(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の供給口の注入ポートの数及び前記第2の供給口の注入ポートの数は同じであり、前記第1の供給口の注入ポート及び前記第2の供給口の注入ポートは前記管状ガスマニホールド導管の円周に沿って交互に配置される、請求項1に記載のガス注入システム。
前記管状ガスマニホールド導管は、前記第1の軸位置の下流における第1の直径、及び前記第1の軸位置における第2の直径を有し、前記第2の直径は前記第1の直径より小さい、請求項1に記載のガス注入システム。
前記ガス供給口は下側ガス供給口として機能し、前記ガス注入システムは上側ガス供給口を更に備え、前記上側ガス供給口は、第3のガスを前記管状ガスマニホールド導管内に供給するための第3の供給口及び第4のガスを前記管状ガスマニホールド導管内に供給するための第4の供給口を備え、前記上側ガス供給口の各々は、前記管状ガスマニホールド導管の第2の軸位置にて前記管状ガスマニホールド導管に接続される2つ以上の注入ポートを有し、前記第2の軸位置は前記第1の軸位置の上流に配置される、請求項1に記載のガス注入システム。
前記管状ガスマニホールド導管は、前記第1の軸位置の下流における第1の直径、前記第1の軸位置における第2の直径、及び前記第2の軸位置における第3の直径を有し、前記第3の直径は前記第2の直径より小さく、前記第2の直径は前記第1の直径より小さい、請求項6に記載のガス注入システム。
前記第3の供給口は、前記第3のガスを注入するための注入口及び前記第3のガスを流出するための複数の流出口を有するC形状の共通チャネルを更に備え、前記第3のガスを流出するための複数の流出口は、前記第3の供給口の2つ以上の注入ポートのそれぞれに接続され、前記第4の供給口は、前記第4のガスを注入するための注入口及び前記第4のガスを流出するための複数の流出口を有するC形状の共通チャネルを更に備え、前記第4のガスを流出するための複数の流出口は、前記第4の供給口の2つ以上の注入ポートのそれぞれに接続される、請求項6に記載のガス注入システム。
前記第3の供給口及び前記第4の供給口の各々の前記注入ポートは、前記管状ガスマニホールド導管の軸に対してほぼ平行に前記管状ガスマニホールド導管に接続され、前記第1の供給口及び前記第2の供給口の各々の前記注入ポートは、前記管状ガスマニホールド導管の軸に対して15°〜25°の角度にて前記管状ガスマニホールド導管に接続される、請求項9に記載のガス注入システム。
補助ガスを前記管状ガスマニホールド導管内に供給するための最上部供給口を更に備え、前記最上部供給口は前記管状ガスマニホールド導管の上流端部にて前記管状ガスマニホールド導管に接続される注入ポートを有する、請求項1に記載のガス注入システム。
前記ウェーハ処理リアクタは、原子層堆積(ALD)用のリアクタ又は化学気相成長(CVD)用のリアクタであり、前記管状ガスマニホールド導管はALD又はCVD用の前記リアクタのガス注入ポートに接続される、請求項1に記載のガス注入システム。
前記管状ガスマニホールド導管は、前記管状ガスマニホールド導管の上流端部にて前記管状ガスマニホールド導管に接続される注入ポートを有する最上部供給口を更に備え、前記方法は、いずれか一方がプロセスガスである前記第1のガス及び前記第2のガスを前記管状ガスマニホールド導管に供給しながら、前記最上部供給口の注入ポートを通して不活性ガスを前記管状ガスマニホールド導管に供給するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
前記膜は第1の条件下で堆積され、前記方法は、前記第1の条件下で堆積された膜の均一性と比較して、膜の改良された均一性を有して基板上に膜を堆積させるように、前記不活性ガスの流量を除いて前記第1の条件を維持しながら、前記最上部供給口からの前記不活性ガスの流量を変化させるステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
前記ガス供給口は下側ガス供給口として機能し、前記ガス注入システムは第3の供給口及び第4の供給口を備える上側ガス供給口を更に備え、前記上側ガス供給口の各々は、前記管状ガスマニホールド導管の第2の軸位置にて前記管状ガスマニホールド導管に接続される2つ以上の注入ポートを有し、前記第2の軸位置は前記第1の軸位置の上流に配置され、前記方法は、一方がプロセスガスである前記第1のガス及び前記第2のガスを前記管状ガスマニホールド導管に供給しながら、前記第3の供給口及び前記第4の供給口のそれぞれの注入ポートを通して第3のガス及び第4のガスを前記管状ガスマニホールド導管に供給するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るガス混合システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態に係るガス混合システムを示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の更に別の実施形態に係るガス混合システムを示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る
図3に例示したガス混合システムのガス注入ポートを示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る
図3に例示したガス混合システムの壁におけるガス濃度を表す計算流体力学(CFD)シミュレーション(ANSYS Fluent)を使用して得た画像を示し、色は、紫から赤のスケールで、プロセスガス種の濃度に変換されるプロセスガスモル分率の範囲を表し、紫はガス種が存在しないことを表すのに対して、赤は高濃度のガス種を表す。
【
図6A】
図6Aは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、3つのガス注入ポートが20°の角度で設けられ、第1の供給口及び第2の供給口の各々が同じ高さに配置されている、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
【
図6B】
図6Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、5つのガス注入ポートが20°の角度で設けられ、第1の供給口及び第2の供給口の各々が同じ高さに配置されている、本発明の別の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
【
図7A】
図7Aは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、5つのガス注入ポートが25°の角度で設けられ、第1の供給口及び第2の供給口の各々が同じ高さに配置されている、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
【
図7B】
図7Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、5つのガス注入ポートが15°の角度で設けられ、第1の供給口及び第2の供給口の各々が同じ高さに配置されている、本発明の更に別の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
