特許第6639062号(P6639062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6639062中空ゴルフクラブヘッド、及び中空ゴルフクラブヘッドに着脱されるソール部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6639062
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】中空ゴルフクラブヘッド、及び中空ゴルフクラブヘッドに着脱されるソール部材
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20200127BHJP
【FI】
   A63B53/04 D
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-227344(P2018-227344)
(22)【出願日】2018年12月4日
(62)【分割の表示】特願2017-220631(P2017-220631)の分割
【原出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2019-51383(P2019-51383A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】508374380
【氏名又は名称】株式会社スポーツライフプラネッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】楠本 晴信
【審査官】 中村 和正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−136068(JP,A)
【文献】 特開2010−279847(JP,A)
【文献】 特開2002−052099(JP,A)
【文献】 特開2002−052100(JP,A)
【文献】 米国特許第06033318(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0165252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00−53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース面を具備したフェース部と、フェース部の上縁から後方に延出するクラウン部と、フェース部の下縁から後方に延出するソール部と、フェース部と対向するバック部と、フェース部からバック部を経由するサイド部と、を有するヘッド本体の前記ソール部に対して、前記ヘッド本体の構成材料よりも高比重のソール部材を複数の締結部材によって着脱可能とした中空構造の金属製のゴルフクラブヘッドであって、
前記ヘッド本体のソール部は、フェース側を開放した状態で略三角形状に窪ませて、その表面を平坦加工したヘッド側平坦面を備え、
前記ソール部材は、前記略三角形状に窪んだヘッド側平坦面と同形状であり、前記ソール部に装着された際、前記略三角形状に窪んだヘッド側平坦面と面接するソール側平坦面を備えており、
前記ヘッド側平坦面とソール側平坦面に、少なくとも前記複数の締結部材によってソール部材を前記ソール部に装着する接合ポイントが設けられており、
前記ヘッド本体のソール部には、打球時にフェース部に作用する衝撃が、前記ソール部に装着されたソール部材に直接伝達しないように緩衝構造が設けられており、
前記緩衝構造は、前記フェース部のソール側の表面を折り返すことでソール部のトウ・ヒール方向に延びる溝を備えており、前記折り返す部分は、前記フェース部の中心厚みより薄く形成されていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記緩衝構造は、前記クラウン部及びサイド部の少なくともいずれか一方に設けられる溝を有していることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空ゴルフクラブヘッドに関し、詳細には、ユーザの好みに応じてソール部分を着脱交換することを可能にする中空ゴルフクラブヘッド、及びそのような中空ゴルフクラブヘッドに用いられる着脱可能なソール部材に関する。
なお、本発明における中空ゴルフクラブヘッドとは、いわゆるフェアウェイウッド、及びユーティリティと称されるゴルフクラブのヘッドとして定義される。
【背景技術】
【0002】
一般的に、中空構造の金属製のゴルフクラブヘッド(中空ゴルフクラブヘッド;以下、「ヘッド」とも称する)は、複数の外殻体(フェース部、クラウン部、ソール部等)を接合した一体化構造となっている。通常、ヘッドを構成する外殻体は、鋳造や鍛造等によって形成されており、ヘッドは、各外殻体を溶接や接着などによって一体化することで構成されている。
【0003】
或いは、一部の外殻体を、他の一体化した状態の外殻体(以下、ヘッドを構成している外殻体の内、一部の外殻体が除かれた状態のものを「ヘッド本体」と称する)に対してピンなどの接合部材で固着することでヘッドを構成したものも知られている。例えば、特許文献1には、ヘッドを、ソール部を除く上部分(ヘッド本体)と、上部分とは別体で形成された下部分(ソール部)の2部品とし、ヘッド本体となる上部分に、ソール部である下部分を接合することで一体化する構成が開示されている。前記上部分の接合面と下部分の接合面は、夫々単一平面に形成されており、両者を単一平面で面合わせして、複数の締結部材(ボルト)で接合することでヘッドが製造される。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、ヘッド本体の下面に開口を形成しておき、この開口に錘部材が固着されている板状のソール部材をネジからなる締結部材で接合したヘッド構造が開示されている。ヘッド本体とソール部材は、フェース側両サイドの2箇所及びバック側中央の1箇所において、それぞれ位置合わせされる凹み部が形成されており、ヘッド本体側に形成された受け筒にネジを螺合することで両者を接合してヘッドが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−528238号
