特許第6640045号(P6640045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640045
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】壁掛型暖房機
(51)【国際特許分類】
   F24D 19/10 20060101AFI20200127BHJP
   F24D 19/00 20060101ALI20200127BHJP
   F24C 7/04 20060101ALI20200127BHJP
   F24D 15/00 20060101ALN20200127BHJP
   F24H 3/04 20060101ALN20200127BHJP
【FI】
   F24D19/10 A
   F24D19/00 A
   F24C7/04 C
   !F24D15/00 Z
   !F24H3/04 302
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-133127(P2016-133127)
(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公開番号】特開2018-4192(P2018-4192A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕悦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 房俊
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−163559(JP,A)
【文献】 特開2012−089910(JP,A)
【文献】 特開2006−010289(JP,A)
【文献】 特開平07−071786(JP,A)
【文献】 特開2003−014246(JP,A)
【文献】 特開2000−346391(JP,A)
【文献】 実開昭62−195041(JP,U)
【文献】 実開昭49−033641(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0298862(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 19/10
F24C 7/04
F24D 19/00
F24D 15/00
F24H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に取り付けられたケースと、このケースに設けられそれぞれ制御基板が収納される第1の収納部及び第2の収納部と、この第1の収納部に収納された第1の制御基板と、前記第2の収納部に収納された第2の制御基板と、これらの第1の制御基板及び第2の制御基板を接続する接続部材と、この接続部材を覆い前記第1の収納部及び第2の収納部を接続するカバー部と、を有し、
前記ケースは、
前記ケースの外部から空気を取り入れて前記ケースの外部へ空気を送出する送風機構を備えると共に、
前記壁に沿って配置された背面部と、この背面部の下端から室内に向かって斜め上方に延びる前面部と、この前面部の上端から前記背面部の上端まで延びる天井面部と、を有する側面視略三角形状を呈し、
前記第2の制御基板は、前記ケースの左右どちらかの端部に位置すると共に、前記前面部に沿って配置された、前記ケースの外部からの電気信号を受信可能な制御基板であり、
前記第1の制御基板は、前記第2の制御基板よりも大きなメイン基板であって、前記送風機構の前方に配置されている壁掛型暖房機。
【請求項2】
前記カバー部は、前記第1の収納部又は第2の収納部のいずれか一方に一体的に形成され、
前記カバー部の先端部は、前記第1の収納部又は第2の収納部のいずれか他方の内部に位置していることを特徴とする請求項1に記載の壁掛型暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースが壁に取り付けられてなる壁掛型暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室や脱衣所の壁に掛けて用いる暖房機が知られている。このような壁掛型暖房機として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、暖房機は、浴室において使用される。浴室や脱衣所のような狭い場所においては、配置スペースが制限されるため、暖房機の小型化が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−40634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、小型化された壁掛型暖房機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1による発明によれば、壁に取り付けられたケースと、このケースに設けられそれぞれ制御基板が収納される第1の収納部及び第2の収納部と、この第1の収納部に収納された第1の制御基板と、前記第2の収納部に収納された第2の制御基板と、これらの第1の制御基板及び第2の制御基板を接続する接続部材と、この接続部材を覆い前記第1の収納部及び第2の収納部を接続するカバー部と、を有し、
