特許第6639230号(P6639230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6639230ヘビーデューティガスタービンを備えたモジュール式ガスタービンプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6639230
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ヘビーデューティガスタービンを備えたモジュール式ガスタービンプラント
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/20 20060101AFI20200127BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20200127BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20200127BHJP
   F01D 25/28 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   F02C7/20 A
   F01D25/00 U
   F01D25/24 D
   F01D25/24 J
   F01D25/28 C
【請求項の数】25
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-515543(P2015-515543)
(86)(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公表番号】特表2015-518943(P2015-518943A)
(43)【公表日】2015年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2013061844
(87)【国際公開番号】WO2013182697
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年6月1日
【審判番号】不服2018-7921(P2018-7921/J1)
【審判請求日】2018年6月8日
(31)【優先権主張番号】FI2012A000114
(32)【優先日】2012年6月8日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513243790
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】NUOVO PIGNONE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人サカモト・アンド・パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ジアンコッティ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】カヴェルニ,ステファノ
【合議体】
【審判長】 金澤 俊郎
【審判官】 水野 治彦
【審判官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4346763(JP,B2)
【文献】 特開2009−52551(JP,A)
【文献】 特開2002−51511(JP,A)
【文献】 特開昭57−186025(JP,A)
【文献】 特開昭58−24699(JP,A)
【文献】 特開2007−205143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C7/20
F01D25/00,25/24-25/30
F16M1/00
F16M5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともガスタービン(27)および前記ガスタービン(27)に駆動接続された負荷(29)を支持する台板(25)と、
前記ガスタービン、前記負荷、吸気システムおよび補助装置を包囲しかつ前記台板に接続された構造体(33)と、
を備えた可搬性ガスタービンモジュール(21)であって、
前記ガスタービン(27)は80MW以上の定格出力を有するヘビーデューティガスタービンであり、
前記台板(25)は前記ガスタービン(27)の回転軸線の方向と平行に延びる複数の縦梁(43)と、前記回転軸線に対し直角に延びる複数の横梁(41)とを含み、前記縦梁(43)および前記横梁(41)は、前記ガスタービン(27)および前記負荷(29)が配置される主格子構造を画定し
前記ガスタービン(27)は、タービン台板(47)に拘束され、前記タービン台板(47)は、複数の脚(49)を介して前記モジュール(21)の台板(25)に接続され、前記脚(49)は、前記縦梁(43)のうちの1対の縦梁(43B、C)に拘束され、かつ前記負荷(29)は、前記ガスタービン(27)と共に前記1対の縦梁(43B、43C)の上に配置されている
ガスタービンモジュール(21)。
【請求項2】
前記負荷は発電機を含む、請求項1に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項3】
前記ガスタービン(27)および前記負荷(29)がその上に配置される前記1対の縦梁(43B、43C)の両側に、少なくとも1つずつ縦梁(43A、43D)が配置されていて、前記1対の縦梁(43B、43C)は、前記主格子構造における最も外側の格子よりも内側に位置している、請求項1または2に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項4】
前記横梁(41)および前記縦梁(43)は前記台板(25)の平坦な頂面を画定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項5】
前記横梁(41)および少なくとも前記対の縦梁(43)は略同一の高さを有し、かつ前記台板(25)の平坦な底面を画定し、前記平坦な底面は基礎上の前記モジュール(21)の載置面を形成する、請求項4に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項6】
前記台板(25)は、前記ガスタービン(27)の回転軸線と平行な方向に相互に整列する複数の台板セクションに分割されており前記複数の台板セクションが相互に接続されて剛性台板構造からなる前記台板(25)を形成している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項7】
各横梁(41)は前記台板(25)の幅に相当する長さを有し、各縦梁の列(43A、43B、43C、43D)は前記ガスタービン(27)の回転軸線の方向に沿って整列配置された複数の縦梁部分によって形成され、各前記縦梁部分は隣接する1対の横梁である第1の横梁から第2の横梁の間に延び、各縦梁の列(43A、43B、43C、43D)の前記縦梁部分は、隣接する前記縦梁部分同士のに挟まれる中間横梁への溶接によって相互に接続される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項8】
