特許第6638973号(P6638973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6638973
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】作業機械のタンク構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20200127BHJP
   B60K 15/03 20060101ALI20200127BHJP
   F15B 1/26 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   E02F9/00 Q
   B60K15/03 B
   F15B1/26
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-76594(P2016-76594)
(22)【出願日】2016年4月6日
(65)【公開番号】特開2017-186799(P2017-186799A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】永井 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】竹本 祐己
(72)【発明者】
【氏名】中川 和久
(72)【発明者】
【氏名】田中 公景
(72)【発明者】
【氏名】岡本 光弘
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−316486(JP,A)
【文献】 特開2005−307474(JP,A)
【文献】 特開平09−002323(JP,A)
【文献】 特開2002−256593(JP,A)
【文献】 特開2006−183415(JP,A)
【文献】 実開昭61−010371(JP,U)
【文献】 特開2007−291602(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01162318(EP,A1)
【文献】 中国特許第104500461(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60K 15/03
F15B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の機体に設けられ、内部に液体を貯留するタンク本体と、
このタンク本体に設けられ、被取付物が取り付けられる固定部を備えた取付部とを具備し、
タンク本体は、
被取付物に対向する対向面部と、
この対向面部の両端にてこの対向面部と交差する方向に沿って延びる端面部と、
この端面部の端部から被取付物側に突出する突出部とを備え、
取付部は、突出部間に亘って取り付けられて対向面部に対して離間され、固定部により対向面部と反対側に被取付物が固定される
ことを特徴とする作業機械のタンク構造。
【請求項2】
取付部は、突出部間に亘って取り付けられた取付部本体を備え、
固定部は、取付部本体に対して別体で、この取付部本体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械のタンク構造。
【請求項3】
固定部は、取付部に設けられた固定穴である
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械のタンク構造。
【請求項4】
対向面部および端面部は、タンク本体の側面の一部を構成する
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一記載の作業機械のタンク構造。
【請求項5】
突出部は、端面部の端部が延出されて形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載の作業機械のタンク構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の機体に設けられたタンク本体に被取付物を取り付ける作業機械のタンク構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば油圧ショベルなどの作業機械の機体には、エンジン駆動用の燃料を貯留する燃料タンク、および、油圧アクチュエータを作動させるための作動油を貯留する作動油タンクが搭載されている。これらタンクの周辺には様々な機器やカバーが配置される。これら機器やカバーは、タンク壁面に溶接されたボスやブラケットなどの固定部材に固定されることがある(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−256593号公報