【特許文献2】特開2007−136068号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に開示されているソール部は、平坦面同士を面合わせして垂直方向からボルトを螺合する構造であるため、打球時にボルト部分に大きな力が集中することとなり、接合強度上、ボルトの大きさを大きくしたり数を増やす必要がある。特に、ボルトを挿入する孔位置を高精度に加工して配置しないと、一部のボルトに強負荷が集中して接合強度が低下する可能性がある。
【0007】
また、上記の特許文献2に開示されている構成では、ソール部とヘッド本体との接合面は、単一の平面でない(凹み部同士の接合)ことから、ネジを螺合する領域でガタ付きや異音(ビビリ音)が発生し易く、更には、複数のネジによる接合のみでは接合強度も不安定である。
【0008】
そして、上記した特許文献1及び2に開示されているように、従来のヘッドは、その製造過程において、ソール部分における重量調整が容易に行えるように、ソール部分(ソール部材)をヘッド本体とは別体で形成しておき、これをヘッド本体に対して締結部材により接合する構成に過ぎない。これは、ゴルフクラブとして市場に出回った際、単体としてのヘッド構造(1つのゴルフクラブ)であり、ユーザが購入した後、各人の好みに応じてソール部分を着脱して交換できるものではない。
【0009】
本発明が対象とする中空ゴルフクラブヘッドは、いわゆるフェアウェイウッド、ユーティリティと称されるゴルフクラブに装着されるものであり、主にフェアウェイにおいて芝(ラフを含む)の上にあるボールを打球するのに用いられることから、スイングして打球する際、ヘッドはソール部分が芝に接しながら移動する。この場合、ゴルフコースの芝の種類(西洋芝、高麗芝、野芝、バミューダ芝など)や季節(夏の芝、冬の枯れ芝など)によって、ボールの下の芝の状態は大きく異なっていることから、従来のゴルフクラブのように、単体としてのヘッド構造では、様々な場面において常に最適な状態で打球ができるとは限らない。すなわち、従来のフェアウェイウッド、ユーティリティと称されるゴルフクラブには、場所、季節に応じて、ユーザが望む最適なソール部に変更する、という技術思想は存在していない。
【0010】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ユーザの好みに応じてソール部分を着脱変更可能にする中空ゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような中空ゴルフクラブヘッドにおいて、着脱されるソール部材の接合強度が高く、打球時に異音が発生しない中空ゴルフクラブヘッドを提供し、更には、ヘッド本体に対して着脱が容易に行えるとともに精度良く装着することが可能なソール部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明に係るゴルフクラブヘッドは、フェース面を具備したフェース部と、フェース部の上縁から後方に延出するクラウン部と、フェース部の下縁から後方に延出するソール部と、フェース部と対向するバック部と、フェース部からバック部を経由するサイド部と、を有するヘッド本体の前記ソール部に対して、前記ヘッド本体の構成材料よりも高比重のソール部材を複数の締結部材によって着脱可能とした中空構造の金属製のゴルフクラブヘッドであり、前記ヘッド本体のソール部は、フェース側を開放した状態で略三角形状に窪ませて、その表面を平坦加工したヘッド側平坦面を備え、前記ソール部材は、前記略三角形状に窪んだヘッド側平坦面と同形状であり、前記ソール部に装着された際、前記略三角形状に窪んだヘッド側平坦面と面接するソール側平坦面を備えており、前記ヘッド側平坦面とソール側平坦面に、少なくとも前記複数の締結部材によってソール部材を前記ソール部に装着する接合ポイントが設けられており、前記ヘッド本体のソール部には、打球時にフェース部に作用する衝撃が、前記ソール部に装着されたソール部材に直接伝達しないように緩衝構造が設けられており、前記緩衝構造は、前記フェース部のソール側の表面を折り返すことでソール部のトウ・ヒール方向に延びる溝を備えており、前記折り返す部分は、前記フェース部の中心厚みより薄く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの好みに応じてソール部分が着脱変更可能な中空ゴルフクラブヘッドが得られるようになる。また、そのような中空ゴルフクラブヘッドにおいて、着脱されるソール部材の接合強度が高く、打球時に異音が発生しない構成が得られ、さらに、ソール部材をヘッド本体に対して着脱が容易に行えるとともに精度良く装着することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第1の実施形態を示す平面図。
図2図1に示す中空ゴルフクラブヘッドをヒール側から見た図。