【
図8A】
図8Aは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る
図3に例示したものと同様のガス混合システムの壁におけるガス濃度を表し、プロセスガスは、管状ガスマニホールド導管の下側軸位置に配置されるガス注入ポートから導入される。
【
図8B】
図8Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、
図8Aに例示した実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
【
図9A】
図9Aは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る
図3に例示したものと同様のガス混合システムの壁におけるガス濃度を表し、プロセスガスは、管状ガスマニホールド導管の上側軸位置に配置されるガス注入ポートから導入される。
【
図9B】
図9Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、
図9Aに例示した実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
【
図10】
図10は、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、
図9Aに例示した実施形態に係る管状マニホールド導管の中央で得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
【
図11A】
図11Aは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る螺旋設計を有するものと同様のガス混合システムの壁におけるガス濃度を表し、プロセスガスは、管状ガスマニホールド導管の下側軸位置に配置されるガス注入ポートから導入される。
【
図11B】
図11Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、
図11Aに例示した実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
【
図12A】
図12Aは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た、
図3に例示したものと同様の管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表し、ドライガスは、管状ガスマニホールド導管の軸方向において0.24slmにて上側注入ポートから管状ガスマニホールド導管内に放出される。
【
図12B】
図12Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た、
図3に例示したものと同様の管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表し、ドライガスは、管状ガスマニホールド導管の軸方向において0.72slmにて上側注入ポートから管状ガスマニホールド導管内に放出される。
【
図13】
図13は、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た、
図3に例示したものと同様の管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表し、ドライガスは、0.54slmにて下側ポートから管状ガスマニホールド導管内に放出される。
【
図14】
図14は、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して画像を示し、この図は、450mm単一ウェーハ処理リアクタのための従来のシャワーヘッドの壁におけるガス濃度を表す。
【
図15】
図15は、注入ポートから拡散点までの距離を概略的に例示している管状マニホールド導管の断面を示し、(A)注入ポートが内壁に沿って位置し、(B)注入ポートが中心と内壁との間の途中に位置し、(C)注入ポートが中心に位置する。
【
図16】
図16は、プラズマアシスト堆積装置の概略図であり、実施形態に係る管状ガスマニホールド導管はこの装置のプロセスチャンバの中心ガスポートに取り付けられるように構成される。
【
図17】
図17は、UVアシスト堆積装置の概略図であり、実施形態に係る管状ガスマニホールド導管はこの装置のプロセスチャンバの側部ガスポートに取り付けられるように構成される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示において、「ガス」は、蒸発した固体及び/又は液体を含んでもよく、単一のガス又はガスの混合物により構成されてもよい。同様に、「一つ」の物品は、一つの種類又は複数の種類を含む属を指す。本開示において、管状ガスマニホールド導管を通して反応チャンバに導入されるガスは、プロセスガスを含んでもよく、プロセスガスから実質的に構成されてもよく、又はプロセスガスから構成されてもよく、そのプロセスガスは、前駆体、反応ガス及び添加ガス(例えば、NH
3、TiCl
4、O
3)からなる群から選択される少なくとも1つの反応性ガス並びに希釈ガス、パージガス及び搬送(キャリア)ガス(例えば、Ar、He、Ne、Kr又はXeなどの希ガス、N
2、H
2、O
2などの他の不活性ガス)からなる群から選択される少なくとも1つの不活性ガスであるドライガスである。添加ガスは、反応チャンバにおいて前駆体を酸化、炭化、及び/又は窒化するためのガスを含む。前駆体は搬送ガスと共に導入されてもよい。プロセスガス及びドライガス以外のガス、すなわち、例えば、シールガスを含む、管状ガスマニホールド導管を通さずに導入されるガスが、反応空間をシールするために使用されてもよい。希釈ガス、パージガス、搬送ガス及びシールガスは独立して選択されてもよい。ドライガス及びプロセスガスが管状ガスマニホールド導管内で非反応性であるか、又はわずかに反応性である(反応は最小である)ようにドライガス及びプロセスガスはリアクタの上流の管状ガスマニホールド導管内で混合される。例えば、O
3は分解するが、特定の条件下で、分解率は低く、その存続期間はリアクタ部分に到達するように十分に長いので、O
3がプロセスガスとして使用されてもよい。更に、本開示において、任意の2つの数の変数は、その変数の実行可能な範囲を構成でき、実行可能な範囲は通常作業に基づいて決定でき、示された任意の範囲はエンドポイントを含んでいてもよく、又は除外していてもよい。更に、示された変数の任意の値は、正確な値又はおおよその値を指し、同値を含んでもよく、一部の実施形態において、平均値、中央値、代表値、多数値などを指してもよい。更に、本開示において、反応チャンバには、限定されないが、シングルチャンバ及びデュアルチャンバ、並びに典型的に、特に450mmウェーハを処理するためのシングルウェーハ処理チャンバが含まれる。また、装置の寸法を小型化するために、開示されている構成又はその変形が、300mmウェーハを処理するためのシングルウェーハ処理チャンバ又は任意の他の適切なチャンバに適用されてもよい。
【0014】
