(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコンベヤ装置101では、無端チェーン130の張力を調整するために、ワークの搬送方向と平行な方向にスプロケット120を移動させるとき、ブラケット140に取り付けられるカバー160は移動しない。
図11は、無端チェーン130の張力を小さくするために、
図10の状態からスプロケット120をカバー160から離れる方向に移動させた場合を示す。
図10及び11に示すように、スプロケット120の移動によって、無端チェーン130の回動部131とカバー160との間のスペースS1の大きさが変化してしまう。
図11に示すように、回動部131とカバー160との間のスペースS1が大きい場合、このスペースS1に異物が巻き込まれたり、作業者等が誤って指を入れてしまったりして、コンベヤ装置の安全性に問題があった。特許文献1に記載のコンベヤ装置においても同様の問題がある。そこで、本発明は、コンベヤ装置の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載のコンベヤ装置は、ローラと、ワークの搬送路を形成する搬送部を有するとともに、前記ローラの外周に保持されることによって形成される回動部を有する無端回動体と、前記無端回動体の前記回動部を覆うカバーと、前記ローラ及び前記カバーを保持するブラケットと、を備え、前記ローラは、前記無端回動体の張力調整のために移動可能であり、前記カバーは、
水平方向に対して垂直な面を形成して前記無端回動体の内周側に位置する主面部と、水平方向において前記ローラが位置する側に前記主面部を折り曲げて形成される側面部と、前記主面部に設けられ前記ワークの搬送方向に伸長する長孔と、を有するカバー片により形成され、一対の前記カバー片の主面部を前記ローラに対して対称に配置させるとともに、一対の前記カバー片の側面部の端面を互いに当接させることによって、一対の前記カバー片が前記回動部の上部と下部との間の部分を覆い、前記ブラケットは、
水平方向に対して垂直な面を形成する板材の主面部と、水平方向において前記ローラが位置する側に前記板材の主面部を折り曲げて形成される板材の側面部と、前記板材の主面部に設けられ前記カバー片の長孔と係合する突起と、を有する板材により形成され、一対の前記板材の主面部によって一対の前記カバー片を挟むように、一対の前記板材を前記ローラに対して対称に配置させるとともに、一対の前記板材の側面部を互いに接合させることによって、前記回動部を覆い、前記突起が前記長孔の内部をスライドすることにより、前記カバーが前記ローラと一体に前記ブラケットに対して相対的に移動することを特徴とする。
この構成により、カバーがローラと一体移動するため、無端回動体の回動部とカバーと
の間のスペースを一定とすることができる。
【0006】
また、この構成により、ブラケットがローラ及びカバーを保持しながら移動させることが可能とすることができるとともに、カバーだけでは覆いきれない回動部の部分を、ブラケットによって覆うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンベヤ装置によれば、カバーとローラとが一体移動するため、カバーとローラとの間のスペースを一定とすることができる。これにより、ローラとカバーとの間のスペースが大きく開くことがなく、そのスペースに異物や指が巻き込まれることを防止できるため、コンベヤ装置の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係るコンベヤ装置1は、
図1A及び
図1Bに示すように、無端回動体としての無端チェーン30の張力調整のために、ローラとしての従動スプロケット20を移動可能とするものである。このとき、無端チェーン30における従動スプロケット20に巻き掛けられた回動部31を覆うカバー60も、従動スプロケット20と一体移動する。具体的には、従動スプロケット20は、コンベヤ装置1の端部に設けられるブラケット40に対して、搬送方向Xと平行な方向に移動可能に構成されており、カバー60もブラケット40に対して搬送方向Xと平行な方向に移動可能に構成されている。なお、
図1Bにおいては、ブラケット40を二点鎖線で示すこととしている。以下、コンベヤ装置1の各構成について具体的に説明する。
