特許第6639786号(P6639786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱航空機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000002
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000003
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000004
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000005
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000006
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000007
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000008
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000009
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000010
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000011
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000012
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000013
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000014
  • 特許6639786-ワイヤハーネスの製造支援システム 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6639786
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスの製造支援システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20200127BHJP
   H01B 13/012 20060101ALI20200127BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20200127BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   H01B13/012 D
   H01B13/00 Z
   H01B7/00 301
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-18393(P2015-18393)
(22)【出願日】2015年2月2日
(65)【公開番号】特開2016-143223(P2016-143223A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2018年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】508208007
【氏名又は名称】三菱航空機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(72)【発明者】
【氏名】外山 浩司
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 均
(72)【発明者】
【氏名】池田 佳文
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−021063(JP,A)
【文献】 特開2010−201550(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/181060(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H01B 7/00
H01B 13/00
H01B 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを構成する複数の電線がその上で配線されるワークテーブルと、
複数の前記電線のそれぞれに対応する配線経路データを保持するデータベースと、を備え、
前記ワークテーブルは、単独で画像を表示する機能を備えており、
前記データベースに保持される複数の前記配線経路データに基づいて、配線経路を順に前記ワークテーブルに表示するワイヤハーネスの製造支援システムであって
同じ束に属する前記電線の前記配線経路が、前記ワークテーブルに順に表示されるとともに、
前記ワークテーブルに表示された前記配線経路での配線の終了を認識して、次の配線経路が前記ワークテーブルに表示されるように構成されている、
ことを特徴とするワイヤハーネスの製造支援システム。
