(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記のシール層を除去する工程では、上記のパターニングに使用されたマスクパターンも、上記シール層とともに除去される請求項7に記載の金属細線フィルムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について説明する。
図1は、透明導電性フィルムである金属細線フィルム10を示す断面図である。この
図1に示されるように、金属細線フィルム10は、透明フィルム12、接着剤層13、シール層11、および、金属配線パターン層15、を含み、透明フィルム12上に、接着剤層13、シール層11、および金属配線パターン層15の順にて積層する。
【0014】
透明フィルム12は、金属細線フィルム10の土台となるもので、少なくとも可視光領域で、無色透明であれば、特に材料は限定されない。
【0015】
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、安価で透明性に優れる観点から、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
【0016】
なお、透明フィルム12は、視認性の観点から、1.40以上1.75以下の屈折率であると好ましく、1.50以上1.70以下の屈折率をあるとより好ましい。
【0017】
また、透明フィルム12の厚みは、特に限定されないが、10μm以上400μm以下であれば好ましく、20μm以上200μm以下であればより好ましい。この範囲内であれば、透明フィルム12、ひいては金属細線フィルム10は、十分な耐久性を確保するとともに、適度な柔軟性を有する。その上、この厚みの範囲内の透明フィルム12であれば、ロール・トゥ・ロール方式で、透明フィルム12上に、別の層を製膜させられる。
【0018】
例えば、透明フィルム12の表裏面の一方面または両方面に、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等から成るハードコート層のような機能性層を形成させようとする場合、上記の透明フィルム12の膜厚範囲であれば、ロール・トゥ・ロール方式が採用される。なお、透明フィルム12に適度な耐久性と柔軟性を持たせるために、ハードコート層の厚みは、1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上8μm以下がより好ましく、5μm以上8μm以下がさらに好ましい。
【0019】
接着剤層13は、透明フィルム12に対して金属配線パターン層15を取り付けるための透明な接着剤13(便宜上、接着剤層13と同じ部材番号を使用する)で形成される層である。なお、この接着剤層13は、シール層11を介して、金属配線パターン層15を透明フィルム12に接着させる。すなわち、接着剤層13は、金属配線パターン層15を、直接的に透明導電フィルム12に接着させるのではなく、シール層11を介させて、間接的に透明導電フィルム12に接着させる。
【0020】
接着剤層13の材料は、金属配線パターン層15を形成するためのエッチング等のパターニング(詳細は後述)を考慮して、耐エッチング性を有するものであればよい。
【0021】
例えば、ポリウレタンエステル樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、または、エポキシ樹脂等が、接着剤層13の材料として挙げられる。特に、透明フィルム12との密着性等の観点から、接着剤層13の材料は、2液硬化型ウレタン樹脂のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、または、ポリエステル樹脂であると好ましい。なお、透明接着剤層13の硬化形態は、室温硬化、加熱硬化、電子硬化、または、UV硬化等のいずれであっても構わない。
【0022】
また、接着剤層13の膜厚は、0.5μm以上50μm以下の範囲内、この範囲の中でも、1μm以上20μm以下の範囲内であると好ましい。このような範囲であれば、透明フィルム12と金属配線パターン層15とが強固に接着するだけでなく、金属配線パターン層15形成のためのエッチングにおいて、酸化鉄等のエッチング液による透明フィルム12への悪影響が防止される。
【0023】
また、接着剤層13の屈折率は、透明フィルム12との屈折率差による界面反射低減の観点から1.41以上1.59以下が好ましく、1.48以上1.52以下であるとより好ましい。この範囲内であると、接着剤層13の透過率と透明フィルム12の屈折率との差が、界面反射を生じさせ難い0.2以下となる。
【0024】
シール層11は、金属配線パターン層15と接着剤層13との間に、介在する層である。そして、このように介在することで、シール層11は、金属配線パターン層15の面形状を、接着剤層13に転写させない。