図3図1に示す中空ゴルフクラブヘッドをトウ側から見た図。
図4図1に示す中空ゴルフクラブヘッドをソール側から見た図。
図5図1のA−A線に沿った断面図。
図6図4のB−B線に沿った断面図。
図7】ソール部材を外した状態の図2のC−C線に沿った断面図。
図8】ソール部材をヘッド本体から取り外した状態を示す分解斜視図。
図9】ソール部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は側面図、(d)は裏面図、(e)は正面図。
図10】本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第2の実施形態を示す平面図。
図11図10に示す中空ゴルフクラブヘッドをトウ側から見た図。
図12図10に示す中空ゴルフクラブヘッドをソール側から見た図。
図13図10のD−D線に沿った断面図。
図14図12のF−F線に沿った断面図。
図15】ソール部材を外した状態の図11のE−E線に沿った断面図。
図16】ソール部材の斜視図。
図17】ソール部材をヘッド本体から取り外した状態を示す分解斜視図。
図18】本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第3の実施形態を示しており、ソール部材をヘッド本体から取り外した状態を示す分解斜視図。
図19】本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第4の実施形態を示しており、ソール部材をヘッド本体から取り外した状態を示す分解斜視図。
図20】本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第5の実施形態を示しており、中空ゴルフクラブヘッドのフェース・バック方向に沿った断面図。
図21】本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第6の実施形態を示しており、ソール部材をヘッド本体から取り外した状態を示す分解斜視図。
図22】(a)〜(c)は、それぞれヘッド本体に対して装着されるソール部材の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る中空ゴルフクラブヘッド、及びソール部材の実施形態について説明する。
図1から図9は、本発明に係る中空ゴルフクラブヘッド、及びソール部材の第1の一実施形態を示す図である。なお、本発明の中空ゴルフクラブヘッド(以下、ヘッドと称する)は、ソール部分となるソール部材が着脱可能となっており、上述したように、本発明ではヘッドからソール部材が取り外された状態のものを「ヘッド本体」と定義するようにしている。ヘッド本体は、一般的に知られているように、鋳造や鍛造等によって形成された複数の外殻体を、溶接や接着などによって一体化した構造となっており、このように一体化された構造(ヘッド本体)に対して、ユーザの好みに応じて複数種類のソール部材が準備され、各ソール部材がヘッド本体に対して着脱可能に構成されている。
【0015】
本実施形態のヘッド1は、打球面(フェース面)2aを有するフェース部2と、フェース部2の上縁から後方に延出するクラウン部3と、フェース部2の下縁から後方に延出するソール部5と、フェース部2と対向するバック部6と、フェース部2からバック部6を経由するトウ部7及びヒール部8と、を備えている。なお、バック部6、トウ部7、ヒール部8は、前記クラウン部3及びソール部5の縁部を繋ぐことから、これらをサイド部とも称する。また、ソール部5に関しては、上記のように、その領域が着脱される構造となっていることから、着脱される部分をソール部材10とし、残った部分をソール部(ソール側)5と称する。すなわち、ソール部材10は、フェース部2、クラウン部3、ソール部5、バック部6、トウ部7、ヒール部8を備えたヘッド本体1Aに対して着脱される。
【0016】
ヘッド本体1Aは、様々な位置で分割した複数の外殻部材同士を溶着、接着等によって接合することで構成されている。それぞれの外殻部材は、例えば、チタン合金、アルミ系合金、マグネシウム合金等を鋳造、プレス成形することで一体形成することができ、それぞれの端縁領域を溶接することによってヘッド本体1Aが作成される。この場合、ヘッド本体1Aを構成する外殻部材は、サイド部とソール部を一体化したり、クラウン部とサイド部を一体化する等、複数の部材、或いは各部材の部分的な構成要素を鋳造等で一体形成しておき、それらを溶着、接着等によって固定したものであっても良い。このため、各部の境界は、必ずしも稜線によって明確に区画されていなくても良く、バック部6、トウ部7、ヒール部8については、クラウン部3とソール部5とを境界なく連続的に繋ぐような曲面で構成されていてもよい。
【0017】
前記フェース部2については、例えば、チタン、チタン合金等を、プレス加工、NC加工(CNC加工を含む)、或いは鍛造等することで一体形成されており、上記した溶接以外にも、例えば、レーザ溶接、ろう付け、接着等によって他の外殻部材に対して接合することが可能である。本実施形態のフェース部2は、カップ状に形成されており、これをクラウン部3、ソール部5及びサイド部(トウ部7及びヒール部8)の前端に形成された開口に接合することで構成されている。このため、本実施形態のフェース部2は、クラウン部、サイド部、ソール部の一部を構成している。勿論、フェース部2に関しては、打球面2aを板状に構成しておき、これをフェース部に形成された開口に止着したり、或いは、板状に形成されたフェース部材を、クラウン部、ソール部、及びサイド部の前端開口に接合して構成しても良い。なお、ヘッド本体の材料については、小さい容量のヘッドの場合は、フェース部材も含めてステンレス系合金を用いても良い。
