(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記柔軟性トルク構成要素の近位端に結合されると共に駆動アセンブリと係合するよう構成された近位コネクタをさらに含み、当該駆動アセンブリは、作動すると前記近位コネクタと、前記柔軟性トルク構成要素と、前記内側カニューレとを回転させるよう構成されている、請求項1に記載の柔軟内視鏡器具。
前記近位コネクタは硬質の円柱構造体であり、前記近位コネクタは前記駆動アセンブリの駆動レセプタクル内に配置されるよう構成されており、前記近位コネクタは、前記駆動アセンブリに係合するよう構成された結合器と、前記内側カニューレを前記外側カニューレの遠位端に向けて付勢するよう構成された張力調整バネとを含む、請求項2に記載の柔軟内視鏡器具。
前記張力調整バネが前記内側カニューレの切断部分を前記外側カニューレの前記開口部に隣接して位置決めするように、前記張力調整バネは寸法決めかつ付勢されている、請求項3に記載の柔軟内視鏡器具。
前記柔軟性トルク構成要素の外壁と前記柔軟性外側チュービングの内壁との間に形成された第1部分を備えた洗浄チャンネルであって、前記吸入チャンネルに洗浄流体を運ぶよう構成された洗浄チャンネルと、
洗浄進入ポートを含む潅注コネクタと、
前記潅注コネクタおよび前記柔軟性外側チュービングに結合された管状部材であって、前記管状部材の内壁および前記柔軟性トルク構成要素の前記外壁は、前記洗浄チャンネルの前記第1部分に流体結合される前記洗浄チャンネルの第2部分を形成する、管状部材とをさらに含む、請求項1に記載の柔軟内視鏡器具。
前記柔軟性外側チュービングを前記管状部材に結合させる回転結合器であって、前記柔軟性外側チュービングを前記管状部材に対して回転させ、かつ前記外側カニューレに形成された前記開口部を前記内側カニューレに対して回転させるよう構成された回転結合器をさらに含む、請求項6に記載の柔軟内視鏡器具。
前記柔軟性トルク構成要素は複数のスレッドを含み、当該複数のスレッドそれぞれは、前記複数のスレッドの1つまたは複数の隣接するスレッドが巻かれている方向とは反対方向に巻かれている、請求項1に記載の柔軟内視鏡器具。
前記柔軟性トルク構成要素の近位端に結合されると共に駆動アセンブリと係合するよう構成された近位コネクタをさらに含み、当該駆動アセンブリは、作動すると前記近位コネクタと、前記柔軟性トルク構成要素と、前記内側カニューレとを回転させるよう構成され
ている、請求項13に記載の内視鏡器具。
前記近位コネクタは前記駆動アセンブリの駆動レセプタクル内に配置されるよう構成されており、前記近位コネクタは前記駆動アセンブリに係合するよう構成された結合器を含む、請求項14に記載の内視鏡器具。
前記柔軟性トルク構成要素の外壁と前記柔軟性外側チュービングの内壁との間に形成された第1部分を備えた洗浄チャンネルであって、前記吸入チャンネルに洗浄流体を運ぶよう構成された洗浄チャンネルと、
洗浄進入ポートを含む潅注コネクタと、
前記潅注コネクタおよび前記柔軟性外側チュービングに結合された管状部材であって、前記管状部材の内壁および前記柔軟性トルク構成要素の前記外壁は、前記洗浄チャンネルの前記第1部分に流体結合される前記洗浄チャンネルの第2部分を形成する、管状部材とをさらに含む、請求項13に記載の内視鏡器具。
前記柔軟性外側チュービングを前記管状部材に結合させる回転結合器であって、前記柔軟性外側チュービングを前記管状部材に対して回転させ、かつ前記外側カニューレに形成された前記開口部を前記内側カニューレに対して回転させるよう構成された回転結合器をさらに含む、請求項18に記載の内視鏡器具。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書で記載する技術は、患者から単一および複数のポリープ並びに新生物の標本を正確かつ効率的に採取できる改良型の軟性内視鏡器具に関する。特に、この改良型内視鏡器具は、患者の体内の治療部位からこの内視鏡器具を除去することなく、1つまたは複数のポリープから標本のデブリードマンを行いかつデブリードマンを行った標本を回収できる。
【0033】
図1Aは、体内で形成しうる様々な種類のポリープを示す。ほとんどのポリープはスネアポリープ切除術によって除去できるが、特に大型のポリープおよび/または無茎性若しくは平坦ポリープは生検鉗子で断片的に、または内視鏡的粘膜切除術(EMR)を用いて一括して除去しなければならない。ある最近の研究は、陥凹型無茎性ポリープ(depressed sessile polyps)が、悪性病変を保持する割合が33%と最も高いと結論づけている。同じ研究は、非ポリープ状の腫瘍性障害(無茎性ポリープ)がポリープを持つ患者の22%または大腸鏡検査を受けた全患者の10%を占めていたことも発見した。結腸ポリープの切除には多くの障害が存在し、具体的には、無茎性ポリープを除去する際の困難性、多数のポリープの除去に要する時間、2つ以上のポリープの切除に対する償還差額(reimbursement differential)の欠如である。到達が困難な無茎性ポリープを切除するのは難題であり、複数のポリープは患者一人にかかる時間が増えるので、ほとんどのポリープはその大きさが増えるにつれ組織が残された状態で断片的に除去されることになり、残った組織の病理が解明されないという標本偏差の一因となり、偽陰性の増加につながってしまう。
【0034】
結腸鏡検査は完璧な判別検査ツールではない。現在の結腸鏡検査の実施では、内視鏡操作者は、最大のポリープ(有柄性ポリープ(stalked polyps))を除去して、検出および到達が困難な無茎性/平坦ポリープを残すことで患者を標本偏差に曝すことになってしまう。無茎性ポリープは、現在の技法では内視鏡的に除去することは極めて困難か不可能であり、しばしば取り残されてしまう。現在の医療では有柄性ポリープの28%および無茎性(平坦)ポリープの60%が検出、生検、または除去されず、これが標本偏差と結腸鏡判別検査の6%の偽陰性率につながっている。ポリープ切除用の現在の結腸鏡検査器具は、無茎性ポリープを適切に除去できないこと及び多数のポリープを完全に除去する際の非能率によって制限を受けている。診療文献によれば、10mmより大きい無茎性ポリープは悪性の危険度がより高い。不完全な切除後に残された無茎性ポリープの断片は新たなポリープに成長し、悪性の危険が継続する。
【0035】
最近では、内視鏡的粘膜切除術(EMR)が無茎性ポリープを除去するために使用されてきた。EMRには、注射液を使用して周囲の粘膜を持ち上げた後、スネアを広げてポリープを切り、最後に生検鉗子または回収器具を用いてポリープを除去することが含まれる。概ね5.2フィートの結腸鏡の全長を介した注射針およびスネアの導入および除去は、鉗子について繰り返し行う必要がある。
【0036】
本開示は、現世代の結腸鏡とともに動作する柔軟な電動器具を導入することで、スネア、ホットバイオプシー、及びEMRを含む既存のポリープ除去用具の革新的代替物を送出でき、且つ任意のポリープを切断し除去できる内視鏡用具に関する。本明細書で記載した内視鏡用具は、医師による無茎性又は大型ポリープへの処置が向上し、多数のポリープを短時間で除去可能とするように設計できる。本明細書で記載した内視鏡用具を採用することで、医師は結腸直腸ガンをより効率的に早期診断できるようにとなる。
【0037】
本開示は、図面と合わせて読まれるべき次の説明を介すれば完全に理解されるはずである。この説明では、類似の番号は本開示の異なる実施形態においても類似の要素を示す。この説明において、請求項は実施形態に関連して説明する。当業者であれば、本明細書に記載された方法、装置、およびシステムは例示的なものにすぎず、本開示の趣旨と範囲を逸脱することなく変更可能であることは容易に理解するはずである。
【0038】
図面を参照すると、
図1Bは、本開示の実施形態による内視鏡の部分透視図を示す。本開示は、任意種類の内視鏡と共に使用するよう適合された内視鏡器具に関するものだが、本開示の教示は、便宜上、結腸鏡のような下部消化管鏡と共に使用する内視鏡器具に関するものとする。しかし、本開示の検査鏡は、消化管鏡と共に使用する内視鏡器具に限定されるものではなく、気管支鏡、胃鏡および喉頭鏡または患者を治療するために使用できる他種類の医療用具を含むがそれらに限定されない任意種類の軟性内視鏡に及ぶ。
【0039】
様々な実施形態によれば、典型的な下部消化管鏡(lower GI scope )100は、第1端部すなわちヘッド部102から第2端部すなわちハンドル部まで延伸する概ね柔軟な部材を含む。 ヘッド部102は、ヘッド部102の先端部104を旋回させて半球空間内の任意方向に配向するよう構成できる。ハンドル部は、操作者が2つの操舵輪を用いて結腸鏡を結腸内の対象領域に向けて導き、かつ結腸分節の間の角を曲がることを可能とする制御手段を備えている。
【0040】
一連の器具が検査鏡の先端部104の前面106に配置されており、それらは、概して水路108と呼ばれる上記領域を水で洗浄するための1つまたは複数の水路108A-108Nと、概して光源110と呼ばれる1つまたは複数の光源110A-110Nと、カメラレンズ112と、幾つかの動作を実行するために内視鏡器具を挿入できる器具チャンネル120とを含むがそれらに限定されない。器具チャンネル120は、使用している内視鏡100の種類によって様々な大きさとすることができる。様々な実施形態では、器具チャンネル120の直径は約2mmから6mm、より具体的には約3.2mmから4.3mmまでの範囲とすることができる。幾つかのより大型の検査鏡であれば、2つの用具を患者に同時に挿入できるように2つの器具チャンネル120を具備していてもよい。しかし、より大型の検査鏡は患者に不快感を与えることもあり、小さい腔所を介して患者の体内に挿入するには大きすぎることがある。
【0041】
図1Cは、本開示の実施形態による内視鏡器具150の透視図を示す。内視鏡器具150は、
図1Bに示した内視鏡100の器具チャンネル120を介して送り込まれるよう構成されている。内視鏡器具150は、
図1Bに示した内視鏡100の器具チャンネル120などの内視鏡の器具チャンネル内に挿入されるよう構成されている。幾つかの実装例では、内視鏡器具150の器具チャンネル120内に挿入できるよう構成された部分は、当該内視鏡の器具チャンネル120の内径より小さい外径となるよう寸法決めすればよい。幾つかの実装例では、内視鏡器具150は、当該内視鏡を巻いたり曲げたりした際に器具チャンネル内に摺動挿入できるほど十分に小さい外径となるよう寸法決めできる。この内視鏡が巻かれたり曲げられたりすると、器具チャンネルは、1つまたは複数の湾曲部または曲がりを含む蛇行状経路を形成できる。1つの代表的な実装例では、内視鏡は、当該内視鏡が直線状となった状態で内径が約4.3mmとなる器具チャンネルを含む。しかし、この内視鏡が巻かれたり曲げられたりすると、この内視鏡の曲がりの近傍部分は、約4.3mmの内径より小さい隙間となることがある。幾つかの実装例では、この内視鏡は、それを直線状にしたときに得られる4.3mmでなく約3.8mmとなりうる隙間を備えるようにしてよい。幾つかの実装例では、この内視鏡は、約3.2 mmでよい隙間を備えることができる。従って、実装例によっては、内視鏡器具150は、一緒に使用する内視鏡が巻かれたり曲げられたりした場合でも、その内視鏡の器具チャンネル内に摺動挿入できるよう寸法決めできる。
【0042】
幾つかの実装例では、内視鏡器具150は、被験者の体内の部位で物質を切除するよう構成された動力駆動器具ヘッド160を含む。動力駆動器具ヘッド160は、遠位端162および近位端161を含む。動力駆動器具ヘッド160の遠位端162には、切除された物質が内視鏡器具150に進入できる物質進入ポート170が形成されている。動力駆動器具ヘッド160は、組織および他の物質を切断するよう構成された切断部を遠位端162に含むことができる。本明細書では、ポートは、物質が出入りできる任意の穴、開口部、またはギャップを含むことができる。幾つかの実装例では、この物質進入ポートは、切除された物質が内視鏡器具150に進入できる開口部でよい。幾つかの実装例では、切除される物質は、器具ヘッドがその物質を切断できる物質進入ポート内に吸引できる。
【0043】
本体152は、ヘッド部155および柔軟部165を含む。本体152のヘッド部155の遠位端156は、動力駆動器具ヘッド160の近位端161に結合されている。幾つかの実装例では、本体152のヘッド部155は、動力駆動器具ヘッド160を駆動するよう構成されている。ヘッド部155の近位端158は、柔軟部165の遠位端162に結合できる。柔軟部165の近位端176には物質排出ポート175が形成されている。柔軟部165は、中空の柔軟管状部材を含むことができる。
【0044】
この内視鏡器具は、動力駆動器具ヘッド160の物質進入ポート170から柔軟部165の物質排出ポート175まで延伸する吸入チャンネルを含むこともできる。幾つかの実装例では、この吸入チャンネルは、動力駆動器具ヘッド160と、本体152のヘッド部155と、本体の柔軟部165とにより形成されている。柔軟部165の近位端176は真空源に結合され、内視鏡器具150が内視鏡の器具チャンネル内に配置されている際には、物質進入ポート170を介して吸入チャンネルに入る切除された物質は、物質排出ポート175で吸入チャンネルから除去される。
【0045】
ヘッド部155は、内視鏡器具150が内視鏡の器具チャンネルに摺動挿入できるように構成された外径を備えたハウジングを含んでいる。幾つかの実装例では、ヘッド部155は、動力駆動器具ヘッド160を駆動するよう構成された動力アクチュエータを含むことができる。幾つかの実装例では、動力アクチュエータはヘッド部155内に設けられている。幾つかの実装例では、動力アクチュエータは、内視鏡の器具チャンネルに挿入できる内視鏡器具150の部分の外部に配置されている。幾つかの実装例では、動力アクチュエータは、当該動力アクチュエータが発生する運動を動力駆動器具ヘッドに伝達可能なシャフトを介して動力駆動器具ヘッドを駆動できる。幾つかの実装例では、動力アクチュエータは内視鏡器具150の一部ではなく、動力駆動器具ヘッド160に結合されている。幾つかの実装例では、このシャフトは柔軟性シャフトでよい。幾つかの実装例では、この柔軟性シャフトは柔軟性トルクコイルとすることができ、その付加的な詳細は
図19A-19Cを参照して後述する。
【0046】
内視鏡器具150は、内視鏡の器具チャンネル内に挿入できるよう寸法決めできる。幾つかの実装例では、内視鏡器具150は、内視鏡が被験者に挿入されているときに当該内視鏡の器具チャンネルに挿入できるように寸法決めすればよい。幾つかのそうした実施形態では、例えば結腸鏡のような内視鏡は曲げられたり湾曲されたりすることがあり、よって内視鏡器具150は、曲げられたり湾曲されたりした内視鏡に挿入できるように寸法決めする必要がある。
【0047】
幾つかの実装例では、内視鏡器具150のヘッド部155および動力駆動器具ヘッド160は、実質的に硬くすなわち剛性があるが、柔軟部165は比較的柔軟またはしなやかとすればよい。ヘッド部155および動力駆動器具ヘッド160は実質的に剛体でよい。従って、そうした幾つかの実装例では、ヘッド部155および動力駆動器具ヘッド160は、少なくとも厚さと長さを寸法決めすることで、内視鏡の器具チャンネルに内視鏡器具150が挿入されている間は、内視鏡器具150は急な曲がりや湾曲を通過できるようになる。幾つかの実装例では、動力駆動器具ヘッド160の長さは約0.2インチ〜2インチ、約0.2インチ〜1インチ、または実装例によっては、0.4インチ〜0.8インチの間とすることができる。幾つかの実装例では、動力駆動器具ヘッド160の外径は約4.0インチ〜1.5インチ、約0.6インチ〜1.2インチ、および0.8インチ〜1インチの間とすることができる。幾つかの実装例では、本体のヘッド部155の長さは約0.5インチ〜3インチ、約0.8〜2インチ、および1インチ〜1.5インチの間とすればよい。
【0048】
柔軟部165の長さは、ヘッド部および動力駆動器具ヘッド160の長さよりかなりおよび/または比較的長くてよい。幾つかの実装例では、柔軟部165は十分長くして、内視鏡器具の組み合わせた長さが、この器具を挿入できる内視鏡の器具チャンネルの長さを上回るようにできる。従って、柔軟部165の長さは、約36インチ、約45インチ、または約60インチを上回る長さを備えることがある。他種類の内視鏡と共に使用するよう構成された内視鏡器具に関しては、柔軟部の長さは36インチ未満でもよいが、そうした内視鏡器具の本体が、当該器具が組み合わせて使用される内視鏡の長さと概ね同じかまたはそれを上回るような長さとすればよい。
【0049】
柔軟部165の外径は、この内視鏡器具を内視鏡の器具チャンネルに挿入できるように構成することができる。幾つかの実装例では、柔軟部165の外径は、内視鏡の器具チャンネルの対応する内径より小さくなるように寸法決めできる。幾つかの実装例では、内視鏡器具は、当該内視鏡を巻いたり曲げたりした際にその内視鏡内に摺動挿入できるほど十分に小さい外径となるよう寸法決めすればよい。例えば、内視鏡は、当該内視鏡が直線状となった場合は内径が約4.3mmとなる器具チャンネルを含むことができる。しかし、この内視鏡が巻かれたり曲げられたりすると、この内視鏡の曲がりの近傍部分は、約4.3mmの内径より小さい隙間となることがある。幾つかの実装例では、この内視鏡は、僅か3.2 mmでよい隙間を備えることができる。従って、実装例によっては、内視鏡器具は、内視鏡が巻かれたり曲げられたりした場合でも、その内視鏡の器具チャンネル内に摺動挿入できるよう寸法決めできる。
【0050】
図2Aおよび2Bならびに3Aおよび3Bは、本開示の実施形態による、
図1Bに示した内視鏡と結合する内視鏡器具の側面透視図を示す。内視鏡器具220は、内視鏡100の器具チャンネル120を介して送り込まれるよう構成されている。
