特許第6639802号(P6639802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6639802布帛状圧電センサおよびこれを用いた靴の中敷き
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6639802
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】布帛状圧電センサおよびこれを用いた靴の中敷き
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20200127BHJP
   G01L 1/16 20060101ALI20200127BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   A43B17/00 Z
   G01L1/16 A
   G01L5/00 Z
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-93643(P2015-93643)
(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公開番号】特開2016-209144(P2016-209144A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年1月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501270287
【氏名又は名称】帝人フロンティア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】田實 佳郎
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 さと子
(72)【発明者】
【氏名】山本 智義
(72)【発明者】
【氏名】小野 雄平
(72)【発明者】
【氏名】兼松 俊介
【審査官】 村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−536040(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/058077(WO,A1)
【文献】 特表2011−524207(JP,A)
【文献】 特開2006−284276(JP,A)
【文献】 特開2005−156531(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0260677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 17/00
G01L 1/16
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の中敷き本体と、
前記中敷き本体に搭載された布帛状または組紐状の圧電センサと、
を備える靴の中敷きであって、前記圧電センサが、導電性繊維および圧電性繊維が電気的接続を提供するように略同一平面上に配置されている圧電単位を含
前記圧電センサと、
印加された圧力に応じて前記圧電センサから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、
を含むデバイスを備える、中敷き。
【請求項2】
前記中敷き本体に搭載され、取得できるデータの種類が前記圧電センサと異なる他のセンサを更に備える、請求項1記載の靴の中敷き。
【請求項3】
前記他のセンサが加速度センサである、請求項2記載の靴の中敷き。
【請求項4】
前記圧電単位は2本の前記導電性繊維および1本の前記圧電性繊維を含み、前記導電性繊維、前記圧電性繊維および前記導電性繊維が、この順序に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項5】
前記導電性繊維および前記圧電性繊維が互いに物理的に接する接点を有している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項6】
前記圧電単位中の前記導電性繊維が他の圧電単位中の導電性繊維および/または圧電性繊維に対して電気的接続しないように、絶縁性繊維が配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項7】
前記圧電性繊維が主としてポリ乳酸を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項8】
前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項9】
前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項10】
前記導電性繊維が金属メッキ繊維である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項11】
前記圧電センサは複数の前記圧電単位を含有する織編物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項12】
前記織編物が織物を含み、その織組織が平織、綾織、サテン織およびそれらの複合組織のいずれかである、請求項11記載の靴の中敷き。
【請求項13】
