特許第6637521号(P6637521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6637521伝動部品およびそのような伝動部品を与えられた伝動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6637521
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】伝動部品およびそのような伝動部品を与えられた伝動装置
(51)【国際特許分類】
   F16G 1/28 20060101AFI20200120BHJP
   F16H 9/24 20060101ALI20200120BHJP
【FI】
   F16G1/28 B
   F16G1/28 E
   F16H9/24
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-555198(P2017-555198)
(86)(22)【出願日】2016年1月5日
(65)【公表番号】特表2018-505366(P2018-505366A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】NL2016050003
(87)【国際公開番号】WO2016111620
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2018年10月30日
(31)【優先権主張番号】2014092
(32)【優先日】2015年1月7日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517240768
【氏名又は名称】ドライブ テクノロジー ホランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ティルバーグ、マリヌス ヨハネス コーネリス
(72)【発明者】
【氏名】エッセンス、ヘンリクス ジョセフス マリア
(72)【発明者】
【氏名】デ ウィス、ヨハネス コンスタント マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン カステレン、ヒューベルトス ヘンドリクス アドリアヌス
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−67844(JP,A)
【文献】 特開2005−351466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 1/28
F16H 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動装置のための伝動部品、例えば少なくとも2つのプーリーを与えられた連続可変伝動装置のための伝動部品であって、前記伝動装置の前記少なくとも2つのプーリーの周囲に搭載された状況で、動作中、前記少なくとも2つのプーリーの第1のプーリーから第2のプーリーへの駆動力の伝達を実現するため、伝送されるように構成され、
−細長く柔軟な無端の搬送要素と、
−多数の係合要素と、
−無端のばね要素と、
を備え、
前記搬送要素には、その長手方向に均一のピッチで、多数の受入空間が与えられ、前記多数の受入空間の各々は、前記搬送要素の内側、すなわち動作中プーリーの1つと対向する側に、開部が与えられ、前記搬送要素は、前記多数の受入空間を通って、前記搬送要素の長手方向に延びる通路を持ち、前記多数の係合要素の各々は、能動位置と受動位置との間を、長手方向と実質的に垂直な方向に移動するため、前記多数の受入空間の1つに受け入れられ、前記多数の係合要素は、前記能動位置にあるとき前記伝動装置の少なくとも2つのプーリーの1つと係合できるように、前記能動位置にあるときは、前記受動位置にあるときより遥かに内側に、少なくとも前記受入空間の前記開部から突出し、前記多数の係合要素の各々には、前記搬送要素の通路と少なくとも部分的に整列する通路が与えられ、前記ばね要素は、前記搬送要素内を、前記搬送要素内の前記通路と、前記多数の係合要素の前記通路の各々を通って延び、前記ばね要素は、前記各係合要素が前記能動位置から前記受動位置に向けて運動する間、前記多数の係合要素の各々に対し、前記ばね要素のばね動作からの抵抗を与えるように構成される、伝動部品。
【請求項2】
前記搬送要素には、
