特許第6638880号(P6638880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6638880
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】ハンドル操作工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/48 20060101AFI20200120BHJP
【FI】
   B25B13/48 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-8404(P2016-8404)
(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-127920(P2017-127920A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新見 義仁
(72)【発明者】
【氏名】石津 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】笹本 浩二
(72)【発明者】
【氏名】三奈木 一裕
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 賢人
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−253629(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204450354(CN,U)
【文献】 中国実用新案第201455862(CN,U)
【文献】 実開平02−078273(JP,U)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2015−0000012(KR,U)
【文献】 中国実用新案第204585074(CN,U)
【文献】 中国実用新案第204640056(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B13/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下向きに延設されたステムに結合するハブと、前記ハブを中心に放射状に延設された複数のスポークと、これらのスポークの延端と結合する環状のリムと、を有する下向きハンドルに取付けられるハンドル操作工具であって、
それぞれの前記下向きハンドルのスポークに下方から係止可能な複数の係止部と、
前記複数の係止部のそれぞれが軸方向の一端部に接合され、前記係止部が前記スポークに係止されることで、前記下向きハンドルのステムの軸方向に延設された状態となる延長用ステムと、
前記延長用ステムの前記係止部が接合された一端部とは反対側の他端部に結合された補助ハブ、前記補助ハブを中心に放射状に延びる複数の補助スポーク、及び、前記補助スポークの延端と結合する環状の補助リムを備え、前記下向きハンドルに前記延長用ステム及び前記係止部を介して回転を伝達する補助ハンドルとを有することを特徴とするハンドル操作工具。
【請求項2】
前記係止部は、前記延長用ステムの軸方向に沿って延設されて下部が前記延長用ステムに接合されるロッド部と、このロッド部に設けられて前記スポークに対して前記ハンドルの周方向の移動が規制されるように係止可能なフック部とを備えることを特徴とする請求項1記載のハンドル操作工具。
【請求項3】
前記フック部は、前記ロッド部の軸方向に対して略垂直に延設されると共にその先端に前記補助ハンドル側に向かって屈曲された係止爪が設けられていることを特徴とする請求項2記載のハンドル操作工具。
【請求項4】
前記フック部は、前記ロッド部に対して、前記延長用ステムの回転方向の前後に設けられていることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載のハンドル操作工具。
【請求項5】
前記補助ハンドルのリムの径が、前記下向きハンドルの前記リムの径とほぼ同じに形成されていると共に、前記補助ハンドルの補助スポークの数や間隔が、前記下向きハンドルのスポークの数や間隔と同じに形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハンドル操作工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動式バルブ等を開閉するために設けられた下向きハンドルを操作するために用いられるハンドル操作工具に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所には、配管ルートの都合上、頭上の配管にハンドルが下向きに取り付けられている手動式バルブがある。このような手動式バルブのハンドル100は、図11(a)に示されるように、下向きに延設されたステム99に結合するハブ101と、このハブ101を中心に放射状に延設された複数のスポーク102と、これらスポーク102の延端に結合する環状のリム103と、を有して構成されているもので、ハンドル100を操作する場合には、作業員が上向きの体勢で操作するか、脚立に乗って操作するようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
