(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1領域に表示される部分画像のうち観察者から画像が視認されない部分にかかる画像の表示期間を前記散乱状態と前記透過状態との切り替え期間とすることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
観察者からの距離がそれぞれ異なる位置に配された複数の表示部を備え、前記複数の表示部は、少なくとも当該複数の表示部のうちの一の表示部の一部である第1領域及び前記一の表示部と隣接かつ観察者側に配置された他の表示部の一部である第2領域が、観察者からみて重なるように配された表示装置の表示方法であって、
前記複数の表示部にそれぞれ画像を表示させる制御工程を含み、
前記制御工程は、前記第1領域に表示される部分画像に基づく画像を前記第2領域に表示させることを特徴とする表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかる表示装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる表示装置は、観察者からの距離がそれぞれ異なる位置に表示される複数の表示部と、複数の表示部にそれぞれ画像を表示させる制御部と、を備えている。そして、複数の表示部は、少なくとも複数の表示部のうちの一の表示部の一部である第1領域及び一の表示部と隣接かつ観察者側に配置された他の表示部の一部である第2領域が、観察者からみて重なるように表示され、制御部は、前記第1領域に表示される部分画像に基づく画像を前記第2領域に表示させる。このようにすることにより、少なくとも表示部の一部が重なるように表示されるので、漏れ光等を極力少なくすることができる。また、一の表示部と他の表示部とが重なる部分においては、第1領域に表示される部分画像に基づく画像(例えば同じ内容)を手前側である他の表示部にも表示しているので、重なる部分について画像が欠けることを防止できる。
【0013】
また、複数の表示部は、光を透過する透過状態と光を散乱する散乱状態とに切り替え可能となっており、制御部は、一の表示部の散乱状態と透過状態との切り替え期間及び他の表示部の透過状態と散乱状態との切り替え期間が、部分画像を表示している期間となるように制御してもよい。このようにすることにより、2つの重なる領域に第1領域に表示される部分画像に基づく画像が表示されている期間に透過状態から散乱状態に遷移させるため、表示部分の切り替えによる表示への影響も抑えることができる。
【0014】
また、制御部は、第1領域に表示される部分画像のうち観察者から画像が視認されない部分にかかる画像の表示期間を散乱状態と透過状態との切り替え期間としてもよい。このようにすることにより、表示部が重なっており、観察者から視認できない部分で他の表示部への表示の切り替えをすることができる。そのため、切り替え時に漏れ光等を抑えることができる。
【0015】
また、表示部周囲の温度を検出する温度検出部を更に備え、制御部は、第1領域及び第2領域の範囲を温度検出部の検出結果に基づいて変化させてもよい。このようにすることにより、温度により散乱状態等への切り替え期間が変化することに対応することができる。したがって、表示部周囲の温度が変化しても画像の欠けや漏れ光等を抑えることができる。
【0016】
また、観察者の視線を検出する視線検出部を更に備え、制御部は、第1領域及び第2領域の範囲を視線検出部の検出結果に基づいて変化させてもよい。このようにすることにより、観察者の位置に応じて第1領域及び第2領域の範囲を調整して切れ目のない表示をすることができる。
【0017】
また、表示部を3以上備え、制御部は、複数の表示部のうち少なくとも隣接する2つの表示部には、第2領域に前記第1領域に表示される部分画像に基づく画像を表示させ、残りの表示部には、前記第1領域に表示される部分画像に基づく画像が表示されないように制御してもよい。このようにすることにより、切れ目のない奥行き表示と平面表示とを混在させることができる。
【0018】
