【実施例】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るボールダンパー51を用いた防振支持具1について詳細に説明する。
【0039】
なお、本実施例においては、既述した
図4、
図5に示す場合と同様なボールダンパー51を使用するものとして以下の説明を行う。
【0040】
すなわち、本実施例で用いるボールダンパー51は、ゴム材等の弾性材からなるものであり、円環状で断面略円形状の環状弾性体52の外周部に上下対称配置に6個ずつの半球状の弾性膨出接触部53を同心円形配置に、かつ、60度間隔をもって列設し、前記環状弾性体52における上側の各弾性膨出接触部53の間の位置、及び前記環状弾性体52における下側の各弾性膨出接触部53の間の位置から各々3個ずつの上側取り付け用突片54a、下側取り付け用突片54bを120度間隔をもって、かつ、上下で60度ずつ位置をずらして中心方向に突設し、前記各上側取り付け用突片54a、各下側取り付け用突片54bに各々合計3個ずつの連結ピン用抜孔55aを中心に関して同心配置に設けことにより構成している。
そして、前記各弾性膨出接触部53の球状面には、同心配置に円形の凹凸部53aを形成している。
【0041】
本発明におけるボールダンパー51を用いた防振支持具1は、前記ボールダンパー51からなる防振支持具1を積層し組み立てる場合に優れているものであり、当該積層の数を限定するものではない。積層する事により固有振動数の低い非線形防振支持具1が製作できる。
【0042】
すなわち、単一のボールダンパー51を後記する各
図1のカバー体31、
図2の下プレート11、
図3の上プレート41の各部材と組み合わせて防振支持具1として使用でき、また、2以上複数のボールダンパー51を後記する各
図1のカバー体31、
図2の下プレート11、
図3の上プレート41の各部材と組み合わせて複数のボールダンパー51を積層して防振支持具1として使用することができる。
【0043】
以下においては、
図13に示す実施例、すなわち、例えば3個のボールダンパー51からなる防振支持具1を積層し組み立てた状態を示して説明する。
図13に示す実施例は、例えば3個のボールダンパー51を用いて、2個の夫々のボールダンパー51の間に前記
図1のカバー体31を介在させて、
図3の上プレート41、
図2の下プレート11を用いてこれらを前記のように組み合わせて実現した防振支持具1の参考例を基にして説明する。図示例では、最上段に位置する
図1のカバー体31、
図3の上プレート41にボルト61を上方に向けて嵌装配置している。
【0044】
本実施例におけるボールダンパー51を用いた防振支持具1、例えば3個のボールダンパー51を用いて、これらを相互に積層して組み立ててなる防振支持具1は、
図13に示すように、1段目のボールダンパー51と2段目のボールダンパー51との間に用いられて当該各ボールダンパー51を堅牢に組み立てて積層するための金属製の
図1のカバー体31を具備している。
【0045】
この
図1のカバー体31の内面(下面)には、3等分された各位置に連結ピン頭部4を下に向けた各連結ピン2を配置している。夫々の連結ピン2は、
図1のカバー体31の内面の夫々の位置に固着されているか、又は脱着自在に装着されている。
【0046】
図示する実施例のように例えば3個のボールダンパー51を用いてこれらを相互に積層し組み立ててなる防振支持具1においては、
図13、14に示すように、各ボールダンパー51の間に位置して用いられる
図1のカバー体31の上面に、前記3等分されて配置した各連結ピン2とは異なる位置に3等分された各位置に積層用連結ピン頭部5を上に向けた各積層用連結ピン6を脱着自在に配置している。
【0047】
各連結ピン2の長さは、各ボールダンパー51の組み立ての際に、これらがボールダンパー51の連結ピン用抜孔55aに挿通されて用いられることから、当該連結ピン用抜孔55aの長さに夫々匹敵するものであれば良い。
【0048】
前記カバー体31には、ボールダンパー51の下面から各積層用連結ピン6をボールダンパー51の下側取り付け用突片54bの連結ピン用抜孔55aに挿通する際に使用し、その挿入状況を確認するための120度間隔配置の3個の円形の覗き孔34を設けている。
【0049】
前記
図1のカバー体31の前記各覗き孔34の中心位置には、最上段に位置するボールダンパー51の上に位置する
図1のカバー体31を、
図3の上プレート41を介在させて、その中心部を貫くようにしてボルト61を上方に向けて嵌装配置できるようにした中心孔33を設けている。
なお、図示するように、