条件及び/又は構造が特定されていない本開示において、当業者は慣用の実験として本開示を考慮してそのような条件及び/又は構造を容易に与えることができる。
【0015】
開示された実施形態の全てにおいて、実施形態に使用される任意の要素は、意図する目的のために、本明細書に明確に、必然的に又は本質的に開示されているものを含む、その要素と等価の任意の要素と置き換えられてもよい。更に、本発明は装置及び方法に同様に適用されてもよい。
【0016】
本開示において、任意の定義されている意味は、一部の実施形態において通常及び慣習的な意味を必ずしも排除しているわけではない。
【0017】
実施形態は好ましい実施形態に関する説明である。しかしながら、本発明は好ましい実施形態に限定されるわけではない。
【0018】
一部の実施形態において、ウェーハ処理リアクタのためのガス注入システムは、(i)管状ガスマニホールド導管内で混合されたガスをウェーハ処理リアクタに供給するためのウェーハ処理リアクタのガス注入ポートに接続されるように構成される管状ガスマニホールド導管と、(ii)第1のガスを管状ガスマニホールド導管内に供給するための第1の供給口及び第2のガスを管状ガスマニホールド導管内に供給するための第2の供給口を備えるガス供給口とを備え、各々の供給口は、管状ガスマニホールド導管の第1の軸位置にて管状ガスマニホールド導管に接続される2つ以上の注入ポートを有し、ガス供給口の各々の注入ポートは、第1の軸位置にて管状ガスマニホールド導管の円周に沿って均一に分配される。「均一に分配される」という用語は、円周に沿って実質的に同じ間隔で分配されるか、又は円周に沿った分配の繰り返しパターンを使用して分配されることを指す。管状ガスマニホールド導管は軸を有し、軸位置は、管状ガスマニホールド導管の下端から軸に沿った軸点までの距離によって定義され、軸点を通り、管状ガスマニホールド導管の軸に垂直な平面上の任意の点を含む。第1の軸位置における管状ガスマニホールド導管の円周は管状ガスマニホールド導管の内部に露出される円周である。ガス供給管の各々の注入ポートは第1の軸位置にて円周に沿って均一に分配される。すなわち、各々のガス供給口のポートの中心は実質的に同じ間隔で第1の軸位置にて円周に沿って配置される。ガス供給口はガスラインによって定義される。すなわち、第1のガス供給口及び第2のガス供給口は、各々、独立して、又は異なって制御され得る、異なり、分離したガスラインに接続される。一部の実施形態において、管状ガスマニホールド導管は、ウェーハ処理リアクタのガス注入ポートに直接接続されるように、すなわち、自動圧力調節装置又は質量流制御装置などのフロー制御装置を用いずに接続されるように構成される。一部の実施形態において、注入ポートは管状ガスマニホールド導管に固定して直接接続される。
【0019】
一部の実施形態において、第1の供給口の注入ポートの数及び第2の供給口の注入ポートの数は同じであり、第1の供給口の注入ポート及び第2の供給口の注入ポートは管状ガスマニホールド導管の円周に沿って交互に配置される。あるいは、第1の供給口の注入ポートの数及び第2の供給口の注入ポートの数は異なる。好ましくは、全ての注入ポートは実質的に同じ間隔で円周に沿って配置される。一部の実施形態において、各々の供給口の注入ポートの数は2〜10個、好ましくは4〜8個である。
【0020】
一部の実施形態において、第1の供給口は、第1のガスを注入するための注入口及び第1のガスを流出するための複数の流出口を有するC形状の共通チャネルを更に備え、第1のガスを流出するための複数の流出口は、第1の供給口の2つ以上の注入ポートのそれぞれに接続され、第2の供給口は、第2のガスを注入するための注入口及び第2のガスを流出するための複数の流出口を有するC形状の共通チャネルを更に備え、第2のガスを流出するための複数の流出口は、第2の供給口の2つ以上の注入ポートのそれぞれに接続される。C形状の共通チャネルは管状ガスマニホールド導管を取り囲む。一部の実施形態において、第1の供給口のC形状の共通チャネル及び第2の供給口のC形状の共通チャネルは管状ガスマニホールド導管の軸に垂直な同じ平面上に同軸に配置され、第1の供給口のC形状の共通チャネルは第2の供給口のものより大きい直径を有し、第1の供給口のC形状の共通チャネルの複数の流出口はC形状の共通チャネルの内周に接続されるのに対して、第2の供給口のC形状の共通チャネルの複数の流出口はC形状の共通チャネルの外周に接続され、第1の供給口及び第2の供給口の両方についての複数の流出口は同じ長さを有してもよく、管状ガスマニホールド導管の軸に対して同じ角度で管状ガスマニホールド導管に接続されてもよい。
【0021】
あるいは、C形状は管状ガスマニホールド導管を取り囲む完全な円形であってもよい。
【0022】
一部の実施形態において、各々の供給口の注入ポートは管状ガスマニホールド導管の軸に対して約0°〜約90°、好ましくは約0°〜約45°の角度で管状ガスマニホールド導管に接続される。一部の実施形態において、各々の供給口の注入ポートは管状ガスマニホールド導管の軸に対して約90°の角度で管状ガスマニホールド導管に接続される。角度は、反応チャンバの型、例えば、シャワーヘッド型(ガスはウェーハの外周に放射状に流れる)又はクロスフロー型(ガスは、ウェーハの片側からウェーハの反対側に流れる)に依存し、また、プロセス条件、ポートの直径、及びマニホールドの直径、及び更に、最上部注入ポートが設けられるか否かに依存する。例えば、角度は、450mmウェーハ用のシャワーヘッド型のリアクタ(例えば、ALD用で、リアクタの最上部に配置される遠隔プラズマに接続される比較的小さいシャワーヘッドを有するEmerALD(登録商標))について約15°〜約25°、及び例えば、450mmウェーハ用の別のシャワーヘッド型のリアクタ(例えば、プラズマエンハンストALD用であり、複数の独立したチャンバを有するEagle(登録商標))について約90°であってもよい。
【0023】
一部の実施形態において、管状ガスマニホールド導管は、第1の軸位置の下流における第1の直径、及び第1の軸位置に第2の直径を有し、前記第2の直径は第1の直径より小さいので、注入ポートは、例えば、管状ガスマニホールド導管の軸に対して約0°〜約45°の角度で管状ガスマニホールド導管に接続され得る。一部の実施形態において、第1の直径(内径)は約14mm±50%であり、第2の直径(内径)は約10mm±50%である。一部の実施形態において、各々の注入ポートの内径(典型的に、複数の流出口の内径と等しい)は約3mm±50%である。
【0024】
一部の実施形態において、第1の供給口はプロセスガス(例えば、有機金属化合物)などの反応性ガスを提供するガス源に接続され、第2の供給口は希ガスなどのドライガスを提供するガス源に接続される。
【0025】
一部の実施形態において、ガス供給口は下側ガス供給口として機能し、ガス注入システムは更に上側ガス供給口を備え、前記上側ガス供給口は、第3のガスを管状ガスマニホールド導管内に供給するための第3の供給口及び第4のガスを管状ガスマニホールド導管内に供給するための第4の供給口を備え、上側ガス供給口の各々は、管状ガスマニホールド導管の第2の軸位置にて管状ガスマニホールド導管に接続される2つ以上の注入ポートを有し、第2の軸位置は第1の軸位置の上流に配置される。
【0026】