また、本発明の一実施形態にかかる表示方法は、観察者からの距離がそれぞれ異なる位置に表示される複数の表示部を備え、複数の表示部は、少なくとも当該複数の表示部のうちの一の表示部の一部である第1領域及び前記一の表示部と隣接かつ観察者側に配置された他の表示部の一部である第2領域が、観察者からみて重なるように表示されている表示装置の表示方法において、複数の表示部にそれぞれ画像を表示させる制御工程を含み、その制御工程は、第1領域に表示される部分画像に基づく画像を第2領域に表示させている。このようにすることにより、少なくとも表示部の一部が重なるように表示されるので、漏れ光等を極力少なくすることができる。また、一の表示部と他の表示部とが重なる部分においては、第1領域に表示される部分画像に基づく画像(例えば同じ内容)を手前側である他の表示部にも表示しているので、重なる部分について画像が欠けることを防止できる。
【0019】
また、上述した表示方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする表示プログラムとしてもよい。このようにすることにより、コンピュータを用いて、一の表示部と他の表示部とが重なる部分においては、第1領域に表示される部分画像に基づく画像(例えば同じ内容)を手前側である他の表示部にも表示しているので、重なる部分について画像が欠けることを防止できる。
【0020】
また、上述した表示プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例1】
【0021】
本発明の第1の実施例にかかる表示装置1を
図1乃至
図5を参照して説明する。表示装置1は、
図1等に示したように、プロジェクタ3からの投影光を表示する装置であり、映像制御装置6と、スクリーン13と、を備えている。
【0022】
プロジェクタ3は、例えばLED(発光ダイオード)やレーザ等を光源として表示させたい映像をミラー4を介して表示装置1のスクリーン13に投射する。
【0023】
制御部としての映像制御装置6は、外部から入力された映像(画像)又は内部に記憶されている映像等を後述する加工処理を施してプロジェクタ3に出力する。
【0024】
表示部としてのスクリーン13は、4つのスクリーン13a、13b、13c、13dからなる。スクリーン13aは、例えばマイクロレンズアレイや光散乱シート等の透明スクリーンで構成され、長方形状に形成されている。なお、本実施例では、スクリーン13a、13b、13c、13dは短冊状であるが、正方形等他の矩形状であってもよい。また、プロジェクタ3を必要としない自発光ディスプレイ(EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等)であってもよい。
【0025】
次に、上述した構成の表示装置1を使用した映像表示について
図2乃至
図5を参照して説明する。
図2は、スクリーン13に投影された映像の表示の説明図である。
図2においては、スクリーン13a、13b、13c、13dのみを示して簡略化する。
図2に示したように、スクリーン13a、13b、13c、13dには投影部としてのプロジェクタ3から映像が投影される。このとき、表示装置1は、投影光がスクリーン13a、13b、13c、13dの間から漏れないように投影光の光線が必ず1つ以上のスクリーンにかかる(重なる)ように配置されている。
【0026】
図3にスクリーン13に投影された投影光の観察者からの見え方を示す。
図3(a)は投影光の投影される側から見たスクリーンの表示状態を示し、
図3(b)は
図3(a)の観察者からの見え方を示す。
図3においては、映像制御装置6から出力された映像がプロジェクタ3から投影光としてスクリーン13a、13b、13c、13dに投影される。
【0027】
図3(a)のように、スクリーン13a、13b、13c、13dに投影光が投影されると、
図2に示した観察者からは
図3(b)のように見え、奥行きを感じるような表示(奥行き表示)となる。
【0028】
次に、各スクリーン13a、13b、13c、13dに表示する映像について説明する。上述したように、各スクリーン13a、13b、13c、13dは、プロジェクタ等からの投影光が漏れないように配置されるので、観察者からは各スクリーン13a、13b、13c、13dの短手方向の端部が重なっている。そのため、各スクリーン13a、13b、13c、13dに表示する映像を単純にスクリーン数で分割した場合は、スクリーンの境界で映像が欠けて見えてしまう。そこで、本実施例では、映像制御装置6で元の映像を加工して表示する。加工の方法について
図4及び
図5を参照して説明する。
【0029】