その長手方向に、均一のピッチを有する多数のさらなる受入空間が与えられ、前記さらなる受入空間の各々には、前記搬送要素の内側、すなわち動作中、前記プーリーと対向する側に、さらなる開部が与えられ、前記搬送要素の横方向、すなわち前記搬送要素の長手方向を横断する方向には、受入空間とさらなる受入空間とが、互いに隣接して与えられ、前記多数の係合要素の各々は、隣接して与えられた、前記受入空間の1つと、前記さらなる受入空間の1つとに受け入れられる、請求項1に記載の伝動部品。
【請求項3】
前記搬送要素は、前記多数のさらなる受入空間を通って前記搬送要素内を前記搬送要素の長手方向に延びる、さらなる通路を持ち、前記多数の係合要素の各々には、前記搬送要素内の前記さらなる通路と少なくとも部分的に整列する、さらなる通路が与えられ、前記搬送要素は、無端のばね要素をさらに備え、前記無端のばね要素は、前記搬送要素内の前記さらなる通路と、各前記係合要素の前記さらなる通路の各々を通り、前記さらなるばね要素は、各前記係合要素が前記能動位置から前記受動位置に向けて運動する間、前記多数の係合要素の各々に対し、前記ばね要素のばね動作からの抵抗を与えるように構成される、請求項2に記載の伝動部品。
【請求項4】
搬送要素の伸長に対する抵抗を強化するように構成された無端の強化部品が、前記搬送要素に、前記搬送要素の長手方向に与えられた、請求項1から3のいずれかに記載の伝動部品。
【請求項5】
ばね要素および/またはさらなるばね要素が中空索として形成され、空洞が流体で満たされる、請求項1から4のいずれかに記載の伝動部品。
【請求項6】
前記搬送要素は、連続して相互接続された多数の搬送要素により、長手方向に形成される、請求項1から5のいずれかに記載の伝動部品。
【請求項7】
前記搬送要素は、ゴムを備える材料から製造される、請求項6に伝動部品。
【請求項8】
接続された状態の前記搬送要素は、互いに加硫処理される、請求項7に伝動部品。
【請求項9】
前記多数の係合要素の前記通路および/または前記さらなる通路は、貫通孔である、請求項1から8のいずれかに記載の伝動部品。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の伝動部品と、第1の回転軸周りに回転可能な第1のプーリーと、第2の軸周りに回転可能な第2のプーリーと、を備え、前記伝動部品は、前記第1のプーリーと前記第2のプーリーの双方の周りを回って伝送され、これにより、動作中、前記第1のプーリーから前記第2のプーリーへの駆動力の伝達が実現され、前記第1および前記第2プーリーの少なくともいずれかは、前記伝動部品との接触のための多数の接触要素を備え、前記これらの接触要素は、対応するプーリーの回転軸の周囲に分散して配置され、前記接触要素は、対応するプーリーの周りを回って伝送される前記伝動部品の走行半径を定義し、動作中、伝動部品の多数の係合要素の内、能動位置にある1つ以上の係合要素と係合することを目的として、前記多数の接触要素の各々には、その外側、すなわち前記伝動部品と対向する側に、少なくとも1つの、好ましくは多数の係合要素、例えば互いに均一なピッチを与えられた歯が与えられ、前記伝動装置は、前記接触要素を半径方向に往復して移動させるための移動手段を備える、伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様において本発明は、伝動装置のための伝動部品、例えばプーリーを与えられた連続可変伝動装置のための伝動部品に関する。
【0002】
第2の態様において本発明は、上記のような伝動部品が与えられた伝動装置に関する。
【背景技術】
【0003】
このような伝動装置のためのプーリーは、US5、492、506に開示されている。このプーリーは、2つのディスクの間の限られた範囲を半径方向に往復移動可能な接触ブロックを有する。この接触ブロックは、プーリーの周りを回って伝送される歯付ベルトの形をした伝動部品の走行半径を定義する。この接触ブロックは、歯付ベルトとの形状固定係合(form−locked engagement)を実現するため、歯状断面を有する。この既知のプーリーの欠点は、歯付ベルトと協働するプーリーの走行半径が、実際には限られた範囲でしか変更できない点にある。このことがこの発明の範囲を限定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は特に、力の形状固定係合を簡易かつ高信頼に実現し、伝達比を連続的かつ比較的広範囲に変更することのできる伝動部品を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、本発明に係る、伝動装置のための伝動部品、例えば少なくとも2つのプーリーを与えられた連続可変伝動装置のための伝動部品によって達成される。この伝動部品は、伝動装置の少なくとも2つのプーリーの周囲に搭載された状況で、動作中、この少なくとも2つのプーリーの第1のプーリーから第2のプーリーへの駆動力の伝達を実現するため、伝送されるように構成される。この伝動部品は、