【0013】
図2は、コンベヤ装置1の全体を示す正面図である。コンベヤ装置1は、搬送方向Xに、又はその反対方向にワークWを搬送するために使用される。コンベヤ装置1は、ローラとしての駆動スプロケット10と、ローラとしての従動スプロケット20と、無端回動体としての無端チェーン30と、ブラケット40と、フレーム50と、カバー60(
図1A、1B及び3〜8参照)とを備える。これらの部材は、それぞれ奥行方向Zに2列以上配列されて、チェーンコンベヤが構成される。ワークWは、例えば、フォークリフトで無端チェーン30上に移載されるパレットなどの被搬送物である。なお、図面における符号Yは、高さ方向を示す。
【0014】
駆動スプロケット10は、駆動源11と接続される駆動軸12を有しており、駆動源11によって、駆動軸12周りに回転する。従動スプロケット20は、ベアリング22(
図5及び6参照)を介して、中心軸21と接続される。ベアリング22は、中心軸21の周囲を囲むように設けられており、これにより、従動スプロケット20は、中心軸21周りに回転自在となる。無端チェーン30は、駆動スプロケット10と従動スプロケット20とによって、所定の張力で保持される。無端チェーン30は、回動部31、32及び搬送部33を有する。回動部31は、従動スプロケット20の外周に沿う部分であって、回動部32は、駆動スプロケット10の外周に沿う部分である。搬送部33は、2つの回動部31、32同士の間で、ワークWの搬送路を形成する部分である。また、フレーム50は、無端チェーン30が直進するように搬送部33を下方から支えて保持するものである。フレーム50の搬送方向Xにおける一端には、駆動スプロケット10が設けられており、搬送方向Xにおける他端には従動スプロケット20が設けられている。駆動スプロケット10が回転すると、その回転に伴って無端チェーン30が走行し、従動スプロケット20も中心軸21周りに回転する。これにより、無端チェーン30上に載置されるワークWを搬送方向X、又はその反対方向に搬送することが可能となる。
【0015】
次に、カバー60の構成について、
図1A、1B、3、5〜7を参照しながら詳細に説明する。カバー60は、板状部材で形成され、無端チェーン30の回動部31を覆うものであって、作業者等が誤って無端チェーン30の回動部31とブラケット40等との間に指を入れてしまう等して、けがをしてしまうことを防止するために設けられている。ここで、「回動部31を覆う」とは、回動部31の全てを覆うことではなく、カバー60がワーク搬送の邪魔をしない程度に無端チェーン30の回動部31の上部を覆わず、切り欠いている形状のことをいう。
【0016】
また、カバー60は、
図5及び6に示すように、従動スプロケット20を挟んで対称の位置に設けられる一対のカバー片60a、60bが互いに当接することによって形成される。すなわち、カバー片60a及びカバー片60bは、
図6において、従動スプロケット20を挟んで左右対称に形成される。カバー片60a、60bは、
図3及び6に示すように、それぞれ上下対称、すなわち、中心軸21を通る水平面H(X−Z平面)に対して対称に形成される。カバー片60a、60bは、それぞれ主面部61と、側面部62と、ベアリング押え63(
図6及び7参照)と、チェーン支持部64とを有する。
【0017】
カバー片60a、60bの主面部61は、奥行方向Zに対して垂直な面であって、従動スプロケット20の中心軸21を通す貫通孔61a(
図1A、1B及び7参照)と、搬送方向Xに伸長する長孔61bとを有する。また、主面部61の高さは、無端チェーン30の搬送路が露出し、かつ、主面部61が無端チェーン30の内周側に位置するように設計されている。
【0018】
カバー片60a、60bの側面部62は、搬送方向Xにおけるコンベヤ装置1の端部側で、奥行方向Zにおいて従動スプロケット20が位置する側に主面部61を90度折り曲げて形成される部分である。以下、奥行方向Zにおいて従動スプロケット20が位置する側を、単に内側と称す。反対に、奥行方向Zにおいて従動スプロケット20の位置と反対側を、単に外側と称す。一対のカバー片60a、60bは、各側面部62の端面が互いに当接することによって、無端チェーン30の回動部31を覆うように構成される。前述したように、カバー片60a、60bは、ワークの搬送の邪魔をしない程度に回動部31の上部を覆わず、かつ、上下対称に形成されることから、側面部62は、回動部31の上部と下部を覆わず、高さ方向Yにおける回動部31の上部と下部との間の部分を覆うこととなる。
