【文献】
European Journal of Pharmaceutical Sciences, 2012, Vol.47, p.615−623
【文献】
Journal of Pharmaceutical Sciences, 2008, Vol.97 No.7, p.2619−2636
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
レベチラセタム(LEV;(S)−2−(2−オキソピロリジン−1−イル)ブタンアミド;(−)−(S)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミド;特許文献1に記載されている)を含む固体の経口剤形は知られている(FDA電子オレンジブック(Electronic Orange Book))。固体の錠剤は現在、KEPPRA(登録商標)(NDA N021035、UCB,Inc.、1999年11月30日認可;添付文書は非特許文献1で入手できる)の商標の下に入手できる。これらの錠剤は、レベチラセタムを250、500、750、または1000mg、および以下の賦形剤(不活性成分):コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール6000、ポリビニルアルコール、タルク、二酸化チタン、および以下に列挙するさらなる薬剤を含むことが知られている:250mg錠剤はFD&C青色#2/インジゴカルミンアルミニウムレーキを含み;500mg錠剤は酸化鉄イエローを含み;750mg錠剤はFD&C黄色#6/サンセットイエローFCFアルミニウムレーキ、酸化鉄レッド(iron oxide red)を含む。KEPPRA(登録商標)経口液体剤形も入手できる。
【0003】
レベチラセタムは水に極めて溶けやすい(104.0g/100mL)。レベチラセタムはクロロホルム(65.3g/100mL)およびメタノール(53.6g/100mL)に溶けやすく、エタノールに溶け(16.5g/100mL)、アセトニトリルにやや溶けにくく(5.7g/100mL)、n−ヘキサンにほとんど溶けない。
【0004】
LEVは、広範囲の製剤処方において化学的に安定であることが見出されている。市販のLEVの錠剤に含まれる成分には、数ある中で、コーンスターチ、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、酸化鉄、およびポリビニルアルコールが含まれる。しかし、加速(60℃)条件のストレス(酸、アルカリ、水性、酸化的、熱、または光)下では、LEVは実質的な分解を受けることが実証されている(非特許文献2)。Shahは、酸化的分解の速度定数は、酸加水分解、塩基加水分解、水の加水分解、およびUV光分解に対する速度定数よりも小さいと報告している。Prohotskyら(非特許文献3)は、レベチラセタムの経口溶液の安定性に対する試験の結果を開示している。彼らは、溶液は最高6か月間安定であると結論付けている。
【0005】
Ensomら(非特許文献4)は、ORA−SWEETおよびORA−PLUSにおける、レベチラセタムを即時調合した溶液の安定性に対する試験の結果を開示している。彼らは、少なくとも91日の期間にわたって全ての試料が変化しなかったことを報告している。
【0006】
LEVは、てんかんを有する成人および4歳以上の小児における発作の部分的な発症の補助的処置として、若年性ミオクローヌスてんかんを有する成人および12歳以上の青年におけるミオクローヌス発作の処置における補助的療法として、ならびに特発性全般てん
かんを有する成人および6歳以上の小児における原発性全般強直−間代発作の処置における補助的療法として、てんかんの処置に適応がある。LEVはまた、軽度認知障害(MCI)、加齢に関連する認知低下(Age−related Cognitive Decline)(ARCD)、または加齢による記憶障害(Age−Associated Memory Impairment)(AAMI)を有する対象、または危険性のある対象を含めた、加齢に関連する認知障害を表す対象、または危険性のある対象における認知機能の改善にも示唆されている。
【0007】
LEVは、てんかんおよび発作の処置に、1錠あたり250〜1000mgなどの高レベルを投薬する。1000mg/日の1日量で処置を開始し、1日2回の投薬(500mgBID)を与える。推奨される最大1日量3000mgまで、さらなる投薬の増大を与えてもよい(さらなる2週ごとに1000mg/日)。6か月以上の期間の非盲検試験では、3000mg/日を超える投与量が用いられている。しかし、特に、既知の剤形には大量の賦形剤が含まれているため、若年および老齢の患者は、このような高投与量を含む固体の経口剤形を嚥下するのに困難を経験するのが典型的である。嚥下における困難は、患者のコンプライアンスの低下をまねく。この問題を解決しようと、経口液体製剤および注射用製剤が開発されている。しかし、このような剤形には、安定性、汚染、および不正確な投薬の問題が未だ付きまとっている。