前記織編物が編物を含み、その種類が、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編および添え毛編ならびにそれらの複合組織からなる群から選ばれた組織を有する緯編物、又はシングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編およびジャガード編ならびにそれらの複合組織からなる群から選ばれた組織を有する経編物である、請求項11記載の靴の中敷き。
【請求項14】
前記圧電センサは複数の前記織編物を組み合わせて用いる、請求項11〜13のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項15】
前記デバイスは、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【請求項16】
前記圧電センサと、
印加された圧力に応じて前記圧電センサから電気信号を出力する出力手段と、
前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、
を含むデバイスを備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動時の足裏の荷重分布変動による形状変化により電気信号を出力する圧電センサとして機能する、靴の中敷きに搭載されたトランスデューサーに関する。さらには、そのトランスデューサーからの信号を用いたデバイスとして機能する靴の中敷に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるウェアラブルセンサが注目を浴びており、眼鏡型や腕時計、靴型といった形状の商品が世に出始めた。しかし、これらのデバイスは、装着しているという感覚があり、究極のウェアラブルである、布状のものが望まれている。そのようなセンサとしては、布に圧電素子を装着し、そこから信号を取り出すものが開示されている(特許文献1、2)。しかしこれらは織編物の表面上に別の構造体を必要とすることから、自由曲面への適応が困難で触感が悪く、取り扱い性、施工性、加工性にて不具合を生じるなど実用性に欠ける。また、圧電性材料と導電性材料をフィルム状にしたもので布状の構造体を形成するもの(特許文献3)もあるが、これも自由曲面への適応が困難で触感が悪く、取り扱い性、施工性、加工性にて不具合を生じるなど実用性に欠ける。特に靴は装着感が重要視されるアイテムの1つであり、靴の中敷きに使う場合には、この触感の悪さが大きな課題となる。この課題が解消されれば、スポーツ用途のみならず、例えば、高齢者の転倒/体勢検知など幅広い用途で展開できるようになる可能性がある。
【0003】
繊維のみからなる布帛状センサとして導電繊維間の抵抗を検出するもの(特許文献4)も提案されているが、布帛上の圧力を検出するものであり直接的に形状変化を検出するものではなかった。また、特許文献5には、2本の導電性繊維および1本の圧電性繊維を含み、これらが互いに接点を有しつつ、略同一平面上に配置されている圧電単位を含む圧電素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−518886号公報
【特許文献2】特開平6−323929号公報
【特許文献3】特開2002−203996号公報
【特許文献4】特開2006−284276号公報
【特許文献5】国際公開第2014/058077号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、繊維材料を用いて、かつ従前の織編物構造を作製することで柔軟性に富んだ布帛状のトランスデューサーを作成し、そのトランスデューサーを搭載した靴の中敷きを提供することにある。さらには、そのトランスデューサーからの信号を用いたデバイスを備える靴の中敷きを提供することにある。さらには、上記トランスデューサーと例えば加速度センサなど取得できるデータの種類が異なるセンサを合わせて搭載した靴の中敷きを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、導電性繊維および圧電性繊維の組み合わせ配置により、圧電素子として機能する場合があることを発見し、この原理を利用した布帛状圧電センサを作り、それを靴の中敷きに搭載することで本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
1.靴の中敷き本体と、
前記中敷き本体に搭載された布帛状または組紐状の圧電センサと、
を備える靴の中敷き。
2.前記中敷き本体に搭載され、取得できるデータの種類が前記圧電センサと異なる他のセンサを更に備える、上記1記載の靴の中敷き。
3.前記他のセンサが加速度センサである、上記2記載の靴の中敷き。
4.前記圧電センサが、導電性繊維および圧電性繊維が電気的接続を提供するように略同一平面上に配置されている圧電単位を含む、上記1〜3のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
5.前記圧電単位は2本の前記導電性繊維および1本の前記圧電性繊維を含み、前記導電性繊維、前記圧電性繊維および前記導電性繊維が、この順序に配置されている、上記4記載の靴の中敷き。
6.前記導電性繊維および前記圧電性繊維が互いに物理的に接する接点を有している、上記4に記載の靴の中敷き。
7.前記圧電単位中の前記導電性繊維が他の圧電単位中の導電性繊維および/または圧電性繊維に対して電気的接続しないように、絶縁性繊維が配置されている、上記4に記載の靴の中敷き。
8.前記圧電性繊維が主としてポリ乳酸を含む、上記4に記載の靴の中敷き。
9.前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含む、上記4に記載の靴の中敷き。