【0018】
また、ヘッド1には、シャフト(図示せず)の先端を止着するホーゼル部9が一体形成されている。前記ホーゼル部9は、クラウン部3のフェース・ヒール側から上方に突出するように設けられており、この開口穴9aにシャフトの先端部を嵌合・止着することでゴルフクラブが構成される。
【0019】
上記したように、ヘッド1のソール部5には着脱可能なソール部材10が装着される。この場合、装着されるソール部材10のフェース側の端縁10aは、ヘッド本体1Aと離間した状態、すなわち、ソール部材10の前端の端縁10aが開放した状態になっていることが好ましい。具体的には、図5に示すように、端縁10aがヘッド本体1Aのいずれにも接触しないように構成されていれば良く、本実施形態では、ソール部5の表面をトウ・ヒール方向に沿ってフェース部側で折り返し、この部分にトウ・ヒール方向に沿う溝5aを形成することでソール部材10に加え、ソール部5の前端縁から離間するように構成している。
【0020】
ソール部5に上記のような溝5aを形成することで、打球時にフェース部に作用する衝撃を緩和して、衝撃が直接ソール部材10に伝達しないようにすることが可能となる。すなわち、トウ・ヒール方向に延びる溝5aは、打球時における衝撃の緩衝構造となっており、このような緩衝構造を設けることで、装着されたソール部材10へ衝撃が直接伝わることが防止され、ソール部材10をヘッド本体1から外れ難くすることができる。
【0021】
本実施形態の緩衝構造は、フェース部2のソール側の表面を折り返すことで溝状に形成されているが、ソール部材10の前端の前方が開放した状態にあれば良く、溝構造でなくても良い。また、上記したように、ソール部材10の端縁10aがヘッド本体1Aから離間していれば(端縁10aのフェース側が開放状態にあれば)、前方に張り出すように形成されたソール部材10を装着することもでき(図5において、端縁10aが溝5aの領域にシフトしているソール部材を装着する)、その場合、ヘッドとして重心位置を前方に移行させることも可能となる。
【0022】
なお、緩衝構造を構成する上記の溝5aは、その肉厚によって衝撃緩衝効果が異なる。実際には、フェース部2をフェース面2aの裏面側で折り返した部分(返し部分2b;図5参照)の肉厚はフェース部の中心厚みより薄くすることが好ましく、具体的には、0.6〜2.4mmの範囲に設定するのが良く、特に、0.9〜1.5mmにすることが好ましい。
【0023】
また、緩衝構造は、上記したような溝をソール部に形成するだけではなく、クラウン部3、ソール部5、及び、サイド部(トウ部7及びヒール部8)の少なくとも1つ以上に形成しておいても良い。本実施形態では、前記各部に、それぞれ溝3a,5a,7a,8aを形成して、前記ソール部5に形成された溝5aと共に一周構造としている。このようにヘッドのフェース側に、緩衝作用を有する溝を全周に亘って形成しておくことで、打球時の打点のバラツキに対しても、より効果的に打球衝撃を後方に伝わることを緩和することができ、ソール部材10に対する衝撃を緩和することが可能となる。なお、各部における溝の深さ、溝幅、及び、その部分におけるヘッドの肉厚については、衝撃緩衝効果を考慮して、適宜設定される。
【0024】
上記したように、ヘッド本体1Aのソール部(ソール側)5には、ヘッド本体とは別部材であるソール部材10が締結部材30によって着脱可能に装着される。
以下、ソール部材の具体的な構成、及び、ヘッド本体との間の着脱構造について説明する。
【0025】
ソール部材10としては、ヘッドの低重心化を図るために、ヘッド本体の構成材料と比較して相対的に重くなる材料を用いることが好ましい。具体的には、ソール部材10と締結部材30を加えた重量が、ヘッド全体の重量に対して30〜120%になるように構成することが好ましい(一例として、ソール部材はステンレス材料で95g、ヘッド本体はチタン合金で110g、締結部材30は、1つ2.5gで構成する)。或いは、ソール部材10として、ヘッド本体の構成材料と比較して比重の大きい材料(例えば、ステンレス、銅合金、タングステン合金等、ヘッド本体の構成材料と比較して比重差が1:1.5以上となる材料)を用いることが好ましい。
【0026】
ただし、ソール部材を着脱構造とし、ソール部材10の重量を重くすると、ソール部材の慣性力が大きくなってしまい、打球時の衝撃で外れたり、着脱構造によって発生し易い異音(ビビリ音)も大きくなってしまう。また、ソール部材の比重を大きくすると、ソール部材の慣性力に対してソール部材が小さくなり、これにより相対的な締結エリアも小さくなってしまい、上記のようなソール部材の外れや異音の発生が大きくなる可能性も大きくなってしまう。
本発明(本実施形態)では、ソール部材、及び、ヘッド本体に対するソール部材の着脱構造を以下のようにすることで、ソール部材をヘッド本体から外れ難くし、かつ、打球時に異音が発生することを抑制している。
【0027】
前記ソール部材10、及びソール部材10が装着されるヘッド本体1Aのソール部5の装着構造については、互いが面接する平坦面を備えており、この平坦面は、少なくとも両部材を接合する接合ポイントPに設けられていれば良い。
【0028】