一部の実施形態において、管状ガスマニホールド導管は、第1の軸位置の下流における第1の直径、第1の軸位置における第2の直径、及び第2の軸位置における第3の直径を有し、前記第3の直径は第2の直径より小さく、第2の直径は第1の直径より小さいので、第3の供給口及び第4の供給口の注入ポートは、例えば、管状ガスマニホールド導管の軸に対して約0°〜約45°の角度で管状ガスマニホールド導管に接続され得る。一部の実施形態において、第3の直径(内径)は約6mm±50%である。
【0027】
一部の実施形態において、第3の供給口及び第4の供給口の各々の注入ポートは、管状ガスマニホールド導管の軸に対して約0°〜約90°、好ましくは0°〜約45°の角度にて管状ガスマニホールド導管に接続される。一部の実施形態において、第3の供給口及び第4の供給口の各々の注入ポートは、(約0°〜約5°の角度にて)管状ガスマニホールド導管の軸に対してほぼ平行に管状ガスマニホールド導管に接続され、第1の供給口及び第2の供給口の各々の注入ポートは、管状ガスマニホールド導管の軸に対して約15°〜約25°の角度にて管状ガスマニホールド導管に接続される。一部の実施形態において、第3の供給口及び第4の供給口の注入ポートの数は、2〜10個、好ましくは4〜8個である。一部の実施形態において、第3の供給口及び第4の供給口の各々の注入ポートの数は、第1の供給口及び第2の供給口の各々の注入ポートの数と等しいか、又はその数より少ない。一部の実施形態において、第1の軸位置と第2の軸位置との間の距離は約30mm±50%である。一部の実施形態において、第1の軸位置と管状ガスマニホールド導管の下端との間の長さは約115mm±50%である。
【0028】
一部の実施形態において、第3の供給口は、第3のガスを注入するための注入口及び第3のガスを流出するための複数の流出口を有するC形状の共通チャネルを更に備え、第3のガスを流出するための複数の流出口は、第3の供給口の2つ以上の注入ポートのそれぞれに接続され、第4の供給口は、第4のガスを注入するための注入口及び第4のガスを流出するための複数の流出口を有するC形状の共通チャネルを更に備え、第4のガスを流出するための複数の流出口は、第4の供給口の2つ以上の注入ポートのそれぞれに接続される。C形状の共通チャネルは管状ガスマニホールド導管を取り囲む。あるいは、C形状は管状ガスマニホールド導管を取り囲む完全な円形であってもよい。
【0029】
一部の実施形態において、ガス注入システムは補助ガスを管状ガスマニホールド導管内に供給するための最上部供給口を更に備え、前記最上部供給口は管状ガスマニホールド導管の上流端部にて管状ガスマニホールド導管に接続される注入ポートを有する。一部の実施形態において、最上部供給口はドライガスを提供するガス源に接続される。一部の実施形態において、最上部供給口の注入ポートの内径は約6mm±50%であり、これは他の供給口の注入ポートの内径より大きい。管状ガスマニホールド導管、注入ポートなどは、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの任意の適切な材料から作製され得る。
【0030】
一部の実施形態において、ウェーハ処理リアクタは原子層堆積(ALD)用のリアクタ又は化学気相成長(CVD)用のリアクタであり、管状ガスマニホールド導管はALD又はCVD用のリアクタのガス注入ポートに接続される。更に、リアクタはエッチング、アニーリングなどのためのリアクタであってもよい。例えば、本明細書に開示されているガス混合システムを使用して、ALDに関して、ドライガスとプロセスガスの混合が行われてもよく、CVDに関して、異なるプロセスガスと異なるドライガスの混合が行われてもよい。
【0031】
一部の実施形態において、管状ガスマニホールド導管は、シャワーヘッド型であるウェーハ処理リアクタのウェーハ収容領域上の中心にガス注入ポートを配置するように構成される。
【0032】
本発明の別の態様において、本明細書に開示されているガス注入システムのいずれかを使用して混合ガスをウェーハ処理リアクタに供給するための方法は、(a)第1の供給口の注入ポートを通して第1のガスを管状ガスマニホールド導管に供給し、第2の供給口の注入ポートを通して第2のガスを管状ガスマニホールド導管に供給し、それにより、第1のガス及び第2のガスを管状ガスマニホールド導管の内部で混合するステップと、(b)リアクタにロードされた基板上に膜を堆積させるために、ガス注入システムを通して混合したガスをウェーハ処理リアクタに供給するステップとを含む。
【0033】
一部の実施形態において、管状ガスマニホールド導管は、管状ガスマニホールド導管の上流端部にて管状ガスマニホールド導管に接続される注入ポートを有する最上部供給口を更に備え、方法は、いずれか一方がプロセスガスである第1のガス及び第2のガスを管状ガスマニホールド導管に供給しながら、最上部供給口の注入ポートを通して不活性ガスを管状ガスマニホールド導管に供給するステップを更に含む。
【0034】
一部の実施形態において、膜は第1の条件下で堆積され、方法は、第1の条件下で堆積された膜の均一性と比較して、膜の改良された均一性を有して基板上に漠を堆積させるように、不活性ガスの流量を除いて第1の条件を維持しながら、最上部供給口からの不活性ガスの流量を変化させるステップを更に含む。
【0035】
一部の実施形態において、ガス供給口は下側ガス供給口として機能し、ガス注入システムは第3の供給口及び第4の供給口を備える上側ガス供給口を更に備え、上側ガス供給口の各々は、管状ガスマニホールド導管の第2の軸位置にて管状ガスマニホールド導管に接続される2つ以上の注入ポートを有し、第2の軸位置は第1の軸位置の上流に配置され、方法は、一方がプロセスガスである第1のガス及び第2のガスを管状ガスマニホールド導管に供給しながら、第3の供給口及び第4の供給口の注入ポートを通して第3のガス及び第4のガスを管状ガスマニホールド導管に供給するステップを更に含む。
【0036】
一部の実施形態において、第1の供給口の流量は合計で約0.1slm〜約5.0slmであり、第2の供給口の流量は合計で約0.1slm〜約5.0slmであり、第3の供給口の流量は合計で約0.1slm〜約5.0slmであり、第4の供給口の流量は合計で約0.1slm〜約5.0slmである。
【0037】
一部の実施形態において、第1の供給口及び第2の供給口はパルスで供給される(一方で、例えば、堆積の種類に応じて第3の供給口及び第4の供給口は連続して供給される)。プロセス温度が24℃〜約500℃の範囲であり得るALDに関して、1サイクルの時間は約0.01秒〜約10.0秒の範囲(例えば、約0.5秒〜約2.0秒)であり得る。
【0038】
本発明は、本発明を限定することを意図していない図面を参照して詳細に説明される。
【0039】
図3は、本発明の実施形態に係るガス混合システムを示す概略図である。
図4は、本発明の実施形態に係る