10.前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、上記4記載の靴の中敷き。
11.前記導電性繊維が金属メッキ繊維である、上記4記載の靴の中敷き。
12.前記圧電センサは複数の前記圧電単位を含有する織編物である、上記4記載の靴の中敷き。
13.前記圧電センサは複数の前記圧電単位を含有する織物であって、その織組織が平織、綾織、サテン織およびそれらの複合組織のいずれかである、上記12記載の靴の中敷き。
14.前記圧電センサは複数の前記織編物を組み合わせて用いる、上記13記載の靴の中敷き。
15.前記圧電センサと、
印加された圧力に応じて前記圧電センサから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、
を含むデバイスを備える、上記1〜14のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
16.前記デバイスは、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに含む、上記15記載の靴の中敷き。
17.前記圧電センサと、
印加された圧力に応じて前記圧電センサから電気信号を出力する出力手段と、
前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、
を含むデバイスを備える、上記1〜14のいずれか一項に記載の靴の中敷き。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば繊維材料を用いて、かつ従前の織編物構造を作製することで柔軟性に富んだ布帛状のトランスデューサーを得ることができ、それを布状圧電センサとして靴の中敷きに搭載することで、足の動きや足底の荷重移動を取得できる靴の中敷き(センサ)を得ることができる。なお、本発明のトランスデューサーは電気信号を出力として取り出すことができるため、この電気信号を他のデバイスを動かすための電力源あるいは蓄電するなど、発電素子として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の朱子織物の模式図である。
図2】実施例1の中敷きセンサの模式図である。
図3】本発明のトランスデューサーを用いた靴の中敷きを示す機能ブロック図である。
図4】本発明のトランスデューサーを用いた他の靴の中敷きを示す機能ブロック図である。
図5】本発明のトランスデューサーを発電として用いた靴の中敷きを示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的は、導電性繊維および圧電性繊維が電気的接続を提供するように略同一平面上に配置されている圧電単位を含む圧電素子からなる電気信号を出力するトランスデューサーによって達成される。この布状トランスデューサーを靴の中敷きの形に合わせ切断加工し、靴の中敷きに搭載することで、圧電センサを兼ね備えた靴の中敷きができる。また、加速度センサなど取得できるデータの種類が異なるセンサと一緒に靴の中敷きに搭載することで、足の動きや足底の荷重移だけでなく、例えば、走行距離や走行速度などといった複合的な情報を合わせて取得できる中敷きができる。以下に各構成について説明する。
【0011】
(導電性繊維)
導電性繊維としては、導電性を示すものであればよく、公知のあらゆるものが用いられ、例えば、金属繊維、導電性高分子からなる繊維、炭素繊維、繊維状あるいは粒状の導電性フィラーを分散させた高分子からなる繊維、あるいは繊維状物の表面に導電性を有する層を設けた繊維が挙げられる。繊維状物の表面に導電性を有する層を設ける方法としては、金属コート、導電性高分子コート、導電性繊維の巻付けなどが挙げられる。なかでも金属コートが導電性、耐久性、柔軟性などの観点から好ましい。金属をコートする具体的な方法としては、蒸着、スパッタ、電解メッキ、無電解メッキなどが挙げられるが生産性などの観点からメッキが好ましい。このような金属をメッキされた繊維は金属メッキ繊維ということができる。
【0012】
金属をコートされるベースの繊維として、導電性の有無によらず公知の繊維を用いることができ、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維の他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。ベースの繊維はこれらに限定されるものではなく、公知の繊維を任意に用いることができ、これらの繊維を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
ベースの繊維にコートされる金属は導電性を示し、本発明の効果を奏する限り、いずれを用いてもよい。例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、パラジウ、酸化インジウム錫、硫化銅など、およびこれらの混合物や合金などを用いることができる。
【0014】
導電性繊維はフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントを用いても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントを用いてもよい。マルチフィラメントとして用いる方が電気特性の長尺安定性の観点で好ましい。モノフィラメントの径としては1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。フィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。