−細長く柔軟な無端の搬送要素と、
−多数の係合要素と、
−無端のばね要素と、
を備える。
前記搬送要素には、その長手方向に均一のピッチで、多数の受入空間が与えられる。前記多数の受入空間の各々は、前記搬送要素の内側、すなわち動作中前記少なくとも2つのプーリーと対向する側に、開部が与えられる。前記搬送要素は、前記多数の受入空間を通って、前記搬送要素の長手方向に延びる通路を持つ。前記多数の係合要素の各々は、能動位置と受動位置との間を、長手方向と実質的に垂直な方向に移動するため、前記多数の受入空間の1つに受け入れられる。前記多数の係合要素は、能動位置にあるとき前記伝動装置の少なくとも2つのプーリーの1つと係合できるように、能動位置にあるときは、受動位置にあるときより遥かに内側に、少なくともこの受入空間の開部から突出する。前記多数の係合要素の各々には、前記搬送要素の通路と少なくとも部分的に整列する通路が与えられる。前記ばね要素は、前記搬送要素内を、前記搬送要素内の通路と、前記多数の係合要素の通路の各々を通って延びる。前記ばね要素は、前記各係合要素が能動位置から受動位置に向けて運動する間、前記多数の係合要素の各々に対し、前記ばね要素のばね動作からの抵抗を与えるように構成される。
【0006】
柔軟な無端の搬送要素において可動の係合要素を与えることにより、一定のピッチを持つ係合要素であって、プーリー、すなわち歯を有し半径方向に移動可能な接触要素を持つプーリーとの連動が可能なものを与えることができる。この伝動部品は、係合要素が能動位置にあるとき、歯付ベルトとして機能する。動作中、所定の半径位置にある接触要素(この接触要素の上を伝動部品が伝送される)の一部(すべてではない)が、伝動部品の係合要素と係合できる。必ずしもすべての接触要素が係合要素と係合できないのは、いってみれば、接触要素同士の位相が互いに一致していないためである。本発明に係る伝動部品に関し、動作中、接触要素の歯とまちまちに接触する(位相が一致していないため)これらの係合要素の内、プーリーとの形状固定接触を形成しないものは、接触時に受動位置まで移動する。しかし力の形状固定伝達は、プーリーと接触する動作位置の他の係合要素によって保証される。
【0007】
従って、特に伝動を目的に構成される本発明に係る伝動部品には、伝動部品との接触のために、少なくとも2つのプーリーのプーリー軸の周囲に配置された多数の接触要素がさらに与えられる。これらの接触要素は、対応するプーリーの周りを回って伝送される伝動部品の走行半径を定義する。多数の接触要素の各々には、その外側、すなわち伝動部品と対向する側に、少なくとも1つの、好ましくは多数の、互いに均一なピッチで与えられる係合要素、例えば歯が与えられる。
【0008】
本発明に係る伝動部品では、このような係合要素の各々は、能動位置にあるとき、開部から突出する。またこれらの各々は、受動位置にあるとき、搬送要素の内部にあるか、または能動位置にあるときより遥かに小さく開部から突出する。
【0009】
好ましくは、搬送要素には、その長手方向に、均一のピッチを有する多数のさらなる受入空間が与えられる。このさらなる受入空間の各々には、搬送要素の内側、すなわち動作中、プーリーと対向する側に、さらなる開部が与えられる。搬送要素の横方向、すなわち搬送要素の長手方向を横断する方向には、受入空間とさらなる受入空間とが、互いに隣接して与えられる。多数の係合要素の各々は、隣接して与えられた、受入空間の1つと、さらなる受入空間の1つとに受け入れられる。各係合要素が互いに隣接した2つの受入空間に受け入れられるため、比較的小さな受入空間を用いた伝動部品において、比較的大きな係合要素が与えられ得る。小さな受入空間は搬送要素の弱化を制限する点で有利である一方、大きな係合要素は駆動力の伝達の点で有利である。
【0010】