図2Aおよび2Bに示したように、内視鏡器具220は内視鏡100の先端部104の外に突出でき、
図3Aおよび3Bは、内視鏡用具220を内視鏡内に引き込ませて、内視鏡器具220のいずれの部分も内視鏡100の先端部104から突出しないようにできることを示す。
図4を参照して詳述するように、内視鏡器具220は、内視鏡器具220を内視鏡100から除去することなく、ポリープを切断またはデブリードマンし、デブリードマンを行ったポリープを治療部位から得ることができる。
【0051】
図4Aは、本開示の実施形態による、内視鏡100と共に使用するよう適合された内視鏡器具220の分解組立図を示す。内視鏡器具220は、患者の体内で成長したポリープのデブリードマンを行うためのデブリードマン要素と、手術部位からデブリードマンを施されたポリープを回収するための標本回収要素とを含む。内視鏡器具220はキャップ420に結合されたチュービング410を含む。様々な実施形態では、キャップ420はチュービング410と密封係合することができる。このキャップは、心棒430の第1部分において心棒430と一直線に合わせることができる。様々な実施形態では、心棒430は実質的に中空でよい。心棒430はローター440に結合でき、ローター440は心棒430を回転させるよう構成されている。心棒430の第2部分は、外側ブレード460と相互作用するよう構成できる内側ブレード450を含む。幾つかの実装例では、外側ブレード460は洗浄チャンネル(図示しない)を形成するギャップにより内側ブレードから離間できる。
図2Aおよび3Aに関連してすでに示したように、ケーシング470は、キャップ420およびローター440を取り囲むよう構成されている。ワッシャー、ベアリング、シールなどの他の構成要素も内視鏡器具220に含めてよいことは理解すべきである。
【0052】
図4Bは、内視鏡内視鏡器具の器具チャンネルに部分的に挿入された内視鏡器具の概略図である。様々な実施形態では、これらキャップ、コネクタ、ローター、およびケーシングは、射出成形プラスチック製でよい。心棒およびカニューレは外科手術用の鋼材から作製すればよく、チュービングはシリコンから作製すればよい。しかし、これらの材料は使用可能な材料の例にすぎないことは理解すべきである。通常の技能を備えた当業者であれば、上述のものに代えて他の材料を使用してもよいことは理解するはずである。
【0053】
図4Aのチュービング410は、
図4Aおよび4Bの内視鏡100の器具チャンネル120を通過するように寸法決めできる。チュービング410は、1つまたは複数の空気圧流体流入導管412と、1つまたは複数の空気圧流体排出導管414と、1つまたは複数の洗浄導管416と、1つまたは複数の吸引導管418とを含むことができる。空気圧流体流入導管412は、ローター440を空気圧で駆動するために加圧空気を供給するよう構成されており、空気圧流体排出導管414は、患者の体内に大量の空気が侵入しないように空気圧流体流入導管412によって供給された空気を除去する。洗浄導管416は、水などの洗浄流体を内側ブレード450と外側ブレード460との間に供給して、内側ブレード450と外側ブレード460との間の領域の潤滑を助ける。さらに、洗浄流体は、次に内側ブレード450の外側から内側ブレード450の内部に流れる。内側ブレード450の内部は、キャップ420を介してチュービング410の吸引導管418と一直線上に合わせることができ、内側ブレード450に入る流体は内側ブレード450を通過してチュービング410の吸引導管418に流入できることは理解すべきである。内側ブレード450の内部および吸引導管418を通過する洗浄流体は、デブリードマンを施されたポリープと患者の身体から他の廃棄物とが除去される経路となる吸引導管418を潤滑する助けとなる。上述したように、チュービング410は第1端部でキャップ420に結合されているが、第2端部(図示しない)では1つまたは複数の構成要素に結合されている。例えば、空気圧空気流入導管412は圧縮空気源に結合でき、洗浄流体導管416は給水源に結合できる。さらに、空気圧流体排出導管414は圧縮空気源に結合してもよいし、排気のため単に患者の身体外部に露出させてもよい。
【0054】
様々な実施形態では、吸引導管418は、切断したポリープを捕捉し後の検査目的で保管するよう構成された使い捨てカートリッジに結合できる。様々な実施形態では、この使い捨てカートリッジは複数の収集容器を含むことができる。操作者が、切断ポリープの標本を収集する収集容器を選択できるようにしてもよい。収集容器が選択されると、吸引導管418は、患者の体内から収集された物質をその収集容器に送る。よって、操作者は、各ポリープの標本を個別の収集容器に収集できる。こうすることで個々のポリープの癌の性質を特定できる。
【0055】
キャップ420は、チュービング410の第1端部内に嵌合するよう寸法決めできる。様々な実施形態で、チュービング410の第1端部は、キャップ420と結合するよう構成されたコネクタを含むことができる。様々な実施形態では、キャップ420はチュービング410のコネクタに圧入してもよい。従って、キャップ420は、チュービング410の導管に一致した対応する導管を含むことができる。従って、圧縮空気源からの圧縮空気は、チュービング410の空気圧空気流入導管412とキャップ420の対応する空気圧空気流入導管とを介してローター440に供給できる。ローター440は、圧縮空気が衝突してローター440を回転させる1つまたは複数のブレード442を含むことができる。ローターブレード442に衝突した空気は、キャップの対応する空気圧空気排出導管とチュービング410の空気圧空気流入導管414とを介して排出される。ローター440の回転速度は、空気の量と空気がローター440に供給される圧力とに依存する。様々な実施形態では、ローター440が回転する速度は、内視鏡100の操作者により制御されるようにしてもよい。本開示は、ローターを動作させるための空気圧手段を開示しているが、幾つかの実施形態は、ローターを動作させるための液圧手段を含んでもよい。こうした実施形態では、圧縮空気に代えて水のような流体を空気圧空気流入導管412に供給すればよい。
【0056】
上述したように、心棒430はローター440に結合されており、ローター440が回転すると心棒430も回転する。様々な実施形態で、心棒430の第1端部は、ローター440と共に対応して回転する内側ブレード450を含む。内側ブレード450は、外側ブレード460の直径内部に嵌るように寸法決めできる。様々な実施形態では、洗浄流体源から供給される洗浄流体は、チュービング410の洗浄流体導管416とキャップ420の対応する導管とを介して、内側ブレード450と外側ブレード460との間の空間に沿って、内側ブレード450の内径により画定された吸引導管418内に供給される。吸引導管418は真空源に結合されているので、流体や他の物質は吸引導管を介して吸引されることは理解すべきである。こうすることで、洗浄流体は、吸引導管418の少なくとも大部分の長さ部分を、内側ブレード450の先端部452から、心棒430、キャップ420、およびチュービング410を介して、上述した使い捨てカートリッジ内まで潤滑できる。
【0057】
内側ブレード450は外側ブレード460に対して回転でき、内側ブレード450と外側ブレード460との相互作用によって、ポリープは内側ブレード450との接触時に切断される。様々な実施形態では、ポリープを切除するための他の機構を使用してもよく、これらにはローター440、内側ブレード450、または外側ブレード460の使用が含まれても含まれなくてもよい。
【0058】
デブリードマン要素は、概してポリープのデブリードマンを行うよう構成すればよい。デブリードマンは、例えば、ポリープまたは患者身体の表面からのポリープの一部を切り離す動作を含むことができる。従って、全体的または部分的な切断、スネアリング、細断、薄く切ること、粉砕することに限定されないがそれらを含む動作もデブリードマンの例である。従って、デブリードマン要素は、患者身体の表面からポリープを切断し、スネアし、細断し、薄切りし、または粉砕できる構成要素でよい。従って、デブリードマン要素は、鉗子、挟み、ナイフ、スネア、シュレッダー、またはポリープに対してデブリードマンを実行できる他の任意要素でよい。幾つかの実施形態では、デブリードマン要素が操作者によって発生された機械的力の伝達により動作されるようにデブリードマン要素は手動で作動させてもよいし、或いは、タービン、電動モーター、もしくは他の任意の力発生要素を用いてデブリードマン要素が自動的に作動されるようにしてもよい。例えば、デブリードマン要素は、液圧、空気圧、または電気により作動させればよい。様々な実施形態では、内視鏡のチュービングまたはチャンネルを通過する別の導管を用いて、電動モーターなどの電動アクチュエータに給電するための電線を配線できるようにしてもよい。
【0059】
様々な実施形態によれば、デブリードマン要素は、ローター440と、ローターブレード442と、心棒430とからなるタービンアセンブリを含むことができる。操作者は、圧縮空気をタービンアセンブリに供給することで内視鏡器具のデブリードマン要素を作動させることができる。操作者は、ポリープのデブリードマンを開始する準備が整えば、タービンアセンブリを作動してデブリードマン要素を作動させる。
図4に開示した実施形態のような幾つかの実施形態では、デブリードマン要素の作動は、内側ブレード450を外側ブレード460に対して回転させるものとしてよい。作動させると、操作者は内視鏡器具220をデブリードマンが行われるポリープに近づけ、内側ブレード450でポリープに対してデブリードマンを行い、デブリードマンが行われたポリープの部分をポリープが成長していた領域付近に残しておくことができる。次に、操作者はタービンアセンブリの動作を停止し、吸引導管418を介して吸引を実行することができる。次に、操作者は切断したポリープの近くに内側ブレードを移動させ、切断したポリープが吸引導管418を介して回収されるようにすればよい。様々な実施形態では、この内視鏡器具の吸引要素は、デブリードマン要素の動作時に作動させることで、デブリードマンされた物質が吸引要素によって回収されるようにしてもよい。
【0060】
上述の実施形態はタービンアセンブリを使用するデブリードマン要素を収容しているが、本開示の範囲はそうした実施形態に限定されるものではない。むしろ、当業者であれば、デブリードマン要素は、手動で動作するか或いはポリープに対してデブリードマンを行う他の任意手段を用いてよく、デブリードマンされたポリープが上述の吸引導管を介して手術部位から回収できるようにしてもよい。デブリードマン要素の例は、スニップ、ブレード、ソー、もしくはタービンアセンブリに駆動されうるまたはされない他の任意の鋭利な工具を含むことができるがそれらに限定されない。小片に切断されたポリープは、内視鏡から内視鏡器具を除去することなく吸引導管を介して回収できるので、ポリープを小片に切断可能なデブリードマン要素の使用が望ましいことがあることは理解すべきである。
【0061】
切断工具ブレードのうち少なくとも1つを回転させるタービンアセンブリの幾何学的形状および組立は、流体力学に基づかせることができる。ベルヌーイの式を用いて流体圧力と流量速度との間の変換を説明できる。この式によれば、流量速度は次の式によって初期流体圧力と関連付けられる。
【0063】
ここでVは速度、Pは圧力、Dは質量密度である。
【0064】
流体が計算された速度に達するようにするには、流体が内部を流動するチャンネルが経験的に求められたL/D比である2を満たすように、排出地点で流体が形成されていればよい。ここで、「D」は流れのぬれ径(wetted diameter)であり、「L」はチャンネルの長さである。
【0065】
ローターブレードと流体との相互作用をさらに理解するため、エアジェットがローターブレードに平面で衝突するようにローターブレードが作製されているものと仮定する。運動量の式を用いて発生する力を求めることができる。
【0067】
ここでmは衝突するエアジェットの質量の流れであり、Vは体積である。
【0068】
制御体積が一定(ブレード間の体積)であると仮定すれば、ブレード上に発生する力は次について解くことができる。
【0070】
量V
outおよびV
inは衝動タービン内で同じであり、運動量の変化は流体の方向変化のみによってもたらされる。質量の流れmは、指定されるポンプにより決定される。実際の数値はローターの速度も考慮する必要がある。最終的には、ブレードとエアジェットとの単一の相互作用によって生み出される力は次の通り。
【0072】
ここで「θ」は入ってくるエアジェットと出て行くエアジェットとの角度の差である。理論的に考慮すれば、最大トルク量は180°の「θ」値により生成できるが、それを行うには入ってくるエアジェットを次のブレードの裏に送出することになる。従って、流体が滑らかに出るためには、この角度は180から15°〜20°少ない設計値とするのが最適である。最終的に、この力は回転トルクへ定義できる。
【0074】
考慮できる第2の力は、ノズルからタービンホイールへの方向転換に起因する。タービンに動力を供給するには、エアジェットの方向からブレードの方向へとエアジェットを90°回転させればよい。エアジェットの回転は、噴射速度の関数である静止したハウジングへの力を生成する。また、噴射速度は掛けられた圧力に比例する。
【0076】
この力には、ハウジングと内視鏡との間の接続により反作用が生じることがあり、そうならない場合は、動作時にタービンアセンブリが放出されてしまうことがある。
【0077】
有限要素解析(FEM)に基づいた計算解析は、最大の応力が存在する領域は、急な角が存在するブレードの基部付近である。空気入力チャンネルの設計は、内視鏡の既存の空気ノズルチャンネルにより単純化できる。既存の内視鏡の空気ノズルは、加圧空気を対物レンズ上に向けて水分を除去しかつ検査対象の腔所を拡張し、または加圧水を対物レンズ上に向けて破片(debris)を除去する。
【0078】
ここで
図4Bを参照すると、内視鏡器具と関連付けられた様々な導管が示された、内視鏡に結合された内視鏡器具の透視図が図示されている。特に、空気圧空気流入導管412は加圧空気をローターアッセンブリに供給することが図示されており、空気圧空気排出導管412(ここでは図示しない)は、ローターアッセンブリからの空気を内視鏡100の外部に排出する。洗浄チャンネル416は洗浄流体を内視鏡器具220内に送ることが示されており、当該内視鏡器具において、洗浄流体は吸引導管418に入り、当該吸引導管は患者体内からの物質を内視鏡外の収集要素まで運ぶ。
図4Bで示したように、洗浄流体は、洗浄流体流入口419から吸引導管418に流入することができる。洗浄流体流入口419は、吸引導管に沿った任意箇所に配置すればよいことは理解すべきである。吸引導管に掛けられる吸引力のおかげで、洗浄流体は吸引導管に強制流入され、その際に、吸引導管内を流動する物質が、洗浄流体流入口419を介して吸引導管の外へ流出することはない。さらに、幾つかの実施形態では、洗浄チャンネルは、吸引力が吸引導管に掛けられている間だけ洗浄流体を内視鏡器具に供給するようにしてもよい。
【0079】
図5は、本開示の実施形態による、
図1に示した内視鏡と結合される別の内視鏡器具の側面透視図を示す。アドオン内視鏡器具500は、内視鏡100の先端部104の器具チャンネル120を形成する壁部に結合するよう寸法決めされている。アドオン内視鏡器具500は、内視鏡104の先端部104において内視鏡100の器具チャンネル120に締りばめまたは圧入によって着脱可能に取り付けできる。他の実施形態では、アドオン内視鏡器具500は、当業者には周知の他の取り付け手段を用いて内視鏡100に結合してもよい。
【0080】
図6を参照すると、アドオン内視鏡器具500の拡大図を示す。このアドオン内視鏡器具は、外側ブレードまたは支持部材510と、外側ブレード510内に配置された内側ブレード520と、内側ブレード520に結合されかつケーシング540に取り囲まれたローター530とを含む。このケーシングは、コネクタ560にさらに結合されたキャップ550に結合されている。幾つかの実施形態では、コネクタ560は、内視鏡100の器具チャンネル120の内径に係合するよう寸法決めできる。幾つかの実施形態では、この内視鏡器具の他の任意構成要素を内視鏡100と係合させて、この内視鏡器具を器具チャンネル120に固定するように構成してもよい。
【0081】
図7〜12は、本開示の複数の実施形態による、
図6に示したアドオン内視鏡器具の個別の構成要素の透視図を示す。
図1〜4に関連して開示した内視鏡器具220とは対照的に、アドオン内視鏡器具500は、内視鏡100の器具チャンネル120の第1端部内に嵌合するよう適合できる。
【0082】
様々な実施形態では、器具チャンネル120の第2端部は、器具チャンネル120を介して物質を吸引させる真空源に結合できる。吸引導管が真空源から内視鏡の器具チャンネルを介して延伸し、さらにコネクタ560、キャップ550、およびローター530を介して内側ブレード520の第1端部まで延伸しており、この第1端部は内側ブレード520の内径により画定された開口部を備えている。コネクタ560、キャップ550、ケーシング540、およびローター530は、一直線に並んだそれぞれの中心穴566、556、546、および536を備えており、物質は内側ブレード520の開口部から器具チャンネル120の第2端部を介して真空源まで流動可能とされている。
【0083】
さらに、アドオン内視鏡器具500のケーシング540は、
図10に示したように空気圧空気流入ポート542と空気圧空気排出ポート544とを含む。空気圧空気流入ポート542は、内視鏡100の全長に沿って患者の身体外部まで通じている空気圧空気流入導管を介して圧縮空気源から圧縮空気を受け取るよう構成でき、空気圧空気排出ポート544は、ローター530に衝突する空気を、内視鏡100の全長に沿って患者の身体外部まで通じている空気圧空気排出導管を介して排出するよう構成できる。こうすることで、