前記主格子構造は、隣接する1対の前記横梁(41)と最も外側の前記縦梁(43Aおよび43D)とで構成される前記台板セクション内において、前記隣接する1対の横梁(41)同士の間に延びるように設けられた縦梁(45B、45C)によって前記台板セクションを分割してなる略矩形のメッシュを有し、さらに、前記メッシュの少なくとも一部には、前記メッシュ内において隣接する1対の前記縦梁(45B、45C)同士の間に前記横梁(41)と平行して延びるように設けられた二次梁(61)または前記隣接する1対の横梁(41)同士の間に前記縦梁(45B、45C)と平行して延びるように設けられた二次梁(63)によって形成される二次格子構造が設けられている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項9】
前記主格子構造は略矩形のメッシュを有し、前記メッシュの少なくとも一部には筋交い(53、55)が配置され、前記筋交い(53、55)は前記台板(25)に平行な面内に配置され、かつ前記縦梁(43)および前記横梁(41)の両方に対して傾斜する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項10】
前記主格子構造を形成する前記横梁および前記縦梁は各々、上部および下部フランジに溶接された中央ウェブを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項11】
前記モジュール(21)の前記台板(25)に対する前記ガスタービン(27)の傾きを調整するために、前記タービン台板(47)と前記脚(49)との間に球面座金(103、111)を備えた、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項12】
前記ガスタービン(27)の下に、前記ガスタービン(27)が載置される前記1対の縦梁(43)を横方向に連結する補助横連結梁が設けられた、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項13】
前記負荷(29)は1対の前記縦梁(45B、45C)上にまたがって延在するように拘束され前記横梁(41)と平行に延びる支持体(51)上に配置されている、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項14】
前記負荷(29)と前記支持体との間に球面座金(103,111)が設けられた、請求項13に記載のガスタービンモジュール(21)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のガスタービンモジュール(21)と、
前記ガスタービンモジュールのための平坦な支持面を有する基礎(23)であって、前記平坦な支持面が不連続であり、前記基礎は前記縦梁(43)と平行に走る溝を有し、前記溝は昇降および移動用のトレーラを挿入するように配置構成されて成る、基礎(23)と、
を備えた陸上ガスタービンプラント。
【請求項16】
前記基礎(23)は外側の側壁または側部柱脚列(23A)と、隣り合う前記外側の側壁(23A)または側部柱脚列の間の少なくとも1つの中間壁(23B)または柱脚列を有し、
前記ガスタービン(27)および前記負荷(29)が配置される前記1対の縦梁(43B、43C)は、前記中間(23B)または柱脚列の頂面上に載置され、かつ
前記横梁(41)は前記中間(23B)、および前記側壁または側部柱脚列(23A)の頂面上に載置される、請求項15に記載のガスタービンプラント。
【請求項17】
前記壁は、凹所内にグラウトで固定されるソールプレートを収容する凹所を含み、前記ソールプレートは前記横梁(41)および前記縦梁(43)のための載置面を形成する、請求項16に記載のガスタービンプラント。
【請求項18】
前記基礎(23)は、前記基礎内にグラウトで固定されかつ前記台板(25)に接続するように配置されたスタッドボルト(93)を含む、請求項15乃至17のいずれかに記載のガスタービンプラント。
【請求項19】
前記スタッドボルト(93)は前記ソールプレートの各々の周りに配置される、請求項15乃至18のいずれかに記載のガスタービンプラント。
【請求項20】
前記台板(25)は、前記台板(25)を前記基礎(23)に水平な少なくとも一方向の水平変位を防止する剪断キー(94、96)を含む、請求項15乃至19の一項以上に記載のガスタービンプラント。
【請求項21】
前記台板(25)の第1方向の水平変位を防止し、前記第1方向とは異なる第2方向の水平変位を可能にするように設計かつ配置された第1組の剪断キー(94)と、前記第2方向の水平変位を防止し、前記第1方向の水平変位を可能にするように設計かつ配置された第2組の剪断キー(96)とを含む、請求項15乃至20のいずれかに記載のガスタービンプラント。
【請求項22】
前記第1方向および前記第2方向は相互に直交し、前記第1方向および前記第2方向のうちの一方は前記ガスタービン(27)の軸線と略平行である、請求項21に記載のガスタービンプラント。
【請求項23】
80MW以上の定格出力を有し、負荷を駆動するヘビーデューティガスタービンを備えた陸上ガスタービンプラントを組み立てる方法であって、
組立および試験場で第1基礎を設けるステップと、
台板を製造するステップと、
前記台板を前記第1基礎に固定するステップであって、前記第1基礎が、前記台板を前記基礎に固定するために第1パターンに従って配置された固定領域を持つ台板載置面を形成して成る、ステップと、
前記台板上に、前記ガスタービン、前記負荷、補助設備、ならびに前記ガスタービンを包囲する構造体を組み立てて、請求項1から14のいずれかに記載のガスタービンモジュールを形成するステップであって、前記構造体がガスタービンパッケージを含んで成る、ステップと、
前記ガスタービンおよび前記負荷を試験するステップと、
前記ガスタービンモジュールを前記第1基礎から取り外すステップと、
前記ガスタービンモジュールを最終目的地に輸送するステップと、
前記ガスタービンモジュールを第2基礎に固定するステップであって、前記第2基礎が、前記台板を前記第2基礎に固定するために第2パターンに従って配置された第2固定領域を持つ台板載置面を形成し、前記第1パターンが少なくとも部分的に前記第2パターンと一致して成る、ステップと、
を含み、
前記第1基礎および前記第2基礎が、トレーラを挿入しかつ移動させるための空き空間を有する、
方法。
【請求項24】
前記ガスタービンおよび前記負荷は全速かつ無負荷で試験される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ガスタービンおよび前記負荷は全速かつ全負荷で試験される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示する実施形態は、ガスタービンプラントに関する。さらに詳しくは、一部の開示する実施形態は、ガスタービンパワープラント、すなわち、発電機を含む負荷を回転駆動させる原動機としてガスタービンを含むガスタービン発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、発電機、または圧縮機のような他の回転機械を駆動するために、発電プラントまたは産業プラントで原動機として幅広く使用される。沖合施設では、しばしば航空機転用ガスタービンが、そのコンパクトな構造および縮小された全体寸法のため、使用される。一般に、航空機転用ガスタービンはモジュール化される。ガスタービンおよび負荷は共通フレーム上に配設され、こうして、最終目的地に輸送される前に組立および試験場または現場で試験される、単一ユニットを形成する。共通フレームは次いで最終目的地に輸送され、スキッドに取り付けられる。この種のモジュール式構成は、最終地への輸送および設置の前に回転機械の完全な組立および試験を行うことができるので、特に有用である。