図3の上プレート41に設けたタップ付の筒状ボス部43を介在させてボルト61を上方に向けて嵌装配置するか否かは自在であり、
図3の上プレート41を介在させること、ボルト61を嵌装配置することは、本実施例では必須のものではない。
図中の符号62はボルト61を上方に向けて嵌装配置する際に用いるワッシャーであり、符号63はナットである。
【0050】
前記
図3の上プレート41は、最上段に位置する
図1のカバー体31の上面において、皿ネジ3でもって、上プレート41に3箇所設けた各皿孔42、
図1のカバー体31に3箇所設けた各連結ピン用孔32aに締着されて固定される。
【0051】
図示する実施例の3個のボールダンパー51を用いてこれらを相互に積層し組み立ててなる防振支持具1における最上段に位置するカバー体31には、各ボールダンパー51の間に位置して用いられる前記
図1のカバー体31の上面に設けられるような各積層用連結ピン6は不要である。
【0052】
また、図示する実施例の3個のボールダンパー51を用いてこれらを相互に積層し組み立ててなる防振支持具1においては、1段目(最下段)のボールダンパー51の下面に金属製の
図2の下プレート11を具備している。
但し、当該
図2の下プレート11は、本実施例では必須構成のものではなく、
図2の下プレート11が無くても、例えば3個のボールダンパー51を用いてこれらを相互に積層し組み立ててなる防振支持具1を実施できる。
【0053】
なお、
図2の下プレート11には、ボールダンパー51の各連結ピン用抜孔55aに挿通する3本の連結ピン2(各連結ピン頭部4)と、基礎とボルトで締結できるタップ付の筒状ボス部13とを有している。
【0054】
以上説明した
図1のカバー体31の全体形状は、図示例は、周囲を浅く垂下した浅い傘或いは浅いお椀状の形態としているが、カバー体31の形状は図示例に限定されるものではない。
【0055】
前記
図1のカバー体31の下面の各連結ピン2、
図2の下プレート11の上面の連結ピン2は、いずれも、前記
図1のカバー体31の上面で用いた各積層用連結ピン6と同様に、脱着可能な構成として各部分に具備するようにしても良い。
そして、このような構成とする場合は、その脱着構成は、例えば、各連結ピンが夫々の取り付けられる位置にネジ溝を設けておき、各連結ピンの連結ピン頭部とは逆の端部にオスネジを形成しておけば良い。
【0056】
本実施例の例えば3個のボールダンパー51を用いた防振支持具1において、
図14で示すような例えば3段立体構造のボールダンパー51を積層し組み立てる工程について以下説明する。
図2に示す下プレート11の連結ピン2に、
図6の仕掛品に示すボールダンパー51の下側取り付け用突片54bに設けた各連結ピン用抜孔55aを挿通させて、
図7の仕掛品
にすることで1段目(最下段)ができ、次に、カバー体31上面の連結ピン用孔32aに積層用連結ピン6を装着し、その積層用連結ピン6に、
図6に示す別のボールダンパー51の下側取り付け用突片54bに設けた各連結ピン用抜孔55aを挿通させて2段目(中間段)ができ、更にそのカバー体31の上面の連結ピン用孔32aに積層用連結ピン6を装着して2段目と同じことを行えば、3段目(最上段)ができる、その最上段のカバー31の上面において、皿ネジ3でもって、
図3の上プレート41に設けた皿孔42、カバー体31に設けた連結ピン孔32aに
図3の上プレートを締着されて固定すれば、各段のボールダンパー51は相互に堅牢に組立てられて積層されて一体化した3段積層状態の防振支持具1が完成する。また、図示例のように最高段に位置する上プレート41にボルト61を上方に向けて嵌装配置できるようになっている。
【0057】
連結ピン2の連結ピン頭部4,積層用連結ピン6の積層用連結ピン頭部5が、ゴム材等の弾性材からなるボールダンパー51の弾性材伸びを利用して各連結ピン55aを脱した位置に表出した際には、堅牢に圧入固着されることになるとともに、これら複数の各ボールダンパー51の積層組み立てにはドライバー等ネジ用工具は一切不要である。
前記連結ピン各頭部4、積層用連結ピン頭部5は、ボールダンパー51と
図1のカバー体31、
図2の下プレート11の分離を防止する作用を発揮する。
【0058】
図13に示すような例えば3個のボールダンパー51を用いた防振支持具1をはじめとして2以上複数のボールダンパー51を用いてこれらを積層し組み立てる場合において、当該複数個のボールダンパー51を積層し組み立てる工程については、上述した手順に限定することなく、自在な組み立て手順で積層し組み立てを行うことができることは勿論である。
【0059】
