(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6637701
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】圧力計、圧力計測装置、及び血圧計
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20200120BHJP
G01L 19/00 20060101ALI20200120BHJP
【FI】
A61B5/022 100Z
G01L19/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-174829(P2015-174829)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-47093(P2017-47093A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉コンポジット株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501378620
【氏名又は名称】杤久保 修
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵理
(72)【発明者】
【氏名】杤久保 修
【審査官】
佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−102184(JP,A)
【文献】
特開2001−065461(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/023343(WO,A2)
【文献】
特開2012−200410(JP,A)
【文献】
米国特許第05249467(US,A)
【文献】
特開2002−062208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象生体の動脈を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを出力する、荷重センサ部材を含むセンサ手段と、
前記荷重センサ部材を挟んで前記計測対象生体と反対側に位置して、前記荷重センサ部材を前記計測対象生体側に押し付ける押圧手段と、
前記荷重センサ部材と前記押圧手段との間に位置して前記荷重センサ部材を支える、前記動脈内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する支持部材と、
前記荷重センサ部材より前記計測対象生体側に位置して前記荷重センサ部材と面で接し前記血液の圧力を該面で分散して前記荷重センサ部材に伝える、前記動脈内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する伝達部材と、
を具備し、
前記支持部材及び前記伝達部材は、前記荷重センサ部材に対して、電流を流すか又は電圧を印加する一対の電極を構成する、
ことを特徴とする圧力計。
【請求項2】
請求項1記載の圧力計において、
前記支持部材の剛性は、前記伝達部材の剛性よりも高い、圧力計。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の圧力計において、
前記センサ手段は、前記血液の圧力に起因する動脈血管の変位に応じた抵抗変化を前記圧力パラメータとして出力する、圧力計。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の圧力計において、
前記センサ手段は、前記血液の圧力に起因する動脈血管の変位に応じた静電容量変化を前記圧力パラメータとして出力する、圧力計。
【請求項5】
計測対象生体の動脈を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを出力する、荷重センサ部材を含むセンサ手段と、
前記荷重センサ部材を挟んで前記計測対象生体と反対側に位置して、前記荷重センサ部材を前記計測対象生体側に押し付ける押圧手段と、
前記荷重センサ部材と前記押圧手段との間に位置して前記荷重センサ部材を支える、前記動脈内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する支持部材と、
前記センサ手段から出力された前記圧力パラメータに基づいて、前記動脈を通る血液の圧力を算出する算出手段と、
前記荷重センサ部材より前記計測対象生体側に位置して前記荷重センサ部材と面で接し前記血液の圧力を該面で分散して前記荷重センサ部材に伝える、前記動脈内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する伝達部材と、
を具備し、
前記支持部材及び前記伝達部材は、前記荷重センサ部材に対して、電流を流すか又は電圧を印加する一対の電極を構成する、
ことを特徴とする圧力計測装置。
【請求項6】
生体に装着して該生体の血圧を算出する血圧計であって、
前記生体の血管内を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを出力する、荷重センサ部材を含むセンサ手段と、
前記荷重センサ部材を挟んで前記生体と反対側に位置して、前記荷重センサ部材を前記生体側に押し付ける押圧手段と、
前記荷重センサ部材と前記押圧手段との間に位置して前記荷重センサ部材を支える、前記血管内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する支持部材と、
前記センサ手段から出力された前記圧力パラメータに基づいて、前記生体の血圧を算出する制御手段と、
前記荷重センサ部材より前記生体側に位置して前記荷重センサ部材と面で接し前記血液の圧力を該面で分散して前記荷重センサ部材に伝える、前記血管内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する伝達部材と、
