(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食器洗い用液体洗浄剤(以下、単に「液体洗浄剤」ともいう。)は、以下に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する。液体洗浄剤は、以下に示す(E)成分をさらに含有することが好ましい。
【0012】
<(A)成分>
(A)成分は、アニオン界面活性剤である。
液体洗浄剤が(A)成分を含有することで、水切れ性が高まる。
アニオン界面活性剤としては、従来、食器用などの液体洗浄剤に用いられているアニオン界面活性剤であればよく、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩などが挙げられる。
アニオン界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0013】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩が好ましい。
直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のアルキル硫酸エステル塩が好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えば、下記一般式(a1)で表される化合物が挙げられる。
R
11−O−[(PO)
p/(EO)
q]−SO
3− 1/X・M
+ ・・・(a1)
【0014】
式(a1)中、R
11は炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、かつ、酸素原子と結合している炭素原子は第一級炭素原子である。POはオキシプロピレン基を表し、EOはオキシエチレン基を表し、pはPOの平均繰り返し数を表し、0≦p<1を満たす数であり、qはEOの平均繰り返し数を表し、0<q≦4を満たす数であり、M
+は対イオンであり、XはMの価数である。
【0015】
R
11の炭素数は、8〜18であり、10〜14が好ましく、12〜14がより好ましい。
POの平均繰り返し数(すなわち、プロピレンオキシドの平均付加モル数)は、0以上、1未満であり、0が好ましい。
EOの平均繰り返し数(すなわち、エチレンオキシドの平均付加モル数)は、0超、4以下であり、1〜3が好ましい。
M
+としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩から誘導されるカチオン等が挙げられる。
(PO)
p/(EO)
qにおいて、EOとPOはランダム付加であってもよくブロック付加であってもよく、配列状態は問わない。
【0016】
一般式(a1)で表される化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシプロピレン(0.4)ポリオキシエチレン(1.5)直鎖アルキル(C12)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシプロピレン(0.4)ポリオキシエチレン(1.5)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩などが挙げられる。
なお、本発明においてポリオキシエチレン(1)、ポリオキシプロピレン(0.4)等のカッコ内の数値は、前者がオキシエチレンを平均1モル付加、後者はオキシプロピレンを平均0.4モル付加されていることを表わす。
【0017】
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基を有し、平均1〜10モルのオキシエチレン基(EO)を付加したもの、さらに平均0〜6モルのオキシプロピレン基(PO)を付加したもの(すなわち、ポリオキシエチレン(プロピレン)アルケニルエーテル硫酸塩)が好ましい。
アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩としては、炭素数は10〜20のアルカンスルホン酸塩が挙げられ、炭素数14〜17のアルカンスルホン酸塩が好ましく、第2級アルカンスルホン酸塩が特に好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のα−スルホ脂肪酸エステル塩が好ましい。
【0018】
これらのアニオン界面活性剤は、市場において容易に入手することができる。また、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
【0019】
水切れ性とヌルつき抑制のバランスの観点から、(A)成分は、少なくともポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(以下、「(a1)成分」ともいう。)を含むことが好ましく、その中でも特に、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩が好ましい。
【0020】
(A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。特にヌルつきが抑制される点で、(a1)成分と、下記(a2)成分との組み合わせが好ましく、(a1)成分と、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩との組み合わせが特に好ましい。
(a2)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩からなる群より選ばれる少なくとも1種
【0021】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して5〜15質量%が好ましく、8〜15質量%がより好ましく、8〜12質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記範囲内であれば、水切れ性がより向上するとともに、ヌルつきをより抑制できる。
【0022】
