(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る送風機の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る送風機の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る送風機の一実施形態を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る送風機の一実施形態を示す背面図である。
【
図5】本発明に係る送風機の一実施形態を示す左側面図である。
【
図6】本発明に係る送風機の一実施形態を示す右側面図である。
【
図7】本発明に係る送風機の一実施形態を示す平面図である。
【
図8】本発明に係る送風機の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図12】本発明に係る送風機の一実施形態の台座部による送風部の支持構造を示す要部拡大斜視図である。
【
図13】本発明に係る送風機の一実施形態の台座部による送風部の支持構造を示す要部拡大断面図である。
【
図14】摺動部材の一例を示す、(a)は斜視図であり、(b)は平面図であり、(c)は正面図である。
【
図15】本発明に係る送風機の一実施形態の送風部のケーシング固定構造を示す要部拡大断面斜視図である。
【
図16】送風部の回転ベース部の一例を示す、(a)は斜視図であり、(b)は、平面図であり、(c)は正面図である。
【
図17】本発明に係る送風機の一実施形態の回転機構を示す要部拡大断面斜視図である。
【
図18】本発明に係る送風機の一実施形態のクロスフローファン支持構造を示す要部拡大断面斜視図である。
【
図19】本発明に係る送風機の一実施形態を示す要部拡大断面図である。
【
図20】本発明に係る送風機の一実施形態のケーシング及びクロスフローファンの一例を示す要部断面図である。
【
図21】本発明に係る送風機の一実施形態の台座部を示す、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【
図22】(a)は、
図21(b)のXXa−XXa線に沿う断面図であり、(b)は、
図21(b)のXXb−XXb線に沿う断面図である。
【
図23】本発明に係る送風機の一実施形態の台座部を示す分解斜視図である。
【
図24】本発明に係る送風機の一実施形態の第1変形例の台座部による送風部の支持構造を示す要部拡大断面図である。
【
図25】本発明に係る送風機の一実施形態の第2変形例の台座部による送風部の支持構造を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1〜
図23は、本発明の第1実施形態に係る送風機を示している。本実施形態の送風機A1は、送風部1、台座部2及び摺動部材3を備えている。送風機A1は、例えば室内の床面に載置されて、風を発生させるための装置として用いられる。図中におけるz方向は、送風機A1の使用時における鉛直方向である。x方向及びy方向は、ともにz方向に対して直角であり、互いに直角な方向である。なお、x方向を左右方向、y方向を前後方向、z方向を上下方向と換言しても良い。
【0018】
<送風部1>
送風部1は、
図1〜
図6、
図8、
図9及び
図10に示すように、鉛直軸心Oz廻りに回転自在に台座部2に支持されている。送風部1は、ケーシング4、クロスフローファン5、送風モータ59、回転駆動部61、回転ベース部62、固定ベース部63及び操作制御部7を備えている。
【0019】
<ケーシング4>
ケーシング4は、
図8〜
図11に示すように、クロスフローファン5を内部に収容しており、送風口4a及び吸気口4bを有する。送風口4aは、クロスフローファン5によって発生される風が送風される部位である。吸気口4bは、クロスフローファン5へと外気を吸引するための部位である。送風口4a、吸気口4b及びクロスフローファン5の寸法や位置関係等については、後述する。
【0020】
本実施形態においては、ケーシング4は、前カバー41及び後カバー42によって構成されている。また、図示された例においては、ケーシング4は、ルーバー部43を含んでいる。ケーシング4は、z方向を軸方向とする筒状であり、図示された例においては、略円筒形状である。前カバー41及び後カバー42は、例えば金型を用いて形成されたABS樹脂等からなる樹脂部品である。
【0021】
前カバー41は、y方向前方に配置されており、ケーシング4のy方向前半部分を構成している。本実施形態の前カバー41は、カバー本体411、送風口412、前側吸気口413及び凸部414を有する。カバー本体411は、略半円筒形状の部分である。