図1〜4に関連して上述したように、ローターは、圧縮空気源からの圧縮空気の供給によって作動可能となる。ローターおよび本明細書で開示された関連要素は圧縮空気の使用に関わるが、このローターは液圧駆動してもよい。こうした実施形態では、空気圧空気導管は、水のような液体をローター周囲の領域との間で往き来させるよう構成してもよい。
【0084】
ここで
図13も参照すると、空気圧空気流入および排出導管は、アドオン内視鏡器具から内視鏡100の器具チャンネル120を介して空気圧空気源まで延伸してよい。こうした実施形態では、空気圧空気流入および排出導管並びに吸引導管用に別個の導管を含むチュービングが、内視鏡の外部から内視鏡の内部のアドオン内視鏡器具まで延伸してよい。このチュービングは、内視鏡の器具チャンネルを介して送り込まれ、アドオン内視鏡器具500に結合できるようにしてよい。
こうした実施形態では、アドオン内視鏡器具500は予め形成したチャンネルを備えた付加的な構成要素を備えるよう構成でき、これら予め形成したチャンネルは、チュービングのそれぞれのチャンネルを、アドオン内視鏡器具の関連付けられた空気圧空気流入および排出開口部とアドオン内視鏡器具内に形成された吸引導管とに結合する。さらに、洗浄流体チャンネルもチュービング内に形成して、洗浄流体をアドオン内視鏡器具500に供給できるようにしてもよく、洗浄流体は、アドオン内視鏡器具から吸引導管内に進路変更される。
【0085】
様々な実施形態では、外側ブレード510の先端部は鋭くできるが、患者の身体の腔所に進入する際に患者に不快感を与えることがある。従って、アドオン内視鏡器具を患者の身体に挿入する前に、ゲルキャップまたは他の類似構造体のようなガード構造体(図示しない)を外側ブレードに装着して、患者の身体の表面に外側ブレードが接触することによる外傷を防止してもよい。この内視鏡器具が患者の身体に挿入されると、ガード構造体は外側ブレード510から解放できる。様々な実施形態では、ガード構造体は、患者の身体に入った時点で溶解するようにしてもよい。
【0086】
ここで
図14を参照すると、本開示の複数の実施形態による内蔵型ポリープ除去アセンブリを備えた改良型内視鏡が図示されている。改良型内視鏡1400は多くの側面で従来の内視鏡に類似しているが、この改良型内視鏡は、内視鏡1400の器具チャンネル内に内蔵型ポリープ除去アセンブリ1440を含みうる点で異なる。ポリープ除去アセンブリ1440は、ケーシング1444内に封入されたローターブレードを備えたローター1442を具備したタービンアセンブリを含み、ケーシング1444は、空気圧または液圧流体にローター1442を作動させるための1つまたは複数の流入および流出ポートを備えている。これら流入ポートはその設計よって、流体がローターブレードと適切な角度で相互作用してローターが所望速度で確実に駆動されうるようになっている。
【0087】
さらに、ポリープ除去アセンブリ1440は、ポリープ除去アセンブリ1440をチュービング1470に結合するよう構成されたコネクタ1420に結合できる。チュービング1470は、空気圧空気流入導管1412と、空気圧空気排出導管(図示しない)と、洗浄流体導管1416と、タービンアセンブリの中心を通過している吸引導管1418とを含むことができる。チュービング1440の寸法決めは、チュービング1440が確実にコネクタ1420に結合されて、チュービング1440の1つまたは複数の導管がコネクタ1440内の対応する導管に結合されるようにすればよい。コネクタ1420は洗浄流体流入開口部419を含むよう設計でき、チュービングがコネクタに結合されているときは、この開口部により洗浄流体がチュービング1440の吸引導管1418に流入可能となる。
【0088】
内視鏡1400のタービンアセンブリは着脱可能のデブリードマンアセンブリ1460に結合でき、タービンアセンブリの動作時に、心棒およびカニューレを含むデブリードマンアセンブリを動作可能とするよう構成されている。
【0089】
本開示の他の実施形態では、内視鏡は、一回の操作で、容易に、1つまたは複数のポリープのデブリードマンを行い、これらポリープに関連したデブリードマンされた物質を除去するよう設計できる。様々な実施形態では、この内視鏡は、デブリードマンされた物質を除去し、洗浄流体を供給し、空気圧または液圧流体の少なくとも一方を供給しかつ除去するための1つまたは複数の別個のチャンネルを含むことができる。さらに、この内視鏡は、当該内視鏡の一端に固定的または着脱可能に結合できるデブリードマン要素を含むことができる。様々な実施形態では、このデブリードマン要素の動作に基づいて、別個のデブリードマン要素チャンネルをデブリードマン要素用に設計してもよい。さらに、この内視鏡は光源およびカメラを含むことができる。一実施形態では、内視鏡は、デブリードマン要素を作動するために、既存のチャンネルを利用して空気圧または液圧流体を内視鏡器具のアクチュエータに供給してもよい。例えば、
図1に示した内視鏡では、水チャンネル108A-Nを改造して、流体を空気圧または液圧的にアクチュエータに供給してもよい。そうした実施形態では、内視鏡器具は、内視鏡の既存のチャンネル108に関連付けられた開口部に結合可能な第1端部を備えたコネクタを含むことができ、このコネクタの他端はアクチュエータの開口部に曝されている。
【0090】
本開示の様々な実施形態では、内視鏡器具は、組織の一定の層の存在を検出するようさらに構成できる。これは、医師がポリープのデブリードマンを行う場合に、特に用心して腸の穿孔を防止するのに有効となりうる。幾つかの実施形態では、内視鏡器具は、組織の種類を特定するため、内視鏡の外部にあるセンサ処理構成要素と通信可能なセンサを備えてもよい。このセンサは、密度情報に加え温度情報も収集し、こうした情報に対応した信号を、感知した組織の種類を識別可能なセンサ処理ユニットに与えることができる。幾つかの実装例では、このセンサは電気センサでよい。
【0091】
さらに、この内視鏡器具は、医師が患者体内の特定の領域に印をつけられるようにする注入可能染料要素を備えていてもよい。他の実施形態では、医師は、注入可能染料を利用しなくてもデブリードマン要素を使用して特定の領域に印を付けることができる。
【0092】
本開示は、内視鏡の先端部に取り付けられる工具および内視鏡の全長に沿って送り込みできる工具を含むがそれらに限定されないものを含む内視鏡器具の様々な実施形態を開示するが、本開示の範囲はそうした実施形態または内視鏡器具一般に限定することを意図したものでない。本開示の範囲は、むしろ単一の工具を使って患者の体内からポリープのデブリードマンを行いかつ除去できる任意の装置まで拡張される。従って、本開示の範囲は、本明細書に記載された内視鏡器具の幾つかまたはすべての構成要素を用いて作製できる改良型内視鏡にまで拡張される。例えば、一体型タービンアセンブリを備えかつデブリードマン要素に結合されるよう構成された改良型内視鏡も本明細書に開示されている。さらに、この内視鏡は、その全長を延伸する予め形成した導管も含むことができ、吸引導管だけを使い捨てチュービングにより形成してもよく、空気進入および排出導管ならびに洗浄導管は改良型内視鏡内に永続的に形成されている。他の実施形態では、吸引導管も予め形成されているが、複数の患者に対して使用できるように洗浄かつ清浄にできるよう作製できる。同様に、デブリードマン要素も内視鏡の一部としてもよいが、複数の患者に対して使用できるように洗浄かつ清浄可能としてもよい。さらに、当業者であれば、内視鏡器具を構成する構成要素の一部または全部を、患者の体内からポリープのデブリードマンを行いかつ除去するのに使用する既存の内視鏡または新たに設計した内視鏡に組み込んでよいことは理解するはずである。
【0093】
ここで
図15を参照すると、本開示の幾つかの実施形態による、内視鏡器具を動作させるための様々な構成要素を図示した概念的システムアーキテクチャ図を示す。内視鏡システム1500は、内視鏡器具220を備えた内視鏡100であって、給気測定システム1510と、洗浄システム1530と、ポリープ除去システム1540とに結合できる内視鏡100を含んでいる。上述のように、内視鏡100内で延伸するチュービングは、1つまたは複数の空気圧空気流入導管412および1つまたは複数の空気圧空気排出導管414を含むことができる。空気圧空気流入導管412は給気測定システム1510に結合されており、この給気測定システムは、1つまたは複数のセンサと、ゲージと、弁と、ローター440を駆動するため内視鏡100に供給される空気のような気体の量を制御する他の構成要素とを含む。幾つかの実施形態では、ローター440に供給する空気量は、給気測定システム1510を用いて制御すればよい。さらに、ローター440を作動するための給気は、内視鏡100を使用する医師が手動で制御できる。一実施形態では、医師は、フットペダルまたは手動レバーを使ってローター440に給気できる。
【0094】
しかし、空気圧空気排出導管414は、いずれの構成要素にも結合しなくてもよい。その結果、ローター440から排出される空気は、単に内視鏡から空気圧空気排出導管414を介して大気中に排出すればよい。幾つかの実施形態では、空気圧空気排出導管414は給気測定システム1510に結合させて、空気圧空気排出導管414を出る空気が、空気圧空気流入導管412を介してローターに再度供給されるようにしてもよい。類似の構成を液圧駆動タービンシステムに用いてもよいことは理解すべきである。
【0095】
さらに、内視鏡100は、洗浄流体導管416を介して洗浄システム1530に結合できる。洗浄システム1530は、洗浄源1532に結合された流量計1534であって、洗浄源1532から内視鏡100に流動する流体の量を制御するための流量計1534を含むことができる。
【0096】
上述のように、内視鏡100は、さらに患者の体内からポリープを除去するための吸引導管418も含むことができる。吸引導管418は、ポリープを格納するよう構成できるポリープ除去システム1540に結合できる。様々な実施形態では、除去されたポリープが個別に検査できるように、医師が、標本をポリープ除去システム1540内の1つまたは複数のカートリッジ1542に収集可能としてもよい。
【0097】
本開示の様々な実施形態では、内視鏡は、柔軟ハウジングにより分離された第1端部および第2端部と、第1端部から第2端部まで延伸する器具チャンネルと、デブリードマン要素および器具チャンネル内に配置された標本回収導管を含む内視鏡器具とを含む。この内視鏡器具は、標本回収導管が内部に部分的に配置された柔軟性チュービングをさらに含むことができ、この柔軟性チュービングは、内視鏡器具の第1端部から第2端部まで延伸している。この柔軟性チュービングは、空気圧空気流入導管および流体洗浄導管も含むことができる。様々な実施形態では、このデブリードマン要素は、タービンアセンブリおよび切断工具を含んでもよい。内視鏡が内蔵型内視鏡器具を備えるよう構成された様々な実施形態では、器具チャンネルの直径は、既存の内視鏡の器具チャンネルの直径より大きくすればよい。こうすることで、デブリードマンされた物質の大きい部分は、吸引導管を詰まらせることなく患者の体内から吸引できる。
【0098】
他の実施形態では、内視鏡は、柔軟ハウジングにより分離された第1端部および第2端部と、第1端部から第2端部まで延伸する器具チャンネルと、内視鏡の第1端部で器具チャンネルに結合された内視鏡器具であって、部分的に器具チャンネル内に配置されたデブリードマン要素と標本回収導管とを含む内視鏡器具とを含むことができる。幾つかの実施形態では、この内視鏡器具は、内視鏡器具に着脱可能に取り付けできる。
【0099】
本開示の他の実施形態では、内視鏡システムは内視鏡を含み、この内視鏡は、柔軟ハウジングにより分離された第1端部および第2端部と、第1端部から第2端部まで延伸する器具チャンネルと、内視鏡の第1端部で器具チャンネルに結合された内視鏡器具とを含む。この内視鏡器具は、デブリードマン要素と、内視鏡の長さより長い柔軟性チュービングとを含むことができる。さらに、柔軟性チュービングは、標本回収導管と、空気圧空気流入導管と、流体洗浄導管と、内視鏡の第2端部に近位で標本回収導管と結合するよう構成された使い捨てカートリッジと、内視鏡の第2端部に近位で空気圧空気流入導管と結合するよう構成された加圧空気源と、内視鏡の第2端部に近位で流体洗浄導管と結合するよう構成された流体洗浄源とを含むことができる。様々な実施形態では、この内視鏡は、少なくとも1つのカメラ源および少なくとも1つの光源も含むことができる。本開示の幾つかの実施形態では、空気圧空気流入導管は、内視鏡の第1端部に近位でデブリードマン要素のタービンアセンブリに加圧空気を供給し、流体洗浄導管は、内視鏡の第1端部に近位で洗浄流体を標本回収導管に供給する。
【0100】
図16Aは内視鏡器具1600の部分分解組立図を示し、この内視鏡器具は、
図1Bに示した内視鏡100のような内視鏡の器具チャンネル内に挿入できるよう構成されている点で
図1Cに示した内視鏡器具150に似ている。
図16Bは、
図16Aに示した内視鏡器具の部分断面図を示す。
図16Aおよび16Bに示したように、内視鏡器具1600のヘッド部は、動力アクチュエータ1605と、切断シャフト1610および外側構造体1615を含んだ動力駆動器具ヘッド1680と、柔軟性管状部材1630の遠位端に結合された貫通コネクタ1620とを含むことができる。柔軟性管状部材1630は、内視鏡器具1600の末端部を形成する。従って、
図16Aおよび16Bは、内視鏡器具1600のヘッド部を示す。
【0101】
内視鏡器具1600は、柔軟性管状部材1630の近位端から動力駆動器具ヘッド1680の遠位端1614まで延伸する吸入チャンネル1660を形成するよう構成されている。幾つかの実装例では、柔軟性管状部材1630の近位端は、真空源に流体結合するよう構成できる。こうすることで、柔軟性管状部材1630の近位端で吸引力が掛けられると、動力駆動器具ヘッド1680の遠位端1614におけるまたは遠位端付近の物質は、遠位端において内視鏡器具1600に入り、吸入チャンネル1660を通過して、柔軟性管状部材1630の近位端まで流動できる。
【0102】
動力アクチュエータ1605は、動力駆動器具ヘッド1680を駆動するよう構成でき、この動力駆動器具ヘッドは、外側構造体1615内部に配置された切断シャフト1610を含む。幾つかの実装例では、動力アクチュエータ1605は、切断シャフト1610に機械的に結合した駆動シャフト1608を含むことができる。幾つかの実装例では、切断シャフト1610が駆動シャフト1608により駆動されるように、1つまたは複数の結合要素を用いて駆動シャフト1608を切断シャフト1610の近位端1611に結合できる。動力アクチュエータ1605は電動アクチュエータでもよい。幾つかの実装例では、この電動アクチュエータは、電流を電動アクチュエータ1605に供給するための導電線を収容するよう構成された電気端子1606を含むことができる。幾つかの実装例では、電動アクチュエータは電動モーターを含むことができる。幾つかの実装例では、この電動モーターはマイクロサイズモーターでよく、数ミリメートル未満の外径を備えたものとしてよい。幾つかの実装例では、動力アクチュエータ1605は約3.8mm未満の外径を備えている。動力アクチュエータ1605は、専有面積が小さいことに加え、一定のトルクおよび回転速度パラメータを満たすよう構成できる。幾つかの実装例では、動力アクチュエータ1605は、被験者体内から組織を切除するのに十分なトルクを発生かつ/または十分な速度で回転するよう構成できる。これら要件を満たすモーターの例は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州フォールリバー所在のマクソン・プレシジョン・モーターズ社(Maxon Precision Motors, Inc.)が製造するマイクロモーターを含む。電動モーターの他の例には、交流モーター、直流モーター、圧電モーターなどを含む任意種類の電動モーターが含まれる。
【0103】
動力アクチュエータ1605が動力駆動器具ヘッド1680を駆動できるように、動力駆動器具ヘッドは動力アクチュエータ1605に結合するよう構成されている。上述したように、切断シャフト1610の近位端1611は、動力アクチュエータ1605の駆動シャフト1608に結合するよう構成できる。近位端1611の反対側の切断シャフト1610の遠位端1614は、切断先端部1612を含むことができる。切断先端部1612は、組織を切断可能な1つまたは複数の鋭利な表面を含むことができる。幾つかの実装例では、切断シャフト1610は中空とすることができ、切断先端部1612においてまたはその付近に物質流入ポート1613を形成でき、切断された物質が、この切断先端部から物質流入ポート1613を介して内視鏡器具1610に入ることができる。幾つかの実装例では、切断シャフト1610の近位端1611は、物質進入ポート1613から流入する物質が切断シャフト1610から出られるよう寸法決めされた1つまたは複数の流出口1614を含むことができる。
図16Aおよび16Bに示したように、流出口1614は切断シャフト1610の壁に形成されている。幾つかの実装例では、これら流出口1614は、物質進入ポート1613を介して切断シャフト1610に入る物質が、流出口1614を介して切断シャフト1610から流出できるように寸法決めできる。幾つかの実装例では、駆動シャフト1608に近位の切断シャフト1610の部分は中実にして、切断シャフト1610に入るすべての物質が流出口1614を介して切断シャフト1610から流出できるようにしてもよい。
【0104】