ここで搬送要素は、多数のさらなる受入空間を通ってこの搬送要素内をこの搬送要素の長手方向に延びる、さらなる通路を持つことが好ましい。多数の係合要素の各々には、この搬送要素内のさらなる通路と少なくとも部分的に整列する、さらなる通路が与えられる。搬送要素は、無端のばね要素をさらに備える。この無端のばね要素は、搬送要素内のさらなる通路と、各係合要素のさらなる通路の各々を通る。さらなるばね要素は、各係合要素が能動位置から受動位置に向けて運動する間、この多数の係合要素の各々に対し、ばね要素のばね動作からの抵抗を与えるように構成される。さらなるばね要素を与えると、より高信頼のばね動作が得られ、ばね動作は強化され得る。
【0011】
搬送要素の伸長に対する抵抗を強化するように構成された無端の強化部品が、搬送要素に、この搬送要素の長手方向に与えられると有利である。搬送要素の伸長に対する抵抗が強化されることにより、駆動力の伝達中に起こり得る搬送要素の伸長が大いに回避される。これにより、伝達される駆動力が変化した場合も、係合要素間のピッチが一定に、または少なくとも事実上一定に保たれる。係合要素間のピッチを可能な限り均一とすることは、力の均一な伝達を実現する上で有効である。
【0012】
無端の通路を通って延びるばね要素および/またはさらなるばね要素が無端の中空索として形成され、空洞が流体で満たされると有利である。このような索は、所望のばね力を実現する上で有効である。
【0013】
搬送要素は、望ましくは、連続して相互接続された多数の搬送要素により、長手方向に形成される。この方法により、異なる長さを持つ複数の伝動部品が実現できる。このときこれらの伝動部品は、すべての長さに沿って、各係合要素間で同じピッチを有する。
【0014】
ここで搬送要素は、ゴムを備える材料から製造されると有利である。少なくとも2つのプーリーの周りに伝動部品を与えるためには、搬送要素の柔軟性の観点から、こうした材料であることが好ましい。
【0015】
ここで、接続された状態の搬送要素は、互いに加硫処理されると有利である。これにより耐久性のある接続がもたらされ、摩耗に対して抵抗が強化された搬送要素が得られる。
【0016】
多数の係合要素の通路および/またはさらなる通路は、貫通孔であることが好ましい。係合要素がこの実施形態を取ると、係合要素はばね要素を取り囲む。これにより、係合要素の搬送要素へのロッキングが実現される。またこれにより、ばね要素による係合要素の能動的追跡が実現できる。
【0017】
本発明はさらに、伝動装置に関する。この伝動装置は、本発明に係る伝動部品と、第1の回転軸周りに回転可能な第1のプーリーと、第2の軸周りに回転可能な第2のプーリーと、を備える。伝動部品は、第1のプーリーと第2のプーリーの双方の周りを回って伝送される。これにより、動作中、第1のプーリーから第2のプーリーへの駆動力の伝達が実現される。第1および第2プーリーの少なくともいずれかは、伝動部品との接触のための多数の接触要素を備える。これらの接触要素は、対応するプーリーの回転軸の周囲に分散して配置される。これらの接触要素は、対応するプーリーの周りを回って伝送される伝動部品の走行半径を定義する。多数の接触要素の各々には、その外側、すなわち伝動部品と対向する側に、少なくとも1つの、好ましくは多数の係合要素、例えば互いに均一なピッチを与えられた歯が与えられる。これは、動作中、伝動部品の多数の係合要素の内、能動位置にある1つ以上の係合要素と係合することを目的とする。伝動装置は、接触要素を半径方向に往復して移動させるための移動手段を備え、好ましくは各接触要素のための半径ガイドを備える。各接触要素は、この半径ガイドに沿って、内側半径位置と外側半径位置との間を往復して移動できる。移動手段は、接触要素を、内側半径位置と外側半径位置との間を往復して移動できるよう構成される。本発明に係る伝動装置の利点は、前述で説明した本発明に係る伝動部品の利点と同様である。
【0018】
以下の模式的な図を参照した本発明に係る伝動部品の好ましい実施形態の説明を基に、本発明が解明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る伝動部品の好ましい一実施形態の一部を示す等角図である。
図2図1の伝動部品のある部材の等角図、前面図および側面図である。
図3図1に示された伝動部品の部材を組み立てたときの等角図である。
図4図1に示された伝動部品のさらなる部材の等角図である。
図5図4のA−Aにおける断面図である。
図6図4のB−Bにおける断面図である。
図7】本発明に係る伝動部品の一部とプーリーの一部の等角図である。