【0022】
送風口412は、カバー本体411がy方向前方にむけて部分的に開口した部位である。送風口412の形状や大きさは特に限定されず、図示された例においては、z方向を長手方向としx方向を短手方向とするy方向視長矩形状である。本実施形態においては、ケーシング4の送風口4aは、前カバー41に形成された送風口412によって構成されている。また、送風口412は、図示されたように、互いに直交する複数の枠部材を有していてもよい。これらの枠部材は、例えば送風口412から送風される風の方向性を高める機能を果たす。
【0023】
前側吸気口413は、カバー本体411のうち送風口412に対してクロスフローファン5の回転方向Nの下流側に位置する領域が、部分的に開口した部位である。また、前側吸気口413は、前カバー41の側端に隣接するように形成されている。前側吸気口413の形状や大きさは特に限定されず、図示された例においては、z方向を長手方向とする長矩形状である。また、本例においては、前側吸気口413のz方向寸法は、送風口412のz方向寸法と略同じである。また、前側吸気口413は、図示されたように、互いに直交する複数の枠部材を有していてもよい。これらの枠部材は、例えば前側吸気口413からの異物の吸い込みを防止する機能を果たす。
【0024】
凸部414は、送風口412の回転方向Nの下流側に位置し、送風口412(4a)と前側吸気口413(吸気口4b)との間において、カバー本体411からy方向後方に突出する部位である。図示された例においては、凸部414は、z方向において送風口412及び前側吸気口413と同じ領域に形成されている。
【0025】
後カバー42は、y方向後方に配置されており、ケーシング4のy方向後方部分を構成している。本実施形態の後カバー42は、カバー本体421及び後側吸気口423を有する。カバー本体421は、略半円筒形状の部分である。
【0026】
後側吸気口423は、カバー本体421のうち前カバー41の前側吸気口413に対して回転方向Nの下流側に隣接する領域が、部分的に開口した部位である。後側吸気口423の形状や大きさは特に限定されず、図示された例においては、z方向を長手方向とする長矩形状である。また、本例においては、後側吸気口423のz方向寸法は、送風口412及び前側吸気口413のz方向寸法と略同じである。また、後側吸気口423は、図示されたように、互いに直交する複数の枠部材を有していてもよい。これらの枠部材は、例えば後側吸気口423からの異物の吸い込みを防止する機能を果たす。本実施形態においては、互いに隣接する前側吸気口413及び後側吸気口423によって、ケーシング4の吸気口4bが構成されている。
【0027】
ルーバー部43は、前カバー41の送風口412のy方向前方に配置されており、例えば前カバー41のカバー本体411に対して固定されている。ルーバー部43は、送風口412からの風の向きをz方向において調整するためのものである。ルーバー部43は、フレーム431及び複数の羽板432を有する。フレーム431は、前カバー41のカバー本体411に取り付けられており、y方向視においてz方向を長手方向とする長矩形状の開口が形成されている。この開口は、例えば送風口412と略同じ大きさである。フレーム431は、例えば金型を用いて形成された樹脂部品である。複数の羽板432は、フレーム431の開口に取り付けられている。図示された例においては、複数の羽板432は、z方向に互いに離間して配置されており、各々がy方向廻りに回転可能である。また、ルーバー部43は、複数の羽板432の回転姿勢を揃えるためのロッドを有していてもよい。羽板432は、例えば、透明又は半透明の合成樹脂にて構成されている。
【0028】
<クロスフローファン5>
クロスフローファン5は、
図8〜
図11に示すように、ケーシング4に収容されており、風を発生させるための羽根車の一例である。クロスフローファン5は、中心軸51、複数の羽根52及び枠板53を有している。中心軸51は、z方向に沿う鉛直状であり、クロスフローファン5のz方向上部に突出状に設けられている。中心軸51は、例えば金属製である。複数の羽根52は、z方向において中心軸51を中心とする円形に配置されており、各々がz方向に延びた形状である。枠板53は、複数の羽根52を円形配置に支持するものであり、中心軸51が取り付けられている。クロスフローファン5のz方向寸法は、送風口4a及び吸気口4bと略同じである。クロスフローファン5の複数の羽根52及び枠板53は、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)樹脂にて構成されている。なお、羽根52及び枠板53は、20%〜30%のガラス繊維を含有しても良い。