図4の元映像は加工前の映像である。この元映像に対して全映像期間のうち終端が削除され加工映像のようになる。加工映像のうち、各スクリーンに表示される映像期間は占有期間となり、元映像から削除された部分に対応する期間は重畳期間となる。
【0030】
重畳期間は、投影映像(プロジェクタ等へ出力する映像)において、各スクリーンに表示する映像期間である占有期間の間に挿入される期間である。重畳期間のうち、投影光の光線が観察者から見て奥側のスクリーンにかかり観察者から視認できない期間は切替期間として、映像をOFFとする或いは黒画像を挿入する等の加工がされる。そして、重畳期間から切替期間を引いた残りの期間が視線ずれに対する調整期間となる。
【0031】
この調整期間においては、当該調整期間後の占有期間の先頭部分と同じ映像が表示されるようにする。例えば、
図4の映像の一番上部分を表示するスクリーンは、占有期間aと調整期間a−bに対応する映像が投影される。即ち、
図4の例では、調整期間にかかる画像が表示されるスクリーン13aの領域が一の表示部の一部である第1領域となり、当該調整期間にかかる画像と同じ画像が表示されるスクリーン13bの領域が他の表示部の一部である第2領域となる。したがって、これらの領域に表示される映像が、第1領域及び前記第2領域に表示される部分画像となる。つまり、この調整期間にかかる部分を表示しているスクリーン13aの下端部が第1領域、スクリーン13bの上端部でこの調整期間に表示される部分と同じ表示内容を表示している部分が第2領域となる。このようにすることにより、
図5に示したように、観察者から見える映像には欠けが無くなり、切れ目無く表示できる。
【0032】
なお、上述した説明では、部分画像は第1領域と第2領域とで同じ内容としていたが、厳密に同一ではなく、輝度や解像度が異なってもよいし、どちらかの画像に補正を加えた画像であってもよい。つまり、切れ目のないと映像と観察者が視認できる範囲で両者に差異があってもよい。即ち、第1領域に表示される部分画像に基づく画像を第2領域に表示させればよい。
【0033】
本実施例によれば、観察者からの距離がそれぞれ異なる位置に表示されるスクリーン13a、13b、13c、13dと、スクリーン13a、13b、13c、13dにそれぞれ画像を表示させる映像制御装置6と、を備えている。そして、スクリーン13a、13b、13c、13dは、スクリーン13a、13b、13c、13dのうちのスクリーン13aの下端部及びスクリーン13bの上端部が、観察者からみて重なるように表示され、映像制御装置6は、スクリーン13aの上端部及びスクリーン13bの下端部に、同じ部分画像を表示させる。このようにすることにより、例えばスクリーン13a、13bのそれぞれの端部が重なるように配置されるので、漏れ光等を極力少なくすることができる。また、スクリーン13aとスクリーン13bとが重なる部分においては、同じ内容を手前側であるスクリーン13bにも表示しているので、重なる部分について画像が欠けることを防止できる。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の第2の実施例にかかる表示装置を
図6を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
本実施例は、上述した表示装置1をヘッドアップディスプレイに応用した例である。ヘッドアップディスプレイ100は
図6に示すように、表示装置1と、フィールドレンズ2と、プロジェクタ3と、ミラー4と、コンバイナ7と、を備え、自動車等の車両に搭載される。
【0036】
フィールドレンズ2は、表示装置1からの出射光をコンバイナ7の方向へ集光する。
【0037】
ミラー4は、プロジェクタ3から投影された投影光を表示装置1に向けて反射する。
【0038】
本実施例にかかる映像制御装置6は、虚像として表示する映像を生成或いは外部から取得して、
図7等で説明した加工を施してプロジェクタ3に出力する。
【0039】
コンバイナ7は、例えば自動車のフロントガラス(ウインドシールドともいう)に設けられ、フィールドレンズ2からの出射光(映像光)を観察者に向けて反射する。
【0040】
上述したヘッドアップディスプレイ100は、映像制御装置6から出力された映像がプロジェクタ3から映像光として投射され、ミラー4で反射されて表示装置1のスクリーン13に投影される。スクリーン13に投影された映像は、フィールドレンズ2を介してコンバイナ7で観察者に向けて反射されることで、観察者からはコンバイナ7(フロントガラス)を挟んだ先に虚像Vとして視認される。