【0015】
導電性繊維の直径は1μm〜10mmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜5mm、さらに好ましくは0.1mm〜2mmである。直径が小さいと強度が低下しハンドリングが困難となり、また、直径が大きい場合にはフレキシブル性が犠牲になる。導電性繊維の断面形状としては円または楕円であることが、圧電素子の設計および製造の観点で好ましいが、これに限定されない。
【0016】
また、圧電性高分子からの電気出力を効率よく取り出すため、電気抵抗は低いことが好ましく、体積抵抗率としては10−1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10−2Ω・cm以下、さらに好ましくは10−3Ω・cm以下である。ただし、信号検出に強度が得られるのであれば導電性繊維の抵抗率はこの限りではない。
【0017】
(圧電性繊維)
圧電性繊維は圧電性を有する繊維である。圧電性繊維は圧電性高分子からなることが好ましい。圧電性高分子としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリ乳酸など圧電性を示す高分子であれば利用できるが、主としてポリ乳酸を含むことが好ましい。ポリ乳酸は溶融紡糸後に延伸によって容易に配向して圧電性を示し、ポリフッ化ビニリデンなどで必要となる電界配向処理が不要な点で生産性に優れている。さらに、ポリ乳酸からなる圧電性繊維はその軸方向への引張や圧縮応力では、分極が小さく、圧電素子として機能させることが困難であるが、せん断応力によっては比較的大きな電気出力が得られ、せん断応力を圧電性高分子に付与しやすい構成体を有する本発明の圧電素子においては好ましい。
【0018】
圧電性高分子は、主としてポリ乳酸を含むことが好ましい。「主として」とは、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上のことを言う。
【0019】
ポリ乳酸としては、その結晶構造によって、L−乳酸、L−ラクチドを重合してなるポリ−L−乳酸、D−乳酸、D−ラクチドを重合してなるポリ−D−乳酸、さらに、それらのハイブリッド構造からなるステレオコンプレックスポリ乳酸などがあるが、圧電性を示すものであればいずれも利用できる。圧電率の高さの観点で好ましくは、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸である。ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸はそれぞれ、同じ応力に対して分極が逆になるために、目的に応じてこれらを組み合わせて使用することも可能である。ポリ乳酸の光学純度は99%以上であることが好ましく、より好ましくは99.3%以上、さらに好ましくは99.5%以上である。光学純度が99%未満であると著しく圧電率が低下する場合があり、圧電性繊維の形状変化よって十分な電気出力を得ることが難しくなる場合がある。圧電性高分子が、主としてポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含み、これらの光学純度は99%以上であることが好ましい。
【0020】
圧電性繊維は繊維の繊維軸方向に一軸配向しかつ結晶を含むものであることが好ましく、より好ましくは結晶を有する一軸配向ポリ乳酸である。なぜなら、ポリ乳酸はその結晶状態および一軸配向において大きな圧電性を示すためである。
【0021】
ポリ乳酸は加水分解が比較的早いポリエステルであるから、耐湿熱性が問題となる場合においては、公知の、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などの加水分解防止剤を添加してもよい。また、必要に応じてリン酸系化合物などの酸化防止剤、可塑剤、光劣化防止剤などを添加して物性改良してもよい。
【0022】
また、ポリ乳酸は他のポリマーとのアロイとして用いてもよいが、ポリ乳酸を主たる圧電性高分子として用いるならば、アロイの全重量を基準として少なくとも50重量%以上でポリ乳酸を含有していることが好ましく、さらに好ましくは70重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
【0023】
アロイとする場合のポリ乳酸以外のポリマーとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート共重合体、ポリメタクリレート等が好適な例として挙げられるが、これらに限定されるものではなく、本発明で目的とする圧電性を奏する限り、どのようなポリマーを用いてもよい。
【0024】
圧電性繊維はフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントを用いても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントを用いてもよい。マルチフィラメントとして用いる方が電気特性の長尺安定性の観点で好ましい。モノフィラメントとして用いる場合、その糸径は1μm〜5000μmであり、好ましくは50μm〜1000μmである。マルチフィラメントとして用いる場合は、その単糸径は0.1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントのフィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。
【0025】