【0019】
カバー片60a、60bのベアリング押え63は、
図7に示すように、主面部61の貫通孔61aの周囲で、内側に向かって盛り上がるように形成されている。カバー片60a、60bのチェーン支持部64は、
図5及び6に示すように、主面部61の上端及び下端を内側に折り曲げて形成される。チェーン支持部64は、無端チェーン30が従動スプロケット20に噛み込むことを防止するために、無端チェーン30の搬送部33を支持するものである。
【0020】
次に、ブラケット40の構成について、
図1A及び4〜7を参照しながら説明する。ブラケット40は、従動スプロケット20及び一対のカバー片60a、60bを挟んで対称の位置に一対設けられる。各ブラケット40は、板材にて形成され、主面部41と、端部側縁部42と、中央側縁部43と、側面部44と、接合部45とを有する。
【0021】
ブラケット40の主面部41は、奥行方向Zに対して垂直な面であって、搬送方向Xと平行な方向に伸長する長孔41a(
図4参照)を有する。従動スプロケット20の中心軸21を長孔41aに通すことによって、従動スプロケット20は、搬送方向Xと平行な方向に移動可能な状態で保持される。ここで、中心軸21には、径方向に切欠き部21b(
図6参照)を有する。ブラケット40の長孔41aが切欠き部21bと係合することによって、従動スプロケット20は、奥行方向Zの移動が規制される。主面部41の高さは、無端チェーン30の搬送路が露出し、かつ、主面部41が無端チェーン30の搬送部33に位置するように設計されている。
【0022】
さらに、ブラケット40の主面部41の内側には、カバー片60a、60bの主面部61に形成された長孔61bと係合する突起41bが設けられている。ブラケット40の突起41bが、カバー片60a、60bの長孔61bの内部を相対的にスライドすることによって、カバー60はブラケット40に対して相対的に移動可能となる。カバー片60、60bの長孔61bは、主面部61のどこに設けられてもよいが、
図7に示すように、主面部61の上端付近及び下端付近に1個ずつ設けられることが好ましい。カバー60を搬送方向Xと平行な方向に移動させやすくなるからである。なお、
図7における二点鎖線部分は、コンベヤ装置の中央側にカバー片60bを移動させた状態を示す。
【0023】
また、ブラケット40の主面部41には、
図7に示すように、複数の貫通孔41cが設けられている。
図4及び5に示すように、この貫通孔41cの何れかにボルト41dを通してナット41eで締結することによって、一対のブラケット40が互いに接合される。貫通孔41cは、高さ方向Yにおいて従動スプロケット20よりも下方に形成される。そのため、貫通孔41cにボルト41dを通したとしても、ボルト41dと従動スプロケット20とが干渉することはない。そして、一対のブラケット40が奥行方向Zの外側から一対のカバー片60a、60bを押圧することとなり、カバー片60a、60bのベアリング押え63は、従動スプロケット20のベアリング22をスラスト方向に押えて、これら従動スプロケット20とベアリング22とを位置決めすることができる。
【0024】
ブラケット40の端部側縁部42は、搬送方向Xにおけるコンベヤ装置1の端部側で、主面部41を外側に90度折り曲げて形成される部分である。端部側縁部42には、主面部41の長孔41aと同じ高さの位置に貫通孔42a(
図1A参照)が設けられている。ボルト42bは、端部側縁部42の貫通孔42aを通っており、貫通孔42aを挟んでボルト42bの頭部の反対側にナット42cが設けられている。そして、ボルト42bは、従動スプロケット20の中心軸21に形成された内ネジ孔21a(
