(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記要件(a−1)及び(a−2)を満たす、エチレン単位と少なくとも1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィン単位とを含むエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、融解熱量が40J/g以下であるプロピレン系共重合体(D)とを含む層[1]と、
下記要件(b−1)〜(b−3)を満たすプロピレン系重合体(B)を含む層[2]と、
を含む積層体フィルムであって、
前記層[1]と前記層[2]とが直接接しており、
前記層[1]に含まれる、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記プロピレン系共重合体(D)との質量比((A)/(D))が、99/1〜50/50であり、
前記層[1]の厚さと前記層[2]の厚さとの比(層[1]/層[2])が、1/14〜1/3である積層体フィルム。
要件(a−1):JIS K6922に準じて測定される密度が880〜930kg/m3である。
要件(a−2):メルトフローレート(MFR、190℃、2.16kg荷重)が1.0〜12.0g/10分である。
要件(b−1):プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2および4以上のα−オレフィンとの共重合体である。
要件(b−2):メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20.0g/10分である。
要件(b−3):JIS K7112に準じて測定される密度が890〜911kg/m3である。
下記要件(a−1)及び(a−2)を満たす、エチレン単位と少なくとも1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィン単位とを含むエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、融解熱量が40J/g以下であるプロピレン系共重合体(D)とを含む層[1]’と、
下記要件(b−1)〜(b−3)を満たすプロピレン系重合体(B)を含む層[2]’と、
を含む積層体を共押出した後、二軸延伸する工程を含む積層体フィルムの製造方法であって、
前記層[1]’と前記層[2]’とが直接接しており、
前記層[1]’に含まれる、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記プロピレン系共重合体(D)との質量比((A)/(D))が、99/1〜50/50であり、
前記積層体フィルムにおける、前記層[1]’由来の層[1]の厚さと、前記層[2]’由来の層[2]の厚さとの比(層[1]/層[2])が、1/14〜1/3である積層体フィルムの製造方法。
要件(a−1):JIS K6922に準じて測定される密度が880〜930kg/m3である。
要件(a−2):メルトフローレート(MFR、190℃、2.16kg荷重)が1.0〜12.0g/10分である。
要件(b−1):プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2および4以上のα−オレフィンとの共重合体である。
要件(b−2):メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20.0g/10分である。
要件(b−3):JIS K7112に準じて測定される密度が890〜911kg/m3である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の積層体ではヒートシールのためには接着層が必要である。また、特許文献2記載のフィルムは十分に薄くすることができず、OPPフィルムと積層した際にOPPフィルムの物性を損なう場合がある。
【0007】
本発明は、引張強度および引裂バランスが高く、耐ピンホール性に優れ、低温にてヒートシールを行うことができ、ヒートシール強度が高く、成形時、延伸時の安定性が高い積層体フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の(1)〜(6)である。
【0009】
(1)下記要件(a−1)及び(a−2)を満たす、エチレン単位と少なくとも1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィン単位とを含むエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、融解熱量が40J/g以下であるプロピレン系共重合体(D)とを含む層[1]と、
下記要件(b−1)〜(b−3)を満たすプロピレン系重合体(B)を含む層[2]と、
を含む積層体フィルムであって、
前記層[1]と前記層[2]とが直接接しており、
前記層[1]に含まれる、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記プロピレン系共重合体(D)との質量比((A)/(D))が、99/1〜50/50であり、
前記層[1]の厚さと前記層[2]の厚さとの比(層[1]/層[2])が、1/14〜1/3である積層体フィルム。
要件(a−1):JIS K6922に準じて測定される密度が880〜930kg/m
3である。
要件(a−2):メルトフローレート(MFR、190℃、2.16kg荷重)が1.0〜12.0g/10分である。
要件(b−1):プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2および4以上のα−オレフィンとの共重合体である。