【0003】
大型ガスタービン、いわゆるヘビーデューティガスタービンは、その大きい寸法のため、通常はモジュール化されない。一般に、ガスタービンプラントの種々の構成要素は製造現場から最終地へ別々に輸送される。基礎は最終目的地で作成され、次いで個々の機械は基礎の上に取り付けられる。ガスタービン、発電機、およびスタータのような種々のプラント構成要素の異なる半径方向寸法のため、基礎は時々、種々の異なる高さに機械支持面を持つように設計される。次いで回転機械を位置合わせし、機械的に接続し、調整しなければならない。このプロセス全体は非常に時間がかかる。
【0004】
図1は、現在の技術に係る公知のガスタービン発電プラントを概略的に示す。全体的に1で示すプラントはガスタービン2、発電機3、およびスタータを含む補助装置ユニット4を備える。吸気システム6は補助装置ユニット4の上に配設され、吸気ダクト7を介してガスタービン2に接続される。共通基礎8が設けられ、その上に個々の各回転機械が別々に据え付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第7,036,318号明細書
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、少なくともガスタービンおよび前記ガスタービンに駆動接続された負荷を支持する台板と、前記ガスタービンおよび前記負荷を包囲し、かつ前記台板に接続された構造体とを備えた可搬性ガスタービンモジュールであって、前記ガスタービンが80MW以上、例えば80MWから150MWの間、かつ好ましくは100MW以上、例えば100MWから150MWの間の定格出力を有するヘビーデューティガスタービンである、可搬性ガスタービンモジュールを提供する。
【0007】
負荷は一般的に少なくとも1つの回転機械、例えばLNG適用のための冷媒圧縮機のような圧縮機を含む。好適な実施形態では、ガスタービンは発電機を駆動する。ガスタービンおよび発電機ユニットは通常、GTGモジュール、すなわちガスタービン発電機モジュールと呼ばれる。
【0008】
別の実施形態では、少なくともガスタービンおよびガスタービンに駆動接続された負荷(例えば発電機)を支持する台板と、ガスタービンおよび負荷を包囲し、かつ台板に接続された構造体とを備えた可搬性ガスタービンモジュールであって、台板が、ガスタービンの回転軸線の方向と平行に延びる複数の縦梁と、前記回転軸線に対し直角に延びる複数の横梁とを含み、前記縦梁および前記横梁が主格子構造を画定し、その上に前記ガスタービンおよび前記負荷が配置されて成る、可搬性ガスタービンモジュールを提供する。
【0009】
台板は、金属梁から作られ、例えばワンピース格子構造を形成するように溶接された、可搬性構造体であることが有利である。
【0010】
好適な実施形態では、ガスタービンおよび発電機は、支持部材を介在させて台板上に取り付けられる。例えばガスタービンは、タービンケーシングとモジュールの主台板との間に介在させたタービン台板上に配置することができる。発電機は発電機支持構成上に配置することができる。ガスタービンおよび発電機の一方または両方とも、ガスタービン、発電機、または両方の傾きを調整するように配置構成された角度調整部材を設けることができる。角度調整部材は、ガスタービンケーシングの下および/または発電機ケーシングの下に配置された球面座金を備えることができる。傾き調整部材の使用は、機械を輸送後に最終目的地で再位置合わせすることを可能にする。ヘビーデューティガスタービン、発電機、補助設備のみならず、機械を包囲する構造体をも収容するために必要な大型の金属製台板は、組立および試験場で基礎から取り外す際、輸送中、および最終目的地で基礎に配置する際に、変形することがあり得る。角度調整部材は、機械の回転シャフトが再位置合わせされるように、機械を再調整する可能性を提供する。
【0011】
特に有利な実施形態では、ガスタービンおよび負荷は1対の前記縦梁上に配置される。ガスタービンおよび負荷がその上に配置される1対の縦梁は例えば、台板またはその一部を形成する前記格子構造の中間位置にあり、少なくとも1つの外側縦梁が、ガスタービンおよび負荷を支持する前記1対の縦梁の両側に配置される。こうして、主機械類(ガスタービンおよび負荷、例えば発電機、タービンスタータ)のみならず補助設備をも収容することができ、かつ組立および試験場の基礎から持ち上げて、例えば船舶で輸送し、最終目的地で最終的に基礎、例えば鉄筋コンクリートの基礎に固定することができる、格子構造の台板は得られる。
【0012】
中央部の縦梁が主機械類を支持するように配設された幾つかの平行な縦梁の使用はまた、モジュールを持ち上げて輸送するためにモジュールの下に昇降および移動用トレーラを配置するための充分な空間をもたらす。
【0013】
横梁および縦梁は、回転機械がその上に配設される台板の平坦な頂面を画定する。中間の支持および接続構造体または要素は、台板の平坦な頂面と個々の回転機械との間に配設されることが好ましい。これらの構造体または要素の高さは、機械が同軸に配設されるようにする。
【0014】
好適な実施形態では、横梁および回転機械がその上に配置される少なくとも前記1対の縦梁は略同一高さを有し、台板の平坦な底面を画定し、前記平坦な底面は、基礎におけるモジュールの載置面を形成する。側方縦梁、すなわち台板の側部に配列される縦梁は、台板の全体的なコストおよび重量を低減するために、低減された垂直寸法、すなわち低減された高さを有することができる。
【0015】
一部の実施形態では、台板は台板セクションに分割され、前記台板セクションはガスタービンの回転軸線と平行な方向に相互に位置合わせされ、かつ相互に接続されて剛性台板構造を形成する。こうして、幾つかのそのようなセクションを相互に隣り合わせて接続することによって、例えば溶接することによって、大きい長手寸法を有する堅固なモジュールを得ることができる。
【0016】
台板の主格子構造の横梁は、台板の幅に対応する長さを有する。逆に、各縦梁は、台板の長手寸法に沿って、すなわちガスタービンおよび負荷の回転軸線と平行に位置合わせされた、複数の縦梁部分またはセクションによって形成されることが好ましい。各縦梁部分は、連続的に配設された横梁の第1横梁から第2横梁まで延びる。各縦梁の縦梁部分は、中間横梁に溶接することによって相互に接続することができる。
【0017】
台板の主格子構造は、略矩形のメッシュを有することができる。台板の主格子構造のメッシュの少なくとも幾つかに、二次格子構造を設けることができる。二次格子構造は、主格子構造の横梁と平行に走る二次横梁によって、かつ/または主格子構造の縦梁と平行に走る二次縦梁によって形成することができる。