前記ケースは、
前記ケースの外部から空気を取り入れて前記ケースの外部へ空気を送出する送風機構を備えると共に、
前記壁に沿って配置された背面部と、この背面部の下端から室内に向かって斜め上方に延びる前面部と、この前面部の上端から前記背面部の上端まで延びる天井面部と、を有する側面視略三角形状を呈し、
前記第2の制御基板は、前記ケースの左右どちらかの端部に位置すると共に、前記前面部に沿って配置された、前記ケースの外部からの電気信号を受信可能な制御基板であり、
前記第1の制御基板は、前記第2の制御基板よりも大きなメイン基板であって、前記送風機構の前方に配置されている壁掛型暖房機が提供される。
【0007】
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記カバー部は、前記第1の収納部又は第2の収納部のいずれか一方に一体的に形成され、
前記カバー部の先端部は、前記第1の収納部又は第2の収納部のいずれか他方の内部に位置している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、壁掛型暖房機は、2つの制御基板を接続部材によって接続する構成とした。2つの制御基板から構成することにより、それぞれの制御基板は、より狭い部位であっても収納することができ、結果、より小型なケースであっても収納することができる。これにより、小型化された壁掛型暖房機を提供することができる。
【0010】
さらに、接続部材を覆い第1の収納部及び第2の収納部を接続するカバー部を有する。接続部材をカバー部によって覆うことにより、防湿性を高めることができる。防湿性を高めるのにシール材等を用いる必要がない。
【0011】
本発明によれば、防湿性を確保しつつ、小型化された壁掛型暖房機を提供することができる。
加えて、第2の制御基板は、ケースの左右どちらかの端部に位置すると共に、前面部に沿って配置された、ケースの外部からの電気信号を受信可能な制御基板である。例えば、操作者がリモコン装置により壁掛型暖房機を作動させる場合に、第2の制御基板が前面部の左右の端部に位置しているため、容易に電気信号を受信することができる。即ち、第2の制御基板が天井面部等に配置されている場合には、リモコン装置からの電気信号を受け取るための構造が複雑になる虞がある。
一方、第1の制御基板は、第2の制御基板よりも大きなメイン基板であって、送風機構の前方に配置されている。壁掛型暖房機のメイン基板である第1の制御基板は、送風機構の前方に配置されている。送風機構の周縁は、送風機構が作動しているため、高温になることを抑制することができる。このような部位に第1の制御基板を配置することにより、メイン基板を適確に保護することができる。即ち、メイン基板を適確に保護しつつ、外部からの電気信号を適確に受信することができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、カバー部は、第1の収納部又は第2の収納部のいずれか一方に一体的に形成され、カバー部の先端部は、他方の内部に位置している。第1の収納部又は第2の収納部のいずれか一方に一体的に形成されることにより、部品点数の増加を抑制することができる。加えて、カバー部の先端部が第1の収納部又は第2の収納部の他方の内部まで突出しているため、より高い防湿性を確保することができる。即ち、少ない部品点数でありながら、より高い防湿性を有する壁掛型暖房機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例による壁掛型暖房機の正面図である。
図2図1の2−2線断面図である。
図3図1に示された壁掛型暖房機の分解斜視図である。
図4図3に示された第2の収納部の分解図である。
図5図3に示されたケースに第2の収納部が組み付けられた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
<実施例>
【0017】
図1を参照する。壁掛型暖房機10は、例えば、脱衣所において用いられる横長の暖房装置である。壁掛型暖房機10は、壁Wに取り外し可能に設けられたリモコン装置11によって操作される。
【0018】
図2を併せて参照する。壁掛型暖房機10は、壁Wにケース20が固定されてなる。ケース20の内部には、2本のヒーター12,12、これらのヒーター12,12を覆っている反射板13、及び、反射板13に向かって送風を行う送風機構14、この送風機構14の前方を仕切る仕切り壁15、ヒーター12,12、及び、送風機構14を制御するための制御部30が収納されてなる。