外側構造体1615は中空として、切断シャフトが外側構造体1615の内部に配置できるように構成できる。従って、外側構造体1615は、切断シャフト1610の外径より大きい内径を備えている。幾つかの実装例では、外側構造体1615は、切断シャフト1610が、外側構造体1615の内壁に接触することなく、外側構造体1615内部で自由に回転できるよう寸法決めされる。外側構造体1615は、外側構造体1615の遠位端1617に開口部1616を含み、切断シャフト1610が外側構造体1615内に配置されると、切断シャフト1610に形成された切断先端部1612および物質進入ポート1613が露出するようになっている。幾つかの実装例では、切断シャフト1610が外側構造体1615内で回転するときに熱の発生を抑制する助けとするため、切断シャフト1610の外表面および外側構造体1615の内表面には耐熱性被覆を施してもよい。外側構造体1615の近位端は、動力アクチュエータ1605を収容するハウジングに取り付けられるよう構成されている。
【0105】
貫通コネクタ1620は、流出口1614を形成する切断シャフト1610の部分の周囲に同心円状に配置できる。幾つかの実装例では、貫通コネクタ1620は中空として、切断シャフト1610の流出口1614の周りの領域を囲むよう構成して、切断シャフト1610の流出口1614を出る物質が貫通コネクタ1620内に収まるようにしてもよい。貫通コネクタ1620は、管状部材1630の遠位端を収容するよう構成可能な排出ポート1622を含むことができる。こうすることで、貫通コネクタ1620内の物質は、柔軟性管状部材1630の遠位端に流入できる。貫通コネクタ1620は、切断シャフト1610と管状部材1630との間の流体連通を可能とする流体結合器の役目を果たすことができる。
【0106】
管状部材1630は、貫通コネクタ1620の排出ポート1622に結合するよう構成できる。切断シャフト160と、貫通コネクタ1620と、柔軟性管状部材1630とを介して、吸入チャンネル1660は、切断シャフト1610の物質進入ポート1613から管状部材1630の近位端まで延伸している。幾つかの実装例では、管状部材1630は、管状部材1630の近位端で真空源に結合するよう構成できる。こうすることで、真空源が管状部材1630の近位端に吸引力を掛けると、物質が切断シャフト1610の物質進入ポート1613を介して吸入チャンネルに入り、真空源に向かって吸入チャンネル1660を流動し、内視鏡器具1600を出る。このように、吸入チャンネル1660は、内視鏡器具の一端から内視鏡器具1600の他端まで延伸している。幾つかの実装例では、真空源を管状部材1630に掛けることで、治療部位の物質が治療部位から吸引され、吸入チャンネル1660を通過して、内視鏡器具1600から取り出されている間に、内視鏡器具1600は、内視鏡の器具チャンネルおよび治療を受けている被験者内部に配置された状態を維持できる。幾つかの実装例では、切断シャフト1610、貫通コネクタ1620、または管状部材1630の1つまたは複数の表面を処理して流体の流れを向上させてもよい。例えば、切断シャフト1610、貫通コネクタ1620、または管状部材1630の内表面に超疎水性物質を被覆して、患者の内部から除去された物質が、吸引導管を詰まらせる可能性を減少させることができる。
【0107】
動力アクチュエータ1605に結合できる様々な種類の器具ヘッドの例は、例えば、米国特許第4,368,734号、米国特許第3,618,611号、米国特許第5,217,479号、米国特許第5,931,848号、および米国特許出願公開第2011/0087260号に開示されている。他の幾つかの実装例では、器具ヘッドは、動力アクチュエータ1650のような動力アクチュエータにより駆動されうる任意種類の切断先端部であって、組織を内視鏡器具1600内に形成された吸入チャンネルを介して治療部位から除去できるよう組織を小片に切断可能な、任意種類の切断先端部を含むことができる。幾つかの実装例では、動力駆動器具ヘッド1680は、治療部位からの物質がそれを介して除去されうる部分を含むことができる。幾つかの実装例では、吸入チャンネルの外周は、数マイクロメートルから数ミリメートル程度とすればよい。
【0108】
幾つかの実装例では、動力アクチュエータ1620が動作に電流を使用する場合、この電流は、動力アクチュエータを電源に電気的に結合する1つまたは複数の導電線を介して供給できる。幾つかの実装例では、電源は内視鏡器具1600の外部に設けてもよい。幾つかの実装例では、内視鏡器具1600は、電気エネルギーを電気アクチュエータに供給するよう構成されたバッテリなどのエネルギー蓄積要素を含むことができる。幾つかの実装例では、エネルギー蓄積要素は内視鏡器具の内部に配置できる。幾つかの実装例では、エネルギー蓄積要素または他の電源は十分な電流を動力アクチュエータに供給して、切断シャフト1610が組織物質を切断できるよう動力アクチュエータに所望のトルク量および/または速度を発生させるよう構成できる。幾つかの実装例では、組織を切断するのに十分なトルク量は約2.5 N mm以上とすることができる。幾つかの実装例では、切断シャフトの回転速度は1000〜5000回の毎分回転数とすることができる。しかし、これらのトルク範囲および速度範囲は例であって、いかなる意味でも限定を意図したものではない。
【0109】
内視鏡器具1600は、図示したシール1640およびベアリング1625などの他の構成要素または部材を含むことができる。幾つかの実装例では、内視鏡器具1600は、図示されていないが内視鏡器具1600に含めてよい他の構成要素を含むことができる。こうした構成要素の例には、センサ、ケーブル、ワイヤに加え、例えば、内視鏡器具を挿入可能な内視鏡の器具チャンネルの内壁と係合する構成要素などの他の構成要素が含まれる。さらに、この内視鏡器具は、動力アクチュエータと、貫通コネクタ1620と、内視鏡器具1600の他の構成要素とのうち1つまたは複数を収容するハウジングを含むことができる。幾つかの実装例では、内視鏡器具1600の末端部は、
図1Cに示した柔軟部165と似た柔軟性ハウジングも含むことができ、この柔軟性ハウジングは、柔軟性管状部材1630などの1つまたは複数の柔軟性管状部材に加え、他の任意のワイヤ、ケーブル、または他の構成要素を保持できる。
【0110】
幾つかの実装例では、内視鏡器具は、この器具が挿入される内視鏡の器具チャンネルと係合するよう構成できる。幾つかの実装例では、内視鏡器具のヘッド部の外表面は、内視鏡の器具チャンネルの内壁と係合可能であり、内視鏡器具には、器具チャンネルに支持されていない場合に起こりうる不要または望ましくない動きが発生しない。幾つかの実装例では、内視鏡器具の本体のヘッド部は、本体のヘッド部を器具チャンネルの内壁に固定する固定機構を含むことができる。幾つかの実装例では、この固定機構は、内壁に係合する摩擦要素の配置を含むことができる。この摩擦要素は、シール、Oリング、クリップなどでよい。
【0111】
図16Cは、例示的な内視鏡器具の係合アセンブリの概略図を示す。
図16Dは、非係合状態となっている係合アセンブリの切開図を示す。
図16Eは、内視鏡の器具チャンネルに係合するよう配置された状態の係合アセンブリの切開図を示す。
図16Cおよび16Dで示したように、係合アセンブリ1650は、その外表面1656の周りに円柱状溝1654が形成されたハウジング部1652を含む。溝1654は、柔軟性シール要素1670が溝1654内部に部分的に収容できるよう寸法決めされている。円柱状操作部材1660は、ハウジング部1652を取り囲むよう構成されている。円柱状操作部材1660は、ハウジング部1652の長さ方向に摺動できる。円柱状操作部材1660は、固定部材1670の表面を押圧することで固定部材1670に係合するよう構成されている。操作部材1660は固定部材1670に力を加えて、固定部材1670がより平坦でより幅広くなるよう固定部材1670を変形させることができる。固定部材1670は幅広になると、固定部材1670の外表面が、内視鏡器具が挿入された内視鏡の器具チャンネルの内表面に係合できるよう構成されている。こうすることで、円柱状操作部材1660が操作されると、内視鏡器具1600は器具チャンネルに係合でき、よって内視鏡器具1600が器具チャンネルに対して移動するのを防止する。これにより、操作者が被験者を治療している間、安定性を確保する助けとなる。幾つかの実装例では、複数の係合アセンブリ1650を内視鏡器具1600の様々な部分に沿って配置できる。
【0112】
図17Aは、本開示の実施形態による例示的な内視鏡器具1700の分解組立図を示す。
図17Bは、内視鏡器具1700の断面図を示す。内視鏡器具1700は、
図16Aおよび16Bに示した内視鏡器具1600に似ており、
図1Bに示した内視鏡100などの内視鏡の器具チャンネル内に挿入されるよう構成できる。しかし、内視鏡器具1700は、動力アクチュエータ1705内を延伸する吸入チャンネル1760を形成している点で内視鏡器具1600とは異なる。こうすることで、内視鏡器具1700の物質進入ポート1713に入る物質は、内視鏡器具1700内を流動し、直線的にこの内視鏡器具から流出できる。
【0113】
図17Aおよび17Bに示したように、内視鏡器具1700は、異なる動力アクチュエータ1705と、異なる切断シャフト1710と、異なる貫通コネクタ1720とを含むことを除けば内視鏡器具1600と似ている。動力アクチュエータ1705は、
図16Aに示した動力アクチュエータ1605に似ているが、動力アクチュエータ1705は、中空で動力アクチュエータ1705の全長に亘って延伸する駆動シャフト1708を含む点で異なる。構成要素の幾つかが異なるため、この内視鏡器具の組み付け様態も異なる。
【0114】
幾つかの実装例では、動力アクチュエータ1605は、モーターの全長を延伸する中空シャフトを備えることができる任意のアクチュエータでよい。駆動シャフト1708の遠位端1708aは、第1開口部を含み、切断シャフト1710の近位端1711に結合している。切断シャフト1610とは異なり、切断シャフト1710は、切断シャフト1710の基部に流体出口1714を含む。結果的に、切断シャフト1710は全長に亘って中空である。駆動シャフト1708の近位端1708bは貫通コネクタ1720に結合するよう構成されており、貫通コネクタ1720は、駆動シャフト1708の近位端と一直線に合わせられたチャンネルを形成する中空穴1722を含むので駆動シャフトと中空穴1722とが流体結合されている点で貫通コネクタ1620とは異なる。中空穴1722は柔軟性管状部材1730に結合するよう構成されており、この柔軟性管状部材は柔軟性管状部材1630と同様に、遠位端の貫通コネクタから、真空源に結合するよう構成された近位端まで延伸している。
【0115】
図17Aおよび17Bに示したように、駆動シャフト1708は中空とすることができ、駆動シャフト1708には、駆動シャフト1708の遠位端1708aの第1開口部と、近位端1708bにおける第2開口部とが形成されている。切断シャフト1710も中空であり、切断シャフト1710の基部1710aには開口部1714が形成されている。駆動シャフト1708の遠位端1708aは、切断シャフト1710の基部1710aに結合するよう構成されており、駆動シャフト1708の第1開口部は、切断シャフト1710の基部1710aの開口部と一直線に合わせられている。こうすることで、駆動シャフト1708は切断シャフト1710に流体結合できる。切断シャフト1710の遠位端1710bは、切断先端部1712と物質進入ポート1713とを含んでいる。
【0116】
駆動シャフト1708の近位端1708aは、貫通コネクタ1720を介して柔軟性管状部材1730の遠位端に流体結合している。幾つかの実装例では、柔軟性管状部材が駆動シャフトとともに回転しないように、貫通コネクタ1720は駆動シャフトと柔軟性管状部材とを結合する。柔軟性管状部材の近位端は、真空源に流体結合するよう構成できる。
【0117】
図17Bに示したように、内視鏡器具1700には、物質進入ポート1713から切断シャフトと、駆動シャフトと、貫通コネクタ1720とを通って、柔軟性管状部材1730の第2端部まで延伸する吸入チャンネル1760が形成されている。こうすることで、物質進入ポート1713に入る物質は、内視鏡器具内の全長を流動し、内視鏡器具の第2端部において内視鏡器具を出ることができる。
【0118】
内視鏡器具1700の他の構成要素は、
図16Aおよび16Bに示した内視鏡器具1600に示したものと似ている。例えば、外側構造体1715、符号化要素1606、シール、およびベアリングは、
図16に示した外側構造体1615、符号化要素1606、シール1640、およびベアリング1625と本質的に類似している。幾つかが図示されている他の構成要素も、内視鏡器具を構成するため且つこの器具の適切な機能を実現するために含めてもよい。
【0119】
図18Aは、本開示の実施形態による例示的な内視鏡器具1800の分解組立図を示す。
図18Bは、内視鏡器具1800の断面図を示す。内視鏡器具1800は、
図17Aおよび17Bに示した内視鏡器具1700に似ており、
図1Bに示した内視鏡100などの内視鏡の器具チャンネル内に挿入されるよう構成できる。しかし、内視鏡器具1800は、内視鏡器具1800が空気圧または液圧式動力アクチュエータ1805を含む点で内視鏡器具1700とは異なる。
【0120】
幾つかの実装例では、動力アクチュエータ1802は、テスラローター1805と、ハウジング1806と、ハウジング1806と共にテスラローター1805を収容するコネクタ1830とを含むテスラタービンを含む。テスラローター1805は、テスラローター1805がハウジング内に嵌合するように互いから離間されかつ寸法決めされた複数のディスク1807を含むことができる。幾つかの実装例では、テスラローターは、直径が2.5mm〜3.5mmで厚さが0.5 mm〜1.5 mmの7〜13個のディスクを含むことができる。幾つかの実装例では、これらディスクは、0.2mm〜1mmの範囲のギャップにより離間されている。テスラタービン1802は、テスラローター1805の中心に沿って延伸する中空駆動シャフト1808も含むことができる。幾つかの実装例では、切断シャフト1810がテスラローターにより駆動されるよう、駆動シャフト1808の遠位端1808aは、切断シャフト1810に結合するよう構成されている。すなわち、幾つかの実装例では、切断シャフト1810は、テスラローター1805の駆動シャフト1808の回転時に回転する。幾つかの実装例では、切断シャフト1810は、
図16Aに示した切断シャフト1610に似た流出口を含むことができる。幾つかのこうした実装例では、貫通コネクタは、切断シャフトと、
図16Aに示した貫通コネクタ1630に似た柔軟性部分とを流体結合する。
【0121】
テスラタービン1802のコネクタ1830は、少なくとも1つの流体吸入ポート1832と少なくとも1つの流体出口ポート1834とを含むことができる。幾つかの実装例では、流体が流体吸入ポート1832を介してテスラタービン1802に流入でき、テスラローター1805を回転させ、流体出口ポート1834を介してテスラタービン1802から出ることができるように、流体吸入ポート1832および流体出口ポート1834は構成されている。幾つかの実装例では、流体吸入ポート1832は、流体をテスラローターに流体吸入ポート1832を介して供給するよう構成された流体吸入管状部材1842に流体結合されている。流体出口ポート1834は、流体出口管状部材1844に流体結合され、テスラタービン1802に供給された流体を除去するよう構成されている。テスラタービン1802に供給されそこから除去される流体の量は、テスラローター1805が十分なトルクを生成できると共に十分な速度で回転して治療部位の組織を切断するよう構成できる。幾つかの実装例では、この流体は空気でもよいし、任意の他の安定した気体でよい。幾つかの実装例では、この流体は水のような任意の安定した液体でよい。流体がテスラタービン1802のような空気圧または液圧アクチュエータへどのように供給されこのアクチュエータから除去されるかに関する付加的詳細は、
図4A〜15に関連して上述されている。
【0122】
コネクタ1830は、中空駆動シャフト1808の近位端1808bに形成された開口部に結合するよう構成された吸引ポート1836も含む。さらに、吸引ポート1836は、
図17Aに示した柔軟性管状部材1730に似た柔軟性管状部材1846の遠位端に結合するよう構成されており、これは近位端で真空源に結合するよう構成されている。幾つかの実装例では、柔軟性管状ハウジングが、流体吸入管状部材184、流体出口管状部材1844、および柔軟性管状部材1846のうち1つまたは複数を含むことができる。幾つかの実装例では、この柔軟性管状ハウジングは、内視鏡器具のヘッド部から内視鏡器具1800の末端部の近位端まで延伸する他の管状部材および構成要素を含むことができる。
【0123】
切断シャフト1810および外側構造体1815は、
図17Aに示した内視鏡器具1700の切断シャフト1710および外側構造体1715に似ている。切断シャフト1810は中空であり、切断シャフト1810の近位端1810bには開口部が形成されている。切断シャフト1810の近位端1810bは、駆動シャフト1808の遠位端1808aに結合するよう構成されており、駆動シャフト1808の遠位端1808aの開口部は、切断シャフト1810の近位端1808bに形成された開口部と一直線に合わせられている。こうすることで、駆動シャフト1808は切断シャフト1810に流体結合できる。切断シャフト1810の遠位端1810bは、
図16Aおよび17Aに示した切断シャフト1610および1710と同様に、切断先端部1812および物質進入ポート1813を含んでいる。
【0124】