【0041】
この虚像Vにおいても、複数の虚像は、観察者から異なる位置に表示され、当該虚像における第1領域に相当する領域と第2領域に相当する領域が観察者からみて重なるように表示される。
【0042】
本実施例によれば、表示装置1をヘッドアップディスプレイ100に用いているので、ヘッドアップディスプレイ100において観察者が視認する虚像Vについて、切れ目のない表示をすることができる。
【実施例3】
【0043】
次に、本発明の第3の実施例にかかる表示装置を
図7乃至
図10を参照して説明する。なお、前述した第1、第2の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施例は、基本的な構成は、第1の実施例に示した表示装置1と同じであるが、スクリーン13(13f、13g、13h、13i)の大きさや素子が異なる。
【0045】
本実施例にかかる表示装置1Aの概略構成を
図7に示す。表示装置1は、第1の実施例と同様に、プロジェクタ3からの投影光を表示する装置であり、映像制御装置6と、スクリーン駆動装置8と、スクリーン13と、を備えている。
【0046】
本実施例のスクリーン13は、高さ方向が同じかつ第1の実施例のスクリーン13a、13b、13c、13dの高さ方向の長さを合わせた長さと略同じ長さとなっている。つまり、スクリーン13f、13g、13h、13iは、略全面が互いに重なるように配置されている。
【0047】
また、本実施例におけるスクリーン13は、電圧の印加により光学状態が変化するスクリーンが使用されている。スクリーン13の光学状態は、散乱状態が映像状態であり、それよりも入射光の散乱が小さく且つ平行光線透過率が高い透明な透過状態が非映像状態である。即ち、光に対し透過状態と散乱状態とを切り替え可能となっている。
【0048】
スクリーン13は、例えば、液晶材料を用い、散乱状態と入射光の散乱が小さい透明な透過状態を変化させる調光スクリーンなどでよい。調光スクリーンには、例えば、高分子分散液晶などの液晶素子を用いたものなどがある。
【0049】
図8に、光学状態を制御可能なスクリーン13の模式的な断面図を示す。
図8に示したスクリーン13は、一対の透明なガラス板21、22の間に液晶を含む複合材料等を挟み込んだ光学層25を有する。一方のガラス板21の光学層25側には、コモン電極23が形成される。他方のガラス板22の光学層25側には、スキャン電極24が形成される。なお、電極23、24と光学層25との間に、絶縁体からなる中間層を形成してもよい。
【0050】
また、コモン電極23およびスキャン電極24は、たとえばITO(酸化インジウム・スズ)により、透明電極として形成される。光学層25は、コモン電極23とスキャン電極24との間に配置される。
【0051】
スクリーン13は、第1電極としてのスキャン電極24と第2電極としてのコモン電極23との間に電位差を生じるように電圧が印加される。光学層25内の光学状態は、コモン電極23とスキャン電極24の印加電圧により変化する。
【0052】
スクリーン13は、電位差を生じるように電圧が印加された際の状態によりリバースモードとノーマルモードに分類される。リバースモードで動作するスクリーン13は、電圧を印加していない通常状態において、スクリーン13が透明な透過状態となる。電圧を印加すると、印加電圧に応じた平行光線の散乱率の散乱状態となる。ノーマルモードで動作するスクリーンでは、電圧を印加していない通常状態において、スクリーン1が散乱状態となる。電圧を印加すると、印加電圧に応じた平行光線透過率の透明な透過状態となる。そして、スクリーン13の光学状態は、所定の散乱状態が映像状態に対応し、それよりも平行光線透過率が高い透明な透過状態が非映像状態に対応する。なお、以下の説明では、リバースモードで説明するがノーマルモードでも適用できる。
【0053】
映像制御装置6は、第1の実施例と同様に外部から入力された映像又は内部に記憶されている映像等を上述した加工処理を施してプロジェクタ3に出力する。
【0054】
スクリーン駆動装置8は、後述する駆動を行うために、スクリーン13f、13g、13h、13iの透過状態/散乱状態の制御やプロジェクタ3の投影タイミングの制御等を行う。
【0055】
次に、上述したスクリーン13の動作を
図10のタイミングチャートを参照して説明する。
図10は