【請求項2】
複数の前記配線経路を、同じ前記配線経路の単位で、前記ワークテーブルに順に表示させる、
請求項1に記載のワイヤハーネスの製造支援システム。
【請求項3】
前記データベースは、複数の前記電線のそれぞれに対応する複数の電気コネクタの接続関係データを保持し、
前記データベースに保持される前記接続関係データに基づいて、互いに接続される前記電線と前記電気コネクタとの接続関係を前記ワークテーブルに表示する、
請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスの製造支援システム。
【請求項4】
前記接続関係は、
前記電線と前記電気コネクタが接続される位置に近接して表示される、
請求項3に記載のワイヤハーネスの製造支援システム。
【請求項5】
前記ワイヤハーネスの製造に必要な全ての配線が終了したことを認識して、配線した前記電線を束ねる結束の作業を促す表示がされるように構成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のワイヤハーネスの製造支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスを効率よく製造するのを支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、入力装置、制御装置及び出力装置の間をワイヤハーネス(wire harness 以下、単にハーネスということがある)で接続されるシステムは、システムを組み上げる前に、ハーネスを別の場所で製造することがある。ハーネスを製造するには、通常、複数の電線を所定の位置に配線してから結束し、その後、束に含まれるそれぞれの電線を電気コネクタの対応する端子に接続するという作業を行う。なお、ここでいう電線を配線するとは、電線を必要な位置に配置することをいう。
システムが大規模になりハーネスの数が多くなると、それに応じてハーネスを構成する電線及びコネクタの数も多くなるので、ハーネスの製造に多大な時間を費やすことになる。ハーネスとは、コネクタと複数本の電線を束ねた電線束(バンドル)で構成されるアセンブリをいう。
【0003】
特許文献1には、外装部材の流通コストを削減してワイヤハーネスを安価に製造できる製造システムが開示されている。特許文献1のシステムは、製造対象となるワイヤハーネスが備える電線体を、幹部を中心として、枝部、端末部と広がる略階層的な3種類の部分に分けて構成する。つまり、特許文献1は、ワイヤハーネスの組立に必要な外装部材の種類を少なくすることにより、ワイヤハーネスの組み立てに必要な外装部材を製造する機器を単一工場内に設けることを可能とし、その目的を達成しようというものである。このように、特許文献1には、効率よく電線を配線すること、さらには、配線された電線とコネクタの接続することについての言及はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−252977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、効率よく電線を配線すること、さらには、配線された電線とコネクタを効率よく接続することができるワイヤハーネスの製造支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワイヤハーネスの製造支援システムは、ワイヤハーネスを構成する複数の電線がその上で配線されるワークテーブルと、複数の電線のそれぞれに対応する配線経路データを保持するデータベースと、を備え、データベースに保持される複数の配線経路データに基づいて、配線経路をワークテーブルに表示することを特徴とする。
【0007】
本発明の製造支援システムにおいて、複数の配線経路を、同じ配線経路の単位で、ワークテーブルに順に表示させることができる。
【0008】
本発明の製造支援システムにおいて、データベースは、複数の電線のそれぞれに対応する複数の電気コネクタの接続関係データを保持し、データベースに保持される接続関係データに基づいて、互いに対応する電線と電気コネクタとの接続関係をワークテーブルに表示させることができる。
【0009】
本発明の製造支援システムにおいて、電線と電気コネクタの接続関係は、電線と電気コネクタが接続される位置に近接して表示させることができる。
【0010】
本発明の製造支援システムにおいて、ワークテーブルは、単独で画像を表示する機能を備えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のワイヤハーネスの製造支援システムによると、電線の配線作業をするワークテーブルに、製造すべきワイヤハーネスを構成する電線の配線経路を順に表示するので、それぞれの電線を配線すべき経路を一目で認識でき、配線すべき経路を多くの配線経路から探し出す必要がない。したがって、本発明の製造支援システムによると、ワイヤハーネスを効率よく製造することができる。