要件(b−2):メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20.0g/10分である。
要件(b−3):JIS K7112に準じて測定される密度が890〜911kg/m
3である。
【0010】
(2)前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、さらに下記要件(a−3)を満たす(1)に記載の積層体フィルム。
要件(a−3):GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して分子量が100万以上である成分の含有量が0.7質量%以下である。
【0011】
(3)前記プロピレン系重合体(B)が、さらに下記要件(b−4)を満たす(1)または(2)に記載の積層体フィルム。
要件(b−4):GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して分子量が150万以上である成分の含有量が0.7質量%以下である。
【0012】
(4)二軸延伸フィルムである(1)から(3)のいずれかに記載の積層体フィルム。
【0013】
(5)前記層[2]が、JIS K6922に準じて測定される密度が880〜930kg/m
3のエチレン系重合体を含有しない(1)から(4)のいずれかに記載の積層体フィルム。
【0014】
(6)下記要件(a−1)及び(a−2)を満たす、エチレン単位と少なくとも1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィン単位とを含むエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、融解熱量が40J/g以下であるプロピレン系共重合体(D)とを含む層[1]’と、
下記要件(b−1)〜(b−3)を満たすプロピレン系重合体(B)を含む層[2]’と、
を含む積層体を共押出した後、二軸延伸する工程を含む積層体フィルムの製造方法であって、
前記層[1]’と前記層[2]’とが直接接しており、
前記層[1]’に含まれる、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記プロピレン系共重合体(D)との質量比((A)/(D))が、99/1〜50/50であり、
前記積層体フィルムにおける、前記層[1]’由来の層[1]の厚さと、前記層[2]’由来の層[2]の厚さとの比(層[1]/層[2])が、1/14〜1/3である積層体フィルムの製造方法。
要件(a−1):JIS K6922に準じて測定される密度が880〜930kg/m
3である。
要件(a−2):メルトフローレート(MFR、190℃、2.16kg荷重)が1.0〜12.0g/10分である。
要件(b−1):プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2および4以上のα−オレフィンとの共重合体である。
要件(b−2):メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20.0g/10分である。
要件(b−3):JIS K7112に準じて測定される密度が890〜911kg/m
3である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、引張強度および引裂バランスが高く、耐ピンホール性に優れ、低温にてヒートシールを行うことができ、ヒートシール強度が高く、成形時、延伸時の安定性が高い積層体フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る積層体フィルムは、下記要件(a−1)及び(a−2)を満たす、エチレン単位と少なくとも1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィン単位とを含むエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、融解熱量が40J/g以下であるプロピレン系共重合体(D)とを含む層[1]と、下記要件(b−1)〜(b−3)を満たすプロピレン系重合体(B)を含む。前記層[1]と前記層[2]とは直接接している。前記層[1]に含まれる、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記プロピレン系共重合体(D)との質量比((A)/(D))は、99/1〜50/50である。前記層[1]の厚さと前記層[2]の厚さとの比(層[1]/層[2])は、1/14〜1/3である。
要件(a−1):JIS K6922に準じて測定される密度が880〜930kg/m
3である。
要件(a−2):メルトフローレート(MFR、190℃、2.16kg荷重)が1.0〜12.0g/10分である。
要件(b−1):プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2および4以上のα−オレフィンとの共重合体である。
要件(b−2):メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20.0g/10分である。
要件(b−3):JIS K7112に準じて測定される密度が890〜911kg/m
3である。
【0017】
結晶性の高いエチレン系樹脂とプロピレン系樹脂を共押出して得られる積層体を、そのまま二軸延伸することにより積層体フィルムを得る場合、均一な積層体フィルムを得ることは困難である。一方、各層をそれぞれ二軸延伸した後、接着層を介して接着することで多層フィルムを作製することはできるが、この場合接着層が必要となるため、加工コストが上がり、焼却時に有害物質が発生する場合がある。また、エチレン系樹脂を含む層が厚くなり、剛性、引張強度等に優れるプロピレン系樹脂を含む層の物性が損なわれる。