(A)成分が(a1)成分と(a2)成分とを含む場合、(a1)成分/(a2)成分で表される質量比(以下、「a1/a2比」ともいう。)は3〜10が好ましく、5〜8がより好ましい。a1/a2比が、上記下限値以上であれば水切れ性がより向上し、上記上限値以下であればヌルつきをより抑制できる。
【0023】
<(B)成分>
(B)成分は、半極性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
液体洗浄剤が(B)成分を含有することで、ヌルつきを抑制できる。
なお、「半極性界面活性剤」とは、半極性界面活性剤が溶解する溶液又は分散する分散系のpHにより、陽イオン性、非イオン性となるものをいう。
【0024】
半極性界面活性剤(以下、「(b1)成分」ともいう。)としては、例えば、アミンオキシド型界面活性剤、アミンアルキレンオキシド型界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、アミンオキシド型界面活性剤が好ましい。
アミンオキシド型界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルカノイルアミドアルキルアミンオキシドなどが挙げられ、これらの中でも下記一般式(b1)で表される化合物が好ましい。
【0026】
式(b1)中、R
21は炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基であり、R
22、R
23はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、R
24は炭素数1〜4のアルキレン基である。Aは−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−又は−O−であり、rは0又は1の数である。
【0027】
一般式(b1)で表される化合物の具体例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド(n−ドデシルジメチルアミンオキシド)、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。これらの中でも、水切れ性とヌルつき抑制のバランスの観点から、ラウリルジメチルアミンオキシドが好ましい。
(b1)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0028】
両性界面活性剤(以下、「(b2)成分」ともいう。)としては、例えば、カルボン酸塩型(ベタイン型ともいう。)、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型があり、これらをいずれも使用できる。これらの中でも、カルボン酸塩型が好ましい。
カルボン酸塩型の両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)などが挙げられる。
(b2)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0029】
(B)成分としては、(b1)成分のみを用いてもよいし、(b2)成分のみを用いてもよいし、(b1)成分と(b2)成分とを併用してもよい。特に、(B)成分としては(b1)成分が好ましい。
【0030】
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して5〜20質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲内であれば、水切れ性がより向上するとともに、ヌルつきをより抑制できる。
【0031】
また、(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「A/B比」ともいう。)は0.5〜1.5であり、0.9〜1.4が好ましい。A/B比が上記範囲内であれば、ヌルつきを抑制できる。特に、A/B比が、上記下限値以上であれば洗浄対象物のすすぎ時のヌルつきを抑制でき、上記上限値以下であれば洗浄対象物の洗浄時及びすすぎ時のヌルつきを抑制できる。
【0032】
<(C)成分>
(C)成分は、カチオン化セルロースである。
液体洗浄剤が(C)成分を含有することで、水切れ性が高まる。
(C)成分としては、例えば、下記一般式(c1)で表される化合物、下記一般式(c2)で表される化合物、下記一般式(c3)で表される化合物などが挙げられ、具体的には、ヒドロキシトリメチルアンモニオプロピルヒドロキシエチルセルロースクロリド、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体等のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、水切れ性とヌルつき抑制のバランスの観点から、下記一般式(c1)で表される化合物が好ましい。
【0036】
一般式(c1)で表される化合物の平均分子量は1万〜数百万である。
一般式(c2)で表される化合物の平均分子量は1万〜数十万である。
一般式(c3)で表される化合物の平均分子量は1万〜数十万である。
【0037】
(C)成分のカチオン化度は、0.5〜3.5質量%が好ましく、1.5〜2.5質量%がより好ましい。カチオン化度が上記範囲内であれば、水切れ性がより高まる。
ここで、「カチオン化度」とは、(C)成分の分子中に占める、カチオン化剤に由来する窒素原子の含有率(質量%)、すなわち、(C)成分の総質量に対する窒素原子の含有率を意味する。
(C)成分のカチオン化度は、特定された化学構造に基づいて計算される。
(C)成分における任意のモノマーの比率が不明な場合等、(C)成分の化学構造が特定されない場合には、(C)成分のカチオン化度は、実験的に求められた窒素含有率から算出される。(C)成分中の窒素含有率の測定方法としては、例えば、ケルダール法等が挙げられる。
【0038】
25℃における(C)成分の2質量%水溶液の粘度は、50〜35000mPa・sが好ましく、70〜500mPa・sがより好ましく、70〜200mPa・sがさらに好ましい。(C)成分の2質量%水溶液の粘度が上記範囲内であれば、低濃度の洗浄時の水切れ性により優れる。