しかも、本発明の製造支援システムは、電気コネクタの電線への接続作業においても、接続すべき電線とコネクタの接続関係を表示するので、電気コネクタの接続先を探し出す必要もない。したがって、コネクタの接続作業を含めたワイヤハーネスの製造期間を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のワイヤハーネスの製造支援システムの構成概要を示す図である。
図2図1の製造支援システムの機能ブロックを示す図である。
図3図2の第1記憶部DB1に記憶されているワイヤハーネスの識別情報の一例を示す図である。
図4図2の第2記憶部DB2に記憶されている配線情報の一例を示す図である。
図5図2の第3記憶部DB3に記憶されている接続情報の一例を示す図である。
図6図1のワークテーブルに表示される配線経路の表示例を示す図である。
図7図1のワークテーブルに表示される接続情報の表示例を示す図である。
図8図1の製造支援システムにおける配線ステップの手順を示す図である。
図9図1の製造支援システムにおけるコネクタ接続ステップの手順を示す図である。
図10図1の製造支援システムを用いてワイヤハーネスを製造する作業工程を順に示す図である。
図11図9の続きの作業工程を順に示す図である。
図12】配線ステップにおけるガイダンスを示す図である。
図13】コネクタ接続ステップにおけるガイダンスを示す図である。
図14】本実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態のワイヤハーネスの製造支援システム1は、図1及び図2に示すように、コントローラ3と、データベース5と、ワークテーブル7と、入力部9と、を備える。製造支援システム1は、製造しようとするワイヤハーネスの識別情報を入力部9に入力すると、ワークテーブル7に、ワイヤハーネスを構成する個々の電線を配線すべき位置を、つまり配給経路を順に表示し、次いで、個々の電線と、これに接続されるべき電気コネクタ(以下、単にコネクタ)のピンとの関係、つまりコネクタ接続情報を表示する。ワイヤハーネスを製造する作業者は、この表示に従ってワークテーブル7の表面に電線を配線し、その後に、コネクタを電線に接続してワイヤハーネスを製造する。
なお、以下の説明では、本発明の一例を説明するのに必要な最低限のワイヤハーネス、電線コネクタを掲げているが、現実には、数多くのワイヤハーネス等に適用することができる。
【0014】
コントローラ3は、製造支援システム1の動作を司るものであり、入力部9からワイヤハーネスの識別情報ID_WHが入力されると、この識別情報ID_WHに対応する電線の配線情報及びコネクタの接続情報をデータベース5から読み出す。コントローラ3は、読み出した配線情報及び接続情報に基づいて、ワークテーブル7に電線を配線経路、電線とコネクタとの接続情報を表示するように指示する。
コントローラ3は、パーソナルコンピュータ、その他のコンピュータ装置により構成することができる。このコンピュータ装置は、液晶表示装置などのディスプレイを伴うものとする。
【0015】
データベース5は、図2に示すように、製造の対象となるワイヤハーネスに関するフォームボードに属するワイヤハーネスの識別情報ID_Fを予め記憶する第1記憶部DB1と、電線の配線情報を予め記憶する第2記憶部DB2と、コネクタの接続情報を予め記憶する第3記憶部DB3と、を備えている。ここで、フォームボードとは、ワイヤハーネスを製造するために必要な電線の配線経路、電線とコネクタとの接続関係などが示されている設計図面と言えるダイアグラムである。
図3に、第1記憶部DB1に記憶されるフォームボードに属するワイヤハーネスの識別情報ID_Fの一例が示されている。この例は、識別情報(フォームID)がF01というフォームボードと、これに属する123−A,123−B、123−C・・・という識別情報(ハーネスID)のワイヤハーネスと、が対応付けられ、また、フォームIDがF02というフォームボードと、これに属する234−A,234−B、234−C・・・というハーネスIDのワイヤハーネスと、が対応付けられたものである。また、それぞれのハーネスIDに対応するコネクタの識別情報(コネクタID)も、図3に示すように、第1記憶部DB1に記憶されている。したがって、フォームIDが選択されれば、そのフォームボードFに属するハーネスIDを特定することができ、また、ハーネスIDに属するコネクタIDを特定することができる。
【0016】
図4に、第2記憶部DB2に記憶される配線情報WIの一例が示されている。この例は、ハーネスIDが123−Aというワイヤハーネスと、ハーネスIDが123−Bというワイヤハーネスの2つの配線情報を示している。そして、配線情報は、それぞれの電線を識別する情報(ワイヤID)と当該電線の配線経路が対応付けられたものであり、ワイヤIDが選択されれば、そのワイヤIDの電線の配線経路を特定することができる。
この配線経路は、ワークテーブル7を2次元座標とみなし、ワークテーブル7の任意の位置を、(x0,y0)〜(xn,yn)の組み合わせで表している。