【0008】
1錠あたりに高投与量のLEVが必要とされることを考慮すると、貯蔵および取扱いに適する十分な硬さおよび摩損性を有する、急速分散性の固体の経口剤形を調合するのは難しい。このような問題を解決する試みが開示されている。Karavasらへの特許文献2は、リン酸二カルシウムを含み、約30分で崩壊する錠剤を開示している。UCB Pharma,S.A.への特許文献3は、約15〜45分で崩壊する錠剤を開示している。Genpharm Inc.への特許文献4は、顆粒化および流動床乾燥によって作製され、約3分から8分で崩壊する錠剤を開示している。このような錠剤は、口内分散性の剤形のU.S.F.D.A.(米国食品医薬品局)の要件を満たしていない。
【0009】
口内分散性の剤形は、口中で、最小量の唾液または水で分散または崩壊する。このような剤形により、嚥下の容易さ、投薬の正確さ、および急速な治療作用がもたらされる。Fuらへの特許文献5は、薬物、多孔性プラスチック物質、水浸透増強剤、結合剤、および薬物を含む顆粒を含む剤形を開示している。剤形を作製するためには、顆粒を圧縮しなければならない。Gregoryらへの特許文献6および特許文献7は、凍結乾燥の剤形を開示している。Wehlingらへの特許文献8は、柔軟圧縮した(soft−compress)口内分散性の剤形を開示している。発砲性の剤形、および不溶性微粒子の急速放出コーティングが、特許文献9および特許文献10に記載されている。凍結乾燥した泡沫および液体は、特許文献11および特許文献12に記載されている。メルトスパン(melt−spun)剤形は、特許文献13、特許文献14、および特許文献15に記載されている。特許文献16は、水中に分散させるとサイズ710μm未満の粒子の形態を有する即時放出の分散性および口内分散性の固体医薬組成物を開示しており、製剤は湿式造粒法によって作製されるが;崩壊時間は53秒から60秒の範囲である。
【0010】
特許文献17、特許文献18、および特許文献19は、3次元印刷された急速に分散する剤形を開示している。それでも、LEVを含む、口内分散性の3次元印刷された剤形は示唆されていない。実質的な量のLEVを含む3次元印刷された剤形を、15秒以下、10秒以下、または5秒以下に最小量の水性液体中に分散し、同時に取扱いおよび貯蔵に耐える十分な硬さを有するように作製することができるか否かを事前に予想することはできない。
【0011】
上記の開示のいずれも、レベチラセタムを含む、急速に分散する固体の経口剤形を開示
するものではない。Mahmutへの特許文献20は、LEVを含む顆粒から作製した、圧縮した発泡錠を開示しているが;錠剤は約5分以下で溶解する。Beijing Yiling Bioengineering Co.Ltd.への特許文献21は、LEV、PEG600、マルトデキストリン、および加水分解したゼラチンを含む、経口で崩壊する凍結乾燥した剤形を開示している。しかし、凍結乾燥した剤形は硬くないため、物理的に非常に不安定であり、極めて高い摩損性を表す。
【0012】
3次元印刷された物品の製造におけるグリセリンの使用は、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、および特許文献32に開示されている。3次元印刷された急速分散性の剤形の製造におけるグリセリンの使用を以前に開示したものはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
貯蔵および取扱いに耐える低い摩損性および十分な硬さを表し、同時に極めて急速な崩壊速度を表す、レベチラセタムを含む急速に分散する口内分散性の固体の経口剤形を提供するのは有益であるが;LEVを含むこのような適切な剤形は当技術分野において開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、当技術分野に固有な不都合のいくつかまたは全てを克服しようと努めるものである。本発明は、本明細書に記載される主要な、または唯一の有効成分としてレベチラセタムを含む口内分散性の固体剤形を提供するものであり、剤形は、約10ml以下の体積の水または唾液中に約15秒以下で分散する結合型マトリクスを含む。マトリクスは、マトリクスを投与した対象の口中で分散し、よって嚥下および投与を促進する。剤形が5ml以下の体積の水または唾液中に20秒以下で分散する結合型マトリクスを含む、本明細書に記載する、主要な、または唯一の有効成分としてレベチラセタムを含む口内分散性の固体剤形を提供するのは、当技術分野における実質的な改善である。マトリクスは、投与した対象の口内で非常に急速に分散し、よって嚥下および投与を促進する。
【0017】
剤形は自己保存性であり、保存剤の添加を必要としないが、それでも所望により保存剤が含まれ得る。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、保存剤フリーの急速口内分散性のLEVの投与量を提供する。