粘度は、25℃の(C)成分の2質量%の水溶液をB型粘度計で測定した値である。粘度の測定条件は、以下の通りである。
【0039】
測定条件:
[ローター]
測定対象の粘度に対応するローター番号、ローター回転数は、下記の通りである。
・粘度が500mPa・s未満:ローター番号No.2、回転数60rpm。
・粘度が500mPa・s以上2000mPa・s未満:ローター番号No.3、回転数60rpm。
・粘度が2000mPa・s以上10000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数60rpm。
・粘度が10000mPa・s以上50000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数12rpm。
[数値の読み取り]
ローターの回転の開始から60秒後。
【0040】
(C)成分としては、例えば、商品名「レオガードGP(第4級窒素含有率1.8質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「レオガードMGP(第4級窒素含有率1.8質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「レオガードMLP(第4級窒素含有率0.6質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「UCARE JR125(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル社製)」、商品名「UCARE JR400(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル社製)」、商品名「UCARE LR30M(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル社製)」などが挙げられる。これらの中でも、水切れ性能の観点から「UCARE JR125」、「UCARE JR400」が好ましく、「UCARE JR125」がより好ましい。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0041】
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜1質量%が好ましく、0.2〜0.3質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が、上記下限値以上であれば水切れ性がより向上し、上記上限値以下であればヌルつきをより抑制できる。
【0042】
<(D)成分>
(D)成分は、下記一般式(d1)で表される化合物である。
液体洗浄剤が(D)成分を含有することで、ヌルつきを抑制できる。
【0044】
式(d1)中、EOはオキシエチレン基を表す。mはEOの平均繰返し数を表し、6〜12の数である。xとyはそれぞれ1〜6の整数であり、6≦x+y≦12である。
【0045】
EOはオキシエチレン基である。
mはEOの平均繰返し数を表し、6〜12の数であり、6〜10が好ましく、9〜10の数がより好ましい。mが、6以上であればヌルつきが抑制され、12以下であれば水切れ性が向上する。なお、ここでのmは、EOの「平均」繰返し数を示している。したがって、式(d1)で表される化合物は、EOの繰返し数が異なる分子の集合体である。
xとyはそれぞれ1〜6の整数であり、6≦x+y≦12である。中でも、水切れ性がより良好になることから、6≦x+y≦10が好ましく、6≦x+y≦8がより好ましく、x+y=8が特に好ましい。
【0046】
式(d1)中のC
xH
2x+1、C
yH
2y+1としてはそれぞれ、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、直鎖のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好適なものとして挙げられる。中でも、C
xH
2x+1、C
yH
2y+1は、エチル基とブチル基との組合せ、プロピル基とペンチル基との組合せ(以上、いずれの組合せも一方がどちらの基であってもよい)が好ましく、プロピル基とペンチル基との組合せ(一方がどちらの基であってもよい)が特に好ましい。
【0047】
(D)成分としては、ガーベット反応による2分子縮合で得られた、β位に分岐構造を有するアルコールのエチレンオキシド付加物が特に好適なものとして挙げられる。
具体例として、BASF社製のポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテルが挙げられる。具体的には、Lutensol XP60(商品名、式(d1)におけるm=6の化合物)、Lutensol XP90(商品名、式(d1)におけるm=9の化合物)、Lutensol XP100(商品名、式(d1)におけるm=10の化合物)が挙げられる。
【0048】
(D)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して6〜12質量%が好ましく、7〜9質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲内であれば、ヌルつきをより抑制できる。
【0049】
また、(D)成分/(C)成分で表される質量比(以下、「D/C比」ともいう。)は30〜150であり、35〜80が好ましい。D/C比が、上記下限値以上であればヌルつきを抑制でき、上記上限値以下であれば水切れ性が向上する。
【0050】
また、(B)成分/(D)成分で表される質量比(以下、「B/D比」ともいう。)は0.3〜1.3が好ましく、0.5〜1.2がより好ましく、0.5〜1がさらに好ましい。B/D比が、上記下限値以上であれば水切れ性がより向上し、上記上限値以下であればヌルつきをより抑制できる。
【0051】
<(E)成分>
(E)成分は、芳香族カルボン酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
液体洗浄剤が(E)成分をさらに含有することで、凍結復元後の水切り性の低下を抑制し、しかもヌルつき抑制を良好に維持できる。