幾つかの実装例では、洗浄開口部1852をハウジング1806に形成できる。洗浄開口部1852は、吸入チャンネル1860に流体結合されるよう構成されている。幾つかのこうした実装例では、洗浄開口部1852は、外側構造体1815の壁部と切断シャフト1810の壁部とを分離するギャップ(明確には図示されていない)に流体結合されるよう構成されている。こうすることで、テスラタービン1802に供給される流体は、洗浄開口部1852を介してギャップ内に流入できる。この流体は、当該流体がそれを介して吸入チャンネル1860に進入可能な切断シャフト1810の物質進入ポート1813に向かって流動できる。幾つかの実装例では、吸入チャンネル1860は真空源に流体結合されているので、テスラタービン1802からの流体を、物質進入ポート1813の近くの他の物質と共に、洗浄流体として吸入チャンネル1860に沿って流動するように方向付けることができる。こうすることで、洗浄流体は、吸入チャンネル1860を洗浄して閉塞を生じる可能性を減少できる。
【0125】
さらに、洗浄流体は、外側構造体1815と切断シャフト1810とを分離するギャップ内で流れるので、この洗浄流体は熱の発生を抑える役目も果たす。幾つかの実装例では、切断シャフト1810および外側構造体1815の一方または両方には耐熱層を施して、この切断シャフトおよび外側構造体が熱くなるのを防止できる。幾つかの実装例では、切断シャフト1810および外側構造体1815の一方または両方は耐熱スリーブで囲むことができ、切断シャフト1810および外側構造体1815が熱くなるのを防止できる。
【0126】
幾つかの実装例では、テスラタービンの代わりに他の種類の液圧または空気圧式の動力アクチュエータを利用してもよい。幾つかの実装例では、多羽根ローターを用いることもできる。幾つかのそうした実装例では、この動力アクチュエータは、
図18Bに示した管状部材1842および1844 に似た流体吸入管状部材および流体出口管状部材に流体結合されるよう構成できる。
【0127】
図16A、17A、および18Aに示した内視鏡器具1600、1700、および1800に関連して上述したように、内視鏡器具は一定の寸法要件を満たすよう構成されている。特に、内視鏡器具は十分長くして、内視鏡に完全に挿入されると、動力駆動器具ヘッドは一端において内視鏡の前面を越えて延伸でき、内視鏡器具の末端部が内視鏡の他端の外へ延伸する一方で、切断先端部が露出し、末端部は真空源に結合できる。従って、幾つかの実装例では、この内視鏡器具は、この内視鏡器具が挿入される内視鏡より長く構成できるさらに、内視鏡によっては器具チャンネルの直径が異なるので、この内視鏡器具もその外径が十分に小さくなるよう構成でき、この内視鏡器具は、それを挿入しようとする内視鏡の器具チャンネルに挿入できる。
【0128】
結腸鏡のような幾つかの内視鏡は、僅か数ミリメートルでよい内径を備えた器具チャンネルを備えることができる。幾つかの実装例では、この内視鏡器具の外径は約3.2 mm未満とすることができる。この場合、この内視鏡器具の一部である動力アクチュエータの外径は、この内視鏡器具の外径より小さくなるよう構成できる。同時に、これら動力アクチュエータは、被験者体内の治療部位で組織を切断するのに十分な速度で回転しつつ、十分なトルクを発生できるよう構成できる。
【0129】
幾つかの他の実装例では、この内視鏡器具の構成によって、動力アクチュエータがこの内視鏡器具内にまったく収容されてないか、内視鏡の器具チャンネルに挿入できる内視鏡器具の部分内には少なくとも収容されないようにできる。この内視鏡器具は、この内視鏡器具の動力駆動器具ヘッドを内視鏡の外部に位置する動力アクチュエータに結合するよう構成された柔軟性ケーブルを含む。
【0130】
図19Aは、動力アクチュエータ/真空源システム1980に結合された例示的な内視鏡器具1900を示す。この内視鏡器具は、ヘッド部1902および端末部を含む。端末部は、ヘッド部1902にトルクを与えることができる柔軟性ケーブル1920を含む。動力アクチュエータ/真空源システム1980は、動力アクチュエータ1925と、結合器1935と、第1端部1932で結合器1935に結合すると共に第2端部1934で真空源に結合するよう構成された真空チュービング1930とを含む。幾つかの実装例では、柔軟性ケーブル1920は中空として、流体をヘッド部1902から結合器1935まで運ぶよう構成できる。
【0131】
図19Bは、
図19Aの動力アクチュエータ/真空システム1980の断面図を示す。動力アクチュエータ1925は、柔軟性ケーブル1920の近位端1922に機械的に結合した駆動シャフト1926を含む。幾つかの実装例では、駆動シャフト1926および柔軟性ケーブル1920は結合器1935を介して機械的に結合されている。結合器1935は、真空チュービング1930の第1端部1932が流体結合された真空ポート1936を含む。真空チュービング1930と柔軟性ケーブルとが流体結合されるように、結合器1935を取り囲むことができる。こうすることで、真空チュービング1930内に掛けられた吸引力を、柔軟性ケーブル1920の全長を介して内視鏡器具1900のヘッド部1902にも掛けることができる。さらに、柔軟性ケーブル1920内の物質は、柔軟性ケーブルを通って結合器1935を介して真空チュービング1930まで流れることができる。幾つかの実装例では、柔軟性ケーブルと真空チュービングとはヘッド部1902内で結合してもよい。そうした実装例では、結合器1935は、ヘッド部1902内に配置できるほど小型に構成すればよい。
【0132】
図19Cは、
図19Aに示した内視鏡器具1900の例示的なヘッド部の分解組立図を示す。ヘッド部は、ハウジングキャップ1952と、収集部1954と、切断シャフト1956と、シャフト結合器1958と、ヘッド部ハウジング1960とを含む。幾つかの実装例では、収集部1954は、収集部1954内に配置される切断シャフト1956と結合できるように遠位端に向かって僅かにテーパー状に形成されている。シャフト結合器1958は、切断シャフトを柔軟性ケーブル1920の遠位端に結合するよう構成されている。ヘッド部1960およびハウジングキャップ1952は、シャフト結合器1958を収容するよう構成されている。
【0133】
図19Dは、係合アセンブリを備えた内視鏡器具1900の部分の切開図を示す。幾つかの実装例では、ヘッド部ハウジング1960は、器具チャンネルの内壁と係合する係合アセンブリを含むことができる。この係合アセンブリは、
図16Cに示した係合アセンブリ1650に類似したものでよい。幾つかの実装例では、この係合アセンブリは、真空源を介して作動させることができる。
図19Eは、非係合位置にある
図19Dに示した係合アセンブリの切開図を示す。
図19Fは、係合位置にある
図19Dに示した係合アセンブリの切開図を示す。
【0134】
この係合アセンブリは一対の真空作動部材1962を含み、この部材1962は、器具チャンネル1990の壁部と係合するよう外側に拡張する拡張位置と、器具チャンネル1990の壁部に概ね平行に配置される後退位置との間で回転するよう構成されている。溝1964は、柔軟性ケーブル1920内に形成された吸入チャンネル1970に流体結合されている。幾つかの実装例では、流体チャンネル1966は、溝1964を吸入チャンネル1970に流体結合する。真空源が吸入チャンネル1970に掛けられると、吸引力が部材1962に掛かり、それらを後退位置(
図19Eに示した)から拡張位置(
図19Fに示した)に移動させる。幾つかの実装例では、この係合アセンブリは、真空作動部材1964により支持される外側リングも含むことができる。外側リング1966は、内視鏡器具を内視鏡の器具チャンネルに沿って案内する助けなるよう構成できる。特に、この外側リングは、内視鏡器具が一方に傾くことで動力駆動器具ヘッドが器具チャンネルに当たることを防止できる。
【0135】
内視鏡器具1900は、
図16A〜18Aにそれぞれ示された内視鏡器具1600、1700、および1800に似ているが、内視鏡器具1900は、内視鏡器具1900のヘッド部1902内に動力アクチュエータを含まない点で異なる。その代わり、内視鏡器具1900は、内視鏡器具1900の動力駆動器具ヘッド1904にトルクを与えるための柔軟性ケーブル1920を含む。幾つかの実装例では、動力駆動器具ヘッド1904は、
図16A〜18Aに示した動力駆動器具ヘッドに似たものでよい。幾つかの実装例では、柔軟性ケーブル1920は中空として、流体が柔軟性ケーブル1920内を流動可能とすることができる。こうした幾つかの実装例では、柔軟性ケーブル1920の近位端1922は真空源に結合するよう構成できる一方、柔軟性ケーブル1920の遠位端1921は動力駆動器具ヘッド1904に結合するよう構成できる。こうすることで、物質進入ポート1907に入る流体は、動力駆動器具ヘッド1904内を流動して柔軟性ケーブル1920に入り、流体はそこから柔軟性ケーブル1920内を流動し、柔軟性ケーブル1920の近位端1922において内視鏡器具1900から除去される。
【0136】
幾つかの実装例では、柔軟性ケーブル1920のような柔軟性ケーブルを、内視鏡器具内に収容された動力アクチュエータおよび駆動シャフトの代わりに用いてもよい。例えば、
図16A、17A、および18Aに示した内視鏡器具1600、1700、及び1800は、動力駆動器具ヘッドの切断シャフトに遠位端で結合された柔軟性ケーブルであって、内視鏡器具の外部に配置された動力アクチュエータに近位端で結合される柔軟性ケーブルを利用するように構成できる。内視鏡器具の外部に配置された動力アクチュエータは、動力アクチュエータ1605、1705、または1805よりかなり大きくてよい。この動力アクチュエータが作動されると、この動力アクチュエータにより生成されるトルクは、この動力アクチュエータから柔軟性ケーブルを介して動力駆動器具ヘッドに伝達されうる。柔軟性ケーブル1920は、動力アクチュエータから切断シャフトへトルクを伝達するよう構成されている。幾つかの実装例では、柔軟性ケーブル1920は、多数のスレッドおよび多数の層を備えた微細なコイルとするかまたはそうしたコイルを含み、柔軟性ケーブルの一端の回転を柔軟性ケーブルの反対端に伝えることができる。このケーブルの柔軟性により、コイルは、コイルの曲がった部分でも性能を維持できる。柔軟性ケーブル1920の例としては、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタアナ所在の(アサヒ・インテック・ユーエスエー社ASAHI INTECC USA, INC)製のトルクコイルが含まれる。幾つかの実装例では、柔軟性ケーブル1920は外装で囲んで、柔軟性ケーブルの外側表面と他の表面との摩擦接触を避けることができる。幾つかの実装例では、柔軟性ケーブル1920はポリテトラフルオロエチレン(PFTE)で被覆して、柔軟性ケーブルの外側表面と他の表面との摩擦接触を減少させることができる。
【0137】
図20は、本開示の幾つかの実施形態による、内視鏡器具を動作させるための様々な構成要素を図示した概念的システムアーキテクチャ図である。内視鏡システム2000は、柔軟性末端部2004を含む内視鏡器具2002を備えた内視鏡100を含む。この内視鏡器具は、例えば、
図4A-14、16A、17A、18A、および19Aに示した内視鏡器具220、1600、1700、1800、または1900でよい。また、このシステムは、内視鏡100の動作を制御する内視鏡制御ユニット2005と、内視鏡器具2002の動作を制御する器具制御ユニット2010とを含んでいる。
【0138】
さらに、この内視鏡器具は、真空源1990と、標本収集ユニット2030と、組織感知モジュール2040とを含んでいる。真空源1990は、吸入チャンネルの一部をなす柔軟性管状部材に流体結合するよう構成されている。こうすることで、内視鏡器具から吸入チャンネルを介して真空源1990に向かって流動する物質は、2030標本収集ユニットで収集されうる。組織感知モジュールは、内視鏡器具2000の遠位端に設けられた組織センサに通信可能に結合できる。幾つかのそうした実装例では、組織感知モジュールを器具制御ユニット2010に通信可能に結合して、組織感知モジュールが、制御ユニット2010に動力アクチュエータの作動を停止させる1つまたは複数の信号を送信できるように構成できる。
【0139】
動力アクチュエータが電気的に作動されると共に内視鏡器具内部に配置される幾つかの実装例では、この動力アクチュエータは器具制御ユニット2010に電気的に結合できる。幾つかのこうした実装例では、この動力アクチュエータは1つまたは複数の電気ケーブルを介してこの制御ユニットに結合される。幾つかの実装例では、動力アクチュエータはバッテリで動作させてもよく、その場合は、チュービングは、制御ユニットから動力アクチュエータまたは動力アクチュエータを作動させるためのバッテリまで延伸するケーブルを含むことができる。
【0140】
動力駆動器具ヘッドが、この動力駆動器具ヘッドを内視鏡の外部に配置された動力アクチュエータに結合する柔軟性トルクコイルに結合されている幾つかの実装例では、動力アクチュエータは器具制御ユニットの一部としてよい。
【0141】
本開示の様々な実施形態では、内視鏡は、柔軟ハウジングにより分離された第1端部および第2端部と、第1端部から第2端部まで延伸する器具チャンネルと、デブリードマン要素および器具チャンネル内に配置された標本回収導管を含む内視鏡器具とを含む。この内視鏡器具は、標本回収導管が内部に部分的に配置された柔軟性チュービングをさらに含むことができ、この柔軟性チュービングは、内視鏡器具の第1端部から第2端部まで延伸している。この柔軟性チュービングは、空気圧空気流入導管および流体洗浄導管も含むことができる。様々な実施形態では、このデブリードマン要素は、タービンアセンブリおよび切断工具を含んでもよい。内視鏡が内蔵型内視鏡器具を備えるよう構成された様々な実施形態では、器具チャンネルの直径は、既存の内視鏡の器具チャンネルの直径より大きくすればよい。こうすることで、デブリードマンされた物質の大きい部分は、吸引導管を詰まらせることなく患者の体内から吸引できる。
【0142】
他の実施形態では、内視鏡は、柔軟ハウジングにより分離された第1端部および第2端部と、第1端部から第2端部まで延伸する器具チャンネルと、内視鏡の第1端部で器具チャンネルに結合された内視鏡器具であって、部分的に器具チャンネル内に配置されたデブリードマン要素と標本回収導管とを含む内視鏡器具とを含むことができる。幾つかの実施形態では、この内視鏡器具は、内視鏡器具に着脱可能に取り付けできる。
【0143】
本開示の他の実施形態では、内視鏡システムは、この内視鏡は、柔軟ハウジングにより分離された第1端部および第2端部ならびに第1端部から第2端部まで延伸する器具チャンネルとを含む内視鏡と、内視鏡の第1端部で器具チャンネルに結合された内視鏡器具とを含む。この内視鏡器具は、デブリードマン要素と、内視鏡の長さより長い柔軟性チュービングとを含むことができる。さらに、柔軟性チュービングは、標本回収導管と、空気圧空気流入導管と、流体洗浄導管と、内視鏡の第2端部に近位で標本回収導管と結合するよう構成された使い捨てカートリッジと、内視鏡の第2端部に近位で空気圧空気流入導管と結合するよう構成された加圧空気源と、内視鏡の第2端部に近位で流体洗浄導管と結合するよう構成された流体洗浄源とを含むことができる。様々な実施形態では、この内視鏡は、少なくとも1つのカメラ源および少なくとも1つの光源も含むことができる。本開示の幾つかの実施形態では、空気圧空気流入導管は、内視鏡の第1端部に近位でデブリードマン要素のタービンアセンブリに加圧空気を供給し、流体洗浄導管は、内視鏡の第1端部に近位で洗浄流体を標本回収導管に供給する。
【0144】
図19A〜19Cに関して上述したように、内視鏡器具は、当該内視鏡用具の外部に配置された動力アクチュエータにより駆動されるよう構成可能な柔軟性ケーブルを含むことができる。この柔軟性ケーブルはトルクコイルまたはロープでよい。
【0145】
図21A〜21Eは内視鏡アセンブリの複数の面を示す。具体的には、
図21A〜21Eは、ハウジング2150に収容された動力アクチュエータ2120に結合された内視鏡用具2110の様々な図を示す。
図21に示したように、動力アクチュエータ2120は、プーリーシステムを介して柔軟性ケーブルに動作可能に結合したモーターでよい。底部プレート2152、1つまたは複数の側部プレート2154、および上部プレート2156などの1つまたは複数の構造体を含むケーシング2150がモーター2120を収容できる。結合構成要素2130は、内視鏡用具2110を通過する流体を除去するための吸引機構を提供しつつ、柔軟性ケーブル2114をモーター2120に結合するよう構成できる。結合構成要素2130は、内視鏡用具2110内の流体を除去かつ収集できる吸引ポート2170を含むことができる。
図21Bでは、タイミングベルト2164に結合された一対のプーリー2160および2162は、モーターからの回転エネルギーが、柔軟性ケーブル2114の一端に伝達されるように構成されている。柔軟性ケーブル2114の他端は切断部材2112に結合できる。柔軟性ケーブル2114に関する付加的な詳細は、
図22A〜22Hに関して本明細書で説明する。
【0146】
図22A〜22Hは例示的な柔軟性ケーブルの様々な実装例を示す。幾つかの実装例では、この柔軟トルクケーブルは3つの別々のスレッドまたはワイヤから作製できる。内側ワイヤは左巻き(left-hand wound)とすることができ、中央ワイヤは右巻きとすることができ、外側ワイヤは左巻きとすることができる。幾つかの実装例では、内側ワイヤは右巻きとすることができ、中央ワイヤは左巻きとすることができ、外側ワイヤは右巻きとすることができる。幾つかの実装例では、前記柔軟トルクケーブルは2つの別々のスレッドまたはワイヤから作製できる。そうした幾つかの実装例では、内側ワイヤは左巻きとすることができ、外側ワイヤは右巻きとすることができる。他の幾つかの実装例では、内側ワイヤは右巻きとすることができ、外側ワイヤは左巻きとすることができる。幾つかの実装例では、ワイヤロープのストランドはZ撚りまたはS撚りで撚ることができる。柔軟性ケーブル1920の例としては、アサヒ・インテック・ユーエスエー社製のワイヤロープおよびトルクコイルが含まれる。幾つかの実装例では、トルクロープまたはコイルの外径は、内視鏡用具が組み合わせて使用される内視鏡の作動チャンネルのサイズによって限定される。計算に入れる必要がある他のサイズ考慮点には、吸入チャンネル、洗浄チャンネルなどに十分に空間を確保することが含まれる。幾つかの実装例では、トルクコイルまたはトルクロープの外径は0.1mmと4 mmとの間とすればよい。幾つかの実装例では、トルクコイルまたはロープの外径は0.5 mm〜2.0 mmとすればよい。