【0018】
そこで本発明者らが鋭意検討した結果、積層体フィルムが、前記要件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、前記プロピレン系共重合体(D)とを前記質量比で含む層[1]と、前記要件を満たすプロピレン系重合体(B)を含む層[2]と、を前記厚さの比で両者が直接接するように有することにより、剛性、引張強度等に優れるプロピレン系重合体(B)を含む層[2]の性能を損なうことなく、良好な耐ピンホール性、ヒートシール性を付与することができ、かつ、成形時、延伸時の安定性も良好であることを見出した。また、接着層が不要なため、加工コストが下がり、焼却時に有害物質も発生しない。さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含む層[1]を薄くすることができるため、プロピレン系重合体(B)を含む層[2]の物性が損なわれない。
【0019】
<エチレン・α−オレフィン共重合体(A)>
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、前記要件(a−1)及び(a−2)を満たし、エチレン単位と少なくとも1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィン単位とを含む。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、さらに下記要件(a−3)、(a−4)を満たすことが好ましい。なお、本発明においてエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、エチレン単位を50質量%以上含む共重合体を示す。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、2種類以上のエチレン・α−オレフィン共重合体を含む組成物であってもよい。
【0020】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)におけるα−オレフィンとしては、少なくとも1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィンを含めば特に限定されない。例えば炭素数3〜20のα−オレフィンを用いることができる。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラドデセン、1−ヘキサドデセン、1−オクタドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、ジエチル−1−ブテン、トリメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジメチル−1−ペンテン、メチルエチル−1−ペンテン、ジエチル−1−ヘキセン、トリメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ヘプテン、エチル−1−オクテン、メチル−1−ノネンなどが挙げられる。これらの中でも、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、炭素数3〜8のα−オレフィンがより好ましく、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンがさらに好ましく、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、これらの単位を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
【0021】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)としては、具体的には、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。
【0022】
(要件(a−1))
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の、JIS K6922に準じて測定される密度は、880〜930kg/m
3であり、885〜925kg/m
3が好ましく、890〜920kg/m
3がより好ましく、900〜915kg/m
3がさらに好ましい。該密度が880kg/m
3未満である場合、縦延伸時にフィルムがロールに抱きつき、成形できない。また、該密度が930kg/m
3を超える場合、延伸時にフィルムが破断する。
【0023】
(要件(a−2))
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のメルトフローレート(MFR、190℃、2.16kg荷重)(以下、MFR(190℃)とも示す)は、1.0〜12.0g/分であり、1.5〜10.0g/10分が好ましく、2.0〜8.0g/10分がより好ましく、2.5〜5.0g/10分がさらに好ましい。MFR(190℃)が前記範囲外の場合、成形時の安定性が低い。なお、該MFR(190℃)はASTM D1238に準じて190℃、2.16kg荷重の条件下で測定される値である。
【0024】
(要件(a−3))
GPCによって得られる分子量分布曲線において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)全量に対して分子量が100万以上である成分の含有量は、0.7質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることがさらに好ましい。なお、該含有量は少ない方が好ましく、0.0質量%であることが特に好ましい。該含有量が0.7質量%以下であることにより、ヒートシール界面形成を阻害する高分子量成分(高粘度成分)が少なくなり、最高ヒートシール強度が向上する。なお、該含有量が0.7質量%を超えると、層[1]と層[2]との界面接着強度が低下する場合がある。この理由については、必ずしも定かではないが、分子量100万以上の成分が層[1]と層[2]の間の界面近傍での分子鎖の拡散を阻害、すなわち界面形成を阻害するためと推察される。該含有量は具体的には後述する方法により測定される値である。