なお、2以上複数のボールダンパー51を用いてこれらを積層し組み立てて防振支持具1を実現することができ、上述した積層し組み立て手順を繰り返すことにより多数段のボールダンパー51を用いて防振支持具1を得ることができる。
【0060】
図1は、ボールダンパー51を用いて防振支持具1を形成するためのカバー体31に連結ピン2を装着した説明図である。
図2は、最下段に位置するボールダンパー51の下面に配置して使用する下プレート11に連結ピン2を装着した説明図である。
図3は、最上段に位置するボールダンパー51の上面に配置して使用するカバー体31の上面に配置して使用される上プレート41の説明図である。
【0061】
図6乃至
図13は、本実施例に係る防振支持具1における各構成部、すなわち、ボールダンパー51、
図1のカバー体31、
図3の上プレート41、
図2の下プレート11を夫々自在に組み合わせた参考例を示すものである。
【0062】
図6は、単一のボールダンパー51の連結ピン用抜孔55aに
図1のカバー体31の連結ピン2に挿入固着して組み合わせて実現した防振支持具1の仕掛品の参考例である。
【0063】
図7は、単一のボールダンパー51の連結ピン用抜孔55aに
図1のカバー体31と
図2の下プレート11のそれぞれ連結ピン2に挿入固着して組み合わせて実現した防振支持具1の仕掛品の参考例である。
【0064】
図8は、
図6の仕掛品に
図3の上プレート41を用いて、これらを組み合わせて実現した単一体構造の防振支持具1の参考例である。この場合、前記
図3の上プレート41は、最高段のカバー体31の上面において、皿ネジ3でもって、
図3の上プレート41に3箇所設けた各皿孔42、カバー体31に3箇所設けたネジ溝の各連結ピン用孔32aに締着されて固定されている。そして、図示例では、
図3の上プレート41にボルト61を上方に向けて嵌装配置している。この場合は、当該ボルト61を上方に向けて嵌装配置していることにより防振支持具1以外の部材に連結するのに好都合である。
【0065】
図9は、
図7の仕掛品に
図3の上プレート41を用いて、これらを組み合わせて実現した単一体構造の防振支持具1の参考例である。
図3の上プレート41の装着方法は上記と同じである。
【0066】
図10は、
図6の仕掛品(1段目)の上面に積層用連結ピン6を装着しその上に
図6の仕掛品(2段目)を設置しボールダンパー51の下側取り付け用突片54bに設けられた連結ピン用抜孔55aに積層用連結ピン6を挿入し2段目を組み立てる、さらに最高部カバー体31に上プレート41を皿ネジ3で固着して、これらを組み合わせて実現した2連体構造の防振支持具1の参考例である。
【0067】
図11は、
図10の1段目の
図6の仕掛品を
図7の仕掛品に取り替え
図10と同様に、これらを組み合わせて実現した2連体構造の下プレート付き防振支持具1の参考例である。
【0068】
図12は、
図10の2連体構造の防振支持具1の下部にさらに
図6の仕掛品(3段目)に積層用ピン6を装着しボールダンパーの下側取り付け用突片54bに設けられた連結ピン用抜孔55aにその連結用ピン6を挿入してこれらを組み合わせて実現した3連体構造の防振支持具1の参考例である。図示例では、最上段に位置するカバー体31、上プレート41にボルト61を上方に向けて嵌装配置している。
【0069】
図13は、
図12の3段目の
図6の仕掛品を
図7の仕掛品に取り替え
図12と同様に、これらを組み合わせて実現した3連体構造の下プレート付き防振支持具1の参考例である。図示例では、最上段に位置するカバー体31、上プレート41にボルト61を上方に向けて嵌装配置している。
【0070】
本実施例の防振支持具1によれば、以上説明した防振支持具1における各構成部、すなわち、ボールダンパー51、
図1のカバー体31、
図3の上プレート41、
図2の下プレート11のみでもって夫々自在に組み合わせた各種の防振支持具1を実現でき、各部品が簡略構造で、かつ、少ない部品点数でもって組み立て性の向上、簡易迅速に組み立てでき、組み立て作業コストの低減を実現できるボールダンパー51を用いた防振支持具を実現できる。
したがって、本実施例の防振支持具1によれば、各部品が簡略構造で、かつ、少ない部品点数でもって組み立て性の向上を図ることができることから、各組み立てミスを撲滅でき、在庫管理、規格品の省力化等も図ることができる。
【0071】
本実施例の防振支持具1によれば、例えば、図示しないが床面上にこれを設置し、前記
図3の上プレート41から上方に突出するボルト61、ナット63等を用い、更に図示しない付属部品を用い、前記防振支持具1を床面と例えば機械類等の脚部との間に介在させることで当該機械類等の防振機能を発揮させることができる。