【0147】
図21Dを再び参照すると、結合構成要素2130の断面図が示されている。結合構成要素2130は、内視鏡用具の一端を、プーリー2160および2162を介して動力アクチュエータ2120に結合しかつ吸引ポート2170にも結合する。結合構成要素2130は収集チャンバ2181を含み、このチャンバには、内視鏡用具2110の吸入チューブ2118内の流体を結合構成要素2130から吸引する前に収集できる。この結合構成要素は収集チャンバ2181を含み、プーリー2162と係合するよう構成された駆動シャフト2186を含むこともできる。柔軟性ケーブルまたはトルクロープ2114は駆動シャフト2186の一端に結合できる。駆動シャフト2186の反対側の端部はプーリー2162に結合して、この駆動シャフトがモーター2120に動作可能に結合されることになる。こうすることで、モーターが回転すると、プーリーおよびタイミングベルト2164は、駆動シャフト2186と次にトルクロープ2114とを回転させるように構成されている。
図24は、結合構成要素2130の駆動シャフトの様々な面を示す。
図24に示したように、駆動シャフト2186は、柔軟性ケーブルの一端を開口部2406を介して収容するよう構成できる。一対の孔2402a及び2402bは、柔軟性ケーブルを駆動シャフト2186に固定するための止めネジまたは他の固定部材を収容するよう構成できる。
【0148】
結合構成要素2130は内視鏡用具の柔軟部を、開口部2502を介して吸引ポート2170に結合するハウジング構成要素2500をさらに含む。
図25は例示的なハウジング構成要素2500を示す。
【0149】
図26は例示的なスリーブベアリングを示す。
【0150】
図27は、ケーシングの一部を形成する例示的な底部プレート2152を示す。
図28は、ケーシングの一部を形成する例示的な側部プレートを示す。この側部プレートは貫通マウントとしても機能する。
【0151】
幾つかの実装例では、この結合構成要素は内視鏡用具の一部である。幾つかの実装例では、この結合構成要素は、圧縮管継手部材2182を介して内視鏡用具の柔軟部に結合されている。
【0152】
内視鏡用具の柔軟部は外側チュービングを含み、このチュービングは、吸入チューブ2118と、トルクロープ2114と、トルクロープ2114の外周を囲む外装2116とを含む。この外装は、摩擦または捩れの形成を低減する助けとなる。吸入チューブ2118は切断工具2190に結合するよう構成されており、切断工具2190に開口部2193を介して入る物質は、吸入チューブ2118を介して内視鏡用具2110の全長を通過できる。
【0153】
図21Eに示すように、トルクロープは、切断工具の一部を形成する内側カニューレ2192に結合されるよう構成されている。内側カニューレ2192は、外側カニューレ2191に囲まれるかまたは内部に配置できる。開口部2193は、切断工具2190の一端で外側カニューレ2191内に形成されている。切断工具2190の詳細は本明細書に記載されている。
図23A〜23Bは切断工具の代表的な実装例を示す。切断工具は、既存の医療用具で使用される任意種類の切断工具でよい。
図23A〜23Bに示した切断工具は例示目的のみで示したものであり、本開示はそうした大きさ、形状、または寸法に限定することを意図したものではない。市販の切断工具を使用できる。幾つかの実装例では、こうした切断工具は長さが調節可能である。幾つかの実装例では、内側カニューレはフェルールに固着できる一方で、外側カニューレは外側吸入チューブに結合できる。幾つかの実装例では、外側カニューレと吸入チャンネルとの間の接続部は封止して、物質がその接続部から漏れることを防止できる。
【0154】
幾つかの実装例では、トルクロープ2114は、フェルール2194を介して内側カニューレ2192に結合される。このフェルールはトルクロープを内側カニューレに結合する構成要素として、トルクロープ内の回転エネルギーが内側カニューレに伝達されるようにすればよい。フェルールの形状、大きさ、及び寸法に関する付加的な詳細が
図29A〜29Eに示されている。内視鏡用具2110で使用されるトルクロープまたは柔軟性ケーブルの大きさによって、フェルールの形状および大きさは変更すればよい。さらに、
図29A〜29Eに示したフェルールは例示目的のみで示したものであり、図示した大きさ、形状、または寸法に限定することを意図したものではない。幾つかの実装例では、トルクロープの端部は皮下チュービングに挿入し、その短い長さまで固着できる。そうすることでフェルールを遠位端に接着し、近位端(駆動シャフトに向かって)にクランプすることが容易になる。幾つかの実装例では、ロクタイト・ブラック・マックスのような黒鉛入りシアノアクリレートを使用できる。類似の他種類の材料もその代わりに使用できる。
【0155】
図30A〜30Cは先端部が圧入される内視鏡アセンブリの複数の面を示す。幾つかの実装例では、内視鏡用具の柔軟部は、展開可能なバルーン構造体を含むことができ、このバルーン構造体は内視鏡の内壁に係合できる。このバルーン構造体は空気源に結合された給気線3006に結合でき、空気が供給されると、バルーンが拡張し内視鏡の内壁に係合できる。幾つかの実装例では、このバルーン構造体は
図30Aに示したように非対称に拡張できる。幾つかの実装例では、この空気源はフットペダルを介して作動させることができる。洗浄線3002は洗浄流体を供給するよう構成できる。洗浄流体は切断工具に向かって流動でき、そこで洗浄流体は吸引チャンネル3004を通過できる。洗浄流体は吸引チャンネルが詰まるのを防止できる。
図30Cに示すように、柔軟性ケーブルまたはトルクロープは、切断工具の一端でボタンに圧入できる。
【0156】
図31A〜31Cは先端部が圧入される内視鏡アセンブリの複数の面を示す。幾つかの実装例では、内視鏡用具の柔軟部は、展開可能なバルーン構造体を含むことができ、このバルーン構造体は内視鏡の内壁に係合できる。このバルーン構造体は給気源に結合でき、空気が供給されると、バルーンが拡張し内視鏡の内壁に係合できる。幾つかの実装例では、このバルーン構造体は
図31Aに示したように対称に拡張できる。洗浄線は洗浄流体を供給するよう構成できる。洗浄流体は切断工具に向かって流動でき、そこで洗浄流体は吸引チャンネルを通過できる。洗浄流体は吸引チャンネルが詰まるのを防止できる。
図31Cに示すように、柔軟性ケーブルまたはトルクロープは、切断工具の一端に溶接できる。
【0157】
図32は、内視鏡用具の例示的な柔軟部の上面図を示す。幾つかの実装例では、
図32に示した柔軟部は、
図30A〜Cおよび31A〜Cに示した実装例とともに使用できる。柔軟部分3202は、柔軟性ケーブルが通過する中央チャンネル3204を含む。さらに、柔軟部3202は、2つの吸入チャンネル3406aおよび3406bと、洗浄チャンネル3408と、給気チャンネル3410とを含む。
【0158】
幾つかの実装例では、トルクロープの動作速度は可変である。幾つかの代表的な実装例では、トルクロープの動作速度は0.5k毎分回転数〜20k毎分回転数の範囲内でよい。幾つかの実装例では、トルクロープの動作速度はlk毎分回転数〜4k毎分回転数の範囲内でよい。幾つかの実装例では、トルクロープの動作速度は可変である。幾つかの代表的な実装例では、トルクロープは、5〜100mN*m(ミリニュートンメートル)のトルクで動作できる。幾つかの実装例では、トルクロープは、20〜50mN*m(ミリニュートンメートル)のトルクで動作できる。しかし、当業者であれば、柔軟性ケーブルのトルク及び運転速度は、内視鏡用具の性能に基づいて変更できることは理解するはずである。幾つかの実装例では、吸引量、切断器の種類、切断器の開口部の大きさなどを含む様々な要素が、内視鏡用具の性能の一因となる。よって、柔軟性ケーブルを動作させるトルク及び運転速度は、複数の要因に依存する。
【0159】
図33は、トルクロープを使用する内視鏡用具の例示的な切断アセンブリの断面図である。切断アセンブリ3300は、外側カニューレ3302と、外側カニューレ3302内に配置された内側切断器を含む内側カニューレ3306と、PTFEベアリング3308と、準適応性バルーン(semi-compliant balloon)3310と、多腔型押出し品3312とを含む。トルクロープ3314は内側カニューレ3306に結合できる。外側カニューレの直径は、0.05インチから内視鏡の器具チャンネルを通過する適切な大きさまでの間とすることができる。
【0160】
図34A〜34Cは、本明細書に記載した内視鏡用具の一実装例の柔軟部領域の異なる構成の断面図である。柔軟部領域は、吸入内腔3402と、膨張内腔3404と、灌注または洗浄内腔3406と、トルクロープとを含むことができる。
【0161】
図35は、内視鏡用具の部分の様々な図を示す。内視鏡用具は、外側カニューレ1と、内側切断器2と、内側カニューレ3と、トルクロープ4と、三腔型押出し品5と、バルーン6と、PTFEワッシャー7と、2つの側部アーム8と、近位プラグ9と、PTFEガスケット10と、ガスケットキャップ11とを含むことができる。
【0162】
図36は、本明細書に記載した内視鏡用具の一実装例の柔軟部領域の断面図を示す。この柔軟部領域は、外側膨張ジャケット3602と、外側コイル3604と、トルクコイル3606と、トルクコイル内に配置された多腔型押出し品3608とを含むことができる。多腔型押出し品3608は、灌注内腔3610と吸入内腔3612とを含むことができる。
【0163】
図37は、本明細書に記載した内視鏡用具の一実装例の断面図を示す。この内視鏡用具は、外側カニューレ3702と、内側切断器3704と、内側トルクコイル3706と、外側コイル3708と、外側膨張ジャケットおよびバルーン3710と、多腔型押出し品3712とを含む。ウオームギヤなどのギヤ3714は、トルクコイルに係合して内側切断器を駆動できる。
【0164】
図38は、本明細書に記載した内視鏡用具の一実装例の遠位部分の様々な図を示す。この内視鏡用具は、開口部3804を形成する外側切断器3802を含む。さらに、この内視鏡用具は、外側切断器内に配置された内側切断器3806を含む。この内側切断器はトルクコイル3808に結合されている。このトルクコイルは、PET熱収縮3810または他の種類のチュービング内に配置される。外側切断器3802を内側切断器3806に対して回転可能とするため、外側切断器は編組シャフト3812に結合されている。
【0165】
図39は、
図38に示された内視鏡用具の遠位部分のB-B断面およびC-C断面についての断面図を示す。
【0166】
幾つかの実装例では、内視鏡の単一の器具チャンネル内に挿入できる内視鏡器具は、被験者内の部位で物質を切除するよう構成された動力駆動器具ヘッドまたは切断アセンブリを含むことができる。この切断アセンブリは、外側カニューレと、当該外側カニューレ内に配置された内側カニューレとを含む。この外側カニューレは、切除される物質が切断アセンブリに入る経路となる開口部を形成する。この内視鏡器具は、外側カニューレに結合された柔軟性外側チュービングであって、外側カニューレを内側カニューレに対して回転させるよう構成された柔軟性外側チュービングも含む。この柔軟性外側チュービングの外径は、内視鏡器具を挿入できる器具チャンネルよりも小さくできる。この内視鏡器具は、柔軟性外側チュービング内に配置された部分を備えた柔軟性トルクコイルも含む。この柔軟性トルクコイルは内側カニューレに結合された遠位端を含み。この柔軟性トルクコイルは、内側カニューレを外側カニューレに対して回転させるよう構成されている。さらに、この内視鏡器具は、柔軟性トルクコイルの近位端に結合されると共に駆動アセンブリと係合するよう構成された近位コネクタを含み、この駆動アセンブリは、作動すると近位コネクタと、柔軟性トルクコイルと、内側カニューレとを回転させるよう構成されている。さらにこの内視鏡器具は、真空源に係合するよう構成された吸入ポートを備えた吸入チャンネルを含む。この吸入チャンネルは、柔軟性トルクコイルの内壁および内側カニューレの内壁により部分的に形成されており、内側カニューレに形成された開口部から吸入ポートまで延伸する。さらに、この内視鏡器具は、柔軟性トルクコイルの外壁と柔軟性外側チュービングの内壁との間に形成された第1部分を備えた洗浄チャンネルであって、吸入チャンネルに洗浄流体を運ぶよう構成された洗浄チャンネルを含む。
【0167】
幾つかの実装例では、近位コネクタは中空であり、近位コネクタの内壁は吸入チャンネルの一部を形成する。幾つかの実装例では、近位コネクタは硬質の円柱構造体であり、駆動アセンブリの駆動レセプタクル内に配置されるよう構成されている。近位コネクタは、駆動アセンブリに係合するよう構成された結合器と、内側カニューレを外側カニューレの遠位端に向けて付勢するよう構成された張力調整バネとを含むことができる。幾つかの実装例では、張力調整バネが内側カニューレの切断部分を外側カニューレの開口部に隣接して位置決めするように、張力調整バネは寸法決めかつ付勢されている。幾つかの実装例では、近位コネクタは、柔軟性トルクコイルに回転可能に流体結合されている。幾つかの実装例では、内側カニューレの遠位端が外側カニューレの内側遠位壁に接触するよう、張力調整バネは寸法決めかつ付勢されている。これにより、柔軟性トルクコイルの回転による内側カニューレの遠位端でのむち打ち(whip)により発生される横方向または望ましくない動きを制限できる。
【0168】
幾つかの実装例では、内視鏡器具は、洗浄進入ポートを含む潅注コネクタと、当該潅注コネクタおよび柔軟性外側チュービングに結合された管状部材とをさらに含む。管状部材の内壁および柔軟性トルクコイルの外壁は、洗浄チャンネルの第1部分に流体結合される洗浄チャンネルの第2部分を形成できる。幾つかの実装例では、この内視鏡器具は、柔軟性外側チュービングを管状部材に結合させる回転結合器であって、柔軟性外側チュービングを管状部材に対して回転させかつ外側カニューレに形成された開口部を内側カニューレに対して回転させるよう構成された回転結合器も含む。幾つかの実装例では、潅注コネクタは、柔軟性トルクコイルが内部に配置された内側穴を形成する。
【0169】
幾つかの実装例では、内視鏡器具は、柔軟性トルクコイルが内部に配置されたライニングも含み、このライニングの外壁は洗浄チャンネルの一部を形成するよう構成されている。幾つかの実装例では、内側カニューレは、当該内側カニューレの長手方向軸を中心にかつ外側カニューレに対して回転するよう構成されており、吸入チャンネルは、内側カニューレの開口部で吸引力を掛けるよう構成されている。
【0170】
幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイルは複数のスレッドを含む。これら複数のスレッドそれぞれは、これら複数のスレッドの1つまたは複数の隣接するスレッドが巻かれている方向とは反対方向に巻くことができる。幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイルは複数の層を含む。これら複数の層それぞれは、これら複数の層の1つまたは複数の隣接する層が巻かれている方向とは反対方向に巻くことができる。幾つかの実装例では、各層は1つまたは複数のスレッドを含むことができる。柔軟性トルクコイルに関する付加的な詳細は、少なくとも
図22A〜22Hに関する柔軟性ケーブルの本明細書の記載に関連して上述されている。
【0171】
幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービングは、内視鏡器具が挿入される内視鏡の長さを超える長さを備えている。幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービングは、当該柔軟性外側チュービングの外径より少なくとも100倍の長さを備えている。幾つかの実装例では、柔軟部は、切断アセンブリの少なくとも40倍の長さである。
【0172】
図40Aは、内視鏡用具4000と、当該内視鏡用具を駆動するよう構成された駆動アセンブリ4050の一部分との透視図を示す。
図40Bは、
図40Aに示した内視鏡用具および当該内視鏡用具を駆動するよう構成された駆動アセンブリの部分の透視図を示す。
図41、42、および43もここで参照すると、
図41は、
図40Aに示した内視鏡用具4000の上面図と、駆動アセンブリ4050の部分の上部露出図とを示す。
図42は、A-A断面についての内視鏡用具4000と駆動アセンブリ4050の部分の断面図を示す。
図43は、内視鏡の駆動コネクタおよび駆動アセンブリ4050の部分の拡大図を示す。
図44は、
図40Aに示した内視鏡用具4000および駆動アセンブリの一部分の透視図を示す。
図45は、B-B断面についての内視鏡用具と駆動アセンブリの部分の断面図を示す。
図46は、この内視鏡用具の回転結合器部分の拡大断面図を示す。
図47Aおよび
図47Bは、この内視鏡用具の回転結合器の上面図および断面図を示す。
【0173】
内視鏡器具4000は、
図40A〜47Bに示したように、内視鏡の器具チャンネル内に挿入されるよう構成できる。内視鏡の例は、結腸鏡などの胃鏡、喉頭鏡または他の軟性内視鏡を含むことができる。こうした内視鏡用具は、器具チャンネル内に挿入されるよう成形、寸法決め、かつ構成された柔軟部4002を含むことができる一方で、内視鏡用具4000の残りの部分は、内視鏡の器具チャンネルの外に位置したままとなるよう構成できる。柔軟部4002は、器具チャンネル内に嵌合するよう成形かつ寸法決めでき、内視鏡が患者に挿入されているときは器具チャンネルにより形成された蛇行状経路を通るよう構成できる。結腸鏡の場合は、結腸鏡は少なくとも60度、場合によっては90度を超える一連の湾曲部を形成できる。