【0025】
(要件(a−4))
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の、示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点は、50〜130℃が好ましく、80〜125℃がより好ましく、100〜120℃がさらに好ましい。該融点が50℃以上であることにより、縦延伸時にフィルムがロールに抱きつきにくくなる。また、該融点が130℃以下であることにより、延伸時のフィルムの破断を防止できる。
【0026】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、例えばエチレンおよびα−オレフィンを原料として、チーグラー触媒やメタロセン触媒を用いて製造することができる。密度(要件(a−1))は、α−オレフィンの含有量により調節することができる。MFR(190℃)(要件(a−2))は、触媒の種類や重合条件を変更することにより調節することができる。なお、連鎖移動剤を用いる場合、連鎖移動剤としては水素を用いることが好ましい。高分子量成分の含有量(要件(a−3))は、触媒の種類や重合条件により調節することができる。融点(要件(a−4))は、重量平均分子量やα−オレフィンの含有量により調節することができる。
【0027】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)としては、市販品では、エボリュー(商品名、(株)プライムポリマー社製)、ハーモレックス(商品名、日本ポリエチレン(株)社製)、カーネル(商品名、日本ポリエチレン(株)社製)、ノバテック(商品名、日本ポリエチレン(株)社製)、Elite,Dowlex,Affinity,Attane(商品名、ダウケミカル社製)、Exceed,Enable(商品名、エクソンケミカル社製)などが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0028】
<プロピレン系共重合体(D)>
本発明において層[1]は、最高ヒートシール強度向上の観点から、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)以外にさらに融解熱量が40J/g以下のプロピレン系共重合体(D)を含む。本発明においてプロピレン系共重合体(D)は、プロピレン単位を50質量%以上含む共重合体を示す。また、プロピレン系共重合体(D)は後述するプロピレン系重合体(B)であってもよい。また、プロピレン系共重合体(D)は、2種類以上のプロピレン系共重合体(D)を含む組成物であってもよい。
【0029】
プロピレン系共重合体(D)の融解熱量は40J/g以下であり、35J/g以下であることが好ましく、30J/g以下であることがより好ましい。該融解熱量の下限は特に限定されないが、例えば5J/g以上とすることができる。なお、該融解熱量は、DSCにより測定される値である。
【0030】
プロピレン系共重合体(D)としては、例えばプロピレンとエチレンとの共重合体が挙げられる。プロピレン系共重合体(D)は、例えば公知のチーグラー触媒やメタロセン触媒を用いて重合することにより製造することができる。プロピレン系共重合体(D)は、市販品としては、例えばVistamaxx3980(商品名、エクソンモービルケミカルス社製)等が挙げられる。
【0031】
<プロピレン系重合体(B)>
本発明に係るプロピレン系重合体(B)は、前記要件(b−1)〜(b−3)を満たす。また、プロピレン系重合体(B)は、さらに下記要件(b−4)、(b−5)を満たすことが好ましい。なお、本発明においてプロピレン系重合体(B)は、プロピレン単位を50質量%以上含む重合体を示す。また、プロピレン系重合体(B)は、2種類以上のプロピレン系重合体を含む組成物であってもよい。
【0032】
(要件(b−1))
プロピレン系重合体(B)は、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2および4以上のα−オレフィンとの共重合体である。このようなプロピレン系重合体(B)としては、例えばプロピレン単独重合体であるホモポリプロピレン(ホモPP)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(ランダムPP)、いわゆるブロックポリプロピレン(ブロックPP)等が挙げられる。
【0033】
前記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられる。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラドデセン、1−ヘキサドデセン、1−オクタドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、ジエチル−1−ブテン、トリメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジメチル−1−ペンテン、メチルエチル−1−ペンテン、ジエチル−1−ヘキセン、トリメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ヘプテン、エチル−1−オクテン、メチル−1−ノネンなどが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、エチレンおよび炭素数4〜8のα−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0034】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体としては、具体的には、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ペンテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、プロピレン・エチレンランダム共重合体が好ましい。