【0019】
図1を参照する。ケース20の左右の端部には、それぞれフィルタ16,16が取り付けられている。フィルタ16,16は、塵や埃の堆積を抑制するために、概ね鉛直軸に沿って設けられている。
【0020】
横長とは、水平側の横寸法が、鉛直側の縦寸法より大きいことをいい、この例では横寸法:縦寸法が、約2:1であるが、この比に限定されるものではない。さらには、縦長であってもよい。
【0021】
図2を参照する。ケース20は、壁Wに固定された平面状の背面部21と、この背面部21の上端から室内Rに向かって延びる平面状の天井面部22と、この天井面部22の先端から背面部21の下端まで延びる曲面状の前面部23と、を備えている。天井面部22及び前面部23は、一体的に形成されている。
【0022】
天井面部22は、壁Wから室内Rに向かって緩やかな下がり勾配に延びている。
【0023】
前面部23は、緩やかな曲面によって構成されている。前面部23の下部には、幅方向に亘って開口23aが形成され、この開口23aからヒーター12,12が室内Rに臨んでいる。開口23aには、ヒーター12,12を保護するための網板17が被せられている。
【0024】
ヒーター12,12は、それぞれ水平に延びる棒状ヒーターが用いられている。ヒーター12,12は、それぞれ上下にオフセットして配置されている。
【0025】
なお、ヒーター12,12には、横長の面状ヒーターを用いることもできる。また、ヒーター12,12の本数は、任意である。
【0026】
反射板13は、側面視において略W字状を呈する金属板であり、ヒーター12,12が発した熱線を室内Rに向かって反射させる。
【0027】
反射板13には、中央の幅方向に亘って、送風機構14からの空気が通過する通気孔が空けられている。これにより、反射板13の近傍に熱が篭もることを抑制している。
【0028】
送風機構14は、ケース20の幅方向中央に位置するファンモータ14aと、このファンモータ14aの左右に配置されファンモータ14aによって駆動される左右のシロッコファン14b(右のシロッコファン14bのみが示されている。)と、を有している。
【0029】
送風機構14において発生させた風は、主に反射板13の中央開口部分を通過して室内Rに達する。
【0030】
仕切り壁15は、天井面部22の下面から略垂直に下がり、前面部23の開口23aの縁まで延びている。仕切り壁15は、ケース20内部の幅方向に亘って設けられている。
【0031】
図3を参照する。図3には、壁掛型暖房機10の分解斜視図が示されている。ケース20の一部は、説明の都合上除かれている。制御部30は、第1の収納部31と、この第1の収納部31に収納された第1の制御基板32と、第2の収納部33と、この第2の収納部33に収納された第2の制御基板34と、これらの第1の制御基板32及び第2の制御基板34を接続する接続部材35と、この接続部材35を覆い第1の収納部31及び第2の収納部33を接続するカバー部36と、を有する
【0032】
第1の収納部31は、仕切り壁15と、この仕切り壁15に固定された収納部カバー41と、によって構成されている。即ち、第1の収納部31は、送風機構14(図2参照)の前方を仕切る仕切り壁15を利用している。
【0033】
収納部カバー41は、右端部にカバー部36に被せられるよう欠肉状に構成された欠肉部41aを有している。欠肉部41aは、カバー部36の外縁に沿って上方に向かってU字状に形成されている。欠肉部41aは、ヒーター12,12の左右の端部よりもさらに外側にオフセットされた位置に形成されている。第1の収納部31は、欠肉部41aを除いて密閉されている。
【0034】
第1の制御基板32は、第2の制御基板34よりも大きなメイン基板であって、ヒーター12,12や送風機構14の動作を制御する。第1の制御基板32は、仕切り壁15に固定されている。これにより、第1の制御基板32は、送風機構14の前方(送風機構14の室内R側の側部)に位置している。
【0035】
図4を参照する。第2の収納部33は、下部収納部半体33aに上部収納部半体33bが重ね合わされてなる。上部収納部半体33bは、図3に示された状態から反転させた状態において示されている。第2の収納部33は、ケース20の前面部23(図3参照)に連続した形状に形成されている。
【0036】
第2の制御基板34は、リモコン装置11(図1参照)からの電気信号を受信可能な制御基板であり、上部収納部半体33bにビス43によって固定されている。
【0037】
図3を併せて参照する。接続部材35は、第1の制御基板32及び第2の制御基板34を電気的に接続している。例えば、第2の制御基板34がリモコン装置11(図1参照)から受けた電気信号は、接続部材35を介して第1の制御基板32に送られる。接続部材35は、第1の収納部31、カバー部36、及び、第2の収納部33によって覆われている。