【0052】
(E)成分としては、例えば、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、安息香酸ナトリウムが好ましい。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0053】
また、(E)成分/(C)成分で表される質量比(以下、「E/C比」ともいう。)は1〜50が好ましく、3〜30がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。E/C比が、上記下限値以上であれば凍結復元後のヌルつき抑制を良好に維持でき、上記上限値以下であれば水切り性の低下を抑制できる。
【0054】
(E)成分の含有量は、E/C比が上記範囲内となる量であれば特に制限されないが、液体洗浄剤の総質量に対して0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、1.2〜3質量%がさらに好ましい。(E)成分の含有量が上記範囲内であれば、(E)成分の効果がより発揮されやすくなる。
【0055】
<水>
本発明の液体洗浄剤は、製造時のハンドリングのし易さ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶剤として水を含有することが好ましい。
【0056】
<任意成分>
液体洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外の成分(任意成分)を必要に応じて含有してもよい。
任意成分としては、食器洗い用、台所用、硬質表面用又は衣料用等の洗浄剤組成物に用いられている成分が挙げられ、例えば、(A)成分、(B)成分及び(D)成分以外の界面活性剤(他の界面活性剤)、(E)成分以外のハイドロトロープ剤、防腐剤、pH調整剤、漂白成分、金属捕捉成分、ラジカルトラップ剤、香料などが挙げられる。
【0057】
(他の界面活性剤)
他の界面活性剤としては、(D)成分以外のノニオン界面活性剤(以下、「(F)成分」ともいう。)、カチオン界面活性剤などが挙げられる。
(F)成分としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルポリグリコシドなどが挙げられる。(F)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(F)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、(F)成分を実質的に含有しないことがさらに好ましい。(F)成分の含有量が少ない程、水切れ性を良好に維持できる。
ここで、「実質的に含有しない」とは、液体洗浄剤の総質量に対して、0.1質量%未満を意味する。
【0058】
カチオン界面活性剤としては、例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアロイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシブチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、トリ(ステアロイルオキシエチル)メチルメトサルフェートなどが挙げられる。なお、「牛脂アルキル」基の炭素数は14〜18である。
カチオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0059】
(ハイドロトロープ剤)
液体洗浄剤がハイドロトロープ剤を含有することにより、主として、液体洗浄剤の保存安定性(特に低温安定性)が向上して、透明外観をより安定に確保しやすくなる。
ハイドロトロープ剤としては、例えば、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、エタノールなどが挙げられる。
ハイドロトロープ剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0060】
ハイドロトロープ剤において、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩は、それぞれo体、m体、p体の3異性体のいずれでもよく、これらのなかでも容易に入手が可能なことからp体が好ましく、その中でも、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸塩がより好ましい。
【0061】
ハイドロトロープ剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して2〜30質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。ハイドロトロープ剤の含有量が上記範囲内であれば、洗浄力及び水切れ性を低下させることなく、その配合効果を充分に得ることができる。
【0062】
(防腐剤)
液体洗浄剤が防腐剤を含有することにより、液体洗浄剤に微生物等が混入しても、菌の増殖が抑制される。
防腐剤としては、例えば、イソチアゾリン系化合物が挙げられ、具体的には、ベンズイソチアゾリノン(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン)、メチルイソチアゾリノン(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、ブチルベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン等が挙げられる。
防腐剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0063】
防腐剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.0002〜0.01質量%(2〜100質量ppm)が好ましく、0.0005〜0.004質量%(5〜40質量ppm)がより好ましい。防腐剤の含有量が上記範囲内であれば、洗浄力及び水切れ性を低下させることなく、その配合効果を充分に得ることができる。