【0018】
本発明者らは、3次元印刷による調合の間にレベチラセタムが酸化的分解を受けることを発見したが;酸触媒もしくは塩基触媒される加水分解、または光分解、または熱分解に対応する分解生成物は観察されなかった。(Shah、上述)は、LEVの酸化的分解は、加速条件下の加水分解または光分解よりずっと遅い速度で生じることを教示しているため、これらの結果は驚くべきものである。本発明者らは、抗酸化剤を、本発明の口内分散性の剤形中に含めると、3DPの口内分散性の剤形の製造および貯蔵の間、LEVの酸化的分解に対する保護がもたらされることを発見した。本発明者らは、LEVを含む3DPの口内分散性の剤形を調製するのに成功し、剤形中のあらゆる個々の酸化的分解物の含量は、剤形中のLEVの重量ベースで0.1重量%未満であり、剤形は、LEV、抗酸化剤、および不純物として過酸化物を含む水溶性の結合剤を含む。あらゆる個々の酸化的分解物の含量は、21℃、RH75%で6か月間貯蔵した後でも0.1重量%または0.1重量%未満のままである。
【0019】
したがって、本発明のいくつかの実施形態は、安定な、急速口内分散性の、3次元印刷された、LEV、抗酸化剤、崩壊剤、および結合剤を含む固体の多孔性マトリクスを提供し、マトリクスは、21℃、RH75%で6か月間貯蔵した場合、LEVの酸化的分解に対して安定である。本発明はまた、安定な、急速口内分散性の、3次元印刷された、LEV、抗酸化剤、崩壊剤、および結合剤を含む固体の多孔性マトリクスを提供し、マトリクスは、21℃、RH75%で6か月間貯蔵した後、LEVの酸化的分解物を0.1%以下含む。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、ブチルヒドロキシアニソール(BHA
)、ブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチオニン、ビタミンE、またはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの態様において、本発明は、急速分散性の、すなわち口内分散性の剤形、および、レベチラセタムに治療的に応答性である疾患、状態、または障害を処置するための剤形の投与を提供する。急速分散性の固体剤形は、LEV、抗酸化剤、およびバルク材料を含む3次元印刷されたマトリクスを含む。マトリクスは、印刷液を粉末に沈着させることによって形成され、それにより粉末の粒子は、LEVおよび/または結合剤によって結合されるようになる。マトリクスは多孔性であり、規定された、全体のかさ密度、水性液体中の崩壊(分散)時間、水性液体中の溶解時間、および含水量を有する。マトリクスは、改善された化学的安定性、十分な硬さ、低摩損性、および小体積の水性液体中の極めて急速な分散時間の釣合いを提供する。
【0021】
3DPの口内分散性の剤形中の、多くの異なるタイプの水溶性の賦形剤の含量を増大することで、一般的に、硬さの増大および分散時間の延長がもたらされる。例えば、水溶性の結合剤およびLEVの含量を増大することで、硬さの増大および分散時間の延長がもたらされる。本発明者らは、3DP剤形中のグリセリンの含量を増大すると、硬さは増大するが、分散時間が予想外に短縮することを発見した。
【0022】
したがって、本発明の別の一態様は、グリセリン、および急速分散性の剤形を製造するための少なくとも1つの薬学的に許容される溶媒を含む印刷液の使用を提供する。本発明はまた、グリセリン含有の印刷液を含む3次元印刷系を提供し、口内分散性の剤形を3次元印刷する方法を提供し、方法は:a)薬物含有粉末の増加性の層を表面上に沈着させる工程と;b)十分量の印刷液を増加性の層上に沈着させて、粉末における粒子を結合させる工程と(印刷液はグリセリンおよび少なくとも1つの薬学的に許容される溶媒を含む);c)a)およびb)を繰り返し、それにより急速な口内分散性を形成する工程とを含む。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、以下のものを含む:a)薬物は水溶性薬物である;b)粉末および/もしくは印刷液は水溶性の結合剤を含む;c)印刷液中のグリセリンの含量は>0重量%から20重量%、もしくは約0.05重量%から約10重量%、もしくは約0.05重量%から約5重量%の範囲である;ならびに/またはd)剤形中のグリセリンの含量は、剤形の最終の重量ベースで約0.05〜3重量%、もしくは約0.1重量%〜2重量%、もしくは0.5重量%〜1.0重量%の範囲である。
【0024】
本発明のいくつかの態様は、LEVおよびバルク材料の結合型粒子を含む3次元印刷された多孔性マトリクスを含む、口内分散性の固体剤形を提供し、粒子は、LEVおよび/または結合剤により結合されている。本発明はまた、LEV、崩壊剤、結合剤、および抗酸化剤の結合型粒子を含む3次元印刷されたマトリクスを含む、口内分散性の固体剤形を提供し、粒子は、LEVおよび/または結合剤により結合されている。