図8-10】動作の異なる各モードにおける、本発明に係る伝動部品の一部とプーリーの一部の側面図である。
図11】本発明に係る伝動装置の一部の好ましい一実施形態を、図1に示された伝動部品ともに示す等角図である。
図12図11に示された伝動装置の一部の部分的切断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る伝動部品の好ましい実施形態として図1から6に示される伝動部品は、搬送要素3を備える。搬送要素3は、加硫されたゴムから製造された無端のベルト要素であり、その全長の一部が図1と4に示される。図4に示される搬送要素3は、各々が連続的に相互接続された搬送要素4から構成される。搬送要素4は、加硫を用いて互いに固定的に接続される。搬送要素の典型的な長さは、少なくとも自動車のような乗り物の連続可変伝動装置の伝動部品に適用できるものであり、数10センチメートルから約1.5メートルの範囲にある。
【0021】
搬送要素3の伸長に抗する所望の抵抗を実現する目的、すなわち搬送要素3の伸長に抗する抵抗を大きく強化する目的で、搬送要素3の中に、強化要素を具現化するための無端の索5が与えられる。この索は、例えばカーボンファイバを備える複合材料から製造される。索5は、搬送要素3の内部に、この搬送要素の長手方向の両面および中心に設けられた通路15内で与えられる。
【0022】
伝動部品1が伝動装置に搭載されている状況では、図1に示される伝動部品1の使用中、伝動部品1の下面11または内側面は、伝動装置のプーリーに向けて導かれる。図7から10は、内側面11が接触要素に向けて導かれているときの伝動部品の様子を簡略に示す。
【0023】
図11と12は、特に前述の伝動部品1と協働するのに適した伝動装置50を示す。さらなる詳細は後述する。伝動装置50は、第1の軸52の周りを回転可能な第1のプーリー54と、第2の軸56の周りを回転可能な第2のプーリー58と、を備える。伝動部品1は、第1のプーリー54と第2のプーリー58の双方の周りを回って伝送される。このようにして、動作中に駆動力が、第1のプーリー54から第2のプーリー58へ、従って第1の軸52と第2の軸56との間で伝達される。いずれのプーリーも、それぞれ2つのディスク部分62、62’および64、64’から構成される。それぞれのプーリーのディスクの間には中間部66があり、伝動部品1はここに軸方向に取り囲まれて搭載される。明確化のため図12では、プーリー54および58の2つのディスク部分62、62’、64、64’の内、第1のディスク62’、64’は割愛されている。
【0024】
第1のプーリー54および第2のプーリー58には、対応するプーリー54,58の回転軸の周りに分散して配置された接触要素12a、12bが与えられる。接触要素12a、12bは、対応するプーリー54、58の周りを回って伝送される伝動部品1の走行半径rを定義する。図8および9も参照されたい。接触要素12a、12bは同じものである。接触要素の参照番号12aは、少なくとも本図に係る状況では、伝動部品1と接触している接触要素のために与えられる。一方、接触要素の参照番号12bは、少なくとも本図に係る状況では、伝動部品1と接触していない接触要素のために与えられる。接触要素12a、12bの各々には、その外側、すなわちすなわち伝動部品1と対向する側に、図11および12に示される歯30a−30eの形で具現化された、均一なピッチの係合要素が与えられる。プーリー54,58の走行半径r1を変更する目的で、接触要素12a、12bは、プーリー54、58の半径方向に移動可能である。この目的のために、プーリー54,58には半径スロット60が設けられる。接触要素12a、12bは、半径スロット60内に、スライド可能に保持される。接触要素12a、12bの半径方向の移動を可能とするために、伝動装置は、移動手段(図示しない)をさらに備える。
【0025】
搬送要素3には受入空間7が与えられ、これが図6に示される。受入空間7は、伝動部品の長手方向Lと垂直な、その高さ方向Hに延びる。伝動部品1の伝動動作中、伝動部品1とプーリーとが接触するとき、高さ方向Hはプーリーの半径方向に一致する。受入空間7の各々には、下面11に開部9が与えられる。さらに同様に、図示された実施形態において受入空間7には、上面13に開部が与えられる。すなわち受入空間7は連続的である。受入空間7は、幅方向Bに互いに隣接するペアのいずれの側も、一定の共通のピッチで長手方向に与えられる。このように、受入空間とさらなる受入空間の各々は、互いに隣接し、一定のピッチで搬送要素の長手方向に与えられる。