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体におけるα−オレフィン単位の含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
【0035】
(要件(b−2))
プロピレン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)(以下、MFR(230℃)とも示す)は、1.0〜20.0g/10分であり、1.5〜15.0g/10分が好ましく、2.0〜10.0g/10分がより好ましく、2.5〜5.0g/10分がさらに好ましい。MFR(230℃)が前記範囲外である場合、延伸性が低下し、成形時の安定性が低い。なお、該MFR(230℃)はJIS K7210−1およびJIS K7210−2に準じて、230℃、2.16kg荷重の条件下で測定される値である。
【0036】
(要件(b−3))
プロピレン系重合体(B)の、JIS K7112に準じて測定される密度は、890〜911kg/m
3であり、893〜910kg/m
3が好ましく、895〜909kg/m
3がより好ましく、900〜908kg/m
3がさらに好ましい。該密度が890kg/m
3未満である場合、フィルム剛性が劣る。また、該密度が911kg/m
3を超える場合、延伸性が低下しフィルム成形が困難となる。
【0037】
(要件(b−4))
GPCによって得られる分子量分布曲線において、プロピレン系重合体(B)全量に対して分子量が150万以上である成分の含有量は、0.7質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることがさらに好ましい。なお、該含有量は少ない方が好ましく、0.0質量%であることが特に好ましい。該含有量が0.7質量%以下であることにより、ヒートシール界面形成を阻害する高分子量成分(高粘度成分)が少なくなり、最高ヒートシール強度が向上する。なお、該含有量は具体的には後述する方法により測定される値である。
【0038】
(要件(b−5))
プロピレン系重合体(B)の、示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点は、110〜170℃が好ましく、120〜165℃がより好ましい。該融点が110℃以上であることにより、フィルム剛性が優れる。また、該融点が170℃以下であることにより、延伸性が向上しフィルム成形が容易となる。
【0039】
プロピレン系重合体(B)は、例えばプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2および4以上のα−オレフィンとを原料として、チーグラー触媒やメタロセン触媒を用いて製造することができる。MFR(230℃)(要件(b−2))は、触媒の種類や重合条件を変更することにより調節することができる。密度(要件(b−3))は、触媒の種類や炭素数2および4以上のα−オレフィンの含有量により調節することができる。高分子量成分の含有量(要件(b−4))は、触媒の種類や重合条件により調節することができる。融点(要件(b−5))は、触媒の種類や炭素数2および4以上のα−オレフィンの含有量により調節することができる。
【0040】
ホモPP、ランダムPPとしては、市販品では、PMシリーズ、PLシリーズ、PCシリーズ(商品名、サンアロイ社製)、プライムポリプロ(商品名、プライムポリマー社製)、ノバテック、ウィンテック(商品名、日本ポリプロ(株)製))等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0041】
<層[1]>
層[1]は前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、前記プロピレン系共重合体(D)とを含む。層[1]は前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を50〜100質量%含むことが好ましく、55〜90質量%含むことがより好ましく、60〜80質量%含むことがさらに好ましい。また、層[1]は前記プロピレン系共重合体(D)を0〜50質量%含むことが好ましく、10〜45質量%含むことがより好ましく、20〜40質量%含むことがさらに好ましい。
【0042】
前記層[1]に含まれる、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記プロピレン系共重合体(D)との質量比((A)/(D))は、99/1〜50/50であり、90/10〜55/45であることがより好ましく、80/20〜60/40であることがさらに好ましい。該質量比((A)/(D))が99/1〜50/50の範囲外である場合、最高ヒートシール強度が低下し、延伸性が低下してフィルム成形が困難となる。
【0043】
層[1]の厚みは特に限定されないが、延伸前の厚みで例えば5〜100μmであることができる。なお、積層体フィルムが複数の層[1]を含む場合には、該厚みは複数の層[1]の厚みの合計を示す。
【0044】