【0064】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、例えば、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤などが挙げられる。
無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、液体洗浄剤の保存安定性が向上しやすいことから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が好ましい。
有機アルカリ剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン等のアミン化合物などが挙げられる。これらの中でも液体洗浄剤の保存安定性が向上しやすいことから、モノエタノールアミンが好ましい。
なお、液体洗浄剤のpHが高すぎる場合には、pH調整剤として、例えば塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等のカルボン酸などの酸を用いてもよい。
【0065】
なお、液体洗浄剤に含まれる全ての成分の含有量の合計が、100質量%となるものとする。
【0066】
<製造方法>
本発明の液体洗浄剤は、例えば、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分と、必要に応じて(E)成分及び任意成分とを、水に溶解し、pH調整剤を用いて所定のpHに調整することによって製造できる。
【0067】
<pH>
本発明の液体洗浄剤の25℃でのpHは、6〜8が好ましい。液体洗浄剤の25℃でのpHが上記範囲内であれば、水切れ性がより向上するとともに、ヌルつきをより抑制できる。
本発明において、液体洗浄剤のpH(25℃)は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値を示す。
液体洗浄剤のpHは、上述したpH調整剤を用いて調整すればよい。
【0068】
<作用効果>
以上説明した本発明の液体洗浄剤においては、(A)成分と(C)成分とを含有するので、水切れ性に優れる。加えて、本発明の液体洗浄剤は(A)成分に対して特定比率の(B)成分と、(C)成分に対して特定比率の(D)成分とを含有するので、洗浄対象物の洗浄時及びすすぎ時のヌルつきを抑制できる。係る理由は以下のように考えられる。
優れた水切れ性は(C)成分と(A)成分がコンプレックス(会合体)を形成し、その会合体が食器等の洗浄対象物の表面に均一に吸着することにより発現する。しかし、(C)成分と(A)成分との会合体は結合が強いため、ヌルつきやすい傾向にある。
そこで、(B)成分を(A)成分との質量比が特定の割合になるように加えることにより、(C)成分と(A)成分とに加えて、(B)成分が合わさった会合体が形成される。その結果、(C)成分と(A)成分との結合が弱まり、洗浄時に洗浄対象物の表面に吸着する会合体のヌルつきが抑制されるものと考えられる。
【0069】
ところが、特定量の(B)成分を配合しただけでは、(C)成分と(A)成分と(B)成分との会合体の、手への吸着を充分に抑制することが困難であり、すすぎ時にヌルつきを感じやすい。
そこで、(D)成分を(C)成分との質量比が特定の割合になるように加えることにより、(C)成分と(A)成分との結合がさらに弱まり、すすぎ時に手に吸着する会合体のヌルつきが抑制されるものと考えられる。
【0070】
ところで、液体洗浄剤を低温で保存すると液体洗浄剤が凍結することがある。液体洗浄剤が凍結すると、(C)成分と(A)成分との結合が強まる傾向にあるため、液体洗浄剤が復元すると、(B)成分及び(D)成分によるヌルつきの抑制効果が低下することがある。
そこで、(E)成分を(C)成分との質量比が特定の割合になるように加えることにより、液体洗浄剤が凍結しても(C)成分と(A)成分との結合を弱めることができ、凍結復元後であっても、ヌルつきの抑制効果を良好に維持できる。(C)成分に対する(E)成分の割合が多い程、凍結復元後のヌルつきは抑制される傾向にあるが、(E)成分の割合が多くなりすぎると(C)成分と(A)成分との結合が弱くなりすぎるため、水切れ性が低下してしまう。
なお、凍結復元性の観点では、(E)成分以外のハイドロトロープ剤でも効果は得られるが、(E)成分以外のハイドロトロープ剤のみを用いた場合は、凍結復元後のヌルつきの抑制効果は得られない。
【0071】
本発明の液体洗浄剤を食器等の洗浄対象物の洗浄に用いる場合には、液体洗浄剤を原液のままスポンジに含ませて洗浄対象物を洗浄する方法、液体洗浄剤を水に溶解して希薄な洗浄液を調製し、この洗浄液に洗浄対象物を浸しつつスポンジで擦る方法等が挙げられる。
洗浄対象物の例としては、食器、調理器具等の台所用品などが挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。なお、各例で用いた成分の配合量は、特に断りのない限り純分換算値である。
【0073】
「使用原料」
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A−1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)、上記一般式(a1)中、R
11=炭素数12〜14の直鎖アルキル基、p=0、q=1、M=ナトリウム、X=1。下記合成方法により合成されたもの。
・A−2:炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、テイカ株式会社製の商品名「テイカパワーL121」が水酸化ナトリウムで中和されたもの。
・A−3:炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム(SAS;クラリアントジャパン株式会社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」)。
・A−4:α−オレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「リポランLB440」)。