【0025】
シール層11の基となる薬剤11(便宜上、シール層11と同じ部材番号を使用する)は、シランカップリング剤11である。具体的には、シランカップリング剤11は、加水分解基としてアルコキシ基を有するアルコキシシランである。
【0026】
アルコキシ基としては、トリメトキシ基、メチルジメトキシ基、トリエトキシ基、トリプロポキシ基、トリイソプロポキシ基、トリブトキシ基およびその部分加水分解縮合物が挙げられる。これら加水分解基のうち、反応性(硬化速度)の点から、トリメトキシ基、メチルジメトキシ基、トリエトキシ基が好ましく、特にトリメトキシ基、トリエトキシ基が好ましい。
【0027】
一方で、シランカップリング剤11は、有機官能基として、アミノ基、有機酸基、酸無水物基、イソシアナート基、エポキシ基、ウレイド基、メルカプト基、イミノ基、燐酸基、ビニル基、または、(メタ)アクリロイル基を含む。そして、これら有機官能基のうち、金属箔との密着性の点からは、アミノ基、有機酸基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアナート基、燐酸基が好ましい。また、金属箔に対するエッチングに使用するマスク材を剥離する観点からは、アミノ基、有機酸基、または、酸無水物基が好ましい。
【0028】
シランカップリング剤11としての具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(50%メタノール溶液)、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル-N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物が挙げられ、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、が挙げられる。
【0029】
なお、シランカップリング剤11は、単独で塗布してもかまわないが、塗膜形成時間を短縮する目的で、硬化触媒が添加されてもよい。硬化触媒は、恒温恒湿(23℃×55%)および加熱条件(80℃以上150℃以下、加熱時間1分以上12時間以下)でも使用できるものが好ましい。
【0030】
硬化触媒としては、酸、塩基、または、酸と塩基との組み合わせであっても構わないし、有機金属触媒であっても構わない。特に限定されるものではないが、金属との密着性、または、硬化性のバランスの観点から、有機錫触媒の種類としては、ジブチル錫ジラウレイト、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫フタレイト、または、オクチル酸錫等のカルボン酸塩等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。なお、添加量としては、シランカップリング剤100重部に対して0.5重量部以上3.0重量部以下であると好ましい。
【0031】
金属配線パターン層15は、金属細線フィルム10の導電性を担う層であり、例えば表裏面のうち一方面を粗面15Aで他方面を平滑面15Bとする金属箔15(便宜上、金属配線パターン層15と同じ部材番号を使用する)をパターニングされることで形成される。例えば、フォトリソグラフィー法におけるエッチングによって、金属配線パターン層15は形成される。
【0032】
なお、金属細線フィルム10の視認性の観点、および、金属配線パターン層15の透明フィルム12に対する密着性の観点から、金属箔15の平滑面(光沢面)15Bがユーザーの視認側に向き、粗面15Aが透明フィルム12側に向くとよい。
【0033】
金属箔15の材料は、透明フィルム12に対する密着性の観点と、外部からの色目の観点とで選定する必要があり、例えば、銅箔、アルミ箔、錫箔、ニッケル箔、または、ニッケル合金箔、が挙げられる。また、エッチング加工の観点からだと、銅箔、アルミ箔、錫箔が挙げられ、導電性の観点からだと、銅箔が挙げられる。なお、ニッケル合金としては、リン、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、銅、タングステン等から1〜2種選択したものとニッケルとの合金が挙げられ、ニッケル−リン系の合金が、非視認性と防錆性の観点から、好適に使用される。
【0034】
また、金属箔15の厚みは、1μm以上35μm以下であり、エッチング加工の観点、または、パターニングされた後の金属細線の強度の観点から、1μm以上12μm以下が好ましく、1.5μm以上8μm以下がさらに好ましい。
【0035】