【0018】
主格子構造のメッシュの少なくとも一部に、筋交いまたはブレースを配設することができる。筋交いは、主格子構造によって形成される平坦な頂面と平行な面内に配設することができる。筋交いは、縦梁および横梁の両方に対して傾斜することが好ましい。
【0019】
一部の実施形態では、主格子構造を形成する横梁および縦梁は、上部および下部フランジに溶接される中央ウェブを含む。
【0020】
ガスタービンはフレームまたはタービン台板に拘束することができ、タービン台板は次にガスタービンモジュールの主台板に拘束される。一部の実施形態では、タービン台板は、複数の脚を介してモジュールの台板に接続される。好ましくは、脚は次に1対の前記縦梁に拘束される。モジュールの台板に対するガスタービンの傾きを調整するために、球面座金または他のアラインメント調整部材をタービン台板と脚の間に設けることができる。一部の実施形態では、ガスタービンの下に、ガスタービンがその上に載置される1対の縦梁を横方向に接続する補助横連結梁を設けることができる。
【0021】
一部の実施形態では、負荷は、回転機械を支持する1対の中間縦梁に拘束された支持体上に配置される。一部の実施形態では、負荷支持体は、モジュール台板の主格子構造の横梁と平行に延びる。負荷と支持体との間に球面座金または他のアラインメント調整部材を設けることができる。
【0022】
異なる態様では、本開示はまた、陸上ガスタービンプラント、特に、上述したガスタービンモジュールと基礎とを備えたガスタービンパワープラントにも言及する。基礎は、ガスタービンモジュール用の平坦な支持面を有する。平坦な支持面は不連続であり、基礎は、モジュール台板の縦梁と平行に走る隣り合う柱脚間に溝または空き空間を有する。溝は、昇降および移動用トレーラを挿入するために有利に配置構成される。一部の実施形態では、基礎は外側の壁または柱脚列および少なくとも1つの中間の壁または柱脚列を有する。ガスタービンおよび負荷、例えば発電機がモジュール台板の1対の隣り合う縦梁に支持される場合、この1対の縦梁は、内側の壁または柱脚に載置するように構成配置される。モジュール台板の横梁は、内側の壁または柱脚に、または側壁、柱脚、または柱脚列上に載置される。回転機械が配置される中央部の1対の縦梁の脇を走る追加的外側縦梁は、側壁または側部柱脚の上に配置される。
【0023】
好適な実施形態では、柱脚または壁は、凹所にグラウトで固められるソールプレートを収容する凹所を含む。ソールプレートは、台板のための載置面、特に台板の主格子構造を形成する横梁および縦梁のための載置面を形成する。基礎に対する台板の垂直固定は、基礎にグラウトで固められかつ台板に接続するように構成されたスタッドボルトによって得ることができる。台板の基礎への水平固定も構想することができる。水平固定は剪断キーによって得ることができる。剪断キーは、台板の熱膨張を制御するためにも配置することができる。一部の実施形態では、台板の一方向の水平移動をロックし、かつ例えば熱膨張による第1方向に対し直交する第2方向の制限された水平移動を可能にする、剪断キーを使用することができる。一部の実施形態では、第1組の剪断キーは、長手方向に沿って、すなわち矩形台板の長辺に平行な方向、台板に据え付けられた回転機械の回転軸線と平行に、位置合わせすることができる。第1組の剪断キーは、台板の中心線付近の中間位置に、すなわち回転機械が位置する領域の下に配置することができる。第2組の剪断キーは、横方向に、すなわちガスタービンおよび負荷の回転軸線に直交しかつ矩形台板の短辺に平行な方向に沿って設けることができる。好ましくは、前記第1組および第2組の剪断キー長手方向のアラインメントおよび横方向のアラインメントは、おおよそガスタービンの下に位置する台板の中心領域で交差する。
【0024】
さらなる態様では、本開示はまた、例えば80MW以上の定格出力を有し、負荷、特に例えば発電機を駆動するヘビーデューティガスタービンを備えた陸上ガスタービンプラントを組み立てる方法であって、
組立および試験場で第1基礎を設けるステップと、
台板を製造するステップと、
前記台板を前記第1基礎に固定するステップであって、前記第1基礎が、前記台板を前記基礎に固定するために第1パターンに従って配置された固定領域を持つ、台板載置面を形成して成る、ステップと、
前記台板上に、前記ガスタービン、前記負荷、補助設備、ならびに前記ガスタービン、前記負荷、および前記補助設備を包囲する構造体を組み立てて、モジュールを形成するステップであって、前記構造体がガスタービンパッケージをも含むことが有利である、ステップと、
ガスタービンおよび負荷を試験するステップと、
モジュールを第1基礎から取り外すステップと、
モジュールを最終目的地に輸送するステップと、
第2基礎上にモジュールを固定するステップであって、前記第2基礎が、前記台板を前記基礎に固定するために第2パターンに従って配置された第2固定領域を持つ、台板載置面を形成し、前記第1パターンが少なくとも部分的に前記第2パターンと一致して成る、ステップと、
を含む方法にも関係する。
【0025】
ガスタービンプラントの試験は、例えば全速かつ無負荷状態で、または全速かつ全負荷状態で行うことができる。
【0026】
最終目的地へ輸送し、モジュールを第2基礎に固定した後、回転機械、すなわちガスタービンおよび負荷は、それらの回転軸線が実質的に同軸になるように、すなわちそれらの相互傾きが許容差の範囲内になるように、調整することができる。必要な場合、上述した球面座金または他の傾き調整部材を用いて、前記ガスタービンおよび前記負荷のどちらか一方または両方の傾き調整を行うことができる。組立および試験場で第1基礎から取り外す際、輸送中、または最終目的地で第2基礎に固定する際に発生した台板の起こり得る変形は、こうして配慮し、相殺することができる。
【0027】
ヘビーデューティガスタービンプラントのモジュール化は、プラントの据付けおよび始動に必要な時間を短縮する。ヘビーデューティガスタービンおよびガスタービンによって付勢される負荷、ならびに補助設備、例えば始動用モータ、潤滑システム、全配線および電気設備、センサおよびプローブ、制御ユニット、燃料システム、冷却装置、ならびにモジュールに装備される他の施設は、組立および試験場で完全に試験することができる。こうして、モジュールは最終目的地で必要な微小な調整を行った後、始動することができる。
【0028】
ヘビーデューティガスタービン、関連負荷および設備のモジュール化はこうして、得られる時間および労働力に関してかなり節約することを可能にする。
【0029】
上記の簡単な説明は、後述する詳細な説明を分かり易くするため、かつ当該技術に対する本発明の貢献を理解し易くするために、本発明の様々な実施形態の特徴を記載している。言うまでもなく、以下で説明し、かつ添付の特許請求の範囲に記載する、本発明の他の特徴が存在する。これに関して、本発明の幾つかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の様々な実施形態はそれらの適用が、以下の説明に記載するか図面に示す構成の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は他の実施形態が可能であり、様々なやり方で実施かつ実行することができる。また、本書で使用する表現および用語は説明を目的とするものであって、限定とみなすべきではないことを理解されたい。