通常、このようなハンドル100の操作は、図11(b)に示されるように、丸型ウィルキー200などをハンドルの下方からスポーク102やリム103を跨ぐように取り付け、体を上向きに反らせた状態でウィルキー200を手で握り、その状態で力を入れてハンドル100をウィルキー200を介して回すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−253629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上向きの体勢での操作や脚立に乗っての操作では、ハンドルの操作に力が十分に入らないため、バルブの開閉に時間を要しており、また、無理な体勢で力をかける必要があるため、転倒したり脚立から落下したりする等の災害の危険を有していた。
【0006】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、下方に向けて設けられた手動式ハンドルに対して、通常の床面に設けられた手動式バルブの上向きハンドルと同様に下向き作業を行なうことができ、無理な体勢をとることなく、操作に十分な力をかけることが可能なバルブ操作工具を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明に係るバルブ操作工具は、下向きに延設されたステムに結合するハブと、前記ハブを中心に放射状に延設された複数のスポークと、これらのスポークの延端と結合する環状のリムと、を有する下向きハンドルに取付けられるハンドル操作工具であって、それぞれの前記下向きハンドルのスポークに下方から係止可能な複数の係止部と、前記複数の係止部のそれぞれが軸方向の一端部に接合され、前記係止部が前記スポークに係止されることで、前記下向きハンドルのステムの軸方向に延設された状態となる延長用ステムと、前記延長用ステムの前記係止部が接合された一端部とは反対側の他端部に結合された補助ハブ、前記補助ハブを中心に放射状に延びる複数の補助スポーク、及び、前記補助スポークの延端と結合する環状の補助リムを備え、前記下向きハンドルに前記延長用ステム及び前記係止部を介して回転を伝達する補助ハンドルとを有することを特徴とする。
【0008】
したがって、下向きハンドルのそれぞれのスポークに係止部を下方からアプローチして係止すれば、この係止部に結合するステムが下方に延びて補助ハンドルを作業者の上半身又はそれより下方に位置させることができ、作業者は、床面に設けられた手動式バルブの上向きハンドルを操作する感覚で作業することが可能となる。
【0009】
前記係止部は、下向きハンドルのスポークに下方から容易に係止するために、前記延長用ステムの軸方向に沿って延設されて下部が前記延長用ステムに接合されるロッド部と、このロッド部に設けられて前記スポークに対して前記ハンドルの周方向の移動が規制されるように係止可能なフック部とを備えて構成することが望ましい。
ここで、前記フック部は、前記ロッド部の軸方向に対して略垂直に延設されると共にその先端に前記補助ハンドル側に向かって屈曲された係止爪を設けるとよい。
【0010】
また、バルブの開操作に加えて閉操作をも同じハンドル操作工具で行なうためには、前記フック部を、前記ロッド部に対して、前記延長用ステムの回転方向の前後に設けることが好ましい。
このような構成においては、前後のいずれかのフック部を選択して下向きハンドルのスポークに係止させることができるので、ハンドルの開操作または閉操作に合わせて係止させるフック部を選択すればよい。
【0011】
また、前記補助ハンドルのリムの径が、前記下向きハンドルの前記リムの径とほぼ同じに形成されていると共に、前記補助ハンドルの補助スポークの数や間隔が、前記下向きハンドルのスポークの数や間隔と同じに形成されているようにしてもよい。
このような構成とすれば、既存のハンドルを操作するために用いるウィルキーの使用を可能とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、本発明に係るバルブ操作工具は、下向きハンドルのそれぞれのスポークに下方から係止可能な複数の係止部と、それぞれの係止部に接合され、下向きハンドルのステムの軸方向に延設された延長用ステムと、この延長用ステムの前記係止部が接合された側とは反対側の端部に設けられた補助ハンドルとを有するので、下向きのハンドルのそれぞれのスポークに係止部を下方からアプローチして係止すれば、補助ハンドルを作業者の上半身又はそれより下方に位置させることができ、作業者は、通常の床面に設けられた手動式バルブの上向きハンドルと同様の感覚で下向き作業を行なうことが可能となる。このため、無理な体勢をとることなく、操作に十分な力をかけることが可能となると共に、転倒したり脚立から落下したりする等の災害の危険を無くすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は、本発明に係るハンドル操作工具を示す斜視図であり、図1(b)は、係止部のフック部を示す拡大図である。
図2図2は、本発明に係るハンドル操作工具を下向きハンドルに係止させた状態を示す斜視図である。
図3図3は、本発明に係るハンドル操作工具を下向きハンドルに係止させて作業者が作業をする状態を示す斜視図である。