上記の圧電性高分子を圧電性繊維とするためには、高分子を繊維化するための公知の手法を、本発明の効果を奏する限りいずれも採用することができ、圧電性高分子を押し出し成型して繊維化する手法、圧電性高分子を溶融紡糸して繊維化する手法、圧電性高分子を乾式あるいは湿式紡糸により繊維化する手法、圧電性高分子を静電紡糸により繊維化する手法等を採用することができる。これらの紡糸条件は、採用する圧電性高分子に応じて公知の手法を適用すればよく、通常は工業的に生産の容易な溶融紡糸法を採用すればよい。
【0026】
なお、上述の通りに、圧電性高分子がポリ乳酸である場合には、一軸延伸配向し、かつ結晶を含むとより大きな圧電性を示すことから、繊維は延伸することが好ましい。
【0027】
(略同一平面上)
本発明の圧電素子において、2本の導電性繊維と1本の圧電性繊維は、略同一平面上に配置される。ここで略同一平面上とは、3本の繊維の繊維軸が略平面上に配置されることを意味し、「略」とは、繊維同士の交差点で厚みが生じることが含まれることを意味するものである。
【0028】
例えば、2本の平行な導電性繊維の間に、1本の圧電性繊維が更に平行に引き揃えられた形態は、略同一平面上にある形態である。また、当該1本の圧電性繊維の繊維軸を、当該2本の平行な導電性繊維とは平行でない状態に傾けていても、略同一平面上にある。さらに、1本の導電性繊維と1本の圧電性繊維とを平行に引き揃え、もう1本の導電性繊維を、この引き揃えられた導電性繊維と圧電性繊維とに、交差させたとしても略同一平面上にある。
【0029】
略平面上に配置されることで、当該圧電単位を組み合わせて、布帛状の圧電素子を形成しやすく、布帛状の形態の圧電素子を利用すれば、トランスデューサーの形状設計に自由度を増すことができる。
【0030】
これらの、圧電性繊維と導電性繊維の関係は検出したい形状変化により適宜選択される。
【0031】
(配置順序)
圧電単位における繊維の配置は、導電性繊維および圧電性繊維が電気的接続を提供するように配置されている限り特に限定されるものではない。例えば、圧電単位が、2本の導電性繊維と1本の圧電性繊維からなる圧電単位である場合には、導電性繊維、圧電性繊維、導電性繊維が、この順に配置されていることが好ましい。このように配置することで、圧電単位の2本の導電性繊維同士が接触することがなくなり、導電性繊維に他の手段、例えば絶縁性物質を被覆するなどの技術を適用しなくても圧電単位として有効に機能させることができる。
【0032】
この際、導電性繊維と圧電性繊維とが互いに物理的に接する接点を有していることが望ましいが、導電性繊維と圧電性繊維との間隔が4mm以内の範囲であれば、物理的に接していなくても電気的接続を提供することができる。導電性繊維と圧電性繊維との間隔は、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.5mm以下である。この間隔が4mmを超えると圧電性繊維の形状変化に伴う電気出力が小さくなり、トランスデューサーとして用いることが困難となる。
【0033】
形態としては、例えば、2本の導電性繊維が平行に配置され、1本の圧電性繊維がこれら2本の導電性繊維の間に更に平行に配置された形態や、2本の導電性繊維が平行に配置され、1本の圧電性繊維が、これら2本の導電性繊維に交わるように配置された形態などを挙げることができる。さらには、2本の導電性繊維を経糸(または緯糸)として配し、1本の圧電性繊維を緯糸(または経糸)として配してもよい。この場合は2本の導電性繊維同士は接触していないことが好ましく、2本の導電性繊維の間には好ましくは絶縁性物質、例えば絶縁性繊維を介在させる形態の他、導電性繊維が接触しやすい表面にのみ絶縁性物質を被覆し、圧電性繊維とは直接導電性繊維が接触するようにする形態も採用することができる。
【0034】
(絶縁性繊維)
本発明の圧電単位は、絶縁性繊維を含み、該絶縁性繊維は、圧電単位中の導電性繊維が、他の導電性繊維並びに圧電性繊維に接しないように導電性繊維と圧電性繊維の間に配されることがある。この際、絶縁性繊維は布帛の柔軟性を向上する目的で伸縮性のある素材、形状を有する繊維を用いることができる。また、圧電単位中の導電性繊維が、他の圧電単位中の導電性繊維並びに圧電性繊維に接しないように配されることもある。本発明での配置順序は通常は、[導電性繊維/圧電性繊維/導電性繊維]であるので、絶縁性繊維は、[絶縁性繊維/導電性繊維/圧電性繊維/導電性繊維]ないし[絶縁性繊維/導電性繊維/圧電性繊維/導電性繊維/絶縁性繊維]として配置される。この際も、絶縁性繊維は布帛の柔軟性を向上する目的で伸縮性のある素材、形状を有する繊維を用いることができる。
【0035】
圧電単位にこのように絶縁性繊維を配置することで、圧電単位を複数組み合わせた場合でも導電性繊維が接触することがなく、トランスデューサーとしての性能を向上させることが可能である。
【0036】
このような絶縁性繊維としては、体積抵抗率が10Ω・cm以上であれば用いることができ、より好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上がよい。
【0037】
絶縁性繊維として例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維の他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。これらに限定されるものではなく、公知の絶縁性繊維を任意に用いることができる。さらに、これらの絶縁性繊維を組み合わせて用いてもよく、絶縁性を有しない繊維と組み合わせ、全体として絶縁性を有する繊維としてもよい。
【0038】