図1B及び6参照)に挿入される。ナット42cを緩めてボルト42bを回転させることによって、従動スプロケット20の中心軸21は、ブラケット40の主面部41に設けられた長孔41aの内部をスライドして、従動スプロケット20を搬送方向Xと平行な方向に移動させることができる。これにより、無端チェーン30の張力を調整することができる。張力調整を完了した後は、ナット42cを締めることによってボルト42bの回転を規制し、従動スプロケット20の位置を固定することができる。ここで、ブラケット40の長孔41aには、円形孔41fが接続されている。従動スプロケット20を取り外しする場合など、奥行方向Zと平行な方向に移動させたい場合は、従動スプロケット20の中心軸21を円形孔41fまでスライドさせる。また、円形孔41fの径は、中心軸21の径よりも大きく形成されている。そのため、中心軸21を円形孔41fにスライドさせることによって、中心軸21の切欠き部21bと長孔41aとの係合が外れ、スプロケット20を奥行方向Zと平行な方向に移動させることが可能となる。
【0025】
ブラケット40の中央側縁部43は、搬送方向Xにおけるコンベヤ装置1の中央側で、主面部41を外側に、又は内側に90度折り曲げて形成される部分である。中央側縁部43は、各ブラケット40に対して複数形成され、中央側縁部43のそれぞれがフレーム50と当接するように形成されている。
【0026】
ブラケット40の側面部44は、搬送方向Xにおけるコンベヤ装置1の端部側で、主面部41を内側に90度折り曲げて形成される部分である。側面部44は、端部側縁部42の下方に形成される。また、一対のブラケット40は、側面部44同士が互いに接合することによって、無端チェーン30の回動部31の下部を覆うように構成される。
【0027】
ブラケット40の接合部45は、搬送方向Xにおいて主面部41よりもコンベヤ装置1の中央側に突出して形成される部分である。接合部45には、ネジ45aを通すための貫通孔45b(
図1A参照)が2か所設けられており、接合部45とフレーム50は、ネジ45aによって互いに接合される。これにより、ブラケット40をフレーム50に取り付けることができる。接合部45は、高さ方向Yにおいて、複数の中央側縁部43の間に設けられている。
【0028】
本発明の実施の形態に係るコンベヤ装置1によれば、無端チェーン30の回動部31を覆うカバー60に、従動スプロケット20の中心軸21を通す貫通孔61aが形成されている。そのため、従動スプロケット40及びカバー60は、ともに中心軸21に支持されている。その結果、無端チェーン30の張力を調整するために従動スプロケット20を搬送方向Xに平行移動させる際に、カバー60も従動スプロケット20と一体移動する。これにより、コンベヤ装置の安全性を向上させることができる。以下、詳細を説明する。
【0029】
図10に示す従来のコンベヤ装置101では、無端チェーン130の張力を調整するために、スプロケット120を移動させるとき、ブラケット140に取り付けられるカバー160は移動しない。そのため、スプロケット120の移動によって、無端チェーン130の回動部131とカバー160との間のスペースS1の大きさが変化してしまう。
図11は、
図10の状態から、スプロケット120をカバー160から離れる方向に移動させた状態を示す。
図11に示すように、回動部131とカバー160との間のスペースS1が大きい場合、このスペースS1に異物が巻き込まれたり、作業者等が誤って指を入れてしまったりして、コンベヤ装置の安全性に問題があった。一方で、本発明の実施の形態に係るコンベヤ装置1では、
図8及び9に示すように、無端チェーン30の張力を調整するために従動スプロケット20を移動させるとき、カバー60は従動スプロケット20と一体移動する。
図9は、
図8の状態から従動スプロケット20をコンベヤ装置の中央側に移動させた状態を示す。そのため、回動部31とカバー60との間のスペースを一定とすることができる。これにより、回動部31とカバー60との間のスペースに異物や指が巻き込まれることを確実に防止でき、コンベヤ装置の安全性を向上させることができる。
【0030】
また、本実施の形態に係るコンベヤ装置1では、カバー60がベアリング押え63を有する。すなわち、カバー60がベアリング押えの役割を兼用する。これにより、ベアリング22をスラスト方向に位置決めするためのベアリング押えを別途設ける必要が無くなり、コンベヤ装置の部品点数を削減することができ、ひいては製造コストを低減することができる。
【0031】