図4図4は、本発明に係るハンドル操作工具の係止部の変形例を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその斜視図である。
図5図5は、本発明に係るハンドル操作工具の係止部の他の変形例を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその斜視図である。
図6図6は、本発明に係るハンドル操作工具の係止部の更に他の変形例を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその斜視図である。
図7図7(a)は、本発明に係るハンドル操作工具の他の構成例を示す斜視図であり、延長用ステムが、係止部が固定されたアダプタ部と、このアダプタ部に着脱自在に結合し、補助ハンドルが固定されたステム本体とから構成されている例を示し、図7(b)は、係止部のフック部付近を示す拡大側面図である。
図8図8は、図7の係止部が固定されたアダプタ部を下向きハンドルに取り付けておく状態を示す斜視図である。
図9図9(a)は、本発明に係るハンドル操作工具の他の構成例を示す斜視図であり、延長用ステムが、係止部が固定されたアダプタ部と、このアダプタ部に着脱自在に結合し、補助ハンドルが固定されたステム本体とから構成されている他の例を示し、図7(b)は、係止部のフック部を示す拡大側面図である。
図10図10は、図9の係止部が固定されたアダプタ部を下向きハンドルに取り付けておく状態を示す斜視図である。
図11図11(a)は、従来の下向きハンドルを示す斜視図であり、(b)は、(a)の下向きハンドルを操作する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るハンドル操作工具について、添付図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1及び図2において、ハンドル操作工具1は、下向きハンドル100又は既存のウィルキー200と同様の材質で形成されているもので、延長用ステム2と、この延長用ステム2の一端部(図中、上部)に設けられた複数の係止部3と、延長用ステム2の他端部(図中、下部)に設けられた補助ハンドル4とを有して構成されている。
【0016】
延長用ステム2は、棒状部21と、この棒状部21の先端に接合され、外径が既設の下向きハンドル100のハブ101の径と等しいかこれよりやや大きく形成された筒状部22とから構成されている。
【0017】
係止部3は、ハンドル100のスポーク102の数に併せた数だけ設けられ(この例では3つ設けられ)、前記延長用ステム2の筒状部22の外周に溶接等により接合されているもので、筒状部22より延長用ステム2の軸方向に沿って上方へ延設されたロッド部31と、このロッド部31の先端部に一体に形成されたフック部32とによって構成されている。フック部32は、ロッド部31の先端より、延長用ステム2の軸方向と直交する方向であって、筒状部22の略接線方向に向けて延設され、その先端部に下方に屈曲させた係止爪32aが形成されている。
【0018】
それぞれの係止部3のフック部32は、ロッド部31に対してハンドルの周方向で同じ方向に向けて(この例では、手動式バルブを開弁する方向に向けて)形成されている。
【0019】
フック部32は、ロッド部31と一体のものであっても別体のものをロッド部31に結合するものであってもよいが、接線方向の延設量は、ロッド部31と係止爪32aとの間隔Aがスポーク102の幅Bよりも大きく形成されている。また、フック部32は、スポーク102に対する周方向の移動が規制されるように(スポーク102に係止した状態を保持するために)、係止爪32aの下方への突出量Cがスポーク102の厚みDとほぼ等しく形成されている。
【0020】
補助ハンドル4は、延長用ステム2の棒状部21の下端に結合する補助ハブ41と、この補助ハブ41を中心に放射状に延設された複数の補助スポーク42と、これら補助スポーク42の延端に結合する環状の補助リム43と、を有して構成されている。補助ハンドル4の大きさ(径)は、下向きハンドル100の大きさ(径)とほぼ同じであり、補助ハンドル4の補助スポーク42の数や形成間隔も、下向きハンドル100のスポーク102の数や形成間隔と同じに形成されている。
補助ハンドル4の形状は、必ずしも下向きハンドル100の形状に一致させる必要はないが、近似した形状とすることが好ましく(補助スポークや補助リムが設けられていることが好ましく)、このような形状とすることで、既存のハンドルを操作するために用いるウィルキーの使用を可能とし、床面に設けられた手動式バルブの上向きハンドルと同じ感覚で操作できるようにしている。
【0021】
以上の構成において、既存の下向きハンドル100を開弁操作する場合には、ハンドル操作工具1の係止部3を上に向けてハンドル100の下方から係止部3を近接させ、それぞれのスポーク102に係止部3を係止させるためにそれぞれの係止部3をハブ101とリム103との間の空間に挿入し、係止爪32aをスポーク102よりも上方に位置させた状態でハンドル操作工具1を延長用ステム2の軸回りに回転させ、フック部32を各スポーク102の上方まで移動させた後にハンドル操作工具1を下方へ移動させ、係止爪32aをスポーク102に対してロッド部31と反対側に配置させた状態でフック部32をスポーク102に係止させる。
【0022】