【0074】
(A−1の合成方法)
4Lオートクレーブ中に、原料アルコールとしてP&G社製の商品名「CO1270アルコール(C12/C14=75%/25%、質量比)」400gと、反応用触媒として水酸化カリウム0.8gとをそれぞれ仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、撹拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド91gを導入し、反応させた。得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシドの平均付加モル数は1であった。
次いで、得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシド237gを撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換した後、液体無水硫酸(サルファン)96gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。
次いで、得られたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、A−1を得た。
【0075】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B−1:n−ドデシルジメチルアミンオキシド(AX;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「カデナックスDM12D−W」)。上記一般式(b1)中、R
21=炭素数12の直鎖アルキル基、R
22=メチル基、R
23=メチル基、r=0。
・B−2:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(APAX;クラリアントジャパン株式会社製、商品名「GENAMINOX AP」)。上記一般式(b1)中、R
21=炭素数12の直鎖アルキル基、R
22=メチル基、R
23=メチル基、R
24=プロピレン基、r=1。
・B−3:コカミドプロピルベタイン(CAPB;東邦化学工業株式会社製、商品名「オバゾリンCAB−30」)。
【0076】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C−1:カチオン化セルロース1(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE JR 125」、第4級窒素含有率1.9質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度130mPa・s)。
・C−2:カチオン化セルロース2(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE JR 400」、第4級窒素含有率1.9質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度400mPa・s)。
・C−3:カチオン化セルロース3(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「レオガードGP」、第4級窒素含有率1.8質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度300mPa・s)。
・C−4:カチオン化セルロース4(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE LR 30M」、第4級窒素含有率1.0質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度30000mPa・s)。
なお、25℃における2質量%水溶液の粘度は、上記測定条件に基づき測定した。
【0077】
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・D−1:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル(BASFジャパン株式会社製、商品名「Lutensol XP100」)。上記一般式(d1)中、m=10、x=3、y=5の化合物。
・D−2:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル(BASFジャパン株式会社製、商品名「Lutensol XP90」)。上記一般式(d1)中、m=9、x=3、y=5の化合物。
・D−3:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル(BASFジャパン株式会社製、商品名「Lutensol XP60」)。上記一般式(d1)中、m=6、x=3、y=5の化合物。
【0078】
(E)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・E−1:安息香酸ナトリウム(関東化学株式会社製)。
【0079】
(F)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・F−1:アルキル基の炭素数が12〜14、EO付加モル数が15であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(BRE15;ライオンケミカル株式会社製、商品名「LMAO−90」)。
・F−2:アルキル基の炭素数が10〜14であるアルキルポリグルコシド(APG;花王株式会社製、商品名「マイドール12」)。
【0080】
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
・エタノール:関東化学株式会社製。
・pTS−H:パラトルエンスルホン酸(関東化学株式会社製)。
・MIT:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(ダウ・ケミカル社製、商品名「ネオロン M−10」)。