図9に示したように、観察者側からスクリーン13i、13h、13g、13fの順に配置されている。
図10の表示映像は、
図3と同じものである。また、スクリーン13fの領域13f1には
図3のスクリーン13aに対応する画像が表示され、スクリーン13gの領域13g1には
図3のスクリーン13bに対応する画像が表示される。スクリーン13hの領域13h1には
図3のスクリーン13cに対応する画像が表示され、スクリーン13iの領域13i1には
図3のスクリーン13dに対応する画像が表示される。即ち、スクリーン13f、13g、13h、13iは、前記した領域のみを散乱状態とすることが可能となるように電極が形成されている。
【0056】
図10の表示期間は、fがスクリーン13fの表示期間、gがスクリーン13gの表示期間、hがスクリーン13hの表示期間、iがスクリーン13iの表示期間をそれぞれ示す。表示期間のうち、占有期間fs、gs、hs、isと、重畳期間fc、gc、hcと、切替期間fk、gk、hkとは、第1の実施例で説明した占有期間、重畳期間、切替期間に相当する。
【0057】
映像信号は、表示映像を表示期間ごとに分解したものである。制御信号fは、スクリーン駆動装置8が出力するスクリーン13fに対する透過状態と散乱状態との切替信号(Hiが散乱状態にする)である。同様に、制御信号gは、スクリーン駆動装置8が出力するスクリーン13gに対する透過状態と散乱状態との切替信号、制御信号hは、スクリーン駆動装置8が出力するスクリーン13hに対する透過状態と散乱状態との切替信号、制御信号iは、スクリーン駆動装置8が出力するスクリーン13iに対する透過状態と散乱状態との切替信号である。
【0058】
光学特性fは、スクリーン13fの光学特性(Hiが散乱状態)である。同様に、光学特性gは、スクリーン13gの光学特性、光学特性hは、スクリーン13hの光学特性、光学特性iは、スクリーン13iの光学特性である。
【0059】
図10に示したように、本実施例では、スクリーン13が切り替わる過渡期間(光学特性の立上りと立下りの期間)が切替期間となるように、スクリーン駆動装置8は、制御信号f、g、h、iを生成する。例えば、光学特性fの立下り期間と光学特性gの立上り期間とは、切替期間fkの期間となるように制御信号fの立下りタイミングと制御信号gの立上りタイミングがスクリーン駆動装置8により制御されている。即ち、スクリーン駆動装置8(制御部)が、例えばスクリーン13f(一の表示部)の散乱状態から透過状態への切り替え期間及びスクリーン13g(他の表示部)の透過状態から散乱状態への切り替え期間が、部分画像のうち観察者から画像が視認されない部分にかかる画像の表示期間(切替期間fk)となるように制御している。
【0060】
本実施例によれば、例えば重畳期間fjに表示される部分画像のうち観察者から画像が視認されない部分にかかる画像の表示期間である切替期間fkを透過状態から散乱状態への切り替え期間としている。このようにすることにより、スクリーンが重なっており、観察者から視認できない部分で他のスクリーンへの表示の切り替えをすることができる。そのため、切り替え時に漏れ光等を抑えることができる。
【0061】
また、透過状態と散乱状態とに切り替え可能なスクリーン13f、13g、13h、13iにおいて、散乱状態の期間を順次スクリーン間で遷移させることにより、奥行き表示を行っている。このようにすることにより、散乱状態とする領域を電極を分割することで任意の領域にすることができる。
【0062】
なお、上述した散乱状態から透過状態への切替期間や透過状態から散乱状態への切替期間は、上述した切替期間fk等とすることが好ましいが、重畳期間であればよい。重畳期間であれば、同じ映像(部分画像)が表示される期間を必ず含むので、切り替え時における表示への影響を抑えることができる。
【0063】
また、上述した説明では、スクリーン13f、13g、13h、13iの順に散乱状態が遷移していたが、逆にスクリーン13i、13h、13g、13fの順に遷移させてもよい。この場合も上記と同様にすることにより、切り替え時における表示への影響を抑えることができる。即ち、一の表示部の散乱状態と透過状態との切り替え期間及び他の表示部の透過状態と散乱状態との切り替え期間が、部分画像を表示している期間となるように制御すればよい。
【実施例4】
【0064】
次に、本発明の第4の実施例にかかる表示装置を
図11乃至