層[1]は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)及び前記プロピレン系共重合体(D)以外にも、例えば、IRGANOX 1010およびIRGAFOS 168(以上商品名、Ciba Speciality Chemicals;Glattbrugg、Switzerland製)等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、充填剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、煙抑制剤、粘度調整剤、表面改質剤、ならびにブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。層[1]は、これらの添加剤を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。層[1]は、該添加剤を例えば10質量%以下含むことができる。
【0045】
<層[2]>
層[2]は前記プロピレン系樹脂(B)を含む。層[2]は前記プロピレン系樹脂(B)を50〜100質量%含むことが好ましく、70〜100質量%含むことがより好ましく、90〜100質量%含むことがさらに好ましい。
【0046】
層[2]は、フィルム剛性の観点から、JIS K6922に準じて測定される密度が880〜930kg/m
3のエチレン系重合体を含有しないことが好ましい。該密度は、885〜925kg/m
3であることができ、890〜920kg/m
3であることができ、900〜915kg/m
3であることができる。該エチレン系重合体としては、例えばエチレン単独重合体、またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であることができる。エチレンとα−オレフィンとの共重合体としては、前述したエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と同様の共重合体が挙げられる。また、該エチレン系重合体としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。
【0047】
層[2]の厚みは特に限定されないが、延伸前の厚みで例えば5〜100μmであることができる。なお、積層体フィルムが複数の層[2]を含む場合には、該厚みは複数の層[2]の厚みの合計を示す。
【0048】
層[2]は、前記層[1]における前記添加剤と同様の添加剤を含むことができる。層[2]は、該添加剤を例えば10質量%以下含むことができる。
【0049】
<積層体フィルム>
本発明に係る積層体フィルムは、前記層[1]と、前記層[2]とを含む。該積層体フィルムは、前記層[1]と、前記層[2]とからなってもよい。該積層体フィルムは、少なくとも一層の層[1]と、少なくとも一層の層[2]とを備えていればよいが、層[1]および/または層[2]を複数層備えてもよい。
【0050】
前記層[1]と前記層[2]とは直接接している。すなわち、前記層[1]と前記層[2]との間には、接着層等の他の層が形成されていない。前記層[1]と前記層[2]とが接着層を介さずに直接接していることにより、加工コストを下げることができ、また焼却時に有害物質等が発生しない。
【0051】
また、前記層[1]は高いヒートシール機能を有する樹脂層であり、高いヒートシール性が得られる観点から、該積層体フィルムの少なくとも一方の表面に、層[1]が配置されていることが好ましい。なお、層[1]は熱融着性も具備するため、該積層体フィルムをヒートシールする場合には、層[1]をヒートシール面に積層することが好ましい。
【0052】
層[1]の厚さと層[2]の厚さとの比(層[1]/層[2])は、1/14〜1/3であり、1/13〜1/4が好ましく、1/12〜1/5がより好ましい。該比が1/14未満である場合、耐ピンホール性が低下する。また、該比が1/3を超える場合、引張強度、引裂バランス等が低下する。なお、積層体フィルムが複数の層[1]および/または層[2]を含む場合には、該厚みは、複数の層[1]および/または層[2]の厚みの合計を示す。積層体フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば5〜100μmであることができる。
【0053】
本発明に係る積層体フィルムは、剛性および引張強度の観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
【0054】
本発明に係る積層体フィルムは、例えばタバコ包装、菓子包装等に好ましく用いることができる。
【0055】
<積層体フィルムの製造方法>
本発明に係る積層体フィルムの製造方法は、前記要件(a−1)及び(a−2)を満たす、エチレン単位と少なくとも1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィン単位とを含むエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、融解熱量が40J/g以下である前記プロピレン系共重合体(D)とを含む層[1]’と、前記要件(b−1)〜(b−3)を満たすプロピレン系重合体(B)を含む層[2]’と、を含む積層体を共押出した後、二軸延伸する工程を含む。前記層[1]’と前記層[2]’とは直接接している。前記層[1]’に含まれる、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記プロピレン系共重合体(D)との質量比((A)/(D))は、99/1〜50/50である。前記積層体フィルムにおける、前記層[1]’由来の層[1]の厚さと、前記層[2]’由来の層[2]の厚さとの比(層[1]/層[2])は、1/14〜1/3である。該方法によれば、本発明に係る積層体フィルムを容易に製造することができる。