さらに、カバー60は、無端チェーン30の搬送部33を支持するチェーン支持部64を有する。すなわち、カバー60は、無端チェーン30が従動スプロケット20に噛み込むことを防止する部品を兼用することができる。そのため、無端チェーン30の噛み込み防止のための部品を別途設ける必要がなく、部品点数を削減して製造コストを削減することができる。さらに、チェーン支持部64は、カバー60に設けられているため、カバー60と同様に従動スプロケット20と一体移動する。これにより、チェーン支持部64は、従動スプロケット20の位置に依存することなく、安定して無端チェーン30の噛み込みを防止することができる。例えば、従動スプロケット20がチェーン支持部64から離れる方向に移動すると、無端チェーン30が従動スプロケット20に噛み込んでしまう可能性が高くなるという問題がある。一方で、チェーン支持部64が従動スプロケット20と一体移動して、無端チェーン30の搬送部33を支持する場合は、このような問題はなく、安定して無端チェーン30の噛み込みを防止することができる。
【0032】
さらにまた、カバー60は、従動スプロケット20を挟んで対称の位置に設けられる一対のカバー片60a、60bが、互いに当接することによって形成されており、カバー片60a、60bは、それぞれ上下対称に形成されるため、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。仮に、カバー片60a、60bがそれぞれ上下対称に形成されていない場合、カバー片60a、60bは、奥行方向Zにおいて従動スプロケット20よりも手前側に配置されるカバー片60aと、従動スプロケット20よりも奥側に配置されるカバー片60bとで異なる部品を用意しなければならない。一方で、カバー片60a、60bがそれぞれ上下対称に形成される場合、従動スプロケット20よりも手前側に配置されるカバー片60aを裏返すと、従動スプロケット20よりも奥側に配置されるカバー片60bと一致することとなる。そのため、従動スプロケット20よりも手前側及び奥側に同一のカバー片を用いてカバー60を形成することができる。これにより、部品点数を削減して、製造コストを低減することができる。
【0033】
一方で、前述したように、カバー60はワーク搬送を邪魔しないように無端チェーン30の回動部31の上部を覆わないこととしている。そのため、カバー60を上下対称に形成すれば、カバー60は、無端チェーン30の回動部31の下部をも覆わないこととなる。この点、本実施の形態に係るコンベヤ装置1によれば、ブラケット40が側面部44を有しており、この側面部44が無端チェーン30の回動部31の下部を覆うこととしている。これにより、無端チェーン30の回動部31が露出することがなく、回動部31の下部に異物や指が巻き込まれるといった危険性を低下させて、コンベヤ装置の安全性を向上させることができる。なお、ブラケット40は、従動スプロケット20と一体移動しないたいため、ブラケット40と回動部31の下部との間のスペースは変化してしまうこととなる。しかしながら、回動部31の下部については、ブラケット40との間のスペースが変化しても、そのスペースに異物や指が侵入するという事態はほとんど想定できないため、特に問題はないと考えられる。
【0034】
また、本実施の形態に係るコンベヤ装置1では、ブラケット40が中央側縁部43を有しており、この中央側縁部43の面がフレーム50と当接する構成となっているため、コンベヤ装置の安全性を向上させることができる。例えば、
図10及び11に示すような従来のコンベヤ装置101においては、ブラケット140に中央側縁部が設けられていない。この場合、無端チェーン130の張力調整のためにスプロケット120が移動すると、スプロケット120とフレーム150との間のスペースS2の大きさが変化することとなる。
図10に示すように、スプロケット120とフレーム150との間のスペースS2が大きい場合、このスペースS2に異物等が巻き込まれるおそれがある。一方で、本実施の形態に係るコンベヤ装置1では、ブラケット40の中央側縁部43の面がフレーム50と当接する構成であるため、従動スプロケット20とフレーム50との間のスペースがブラケット40によって覆われて露出しない。そのため、従動スプロケット20とフレーム50との間に異物等が巻き込まれることを確実に防止でき、コンベヤ装置の安全性を向上させることができる。