【0174】
内視鏡用具4000は、被験者体内の部位で物質を切除するよう構成された切断アセンブリ4010を含むことができる。切断アセンブリ4010は、
図1Cおよび本明細書および図面の他の箇所に記載された切断アセンブリ160に類似したものでもよい。幾つかの実装例では、切断アセンブリ4010は、外側カニューレと、当該外側カニューレ内に配置された内側カニューレとを含む。この外側カニューレは、切除される物質が切断アセンブリ4010に入る経路となる開口部4012を形成できる。幾つかの実装例では、開口部4012は、外側カニューレの半径方向壁の一部を貫通して形成している。幾つかの実装例では、この開口部は、外側カニューレの半径範囲の一部のみ、例えば半径方向壁の円周の最大3分の1を延伸するようにしてよい。吸入チャンネル4090は吸入ポート4092と開口部4012との間を延伸しているので、吸入ポート4092で吸引力を掛けると開口部4012で吸引力が掛けられることになる。この吸引力によって物質が外側カニューレの開口部内に導入され、次に切断アセンブリの内側カニューレにより切断可能となる。
【0175】
この内側カニューレは、開口部4012に隣接して配置されるように構成された切断部を含むことができ、開口部4012を介して切断アセンブリ4010に入る切除される材料は内側カニューレの切断部によって切除できる。内側カニューレは中空で、内側カニューレの内壁は、内視鏡用具の全長にわたり延伸可能な吸入チャンネルの一部を形成できる。内側カニューレの遠位端は切断部を含むことができる一方、内側カニューレの近位端は開口させることができ、切断部を介して内側カニューレの遠位端に入る物質は内側カニューレの近位端を通過できる。幾つかの実装例では、内側カニューレの遠位端は、外側カニューレの遠位端の内側表面と接触できる。これによって、幾つかの実装例では、内側カニューレが概ね長手方向軸に沿って外側カニューレに対して回転でき、内側カニューレの回転時に内側カニューレをより安定させる。幾つかの実装例では、開口部の大きさが、内側カニューレにより切断または切除される物質の大きさを決定する。よって、開口部の大きさは、柔軟性トルクコイルの内周により形成される吸入チャンネルの大木亜に部分的に基づいて決定される。
【0176】
内視鏡用具4000は柔軟性トルクコイル4080を含むことができ、当該柔軟性トルクコイル4080はその遠位端において内側カニューレの近位端に結合するよう構成されている。この柔軟性トルクコイルは、多数のスレッドおよび多数の層を備えた微細なコイルを含み、これが柔軟性トルクコイルの一端の回転を柔軟性トルクコイルの反対端に伝えることができる。この柔軟性トルクコイルのスレッドの層それぞれは、そのスレッドの層に隣接するスレッドの層それぞれが巻かれている方向とは反対方向に巻くことができる。幾つかの実装例では、この柔軟性トルクコイルは、時計回り方向に巻かれた第1のスレッドの層と、反時計回りに巻かれた第2のスレッドの層と、時計回り方向に巻かれた第3のスレッドの層とを含むことができる。幾つかの実装例では、第1のスレッドの層は、第2のスレッドの層によって第3のスレッドの層から分離されている。幾つかの実装例では、各スレッドの層は1つまたは複数のスレッドを含むことができる。幾つかの実装例では、これらスレッドの層は異なる材料性としたり、厚さ、長さなどの異なる特徴を備えたりすることができる。
【0177】
トルクコイル4080の柔軟性により、コイルは、トルクコイル4080の曲がった部分でも性能を維持できる。柔軟性トルクコイル4080の例としては、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタアナ所在のアサヒ・インテック・ユーエスエー社(ASAHI INTECC USA, INC)製のトルクコイルが含まれる。幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイル4080は外装またはライニングで囲んで、柔軟性トルクコイル4080の外側表面と他の表面との摩擦接触を避けることができる。幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイル4080はポリテトラフルオロエチレン(PFTE)で被覆して、柔軟性トルクコイル4080の外側表面と他の表面との摩擦接触を減少させることができる。柔軟性トルクコイル4080は、内視鏡用具が挿入される内視鏡の器具チャンネルの直径より小さい外径となるよう寸法決め、成形、または構成できる。例えば、幾つかの実装例では、この柔軟性トルクコイルの外径は1〜4ミリメートルの範囲内でよい。この柔軟性トルクコイルの長さは、内視鏡の長さを超えるように寸法決めできる。幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイル4080の内壁は、切断アセンブリ4010の内側カニューレの内壁により形成された吸入チャンネルの部分に流体結合される吸入チャンネルの別の部分を形成するよう構成できる。柔軟性トルクコイル4080の近位端は近位コネクタアセンブリ4070に結合でき、その詳細は後述する。
【0178】
内視鏡用具4000は、外側カニューレの近位端に結合可能な柔軟性外側チュービング4086を含むことができる。幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービング4086の遠位端は、結合構成要素を用いて、外側カニューレの近位端に結合できる。幾つかの実装例では、外側カニューレは、柔軟性外側チュービングの回転に応答して回転するように構成できる。幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービング4086は、内視鏡器具4000が挿入される内視鏡の器具チャンネルよりも小さい外径を備えた中空の編組チュービングとすることができる。幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービング4086の長さは、内視鏡の長さを超えるように寸法決めできる。柔軟性外側チュービング4086は、柔軟性外側チュービング4086の一部分が延伸する穴を形成できる。柔軟性外側チュービング4086は、当該柔軟性外側チュービング4086内に部分的に配置される柔軟性トルクコイルに対する柔軟性外側チュービング4086の回転を促進する編組、スレッド、または他の特徴を含むことができる。
【0179】
内視鏡用具4000は、柔軟性外側チュービング4086の近位端に結合するよう構成された回転結合器4030を含むことができる。回転結合器4030は、内視鏡用具の操作者が、回転結合器4030に結合されたまたはその一体部分である回転タブ4032を介して柔軟性外側チュービング4086を回転できるよう構成してよい。回転タブ4032を回転させることで、操作者は、柔軟性外側チュービングおよび外側カニューレを内視鏡の長手方向軸に沿ってかつ内視鏡および切断アセンブリ4010の内側カニューレに対して回転できる。幾つかの実装例では、内視鏡器具が内視鏡に挿入されていて、内視鏡が患者体内に留置されているときに、操作者は外側カニューレを回転させたいと望むことがある。操作者が開口部を介して切除のために内視鏡器具に入る物質を見ることができるように、操作者は外側カニューレを回転させて、外側カニューレの開口部を、開口部が形成された外側カニューレの半径方向壁の部分が内視鏡のカメラに位置合わせできる位置に配置したいと望むことがある。これが可能になるのは、開口部が、外側カニューレの軸方向壁に形成された開口部でなく、外側カニューレの側部に延伸する半径方向壁に沿って形成されていることが部分的な理由である。幾つかの実装例では、回転結合器4030の近位端4034は、潅注コネクタ4040に結合できる。幾つかの実装例では、回転結合器4030は、回転結合器4030の遠位端4036を回転結合器4030の近位端4034に対して回転可能とする回転ルアー構成要素でよい。こうすることで、柔軟性外側チュービング4086が回転する際に、回転結合器4030の近位端4034が結合された構成要素が回転しない。幾つかの実装例では、回転結合器4030の近位端4034は、当該回転結合器4030の近位端4034を潅注コネクタ4040に結合するよう構成された外側管状部材4044に結合できる。回転結合器4030は、柔軟性トルクコイル4080の一部がその内部を延伸する回転結合器4030の中央部に沿った穴を形成できる。幾つかの実装例では、回転結合器4030は、オス・オス回転ルアー結合器とすることができる。幾つかの実装例では、この回転結合器は1200psiまでの圧力を扱うよう構成できる。
【0180】
潅注コネクタ4040は、洗浄流体を内視鏡用具4000内に導入するよう構成できる。潅注コネクタ4040は、水容器のような洗浄源と係合するよう構成された潅注ポート4042を含むことができる。幾つかの実装例では、潅注コネクタ4040は、流体送出システムで使用されかつ医療機器業界の標準に準拠するYポートであって、柔軟性外側チュービング4086または潅注コネクタ4040の遠位端を回転結合器4030の近位端4034に結合する役目を果たす外側管状部材4044に結合するよう寸法決めされたYポートでよい。幾つかの実装例では、この潅注コネクタは、潅注コネクタ4040の近位端4046と遠位端4048との間に中空チャンネルを形成でき、当該中空チャンネルは、柔軟性トルクコイル4080が潅注コネクタ4040内に形成されたこの中空チャンネルを通過できるよう寸法決めされている。
【0181】
上述のように、近位コネクタアセンブリ4070は、柔軟性トルクコイル4080の近位端に結合されるよう構成されている。近位コネクタアセンブリ4070は、トルクを近位コネクタアセンブリ4070および柔軟性トルクコイル4080を介して内側カニューレに与えるよう構成された駆動アセンブリ4050と係合するよう構成できる。近位コネクタアセンブリ4070は吸入チャンネルの一部をさらに形成でき、かつ吸入チャンネルに入る物質を容易に除去するように吸入チャンネルを真空源に流体接続するよう構成できる。幾つかの実装例では、近位コネクタアセンブリ4070の近位端は、内視鏡用具4000に入る物質が内視鏡用具4000から回収されうる吸入ポート4092を含むことができる。
【0182】
幾つかの実装例では、内視鏡用具4000は、駆動アセンブリ4050により駆動されるように構成できる。駆動アセンブリ4050は、エネルギー源からの回転エネルギーを内視鏡用具4000に与えるように構成されている。駆動アセンブリ4050は、第1かさ歯車4054および第2かさ歯車4056を収容できるハウジング4060を含むことができ、これらかさ歯車は、第1かさ歯車4054の回転が第2かさ歯車4056を回転させるよう位置決めされている。第2かさ歯車4056は、内視鏡用具4000の近位コネクタアセンブリ4070を収容しかつ係合するよう寸法決めされ、成形された駆動レセプタクルに結合できる。幾つかの実装例では、第1かさ歯車4054は、回転入力シャフト4052を介してモーター(図示しない)または他の回転源に結合できる。
【0183】
近位コネクタアセンブリ4070は、中空駆動シャフト4072と、中空駆動シャフト4072が貫通する結合器4076と、中空駆動シャフト4072に結合された張力調整バネ4074とを含むことができる。駆動シャフト4072の遠位端は、柔軟性トルクコイル4080の近位端に結合できる。幾つかの実装例では、駆動シャフト4072および柔軟性トルクコイル4080は、互いに永久的に結合できる。幾つかの実装例では、駆動シャフト4072および柔軟性トルクコイル4080の結合には、駆動シャフト4072の回転時に柔軟性トルクコイル4080の回転を許容しかつ柔軟性トルクコイル4080を通過する物質の駆動シャフト4072の通過を許容する結合器、圧入、突合わせ溶接などの溶接または他の任意の取り付け手段を用いればよい。駆動シャフト4072の近位端は吸入ポート4092を形成できる。幾つかの実装例では、吸入ポート4092は真空源に係合して、開口部4012に入る物質を、吸入チャンネル4090を通過させかつ吸入ポート4092を介して内視鏡用具から排出させることができる。
【0184】
六角形結合器などの結合器4076は、中空駆動シャフトと結合するよう構成できる。幾つかの実装例では、この六角形結合器は中空駆動シャフトの一部である。結合器4076は、駆動レセプタクル4058の内壁と係合するよう構成された外壁を含むことができる。駆動レセプタクル4058は、第2かさ歯車4056に結合されかつ第2かさ歯車4056の回転時に回転するよう構成されている。幾つかの実装例では、駆動レセプタクル4058は中空の円柱形チューブでよい。幾つかの実装例では、駆動レセプタクル4058の近位端4059は、当該駆動レセプタクル4058の近位端の内壁により形成された開口部を含むことができ、その直径は駆動レセプタクル4058残り部分の内径より小さい。幾つかの実装例では、駆動レセプタクル4058の近位端4059を通過する開口部の直径は駆動シャフト4072を受け入れる大きさはあるが、駆動シャフト4072に結合された張力調整バネ4074が、その開口部を通過できないほどには小さい。幾つかの実装例では、駆動レセプタクルの残り部分の内径は、結合器4076に係合するよう寸法決めされる。
【0185】
張力調節バネ4074を付勢することによって、内視鏡用具4000の動作時に、張力調節バネ4074は、駆動シャフト4072と、柔軟性トルクコイル4080と、内側カニューレとが内視鏡用具4000の近位端に向かって摺動するのを防止できる。幾つかの実装例では、張力調節バネ4074がない場合、内側カニューレが内視鏡用具4000の遠位端から離れる方向に摺動することがある。これは、開口部4012で切除される物質によって掛けられる力が原因である場合がある。幾つかの実装例では、張力調節バネ4074は、内側カニューレが開口部4012で切除される物質に接触する際に内側カニューレが遠位端から離れる方向に摺動するのを防止する反対力(countering force)を与える。幾つかの実装例では、張力調節バネ4074は、内側カニューレの遠位端を付勢して、外側カニューレの遠位端の内壁に接触させるよう構成できる。幾つかの実装例では、内側カニューレの遠位端が外側カニューレの内側遠位壁に接触するよう、張力調整バネ4074は寸法決めかつ付勢されている。これにより、柔軟性トルクコイルの回転による内側カニューレの遠位端でのむち打ち(whip)により発生される横方向または望ましくない動きを制限できる。
【0186】
ハウジング4060は、吸入端部キャップ4062およびロッキングカラー4064に係合するよう構成できる。幾つかの実装例では、吸入端部キャップ4062の構成によって、真空源は、駆動シャフト4072の吸入ポート4092と確実に接続を維持できる。幾つかの実装例では、吸入端部キャップ4062の構成によって、真空源と駆動シャフト4072の吸入ポート4092との間で確実な接続が維持される一方で、駆動シャフト4072が回転可能となる。幾つかの実装例では、吸入端部キャップ4064の開口部を介して駆動シャフト4072の吸入ポートへの到達が可能(accessible)となるような様態で、吸入端部キャップ4062はハウジング4060の一部に固定されるよう構成できる。幾つかの実装例では、真空源が駆動シャフト4072の近位端と共に回転しないように、真空源は端部キャップ4064に結合できる。幾つかの実装例では、1つもしくは複数のベアリングまたはブッシングを使用して、真空源を駆動シャフト4072と共に回転させることなく、駆動シャフト4072の吸入ポート4092と真空源との間の流体結合を促進できる。
【0187】
ロッキングカラー4064は、潅注コネクタ4040を近位コネクタアセンブリ4070に固定するよう構成できる。幾つかの実装例では、ロッキングカラー4064は、潅注コネクタ4040の近位端4064を駆動アセンブリ4050のハウジング4060に固定するよう構成できる。ロッキングカラー4064は、近位コネクタアセンブリ4070が、駆動レセプタクル4058から分離して内視鏡用具4000の遠位端方向に移動するのを防止するようさらに構成できる。幾つかの実装例では、ロッキングカラー4064は、その内部に柔軟性トルクコイル4080が配置されたライニング4082を、柔軟性トルクコイル4080、駆動シャフト4072、またはハウジング4060に固定するよう構成できる。幾つかの実装例では、ライニング4082は熱収縮として作用して、柔軟性トルクコイルで発生する熱の内視鏡用具の他の構成要素への放散を減少させる。幾つかの実装例では、ライニング4082の外壁は洗浄チャンネルの一部を形成できる一方、ライニング4082の内壁は、吸入チャンネルを通過する物質が柔軟性トルクコイルの壁から漏れ出すのを防止するのに役立つことができる。幾つかの実装例では、ライニング4082は、さらに、洗浄チャンネルを通過する洗浄流体が柔軟性トルクコイル4080の壁を通って吸入チャンネル4090に流入するのを防止するのに役立つ。
【0188】
潅注コネクタ4040の遠位端4048は、外側チュービング4044の内壁に係合するよう構成できる。幾つかの実装例では、潅注コネクタ4040の遠位端4048は、外側チュービング4044の近位端に圧入できる。幾つかの実装例では、潅注コネクタ4040の遠位端4048と外側チュービングとを接続するコネクタを使用できる。外側チュービング4044の内壁およびライニング4082の外壁は、洗浄チャンネル4096の一部を形成できる。外側チュービング4044は、潅注コネクタ4040の遠位端4048から回転結合器4030の近位端4034に延伸できる。外側チュービング4044の遠位端は、回転結合器4030の近位端4034に係合するよう構成できる。