本実施形態では、ヘッド本体側の平坦面(ヘッド側平坦面)は、図8に示すように、ソール部5の露出面(ヘッド本体のソール側の裏面)を、フェース側を開放した状態で略三角形状に窪ませ、その表面を平坦加工することでヘッド側平坦面5Aが形成されている。このため、ヘッド側平坦面5Aの周囲は、ソール部材10の外縁と対向(当て付いてもよい)する回転規制壁5Bとなっている。また、ソール部材10は、上記のように窪んだヘッド側平坦面5Aと同形状となるよう、略三角形状に形成されており、その表面を平坦加工(後述するようなNC加工)することでソール側平坦面10Aが形成されている(図9参照)。
【0029】
これにより、ソール部材10をヘッド本体1Aに装着すると、それぞれの平坦面10A,5Aが面接触し、その平坦領域に設けられた接合ポイントで締結部材30を締め付けることによって両者は接合される。この場合、ソール部材10の外縁は、回転規制壁5Bによって回転が規制された状態となっているため、ソール部材10に回転方向の負荷が作用しても、その負荷が締結部材30に作用することはない。すなわち、フェース部材の接合強度の向上が図れるとともに、締結部材30の部分に負荷が作用しないため、異音の発生を抑制することが可能となる。
【0030】
なお、ソール部材を略三角形状に形成することで、ソール部材の製造が容易となり、ヘッドのソールとしての機能も好ましい構成となる。また、回転規制壁5Bとソール部材10の外縁が精度良く形成され、ソール部材10をソール部5の前記窪んだ部分の平坦面に装着した際、回転規制壁5Bとソール部材10の外縁が密着(僅かに離間してもよい)する状態となっていれば、ソール部材10の位置決めが可能となるため(回転規制壁5Bとソール部材10の外縁が位置決め手段を構成する)、後述するような嵌合関係となる円形開口5C及び円形突部10Cによる位置決め手段については省略することも可能である。
【0031】
また、ゴルフコースの芝の種類や季節に応じて、ソール部材10はユーザが好む最適な構造のものが選択されてヘッド本体1Aに装着される。本実施形態におけるソール部材10は、接地面(裏面10B)側にフェース・バック方向に延びるように併設された4本の突起10bを備えた構造となっている。このような突起10bは、図2に示すように、ソール部材の裏面10Bから下方に突出するように形成することで、ヘッドの低重心化を図ることが可能となる。また、併設される突起10bは、フェース・バック方向に延びているため、打球時に芝との抵抗を軽減することが可能となる。
【0032】
上記のようなヘッド本体1Aとソール部材10には、両者の対向領域で互いを密着係合させて両者を位置決めする位置決め手段が設けられている。
この位置決め手段は、1つのヘッド本体1Aに対して交換するソール部材が多数存在しても、各ソール部材をヘッド本体に装着するに際し、各ソール部材のヘッド本体に対する証を出すことを容易にする(位置決めを容易にする)ものであれば良く、このような位置決め手段を設けることで、ソール部材毎のヘッド本体に対する着脱操作が精度良く容易に行えるようになる。すなわち、位置決め手段は、ヘッド本体とソール部材を固定する締結部材とは別に、ヘッド本体1Aの構成要素とソール部材10の構成要素が互いに嵌合する等、両部材が密着して位置決めが成される機能があれば良い。
【0033】
以下、本実施形態の位置決め手段の構成について説明する。
本実施形態の位置決め手段50は、ヘッド本体のソール部5とソール部材10の中央領域に設けられており、前記接合ポイントPを、この位置決め手段50の径方向外方に配設している。位置決め手段50は、ソール部材10に形成された突部10Cと、ヘッド本体1Aのソール部5に形成された受け部5Cによって構成されており、両者は、ソール部材10装着時に、ヘッド本体と密着した状態で位置決めできるようになっている。また、突部10Cと受け部5Cは、ソール側平坦面10A、及び、ヘッド側平坦面5Aに対して直角となるように形成しておくことが好ましい。
【0034】
具体的には、突部10Cは、ソール側平坦面10Aと直角となる断面円形の筒状体として構成され、受け部5Cはそのような断面円形の筒状体が嵌入できるように円形開口として構成されている(以下、円形突部10C及び円形開口5Cと称する)。このように、突部を空洞となる筒状体に構成することで、位置決め手段の軽量化が図れ、重量調整が容易に行えるようになる。また、受け部をヘッド本体側に設け、かつ、円形開口とすることで、ヘッド本体1Aの内部空間に重量物等を取着することができ、重量調整が容易に行えるようになる。
【0035】
なお、本実施形態では、円形開口5Cは前記ヘッド側平坦面5Aの領域内に形成されており(図8参照)、円形突部10Cはソール側平坦面10Aよりも中央領域を窪ませて形成されている(図5図6及び図9参照)。すなわち、円形突部10Cは、ソール側平坦面10Aよりも窪むように形成しておくことが好ましく、その底部については、肉厚のバランスや重心位置等を考慮して、段構造(底部10d,10d´)としている。このように底部をソール側平坦面10Aよりも窪ませたのは、この位置がソール中央の上部になることから、低重心化や水平方向(トウ・ヒール方向)の慣性への寄与が期待できないのであり、したがって、この部分を空間にしておき、その分の重量を他の部位に設けた方が良いからである。
【0036】
前記円形開口5C及び円形突部10Cは、その直径が25〜42mmの範囲で形成しておくことが好ましい。ここで、直径を上記した範囲としたのは、両部材の組み付け作業を行ない易くするためであり、特に25mm以上にすることで、円形開口5C内に指を挿入することができ、円形開口5Cを介してヘッド本体1A内に指を挿入して、重量物の貼り付け作業や組み立ての際のゴミ取り作業等を容易に行なうことが可能となる。
【0037】