【0030】
したがって、開示内容の基礎を成す概念が、本発明の幾つかの目的を実行するための他の構造体、方法、および/またはシステムを設計するための基礎として容易に利用することができることを、当業者は理解されるであろう。したがって、そのような均等な構成は、それらが本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、特許請求の範囲に含まれるとみなすことが重要である。
【0031】
本発明の開示する実施形態およびそれらに付随する利点の多くは、以下の詳細な説明を添付の図面に照らして参照することによって、より深く理解されるようになるので、それらについてのより完全な理解が容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】先行技術に係るガスタービン発電プラントの略側面図を示す。
図2】モジュール式ガスタービン発電設備の軸測投影図を示す。
図3】ガスタービンおよび発電機が取り付けられた図2のモジュールの台板の軸測投影図を示す。
図4図3の台板の上面図を示す。
図5】台板の主構成要素の簡略上面図を示す。
図6】台板の底面軸測投影図を示す。
図7図4の線7−7に沿った断面図を示す。
図8図4の線8−8に沿った断面図を示す。
図9】台板が基礎に載置されるソールおよびサブソール構成の詳細を示す。
図10図9の線10−10に沿った断面図を示す。
図11図10に11で示された細部の拡大図である。
図12】基礎に台板を固定するためのスタッドボルト配列の垂直面に沿った断面図を示す。
図13】発電機を支持する球面座金構成のタービン軸線に平行な垂直面に沿った断面図を示す。
図14図13の線14−14に沿った断面図を示す。
図15】台板上のガスタービンの支持体の側面図を示す。
図16】台板を基礎に水平に固定するために使用される剪断キーの側面図を示す。
図17図16の線17−17に沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
例示的実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面の同一参照番号は、同一または類似の要素を識別する。加えて、図面は必ずしも正確な縮尺率で描かれていない。また、以下の詳細な説明は発明を限定しない。代わりに、発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0034】
本明細書全体にわたって「一実施形態」または「実施形態」または「一部の実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載する特定の特徴、構造、または特性が、開示する対象の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「一実施形態では」、または「実施形態では」、または「一部の実施形態では」という語句の出現は、必ずしも同一実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性を任意の適切な方法で1つ以上の実施形態で組み合わせることができる。
【0035】
図2は、本開示の一実施形態に係るガスタービン発電プラントの軸測投影図を示す。図3は、台板およびそこに配設された主回転機械の軸測投影図を示し、図4はその上面図を示す。ガスタービン発電プラントは図2および図3で21と標識されたモジュールとして設計され、基礎23の上に配置される。プラントは、ガスタービン27、発電機29、および補助ユニット、例えば発電機29とは反対側でガスタービンに接続されたガスタービンスタータ(図示せず)を支持する台板25を含む。
【0036】
台板25はまた補助装置、器具、および設備、例えばガスタービン列を形成する機械を移動させるためのクレーン、吸気ユニット、フィルタ、消音器、燃料供給および制御システム、潤滑システム等がその中に配設された包囲構造体33をも支持する。これらの設備は当業者には公知であり、これ以上詳述しない。ガスタービンパッケージ34も構造体33に収容される。
【0037】
台板25は、製造作業場で製作され、組立および試験場に輸送され、そこで機械類全体、補助装置、および包囲構造体33を完全に組み付けることができるように、設計される。この結果、プラント全体が完全にモジュール化される。組立および試験の後、モジュールは最終目的地に輸送され、最終目的地に設けられた基礎に簡単に固定することができ、こうしてプラントを始動するために必要な人間の介入および時間が最小化される。
【0038】
一部の実施形態では、ガスタービン27は、80MW以上を生産し、例えば80MWから150MWの間の定格出力を有する、ヘビーデューティガスタービンである。適切なヘビーデューティガスタービン27の一例は、GEEPE(フランス国ベルフォール)から入手可能なMS9001Eガスタービンである。別の適切なヘビーデューティガスタービンは、60Hzエネルギ市場用にGE Energy USで特別に開発されたMS7001EAである。これらのヘビーデューティガスタービンは、80〜140MWの範囲の機械的出力を供給するように設計される。台板25の構造は、重回転機械(ガスタービン27および発電機29)のみならず、包囲構造体および残りの設備も、試験後に輸送目的のためにそれらの部品を分解する必要なく、その上に組み付け、試験し、かつ輸送することができるように特別に設計される。台板25の主要な特徴については、特に図2図8を参照しながら本書で下述する。
【0039】
図2に示す通り、燃焼ガス排出装置を主モジュール21の横に配置することが好ましい。これは、モジュール21の全体寸法およびその設置面積、すなわち台板25の寸法を低減する。
【0040】
一部の例示的実施形態では、台板25は、主格子構造および二次格子構造を備えた複雑な格子構造を有する。モジュール化されたガスタービン発電プラントの主な特徴の理解を深めるために、主格子構造の主な構成要素を他から切り離して図5に示す。ここでは二次格子構造の要素は除去されている。台板構造全体は図3図4、および図6に示されており、図6は台板の底部からの軸測投影図である。
【0041】
一部の実施形態では、台板25の主格子構造は、台板25の長手方向の延びに沿って一体に組み立てられる複数の台板セクション25A、25B、25C、25D、25E、25Fから構成される。長手方向の延びは、台板25上に配設された同軸回転機械、すなわちガスタービン27および発電機29の回転軸線と平行する。各セクション25A、25B、25C、25D、25E、25Fは、台板25の幅全体にわたって横方向に延びる、すなわちガスタービンおよび発電機の軸線に略直交する、2つの横梁41を含む。各対の横梁41の間に、複数の縦梁部分43が設けられる。図面に示す例示的実施形態では、4つの縦梁部分43が各対の横梁41の間に配設される。これらの4つの縦梁部分は43A、43B、43C、および43Dと標識される。種々の台板セクション25A、25B、25C、25D、25E、25Fを一体に組み立てかつ溶接することによって、台板の第1端から第2端まで延びる4つの縦梁から成る、台板25の主格子構造が得られる。結果的に得られる縦梁は、それぞれ45A、45B、45C、および45Dと標識される。