【0035】
さらにまた、カバー60及びブラケット40の高さは、無端チェーン30の搬送路が露出し、かつ、従動スプロケット20が露出しないように設計されているため、コンベヤ装置の安全性を向上させることができる。例えば、
図10及び11に示す従来のコンベヤ装置101では、カバー160やブラケット140の高さは、スプロケット140が露出する高さに設計されている。そのため、ブラケット140よりも上方に、スプロケット120が露出する部分があり、その部分に異物等が巻き込まれるおそれがあった。一方で、本実施の形態に係るコンベヤ装置1では、ブラケット40の主面部41、及びやカバー60の主面部61の高さは、無端チェーン30の搬送路が露出し、かつ、ブラケット40の主面部41、及びカバー60の主面部61が無端チェーン30の内周側に位置するように設計されている。これにより、従動スプロケット20は、奥行方向Zから見て、無端チェーン30とブラケット40とカバー60とによって覆われることとなる。そのため、ブラケット40やカバー60よりも上方に従動スプロケット20が露出する部分がなくなり、その部分に異物等が巻き込まれることがなくなる。したがって、従動スプロケット20の回転に異物や指が巻き込まれるという事態を防止でき、コンベヤ装置の安全性を向上させることができる。
【0036】
なお、本実施の形態に係るコンベヤ装置1では、カバー60の貫通孔61aに従動スプロケット20の中心軸21を通すことによって、カバー60が従動スプロケット20と一体移動する態様を述べたが、これに限られない。カバー60に貫通孔が形成されなくとも、例えば、ボルトやネジ等によって、カバー60が従動スプロケット20の中心軸21に取り付けられる態様であっても、カバー60を従動スプロケット20と一体移動させることができ、これによって本発明の課題を解決することが可能である。
【0037】
また、ブラケット40の側面部44が無端チェーン30の回動部31の下部を覆う態様について述べたが、これに限られない。例えば、カバー片60a、60bの側面部62が無端チェーン30の回動部31の下部をも覆うようにしてもよい。この場合、カバー片60a、60bが上下対称に形成されないこととなるが、ブラケット40が側面部44を有さなくとも、無端チェーン30の回動部31の下部が露出することはなく、コンベヤ装置の安全性を維持することが可能となる。
【0038】
さらに、カバー60は、従動スプロケット20を挟んで一対のカバー片60a、60bが互いに当接することによって形成される態様を述べたが、これに限られず、カバー60が1個の部品で形成されて、無端チェーン30の搬送部33を覆うようにしても、本発明の課題を解決することができる。さらに、カバー片60a、60bが完全に当接せず、それぞれの側面部62同士の間に2mm以下程度の隙間を設けてもよい。仮に、側面部62同士の間に隙間を設けず、カバー片60a、60bが完全に当接することとすると、この当接する箇所は、ベアリング押え63がベアリング22をスラスト方向に押えることの邪魔となるおそれがある。一方で、側面部62同士の間に隙間ができるように設計すれば、ベアリング押え63は、確実にベアリング22をスラスト方向に押えることが可能となる。また、2mm以下程度の隙間であれば、この隙間から異物や指が侵入するという事態もほとんど想定できないため、特に問題とはならない。
【0039】
また、本実施の形態に係るコンベヤ装置1では、無端チェーン30の張力調整のために従動スプロケット20を移動させることを述べたが、これに限られず、従動スプロケット20の代わりに、駆動スプロケット10を移動させることとしてもよい。
【0040】
さらに、本実施の形態に係るコンベヤ装置1は、駆動スプロケット10と、従動スプロケット20と、無端チェーン30とを有するチェーンコンベヤである態様を述べたが、これに限られず、スプロケット以外のローラと、無端チェーン以外の無端回動体を使用する場合であってもよい。例えば、スプロケット以外のローラとしてプーリを使用し、無端チェーン以外の無端回動体として無端ベルトを使用するベルトコンベヤであっても、本発明の課題を解決することができる。