図3に例示されるガス混合システムのガス注入ポートを示す概略図である。ガス注入システム31は、ウェーハ処理リアクタのガス注入ポートに接続されるように構成される管状ガスマニホールド導管32と、第1のガスを供給するための第1の供給口33と、第2のガスを供給するための第2の供給口34と、第3のガスを供給するための第3の供給口35と、第4のガスを供給するための第4の供給口36と、第5のガスを供給するための最上部供給口37とを備える。第1の供給口33は、第1の注入口33a、第1の注入口33aが接続される第1のC形状の流通チャネル46、並びに第1の複数の流出口40a、40b及び40e(流出口40c及び40dは管状ガスマニホールド導管32の裏側にある)を備え、第1の複数の流出口40a、40b及び40eは、接続点47a、47b及び47e(接続点47c及び47dは管状ガスマニホールド導管32の裏側にある)のそれぞれを介して第1のC形状の流通チャネル46から延び、第1の軸位置51にて管状ガスマニホールド導管32に接続されるそれぞれの第1の複数の流出口40a〜40eの下端にあるそれぞれの第1の注入ポートを介して管状ガスマニホールド導管32に接続される。
【0040】
第2の供給口34は、第2の注入口34a、第2の注入口34aが接続される第2のC形状の流通チャネル38、並びに第2の複数の流出口41a及び41e(流出口41b、41c及び41dは管状ガスマニホールド導管32の裏側にある)を備え、第2の複数の流出口41a及び41eは、接続点48a及び48e(接続点48b、48c及び48dは管状ガスマニホールド導管32の裏側にある)のそれぞれを介して第2のC形状の流通チャネル38から延び、第1の軸位置51にて管状ガスマニホールド導管32に接続されるそれぞれの第2の複数の流出口41a〜41eの下端にあるそれぞれの第2の注入ポートを介して管状ガスマニホールド導管32に接続される。
【0041】
第1の複数の流出口40a〜40e及び第2の複数の流出口41a〜41eは、同じ間隔にて管状ガスマニホールド導管32の軸周囲に交互に配置される。すなわち、第1の注入ポート及び第2の注入ポートは、第1の軸位置51にて管状ガスマニホールド導管32の円周に沿って交互及び均一に分配される。第1のC形状の流通チャネル46及び第2のC形状の流通チャネル38が使用されるので、第1の複数の流出口40a〜40e及び第2の複数の流出口41a〜41eは、管状ガスマニホールド導管32の軸に対して同じ角度(約20°)にて管状ガスマニホールド導管32に接続される。
【0042】
第3の供給口35は、第3の注入口35a、第3の注入口35aが接続される第3のC形状の流通チャネル44並びに第3の複数の流出口42a及び42e(流出口42b、42c及び42dは管状ガスマニホールド導管32の裏側にある)を備え、第3の複数の流出口42a及び42eはそれぞれ第3のC形状の流通チャネル44から延び、それぞれの第3の注入ポートを介して管状ガスマニホールド導管32に接続され、第3の注入ポートは、第2の軸位置52にて管状ガスマニホールド導管32に接続されるそれぞれの第3の複数の流出口42a〜42eの下端にある。
【0043】
第4の供給口36は、第4の注入口36a、第4の注入口36aが接続される第4のC形状の流通チャネル39並びに第4の複数の流出口43a、43b及び43e(流出口43c及び43dは管状ガスマニホールド導管32の裏側にある)を備え、第4の複数の流出口43a、43b及び43eはそれぞれ第4のC形状の流通チャネル39から延び、それぞれの第4の注入ポートを介して管状ガスマニホールド導管32に接続され、第4の注入ポートは、第2の軸位置52にて管状ガスマニホールド導管32に接続されるそれぞれの第4の複数の流出口43a〜43eの下端にある。
【0044】
第3の複数の流出口42a〜42e及び第4の複数の流出口43a〜43eは、同じ間隔にて管状ガスマニホールド導管32の軸周囲に交互に配置される。すなわち、第3の注入ポート及び第4の注入ポートは、第2の軸位置52にて管状ガスマニホールド導管32の円周に沿って交互及び均一に分配される。第3のC形状の流通チャネル44及び第4のC形状の流通チャネル39は異なる軸位置に配置されるので、第3の複数の流出口42a〜42e及び第4の複数の流出口43a〜43eは、同じ角度にて、すなわち管状ガスマニホールド導管32の軸にほぼ平行に管状ガスマニホールド導管32に接続される。
【0045】
最上部注入ポート37は管状ガスマニホールド導管32の最上部に接続される。
【0046】
最上部注入ポート37の内径は約6mmであり、第1から第4の注入ポートの内径は約3mmであり、第1の軸位置51の下流の管状ガスマニホールド導管の内径は約14mmである。第1の軸位置から管状ガスマニホールド導管の下端までの長さは約115mmである。
【0047】
図5は、本発明の実施形態に係る
図3に例示したガス混合システムの内壁におけるガス濃度を表す計算流体力学(CFD)シミュレーション(ANSYS Fluent)を使用して得た画像を示し、この
図5において、色はプロセスガス種の濃度に変換されるプロセスガスモル分率の範囲を表し、紫から赤のスケールにおいて、紫はガス種が存在しないことを表し、一方、赤は高濃度のガス種を表す。この実施形態において、第1の供給口33、第3の供給口35、第4の供給口36及び最上部供給口37はArを供給するのに対して、第2の供給口34はプロセスガスを供給し、赤の領域はプロセスガスの高濃度のガス種を示し、紫の領域はプロセスガスのガス種の濃度がないことを示し、緑の領域はプロセスガスの中間濃度のガス種を示す。
図5から見られ得るように、プロセスガスの高濃度のガス種を有するガスが、第2のC形状の流通チャネルを含む第2の供給口34の壁に存在する。しかしながら、Arガスの1軸流(最上部供給口37)及び3つの円周の流れ(第1の供給口33、第3の供給口35及び第4の供給口36)とプロセスガスの1つの円周の流れ(第2の供給口34)の組み合わせのために、ガスは第1の軸位置のすぐ下流で十分に混合され、次いで十分に混合された希釈されたプロセスガスが、管状ガスマニホールド導管32の下端を通してウェーハ処理リアクタのガス注入ポートに供給される。
【0048】
図6Aは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端(すなわちリアクタ部分の入口)にて得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。この実施形態において、ガス混合システムは、3つのガス注入ポートが、第1の軸位置にて第1の供給口及び第2の供給口の各々に設けられ、第2の軸位置にて第3の供給口及び第4の供給口の各々に設けられていることを除いて
図3及び4に例示した構成を有する。ガスは
図5と同じように供給される。
図6Aから見られ得るように、プロセスガスのガス種の濃度は中心において高く、また、第2の供給口についての注入ポートの位置に対応する3つの半径方向において中心から内壁の方向に高く、このことは、各々の供給口についての3つの注入ポートの構成がガス拡散のより長い時間スケールを必要とし得ることを示している。
図6Aの分布図から計算されたガス混合の不均一性は36.0%である。不均一性(NU)は以下のように計算される:
NU=100×[1−((最大信号−最小信号)/(信号の平均値))]
【0049】
図6Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る、管状マニホールド導管の下端(すなわちリアクタ部分の入口)にて得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。この実施形態において、ガス混合システムは