【0026】
係合要素19は、受入空間7内に、移動可能に与えられる。係合要素19には、孔21の形状をした通路と、歯部23とが与えられる。係合要素19は、伝動部品1の長手方向Lと垂直な方向に、能動位置と受動位置との間を移動可能である。能動位置にあるとき歯部23は、その大部分が搬送要素3の下面11の下に突出するか、または開部9から内側に突出する。受動位置にあるとき歯部23は、突出しないか、または小部分のみが搬送要素3の下面11の下に突出する。孔21は、能動位置にあるときも受動位置にあるときも、その全体が受入空間7の内部に位置する。歯部23は、プーリーとの係合を形成する。ここで、歯部23の厚さd2は、プーリーの係合断面、または少なくともプーリーの接触要素の係合断面と一致している。孔21に近い部分での係合要素の厚さd1は、受入空間7のサイズと一致している。これにより、係合要素19と受入空間7との間に、スライド可能な接触が得られる。ここに示された実施形態では、サイズd1とd2とは等しい。このように、係合要素19を備えた伝動部品1は、能動位置にあるとき、歯付ベルトとして機能する。
【0027】
受入空間7は、搬送要素3の長手方向Lに均一のピッチaで与えられ、図6に示されるように、搬送要素3の幅方向Bに広がりbで与えられる。長手方向Lに沿って隣接する受入空間7は、通路17を用いて互いに接続される。通路17には、係合要素19の孔21を通るばね要素25が与えられる。ばね要素25は、通路17内への封止のための肥厚部27を有する、無端の中空索の形で具現化される。係合要素19の孔21の高さd2は、ばね要素25の高さd1と実質的に等しい。索25の内部空間29は、所望のばね弾性を得るために、空気や窒素などの気体で満たされる。より強いばね弾性を得るために、代替的に内部空間29は、油等の液体で満たされてもよい。ばね要素25は、合成シリコンゴム、好ましくは複合材料で強化された合成シリコンゴムから製造される。
【0028】
図7は、伝動部品1の下面11の一部が接触要素12aと対向しているときの、伝動部品1の様子を示す。この図には、接触要素12aと同一の接触要素12bも示されている。回転方向Rが図8−10に示されるものである場合、接触要素12bは、この後伝動部品1の下面11と接触する。このようにして、プーリーの周囲に均一の間隔を置いて与えられる多数のこうした接触要素を用いて、伝動部品1とプーリーとの連続的な係合が保証される。ここでは、接触要素は、対応するプーリーの中心軸から半径rのところに与えられる。図8および9を参照されたい。この半径rは、プーリーのすべての接触要素で共通であるが、調整可能な形で可変である。伝動部品1の一部分に設けられた係合要素19の内、接触要素12aと対向していないものは能動位置にある。接触要素12aと同じ場所にある係合要素19の位置は、接触要素12aと係合要素19との相対的な位置関係に依存する。
【0029】
図8に、接触要素12aと同じ場所にある係合要素19が、歯30a、30b、30cおよび30dの頂点と接触している状況が示される。ここでは、歯30a、30b、30cおよび30dと同じ場所にある係合要素は受動位置にある。伝動部品がプーリーの上で走行すると、歯30a、30b、30cおよび30dと同じ場所にある係合要素は、能動位置と受動位置との中間にくる。図8に示される状況で、同じプーリーに配置された別の接触要素(図示しない)の歯の少なくとも1つは、伝動部品1の係合要素19と係合している点に注意されたい。なぜなら、接触要素12aと同じ場所にある係合要素19はその受動位置まで移動しており、プーリーの接触要素の半径位置により定義される伝動部品の半径は維持されているからである。
【0030】
図9は、接触要素12aのすべての歯30a、30b、30cおよび30dが、プーリー1の係合要素19と係合している状況を示す。ここでは、係合要素19は能動位置にあり、伝動部品1とプーリーとの最大の係合が実現されている。
【0031】
図10は、接触要素12aのすべての歯30a、30b、30cおよび30dが、プーリーの係合要素19と前記と同様の接触をしており、駆動力を伝達する目的で、限定的にではあるが、一定程度係合要素19と係合している状況を示す。この状況では係合要素は、能動位置と受動位置との中間にある。
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