【0189】
幾つかの実装例では、洗浄チャンネルは、洗浄進入ポートから外側カニューレの開口部まで延伸できる。洗浄チャンネルは、外側管状部材と、回転結合器と、外側チュービングの内壁と、外側カニューレの内壁とにより形成できる。幾つかの実装例では、洗浄チャンネルは、内側カニューレの外壁および柔軟性トルクコイル4080の外壁によっても形成できる。幾つかの実装例では、内視鏡器具4000は、柔軟性トルクコイル4080の周囲に装着されるよう寸法決めされた中空ライニング4082も含むことができる。幾つかの実装例では、中空ライニング4082は、洗浄チャンネル4096と吸入チャンネル4090との間のバリアとして作用できる。幾つかの実装例では、中空ライニング4082は、空気または他の流体が柔軟性トルクコイル4080のスレッドを介して浸出するのを防止できる。さらに、この中空ライニングは、空気が柔軟性トルクコイル4080のスレッドを介して逃げまたは進入することを防止することで、吸入チャンネルは、当該吸入チャンネルの全長にわたって吸引力を維持できる。
【0190】
上述のように、切断アセンブリ4010は外側カニューレを含む。編組チュービング4086は外側カニューレに結合されており、回転結合器4030の回転タブ4032の回転が外側カニューレを回転させることになる。この外側カニューレは、当該外側カニューレの遠位端で開口部4012を含んでいる。この開口部は外側カニューレの半径方向壁の一部に形成されており、さらに外側カニューレの半径範囲の一部のみを延伸させてよい。吸入チャンネル4090は吸入ポート4092と開口部4012との間を延伸しているので、吸入ポート4092で吸引力を掛けると開口部4012で吸引力が掛けられることになる。この吸引力によって物質が外側カニューレの開口部内に導入され、次に切断アセンブリの内側カニューレにより切断可能となる。幾つかの実装例では、吸入された物質は収集カートリッジ内に収集される。幾つかの実装例では、この収集カートリッジは、吸入チャンネルの近位端に流体結合できる。
【0191】
内側カニューレは、外側カニューレ内に配置されると共に、吸入チャンネル4090内の吸引力により開口部4012内に吸引されまたはそれ以外の様態で入る物質を切除するよう構成されている。内側カニューレは、部分的には切断表面と開口部を形成する外側カニューレの壁との相互作用に基づいて、開口部4012で物質を切断、切除、切り取り、デブリードマン、または削り落とすことができる。幾つかの実装例では、切断面の開口部4012に対する回転運動が、物質の切断、切除、切り取り、または削り落としを可能にする。この柔軟性トルクコイルは、内側カニューレに結合され、内側カニューレを内側カニューレの長手方向軸に沿って回転させる。外側カニューレが外側チュービングに結合され、かつ内側カニューレまたは柔軟性トルクコイルに回転可能に結合されていないので、内側カニューレは外側カニューレに対して回転する。内側カニューレの外壁と外側カニューレの内壁との間のギャップは、洗浄流体が、潅注コネクタ4040から、外側チュービング4044と、回転結合器4030と、柔軟性外側チュービング4086とによって部分的に形成される洗浄チャンネル部分を介して内側カニューレの切断面に向かって流れる洗浄チャンネルの一部分を形成する。内側カニューレは、切り取られたまたは切除された物質および洗浄流体が内側カニューレの切断面から吸入ポート4092に向けてその内部で流動できる吸入チャンネルの一部を形成できる。
【0192】
切断アセンブリ4010の長さは、内視鏡が患者に挿入されているときに内視鏡用具4000が内視鏡の全長を通過できるように寸法決めできる。幾つかの実装例では、内視鏡は患者体内に留置でき、さらに内視鏡は60度を上回る湾曲部を含むことができる。また、切断アセンブリ4010の長さは数センチメートルを超えないようにしてよい。幾つかの実装例では、切断アセンブリ4010の長さは、内視鏡用具4000の長さまたは内視鏡用具を挿入できる内視鏡の柔軟部の長さ1%未満でよい。上述したように、組織感知能力を切断アセンブリに実装でき、組織センサの一部として機能させることができる。
【0193】
1つまたは複数のシール、ベアリング、および他の構成要素を使用できることは理解すべきである。シールを用いて圧力を維持し、流体の漏れを防ぎ、または構成要素同士をしっかりと係合させることができる。幾つかの実装例では、ベアリングを用いれば、内視鏡用具の構成要素または性能に悪影響を与えることなく構成要素を互いに対して回転させることができる。
【0194】
図45は、B-B断面についての内視鏡用具と駆動アセンブリの部分の断面図である。
図45に示したように、第2かさ歯車4056は、駆動アセンブリ4050の駆動レセプタクル4058と係合するよう構成できる。内視鏡用具4000の近位コネクタ4070は、結合器4076および駆動シャフト4072を含み、駆動レセプタクル4058内部に挿入配置できる。結合器4076の外壁は駆動レセプタクル4058の内壁に係合するよう寸法決めされており、駆動レセプタクル4058が回転すると、結合器4076も回転する。結合器4076は駆動シャフト4072に結合されているので、駆動レセプタクル4058が回転すると駆動シャフト4072も回転する。駆動シャフトの内壁は、吸入チャンネル4090の一部を形成する。
【0195】
図46は、この内視鏡用具の回転結合器部分の拡大断面図を示す。
図47Aおよび
図47Bは、この内視鏡用具の回転結合器の上面図および断面図を示す。
【0196】
図46〜47Bに示したように、外側チュービング4044は回転結合器4030に係合するよう構成されている。外側チュービング4044はライニング4082を囲み、当該ライニングは柔軟性トルクコイル4080を囲んでいる。柔軟性トルクコイル4080の内壁は、吸入チャンネル4090の一部を形成できる。外側チュービング4044の内壁とライニング4082の外壁または外面との間のギャップは、洗浄チャンネルの一部を形成できる。タブ4032は、この内視鏡用具の操作者により回転されるよう構成できる。幾つかの実装例では、内視鏡用具が内視鏡の器具チャンネル内に挿入されている間に、操作者はタブ4032を回転させ、外側カニューレを内側カニューレおよび内視鏡に対して回転させることができる。こうすることで、操作者は、外側カニューレを所望の位置まで回転させることで、外側カニューレを貫通して形成された開口部を位置決めできる。幾つかの実装例では、外側カニューレが内視鏡に対して回転可能とする機構を用意することによって、内視鏡用具が内視鏡の器具チャンネル内に挿入されている間は、操作者は開口部の位置を懸念する必要はないが、それは、内視鏡用具が内視鏡に挿入されている間は操作者が外側カニューレを回転させることによって開口部の位置を調節できるからである。
【0197】
図48は、駆動アセンブリ内で動作するため挿入される内視鏡用具の一部の透視図である。駆動アセンブリ4800は、内視鏡用具4000の近位コネクタ4070を収容するよう構成された駆動インターフェース4810を含む。近位コネクタ4070は駆動インターフェース4810の駆動レセプタクルに係合して、駆動アセンブリ4800が発生した回転エネルギーを内視鏡用具4000の切断アセンブリに伝達できる。駆動アセンブリ4800は、内視鏡用具4000の潅注ポート4042への洗浄流体の流入を制御するためのポンプ4820または他の流体移動装置を含むことができる。幾つかの実装例では、ポンプ4829は蠕動ポンプでよい。幾つかの実装例では、このポンプは容積式流体ポンプでよい。幾つかの実装例では、ポンプ4829と潅注ポート4042との間にバルブを配置して、内視鏡用具に入る洗浄流体の量を制御できる。幾つかの実装例では、ポンプ4829の動作速度が、内視鏡用具に流体が入る割合を決定できる。この駆動アセンブリは、ピンチ弁4380も含むことができる。幾つかの実装例では、このピンチ弁は、吸入チャンネルに掛けられる吸引力の印加を制御するよう構成できる。
【0198】
幾つかの実装例では、制御スイッチのようなアクチュエータを用いて駆動アセンブリ4800を作動させることができる。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、駆動アセンブリ4800を制御するためのフットペダル、ハンドスイッチ、または他の任意の作動手段でよい。幾つかの実装例では、このアクチュエータはポンプ4820などの駆動手段に結合でき、このアクチュエータが作動されると、ポンプ4820が回転を開始してトルクを発生し、それが駆動インターフェース4810を介して内視鏡用具の近位コネクタに伝達される。近位コネクタに掛けられたトルクは、柔軟性トルクコイルを介して内側カニューレに伝達されることで、内側カニューレを外側カニューレに対して回転させる。幾つかの実装例では、このアクチュエータはピンチ弁4830などのピンチ弁に結合でき、吸入チャンネルに掛けられる吸引力の量を制御できる。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、駆動手段およびピンチ弁を同時に作動させるよう構成できるので、吸引力が吸入チャンネルを介して掛けられている間、内側カニューレは回転することになる。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、洗浄進入ポート4042を介した洗浄流体の内視鏡用具内への流れを制御する洗浄制御スイッチまたは弁に結合してもよい。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、駆動手段と、吸入のためのピンチ弁と、洗浄のための洗浄制御スイッチとを同時に作動させるよう構成できるので、吸引力が吸入チャンネルを介して掛けられておりかつ洗浄流体が内視鏡用具に供給されている間、内側カニューレは回転することになる。
【0199】
幾つかの実装例では、洗浄流体の内視鏡用具内を通過する流れを制御できるように、別個の洗浄制御スイッチを構成してもよい。操作者は、洗浄チャンネルに供給される洗浄流体の量を洗浄制御スイッチを介して制御できる。
【0200】
図40A〜48に示した駆動アセンブリの構成は駆動アセンブリの一構成例である。内視鏡用具4000は、他の駆動アセンブリ構成により駆動されるよう構成できることは理解すべきである。幾つかの実装例では、他の駆動アセンブリ構成と係合させるため内視鏡用具4000の近位コネクタ部分を改造してもよい。幾つかの実装例では、内視鏡用具400は、内視鏡の器具チャンネル内にこの内視鏡用具を挿入する前に組み立てできる1つまたは複数の異なる構成要素としてひとまとめで提供されるよう構成できる。幾つかの実装例では、内視鏡用具4000の近位コネクタは、当該内視鏡用具の1つまたは複数構成要素が駆動アセンブリの構成要素と係合された後に、その内視鏡用具の操作者によって組み立て可能である。
【0201】
図49は、内視鏡用具と、当該内視鏡用具を駆動するよう構成された駆動アセンブリの別の実装例を示す。
図50Aは、
図49に示した内視鏡用具と駆動アセンブリの側面図である。
図50Bは、
図49に示した内視鏡用具と駆動アセンブリのA-A断面についての断面図である。内視鏡用具4910は内視鏡用具4000と類似しているが、内視鏡用具4910が異なる近位コネクタ4912を備える点で内視鏡用具4000と異なる。この実装例では、近位コネクタ4912は、
図40A〜43に示した柔軟性トルクコイル4000に似た柔軟性トルクコイルに結合でき、さらに、駆動アセンブリ4950と係合するよう構成された近位コネクタ係合構造体4914を含む。この近位コネクタ係合構造体は、駆動アセンブリ4950と係合するよう寸法決めでき、さらに、駆動アセンブリ4950と係合するよう構成された1つまたは複数の係合表面を含むことができる。これら係合表面は、近位コネクタ4912内に含まれる駆動シャフトに結合でき、駆動アセンブリ4950が回転力を係合表面に印加すると、駆動シャフトが回転し、するとこれが内視鏡用具4900の柔軟性トルクコイルと切断アセンブリとを回転させる。幾つかの実装例では、係合表面4914は、駆動アセンブリ4950と係合するよう構成された外壁と、駆動シャフトの外壁と係合するよう構成された内壁とを備えた円柱状物体でよい。幾つかの実装例では、近位コネクタ4910は、当該近位コネクタ4910および内視鏡用具4910が駆動アセンブリ4950に対して回転しないようにするフィン4916または他の構造体も含むことができる。幾つかの実装例では、フィン4916の一側部は、取付構造体4936aおよび4936b上に配置されるか係合できる。こうすることで、回転力が駆動アセンブリにより係合表面に掛けられると、フィン4916は、近位コネクタ4910が駆動アセンブリ4950に対して回転するのを防ぐ。取付構造体4936はその構成によって、駆動アセンブリ4950の様々な構成要素が、取付構造体4936に取り付けられまたは当該構造体から支持されることができる。
【0202】
駆動アセンブリ4950は、引き込み式アーム4922と、1つまたは複数のバネ荷重ベアリング4932と、駆動ベルト4932と、駆動輪4936と、1つまたは複数の静止ベアリング4940とを含むことができる。引き込み式アーム4922は、第1位置と第2位置との間を回転するよう構成できる。バネ加重ベアリング4924は引き込み式アーム4922へのその取付と配置によって、引き込み式アーム4922が
図49および50A〜Bに示した第1位置にあるときは、バネ加重ベアリング4924が力を近位コネクタ4912に掛けて、駆動アセンブリ4950が作動されている間は、当該近位コネクタが定位置に維持されるようにできる。バネ加重ベアリング4924はその配置によって、内視鏡用具4910の近位コネクタ4912が駆動アセンブリ4950と係合するときは、バネ加重ベアリング4924が、近位コネクタ4912内に配置された駆動シャフト(図示しない)の係合構成要素4916に係合することができる。係合構成要素4916は近位コネクタ4912上で重要な位置に設けることができ、引き込み式アーム4922が第1位置にあるときは、バネ加重ベアリング4924が係合構成要素4916に接触する。係合構成要素4916は円柱形状とし、近位コネクタ4912内に配置される駆動シャフトを囲むことができる。係合構成要素4916は、近位コネクタ4912の外壁の一部を形成できる。幾つかの実装例では、係合構成要素4916は近位コネクタ4912の長手方向軸に沿って回転し、近位コネクタ4912に対して回転できる。幾つかの実装例では、駆動輪4936はエラストマー摩擦駆動輪でよい。
【0203】
モーターまたは他の駆動源などの駆動手段は、駆動手段が作動されたときに動作する駆動ベルト4934を介して、取付シャフト4930に取り付けられた駆動輪4936を駆動できる。駆動ベルト4932は駆動輪4936を回転させることができる。近位コネクタ4912の係合構成要素4916は、内視鏡器具が駆動アセンブリ4950内に配置されたときに駆動輪4936に接触する。駆動輪4936の回転により係合構成要素4916が回転している間、駆動アセンブリ4950の静止ベアリング4940は、近位コネクタ4912を所定位置に保持するよう位置決めできる。静止ベアリング4940は、駆動輪4936および係合構成要素4916の接触を維持させる力を与えることもできる。
【0204】
図50Bに示したように、引き込み式アームが第1位置すなわち係合位置にあるときは、バネ加重ベアリング4924は1つまたは複数の係合構成要素4916と第1側部で接触し、駆動輪4936は係合構成要素4916と第2側部で接触する。バネ加重ベアリングによって、係合構成要素4916は駆動輪の回転時に回転可能になる。フィン4914は駆動アセンブリの取付構造体に当接し、内視鏡用具が回転するのを防止する。引き込み式アームが第2位置または分離位置にあるときは、バネ加重ベアリング4924は1つまたは複数の係合構成要素4916に接触しない。よって、内視鏡用具は駆動アセンブリ内にしっかりと位置決めされておらず、従って、駆動手段を作動しても内視鏡用具内の柔軟性トルクコイルが回転しない。
【0205】
内視鏡器具の外径は、内視鏡が被験者に挿入されているときに当該内視鏡の器具チャンネルに挿入できるように寸法決めすればよい。さらに、内視鏡用具が、器具チャンネルの様々な位置で器具チャンネルの内壁に接触して内視鏡器具の安定性を維持するのに十分な大きさとなるように、内視鏡器具を寸法決めできる。内視鏡器具の外径が器具チャンネルの内径よりかなり小さい場合は、内視鏡器具と器具チャンネルの内径との間に大きなスペースができることがあり、これにより内視鏡器具は動作時に動いたり、振動したり、それ以外の態様である程度の不安定性が生じたりすることがある。
【0206】
本明細書に示す図面は例示目的のみを意図したものであって、本願の範囲をいかなる意味でも限定することを意図したものではない。さらに、本明細書で示した寸法は例示的な寸法にすぎず、特定の要件に基づいて変更できることは理解すべきである。例えば、寸法は吸入率、洗浄流動、与えられるトルク量、切断速度、切断効率などを変化させるために変更できる。さらに、図面における詳細は開示の一部であることは理解すべきである。さらに、形状、材質、大きさ、構成、およびその他の詳細は例示目的で示したのみであって、通常の技能を備えた当業者であれば、設計の選択によって、本開示の形状、材質、サイズ、および構成のいずれも変更できることは理解すべきである。本開示の目的では、「結合された」という用語は、2つの部材を互いに直接または間接的に接続することを意味する。そうした接続は本質的に固定でも可動でもよい。こうした接続は2つの部材でも、2つの部材と単一の一体物として一体形成された複数の付加的な中間部材とでも、2つの部材または2つの部材と互いに取り付けられた複数の付加的な中間部材とでも達成できる。そうした接続は本質的に永久的でもよいし、固定でも解放可能でもよい。