図3及び4に例示した構成を有する(5つのガス注入ポートが、第1の軸位置にて第1の供給口及び第2の供給口の各々に設けられ、第2の軸位置にて第3の供給口及び第4の供給口の各々に設けられる)。ガスは
図5と同じように供給される。
図6Bから見られ得るように、プロセスガスのガス種の濃度は中心付近でのみ高く、このことは、各々の供給口についての5つの注入ポートの構成がガス拡散の時間スケールを著しく減少させ得ることを示している。
図6Bの分布図から計算されたガス混合の不均一性は3.4%である。
図6A及び6Bから理解され得るように、複数の注入ポートはガス拡散の時間スケールを減少させ得るので、混合を改良する。
【0050】
図7Aは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端にて得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。この実施形態において、ガス混合システムは、第1の供給口及び第2の供給口の各々について、5つのガス注入ポートが、(管状ガスマニホールド導管の軸に対して)25°の角度で第1の軸位置に設けられることを除いて
図3及び4に例示した構成を有する。ガスは
図5と同じように供給される。
図7Aから見られ得るように、プロセスガスのガス種の濃度は中心において高いが、プロセスガスのガス種の濃度は内壁に沿って低く、このことは、各々の供給口についての25°の角度に設定した5つの注入ポートの構成が、ガス拡散の時間スケールを適度に減少させ得ることを示している。
図7Aの分布図から計算したガス混合の不均一性は10%である。
【0051】
ガス混合システムが
図3及び4に例示した構成を有し、3つのガス注入ポートが第1の軸位置にて第1の供給口及び第2の供給口の各々について20°の角度で設けられる、注入ポートの角度が20°である場合の実施形態(ガス混合の不均一性は3.4%である)を示す
図6Bに戻ると、
図7Aに例示した(ガス混合の不均一性は10%である)注入ポートの角度が25°である場合より多くガス拡散は進行する。
【0052】
図7Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。この実施形態において、ガス混合システムは、第1の供給口及び第2の供給口の各々について、5つのガス注入ポートが、(管状ガスマニホールド導管の軸に対して)15°の角度で第1の軸位置に設けられることを除いて
図3及び4に例示した構成を有する。ガスは
図5と同じように供給される。
図7Bから見られ得るように、プロセスガスのガス種の濃度は、特に注入ポートの位置に実質的に対応する5つのスポットにおいて内壁に沿って高いが、プロセスガスのガス種の濃度は中心において低く、このことは、各々の供給口についての15°の角度での5つの注入ポートのセットの構成は、ガス拡散の時間スケールを適度に減少させ得ることを示す。
図7Bの分布図から計算したガス混合の不均一性は9.7%である。
【0053】
図7A、6B及び7Bから理解され得るように、注入ポートの配向又は角度は、注入ポートに近接する容積の混合に影響を及ぼすことができ、したがって、濃度プロファイルを調整でき、中心における高/低濃度を異なる角度によって設定でき、混合を改良するための所与のプロセス条件についての最適角度が存在する。
【0054】
ガスの混合は主にガス拡散によって達成され、したがって、拡散が起こる距離を最小化することが必要である。これは、マニホールドの円周にわたって均一に分配された複数の注入ポートが有効であり、それにより円周距離を最小化するためである。更に、ガスを効果的に混合することに関して、拡散が起こる半径方向距離を最小化することが必要である。
図15は、(A)注入ポートが内壁に沿って位置する場合、(B)注入ポートが中心と内壁との間の途中に位置する場合、及び(C)注入ポートが中心に位置する場合の注入ポートから拡散点までの距離を概略的に例示する管状マニホールド導管の断面を示す。図面の黒丸151は円152に対して注入ポートの入口点を表し、円152は管状ガスマニホールド導管の円周を表す。(A)、(B)及び(C)における拡散の半径方向距離はそれぞれ、R(半径)、R/2及びRである。また、(A)、(B)及び(C)における拡散の最大距離はそれぞれ、R、
【数1】
、Rである。これらの図面において注入ポートの入口点が中心と内壁との間の途中にある場合、拡散の距離は最小であり、したがってガスの混合が改良される。適切な半径方向距離は、ガスがマニホールドに入るガスの速度(ガスの速度は流量、圧力、温度、ガスの種類などのプロセス条件によって決定される)、注入ポートの内壁、マニホールドの軸に対する注入ポートの配向、マニホールドの直径などに依存する。例えば、シャワーヘッド型のリアクタと比較して、プロセス条件、ポートの直径、及びマニホールドの直径は異なり(例えば、シャワーヘッド型のリアクタ:搬送ガス He、圧力 700Pa、直径ポート 5mm、直径マニホールド 20mm;別のシャワーヘッド型のリアクタ:搬送ガス Ar、圧力 422Pa、直径ポート 3mm、直径マニホールド 14mm)、したがって、ポートの配向は異なって設定される。例えば、注入ポートの角度は、好ましくは、450mmウェーハ用のシャワーヘッド型のリアクタ(例えば、EmerALD(登録商標))について約15°〜約25°であり、450mmウェーハ用の別のシャワーヘッド型のリアクタ(例えば、Eagle(登録商標))について約90°である。
【0055】
図8Aは、計算流体力学(CFD)を使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係るガス混合システムの壁におけるガス濃度を表し、プロセスガスは管状ガスマニホールド導管の下方軸位置にて20°の角度で配置されるガス注入ポートから導入される。
図8Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、
図8Aに例示した実施形態に係る管状マニホールド導管の下端にて得た管状ガスマニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。この実施形態において、ガス混合システムは
図3及び4に例示したものと同様の構成を有する(C形状の流通チャネルは省略されている)。ガスは
図5と同じように供給される。
図8A及び8Bから見られ得るように、プロセスガスのガス種の濃度はマニホールドの中心と円周との間で高いが、プロセスガスのガス種の濃度は中心における狭い領域において低く、このことは、この構成がガス拡散の時間スケールを効果的に減少させることができ、ガスの混合を改良することを示している。
図8Bの分布図から計算したガス混合の不均一性は3.5%である。
【0056】
図9Aは、計算流体力学(CFD)を使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係るガス混合システムの壁におけるガス濃度を表し、プロセスガスは管状ガスマニホールド導管の上方軸位置にて0°の角度で配置されるガス注入ポートから導入される。
図9Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、
図9Aに例示した実施形態に係る管状マニホールド導管の下端にて得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。この実施形態において、ガス混合システムは