【特許文献2】特開2006−183415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のタンクは、一般的に、薄板を溶接で貼り合わせることにより形成される板金製タンクである。そのため、貯留している内部の液体の温度変化に伴う膨張や、掘削時などの振動に伴う液体の揺れなどにより、タンクの壁面が太鼓の膜のように振動することがある。そこで、このようにタンク壁面が膜振動をしたときに、固定部材とタンク壁面との溶接部分に割れが生じないように、より強固な溶接や補強などが必要になる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被取付物を対向面部に対向する所望の位置に固定可能としつつ、タンク本体の内部に貯留された液体の影響によるタンク本体の対向面部の膜振動に起因する固定部の損傷を確実に防止できる作業機械のタンク構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、作業機械の機体に設けられ、内部に液体を貯留するタンク本体と、このタンク本体に設けられ、被取付物が取り付けられる固定部を備えた取付部とを具備し、タンク本体が、被取付物に対向する対向面部と、この対向面部の両端にてこの対向面部と交差する方向に沿って延びる端面部と、この端面部の端部から被取付物側に突出する突出部とを備え、取付部が、突出部間に亘って取り付けられて対向面部に対して離間され、固定部により対向面部と反対側に被取付物が固定される作業機械のタンク構造である。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の作業機械のタンク構造における取付部が、突出部間に亘って取り付けられた取付部本体を備え、固定部が、取付部本体に対して別体で、この取付部本体に取り付けられている作業機械のタンク構造である。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の作業機械のタンク構造における固定部が、取付部に設けられた固定穴である作業機械のタンク構造である。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3いずれか一記載の作業機械のタンク構造における対向面部および端面部が、タンク本体の側面の一部を構成する作業機械のタンク構造である。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか一記載の作業機械のタンク構造における突出部が、端面部の端部が延出されて形成されている作業機械のタンク構造である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、タンク本体の対向面部の両端の端面部の端部からそれぞれ被取付物側に突出する突出部間に亘って取付部を取り付けて対向面部に対して離間させ、この取付部の対向面部と反対側に固定部によって被取付物を固定することにより、被取付物を対向面部に対向する所望の位置に固定可能としつつ、タンク本体の内部に貯留された液体の影響によるタンク本体の対向面部の膜振動に起因する固定部の損傷を確実に防止できる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、取付部本体と別体の固定部を、取付部本体に対して取り付けることで、取付部本体自体を加工することなく固定部を容易に設定できるとともに、固定部の大きさや形状を異ならせることで、異なる形状の被取付物の取り付けに対して容易に対応できる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、固定部を、取付部に設けた固定穴とすることで、固定部を取付部に対して容易に設けることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、対向面部および端面部がタンク本体の側面の一部を構成しているため、タンク本体の内部に貯留された液体の影響を対向面部がより受け易いものの、固定部を対向面部に対して離間しているので、タンク本体の内部に貯留された液体の影響によるタンク本体の対向面部の膜振動に起因する固定部の損傷を確実に防止できる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、端面部の端部を延出することで突出部を形成することにより、端面部を構成する材料の切り出し寸法の調整のみで突出部を容易に形成でき、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る作業機械のタンク構造の第1の実施の形態を示す斜視図である。
図2】同上タンク構造の一部を拡大して示す斜視図である。
図3図1のI−I相当位置の一部に対応する断面図である。
図4】同上タンク構造を備えた作業機械を示す側面図である。
図5】本発明に係る作業機械のタンク構造の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、図1乃至図4に示された第1の実施の形態、および、図5に示された第2の実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0018】
まず、図1乃至図4に示された実施の形態を説明する。
【0019】
図4は、油圧ショベル型の作業機械10を示し、この作業機械10の機体11は、走行モータ(図示せず)により駆動される履帯を装着した下部走行体12に対して、上部旋回体13が旋回モータ(図示せず)により旋回可能に設けられ、上部旋回体13上に作業装置14、エンジン室15、キャブ16、および、複数、例えば2つのタンク17などが搭載されている。
【0020】