絶縁性繊維は、フィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントを用いても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントを用いてもよい。マルチフィラメントとして用いる方が絶縁特性の長尺安定性の観点で好ましい。モノフィラメントとして用いる場合、その糸径は1μm〜5000μmであり、好ましくは50μm〜1000μmである。マルチフィラメントとして用いる場合は、その単糸径は0.1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントのフィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。
【0039】
また、布帛に柔軟性を持たせる目的で、公知のあらゆる形状の繊維も用いることができる。
【0040】
(圧電単位の組み合わせ形態)
本発明において、複数の並列した圧電単位を含有する織編物であることが好ましい。このような形態であることで、圧電素子として、形状の変形自由度(フレキシブルさ)を向上させることが可能である。
【0041】
このような織編物形状は複数の圧電単位を含み、圧電素子としての機能を発揮する限り何らの限定は無い。織物形状または編物形状を得るには、通常の織機または編機により製編織すればよい。
【0042】
織物の織組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。
【0043】
編物の種類は、丸編物(緯編物)であってもよいし経編物であってもよい。丸編物(緯編物)の組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示される。経編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。更には、カットパイルおよび/またはループパイルからなる立毛部と地組織部とで構成される立毛織物、立毛編み物であってもよい。
【0044】
なお、圧電単位が織り組織ないし編み組織に組み込まれて存在する場合、圧電性繊維そのものに屈曲部分が存在するが、圧電素子としての圧電性能を効率よく発現させるためには、圧電性繊維の屈曲部分が小さい方が好ましい。従って、織物と編み物とでは織物の方が好ましい。
【0045】
この場合でも、上述の通り、圧電性繊維の屈曲部分が小さい方が、圧電性能が効率よく発現することから、織組織としては平織よりは綾織りが好ましく、綾織よりもサテン織(朱子織)が好ましい。特にサテン織(朱子織)のなかでも、飛び数が3〜7の範囲にあると、織組織の保持と圧電性性能とを高い水準で発揮することから好ましい。
【0046】
なお、織組織は、検出したい形状変化により適宜選択される。例えば曲げを検出したい場合には、平織構造、圧電性繊維と導電性繊維が平行関係であることが好ましく、捩じりを検出したい場合には、朱子織構造、圧電性繊維と導電性繊維が直関係であることが好ましい。
【0047】
また、圧電性繊維であるポリ乳酸は帯電しやすいため、誤作動しやすくなる場合がある。このような場合には、信号を取り出そうとする圧電性繊維を接地(アース)して使用することもできる。接地(アース)する方法としては信号を取り出す導電性繊維とは別に、導電性繊維を配置することが好ましい。この場合、導電性繊維の体積抵抗率としては10−1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10−2Ω・cm以下、さらに好ましくは10−3Ω・cm以下である。
【0048】
(複数の圧電素子)
また、圧電素子を複数並べて用いることも可能である。並べ方としても一次元的に一段で並べても、二次元的に重ねて並べても良く、さらには布状に編織して用いたり、組み紐に製紐したりしてもよい。それによって布状、紐状の圧電素子を実現することも可能となる。布状、紐状にするにあたっては、本発明の目的を達成する限り、圧電素子以外の他の繊維と組み合わせて、混繊、交織、交編等を行ってもよく、また、樹脂などに組み込んで使ってもよい。
【0049】
(表面加工)
圧電単位を含む圧電素子(圧電センサ)を靴の中敷きに使用するにあたっては、圧電素子の織構造を足や靴下との摩擦から保護するため、センサの機能の邪魔にならない範囲で、表面を樹脂等でコーティングしたり、樹脂シート/フィルムで被覆したりすることができる。
【0050】
(圧電素子の適用技術)
本発明のトランスデューサー、すなわち圧電単位を含む圧電素子は、いずれの様態であっても、表面への接触、圧力、形状変化を電気信号として出力することができる圧電センサであり、様々な用途に適用できる。
【0051】
例えば、図3は、本発明のトランスデューサーを用いた靴の中敷きを示す機能ブロック図である。靴の中敷き101は、本発明のトランスデューサー11(圧電センサ)と、印加された圧力に応じてトランスデューサー11から出力される電気信号を増幅する増幅手段12と、増幅手段12で増幅された電気信号を出力する出力手段13と、出力手段13から出力された電気信号を外部機器(図示せず)へ無線送信する送信手段14とを備える。送信手段14から無線送信された電気信号は、これを受信する外部機器側で電気的に処理されることとで様々な用途に適用可能である。このように、トランスデューサー11を布帛状の圧電センサとして靴の中敷き101に搭載することで、例えば足の動きや足底の荷重移動を取得できる靴の中敷き型のセンサを得ることができる。
【0052】