図20を参照して説明する。なお、前述した第1乃至第3の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
本実施例は、第3の実施例で説明した構成を含む表示装置1Aの応用例を示すものである。
【0066】
図11は、
図6に示したヘッドアップディスプレイ100に、表示装置1Aとともに視線検出器11も備えたヘッドアップディスプレイ100Aである。視線検出部としての視線検出器11は、例えば、カメラで構成され、観察者の目の目頭と虹彩などの位置関係から観察者の視線を周知の方法で検出する。なお、視線検出の方法は、前記した方法に限らず、他の方法であってもよい。
【0067】
映像制御装置6は、視線検出器11による視線検出の結果に基づいて、プロジェクタ3に出力する映像における重畳期間を調整する。調整方法について
図12乃至
図14を参照して説明する。
図12は、
図12(a)に示したようにスクリーン13が配置されているときに正面(θ=0°)から観察した場合である。この場合、
図12(b)に示すような重畳期間Tc1−1、Tc1−2が設定される。そして、このような画像は観察者からは
図12(c)のように見える。
【0068】
次に、
図13は、
図12(a)と同じスクリーン13の配置で下(θ=−20°)から観察した場合である。この場合、
図13(b)に示すような重畳期間Tc2−1、Tc2−2が設定される。このTc2−1、Tc2−2は、Tc1−1、Tc1−2よりも長い期間である。これは、
図13(a)のように、下から観察する場合は、スクリーン13が重なって見える領域が大きくなるためである。そして、このような画像は観察者からは
図13(c)のように見える。つまり、下から観察していると検出された場合は第1領域(重畳領域)を正面から観察した場合よりも大きくする。第1領域が大きくなるので、同じ部分像を表示する第2領域も大きくなる。
【0069】
次に、
図14は、
図12(a)と同じスクリーン13の配置で上(θ=20°)から観察した場合である。この場合、
図14(b)に示すような重畳期間Tc3−1、Tc3−2が設定される。このTc3−1、Tc3−2は、Tc1−1、Tc1−2よりも短い期間である。これは、
図14(a)のように、上から観察する場合は、スクリーン13が重なって見える領域が小さくなるためである。そして、このような画像は観察者からは
図14(c)のように見える。つまり、上から観察していると検出された場合は第1領域(重畳領域)を正面から観察した場合よりも小さくする。第1領域が小さくなるので、同じ部分像を表示する第2領域も小さくなる。
【0070】
図11の構成の場合は、例えば正面に相当する基準位置を予め定め、その位置に対して下から観察しているか、上から観察しているかを視線検出器11の検出結果に基づいて判定し、その検出結果(角度)に応じて映像制御装置6が重畳期間を調整している。
【0071】
図11乃至
図14によれば、観察者の視線を検出する視線検出器11を更に備え、映像制御装置6は、第1領域及び第2領域の範囲を視線検出器11の検出結果に基づいて変化させている。このようにすることにより、観察者の位置に応じて第1領域及び第2領域の範囲を調整して切れ目のない表示をすることができる。
【0072】
なお、
図11乃至
図14の方法は、第1、第2の実施例で説明した形態においても適用することができる。
【0073】
図15は、
図6に示したヘッドアップディスプレイ100に、表示装置1Aとともに温度センサ12も備えたヘッドアップディスプレイ100Bである。温度検出部としての温度センサ12は、スクリーン13の近傍に配置され、スクリーン13近傍の温度を検出する。なお、温度センサ12はサーミスタ等周知のセンサ素子を用いればよい。
【0074】
図15の構成では、温度センサ12の検出結果に基づいてスクリーン13の切替期間を変化させている。タイミングチャートを
図16に示す。
図16は、各波形の項目は
図10と同様である。
図8に示したスクリーン13は、温度によって、散乱状態と透過状態とに切り替わる時間が変化する。そこで、
図16において、温度センサ12によって検出されたスクリーン13の周囲温度に基づいて、光学特性の過渡応答期間(過渡期間)が遅くなった場合は、切替期間fk、gk、hkを長くする。したがって、
図16の光学特性f、g、h、iのように、温度の影響により立下りが緩やかになってしまった場合でも、その期間を切替期間として映像表示への影響を少なくしている。