これによりハンドル操作工具1は、下向きハンドル100に周方向の移動が規制された状態で取り付けられ、この状態で、図3に示すように、補助ハンドル4の補助スポーク42や補助リム43を跨ぐようにウィルキー200を上方から係合させて操作すればよい。これにより、作業者は、自身の腰や腹部辺りで下向きにウィルキー200を操作することができ、通常の床面に設けられた手動式バルブの上向きハンドルを操作する感覚で作業を行なうことが可能となる。
このため、無理な体勢をとることなく、操作に十分な力をかけることが可能になると共に、転倒したり脚立から落下したりする等の不都合を無くすことが可能となる。
【0023】
なお、上述の構成においては、下向きハンドル100を一方向(バイブを開く方向)に回動させることだけを想定した構成であるが、下向きハンドル100を逆方向(バルブを閉める方向)に回動させる場合にも利用できるようにするために、前記係止部3を図4図6に示すように変形させてもよい。
【0024】
図4においては、フック部32の係止爪32aの下方への突出量Cを下向きハンドル100のスポーク102の厚みDよりも十分に長くし(スポーク102の厚みの2倍以上とし)、ハンドル操作工具1の係止部3を図2で示す下向きハンドル100のスポーク102に係止した状態において、補助ハンドル4をバルブの閉方向(係止爪32aをスポーク102に押し付ける方向)に操作した場合でもフック部32(係止爪32a)がスポーク102から外れることがないようにしている。係止爪32aの突出量Dをスポークの厚みと同程度とする場合には、延長用ステム2が鉛直に保たれる限りフック部32(係止爪32a)はスポーク102から外れることはないが、作業中に延長用ステム2が鉛直方向から傾いた場合には、補助ハンドル4を逆方向(バルブを閉める方向)に回動させる際にフック部32(係止爪32a)がスポーク102から外れる虞がでてくる。そこで、係止爪32aの下方への突出量Cを下向きハンドル100のスポーク102の厚みDよりも十分に長くすることで(スポーク102の厚みの2倍以上とすることで)、延長用ステム2が多少傾いた場合でもフック部32(係止爪32a)がスポーク102から外れないようにすることが可能となる。
【0025】
図5で示す係止部3は、係止爪32aの形状を断面矩形(角柱状のもの)から断面円形(円柱状のもの)に変更している。
このような係止爪32aの構成とすることで、ハブ101からスポーク102への移行部分やスポーク102からリム103への移行部分に係止爪32aをフィットさせ易くなる。
【0026】
図6で示す係止部3は、下向きハンドル100の両方向(バイブを開く方向のみならず閉じる方向)の回動にも対応させるために、フック部32,33を、ロッド部31に対して、延長用ステム2の回転方向の前後に設けたものである。
【0027】
すなわち、係止部3を、筒状部22より延長用ステム2の軸方向に沿って上方へ延設されたロッド部31と、このロッド部31の先端部に一体に形成され、延長用ステム2の軸方向と直交する方向であって、筒状部22の略接線方向の一方側に向けて延設されたフック部32と、筒状部22の略接線方向の他方側に向けて延設されたフック部33とによって構成し、各フック部32,33には、その先端部に下方へ屈曲させた係止爪32a、33aを形成するようにしている。
【0028】
このような構成においては、バルブを開操作する場合には、図2で示すように、下向きハンドル100のハブ101とリム103の間の空間に係止部3を挿入し、係止爪32aをスポーク102よりも上方に位置させた状態でハンドル操作工具1を延長用ステム2の軸回りに開方向に回転させ、フック部32を各スポーク102の上方まで移動させた後にハンドル操作工具1を下方へ移動させ、係止爪32aをスポーク102に対してロッド部31と反対側に配置した状態でフック部32をスポーク102に係止させる。
【0029】
これに対して、バルブを閉操作する場合には、下向きハンドル100のハブ101とリム103の間の空間に係止部3を挿入し、係止爪33aをスポーク102よりも上方に位置させた状態でハンドル操作工具1を延長用ステム2の軸回りに閉方向に回転させ、フック部32を各スポーク102の上方まで移動させた後にハンドル操作工具1を下方へ移動させ、係止爪33aをスポーク102に対してロッド部31と反対側に配置した状態でフック部33をスポーク102に係止させる。
【0030】
以上の構成においては、ハンドル操作工具1が、係止部3、延長用ステム2、補助ハンドル4を一体化し、全体として下向きハンドル100に着脱させて用いるものであったが、図7に示すように、下向きハンドル100に取り付ける係止部側の部分と補助ハンドル側の部分とを分離可能とし、作業時には、これらを組み付けて用いるようにしてもよい。
【0031】
すなわち、前記延長用ステム2を、係止部3が固定されたアダプタ部23と、このアダプタ部23に着脱自在に結合し、補助ハンドル4が固定されたステム本体24とから構成し、アダプタ部23を、円筒状に形成し、その側面に、下端から軸方向に延びる軸方向スリット部25aと、この軸方向スリット部25aの先端から周方向に沿って両側に延設された周方向スリット部25bとを備えた係合スリット25を設け、また、それぞれの係止部3を、アダプタ部23の外周面上部に溶接等により固定するようにしている。
この例において、係合スリット25は、アダプタ部23の周壁に等間隔(120度間隔)に3つ形成されている。
【0032】