例えば、ハーネスIDが123−Aのワイヤハーネスにおいて、ワイヤIDがW−1aの電線の配線経路は、(x1,y1)-(x2,y2)-(x3,y3)で特定され、ハーネスIDが123−Bのワイヤハーネスにおいて、ワイヤIDがW−11aの電線の配線経路は、(x11,y11)-(x12,y12)-(x13,y13)で特定される。前者の配線経路は、始点位置が(x1,y1)及び終点位置が(x3,y3)であり、中継位置が(x2,y2)であることを示している。また、後者の配線経路は、電線の始点位置が(x11,y11)及び終点位置が(x13,y13)であり、中継位置が(x12,y12)であることを示している。
なお、配線経路が、2つの位置座標で特定される場合には、当該配線経路は直線であることを、また、3つ以上の位置座標で特定される場合には、当該配線経路が屈曲部分を含むことを表している。
また、配線経路が同じ電線はワイヤハーネスにおいて、同じ束(バンドル)に属することになる。例えば、W−1a,W−1b,W−1cは同じ束に属する。
【0017】
図5は、第3記憶部DB3に記憶される接続情報の一例を示している。この例は、識別情報(コネクタID)がCC−1というコネクタと、コネクタIDがCC−2という2つのコネクタの接続情報を示している。そして、接続情報は、それぞれのコネクタが備えるピンを識別する情報(ピンID)と当該ピンに接続される電線の識別情報(接続先ワイヤ)が対応付けられたものであり、ピンIDが選択されれば、そのピンに接続される電線が特定されることになる。
【0018】
第2記憶部DB2に記憶されている配線情報及び第3記憶部DB3に記憶されている接続情報は、ワイヤハーネスの製造作業中に、コントローラ3により読み出されるとともに、これら情報に基づいてワークテーブル7に配線作業及びコネクタの接続作業を支援する表示が映し出される。
【0019】
次に、ワークテーブル7は、コントローラ3によりデータベース5から読み出された配線情報に基づいて、ワイヤハーネスを構成するそれぞれの電線の配線経路を表示する。また、ワークテーブル7は、コントローラ3によりデータベース5から読み出された接続情報に基づいて、ワイヤハーネスを構成するそれぞれの電線と、それに接続されるコネクタのピンの接続関係を表示する。以下、図6及び図7を参照して説明する。
【0020】
図6に示すように、電線の配線経路は、ワークテーブル7に表示される。ここでは、配線経路を破線で示しているが、これは、後述するように、実線で示される電線と区別をするためである。
図6(a)には、図4に例示されるハーネスIDが123−Aの3本の電線W−1a,W−1b,W−1cの配線経路が表示されている。次に、図6(b)には、図4に例示されるハーネスIDが123−Aの次の4本の電線W−2a,W−2b,W−2c,W−2dの配線経路が表示されている。このように、同じ配線経路に属する、つまり同じ束に属する電線が、ワークテーブル7に順に表示される。なお、ここでは、3本の電線W−1a,W−1b,W−1cを同時にワークテーブル7に表示させているが、図6(c)に示すように、3本の電線W−1a,W−1b,W−1cをこの順番で表示させることもできる。また、図示は省略するが、同時に全ての電線W−1a,W−1b,W−1c,W−2a,W−2b,W−2c,W−2dの配線経路をワークテーブル7に表示させることもできる。
【0021】
次に、図7は、それぞれの電線に対応するコネクタのピンの接続関係(接続情報)の表示例を示している。この表示例は、1a,1b,1cという3本のピンを備えるコネクタCC−1の画像が表示されるコネクタ画像V1と、3本のピン1a,1b,1cとそれぞれ接続される3本の電線W−1a,W−1b,W−1cが対応付けて表示される対応表示V2と、を含んでいる。
コネクタ画像V1及び対応表示V2よりも下方に示される実線の電線W−1a,W−1b,W−1cは、すでに配線が終わっている実際の電線を示している。作業者は、コネクタが実際に接続される位置に近接してコネクタ画像V1及び対応表示V2が表示され、作業者はこれらの情報を参照しながら、電線W−1a,W−1b,W−1cとコネクタCC−1のピン1a,1b,1cのそれぞれの接続作業を行うことができる。
以上のコネクタ画像V1及び対応表示V2と同様の表示が、他の電線とコネクタの接続位置に近接してなされる。
【0022】
入力部9は、作業対象となるフォームボードの識別情報ID_Fを入力する部分であり、入力部9から入力された識別情報ID_Fがコントローラ3に与えられると、この識別情報ID_Fに基づいて、データベース5から必要な配線情報及び接続情報を読み出す。
入力部9は、例えばコンピュータ装置に用いられるキーボードを適用することができ、この場合は、作業者がキーボードに識別情報ID_Fに打ち込む。また、一次元コードあるいは二次元コードといったコード化された識別情報源のリーダを入力部9として用いることもできる。この場合、フォームボードを特定する情報が記述された一次元コードあるいは二次元コードを用意しておき、ワイヤハーネスを製造する際に、入力部9として機能するリーダにより識別情報を読み込む。その他、識別情報ID_Fを入力する手段は任意である。
【0023】
さて、以上の構成を備える製造支援システム1を用いてワイヤハーネスWHを製造する手順を、図8図13を参照して説明する。なお、一連の手順は、配線ステップとコネクタ接続ステップに区分される。また、以下で説明する手順は、ワイヤハーネスを構成する全ての電線を配線した後に、配線された電線を結束し、その後にコネクタを接続するという手順を採用している。