【0042】
横梁41および梁部分43はH字形またはI字形の梁であることが好ましい。それらの大きい寸法のため、梁部分43および梁41は熱間圧延では製造されず、むしろ、2つの対向するフランジに溶接された中央ウェブによって形成される。
【0043】
中間梁部分43Bおよび43Cならびに横梁41は同一垂直寸法を有し、したがって平坦な頂面および平坦な底面を画定する。好適な実施形態では、一部の台板セクション25A、25B、25C、25D、25E、25Fの縦梁部分43Aおよび43Dは、図3から最もよく分かるように、より小さい垂直寸法を有する。さらに詳しくは、図面に示す例示的実施形態では、台板25は6つのセクション25A、25B、25C、25D、25E、25Fから構成され、最初の4つのセクション25A、25B、25C、25Dはより小さい縦梁部分43A、43Dを有する。図示しない他の実施形態では、全ての台板セクション25A〜25Fの全ての側方梁部分43A、43Dは、低減された垂直寸法を有することができる。側方縦梁部分43A、43Dは、それらの頂部フランジが共通の平坦頂面上に位置するように配設される。
【0044】
例えば台板25およびその上に配設された関連回転機械の上面図から理解できるように、2つの中間縦梁45B、45Cは、回転機械を前記縦梁45B、45C上に支持することができるように、相互に近接距離に配置される。
【0045】
さらに詳しくは、ガスタービン27はガスタービンフレームまたはガスタービン台板47上に支持され、後者は次に脚49を介在させて2つの中間縦梁45B、45C上に取り付けられる。脚49と片側のガスタービン台板47および反対側の台板25との間の連結は、溶接によって行うことができる。この構成により、ガスタービンの重量は中間縦梁45B、45Cによって直接支持される。一部の構成では、補助補強横梁48がガスタービン台板47の下に配置され、ガスタービン台板47およびモジュール台板25の横方向および/または長手方向の拘束を形成するための堅固な基礎を提供する。
【0046】
一部の実施形態では、発電機29は2つの横方向箱形支持体51上に取り付けられる。好適な実施形態では、2つの箱形支持体は2つの中間縦梁45B、45Cの距離にまたがって延在し、例えば溶接によってそこに固定される。図目に示す実施形態では、長手方向、すなわちガスタービン軸線に平行な方向の2つの箱形支持体の距離は、それぞれの台板セクション25A、25B、25C、25D、25E、25Fの幅に相当するので、箱形支持体51は発電機の重量を部分的に横梁41に伝達する。
【0047】
図面に示す実施形態では、中間縦梁45B、45Cは、台板25の中心線に対して対称的には配置されず、むしろ縦梁45Dより縦梁45Aの方により近く配置される。他の実施形態では、縦梁45A〜45Dの配置は、台板25の中心線に対して対称にすることができる。
【0048】
機械類を包囲する構造体33の垂直材65は、縦梁部分43A〜43Dおよび横梁41が台板25の長手方向側縁に沿って相互に連結されるノードで、台板25に溶接される。構造体33のレイアウトについては詳述しない。構造体33の設計は、構造体に収容される設備の種類およびそれらの配置によって変えることができる。
【0049】
図5から理解できるように、縦梁45A〜45Dおよび横梁41によって形成される主格子構造の矩形のメッシュの一部には、相互に溶接され、かつ/または図4には示されるが図5の簡略上面図では省略された、補助補強板57によって梁41および45A〜45Dにより形成された主格子構造に溶接された筋交い53、55が設けられる。筋交い53、55は台板25全体の水平面を堅固にする。一部の実施形態では、斜め筋交い53、55は、台板25の長辺および台板の両短辺に沿って横梁41および縦梁45によって形成される主格子構造の矩形の各メッシュに設けられる。図面に開示する実施形態では、筋交いは、回転機械27、29を支持する中間縦梁の1つと隣接する側部縦梁、すなわち外側の縦梁45Aとの間の主格子構造の矩形のメッシュに配設される。
【0050】
主格子構造によって形成される各メッシュには、二次梁が配設され、二次格子構造を形成する。二次梁は61、63と標識され、二次梁61は梁41と平行に延び、二次梁63は縦梁45A〜45Dと平行に延びる。二次梁61、63およびそれによって形成される二次格子構造については詳述しない。それらの配置は、構造体33に配設される種々の設備のレイアウトによって変えることができる。二次梁61、63によって形成される二次格子構造は、補助装置の床板の載置構造を画定する。
【0051】
横梁41および少なくとも中央縦梁45B、45Cは基礎23に載置される平坦な底面を形成する。基礎は通常、一部地上延在部を持つ打設鉄筋コンクリートの地下ブロックとして形成される。図3図7、および図8から最もよく分かるように、基礎23は平坦な水平面Fを形成し、その上に台板25が配置される。平坦な水平面Fは不連続である。さらに詳しくは、平坦面Fは、以下で長手方向「溝」71、73と呼ぶ2つの空き空間によって中断される。長手方向溝71は底面71Bおよび側面71Sを有する。長手方向溝73は底面73Bおよび側面73Sを有する。2つの溝71および73は、基礎23を形成する鉄筋コンクリートのブロックを、2つの側壁または側部柱脚23Aおよび1つの中央壁または中央柱脚23Bに分割し、打設鉄筋コンクリートの地下ブロックの前記地上延在部を形成する。地下ブロックの側壁または延在部23Aは、2つの柱脚列に置き換えるか、あるいはそれらによって形成することができる。
【0052】
各横梁41の下部フランジは壁23A、23Bの頂面に載置され、こうして各横梁41が基礎23に載置される3つのゾーンを形成する。2つの中間縦梁45Bおよび45Cの下部フランジは、少なくともガスタービン27および/または発電機29が配設される領域で、台板25の長手方向の延びに沿って、中間壁23Bの頂面と接触する。後述する通り、モジュールは基礎と直接には接触せず、基礎23の鉄筋コンクリート構造体にグラウトで固定されたソールプレートおよびスタッドボルトによってそこに支持される。
【0053】
特に図7および図8に示す通り、「溝」71、73は、昇降および移動用トレーラ81をモジュール21の台板25の下に導入するために使用される。トレーラには、それぞれの車輪83と、例えば図示しない油圧式または機械的ジャッキによって垂直方向に移動可能な昇降板とが設けられる。すでに述べた通り、台板25およびモジュール21の構造は、ガスタービン発電プラント全体を、最終目的地に輸送される前に、組立および試験場で組み立てかつ試験することができるようになっている。モジュール化されたガスタービン発電プラントの組立および試験場および最終目的地の両方に略同一の基礎23が設けられる。こうして、組立および試験場または現場で、台板25を基礎23に適切に固定して、完全なモジュールを組み立てることができ、プラントを、例えば全速無負荷状態で、静的および動的両方の「運転中の」挙動を達成可能な最良の方法で表現しかつ代表する構成で、試験することができる。各機械を適切に調整し調節することができる。ひとたび試験が完了すると、台板25は基礎23から簡単に取り外され、機械類、設備、およびそれらに取り付けられた構造体33と共に持ち上げられ、トレーラ81によって、例えば最終目的地への輸送用の船舶で、輸送される。