【0029】
<送風モータ59>
送風モータ59は、クロスフローファン5を回転させる駆動源である。本実施形態においては、
図8〜
図10に示すように、送風モータ59は、ケーシング4に収容されており、クロスフローファン5のz方向直下に配置されている。クロスフローファン5の下端には、送風モータ59の駆動軸が連結されている。送風モータ59の種類は特に限定されず、クロスフローファン5の回転駆動に適した各種のACモータやDCモータが適宜採用される。
【0030】
ここで、
図18及び
図19を参照して、クロスフローファン5の中心軸51の支持構造及び前カバー41及び後カバー42のz方向上方部分における固定構造について説明する。
図18は、操作制御部7を省略し、鉛直軸心Ozに対してx方向図中手前側に位置するyz平面における断面を含む要部拡大断面斜視図である。
図19は、鉛直軸心Ozを通るyz平面における要部拡大断面図である。
【0031】
本実施形態においては、送風機A1の送風部1は、支持板55を有している。支持板55は、クロスフローファン5の中心軸51をケーシング4によって支持するためのものである。図示された例においては、支持板55は、主板部551及び起立板部552を有しており、例えば金属板を切断加工及び折り曲げ加工することによって形成される。主板部551は、xy平面に沿う板状部位である。起立板部552は、主板部551のy方向前端からz方向上方に延設されている。図示された例においては、主板部551には、開口が形成されており、ゴム部材553が嵌め込まれている。ゴム部材553の内部には、ブッシュ554が内蔵されている。ブッシュ554には、中心軸51が挿通されている。ブッシュ554は、中心軸51を回転可能に支持している。
【0032】
本実施形態においては、前カバー41に一対の前ボス部416が形成されている。一対の前ボス部416は、カバー本体411の内周面からy方向後方に延設されている。一対の前ボス部416は、x方向に離間配置されている。一対の前ボス部416の各々には、雌ねじが形成されている。一対の前ボス部416の先端は、支持板55の起立板部552に当接している。支持板55の起立板部552には、一対の貫通孔が形成されており、一対の前ボス部416の雌ねじとそれぞれ一致している。起立板部552の一対の貫通孔を通じて、一対の前ボス部416には、一対のねじ446が個別に螺合されている。これにより、起立板部552は、一対の前ボス部416に固定されている。
【0033】
また、後カバー42には、一対の支持片429が形成されている。一対の支持片429は、後カバー42のカバー本体421からy方向前方に延設されている。一対の支持片429は、x方向に離間配置されている。一対の支持片429は、それぞれ切り欠き部429aを有する。切り欠き部429aは、支持片429のy方向前端から凹んでいる。一対の支持片429の切り欠き部429aには、支持板55のy方向後端が収容されている。支持板55のy方向後端は、切り欠き部429aに嵌合されていてもよいし、わずかな隙間が存在してもよい。また、図示された例とは異なり、支持板55のy方向後端と一対の支持片429とは、接着やねじ等によって互いに固定されていてもよい。
【0034】
また、図示された例においては、前カバー41に一対の前ボス部415が形成されており、後カバー42に一対の後ボス部425が形成されている。一対の前ボス部415及び一対の後ボス部425は、支持板55のz方向直上に設けられている。一対の前ボス部415は、カバー本体411からy方向後方に延設されている。一対の前ボス部415は、x方向に離間配置されている。一対の後ボス部425は、カバー本体421からy方向前方に延設されている。一対の後ボス部425は、x方向に離間配置されている。図示された例においては、一対の前ボス部415の各々に雌ねじが形成されており、一対の後ボス部425の各々に貫通孔が形成されている。
図8に示すねじ445が、一対の後ボス部425の貫通孔を通じて一対の前ボス部415の雌ねじに螺合されることにより、前カバー41と後カバー42とのz方向上方部分同士が固定されている。
【0035】
次に、
図20を参照して、ケーシング4の送風口4a及び吸気口4bとクロスフローファン5との寸法や位置関係等について説明する。
図20においては、クロスフローファン5の鉛直軸心Ozを中心とした回転方向Nと、鉛直軸心Ozから放射状に延びる方向である径方向rとを、適宜説明に用いる。
【0036】