【0024】
[配線ステップ]
製造支援システム1は、製造対象のワイヤハーネスを含むフォームボードの識別情報ID_Fが入力部9に入力されると、コントローラ3は、データベース5の第1記憶部DB1を参照することにより、当該フォームボードに含まれるワイヤハーネスの識別情報ID_Wを特定する(図8 S101)。ここでは、図3に示される、フォームIDとして図3に示されるF−01が該当し、ハーネスIDは123−A、123−B、123−C、123−D・・・が該当するが、ここでは123−Aについて選択するものとする。すなわち、作業時間に制約があったり、その時の作業目標が完全な最終製品でなかったりすることがあり、その時の作業工程に応じて、単数又は複数のハーネスIDを選択することができる。
次に、コントローラ3は、データベース5の第2記憶部DB2を参照することにより、ハーネスIDが123−Aで特定されるワイヤハーネスを構成する全ての電線の配線情報を読み出す(図8 S103)。
コントローラ3は、読み出した配線情報(図4)基づいて、ワークテーブル7に画像として表示する配線経路の表示データを生成し(図8 S105)、次いで、この表示データに基づいて、ワークテーブル7に配線経路を表示させる(図8 S107)。この配線経路は、ワークテーブル7に表示されるが、ここでは図6(a),(b)で例示したように、3本の電線W−1a,W−1b,W−1cの配線経路を表示し、次いで、4本の電線W−2a,W−2b,W−2c,W−2dの配線経路を順に表示するものとする。
【0025】
図10(a)に示すように、3本の電線W−1a,W−1b,W−1cの配線経路が表示されると、作業者は、図10(b)に示すように、実際に3本の電線W−1a,W−1b,W−1cをこの配線経路に倣って配線する。電線の現物は、実線で示されている。
このとき、コントローラ3が備えるディスプレイ4に、図12(a)に示すように、ワークテーブル7に表示されているのが電線W−1a,W−1b,W−1cであることを表示することができる。作業者は、このディスプレイ4の表示を参照することで、配線すべき電線Wの確認を行うことができる。そして、この表示は、配線が終了したことをコントローラ3に対して知らせるためのアイコン4Aを含んでおり、作業者はこのアイコン4Aをクリックすると、コントローラ3は電線W−1a,W−1b,W−1cの配線が終了したことを認識する。そうすると、コントローラ3は、図10(c)に示すように、4本の電線W−2a,W−2b,W−2c,W−2dの配線経路をワークテーブル7に表示させる。このとき、図12(b)に示すように、ディスプレイ4に、ワークテーブル7に表示されているのが電線W−2a,W−2b,W−2c,W−2dの配線経路であることを表示することができる。作業者は、図10(d)に示すように、実際に4本の電線W−2a,W−2b,W−2c,W−2dをこの配線経路に倣って配線する。作業者は、配線作業が終了すると、アイコン4Bをクリックする。
【0026】
仮に、電線W−1a,W−1b,W−1cの配線と、電線W−2a,W−2b,W−2c,W−2dの配線の終了により、ここでのワイヤハーネスの製造に必要な全ての配線が終了したとする。そうすると、コントローラ3は、図12(b)のアイコン4Bがクリックされると、全ての配線が終了したことを確認し(図8 S109 Y)、次いで、図12(c)に示すように、ディスプレイ4に、配線した電線を束ねる結束の作業を促す表示をさせる。作業者は、図11(a)に示すように、結線部材Buを用いて電線Wの結線作業を終了すると、図12(c)のアイコン4Cをクリックする。そうすると、コントローラ3は、結束も含めた配線ステップが終了したことを認識し、次のコネクタ接続ステップに移行する。
【0027】
[コネクタ接続ステップ]
コントローラ3は、データベース5の第1記憶部DB1を参照することにより、配線が終了したワイヤハーネスに対応するコネクタの識別情報ID_Cを特定する(図9 S201)。ここでは、図3に示される、CC−1及びCC−2の二つが該当するものとする。なお、ハーネスIDの設定と同様に、コネクタ接続ステップにおいてもコネクタの選択ができる。
次に、コントローラ3は、データベース5の第3記憶部DB3を参照することにより、識別情報ID_CがCC−1及びCC−2で特定されるコネクタを構成する全てのピンと接続相手となる電線の識別情報(接続先ワイヤ)の対応情報である接続情報を読み出す(図9 S203)。
【0028】
コントローラ3は、読み出したそれぞれの接続情報(図5)に基づいて、ワークテーブル7に表示するコネクタ接続に関する表示データを生成し(図9 S205)、次いで、この表示データに基づいて、ワークテーブル7に接続情報を表示させる(図9 S207)。この表示例は、図7に示した通りであり、作業者はこの表示を参照しながら、3本の電線W−1a,W−1b,W−1cをコネクタCC−1の対応するそれぞれのピンに接続する作業を行う。