【0038】
カバー部36は、第2の収納部33に一体的に形成されている。より具体的には、カバー部36は、下部収納部半体33aの先端に一体的に形成された下部カバー部半体36aと、上部収納部半体33bの先端に一体的に形成された上部カバー部半体36bと、からなる。カバー部36は、下部カバー部半体36aに上部カバー部半体36bが重ねられることにより、角筒状に形成されている。
【0039】
図5を参照する。壁掛型暖房機10の組み立ては、まず、ケース20の右の端部に第2の収納部33を固定する。これにより、カバー部36は、仕切り壁15の前面に密着した状態によって固定される。次に、接続部材35の先端を第1の制御基板32に接続する。このとき、コネクタを介して接続する構成とすることにより、組立作業が容易になる。
【0040】
次に、収納部カバー41を仕切り壁15に固定する。このとき、欠肉部41aによってカバー部36を覆う。欠肉部41aがカバー部36に密着すると共に、カバー部36の先端部は、第1の収納部31の内部に位置することとなる。
【0041】
以上に説明した本発明は、以下の効果を奏する。
【0042】
図5を参照する。壁掛型暖房機10は、2つの制御基板32,34を接続部材35によって接続する構成とした。2つの制御基板32,34から構成することにより、それぞれの制御基板32,34は、より狭い部位であっても収納することができ、結果、より小型なケース20であっても収納することができる。これにより、小型化された壁掛型暖房機10を提供することができる。
【0043】
さらに、接続部材35を覆い第1の収納部31及び第2の収納部33を接続するカバー部36を有する。接続部材35をカバー部36によって覆うことにより、防湿性を高めることができる。防湿性を高めるのにシール材等を用いる必要がない。
【0044】
本発明によれば、防湿性を確保しつつ、小型化された壁掛型暖房機10を提供することができる。
【0045】
さらに、カバー部36は、第2の収納部33に一体的に形成され、カバー部36の先端部は、第1の収納部31の内部に位置している。第2の収納部33のいずれか一方に一体的に形成されることにより、部品点数の増加を抑制することができる。加えて、カバー部36の先端部が第1の収納部31の内部まで突出しているため、より高い防湿性を確保することができる。即ち、少ない部品点数でありながら、より高い防湿性を有する壁掛型暖房機10を提供することができる。
【0046】
第1の収納部31にカバー部36が一体的に形成され、カバー部36の先端部が第2の収納部33の内部に位置している場合も同様である。
【0047】
さらに、第2の制御基板34は、ケース20の右の端部に位置すると共に、前面部23に沿って配置された、ケース20の外部からの電気信号を受信可能な制御基板である。例えば、操作者がリモコン装置11(図1参照)により壁掛型暖房機10を作動させる場合に、第2の制御基板34が前面部23の右の端部に位置しているため、容易に電気信号を受信することができる。即ち、第2の制御基板34が天井面部22(図2参照)等に配置されている場合には、リモコン装置11からの電気信号を受け取るための構造が複雑になる虞がある。
【0048】
図2も併せて参照する。一方、第1の制御基板32は、第2の制御基板34よりも大きなメイン基板であって、送風機構14の前方に配置されている。壁掛型暖房機10のメイン基板である第1の制御基板32は、送風機構14の前方に配置されている。送風機構14の周縁は、送風機構14が作動しているため、高温になることを抑制することができる。このような部位に第1の制御基板32を配置することにより、第1の制御基板32を適確に保護することができる。即ち、メイン基板を適確に保護しつつ、外部からの電気信号を適確に受信することができる。
【0049】
尚、本発明による壁掛型暖房機は、脱衣所において用いられる壁掛型暖房機を例に説明したが、壁掛型暖房機が用いられる場所は、脱衣所には限られない。
【0050】
さらに、壁掛型暖房機は、暖房機能及び送風機能を有しているものを例に説明したが、さらに冷房機能を備えているものであってもよい。加えて、暖房機能のみからなるものであっても良い。
【0051】
さらに、接続部が第2収納部に一体的に形成されている例を基に説明したが、接続部は、第1収納部に一体的に形成されていてもよい。
【0052】
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の壁掛型暖房機は、脱衣所を暖めるのに好適である。
【符号の説明】
【0054】
10…壁掛型暖房機
14…送風機構
20…ケース
21…背面部
22…天井面部
23…前面部
31…第1の収納部
32…第1の制御基板
33…第2の収納部
34…第2の制御基板
35…接続部材
36…カバー部
R…室内
W…壁
図1
図2
図3
図4
図5