なお、直径をあまり大きくし過ぎると、ソール部材10とヘッド本体1Aの平坦面同士の接触面積、及び、締結部材30を受け入れる部分が相対的に小さくなって設計の自由度が悪くなるため、直径は42mm以下に設定することが好ましい。すなわち、直径を42mm以下にすることで、平坦面同士の十分な密着面積を確保できるとともに、後述するネジ孔5fの形成部分を大きく確保することができるようになり、これにより、円形開口5Cとネジ孔5fとの位置関係が変化し難くなり、ネジ部分への負荷集中を防止することが可能となる。
【0038】
ソール部材10をヘッド本体1Aに固定する接合ポイントPは、上記した位置決め手段と離間して、ソール部材10とヘッド本体1Aの平坦面となる部分に配設されている。接合ポイントPには、両部材を固定する締結部材(止めビス)30が螺入されるようになっており、ソール部材10には、締結部材30が挿入できるように、開口10fが形成されている。なお、締結部材30は、図8に示すように、頭部30aを備えており、この部分に治具(専用の治具、或いは、一般のドライバー等)を差し込んで固定作業を行なうよう構成されているため、開口10fは段付き形状にして頭部がソール部材の裏面10Bから露出しないように構成されている(図5参照)。また、締結部材30を螺入するに際してはOリング31が介在されて、緩み止めするようになっている。このように、止めビスによる着脱構造としたことで、ソール部材の着脱操作が容易に行えるようになる。
【0039】
ヘッド本体1Aのヘッド側平坦面5Aには、ソール部材10を位置決めした際、前記開口10fに対応する位置にネジ孔5fが形成されている。すなわち、ソール部材10の円形突部10Cを円形開口5Cに嵌入すると、ソール部材側の開口10fとヘッド本体側のネジ孔5fは一致するように形成されている(両者が一致する部位が接合ポイントPとなる)。
【0040】
本実施形態における接合ポイントPは、前記位置決め手段50に対して径方向外方に設置されており、ソール部材を安定して接合できるよう構成されている。この場合、接合ポイントPを3箇所とし、各接合ポイントの配設位置を、位置決め手段50の中心から等距離にすることで、各接合ポイントにおける負荷がバランス良く作用するとともに、いずれかの接合ポイントで隙間が生じてもバランスよく吸収することが可能となる。特に、本実施形態では、3つの接合ポイントを周方向で略等間隔に配設(フェース側のトウ側及びヒール側の2箇所、及びバック側の中央位置の1箇所)しているため、よりバランス良くソール部材10を固定することが可能となる。
【0041】
上記した円形突部10Cの径方向外方には、ヘッド本体1Aとソール部材10が接触する部位にゴム等、弾性変形可能なOリング35を介在するのが好ましい。すなわち、位置決め手段が設けられる部位は密着する関係となり、この部分から水分や埃等がヘッド本体内に侵入したり、或いは異音の発生要因にもなるため、Oリングを介在しておくことが好ましい。具体的に、本実施形態では、ソール部材10の円形突部10Cの周囲に円周溝10hを形成しておき、この部分にOリング35を嵌入している。
【0042】
上記したようなOリング35は、直径が1.5〜3.6mm程度のものを用いるのが好ましく、本実施形態のように、ソール側平坦面10Aとヘッド側平坦面5Aとの間に介在することで、防水効果が得られるとともに、打球感のバラツキを抑えたり、打球感を向上することが可能となる。
なお、Oリング35は、ヘッド本体1Aとソール部材10が接触する領域に配設されていればよく、例えば円形突部10Cの外周面に装着することで、ヘッド本体内部に対する防水機能をより高めることが可能となる。
【0043】
また、ソール部材10は、位置決め手段50の領域以外、平坦面として構成しても良いが、本実施形態のように、平坦面の適所に凹溝10mを形成しておくことが好ましい。凹溝10mは、例えば、円形突部10Cの周囲に周方向に沿って断続的に形成したり(図9参照)或いは、連続的に形成したり、点在して形成することが可能である。
このような凹溝を形成しておくことで、その内部に樹脂や金属などを配設することができ、重量バランスの調整、重心位置の調整が容易に行えるようになる。また、このような凹溝については、ヘッド本体1Aのヘッド側平坦面5Aに形成しても良い。
【0044】
さらに、ソール部材10の裏面10Bについては、上述したような4本の突起10b以外にも、表面を切削する等により、窪んだ平坦面10nを形成して地面との接触面積を減らす等、使用態様に応じて適宜、変形することが可能である。
【0045】
前記ヘッド本体1Aには、円形開口5Cの縁部に沿ってヘッド本体の内部空間に突出するとともに、前記円形突部10Cの外表面と面接する突出壁5gが形成されており(図7参照)、円形突部10Cを軸方向に沿って長い範囲で面接触させるようにしている。このように突出壁5gを形成することにより、円形突部10Cの接触面の平坦面5A,10Aに対する直角度がより安定するため、密着領域における強度の向上が図れるとともに、異音の発生を効果的に防止することが可能となる。
【0046】
また、ヘッド本体1Aのソール部5のヘッド本体側の内面5Dには、ヘッド本体の円形開口からサイド壁側に向かうようにリブ5hが形成されている。リブ5hは、その高さが1.0〜3.0mm程度で、複数形成しておくことが好ましく、このようなリブを形成しておくことで、ヘッド側平坦面5Aの変形を防止することが可能となる。特に、このようなリブ5hを前記突出壁5gと一体化し、かつ、そのリブ上に前記締結部材30のネジ孔5fを配設しておくことで、円形開口5Cとネジ孔5fとの位置関係が変化し難くなり、締結部材30からネジ孔に作用する負荷の集中を防止して異音が発生することが防止される。