を具備し、
前記支持部材及び前記伝達部材は、前記荷重センサ部材に対して、電流を流すか又は電圧を印加する一対の電極を構成する、
ことを特徴とする血圧計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシート状の荷重センサを用いた、圧力計、圧力計測装置、及び血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
これ迄一般に使用されている血圧計は、オシロメトリック法によるもので、生体(一般に上腕)に巻いたカフに空気を送って動脈を閉塞し、その後、カフを減圧する過程で生じるカフ内空気圧の変化から最高血圧や最低血圧の判定を行っている。
【0003】
特許文献1は、カフが正しく生体の測定部位へ巻かれていることを確認するために、カフの内面に荷重検知シート(センサ部材)を配置する血圧計を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−081355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の血圧計では、カフ内の空気圧という間接的な血圧に関する圧力パラメータを用いて血圧を算出している。カフ内の空気圧という間接的な圧力パラメータは、空気やゴム弾性などによる減衰(ダンピング)を原因として、血圧を精度良く反映できていない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、動脈の圧力パラメータを精度良く得ることができる、圧力計、圧力計測装置、及び血圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の圧力計は、その一態様では、計測対象生体の動脈を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを出力する、荷重センサ部材を含むセンサ手段と、前記荷重センサ部材を挟んで前記計測対象生体と反対側に位置して、前記荷重センサ部材を前記計測対象生体側に押し付ける押圧手段と、前記荷重センサ部材と前記押圧手段との間に位置して前記荷重センサ部材を支える、前記動脈内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する支持部材と、
前記荷重センサ部材より前記計測対象生体側に位置して前記荷重センサ部材と面で接し前記血液の圧力を該面で分散して前記荷重センサ部材に伝える、前記動脈内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する伝達部材と、を
具備し、前記支持部材及び前記伝達部材は、前記荷重センサ部材に対して、電流を流すか又は電圧を印加する一対の電極を構成する、ことを特徴としている。
【0010】
前記支持部材の剛性は、好ましくは、前記伝達部材の剛性よりも高い。
【0011】
前記センサ手段は、前記血液の圧力に起因する動脈血管の変位に応じた抵抗変化を前記圧力パラメータとして出力してもよい。
【0012】
前記センサ手段は、記血液の圧力に起因する動脈血管の変位に応じた静電容量変化を前記圧力パラメータとして出力してもよい。
【0014】
本発明の圧力計測装置は、その一態様では、計測対象生体の動脈を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを出力する、荷重センサ部材を含むセンサ手段と、前記荷重センサ部材を挟んで前記計測対象生体と反対側に位置して、前記荷重センサ部材を前記計測対象生体側に押し付ける押圧手段と、前記荷重センサ部材と前記押圧手段との間に位置して前記荷重センサ部材を支える、前記動脈内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する支持部材と、
前記センサ手段から出力された前記圧力パラメータに基づいて、前記動脈を通る血液の圧力を算出する算出手段と、
前記荷重センサ部材より前記計測対象生体側に位置して前記荷重センサ部材と面で接し前記血液の圧力を該面で分散して前記荷重センサ部材に伝える、前記動脈内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する伝達部材と、を
具備し、前記支持部材及び前記伝達部材は、前記荷重センサ部材に対して、電流を流すか又は電圧を印加する一対の電極を構成する、ことを特徴としている。
【0015】
本発明の血圧計は、その一態様では、生体に装着して該生体の血圧を算出する血圧計であって、前記生体の血管内を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを出力する、荷重センサ部材を含むセンサ手段と、前記荷重センサ部材を挟んで前記生体と反対側に位置して、前記荷重センサ部材を前記生体側に押し付ける押圧手段と、前記荷重センサ部材と前記押圧手段との間に位置して前記荷重センサ部材を支える、前記血管内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する支持部材と、前記センサ手段から出力された前記圧力パラメータに基づいて、前記生体の血圧を算出する制御手段と、
前記荷重センサ部材より前記生体側に位置して前記荷重センサ部材と面で接し前記血液の圧力を該面で分散して前記荷重センサ部材に伝える、前記血管内の血液の最大圧力によって変形しない剛性を有する伝達部材と、を