また、金属箔15から形成された金属配線パターン層15の透明フィルム12に対する被覆率(遮蔽率)は、透明フィルム12の面積に対して5%以下であることが好ましい。被覆部分の面積が透明フィルム12の面積の5%以上であると、好ましいとされる85%以上(さらに好ましくは95%以上)の光線透過率を有する金属細線フィルム10を形成し難いためである。
【0036】
なお、金属細線フィルム10の光線透過率は、透明フィルム12の光線透過率から金属配線パターン層15による被覆率を差し引いたものとなる。そのため、透明フィルム12に光学調整層を設けることで、かかる透明フィルム12の光学特性を向上させてもよい。例えば、屈折率の異なる層を積層させることで低反射構造にした透明フィルム12であってもよいし、透過光および反射光の干渉を利用して、特定の波長の光を強調する透明フィルム12であってもよい。
【0037】
以上のような金属細線フィルム10の製造方法を、
図2(
図2A〜
図2H)を用いて説明する。
【0038】
図2Aは、金属箔15である。この金属箔15では、表裏面のうち一方面が粗面15Aで他方面が平滑面15Bである[金属箔準備工程]。そして、この金属箔15の粗面15A上に、
図2Bに示されるように、シランカップリング剤11が塗布、硬化され、シール層11が形成される[シール層形成工程]。
【0039】
一方で、
図2Cに示されるように、透明フィルム12には、接着剤13が層状に塗布される[接着剤層形成工程]。そして、
図2Dに示されるように、透明フィルム12上の接着剤層13に、薬剤11の塗布面(すなわち、シール層11の形成面)を向けて、金属箔15と透明フィルム12とを貼り合わせる[貼り合わせ工程]。なお、この貼り合わせの段階では、接着剤13は未硬化で、貼り合わせ後に硬化することで、金属箔貼合フィルム10Pが得られる。
【0040】
そして、この金属箔貼合フィルム10Pでは、シール層11が金属箔15の粗面15Aを覆うことで、そのシール層11には、金属箔15の粗面15Aの面形状が転写されるものの、接着剤層13には、粗面15Aの面形状は転写されない。すなわち、シール層15は、金属箔15と接着剤層13との間に介在することで、粗面15Aの面形状を接着剤層13に伝達させない。
【0041】
続いて、この金属箔貼合フィルム10Pに対して、
図2Eに示されるように、マスクパターン16が形成される[マスクパターン形成工程]。このマスクパターン16の製造は、特に限定されないが、例えば、インクジェットプリント法またはマイクロコンタクトプリント法を用いて、マスク材料を直接マスクパターンとして形成してもよいし、全面にマスク材料となるポジ型またはネガ型フォトレジスト材料を塗布し、それをフォトリソグラフィー法でパターニングしてもよい。
【0042】
なお、マスクパターン16の層厚(膜厚)は、0.5μm以上5μm以下程度である。例えば、フォトレジスト材料の場合、マスク材料、ひいてはマスクパターン16の膜厚は、0.5μm以上3μm以下程度で、マスクパターン16におけるパターン片の線幅(ライン幅)は、1μm以上5μm以下程度であり、パターン片の乖離幅(スリット幅)は、50μm以上1000μm以下程度である。
【0043】
そして、マスクパターン16にて覆われていない金属箔15に対して、
図2Fに示されるように、エッチング溶液を用いたエッチングによってパターニングを行う[パターニング工程]。これにより金属箔15に開口部15Hが生じ、金属配線パターン層15となる。その後、有機溶剤を用いて、
図2Gに示されるように、マスクパターン16と、残存する金属箔15同士の間(開口部15H)から露出するシール層11とを除去する[除去工程]。これらによって、金属細線フィルム10は完成する。
【0044】
これらのような各工程は、ロール・トゥ・ロール装置で行うことが、材料使用効率、工程所要時間の短縮の点で好ましい。しかしながら、そのような装置の使用に限定されるものではない。
【0045】
また、以上では、
図1に示されるような透明フィルム12の一方面に金属配線パターン層15等を積層する金属細線フィルム10を例に挙げるとともに、製法もそれに応じて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図3に示されるように、透明フィルム12の両面に、金属配線パターン層15等を積層する金属細線フィルム10であってもよい。そして、このような金属細線フィルム10であっても、
図2を用いて説明した製法が採用される。なお、その場合、両面同時に金属配線パターン層15等を形成させ、工程数の削減を図ることもできる。
【0046】
以上のように、金属細線フィルム10は、透明フィルム12上に、接着剤層13を用いて、金属配線パターン層15を配置させている。そして、
図1に示されるように、この金属細線フィルム10では、金属配線パターン層15と接着剤層13との間に、シール層11が配置され、金属配線パターン層15の開口部15Hには、接着剤層13が露出する。