【0047】
上記したようなソール部材10、及びヘッド本体1Aのソール部5は、NC(CNC)加工によって形成することが好ましく、ソール部材10のソール側平坦面10A、及びヘッド本体1Aのヘッド本体側平坦面5AをNC加工することにより、両者の密着状態(位置決め)を高精度に出すことができる。特に、ソール部材10については、平坦面10Aに加え、円形突部10C及びネジ孔10f、更には、その輪郭についてもNC加工する(好ましくは治具への一度の固定状態でNC加工する)ことによって、円形突部10Cの平坦面10Aに対する垂直度を精度良く出すことができる等、ソール部材の精度を向上することができ、かつ、複数準備されるソール部材についても、同様な加工を施すことで、全てのソール部材を同精度で製造することが可能となる。
【0048】
また、上記のように精度良く形成されたヘッド本体1A及びソール部材10に、円形突部10Cと円形開口5Cによる位置決め手段50を設けているため、ソール部材10をヘッド本体1Aに装着する際、両者の嵌合精度が高くなり、正確な位置決めを行なうことができる。そして、両者の位置決めが成された状態で、ヘッド側平坦面5Aとソール側平坦面10Aは面接された状態にあり、この部分に両者を締結する締結部材30(接合ポイントP)が配設されているため、接合強度が高くなり、また、それぞれの締結部材30に対して大きな負荷が加わることが防止できる。この結果、フェース部に打球時の衝撃が加わった際、締結部材の領域でガタ付きや異音(ビビリ音)が発生することがなく、かつ、位置決め手段による密着係合(嵌合)によって両者の接合強度も安定化する。
【0049】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
なお、以下に説明する実施形態では、上記した実施形態と同様な構成については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0050】
図10から図17は、本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第2の実施形態を示す図である。
本実施形態では、ヘッドのクラウン部3及びソール部5に衝撃を緩和する溝3a,5aを形成し、サイド部には溝を形成していない。このようにクラウン部及びソール部に溝部を形成しても十分な緩衝作用を得ることができ、ソール部材110をヘッド本体1Aに対して外れ難くすることができる。また、ソール部材110の裏面110Bには、第1実施形態のようなフェース・バック方向に延びる複数の突起を形成しておらず、トウ側領域とヒール側領域に、それぞれ凹部110a、110bを形成している。すなわち、フェース部材の裏面のトウ側及びヒール側に、それぞれ凹部を形成しておくことにより、接地面積を少なくして芝との間のソール抵抗を小さくするようにしている。
【0051】
また、本実施形態では、図13及び図15に示すように、ヘッド本体1Aのソール部5のヘッド本体側の内面5Dに形成される各リブ5h´をサイド壁に繋がることなく、ネジ孔5fの部分で終端するようにしている。このようにすることで、上記のようにサイド壁に溝を形成しないことで打球時にサイド壁に衝撃が作用しても、その衝撃をネジ孔5fや円形開口5C部分へ伝達させないようにすることができる(異音の発生を防止することができる)。
【0052】
また、本実施形態では、図8に示したような回転規制壁5Bを形成しておらず、ヘッド本体のソール部5は、全体が平坦面となるように形成されている。すなわち、ヘッド本体とソール部材の平坦面同士の接触面をより広く確保して安定した接合状態が得られるようにしている。この場合、ソール部材110は、円形突部10Cと円形開口5Cによる位置決め手段50によって、回転方向の力を受けてしまうため、別途、ソール部材110の回転規制手段を設けておくことが好ましい。
【0053】
具体的には、例えば、位置決め手段50よりもフェース部側に、回転規制用のボス120を嵌入するようにしても良い。すなわち、ヘッド本体1Aのソール部5にボス120の一端側を受けるボス穴121を形成しておくとともに、ソール部材110側の対応する位置にボス120の他端側を受けるボス穴122を形成しておき、ソール部材110をヘッド本体に装着する際、各ボス穴121,122に、回転規制部材となるボス120を嵌入して両者を固定すればよい(図13及び図17参照)。
このような構成においても、ソール部材110が回転方向の力を受けた際、その負荷が締結部材30に作用することがないため、接合強度を向上できるとともに、異音の発生を防止することができる。
【0054】
なお、上記したような回転規制用のボス120を用いる場合、ヘッド本体側のボス穴121は、図15に示すように、ヘッド本体側の内面5Dにリブ5h´´を形成しておき、そのリブ上に配設することが好ましい。これにより、ボス120に対して大きな回転方向の負荷が作用しても、その接合強度の向上を図ることが可能となる。
【0055】
図18は、本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第3の実施形態を示しており、ソール部材をヘッド本体から取り外した状態を示す分解斜視図である。
上述した実施形態における位置決め手段50は、ソール部材10,110の中央領域に断面円形の筒状体(円形突部10C)を形成するとともに、ヘッド本体のソール部に、その筒状体を受ける円形開口5Cを形成したが、位置決め手段50を構成する筒状体の断面形状は円形に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0056】