【0054】
船上で、モジュールは、組立および試験場ならびに最終目的地の両方で同種のトレーラが使用されるという事実によって導かれ、再び最終目的地に設けられるものと同様の構成を有する仮基礎上に置かれる。
【0055】
ここでは、組立および試験場で使用されるのと同じトレーラ81、または最終目的地で提供される同様のトレーラが、モジュールを持ち上げ、船舶から基礎23上に移動するために使用される。2つの場所(組立および試験場ならびに最終目的地)における基礎は略同一であるので、モジュールは細かい修正および検査の直後に始動する準備が整う。
【0056】
台板25の上述した構造および「溝」71、73を持つ基礎23の構造は、ヘビーデューティガスタービンおよび関連発電機を含むモジュール全体を支持し、台板のごくわずかな撓み変形だけでモジュールの輸送を可能にするように特別に設計されるので、プラントは、最終目的地に移動され、基礎23に適切に固定されると、実質的に始動の準備が整う。
【0057】
この目的のために、特に効率的な固定装置が開発され、以下で図9図12を参照しながら説明する。
【0058】
3つの壁23A、23Bの上面には複数の凹所が設けられ、その中にソールプレートが配置され、台板25のための支持面を形成する。凹所は、台板25の格子構造に従って分散される。例えば、凹所は縦梁45A〜45Dに沿って、特に中間縦梁45B、45Cに沿ってだけでなく、横梁41にも沿って、好ましくは梁が相互に交差するノードに配置することができる。好適な実施形態では、凹所およびソールプレートは、タービン27の下に配設される補助横梁48の下にも配置される。
【0059】
例示的な凹所および関連ソールプレートの配置を図9図11に示す。85と標識された凹所内に、サブソールプレート87およびソールプレート89が配置されグラウトで固定される。サブソールプレート87には水平調整ねじ91が設けられる。モジュール21を基礎23上に配置する前に、サブソールプレート87および対応するソールプレート89が各凹所85に配置され、ソールプレートの上面が水平になるように水平調整される。ソールプレートおよびサブソールプレート構成87、89はその後、正確な位置に保持されるように、凹所85内にグラウトで固定される。モジュール21は次いで、トレーラ81によって基礎23の上に移送され、ソールプレート89の上に下降され、載置される。台板25の施工公差による台板25と個々のソールプレートとの間の可能な間隙にはシム(図示せず)が充填される。
【0060】
各ソールプレート87の近くでは、基礎23の鉄筋コンクリートブロックに形成された穴95に、スタッドボルト93がグラウトで固定される。台板25はナット97によってスタッドボルト93に連結され、スタッドボルト93は、台板25に、例えば横梁41または縦梁45A〜45Dの下部フランジ99に設けられた貫通穴98を横切って延びる。スタッドボルト93は台板25を基礎23に垂直に固定する。
【0061】
通常、スタッドボルト93は水平剪断応力に耐えるように設計されず、したがって台板25を基礎23に水平固定するには適さない。図面に示す実施形態では、台板25を基礎23に水平固定するために、台板25の底に剪断キーが追加的に設けられる。剪断キーの構造および配置は、台板25の熱膨張を制御するように設定することが有利である。基礎23と台板25との間の熱勾配のため、台板は長手方向および横方向の両方の熱膨張を受けることがあり得、前記膨張は台板25が固定される基礎23の対応する熱膨張とは異なることが実際観察されるはずである。
【0062】
図6に示す台板25の底面図に、剪断キーの一般的な配置を示す。この実施形態では、第1組の剪断キー94は、台板25の長手方向に沿って、すなわち矩形の台板25の長辺と平行かつガスタービン27および発電機29の回転軸線と平行な方向に整列する。第1組の剪断キー94は、第2縦梁45Bと第3縦梁45Cとの間に位置することが好ましい。剪断キー94は、2つの平行な縦梁45B、45Cの間の中心ではなく、それらの一方または他方の近くに位置することが好ましい。第2組の剪断キー96は、台板25の短辺と平行な横線に沿って整列し、したがってガスタービン27および発電機29の回転軸線に対し90°に向き付けられる。図6に示す実施形態では、2組の剪断キーの2つのアラインメント方向は、ガスタービンの下で相互に交差する。剪断キーは相互に同一であることが好ましい。剪断キーが台板25を形成する梁にどのように連結されるかによって、剪断キーは、両水平方向の台板25の動きを阻止するか、あるいは台板25の一水平方向の自由度を残し、反対方向の台板25の動きを阻止することができる。
【0063】
台板25と剪断キー94の1つとの間の連結を図16および図17に示し、以下で説明する。剪断キー96は実質的に同様の方法で台版25に連結される。
【0064】
図示する実施形態では、剪断キー94は、基礎23に形成された受座94Bにグラウトで固定される、垂直方向に配置されるI字形梁94Aを備える。剪断キー94はさらに、I字形梁94Aのフランジの1つおよび連結板94Dに溶接された、連結スラブ94Cを備える。連結板94Dは固定フランジ94Eに固定され、固定フランジは次に、台板25の主格子構造を形成する梁の1つ、例えば梁45Bに溶接される。ねじおよびナット構成94Gは連結板94Dおよび固定フランジ94Eを一緒に係止する。基礎23にグラウトで固定された梁94Aに対する梁45Bの例えば熱膨張による水平方向の移動を可能にするために、固定フランジ94Eは、梁45Bと平行な方向に細長いスロットを設けることができ、ねじ94Gはそこを貫通する。この構成により、剪断キー94に対する梁45Bの矢印f45に沿った変位が可能になる。
【0065】
剪断キー94により、前記剪断キー94のアラインメントと平行な、すなわちタービン27および発電機29の回転軸線と平行な、台板25の制御された変位が可能になるような構成になっている。逆に、剪断キー96は、横方向と平行な、すなわちガスタービン27および発電機29の回転軸線に対して90°の方向の台板25の制御された変位を可能にする。2組の剪断キーが相互に交差する台板25の領域、すなわちガスタービン27の下の領域は、基礎23に実質的に係止される。
【0066】
したがって、モジュールは基礎23に対して長手方向および横方向の両方に熱膨張することができ、台板25の中心を実質的に固定された状態に維持する。
【0067】
熱膨張のためスタッドボルト93に掛かる曲げ応力、およびその結果生じる台板25の水平方向の変位を防止するために、スタッドボルト93が通過する貫通穴98はスタッドボルトより実質的に大きく延び、かつ/または長穴である。
【0068】
一部の実施形態では、台板25の溶接鋼構造もまた、その寸法のため、回転機械の支持面の所望の平坦度を達成させることのできない施工公差を有する。この理由から、これらの表面は、組立および試験場で台板25が基礎上に配置された後、機械加工することができる。
【0069】