まず、凸部414は、送風口412の回転方向Nの下流側に位置しており、凸部414の回転方向N上流側には、クロスフローファン5によってケーシング4内を送られてきた気体が圧縮され送風口4aに向けてy方向前方へと吐出される空間が形成されている。図示された例においては、クロスフローファン5の外径Roが90mmである場合、クロスフローファン5の外周と凸部414との隙間Gは、好ましくは1.5mm〜4.0mmであり、クロスフローファン5の外径Roの0.017倍〜0.044倍である。次に、凸部414の先端部分の回転方向Nにおける周方向寸法Lは、好ましくは5.0mm〜20.0mmであり、より好ましくは、10.0mm〜15.0mmである。すなわち、周方向寸法Lは、クロスフローファン5の外周長さ(クロスフローファン5の外径Roのπ倍)の好ましくは0.018倍〜0.071倍であり、より好ましくは0.035倍〜0.053倍である。
【0037】
次に、クロスフローファン5とケーシング4との間には、凸部414の回転方向Nの下流側から回転方向Nに沿う空間が形成されている。この空間は、吸気口4bから吸引された気体が回転方向Nに送られる空間である。この空間におけるクロスフローファン5の外径Roとケーシング4の内径Riとの比は、0.6〜0.75であることが好ましい。例えば、クロスフローファン5の外径Roが90mmである場合、ケーシング4の内径Riは、120mm〜150mmであることが好ましく、例えば130mmに設定される。
【0038】
また、吸気口4bが回転方向Nにおいて占める方位(鉛直軸心Ozを中心とする中心角の角度範囲)Pは、100°〜180°であることが好ましい。図示された例においては、方位Pは、155°程度である。吸気口4bは、凸部414に対して、回転方向Nの下流側に隣接して配置されている。このような吸気口4bを方位Pに設ける方策として、本実施形態においては、吸気口4bが前側吸気口413及び後側吸気口423によって構成されている。すなわち、吸気口4bは、前カバー41において凸部414よりも回転方向Nの下流側に形成された前側吸気口413を含む。
【0039】
<回転ベース部62>
回転ベース部62は、ケーシング4及びクロスフローファン5及び送風モータ59を支持している。
図15及び
図16に示すように、回転ベース部62は、主板部621、一対の取付片622、回転軸623、一対のモータ固定片624、複数のボール支持片625及び複数の転動ボール626を有する。なお、後述する前カバー41及び後カバー42の固定構造において、回転ベース部62は、本発明における「ベース部」に相当する。回転ベース部62のうち複数の転動ボール626を除く部分は、例えば金型を用いて形成された樹脂部品である。
【0040】
主板部621は、xy平面に沿う板状部位であり、本実施形態においてはz方向視において円板の一部が切り欠かれた形状である。一対の取付片622は、各々が、主板部621からz方向上方に延設されている。図示された例においては、一対の取付片622は、主板部621のy方向後方端寄りにおいて、x方向両側に離間配置されている。回転軸623は、回転ベース部62が回転する軸心を規定するものであり、z方向に沿う鉛直状である。また、図示された例においては、回転軸623は、中空構造である。一対のモータ固定片624は、送風モータ59を支持するためのものである。一対のモータ固定片624は、主板部621からz方向上方に延設されている。図示された例においては、一対のモータ固定片624は、主板部621のy方向中心付近において、x方向両側に離間配置されている。図示された例においては、モータ固定片624のz方向高さは、取付片622のz方向高さよりも高い。複数のボール支持片625は、主板部621からz方向下方に延設されている。複数のボール支持片625は、回転軸623を中心とする円形配置とされている。複数の転動ボール626は、複数のボール支持片625のz方向下端において回転可能に個別に支持されている。
【0041】
ここで、
図15を参照して、前カバー41及び後カバー42のz方向下方部分における固定構造について説明する。
【0042】
本実施形態においては、前カバー41は、一対の前ボス部417を有する。一対の前ボス部417は、各々がカバー本体411の内周面からy方向後方に延設されている。また、一対の前ボス部417は、x方向に離間配置されている。後カバー42は、一対の後ボス部427を有する。一対の後ボス部427は、各々がカバー本体421の内周面からy方向前方に延設されている。また、一対の後ボス部427は、x方向に離間配置されている。一対の前ボス部417と一対の後ボス部427とは、y方向視において互いに一致している。