図8Aのものと同じ構成を有するが、プロセスガスは0°の角度にて上方軸位置にて供給される。
図9A及び9Bから見られ得るように、プロセスガスのガス種の濃度はマニホールドの中心と円周との間で高いが、プロセスガスのガス種の濃度は中心の狭い領域において低く、このことは、この構成がガス拡散の時間スケールを効果的に減少させることができ、ガスの混合を改良することを示している。
図9Bの分布図から計算されたガス混合の不均一性は2.1%である。
【0057】
多くのガスラインが必要とされる場合、これは、容易に製造するために管状ガスマニホールド導管の異なる高さ(2つ、3つ又はそれ以上の軸位置)にて注入ポートを配置することによって適合され得る。
図8A〜
図9Bから理解され得るように、注入ポートの構成は軸位置に応じて異なって最適化され得る(例えば、上方軸位置における注入ポートの角度及び直径並びに下方軸位置における注入ポートの角度及び直径は異なって又は別々に最適化され得る)。
【0058】
図10は、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、
図9Aに例示した実施形態に係る管状マニホールド導管の中心で得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。中心点は、(第1の軸位置における)下側注入ポートから56mmに位置し、管状ガスマニホールド導管の下側注入ポートと下端との間の長さは115mmである。
図10から見られ得るように、プロセスガスのガス種の濃度は環において不連続的に変化し、このことは、管状ガスマニホールド導管の注入ポートから底部(すなわち、リアクタの入口)までの最小長さがガスの良好な混合のために存在し、56mmは、
図9A及び9Bに例示した115mmと比較して十分でないことを示している。
図10の分布図から計算したガス混合の不均一性は14.8%である。最小長さは主にプロセス条件に依存する。
【0059】
図11Aは、計算流体力学(CFD)を使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係るらせん状設計を有するガス混合システムの壁におけるガス濃度を表し、プロセスガスは管状ガスマニホールド注入口の下方軸位置に配置されるガス注入ポートから導入される。この実施形態において、管状ガスマニホールド導管の下側注入ポートから下端までの長さは管状ガスマニホールド導管のらせん軸に沿って315mmであり、管状ガスマニホールド導管の下端からの下側注入ポートの高さは170mm(直線距離)である。更に、注入ポートは90°の角度で設定される。
図11Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、
図11Aに例示した実施形態に係る管状マニホールド導管の下端にて得た管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表す。
図11A及び11Bから見られ得るように、プロセスガスのガス種の濃度は管状ガスマニホールド導管の一方の側において高く、管状ガスマニホールド導管の他方の側において低く、このことは、らせん設計における注入ポートの構成が混合に対して最低減の影響を与えることを示している。
図11Bの分布図から計算されたガス混合の不均一性は5%である。主に管状ガスマニホールド導管の注入ポートから下端(リアクタの入口)までの距離は長いため、比較的良好な均一性が達成される。
【0060】
図12A及び12Bは、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端にて得た、
図3に例示したものと同様の管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表し、プロセス条件は、ドライガス(円周ドライガス)が、管状ガスマニホールド導管の軸方向において、0.6slm(
図8A及び8B)の代わりに、0.24slm(
図12A)及び0.72slm(
図12B)にて上側注入ポートから管状ガスマニホールド導管内に放出されることを除いて、
図8A及び8Bに例示した画像に使用されるものと同じである。すなわち、
図12Aについて上側円周ドライガス流は
図8Bについてのものと比較して60%減少するのに対して、
図12Bについて上側円周ドライガス流は
図8Bについてのものと比較して20%増加する。
図12A及び12Bから見られ得るように、上側円周ドライガスが増加する場合、プロセスガスのガス種の濃度は、中心において高く、管状ガスマニホールド導管の円周に沿って低いのに対して、上側円周ドライガスが減少する場合、プロセスガスのガス種の濃度の分布はほぼ反転する。すなわち、プロセスガスのガス種の濃度は、中心において低く、特に上側注入ポートの位置に対応する5つのスポットにおける管状ガスマニホールド導管の円周に沿って高い。
図12Aの分布図から計算されるガス混合の不均一性は、
図8Bにおける3.5%と比較して9.1%であり、
図12Bの不均一性は10.9%である。上側円周ドライガス流を調整することによって、ガスの混合は効果的に改良され得る。
【0061】
図13は、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、本発明の実施形態に係る管状マニホールド導管の下端において得た、
図3に例示したものと同様の管状マニホールド導管の断面でのガス濃度を表し、プロセス条件は、ドライガス(円周ドライガス)が、0.39slm(
図8A及び8B)の代わりに0.54slmにて20°の角度で下側注入ポートから管状ガスマニホールド導管内に放出されることを除いて、
図8A及び8Bに例示した画像に使用されるものと同じである。すなわち、下側円周ドライガス流は
図8Bについてのものと比較して
図13について約40%増加する。
図13から見られ得るように、下側円周ドライガスが増加する場合、プロセスガスのガス種の濃度の分布は
図8Bにおけるものと同様であるが、その分布は注入ポートの位置(それらは高濃度の5つのスポットである)によって多くの影響を受ける。
図13の分布図から計算したガス混合の不均一性は、
図8Bにおける3.5%と比較して4.6%である。下側円周ドライガス流を調整することによって、ガスの混合は改良され得る。
【0062】
本明細書に開示される管状ガスマニホールド導管は、ガスの反応チャンバ内への侵入前にガス種を混合するのに非常に効果的である。ガスの混合はシャワーヘッド型リアクタにおいて改良されない。
図14は、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得た画像を示し、この図は、450mmの単一ウェーハ処理リアクタについての従来のシャワーヘッドの壁におけるガス濃度を表す。
図14から見られ得るように、シャワーヘッド152において、「左」側のガスは「右」側のガスと交わらず、従って、ガスがシャワーヘッド152の上流で混合されず、ガス注入ポート151を通してシャワーヘッド152に入る場合、ガスの濃度の不均一分布はシャワーヘッドにおいて維持され得る。
【0063】
