加圧バネ43は、ブレードホルダ内に配置されてもよい。
【0075】
図14〜
図18に示す本発明のさらなる実施形態のパワーアシスト折り畳みナイフは、
図1に示す実施形態と異なり、弾性部材は、ハンドル3の開口内に配置されたねじりバネ44である。
【0076】
ハンドル3とブレードホルダ2は回転連結を形成し、
図15,16に示すように、ヒンジピン5の周囲にねじりバネ44が設けられている。ねじりバネ44の第1の端部441は、ねじりバネ44の径方向に沿ってハンドル3に埋め込まれ、ねじりバネ44の第2の端部442は、ねじりバネ44の軸方向と平行な方向に沿ってブレードホルダ2の開口部に埋め込まれている。
【0077】
本実施形態のように、パワーアシスト折り畳みナイフを折り畳む際に、ねじりバネ44に力を加えて、ねじりバネ44をエネルギー蓄積状態にすることができる。パワーアシスト折り畳みナイフを展開する際には、ねじりバネ44の弾性力によってアシスト力が得られる。
【0078】
本実施形態のパワーアシスト折り畳みナイフは、プッシュボタン7と、バネ71と、プッシュロッド72とを有するロック機構を備えている。バネ71の一端は、プッシュロッド72の周囲に設けられており、バネ71とプッシュロッド72は
図17、18に示すように、ハンドル3のスロット内に配置され、
プッシュボタン7はプッシュロッド72に接続される。
【0079】
ハンドル3に接続されたブレードホルダ2の端部には、第1の凹部23と第2の凹部24とを含む突出したリムが配置されている。
【0080】
パワーアシスト折り畳みナイフが折り畳まれた位置にあるとき、プッシュロッド72は第1の凹部23と協働して、
図17に示すようにブレードホルダ2を折り畳まれた位置にロックする。パワーアシスト折り畳みナイフを展開して刃押しピン6を押す必要がある場合には、刃押しピン6の付勢力により供給されたトルクによって、プッシュロッド72が第1の凹部23からスライドして動力補助折り畳みナイフを展開することができる。
【0081】
パワーアシスト折り畳みナイフが展開位置にあるとき、プッシュロッド72は第2の凹部24と協働し、
図18に示すようにブレードホルダ2を展開位置にロックする。パワーアシスト折り畳みナイフを折り畳む必要があるときは、プッシュボタン7をバネ71に向けて押し、プッシュロッド72を第2の凹部24から後退させる、その後、パワーアシスト折り畳みナイフを折り畳むことができる。
【0082】
図19に示すように、本発明のさらなる実施形態におけるパワーアシスト折り畳みナイフは、ねじりバネ44がブレードホルダ2の開口内に配置されている点で、
図14に示す実施形態と異なる。
【0083】
ねじりバネ44の第1の端部441は、ねじりバネ44の軸方向に平行な方向に沿ってハンドル3の開口部に埋め込まれている。
【0084】
ねじりバネ44の第2の端部442は、ブレードホルダ2の開口に固定されている。
【0085】
本発明は、アシスト機構を使用するパワーアシスト折り畳みナイフであって、パワーアシスト折り畳みナイフを折り畳む際に補助力を提供し、折り畳みナイフの折り畳みを容易にし、片手操作を可能にする。ブレードホルダは、パワーアシスト折り畳みナイフの安全な使用を確実にするために、展開位置および/または折り畳まれた位置にロックされ得る。
【0086】
ハンドル内に配置された本発明の様々な補助機構をブレードホルダ内に配置することもできる。
【0087】
本発明の好ましい実施形態について上記に説明した。当業者は、創造的な作業をすることなく、本発明の概念に基づいて多くの修正および変形を行うことができることを理解されたい。
【0088】
したがって、論理的分析、控除および限定された実験によって得られた、本発明の概念に従う、当業者によって得られた任意の技術的解決策は、請求項によって規定される保護範囲に入るべきである。