作業装置14は、ブーム14bmがブームシリンダ14c1により上下方向回動自在に軸支され、このブーム14bmの先端にスティック14stがスティックシリンダ14c2により回動自在に軸支され、このスティック14stの先端にバケット14bkがバケットシリンダ14c3により回動自在に軸支されている。
【0021】
また、作業装置14とエンジン室15との間には、上記油圧アクチュエータ(走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ14c1、スティックシリンダ14c2、バケットシリンダ14c3など)の動作を制御するコントロール弁などを設置した油機室が配置されている。
【0022】
そして、タンク17は、一方が例えば液体L(図1)であるエンジン駆動用の燃料を貯留した燃料タンクであり、他方が例えば走行モータおよび旋回モータ、作業装置14のブームシリンダ14c1、スティックシリンダ14c2およびバケットシリンダ14c3などの油圧アクチュエータを作動する液体L(図1)である作動油を貯留した作動油タンクである。このタンク17には、図1に示されるように、タンク本体21が設けられ、かつ、少なくともいずれか一方のタンク17には、タンク本体21と一体的に取付部22が設けられている。そして、この取付部22が設けられているタンク17には、各種機器やカバーなどの被取付物23が取付部22に取り付けられている。
【0023】
タンク本体21は、液体Lを内部に貯留する部分であり、上面である天面25と、下面である底面26と、これら天面25と底面26との間に位置する側面27とを備えた四角形箱状に形成されている。そして、このタンク本体21は、これら天面25、底面26、および、側面27がそれぞれ薄板状の板金29によって形成された板金製タンクであり、これら板金29を溶接で貼り合わせることにより形成されている。
【0024】
天面25は、例えば四角形平板状に形成されている。この天面25には、例えば液体Lの注入用の注入口31が設けられている。
【0025】
底面26は、例えば天面25と同様の四角形平板状に形成されている。この底面26には、上部旋回体13(機体11(図4))に対してタンク17を固定するためのマウント部33が複数突設されている。
【0026】
側面27は、第1の面である前面部35と、この前面部35の両端である左右両側に位置して互いに略平行に対向する第2の面である左右の側面部36,36と、前面部35に略平行に対向する第3の面である図示しない後面部とを備える、略四角形筒状に形成されている。すなわち、この側面27は、天面25および底面26の前部に前面部35が連続し、天面25および底面26の左右に側面部36,36が連続し、天面25および底面26の後部に後面部が連続している。
【0027】
前面部35は、被取付物23に対向する対向面部である。この前面部35は、例えば底面26および後面部とともに一体の板金29によって形成され、これら前面部35、底面26および後面部全体でコ字状をなしている。したがって、前面部35の上端が天面25の下面に溶接され、前面部35の両側が側面部36,36に溶接されている。さらに、この前面部35の中央部には、補強用のビード部41が上下方向に沿って設けられていてもよい。
【0028】
側面部36,36は、前面部35の両端である左右両側からこの前面部35と交差(直交)する方向、すなわち被取付物23と反対側である後方向に面状に延びる端面部である。側面部36,36は、天面25とともに一体の板金29によって形成され、これら側面部36,36および天面25全体でコ字状をなしている。したがって、側面部36,36に前面部35、底面26および後面部の両側がそれぞれ溶接されている。さらに、各側面部36の中央部には、補強用のビード部43が上下方向に沿って設けられていてもよい。そして、各側面部36の前部は、前面部35に対して被取付物23側である前側に突出する突出部45となっている。すなわち、これら突出部45は、それぞれ側面部36の前端部が前面部35に対して延出されて形成された耳部となっている。換言すれば、前面部35は、両側に突出部45が立った凹状となっている。また、これら突出部45は、取付部22が溶接されて固定される部分であり、例えば少なくとも取付部22を溶接する位置が、被取付物23側である前側に向けて段差状に突出する段部45aとして形成されている(図2)。
【0029】
後面部は、前面部35に対して被取付物23と反対側である後側に離間されて位置している。この後面部の中央部には、補強用のビード部が設けられていてもよい。
【0030】
一方、取付部22は、本実施の形態では、タンク本体21に対して上下に離間されて一対配置されている。各取付部22は、平板(プレート)状の取付部本体51と、この取付部本体51に一体的に設けられた固定部52とを備えている。
【0031】
取付部本体51は、長尺の帯(バンド)状に形成されている。この取付部本体51は、例えば長手方向を左右方向に沿わせて配置されており、両端部が側面部36,36の突出部45,45に溶接により固定されている。したがって、取付部本体51は、側面部36,36間に亘って、換言すれば側面部36,36間に架け渡されて設けられ、前面部35に対して被取付物23側である前側に離間されて配置されている。
【0032】