それぞれの係止部3は、前記構成と同様、アダプタ部23より軸方向に沿って上方へ延設されたロッド部31と、このロッド部31の先端部に一体に形成されたフック部32とによって構成され、フック部32は、ロッド部31の先端より、延長用ステム2の軸方向と直交する方向であって、アダプタ部23の略接線方向に向けて延設され、その先端部に下方に屈曲させた係止爪32aが形成されている。また、係止部3には、ロッド部31と係止爪32aとの間に設けられ、ロッド部側を支点として内側に回動する脱落防止片35が設けられている。この脱落防止片35は、その支軸に設けられた図示しないスプリングにより先端部が係止爪32aに向かって常時付勢するようになっている。
【0033】
これに対して、補助ハンドル4が固定されたステム本体24には、その上端部にアダプタ部23の係合スリット25に係合可能な係合ピン26が径方向に突設されている。この例において、係合ピン26は、係合スリット25に合わせて、周面に等間隔に3つ形成されている。
【0034】
このような構成においては、図8に示されるように、係止部3をアダプタ部23と共に下向きハンドル100のスポーク102に係止させれば、脱落防止片35によりスポーク102がロッド部31と係止爪32aとの間から外れることがなくなり、ハンドル100にアダプタ部23を取り付けた状態を保持することが可能となる。
【0035】
したがって、下向きハンドル100にアダプタ部23を予め取り付けておき、バルブを開閉操作したい場合にのみ、補助ハンドル4が固定されたステム本体24をアダプタ部23の下方からアプローチして係合ピン26を軸方向スリット部25aに挿入し、その後、補助ハンドル4を回転させたい方向に回転させて係合ピン26を周方向スリット部25bの末端まで移動させれば、補助ハンドル4をステム本体24、アダプタ部23、係止部3を介してハンドル100に係止させることが可能となる。
【0036】
このような構成においては、既設の下向きハンドル100にアダプタ部23を常時取り付けておき、バルブを操作したい時に補助ハンドル4が固定されたステム本体24をアダプタ部23に取り付ければよいので、下向きハンドル100のスポーク102への係止部3の取り付け作業を省略して作業の効率化を図ることが可能となり、また、ハンドル操作工具1の操作部分(補助ハンドル4とステム本体24)のみを外して持ち運べばいいので、持ち運ぶ工具の重量を減らすことが可能となり、また、バルブの大きさやスポークの数が異なる場合でもそれぞれの下向きハンドルに常設されるアダプタを共通のものとすることで、補助ハンドル4は共通のものを用いることが可能となる。
【0037】
図9(a)において、係止部3とアダプタ部23とを一体化した他の構成例が示されている。
この例において、係止部3は、アダプタ部23より軸方向に沿って上方へ延設されたロッド部31と、このロッド部31の先端部から隣り合うロッド部31に向けて延設された可撓性の係止片34とから構成され、隣り合うロッド部31から延設された係止片34は、互いに先端部で突き合わされて通常時には当接状態が保たれており、アダプタ部23の軸方向に力が加えられると、図9(b)に示されるように弾性変形して先端部同士が離れるようになっている。なお、他の構成は、図7で示す構成と同様であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
このような構成においては、図10に示されるように、隣り合うロッド部31から延設された互いに当接する係止片34の当接部分を下向きハンドル100のスポーク102に押し付けて係止片34を弾性変形させ、それぞれのスポーク102を隣り合うロッド部31、係止片34、及びアダプタ部23で囲まれた空間に挿入させれば、既設の下向きハンドル100にアダプタ部23を保持させておくことが可能となり、下向きハンドル100にアダプタ部23を常時取り付けた状態とすることが可能となる。
【0039】
そして、バルブを操作したい場合にのみ、補助ハンドル4が固定されたステム本体24をアダプタ部23の下方からアプローチして係合ピン26を軸方向スリット部25aに挿入し、その後、補助ハンドル4を回転させたい方に回転させて係合ピン26を周方向スリット部25bの末端まで移動させれば、補助ハンドル4をステム本体24、アダプタ部23、係止部3を介して下向きハンドル100に取り付けることが可能となる。
【0040】
なお、以上の構成においては、下向きハンドル100のスポーク102が3つの場合の例を示したが、下向きハンドル100のスポーク102が4つ以上の場合にも、係止部3の数を下向きハンドル100のスポーク102の数に合わせることで同様の構成を採用することが可能となる。この際、補助ハンドル4の補助スポーク42は、下向きハンドル100のスポーク102の数に合わせても、合わせなくてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ハンドル操作工具
2 延長用ステム
3 係止部
4 補助ハンドル
23 アダプタ部
24 ステム本体
31 ロッド部
32 フック部
32a 係止爪
41 補助ハブ
42 補助スポーク
43 補助リム
99 ステム
100 ハンドル
101 ハブ
102 スポーク
103 リム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11