回転機械列を形成する回転機械のシャフトのアラインメントは、試験および運転の両方のために、モジュールが基礎に据え付けられた後、初期始動の前に、実際に達成されなければならない。不適切なアラインメントは振動を引き起こし、最悪の場合、早期軸受破損を引き起こすことがある。コールドアラインメントは、駆動および被駆動機器を正確にオフセットすることによって、操作機器の熱成長を補償する。オフセットは機器を通常の動作状態でアラインメント状態にすることを可能にする。
【0070】
理想的な全負荷(ホット)アラインメントは、全ての駆動列構成要素の中心線、すなわち様々な回転機械(ガスタービン、発電機、スタータ)の回転軸線が正確に一致したときに起きる。全負荷温度で駆動列の各構成要素が理想的な位置に移動するように、各駆動列構成要素のコールド中心線を配置することを意図している。
【0071】
上記に加えて、台板25の構造は特に堅固であるが、その上に配設された回転機械の重量、および遭遇することが予想される環境負荷のため、モジュール21を製造現場または組立および試験場から最終目的地へ移送する間に、台板25の多少の変位が発生する可能性があり、あるいは最も高い確実性で、駆動機器から被駆動機器への相対位置に小さいけれども多少の変化が起こり得るので、回転機械は、最終目的地で据え付けた後に再位置合わせを行わなければならない。
【0072】
この目的のために、一部の好適な実施形態では、回転機械の少なくとも1つ、および好ましくはガスタービンおよび発電機の両方が、球面座金を介在させて、台板25上に取り付けられる。図13および図14は、発電機29の下に配置された球面座金構成を示す。一部の実施形態では、発電機のケーシングは、2つの箱形支持体51上に、前記両方の箱形支持体51の端部に配設された4組の球面座金を介在させて、取り付けられる。各組101の球面座金は例えば3つの球面座金103を含む。球面座金は、例えば関連する箱形支持体51の一体的部分を形成する下板51Aと、上部発電機支持板105との間に介在する。好適な実施形態では、下板51Aは、その上面に機械加工された浅い溝107を有する。各組の3つの球面座金103は浅い溝107に配置され、部分的にそこから突出する。各球面座金103は平面図で円形または好ましくは方形または矩形とすることができ、2つの構成要素103Aおよび103Bから成る。構成要素103Aは浅い溝107の底と接触する一方、構成要素103Bは上部発電機支持板105と接触する。
【0073】
2つの構成要素103A、103Bは、相互に接触するそれぞれ凹状および凸状の球面を備える。こうして、箱形支持体51に対する各上部構成要素103Bの傾きは、球面座金103の各々に対して独立して調整することができる。これは、各上部発電機支持板105を正確に配置して、その上に載置される発電機29がガスタービンと同軸になることを可能にする。組立および試験場または現場から最終目的地への輸送中に発生する台板25の様々な変形のため、例えば発電機およびガスタービンの起こり得るミスアラインメントは、所望の平坦度に達することができないという危険を冒すことなく、球面座金と発電機のケーシングとの間にフルフェースシムを加えるだけでオフセットすることができる。
【0074】
同様の球面座金構成をガスタービン27と台板25との間に設けることができる。図15に、ガスタービン台板47と脚49との間に介在する球面座金111を概略的に示す。球面座金111は、ガスタービン27が発電機29と同軸になるようにガスタービン台板47の傾きを調整することができるように、設計されかつ構成される。
【0075】
上述したモジュール式構造、および特に台板25、ならびに基礎23の構造は、ヘビーデューティタービンの主フレームおよび負荷、例えば特に発電機を含むガスタービンパワープラントを、製造現場または組立および試験場で組み立て、全速無負荷で、または全速全負荷で試験し、次いでモジュールとして海上および/または陸上輸送によって最終目的地まで輸送することを可能にする。この目的のために、組立および試験場または製造現場では、第1基礎23が敷設される。第1基礎23の上に台板25が組み立てられ、スタッドボルト93によって固定され、回転機械、補助装置、および設備を含むモジュール全体が、ガスタービンパッケージを包封する外側構造体33を含めて、その上に取り付けられる。機械類は軸方向に位置合わせされ、調整され、試験される。
【0076】
ひとたびモジュールの試験が完了すると、スタッドボルト93からナットを取り外すことによって、第1基礎23からモジュールを取り外すことができる(図12参照)。トレーラ81は、モジュールを第1基礎23から持ち上げて、例えば最終目的地へ海上輸送するための船舶に移送するために使用される。最終目的地でモジュールは再びトレーラ81によって持ち上げられ、モジュールが組立および試験場または現場で組み立てられかつ試験されたときの基礎23と同一または類似のものとすることのできる、第2基礎23に移動される。2つの基礎23が相互に同一であることは必須ではない。2つの基礎は、モジュールの同一の動的および静的な挙動が充分に確保される程度に類似していれば充分である。特に、両方の基礎23は、トレーラ81を駆動して出入りさせるための溝、および一次縦梁45A〜45Dおよび横梁41を配置するため、ならびに上述した通りソールプレートおよびスタッドボルトを介して前記梁を基礎に固定するための載置面を有していなければならない。
【0077】
したがって、上述した構造は、ヘビーデューティガスタービンをモジュール化し、かつ輸送することを可能にし、こうして最終目的地でガスタービンプラントを組み立てかつ始動させるための時間およびコストが低減される。
【0078】
本書に記載する対象の開示する実施形態を図面に示し、幾つかの例示的実施形態に関連して具体的にかつ詳細に充分に説明したが、本書に明記した新規の教示、原理、および概念、ならびに添付の特許請求の範囲に記載する対象の利点から大きく逸脱することなく、多くの変形例、変化例、および省略例が可能であることを当業者は理解されるであろう。したがって、開示した革新の適切な範囲は、そのような変形例、変化例、および省略例を全て包含するように、添付する特許請求の範囲の最も幅広い解釈のみによって決定されるべきである。加えて、プロセスまたは方法ステップの順序またはシーケンスは代替的実施形態に従って変更するか並べ替えることができる。
【符号の説明】
【0079】
21 主モジュール
23 基礎
25 モジュール台板
25A〜25F 台板セクション
27 ガスタービン、回転機械
29 負荷、発電機、回転機械
33 包囲構造体
34 ガスタービンパッケージ
41 横梁
43 縦梁
43A〜43D 縦梁部分
47 ガスタービン台板
48 補助補強横梁
49 脚
51 横方向箱形支持体
51A 下板
53、55 筋交い
57 補助補強板
61、63 二次梁
65 垂直材
71、73 長手方向溝
81 トレーラ
85 凹所
87 サブソールプレート
89 ソールプレート
91 水平調整ねじ
93 スタッドボルト
94、96 剪断キー
94A I字形梁
94B 剪断キーの受座
94C 連結スラブ
94D 連結板
94E 固定フランジ
97 ナット97
103、111 球面座金
105 上部発電機支持板
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