具体的に、本実施形態では、図18に示すように、ソール部材210に、断面が正方形(正多角形)の筒状体(枠体)210Cを形成するとともに、ヘッド本体1Aのソール部5の平坦面5Aに、そのような筒状体210Cが嵌入される正方形の開口205Cを形成して両者を密着するようにしている。
【0057】
このような位置決め手段によれば、位置決め手段周りのソール部材210の回転が規制された状態となるため、図8に示したように、ヘッド本体のソール部5に回転規制壁5Bを形成したり、図17に示したように、回転規制用のボス120を配設する必要がなく、構成を簡略化することができる。
なお、このような突部(筒状体)に関しては、断面正多角形に構成することが好ましいが、必ずしも正多角形にする必要はなく、長短辺の差が大きくなければ任意の多角形状であってもよい。或いは、断面楕円形状に構成してもよい。また、その裏面構造(設地面構造)については、図22(c)で示すように構成されている。
【0058】
図19は、本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第4の実施形態を示しており、ソール部材をヘッド本体から取り外した状態を示す分解斜視図である。
上述した実施形態では、位置決め手段50は、ソール部材側に突部(円形突部5C、断面矩形の突部210C)を形成し、ヘッド本体側に受け部(円形開口10C、矩形開口205C)を形成したが、このような突部と受け部については逆にしても良い。すなわち、ヘッド本体1Aのソール部側に、突部(断面円形の筒状体5F)を形成し、ソール部材310側に受け部(円形開口310F)を形成しても良い。
このような構成であっても、上記した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0059】
図20は、本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第5の実施形態を示しており、中空ゴルフクラブヘッドのフェース・バック方向に沿った断面図である。
上述した実施形態における位置決め手段50は、突部と受け部を、それぞれヘッド本体やソール部材に一体形成したが、両者の嵌合を果たす部材は、ヘッド本体及びソール部材と別部材で構成されていても良い。
【0060】
例えば、図20に示すように、ソール部材10に環状の凹所10Fを形成しておき、この部分に金属製の環状体70を嵌合(接着しておいても良い)しておき、環状体70と円形開口5Cとの間で密着係合させて、ソール部材10とヘッド本体1Aを位置決めする構成であっても良い。すなわち、このような構成によれば、ソール部材10とヘッド本体1Aの構成材料を考慮して、最適な材料を選択することが可能となる。
【0061】
図21は、本発明に係る中空ゴルフクラブヘッドの第6の実施形態を示しており、ソール部材をヘッド本体から取り外した状態を示す分解斜視図である。
この実施形態では、ヘッド本体1Aとソール部材410を密着係合させる位置決め手段を複数個(3箇所)形成している。すなわち、位置決め手段50は、ヘッド本体1Aのソール部側に複数の突起(断面円形で中実状の突起)5Hを形成しておき、ソール部材410側に、そのような突起5Hが密着係合する複数の嵌合穴410Cを形成して構成している。また、ヘッド本体とソール部材を接合する締結部材が配設される接合ポイントPは、3箇所の位置決め手段50の間(周方向に沿うように略等間隔)に配設しており、ソール部材410に対して負荷が作用しても、1つの接合ポイントに負荷が集中しないようにしている。
【0062】
このように、位置決め手段については複数個所形成することもでき、ヘッド本体に対してソール部材を密着係合させる構成については適宜変形することが可能である。例えば、上述した構成以外にも、凹凸面同士による密着係合としても良いし、凹凸面同士による密着係合と、上述したような突部と受け部による密着係合を組み合わせて構成しても良い。
【0063】
図22(a)〜(c)は、それぞれヘッド本体1Aに対して装着されるソール部材の構成例を示す図である。
本発明は、上述したように、1つのヘッド本体1Aに対して、状況に応じて異なる構造のソール部材を着脱できるようにすることを特徴としている。例えば、第1実施形態で示したソール部材10(図22(b))、第2実施形態で示したソール部材110(図22(a))、更には、複数の湾曲面(トウ側に形成される湾曲面210a,ヒール側に形成される湾曲面210b)や傾斜面(バック側に向けて次第に上昇する傾斜面210c)を形成して接地面積を小さくしたソール部材210(図22(c))等、ヘッド本体に対して多数のソール部材を準備しておき、季節、場所、芝の状況等に応じて、ユーザが最適なソール部材を選択して装着できるようにしている。
【0064】
そして、上記のように、多数のソール部材を準備しても、各ソール部材は、ヘッド本体との間で密着手段によって精度良く位置決めができるため、着脱操作が容易に行えるとともに、各ソール部材を装着しても、異音が発生することが効果的に防止できる。
【符号の説明】
【0065】
1 ヘッド(中空ゴルフクラブヘッド)
1A ヘッド本体
2 フェース部
3 クラウン部
5 ソール部
5A ヘッド側平坦面
10,110,210,310,410 ソール部材
10A ソール側平坦面
30 締結部材
50 位置決め手段
P 接合ポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22