上記のように、管状ガスマニホールド導管は、2軸位置にて配置される注入ポート、及び最上部にて配置される最上部注入ポートを有する。しかしながら、管状ガスマニホールド導管は、単一軸位置にのみ配置される少なくとも2つの注入ポート及び最上部に配置される最上部注入ポートを有してもよく、第1のガス種はその軸位置において注入ポートを通して注入されるのに対して、第2のガス種は最上部注入ポートを通して注入される。更に、注入ポートの数を増加させる場合、注入ポートは2つより多い軸位置に配置されてもよい。
【0064】
図1は本発明の実施形態に係るガス混合システムを示す概略図である。ガス混合システム1は、管状マニホールド導管9、管状ガスマニホールド導管9の上方位置にて管状マニホールド導管9に接続される注入ポート2、3、4、5、6及び7並びに最上部注入ポート8を備える。注入ポート2〜7は、同じ軸位置にて管状ガスマニホールド導管9の円周に沿って同じ間隔で、(管状ガスマニホールド導管の軸に対して)約45°の角度にて配置される。管状ガスマニホールド導管9はリアクタのガス注入ポートに接続されるように構成される下端10を有する。最上部注入ポート8は管状ガスマニホールド導管9の軸に平行に配置される。
【0065】
ドライガスが最上部注入ポート8に供給され、また、注入ポート2、7及び6に供給されるのに対して、プロセスガスが注入ポート3、4及び5に供給される場合、ドライガスは3つの隣接する注入ポートを通過し、プロセスガスは3つの隣接する注入ポートを通過し、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得られる分布図から管状ガスマニホールド導管の下端において計算されるガス混合の不均一性は27%である。対照的に、ドライガスが最上部注入ポート8に供給され、また、注入ポート2、6及び4に供給されるのに対して、プロセスガスが注入ポート7、5及び3に供給される場合、ドライガス及びプロセスガスは管状ガスマニホールド導管の円周に沿って交互に注入ポートを通過し、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得られる分布図から管状ガスマニホールド導管の下端において計算されるガス混合の不均一性は0.4%であり、これは、ドライガス及びプロセスガスが管状ガスマニホールド導管の片側から供給される場合より著しく低い。
【0066】
図2は、本発明の別の実施形態に係るガス混合システムを示す概略図である。ガス混合システム21は、管状マニホールド導管26、並びに管状ガスマニホールド導管の上側位置にて管状ガスマニホールド導管26に接続される注入ポート22、23、24及び25を備える。注入ポート22〜25は、同じ軸位置にて管状ガスマニホールド導管26の円周に沿って同じ間隔で、(管状ガスマニホールド導管の軸に対して)約90°の角度にて配置される。最上部注入ポートは設けられない。管状ガスマニホールド導管26はリアクタのガス注入ポートに接続されるように構成される下端を有する。
【0067】
ドライガスが注入ポート25及び24に供給され、一方、プロセスガスが注入ポート23及び22に供給される場合、ドライガスは2つの隣接する注入ポートを通過し、プロセスガスは2つの隣接する注入ポートを通過し、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得られる分布図から管状ガスマニホールド導管の下端において計算されるガス混合の不均一性は6.2%である。対照的に、ドライガスが注入ポート24及び22に供給され、一方、プロセスガスが注入ポート25及び23に供給される場合、ドライガス及びプロセスガスは管状ガスマニホールド導管の円周に沿って交互に注入ポートを通過し、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用して得られる分布図から管状ガスマニホールド導管の下端において計算されるガス混合の不均一性は0.9%であり、これは、ドライガス及びプロセスガスが管状ガスマニホールド導管の片側から供給される場合より著しく低い。
【0068】
本明細書に開示されるガス混合システムは、ガスの反応チャンバ内への侵入前に2つ以上のガスを混合することを必要とする任意の適切な反応チャンバに接続されてもよい。
図16はプラズマアシスト堆積装置の概略図であり、実施形態に係る管状ガスマニホールド導管は装置のプロセスチャンバの中心ガスポートに取り付けられるように構成される。例えば、このシャワーヘッド型リアクタは、反応チャンバ243(基板241は下側電極242の上部に配置される)の内部251において平行に配置され、互いに対向する一対の導電性平板電極242、244を含む反応チャンバ243、管状ガスマニホールド導管を受け入れるための反応チャンバ243の上部に設けられるガス注入ポート200及びリアクタチャンバ243の内部251からガスを排出するための排気管246を備える。装置は更に、HRFパワー及びLRFパワーをそれぞれ上側電極244に印加するためのRFパワー源245、290を備える。下側電極242は電気的に接地される252。シールガスを反応チャンバ243の内部251に導入するためのシールガス流制御装置264もまた、反応チャンバ243に設けられる。上側電極244は同様にシャワーヘッドとして機能する。本明細書に開示されるガス混合システムの管状ガスマニホールド導管は、ガス注入ポート200に取り付けられ、上側電極244に接続され、均一に混合されたプロセスガスが管状ガスマニホールド注入口から反応チャンバ243内に導入される。
【0069】
図17はUVアシスト堆積装置の概略図であり、実施形態に係る管状ガスマニホールド導管は装置のプロセスチャンバの側部ガスポートに取り付けられるように構成される。例えば、このクロスフロー型リアクタは、反応チャンバ179、反応チャンバ179の一方の側の側面に設けられる注入フランジ171、反応チャンバ179の他方の側の側面に設けられる排気フランジ172、基板176が配置されるサセプタ177、UV光を発するための下側ランプアレイ173、UV光を発するための上側ランプアレイ174、内部180を画定するためにサセプタ177と上側ランプアレイ174との間に配置されるウインドウガラス175、及び本明細書に開示されるガス混合システムの管状ガスマニホールド導管を取り付けるための注入フランジ171に設けられるガス注入ポート178を備える。プロセスガスは、注入フランジ171を通してガス混合システムから反応チャンバ179の内部180に導入され、反応チャンバの横方向に流れ、排気フランジ172を通して放出される。基板176は下側ランプアレイ173及び上側ランプアレイ174から発せられるUV光により照射される。
【0070】
上記において、当業者は、装置が、本明細書のいずれかの場所に記載されている堆積及びリアクタ洗浄プロセスを行うようにプログラムされるか又は構成される1つ又は複数の制御装置(図示せず)を含むことを理解するであろう。同様に当業者によって理解されるように、制御装置は、種々のパワー源、加熱システム、ポンプ、ロボット及びガス流制御装置又はリアクタのバルブと通信される。
【0071】
複数の及び様々な変更が本発明の精神から逸脱せずになされ得ることは当業者により理解されるであろう。したがって、本発明の形態は例示のみであり、本発明の範囲を限定することを意図するわけではないことが明確に理解されるべきである。