【0075】
図15及び
図16によれば、スクリーン13の周囲の温度を検出する温度センサ12を更に備え、映像制御装置6は、第1領域及び第2領域の範囲を温度センサ12の検出結果に基づいて変化させている。このようにすることにより、温度により散乱状態等への切り替え期間が変化することに対応することができる。したがって、スクリーン13の周囲の温度が変化しても映像の欠けや漏れ光等を抑えることができる。
【0076】
図17は、
図6に示したヘッドアップディスプレイ100に、表示装置1Aとともに近接センサ15も備えたヘッドアップディスプレイ100Cである。近接センサ15は、例えばヘッドアップディスプレイ100Cが設置される車両の前端部や後端部等に配置され、例えば超音波や赤外線により歩行者等の検出をすることができる周知の方式のセンサであればよい。
【0077】
図17の構成では、近接センサ15の検出結果に基づいてスクリーン13の表示を変化させている。タイミングチャートを
図18に示す。
図18は、各波形の項目は
図10と同様である。
図18において、近接センサ15が歩行者等を検出すると、スクリーン13hの表示を停止し、スクリーン13iにスクリーン13hの表示領域も合わせた大きさの平面画像(「歩行者注意」)を表示する。スクリーン13f、13gは、
図10等と同様に奥行き表示を行う。即ち、スクリーン(表示部)を3以上備え、表示制御装置6及びスクリーン駆動装置8は、スクリーン13f、13g、13h、13i(複数の表示部)のうちスクリーン13f、13g(少なくとも隣接する2つの表示部)には、第1領域及び第2領域に、同じ部分画像を表示させ、スクリーン13i(残りの表示部)の第1領域及び第2領域には、同じ部分画像が表示されないように制御している。
【0078】
図17及び
図18によれば、スクリーン13f、13g、13h、13iのうち、スクリーン13fの第1領域とスクリーン13gの第2領域に同じ部分画像を表示するようにし、スクリーン13iにはスクリーン13f、13gとは異なる平面画像を表示するようにしている。即ち、スクリーン13gの第2領域には、スクリーン13fの第1領域に表示される部分画像に基づく画像を表示させ、残りのスクリーンには、奥側に隣接するスクリーンの第1領域に表示される部分画像に基づく画像が表示されないので、奥行き表示と平面表示が混在するような表示をすることができる。
【0079】
図19は、表示装置1Aをアミューズメント機器に利用した例である。アミューズメント機器200は、筐体30内に、表示装置1Aと、プロジェクタ3と、ミラー4と、ハーフミラー31と、ディスプレイ32と、が収容されている。そして、筐体30には、ハンドル33が取り付けられ、自動車の模型Cを運転するドライブゲームとなっている。
【0080】
プロジェクタ3は、他の実施例と同様に、映像制御装置6から出力された画像情報を投影光としてミラー4へ出射する。ミラー4は、プロジェクタ3から投影された投影光を表示装置1に向けて反射する。
【0081】
ハーフミラー31は、ディスプレイ32からの光は透過するとともに、スクリーン13からの光は観察者に向けて反射する。ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやELディスプレイ等の表示装置で構成されている。
【0082】
なお、
図11に示した構成、
図15に示した構成、
図17に示した構成は、互いに組み合わせてもよい。
【0083】
上述した構成のアミューズメント機器200は、
図20に示すように、背景がディスプレイ22に表示されるとともに、自動車の模型Cが走行する道路部分が表示装置1によって奥行きを持った表示となる。
【0084】
なお、スクリーンの形状としては、矩形に限らず、
図21や
図22に示したようなフリーフォーム形状であってもよい。
図21に示したスクリーン13j、13k、13lは、図示したように矩形以外の形状となっている。そして、
図21に示したスクリーンは、
図22に示すように、車両のヘッドアップディスプレイ等に利用した場合は、右側にはメータ等、左側には、案内情報や注意喚起等の各種情報を表示することができる。
【0085】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の表示装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。