具備し、前記支持部材及び前記伝達部材は、前記荷重センサ部材に対して、電流を流すか又は電圧を印加する一対の電極を構成する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、動脈を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを精度良く得ることができる、圧力計、圧力計測装置、及び血圧計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態の圧力計測装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態の圧力計測装置を上腕に適用した実施例の説明に供する図である。
【
図3】一実施形態の圧力計測装置におけるセンサ手段の一例を示す図である。
【
図4】圧力パラメータ取得部にて得られる圧力パラメータの時間変動を示す図である。
【
図5】反射板及び受圧板が無い状態で得られる圧力パラメータの時間変動を示す図である。
【
図6】荷重と圧力パラメータとの対応関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の圧力計、圧力計測装置、及び血圧計の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明の圧力計、圧力計測装置、及び血圧計が限定されるものではない。
【0019】
<圧力計測装置の構成例>
図1は、一実施形態の圧力計測装置の一例を示すブロック図である。
図1において圧力計測装置10は、センサモジュール(圧力計)11と、制御部13と、表示部15とを有する。
【0020】
センサモジュール11は、センシング対象物(計測対象生体)1に含まれる動脈を通る血液の圧力に関する直接的な「圧力パラメータ」を出力する。この「圧力パラメータ」については後に詳しく説明する。
【0021】
センシング対象物1は、例えば、人の腕であってもよいし、足や他の部位であってもよい。
【0022】
制御部13は、センサモジュール11から出力された「圧力パラメータ」に基づいて、センシング対象物1に含まれる動脈を通る血液の圧力を算出する。そして、制御部13は、算出した圧力に関する情報を表示部15に表示させる制御を実行する。
【0023】
<センサモジュールの構成例>
図1に示すように、センサモジュール(圧力計)11は、センサ部材21と、電極22,23と、圧力パラメータ取得部24と、押圧部25と、支持部材26と、伝達部材27とを有する。
【0024】
また、
図1に示すように、センサモジュール11において、センシング対象物1に近い方から順に、伝達部材27、電極22、センサ部材21、電極23、支持部材26、押圧部25の順番で並んでいる。
【0025】
センサ部材21は、例えばシート状からなり、センシング対象物1に含まれる動脈を通る血液の圧力に起因する血管の変位に応じた荷重を受ける。そして、センサ部材21は、受けた荷重に応じて厚さに変化が生じ、この厚さの変化に応じて特性が変化する部材である。変化する特性は、例えば、抵抗であってもよいし、静電容量であってもよい。このセンサ部材21は、2つの電極22と電極23に挟まれている。例えば、センサ部材21がその特性変化として抵抗変化を生じさせる部材である場合、電極22、センサ部材21及び電極23は、電気的に接続されて電流が流される。また、例えば、センサ部材21がその特性変化として容量変化を生じさせる部材である場合、電極22、センサ部材21及び電極23は、電気的に接続されずに、電極22と電極23の間に電圧が印加される。
【0026】
圧力パラメータ取得部24は、センサ部材21の特性変化に基づく「圧力パラメータ」を取得し、取得した「圧力パラメータ」を制御部13へ出力する。例えば、センサ部材21がその特性変化として抵抗変化を生じさせる部材である場合、圧力パラメータ取得部24は、抵抗変化量を示す、センサ部材21の両端の電圧値を取得し、この電圧値を「圧力パラメータ」として制御部13へ出力する。また、例えば、センサ部材21がその特性変化として静電容量変化を生じさせる部材である場合、圧力パラメータ取得部24は、静電容量変化量を示す、センサ部材21の両端の電圧値を取得し、この電圧値を「圧力パラメータ」として制御部13へ出力する。
【0027】
以上のように本実施形態では、センサ部材21と、電極22,23と、圧力パラメータ取得部24とが、センシング対象物1に含まれる動脈を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを出力する「センサ手段」を構成している。
【0028】
押圧部25は、伝達部材27、電極22、センサ部材21、電極23、及び支持部材26を挟んで、センシング対象物1と反対側に位置している。そして、押圧部25は、支持部材26をセンシング対象物1側に押しつける。これにより、支持部材26の位置がセンシング対象物1に対して相対的に移動してしまうことを防止することができる。
【0029】
支持部材26は、センサ部材21と押圧部25との間に位置して、電極23を介して間接的にセンサ部材21を支持している。さらに、支持部材26は、センシング対象物1の動脈内を流れる血液の想定最大圧力によって変形しない剛性を有している。支持部材26は、例えば、アルミニウム等の金属やアクリル樹脂等によって成形されている。これにより、センシング対象物1の動脈内を流れる血液の圧力をセンサ部材21に対して100%近く伝えることができ、センサ部材21をその血液の圧力に応じた厚さに変形させることができる。この結果、圧力パラメータ取得部24で得られる「圧力パラメータ」の精度を向上させることができる。具体的には、想定最大圧力は、例えば、250[mmHg]となる。
【0030】
伝達部材27は、センサ部材21よりセンシング対象物1側に位置し、電極22を介してセンサ部材21と間接的に面(以下では、「接触面」と呼ぶ)で接している。そして、伝達部材27は、動脈の変位に応じて移動する。さらに、伝達部材27は、上記の想定最大圧力によって変形しない剛性を有している。これにより、伝達部材27は、センシング対象物1の動脈内を流れる血液の圧力を「接触面」で分散してセンサ部材21に伝えることができる。ここで、好ましくは、伝達部材27の剛性よりも、支持部材26の剛性は高い。例えば、支持部材26の厚さは、伝達部材27の厚さよりも厚くなっている。伝達部材27は、例えば、アルミニウム等の金属やアクリル樹脂等によって成形されている。