また、例えば、図4は、本発明のトランスデューサーを用いた他の靴の中敷きを示す機能ブロック図である。他の靴の中敷き102は、図3の靴の中敷き101の構成に加えて、他のセンサS15を備える。他のセンサS15は、中敷きに搭載され、取得できるデータの種類がトランスデューサー(圧電センサ)と異なる。他のセンサS15は、例えば加速度センサである。このように、他のセンサS15を靴の中敷き101に更に搭載することで、例えば足の動きや足底の荷重移動だけでなく、例えば足の加速度のデータを取得できる靴の中敷き型のセンサを得ることができる。
【0053】
なお、トランスデューサー11(圧電センサ)と増幅手段12と出力手段13と送信手段14と(他のセンサS15と)がデバイス101を構成し、そのデバイス101が靴の中敷きに搭載されていてもよい。言い換えると、中敷きがデバイスそのものであってもよいし、中敷きがデバイスを搭載していてもよい。
【0054】
また、増幅手段12、出力手段13、送信手段14、(他のセンサS15)については、まとめて電気信号取り出し用のセンサチップとして構成し、靴の中敷きの土踏まず部分の裏側に取り付ければ、足や靴下の邪魔にはならない。
【0055】
このように、本発明のトンランスデューサーを備える中敷きにより、例えば、ランニングシューズに使用すれば、走行距離や走行速度のデータ取得と共に、ランニングフォーム改良の援助となるデータをタイムリーに取ることができる。
【0056】
また、本発明のトランスデューサーは電気信号を出力として取り出すことができるため、この電気信号を他のデバイスを動かすための電力源あるいは蓄電するなど、発電素子として用いることもできる。図5は、本発明のトランスデューサーを発電として用いた靴の中敷きを示す機能ブロック図である。中敷き103は、本発明のトランスデューサー11(圧電センサ)と、印加された圧力に応じてトランスデューサー11から出力される電気信号を増幅する増幅手段12と、増幅手段12で増幅された電気信号を出力する出力手段13とを備える。このような構成により、トランスデューサー11の表面への接触、圧力、形状変化により出力された電気信号を他のデバイスを動かすための電力源として用いたりあるいは蓄電装置に蓄電したりすることができる。
【0057】
また、増幅手段だけではなく、ノイズを除去する手段や他の信号と組み合わせて処理する手段などの公知の信号処理手段を組み合わせて用いることができる。これらの手段の接続の順序は目的に応じて適宜変えることができる。もちろん、トランスデューサー11から出力される電気信号をそのまま外部機器へ送信した後で信号処理してもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に記載するが本発明はこれによって何らの限定を受けるものではない。
【0059】
トランスデューサー用の布帛は以下の方法で製造した。
(ポリ乳酸の製造)
実施例において用いたポリ乳酸は以下の方法で製造した。
L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、撹拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応させ、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリ−L−乳酸(PLLA1)を得た。得られたPLLA1の重量平均分子量は15.2万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
【0060】
(圧電性繊維)
240℃にて溶融させたPLLA1を24ホールのキャップから20g/minで吐出し、887m/minにて引き取った。この未延伸マルチフィラメント糸を80℃、2.3倍に延伸し、100℃で熱固定処理することにより84dTex/24filamentのマルチフィラメント一軸延伸糸を得、このマルチフィラメント一軸延伸糸を8束まとめて圧電性繊維Aとした。
【0061】
(導電性繊維)
東邦テナックス(株)製の炭素繊維マルチフィラメントである品名『HTS40 3K』を導電性繊維Bとして用いた。当該導電性繊維Bは直径7.0μmのフィラメント3000本を1束としたマルチフィラメントであり、体積抵抗率は1.6×10−3Ω・cmであった。
【0062】
(絶縁性繊維)
280℃にて溶融させたポリエチレンテレフタレートを48ホールのキャップから45g/minで吐出し、800m/minにて引き取った。この未延伸糸を80℃、2.5倍に延伸し、180℃で熱固定処理することによりすることにより167dTex/48フィラメントのマルチフィラメント延伸糸を得、このマルチフィラメント延伸糸を4束まとめて絶縁性繊維Cとした。
【0063】
(実施例1)
図1に示すように経糸に絶縁性繊維Cを配し、緯糸に圧電性繊維A、導電性繊維Bおよび絶縁性繊維Cを交互に配した綾織物を作製した。
【0064】
また、図2に示すように、図1の綾織物112を運動靴の中敷きと同じ大きさに切断し、中敷き本体111と貼り合わせた。その綾織物112には、電気信号取り出し用のセンサチップとして、加速度センサが内蔵されたタイプのセンサチップ113が土踏まず部分の裏側に取り付けられている。
【0065】
その結果、この運動靴の中敷きでは、活動量の信号と共に、運動時の足底への荷重移動に起因する電気信号を確認することができた。
【符号の説明】
【0066】
2 導電性繊維
3 絶縁性繊維
11 トランスデューサー
12 増幅手段
13 出力手段
14 送信手段
15 センサS
101、102、103 デバイス
110 靴の中敷き
111 中敷き本体
112 綾織物
113 センサチップ
図1
図2
図3
図4
図5