図15は、一方の前ボス部417及び後ボス部427の中心を通るyz平面における断面を含む要部拡大断面斜視図である。
【0043】
前ボス部417と後ボス部427とは、回転ベース部62の取付片622を挟んで互いに固定されている。図示された例においては、前ボス部417に雌ねじが形成され、後ボス部427及び取付片622に貫通孔が形成されている。後ボス部427及び取付片622の貫通孔を通じて、ねじ447が前ボス部417の雌ねじに螺合されている。本実施形態においては、取付片622が、主板部621のy方向後端寄りに形成されており、ケーシング4内においてy方向後方に位置している。このため、後ボス部427のy方向長さは、前ボス部417のy方向長さよりも短い。
【0044】
<固定ベース部63>
固定ベース部63は、台座部2に対して固定される部位である。本実施形態においては、回転ベース部62が固定ベース部63に対して回転することにより、送風部1が台座部2に対して回転する。
図8〜
図10、
図12及び
図17に示すように、固定ベース部63は、ベース本体631及びレール部材632を有する。固定ベース部63は、回転ベース部62のz方向直下に配置されている。
【0045】
ベース本体631は、台座部2への固定や回転ベース部62の回転に必要とされる剛性を発揮する部位である。図示された例においては、ベース本体631は、z方向視において円形状であり、例えば金型を用いて形成された樹脂部品である。レール部材632は、ベース本体631のz方向上側に取り付けられている。図示された例においては、レール部材632は、円環板状の部材であり、例えば金属製である。
【0046】
本実施形態においては、回転ベース部62の回転軸623が、固定ベース部63のベース本体631に回転可能に取り付けられている。また、回転ベース部62の複数の転動ボール626が、固定ベース部63のレール部材632に接している。回転ベース部62が回転軸623廻りに固定ベース部63に対して回転すると、複数の転動ボール626がレール部材632上を転動する。
【0047】
<回転駆動部61>
回転駆動部61は、回転ベース部62を固定ベース部63に対して回転させるためのものである。
図17に示すように、図示された例においては、回転駆動部61は、回転モータ611及びリンク機構612を有する。
【0048】
回転モータ611は、回転ベース部62を回転させる駆動源であり、回転ベース部62の主板部621の上面に取り付けられている。回転モータ611の駆動軸は、主板部621を貫通して主板部621のz方向下方に突出している。回転モータ611は、回転ベース部62の回転駆動に適した各種のACモータやDCモータが適宜採用される。
【0049】
リンク機構612は、回転モータ611の駆動力を、回転ベース部62を回転させる回転力に変換するための機構である。図示された例においては、リンク機構612は、リンクアーム613及びリンクアーム614からなる。リンクアーム613は、一端が回転モータ611の駆動軸に連結されている。リンクアーム614は、その一端がリンクアーム613の他端に回転可能に取り付けられている。リンクアーム614の他端は、固定ベース部63のベース本体631に形成された固定部633に固定されている。
【0050】
<操作制御部7>
操作制御部7は、送風モータ59及び回転モータ611の回転駆動制御を行うための制御部と、送風機A1の使用者が所定の操作を行うための操作部とを含むものである。制御部は、CPU、メモリ、インターフェース等によって適宜構成され、例えば配線基板に複数の電子部品が実装されている。制御部は、外部から視認されない位置に収容されている。
【0051】
本実施形態の操作制御部7は、
図1、
図2、
図4、
図7及び
図8に示すように、装置操作部71及びリモコン操作部72を有する。本実施形態においては、装置操作部71は、送風機A1のz方向上面に位置しており、ケーシング4のz方向上端開口を塞ぐように設けられ、使用者が操作するためのダイヤルやボタン等の操作要素を有する。リモコン操作部72は、送風機A1から離れた位置において使用者が操作するためのものであり、例えば赤外線通信を用いられる。図示された例においては、リモコン操作部72は、ケーシング4の後カバー42に設けられた凹部に収容可能である。
【0052】
<台座部2>
図1〜
図8に示すように、台座部2は、送風機A1を床面等に載置する際に床面等に当接する部位であり、送風部1を回転自在に支持している。本実施形態においては、
図21〜
図23に示すように、台座部2は、前方部21及び後方部22によって構成されている。なお、台座部2は、2分割構造のものに限定されず、一体的に形成された構造や、3以上の分割構造であってもよい。前方部21及び後方部22は、例えば金型を用いて形成されたABS樹脂等からなる樹脂部品である。