【0031】
<実施例>
以上の構成を有する圧力計測装置10を上腕に適用した場合の実施例について説明する。
図2は、一実施形態の圧力計測装置を上腕に適用した実施例の説明に供する図である。
図2には、血圧計が人の腕に巻かれた状態の断面図が示されている。
【0032】
図2において、荷重センサ31は、上記のセンサ部材21に対応し、カフ32及び粘弾性板33は、上記の押圧部25に対応し、反射板34は、上記の支持部材26に対応し、受圧板35は、上記の伝達部材27に対応する。
図2では、便宜上、電極22,23、圧力パラメータ取得部24、制御部13、及び表示部15の図示を省略している。
【0033】
血圧を計測するに際して、まず、カフ32に空気を送ってカフ32内の空気圧を高くすることにより、カフ32によって反射板34を腕側に押しつける。
【0034】
この状態で、心臓の動きに伴う上腕動脈を流れる血液の圧力変化に応じて受圧板35の位置が変動し、この受圧板35の位置の変動に応じた荷重を受けて荷重センサ31の厚さに変化が生じる。この厚さの変化に応じて、荷重センサ31の特性が変化する。
【0035】
ここで、荷重センサ31がその特性変化として抵抗変化を生じさせる部材であるものとする。この場合の「センサ手段」の構成例を
図3に示す。
図3に示すように、例えば、正極の電極22から負極の電極23に向けて、荷重センサ31に電流が流れる。荷重センサ31は、受圧板35を介して荷重Fを受け、この荷重Fに応じて厚さが変化する。この厚さの変化に応じて、荷重センサ31の抵抗が変化する。この抵抗の変化を圧力パラメータ取得部24は電極22と電極23の間の電圧として検出し、検出した電圧を「圧力パラメータ」として制御部13へ出力する。
【0036】
この「圧力パラメータ」の時間変動を
図4に示す。
図4における波形L1は、「圧力パラメータ(電圧)」の時間変動を示し、波形L2は、カフ32内の空気圧の時間変動を示している。
図4を見てわかる通り、本実施形態の圧力計測装置10によって得られた「圧力パラメータ(電圧)」の時間変動波形L1は、カフ32内の空気圧の時間変動波形L2(従来の血圧計の構成に対応)に比べて、山谷が明確になっており、精度良く「圧力パラメータ」を取得できていることがわかる。
【0037】
一方、
図5には、反射板34及び受圧板35が無い状態で得られる「圧力パラメータ(電圧)」の時間変動が示されている。
図5における波形L3は、反射板34及び受圧板35が無い状態で得られる「圧力パラメータ」の時間変動を示し、波形L4は、カフ32内の空気圧の時間変動を示している。
図5の波形L3と比較すると、
図4の波形L1は、山谷が明確になっており、反射板34及び受圧板35の存在によって、「圧力パラメータ」の精度向上が図られていることがわかる。
【0038】
以上のようにして得られた「圧力パラメータ(電圧)」を受け取って、制御部13は、この「圧力パラメータ(電圧)」に基づいて血圧を算出する。
【0039】
具体的には、予め、荷重センサ31に対して複数の荷重を与え、各荷重で得られる「圧力パラメータ(電圧)」を取得して、荷重と「圧力パラメータ(電圧)」との対応関係を算出しておく。この対応関係を記憶部(図示せず)に記憶しておく。
図6は、荷重と「圧力パラメータ(電圧)」との対応関係の一例を示す図である。
図6には、荷重と「圧力パラメータ(電圧)」との対応関係として、一次関数y=0.0053xが示されている。xは、「圧力パラメータ(電圧)」の値であり、yは、血圧の値である。
【0040】
そして、制御部13は、圧力パラメータ取得部24から受け取った「圧力パラメータ(電圧)」の値と、記憶部(図示せず)に記憶されている対応関係において対応する圧力を読み出し(算出し)、読み出した(算出した)圧力を血圧とする。
【0041】
以上のように本実施形態によれば、センサモジュール11において支持部材26は、センサ部材21と押圧部25との間に位置してセンサ部材21を支持している。さらに、支持部材26は、センシング対象物1の動脈を流れる血液の想定最大圧力によって変形しない剛性を有している。これにより、センシング対象物1の動脈内を流れる血液の圧力をセンサ部材21に対して100%近く伝えることができ、センサ部材21をその血液の圧力に応じた厚さに変形させることができる。この結果、血液の圧力に関する直接的な「圧力パラメータ」を圧力パラメータ取得部24で精度良く得ることができる。
【0042】
<変形例1>
以上の説明では、センサモジュール11が支持部材26の他に伝達部材27を有する構成を前提として説明を行ったが、この構成に限定されない。センサモジュール11から伝達部材27を無くした構成であっても従来に比べて、圧力パラメータ取得部24で得られる「圧力パラメータ」の精度を向上させることができる。
【0043】
<変形例2>
以上の説明では、センサモジュール11において電極22及び電極23を伝達部材27及び支持部材26と別の部材として説明を行ったが、この構成に限定されない。センサモジュール11において電極22及び電極23を無くして、伝達部材27及び支持部材26が電極22及び電極23の機能を併せ持っている構成としてもよい。この構成の場合、センサ部材21と圧力パラメータ取得部24が、センシング対象物1に含まれる動脈を通る血液の圧力に関する圧力パラメータを出力する「センサ手段」を構成する。
【符号の説明】
【0044】
1 センシング対象物
10 圧力計測装置
11 センサモジュール(圧力計)
13 制御部
15 表示部
21 センサ部材
22,23 電極
24 圧力パラメータ取得部
25 押圧部
26 支持部材
27 伝達部材
31 荷重センサ
32 カフ
33 粘弾性板
34 反射板
35 受圧板
L1,L2,L3,L4 時間変動波形