【0047】
このようになっていると、シール層11が金属配線パターン層15と接着剤層13との間に存在することで、金属配線パターン層15の面形状はシール層11に転写され、接着剤層13には転写されない。そのため、金属配線パターン層15形成のためのエッチングにおいて、金属配線パターン層15の開口部15Hの形成のために除去された金属箔15の一部とともに、その直下のシール層11も除去されると、開口部15Hには、接着剤層13が露出するが、その接着剤層13には、金属配線パターン層15の面形状は転写されない。
【0048】
したがって、この露出する接着剤層13は、金属配線パターン層15の面形状に起因した粗面等にならない。そのため、このような金属細線フィルム10では、接着剤層13に起因してHaze値が高まらない。その結果、金属配線パターン層15の開口部15Hから露出する接着剤層13のHaze値は10以下となる。
【0049】
その上、接着剤層13に起因するHaze値の上昇が起きないため、例えばHaze値を下げるための、接着剤層13の屈折率と透明フィルム12の屈折率との調整は不要となるだけでなく、別途の光学調整層を、金属細線フィルム10内に積層させなくてもよい。すなわち、この金属細線フィルム10では、接着剤層13および透明フィルム12の材料選択で屈折率を考慮しなくてもよいので、材料選択の自由度が高まるだけでなく、部材点数も抑えられる。
【0050】
また、金属配線パターン層15の表裏面である粗面15Aおよび平滑面15Bのうち粗面15Aが接着剤層13側に向いて配置されていると好ましい。
【0051】
このようになっていると、ユーザーの視認側に、光沢感を有する平滑面15Bが向くことから、金属細線フィルム10の視認性、諸説すると、金属配線パターン層15の粗面15Aに起因するギラツキ感が抑えられ、ひいては、金属配線パターン層15の非視認性も高まる。その上、粗面15Aが接着剤層13側に向くことから、透明フィルム12に対する金属配線パターン層15の密着度合いが向上する。
【0052】
なお、シール層11は、シランカップリング剤で形成されると好ましく、詳説すると、シランカップリング剤は、少なくともアミノシランおよび酸系官能基を有するシランの少なくとも一方を含有していると、さらに好ましい。
【0053】
また、塗膜形成時間を短縮する目的で硬化触媒が、シランカップリング剤に含まれていると好ましい。
【0054】
なお、以上のような金属細線フィルム10の製造方法では、金属配線パターン層15の基になる金属箔15の一方面に対して、金属配線パターン層15と接着剤層13との間に介在するシール層の基となる薬剤11を塗布する工程と、透明フィルム12上の接着剤層13に、シール層11の形成面を向けて、金属箔15と透明フィルム12とを貼り合わせる工程と、金属箔15に対してパターニングする工程と、残存する金属箔(パターン片)15同士の間から露出するシール層を除去する工程と、を含む。
【0055】
また、シール層11を除去する工程では、パターニングに使用されたマスクパターン16も、シール層11とともに除去されると好ましい。このようになっていると、金属細線フィルム10の製造効率が高まる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例により限定されるものではない(下記表1参照)。なお、各工程はロール・トゥ・ロールプロセスで実施され、前後に純粋による洗浄・リンス工程と乾燥工程を実施した。
【0057】
[◆実施例1]
18μm厚キャリア付の1.5μm厚の極薄銅箔(JXUT−1、JX日鉱日石金属社製)の粗面に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:A1120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を乾燥膜厚2μmになるように、塗工、硬化させ、シール層にした。
【0058】
次に、その銅箔のシール層の形成された面に、ロール・トゥ・ロール装置(スリットダイを使用)して、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(フィルム厚み:100μm)に、無黄変ウレタン系接着剤主剤(商品名:DUX−201−5(固定分40%、溶剤酢酸エチル、大日精化工業社製)とイソシアネート成分(商品名:C−99、固形分100%、大日精化工業社製)とを15:0.5比率で混合させ、乾燥膜厚を5μmにするようにして、貼り合わせる。そして、この銅箔を貼り合わせた透明フィルムを、40℃で4日間養生して、溶剤成分を除去するとともに、接着剤層を完全に硬化させた。
【0059】