【0053】
前方部21は、台座部2のy方向前方部分を構成しており、傘状部211、支持部212及び複数の係止孔213を有する。傘状部211は、z方向下方に向かうほど径方向寸法が大きくなるように傾斜した部分であり、z方向視において半円環形状である。支持部212は、傘状部211のz方向視内側に設けられており、固定ベース部63が固定される部位である。複数の係止孔213は、z方向視においてx方向に沿って配置されており、各々がz方向に沿った貫通孔である。図示された例においては、4つの係止孔213が設けられている。
【0054】
後方部22は、台座部2のy方向後方部分を構成しており、傘状部221、支持部222及び複数のピン部223を有する。傘状部221は、z方向下方に向かうほど径方向寸法が大きくなるように傾斜した部分であり、z方向視において半円環形状である。傘状部221は、傘状部211とともに、円環形状の傘状部分を構成する。支持部222は、傘状部221のz方向視内側に設けられており、支持部212とともに固定ベース部63が固定される部位を構成している。複数のピン部223は、z方向視においてx方向に沿って配置されており、各々がz方向下方に延設された突起部分である。図示された例においては、4つのピン部223が設けられている。
【0055】
前方部21と後方部22とは、
図23に示すように、前方部21の複数の係止孔213に後方部22の複数のピン部223が挿通されることにより、互いに係止される。また、本実施形態においては、台座部2にケーブル29が挿通されている。ケーブル29は、送風モータ59、回転モータ611及び操作制御部7等に供される電力を供給するためのものである。例えば、ケーブル29は、一方部分が台座部2の外周から外部に延びており、他方部分が、回転ベース部62の回転軸623に挿通されてケーシング4内に延びている。
【0056】
<摺動部材3>
摺動部材3は、
図1〜
図6及び
図8に示すように、送風部1と台座部2との間に位置している。摺動部材3は、送風部1又は台座部2の少なくとも一方と摺動するものであり、好ましくは、摺動性樹脂からなる。摺動性樹脂は、低摩擦係数であり、耐摩耗性、自己潤滑性、高速滑り性に優れ、相手材攻撃性が低く、摩擦音や摩擦振動を発生しにくい樹脂である。摺動性樹脂の一例としては、例えばポリアセタールが挙げられる。
図12〜
図14に示された例においては、摺動部材3は、リング板部31及び複数の係止部32を有しており、送風部1のケーシング4に取り付けられている。
【0057】
リング板部31は、z方向視において円環形状の板状部位である。図示された例においては、リング板部31の内径は、固定ベース部63のベース本体631の外径よりも大きい。複数の係止部32は、リング板部31からz方向上方に延設されている。図示された例においては、4つの係止部32が鉛直軸心Ozを中心に円形配置されており、90°ごとに設けられている。
図13に示すように、複数の係止部32は、ケーシング4の前カバー41及び後カバー42のz方向下端に係止する。このため、送風部1が台座部2に対して回転する際には、摺動部材3のリング板部31のz方向下面が、台座部2のz方向上端部分と摺動する。
【0058】
次に、送風機A1の作用について説明する。
【0059】
本実施形態によれば、送風部1と台座部2との間に摺動部材3が配置されている。これにより、送風部1と台座部2とが直接摺動することを回避することができる。また、摺動部材3は、摩耗や異音を発生し難い材質からなるため、送風部1との摺動が生じても摩耗や異音を抑制することができる。さらに、送風部1と摺動部材3との摺動が許容されることにより、送風部1と摺動部材3との間に摺動を回避するための隙間を設ける必要がなく、送風部1が台座部2に対してぐらつくこと等を抑制することが可能である。したがって、送風機A1によれば、摩耗や異音を抑制しつつ送風部1を台座部2によってより確実に支持することができる。
【0060】