固定部52は、例えばボスであり、取付部本体51の長手方向に互いに離間された複数、例えば2箇所にそれぞれ配置されている。この固定部52は、図3に示されるように、取付部本体51を貫通して設けられた例えば丸穴状の穴部54に嵌合され、周縁が取付部本体51に対して溶接されて固定されている。この状態で、固定部52は、取付部本体51に対して被取付物23(図1)側である前側に大きく突出しており、後端部が側面27(前面部35)に対して前方に離間されている。
【0033】
次に、この図1乃至図4に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0034】
タンク17を製造する際には、天面25と両側面部36,36とが一体に形成されたコ字状の板金29と、底面26と前面部35および後面部とが一体に形成されたコ字状の板金29とを互いに溶接して、箱状のタンク本体21を形成する。この状態で、側面部36,36の端部が前面部35よりも突出した突出部45,45として形成される。
【0035】
次いで、このタンク本体21に対して、固定部52,52を取付部本体51に溶接した取付部22を溶接する。このとき、取付部本体51の両端部を突出部45,45(段部45a,45a(図2))に位置させて溶接することにより、取付部本体51および固定部52が前面部35に対して前側に離間された位置に固定される。
【0036】
この後、固定部52の前側から被取付物23をボルトなどによって固定する。この結果、被取付物23がタンク17に取り付けられる。なお、タンク17は、被取付物23を取り付けた状態でマウント部によって上部旋回体に固定してもよいし、タンク本体21を上部旋回体13(図4)に固定した後に取付部22や被取付物23を取り付けたり、タンク17を上部旋回体13(図4)に固定した後に被取付物23を取り付けたりしてもよい。
【0037】
このように、上記第1の実施の形態では、タンク本体21の前面部35の両端の側面部36,36の端部からそれぞれ被取付物23側に突出する突出部45,45間に亘って取付部22を取り付けて前面部35に対して離間させ、この取付部22の前面部35と反対側である前側に固定部52によって被取付物23を固定することで、被取付物23を前面部35に対向する所望の位置に固定可能とする。
【0038】
また、機体11(図4)に設けたタンク17のタンク本体21の内部に貯留された液体Lは、温度変化に伴う膨張や、作業機械10(図4)の走行や掘削、あるいは上部旋回体13(図4)の旋回などにより生じる振動や遠心力などに伴う揺れが生じることで、タンク本体21の特に側面27にこの側面27に対して交差(直交)する方向に膜振動などの変形を生じさせる。このとき、固定部52がタンク本体21の前面部35(側面27)から乖離していることにより、タンク本体21の内部に貯留された液体Lの影響によるタンク本体21の前面部35の膜振動によって固定部52に応力が集中することがなく、固定部52の損傷(割れ)を確実に防止できる。
【0039】
特に、前面部35および側面部36,36がタンク本体21の側面27の一部を構成しているため、タンク本体21の内部に貯留された液体Lの影響(静水圧)を前面部35がより受け易くなるものの、固定部52を前面部35に対して離間しているので、タンク本体21の内部に貯留された液体Lの影響によるタンク本体21の前面部35の膜振動に起因する固定部52の損傷を確実に防止できる。
【0040】
要するに、側面27を構成する前面部35、側面部36,36および後面部は、板金29により構成されているため、厚み方向には相対的に撓みやすい一方で、面方向には変形しにくい。そして、これら前面部35、側面部36,36および後面部は、タンク本体21内に貯留された液体Lによって面方向と交差(直交)する厚み方向に圧力を受ける。そのため、前面部35から離間し側面部36,36の端部から突出する突出部45,45を利用して取付部22を側面部36,36の面方向に支持することで、液体Lの圧力によって側面27が撓んでも、取付部22を確実に支持し、固定部52への応力の集中をなくすことができる。
【0041】
さらに、本実施の形態では、取付部本体51と別体の固定部52を、取付部本体51に対して取り付ける(溶接する)ことで、取付部本体51自体を加工することなく固定部52を容易に設定できるとともに、固定部52の大きさや形状を異ならせることで、異なる形状の被取付物23の取り付けに対して容易に対応できる。
【0042】
また、側面部36,36の端部を延出することで突出部45,45を形成することにより、側面部36,36を構成する材料の切り出し寸法の調整のみで突出部45,45を容易に形成でき、工程の増加が少なく、安価に製造できる。
【0043】
しかも、突出部45,45は側面部36,36を延出するのみで形成できるとともに、曲げなどの加工が不要な平板状の取付部本体51を溶接して取付部22をタンク本体21に取り付けできるので、より安価に製造できる。
【0044】
なお、上記第1の実施の形態において、固定部52は、ボスに限らず、例えばブロックやブランケットなど、被取付物23を固定できるものであれば、任意に選択できる。
【0045】
次に、図5に示された実施の形態を説明する。
【0046】