そして、得られた銅箔貼合フィルムに対して、感光性ポジ型レジスト(商品名:AZ6112、AZマテリアル社製)を遮光条件下で乾燥膜厚1μmになるように塗工するとともに、100℃×2分乾燥させた。その後、Line/Space(L/S)=5μm/200μmのストライプ状のガラスマスクを用いて、積算光量50mJ/cm
2の紫外線(UV)光を照射後、現像液(商品名:AZ400K、AZマテリアル社製を純水で体積比率において4倍に希釈したもの)を用いて、マスクパターンを形成した。
【0060】
そして、そしてマスクパターンによって被覆されていない部分を、35%濃度の塩化第二銅のエッチング溶液を用いてエッチングした。さらに、残存するマスクパターンと、そのパターンにおけるパターン片同士の間(開口部)から露出するシール層を、剥離液(AZ400K原液)を用いて除去した。
【0061】
このようにして得られた金属細線フィルムにおける金属配線パターン層のライン幅(パターン片の線幅)は4.8μm、厚み(パターン片の高さ)は1.3μmであった。また、金属細線フィルム10において、金属配線パターン層15の開口部15Hの内部に位置する接着剤層のHaze値は4であった。
【0062】
なお、全実施例および比較例におけるHaze値、膜厚測定は、以下の装置を用い、測定条件に従い実施した
・Haze測定条件:23℃高温条件下で、JIS7136に準拠して実施した。
(測定装置:NDH7000、日本電色社製)
・膜厚測定条件:23℃条件下で、段差計を用いて測定した。
(測定装置:Surf CorderET200、小阪研究所製)
【0063】
[◆実施例2]
この実施例2では、実施例1のシランカップリング剤(商品名:A1120)100重量部に、有機錫系触媒としてジブチルジメトキシスズ(商品名:SCAT−27、日東化成社製)1重量部を添加した点以外、実施例1と同様の製法で金属細線フィルム10を作成した。
【0064】
実施例2の金属細線フィルムにおける金属配線パターン層のライン幅は4.9μm、厚みは1.4μmで、Haze値は6であった。
【0065】
[◆実施例3]
この実施例3では、実施例2同様に、有機錫系触媒を用いるものの、その種類を変えた上、シランカップリング剤の種類も変えた。具体的には、シランカップリング剤として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:A-1110、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)100重量部に、有機錫触媒として、ジブチルスズ塩とシリケート化合物との反応生成物(商品名:ネオスタンU−700、日東化成社製)1重量部を添加した。
【0066】
実施例3の金属細線フィルム10を上記同様の測定方法で測定で測定した結果、金属細線フィルムにおける金属配線パターン層のライン幅は4.7μm、厚みは1.5μmで、Haze値は5であった。
【0067】
[◆実施例4]
この実施例4では、実施例1のシランカップリグ剤に換えて、3−メトキシシリルプロピルコハク酸無水物(商品名:X−12−967C、信越化学工業社製)を使用した以外は、実施例1と同様の製法で金属細線フィルム10を作成した。
【0068】
実施例4の金属細線フィルムにおける金属配線パターン層のライン幅は4.9μm、厚みは1.3μmで、Haze値は1であった。
【0069】
[◆実施例5]
この実施例5では、実施例4のシランカップリング剤3−メトキシシリルプロピルコハク酸無水物(商品名:X−12−967C)100重量部に、実施例2の有機錫系触媒としてジブチルジメトキシスズ(商品名:SCAT−27)1重量部を添加した点以外、実施例4と同様の製法で金属細線フィルム10を作成した。
【0070】
実施例5の金属細線フィルムにおける金属配線パターン層のライン幅は4.8μm、厚みは1.2μmで、Haze値は4であった。
[◇比較例1]
シランカップリング剤によって銅箔粗面をシールしない以外は、実施例1同様の製法にて、金属細線フィルムを作成した。
【0071】
比較例1の金属細線フィルムにおける金属配線パターン層のライン幅は4.8μm、厚みは1.2μmで、Haze値は50であった。
【0072】
[◇比較例2]
シランカップリング剤によって銅箔粗面をシールしない以外は、実施例5同様の製法にて、金属細線フィルムを作成した。
【0073】
比較例2の金属細線フィルムにおける金属配線パターン層のライン幅は4.7μm、厚みは1.3μmで、Haze値は70であった。
【0074】
【表1】
【0075】
[■表1の総評]
実施例1〜実施例5では、実施例1〜5と比較例1,2とを比較することで、シール層が、金属細線フィルムにおける接着剤層と金属配線パターン層との間に介在することで、金属配線パターン層の開口部の内部に位置する接着剤層のHaze値は低く抑えられていることが確認された。