図15に示すように、前カバー41の前ボス部417と後カバー42の後ボス部427とが、回転ベース部62の取付片622を挟んで互いに固定されている。これにより、前ボス部417と後ボス部427とが、取付片622によって支持された構造が実現される。本実施形態とは異なり、例えば、前カバー41からy方向後方に向けて延設された前ボス部417のみが取付片622に支持される構造では、前カバー41に対して後カバー42を係止爪や差込みピン等にて嵌合させることで取着することとなり、ケーシング4の前カバー41及び後カバー42のガタつきが生じやすい。また、y方向後方に向けて延設された前ボス部417とy方向前方に向けて延設された後ボス部427とが互いに結合される構造においては、前ボス部417及び後ボス部427によってy方向に長く延在する部位が構成され、剛性不足が懸念される。本実施形態によれば、前カバー41の前ボス部417と後カバー42の後ボス部427とが取付片622を挟み込む固定構造により、前ボス部417及び後ボス部427を含めた剛性を高めることが可能であり、前カバー41及び後カバー42のがたつき等を防止することができる。また、前ボス部417と後ボス部427とを連結するねじ447は、y方向後方から後ボス部427内を挿通されて前ボス部417に螺合されている。このため、送風機A1のy方向前方からは、ねじ447は視認されない。これは、送風機A1の美観を良好に保つのに適している。また、前ボス部417を、後ボス部427よりも長く延設することにより、前ボス部417、後ボス部427及び取付片622の連結位置を、y方向後方に配置することが可能である。これにより、ケーシング4の中央付近に敷設されることが一般的であるケーブル29やその他の電気配線を、前ボス部417、後ボス部427及び取付片622によって、誤って挟んでしまうことを防止することができる。
【0061】
クロスフローファン5を回転駆動させる送風モータ59は、クロスフローファン5のz方向下端に連結されている。このため、送風モータ59によってクロスフローファン5が回転されると、クロスフローファン5の上端に設けられた中心軸51が過度に振動することが懸念される。本実施形態においては、
図18及び
図19に示すように、クロスフローファン5の中心軸51は、支持板55に支持されている。支持板55は、y方向前方の起立板部552が前カバー41の前ボス部416に固定されており、y方向後端が後カバー42の支持片429によって支持されている。これにより、支持板55は、前カバー41のみによる片持ち支持ではなく、前カバー41と後カバー42とによる両持ち支持の支持構造とされている。したがって、前カバー41及び後カバー42によって支持板55をより強固に支持することが可能であり、中心軸51の振動を抑制することができる。また、本実施形態においては、支持板55のz方向直上において、前カバー41の前ボス部415と後カバー42の後ボス部425とが結合されている。この結合により、前カバー41及び後カバー42によって支持板55をより確実に支持することが可能であり、中心軸51の振動防止に好ましい。また、前ボス部415と後ボス部425とを結合するねじ445は、y方向後方から後ボス部425を挿通されて前ボス部415に螺合されている。このため、送風機A1のy方向前方からは、ねじ445は視認されず、送風機A1の美観を良好に保つのに適している。
【0062】
図20に示すように、クロスフローファン5の外径Roが90mmである場合に、クロスフローファン5の外周と凸部414との隙間Gは、好ましくは1.5mm〜4.0mmであり、クロスフローファン5の外径Roの0.017倍〜0.044倍とされている。これにより、クロスフローファン5によって送られてきた気体が凸部414とクロスフローファン5との隙間Gから回転方向Nの下流側に通り抜けにくくすることが可能である。したがって、凸部414の回転方向Nの上流側の空間によって気体を十分に圧縮することが可能であり、送風口4aからの風量を向上させることができる。隙間Gが1.5mm未満(クロスフローファン5の外径Roの0.017倍未満)であると、クロスフローファン5の回転時にクロスフローファン5と凸部414とが接触する虞がある。一方、隙間Gが4.0mm(クロスフローファン5の外径Roの0.044倍)を超えると、クロスフローファン5と凸部414との隙間を気体が通り抜けやすくなり、風量の低下が懸念される。
【0063】
また、凸部414の周方向寸法Lが、好ましくは5.0mm〜20.0mmであり、より好ましくは、10.0mm〜15.0mmである。すなわち、周方向寸法Lは、クロスフローファン5の外周長さ(クロスフローファン5の外径Roのπ倍)の好ましくは0.018倍〜0.071倍であり、より好ましくは0.035倍〜0.053倍である。周方向寸法Lが5.0mm未満(クロスフローファン5の外周長さの0.018倍未満)であると、クロスフローファン5と凸部414との隙間を気体が通り抜けやすくなり、風量の低下が懸念される。一方、周方向寸法Lが20.0mm(クロスフローファン5の外周長さの0.071倍)を超えると、クロスフローファン5と凸部414との隙間の圧力変動が過大となり、クロスフローファン5の振動やこれに伴うクロスフローファン5と凸部414との接触が懸念される。