【0056】
前記方法は、例えば以下のように実施することができる。各層の材料を溶融押出し、Tダイ等により賦形した後、冷却することで、積層体である共押出シートが得られる。その後、該共押出シートを例えばチューブラー方式やフラット方式(テンター方式)により、縦方向(流れ方向、MD方向)及び横方向(幅方向、TD方向)に二軸延伸することで、積層体シートが得られる。延伸倍率は、MD方向およびTD方向共に、3〜14倍であることが好ましく、5〜10倍であることがより好ましい。該二軸延伸は同時二軸延伸でも、逐次二軸延伸でもよい。これらの中でも、フラット方式により積層体フィルムを得ることが、透明性に優れる積層体フィルムが得られるため好ましい。
【0057】
フラット方式により積層体フィルムを製造する場合には、共押出シートを例えば90〜125℃の温度範囲でMD方向に延伸した後、例えば90〜160℃の温度範囲でTD方向に延伸することにより得ることができる。二軸延伸した後は、用途により、例えば80〜140℃の温度範囲でヒートセットを行ってもよい。該ヒートセットの温度は目的とする熱収縮率に応じて変更することができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各物性の測定及び評価は以下の方法により行った。
【0059】
<メルトフローレート(MFR)>
エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、ASTM D1238に準じて、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定した。プロピレン系重合体のMFRは、JIS K7210−1およびJIS K7210−2に準じて、230℃、2.16kg荷重の条件下で測定した。
【0060】
<密度>
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K6922に従い、サンプルを100℃で30分間加熱した後、23℃で1時間保持し、密度勾配管法によって測定した。プロピレン系重合体の密度は、JIS K7112に準じて測定した。
【0061】
<高分子量成分の含有量>
エチレン・α−オレフィン共重合体における分子量が100万以上の成分の含有量、及びプロピレン系重合体における分子量が150万以上の成分の含有量は、以下の方法により測定した。エチレン・α−オレフィン共重合体及びプロピレン系重合体の分子量分布曲線を、GPC2000(商品名、ウォーターズ社製)又はHLC−8321GPC/HT(商品名、東ソー社製)を用い、以下の条件で測定した。分析カラムには、TSKgelGMH6−HT(商品名、東ソー社製)と、TSKgelGMH6−HTL(商品名、東ソー社製)を2本ずつ計4本使用した。カラム温度は140℃とした。移動相にはo−ジクロロベンゼンおよび酸化防止剤としてBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)0.33g/Lを用い、移動相を1.0mL/分で移動させた。試料濃度は1.5mg/mLとした。検出器としては示差屈折計を用いた。東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用い、汎用校正法により、エチレン・α−オレフィン共重合体の分子量はポリエチレン換算値、プロピレン系重合体の分子量はポリプロピレン換算値として計算した。
【0062】
<融点および融解熱量>
エチレン・α−オレフィン共重合体及びプロピレン系重合体の融点および融解熱量は、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。測定はDSC8500(商品名、パーキンエルマー社製)を用いて行った。吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm)は、以下の方法により求めた。厚み約300μmのプレスシートから切り出した試料約5mgを、底が平らなアルミパンに詰めた。これを、窒素雰囲気下(窒素:20ml/min)で、230℃で5分間保持した。その後、230℃から10℃/minで30℃まで降温し、30℃で1分間保持し、30℃から230℃まで10℃/minで昇温する際の吸熱曲線より、Tmを求めた。
【0063】
<引張試験>
積層体フィルムから長さ方向がフィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)となるように15mm幅、200mm長さの短冊状の試験片を切出した。該試験片について、テンシロンRT1225型(商品名、オリエンテック社製)を使用して、JIS K7127に準拠して破断点強度、破断点伸び、およびヤング率を測定した。
【0064】
<引裂試験>
軽荷重引裂試験機(東洋精機製作所製:振り子の左端に容量ウェイトB:79gを取り付け)を使用し、積層体フィルムから引裂き方向に長さ63.5mm(長辺)及び引裂き方向と垂直の方向に幅50mm(短辺)の長方形の試験片を複数枚切出し、短辺の中央に端から12.7mmの切り込みを入れた。試験機の指針(置き針)が20〜80の範囲に収まるように、該試験片を複数枚重ねて予備テストを行い、測定に用いる試験片の枚数を調整した。その後、引裂試験を行い、以下の式によりMD方向、TD方向における引裂強度(N/cm)を求めた。また、引裂バランス(MD方向における引裂強度/TD方向における引裂強度)を算出した。なお、試験機の測定レンジ(R)は200とした。
【0065】
T=(A×0.001×9.81×R/100)/(t)
T:引裂強度(N/cm)
A:指針の指した値(g)
t:重ねた試験片の合計厚み(cm)。
【0066】
<耐ピンホール性>