このとき、コントローラ3が備えるディスプレイ4に、図13(a)に示すように、ワークテーブル7に表示されているのがコネクタCC−1の接続情報であることを表示することができる。作業者は、このディスプレイ4の表示を参照することで、接続すべきコネクタの確認を行うことができる。そして、この表示は、コネクタCC−1の接続作業が終了したことをコントローラ3に対して知らせるためのアイコン4Dを含んでおり、作業者はこのアイコン4Dをクリックすると、コントローラ3はコネクタCC−1の接続が終了したことを認識する。このとき、図13(b)に示すように、ディスプレイ4に、ワークテーブル7に表示されているのがコネクタCC−2の接続情報であることを表示することができる。以上のようにして、製造対象のワイヤハーネスに必要なコネクタCC−nの接続作業を進める。作業者は、接続作業が終了すると、アイコン4Eをクリックする。
【0029】
コントローラ3は、図13(b)のアイコン4Eがクリックされると、全てのコネクタの接続が図11(b)に示すように終了したことを認識し(図9 S209 Y)、次いで、図13(c)に示すように、ワークテーブル7にコネクタの接続も含めたワイヤハーネスの製造が終了したことを表示させる。また、次のワイヤハーネスを製造するか否かを問うアイコン4Fを表示させ、「はい」の方がクリックされると、以上説明したのと同様の手順で次のワイヤハーネスの製造を支援する。
【0030】
[効 果]
以上説明したように、製造支援システム1によると、電線をその上で配線するワークテーブル7に、製造すべきワイヤハーネスを構成する電線の配線経路を順に表示するので、それぞれの電線を配線すべき経路を一目で認識でき、配線すべき経路を多くの配線経路から選択する必要がない。したがって、製造支援システム1によると、作業者はワークテーブル7に表示される配線経路に倣って電線を配線すればよいので、ワイヤハーネスを効率よく製造することができる。
しかも、製造支援システム1は、コネクタの電線への接続作業においても、接続すべき電線の近傍のワークテーブル7に、コネクタの接続情報を表示するので、コネクタの接続先を選択する必要もない。したがって、コネクタの接続作業を含めたワイヤハーネスの製造期間を大幅に削減することができる。
【0031】
また、製造支援システム1は、種類の異なるワイヤハーネスを製造する場合でも、それぞれのワイヤハーネスに対応する情報をデータベース5に記憶させておけば、ワークテーブル7を交換するなどの手間をかけることなく、必要な配線経路及び接続情報CIを表示させることができる。製造支援システム1は、この点からも、ワイヤハーネスの製造期間の削減に寄与する。
【0032】
また、製造支援システム1は、配線ステップを終了したことを確認した後に、コネクタ接続ステップに移行し、さらに、コネクタ接続ステップが終了したことを確認することができるので、電線の配線漏れ及びコネクタの接続漏れの防止に効果がある。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、以上の実施形態では、配線経路を始点から終点までを連続的に表示したが、図14(a)に示すように、始点Sと終点Eからなる配線経路、あるいは、始点S、経由点T及び終点Eからなる配線経路を表示してもよい。具体的には、ハーネスが実際に敷設される配線ルートを模擬した3次元立体的な構造へのプロジェクションマッピング可能な機器であってもよい。
【0034】
また、以上の実施形態では、ワークテーブル7に表示画像を生成する機能を持たせ、ワークテーブル7が単独で配線経路、コネクタの接続情報を表示しているが、ワークテーブル7はスクリーンとして機能するのに留めることもできる。この場合、図14(b)に示すように、ワークテーブル7とは別個に、スクリーンとして機能するワークテーブル7に表示内容を投影させる機器11を設ければよく、この機器としては、例えば、プロジェクタを用いることができる。その他、本発明は、配線経路、コネクタの接続情報を順に表示できる機器を用いることができる。
【0035】
また、製造支援システム1は、予めデータベース5にワイヤハーネスの識別情報ID_Fなどを記憶させているが、ワイヤハーネスの製造作業を開始する前に、データベース5とは別のデータ記憶メディアに記憶されていた情報をデータベース5にダウンロードしてもよい。つまり、本発明は、製造作業の際に、当該データを製造支援システムの記憶部分に保持させればよい。
また、製造支援システム1は、電線束の単位で配線経路を順にワークテーブル7に表示しているが、本発明はこれに限らず、コネクタの単位で順に配線経路をワークテーブル7に表示させることもできる。要は、一度に全ての配線経路を表示した場合に、この中から当該電線の配線経路を探し出すのに比べて負担が軽減できればよい。
【符号の説明】
【0036】
1 製造支援システム
1a,1b,1c ピン
3 コントローラ
4 ディスプレイ
4A アイコン
4B アイコン
4C アイコン
4D アイコン
4E アイコン
4F アイコン
5 データベース
7 ワークテーブル
9 入力部
11 機器
Bu 結線部材
DB1 第1記憶部
DB2 第2記憶部
DB3 第3記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14