【0064】
次に、クロスフローファン5の外径Roとケーシング4の内径Riとの比が、好ましくは0.6〜0.75であり、クロスフローファン5の外径Roが90mmである場合、ケーシング4の内径Riは、120mm〜150mmであり、例えば130mmに設定されている。これにより、クロスフローファン5の回転によってケーシング4とクロスフローファン5との間を気体が通過する空間を適度に広く確保することが可能であり、風量の向上を促進することができる。クロスフローファン5の外径Roとケーシング4の内径Riとの比が0.6未満であると、クロスフローファン5の外径Roが過小となり、風量の低下が懸念される。一方、クロスフローファン5の外径Roとケーシング4の内径Riとの比が0.75を超えると、ケーシング4とクロスフローファン5との間の気体が通る空間が狭くなり、風量の低下が懸念される。
【0065】
また、吸気口4bが回転方向Nにおいて占める方位Pが、100°〜180°である。これにより、吸気口4bからより多くの気体を吸引することが可能である。これは、送風機A1の風量向上に有利である。方位Pが100°未満であると、吸気口4bから十分な量の気体を吸引することが困難となり、風量の低下が懸念される。一方、方位Pが180°を超えると、吸気と排気(送風)とのバランスが崩れ、吸気口4bの回転方向Nの上流側で吸気し、吸気口4bの回転方向Nの下流側で空気が外方へ排出されるということが起こり得る。また、ケーシング4の強度を十分に確保することが困難となる。
【0066】
凸部414の回転方向Nの下流側に隣接する領域は、クロスフローファン5の回転によって負圧になりやすく、前カバー41が吸い込まれること等によって振動が生じやすい。この領域に前側吸気口413を設けることにより、吸気量の向上に加えて、振動を低減する効果が期待できる。
【0067】
図21〜
図23に示すように、前方部21と後方部22とは、複数の係止孔213及び複数のピン部223との係止によって互いに結合されている。これにより、台座部2の剛性を向上させることが可能であり、送風部1をより安定して支持することができる。
【0068】
また、クロスフローファン5の複数の羽根52及び枠板53を、AS樹脂にて構成することにより、クロスフローファン5の剛性を向上し、表面硬度も向上できるため、クロスフローファン5に傷が付きにくいよう構成できる。また、羽根52及び枠板53に20%〜30%のガラス繊維を含有することで、クロスフローファン5の反りを抑制でき、なおかつ、剛性を向上できる利点がある。
【0069】
図24及び
図25は、本発明の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一又は類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0070】
<第1実施形態 第1変形例>
図24は、送風機A1の第1変形例を示している。本変形例の送風機A11においては、摺動部材3の複数の係止部32が台座部2に係止されている。これにより、摺動部材3は、台座部2に対して固定されている。送風部1が台座部2に対して回転すると、摺動部材3のリング板部31のz方向上面が、送風部1(ケーシング4)のz方向下端部分と摺動する。
【0071】
<第1実施形態 第2変形例>
図25は、送風機A1の第2変形例を示している。本変形例の送風機A12においては、摺動部材3は、送風部1及び台座部2のいずれにも係止や固定がされておらず、例えばリング板部31のみによって構成されている。送風部1が台座部2に対して回転すると、摺動部材3のリング板部31のz方向上面が送風部1(ケーシング4)のz方向下端部分と摺動し、リング板部31のz方向下面が台座部2のz方向上端部分と摺動する。ただし、リング板部31の両面において同時に摺動が生じる構成に限定されず、リング板部31の上下面の一方のみにおいて、あるいは交互に、摺動が生じる構成であってもよい。
【0072】
これらの変形例から理解されるように、摺動部材3は、送風部1及び台座部2の少なくとも一方と摺動する構成であればよい。
【0073】
本発明に係る送風機は、上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る送風機の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0074】
本発明に係る送風機は、送風部にクロスフローファンを備える構成に限定されない。送風部が送風機能を果たしうる構成であれば、クロスフローファンに代えて様々な羽根車を採用することができる。