ゲルボフレックス装置(テスター産業製)にて、ASTM F392:93 可撓性バリア材料の耐屈曲性標準試験法に基づいて、積層体フィルムを3000回屈曲させた。その後、ピンホール検出器(ウエッジ株式会社製)にてピンホール数を測定した。
【0067】
<ヒートシール開始温度>
15mm巾に裁断した積層体フィルム2枚を、層[1](外層−1)同士が接するように重ねた。これに対し、熱盤式ヒートシーラー(東洋精機社製)にてシール圧力:0.1MPa、シール時間:1.0秒でヒートシールを行った。得られたサンプルについて、引張試験機にて200mm/分でヒートシール強度を測定した。ヒートシール強度が2N/15mmとなる温度をヒートシール開始温度とした。
【0068】
<最高ヒートシール強度>
40℃から200℃まで10℃刻みで設定したヒートシール温度において、前記「ヒートシール開始温度」と同様にしてヒートシール強度を測定し、測定した全てのデータ中で最も高いヒートシール強度を最高ヒートシール強度とした。
【0069】
<Tダイ成形時の安定性>
Tダイ成形時に、ダイから押し出され冷却された溶融膜が安定に積層体に成形可能かどうかを目視および積層体の断面観察により外観および層比から確認した。
良好:安定に積層体を成形できる。
不良:面荒れが発生し、層比も安定していないため、安定に積層体を成形できない。
【0070】
<延伸時の安定性>
積層体を延伸した時に、破断するか否かを確認した。
良好:積層体を延伸した時に破断しなかった。
不良:積層体を延伸した時に破断した。
【0071】
以下の実施例および比較例では、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、プロピレン系重合体(B)、プロピレン系共重合体(D)及びその他の重合体として、表1に示される材料を用いた。また、ミラソン11Pはエチレン単位のみで構成され、α−オレフィン単位を含まない。
【0072】
【表1】
〔実施例1〕
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)としてのSP1540を70質量%、プロピレン系共重合体(D)としてのVMを30質量%含む層[1]’と、プロピレン系重合体(B)としてのF−300SPを含む層[2]’とを含む積層体を、二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出し、Tダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷した。その後、これを110℃に加熱し、フィルムの流れ方向(MD方向)に5倍延伸した。この5倍延伸したフィルムを150℃に加熱し、流れ方向に対して直交する方向(TD方向)に8倍延伸して、厚さ20μmの積層体フィルムを得た。該積層体フィルムについて、上記評価を行った。結果を表2に示す。
【0073】
〔実施例2〜5、比較例1〜9〕
実施例1において、各層に含まれる樹脂の種類、各層の厚みの比、及び積層体フィルムの厚み等を表2〜4のように変更した以外は、実施例1と同様に積層体フィルムを作製し、評価した。結果を表2〜4に示す。なお、比較例8では、外層−1、中間層及び外層−2からなる3層構造を有する積層体フィルムを作製した。また、比較例7においては、成形不良のため上記評価を行うことができなかった。
【0074】
〔比較例10〕
SP3020をTダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し、厚さ約1.2mmのシートを得た。該シートを100℃に加熱し、フィルムの流れ方向(MD方向)に5倍延伸した。この5倍延伸したフィルムを125℃に加熱し、流れ方向に対して直交する方向(TD方向)に8倍延伸し、厚さ30μmの二軸延伸フィルム(1)を得た。次いで、該二軸延伸フィルム(1)に、ドライラミ用接着剤を塗布した後、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:OP U−1、三井化学東セロ社製)を貼り合わせて積層体フィルムを得た。なお、該ドライラミ用接着剤としては、タケラックA−969VおよびタケネートA−5(以上商品名、三井化学製)を混合したものを使用した。該積層体フィルムについて、上記評価を行った。結果を表4に示す。
【0075】
〔比較例11〕
前記二軸延伸フィルム(1)上にアンカー剤を塗布した後、該アンカー剤上に押出しラミネート機を用いて11Pを溶融押出した。該11P上に、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:OP U−1、三井化学東セロ社製)を積層し、多層フィルムを得た。なお、前記アンカー剤には、コロネートL、ニッポラン1100(以上商品名、日本ポリウレタン工業)、および溶剤としての酢酸エチル(広島和光純薬製)を混合したものを使用した。また、11Pを含む層の厚みは20μmであった。該多層フィルムについて、上記評価を行った。結果を表4に示す。
【0076】
〔比較例12〕
前記アンカー剤を塗布しなかったこと以外は、比較例11と同様に多層フィルムを作製し、評価した。結果を表4に示す。なお、本比較例では11Pを含む層と二軸延伸ポリプロピレンフィルムとの間で剥離が生じ、上記評価を行うことができなかった。
【0077】
〔比較例13〕
前記二軸延伸フィルム(1)に代えて、厚さ80μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(商品名:T.U.X FCD、三井化学東セロ社製)を用いた以外は、比較例10と同様に多層フィルムを作製した。該多層フィルムについて、上記評価を行った。結果を表4に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】