・BIT:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(アーチケミカルズ社製、商品名「PROXEL XL2」)。
・クエン酸:扶桑化学株式会社製の商品名「クエン酸(無水)」。
【0081】
「実施例1〜30、比較例1〜7」
<液体洗浄剤の調製>
表1〜7に示す配合組成の液体洗浄剤1000gを以下の手順にて調製した。
1Lビーカーに(A)成分と、(E)成分と、エタノールと、pTS−Hと、クエン酸とを入れ、マグネチックスターラー(Fine社製、商品名「F−606N」)で充分に撹拌した。続いて、(B)成分と、(D)成分と、(F)成分と、その他の任意成分とを加え、混合した後、(C)成分を加えてさらに混合した。混合終了後、25℃でのpHが7.8になるように、必要に応じpH調整剤(水酸化ナトリウム、硫酸)を適量添加した後、全体量が100質量%になるように水(蒸留水)を加え、さらによく撹拌し、液体洗浄剤を得た。
液体洗浄剤のpH(25℃)は、液体洗浄剤を25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、商品名「HM−30G」)を用い、ガラス電極を液体洗浄剤に直接に浸漬し、1分間経過後に示すpHを測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
得られた各例の液体洗浄剤について、以下のようにして、水切れ性及びヌルつき性を評価した。結果を表1〜7に示す。
【0082】
別途、各例の液体洗浄剤を100mLのガラス瓶に入れ、−20℃で24時間放置し、凍結させた。凍結を確認した後、20℃にて24時間放置して解凍(復元)した。凍結復元後の液体洗浄剤について、以下のようにして、水切れ性及びヌルつき性を評価した。結果を表1〜7に示す。
【0083】
<評価>
(水切れ性の評価)
汚れが付着していない直径18.5cmの陶器皿を洗浄対象物とした。
11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに、水道水38gと凍結前又は凍結復元後の液体洗浄剤2gをとり、10回手で揉んだ後、洗浄対象物の陶器皿1枚の表面を10回、擦り洗いした。その後、水道水で充分にすすいだ。この陶器皿をほぼ垂直になるように、市販の食器かごに立てかけ、目視により観察しながら陶器皿から水が流れ落ちて陶器皿表面全体の100%の面積に水が付着していない状態になるまでの時間(100%水切れ時間)を計測し、以下の評価基準にて評価した。○、◎、◎◎を合格とする。
◎◎:100%水切れ時間が30秒以下である。
◎:100%水切れ時間が30秒を超え、60秒以下である。
○:100%水切れ時間が60秒を超え、180秒以下である。
×:100%水切れ時間が180秒を超える。
【0084】
(ヌルつき性の評価1:皿と手)
汚れが付着していない直径21cmの陶器皿を洗浄対象物とした。
100mLビーカーに、水道水47.5gと凍結前又は凍結復元後の液体洗浄剤2.5gとを入れ、充分に撹拌した。希釈した液体洗浄剤40gを洗浄対象物の陶器皿に滴下した。この皿を指で10回擦り、ヌルつきの度合いを以下の評価基準にて評価した。なお、本評価法においては専門評価者5名が評価し、各評価者の評価点を平均した。評価点の平均点が3点以上を合格とする。
5点:全くヌルつかない。
4点:ほとんどヌルつかない。
3点:あまりヌルつかない。
2点:ややヌルつく。
1点:ヌルつく。
【0085】
(ヌルつき性の評価2:指と指)
凍結前又は凍結復元後の液体洗浄剤0.1gを右手人差し指にのせ、親指と合わせて10回擦った。次いで、右手を38℃、5Lの水の中に入れて人差し指と親指を擦り合わせ、ヌルつきがなくなるまで擦った回数をカウントした。なお、本評価法においては、専門評価者5名が評価し、各評価者の擦った回数を平均し、以下の評価基準にて評価した。○、◎、◎◎を合格とする。
◎◎:擦った回数の平均値が10回未満。
◎:擦った回数の平均値が10回以上、12回未満。
○:擦った回数の平均値が12回以上、15回未満。
×:擦った回数の平均値が15回以上。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
表1〜7中、「バランス」とは、液体洗浄剤全体で100質量%とするのに必要な水(蒸留水)の配合量(質量%)である。
また、「A/B比」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比である。「D/C比」は、(D)成分/(C)成分で表される質量比である。「E/C比」は、(E)成分/(C)成分で表される質量比である。「B/D比」は、(B)成分/(D)成分で表される質量比である。「a1/a2比」は、(a1)成分/(a2)成分で表される質量比である。
【0094】
表1〜6から明らかなように、各実施例の液体洗浄剤は、水切れ性に優れ、しかも洗浄対象物の洗浄時及びすすぎ時のヌルつきが抑制されていた。
特に、(E)成分を含む実施例1〜8、10〜29の液体洗浄剤は、凍結復元後もヌルつきを抑制できた。なお、実施例30の液体洗浄剤は、ハイドロトロープ剤であるpTS−Hの含有量が他の実施例よりも多いが、凍結復元後のヌルつき抑制は実施例1〜8、19〜29に比べて劣っていた。この結果より、単にハイドロトロープ剤を用いても凍結復元後のヌルつき抑制の効果は得られず、(E)成分を用いることで凍結復元後のヌルつき抑制の効果が得られることが示された。
【0095】
一方、表7から明らかなように、(B)成分を含まない比較例1の液体洗浄剤は、洗浄対象物の洗浄時及びすすぎ時にヌルつきやすかった。
(C)成分を含まない比較例2の液体洗浄剤は、水切れ性に劣っていた。
(D)成分を含まない比較例3の液体洗浄剤は、洗浄対象物の洗浄時及びすすぎ時にヌルつきやすかった。
A/B比が0.4である比較例4の液体洗浄剤は、洗浄対象物の洗浄時にヌルつきやすかった。
A/B比が1.9である比較例5の液体洗浄剤は、洗浄対象物の洗浄時及びすすぎ時にヌルつきやすかった。
D/C比が23.3である比較例6の液体洗浄剤は、洗浄対象物の洗浄時及びすすぎ時にヌルつきやすかった。
D/C比が180である比較例7の液体洗浄剤は、水切れ性に劣っていた。