この図5に示された実施の形態は、上記図1乃至図4に示された実施の形態において、取付部22に代えて、(一の)取付部61と(他の)取付部62とを備え、これら取付部61,62の前面部35と反対側である前側に被取付物23が直接取り付けられているものである。また、本実施の形態では、突出部45に、上側の(一の)段部64a、下側の(他の)段部64bとが別個に設定されている。
【0047】
取付部61は、両側の突出部45,45に取り付けられる被取付部66,66と、これら被取付部66,66間を屈曲状に連結する連結部67とを一体に備えているとともに、被取付物23が取り付けられる固定部68が厚み方向に貫通して設けられている。そして、この取付部61は、側面27(前面部35)に対して前方に離間されて位置している。
【0048】
被取付部66は、長尺の帯(バンド)状に形成されている。この被取付部66は、例えば長手方向を左右方向に沿わせて配置されており、端部が突出部45,45に溶接により固定されている。
【0049】
連結部67は、長尺の帯(バンド)状に形成されており、両端部が被取付部66に対して前側、すなわち被取付物23側に突出するクランク状に屈曲されている。
【0050】
固定部68は、取付部61の長手方向に互いに離間された複数、例えば2箇所に設けられた固定穴であり、本実施の形態では連結部67にそれぞれ位置している。
【0051】
一方、取付部62は、長尺の帯(バンド)状に形成されている。この取付部62は、例えば長手方向を左右方向に沿わせて配置されており、両端部が突出部45,45に溶接により固定されている。また、この取付部62には、長手方向に互いに離間された複数、例えば2箇所に、被取付物23を図示されないボルトなどにより固定するための固定部69が設けられている。この固定部69は、取付部62を厚み方向に貫通してそれぞれ設けられた固定穴である。
【0052】
段部64a,64bは、取付部61,62が溶接される位置であり、これら段部64a,64bは、突出部45,45に対して被取付物23側である前側に向けて段差状に突出している。また、段部64bは、段部64aと比較して、前側への突出量が大きく設定されている。このため、取付部61(連結部67)の前側と、取付部62の前側とは、互いに略面一となっている。
【0053】
そして、製造されたタンク本体21に対して取付部61,62を溶接する。このとき、取付部61の両端部を突出部45,45(段部64a,64a)に位置させて溶接することにより、取付部61が前面部35に対して前側に離間された位置に固定され、取付部62の両端部を突出部45,45(段部64b,64b)に位置させて溶接することにより、取付部62が前面部35に対して前側に離間された位置に固定される。
【0054】
この後、取付部61,62の前側から被取付物23をボルトなどによって固定部68,68,69,69に固定する。この結果、被取付物23がタンク17に取り付けられる。
【0055】
このように、上記第2の実施の形態では、タンク本体21の前面部35の両端の側面部36,36の端部からそれぞれ被取付物23側に突出する突出部45,45間に亘って取付部61,62を取り付けて前面部35に対して離間させ、この取付部61,62の前面部35と反対側である前側に固定部68,68および固定部69,69によって被取付物23を固定するなど、上記第1の実施の形態と同様の構成を有することにより、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
また、固定部68,69を、取付部61,62に設けた固定穴とすることで、例えば取付部61,62の成形時に、固定部68,69を取付部61,62に対して同時に容易に設けることができる。
【0057】
なお、上記第2の実施の形態の突出部45(段部64a,64b)を上記第1の実施の形態に用いてもよい。この場合、上側の取付部22と下側の取付部22とは、被取付物23の形状に応じて、固定部52の長さや取付部本体51の形状を異ならせることもできる。
【0058】
また、上記第1の実施の形態および第2の実施の形態を組み合わせてもよい。すなわち、別体の固定部52を用いる取付部22と、固定部68,69を一体に設けた取付部61,62の少なくともいずれかとを組み合わせることもできる。
【0059】
そして、上記各実施の形態において、突出部45は、側面部36の前縁を延出して形成したが、例えば側面部36の前縁に別途のブラケットなどを延出するように溶接して形成してもよい。
【0060】
さらに、被取付物23は、タンク17の前方に配置する構成の他に、タンク17の下側を除く位置、例えば側方や後方に配置する構成としてもよい。この場合には、それぞれ被取付物23に対向するタンク本体21の壁面を対向面部、その両端に位置する壁面を端面部として上記各実施の形態を適用することで、同様の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば作業機械の燃料タンク、あるいは作動油タンクに機器を取り付ける構造として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 作業機械
11 機体
17 タンク
21 タンク本体
22,61,62 取付部
23 被取付物
27 側面
35 対向面部である前面部
36 端面部である側面部
45 突出部
51 取付部本体
52,68,69 固定部
L 液体
図1
図2
図3
図4
図5