【0025】
いくつかの実施形態において、LEVは結晶形態で存在する。LEVの全ての多形が企図される。LEVまたはあらゆる他の材料の結晶化度は、非晶質性の材料の存在を決定するための示差走査熱量測定(DSC)によって決定することができる。いくつかの実施形態において、LEVは、バルク粉末中、またはマトリクス中に非晶質形態で存在する。
【0026】
本発明の実施形態は、以下のものを含む:a)剤形は圧縮されていない;b)マトリクスは圧縮されておらず;c)剤形の外部表面の硬さは、剤形の内部ポーション(1つもしくはそれ以上の内部の増加性の印刷された層)の硬さを超え、すなわち、剤形の外部は内部よりも硬く;d)水性液体中に配置した場合、LEVの溶解時間はマトリクスの分散時
間よりも遅く;e)マトリクスは、小体積の水性液体中に配置した場合、約10秒以下で分散し;f)水性液体中に配置した場合、LEVの少なくとも75%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%は約2分以下で溶解し;g)LEVは、水和物、半水化物、結晶、非結晶、無水物、もしくはこれらの組合せからなる群から選択される形態で存在し;h)剤形は、120℃での乾燥時の減少によって決定して10重量%以下および0.1重量%以上の水分を含み;i)マトリクスの硬さは実質的に均一であり;j)剤形は1つもしくはそれ以上の他の医薬を含み;および/またはk)これらの組合せ。
【0027】
本発明はまた、結合型粒子の3次元印刷された口内分散性のマトリクスを含む、3次元印刷された口内分散性の剤形を提供し、マトリクスは、LEV、崩壊剤、1つまたはそれ以上の結合剤、1つまたはそれ以上の界面活性剤、1つまたはそれ以上の抗酸化剤、グリセリン、および場合により1つまたはそれ以上の以下:1つまたはそれ以上の流動促進剤(フリーフロー添加剤)、1つまたはそれ以上の香味剤、1つまたはそれ以上の保存剤を含み、マトリクスは、結合剤およびLEVにより結合されている粒子を含み;マトリクスは多孔性であり、非圧縮であり;マトリクスは10mlの体積の水性液体中に15秒未満で分散し;マトリクス中のLEVの含量は、マトリクスの合計重量ベースで50〜80重量%の範囲である。マトリクスは、固定された、水性液体中に配置しない場合は強固な3次元構造を維持するが、小体積の水性液体中に配置した場合は短時間で分散する(本明細書に規定する通り)。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態は、以下のものを含む:a)少なくとも1つの界面活性剤は、剤形の最終的な重量ベースで、約0.05から約1重量%、約0.1から約0.8重量%、および約0.2から約0.5重量%の範囲の量で存在し;b)少なくとも1つの抗酸化剤は、剤形の最終的な重量ベースで、約0.005から約5.0%、約0.01から約1.0%、および約0.08から約0.8%の範囲の量で存在し;c)少なくとも1つの結合剤は、剤形の最終的な重量ベースで、約0.5から約20%、約5から約15%、および約7から約13%の範囲の量で存在し;d)少なくとも1つの崩壊剤は、剤形の最終的な重量ベースで、約3から約35%、約10から約30%、および約20から約26%の範囲の量で存在し;ならびに/またはe)少なくとも1つの流動促進剤は、剤形の最終的な重量ベースで、約0.1から約2.0重量%、約0.25から約1.5重量%、および約0.5から約1.0重量%の範囲の量で存在する。
【0029】
LEV粒子は、約50から約400ミクロン、約50から約300ミクロン、約50から約250ミクロン、約60から約250ミクロン、約60から約100ミクロン、または約75から約250ミクロンの範囲の、粒子径の平均(average)、平均値(mean)、または中央値を有する。粒子サイズはVMDとして表現することができる。いくつかの実施形態において、粒子サイズの範囲は:a)Dv10は約20〜60ミクロンであり、Dv50は約50から200ミクロンであり、Dv90は約100〜500ミクロンである;b)Dv10は約50〜60ミクロンであり、Dv50は約150から200ミクロンであり、Dv90は約350〜510ミクロンである;c)Dv10は約20〜30ミクロンであり、Dv50は約50から60ミクロンであり、Dv90は約100〜120ミクロンである;d)Dv10は約30〜40ミクロンであり、Dv50は約70〜80ミクロンであり、Dv90は約160〜190ミクロンである;またはe)Dv10は約40〜50ミクロンであり、Dv50は約125から150ミクロンであり、Dv90は約300〜350ミクロンであると規定される。いくつかの実施形態において、VMDは、約60から約240ミクロン、50〜70ミクロン、80〜100ミクロン、150から175ミクロン、200から250ミクロンの範囲である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態は、マトリクスが、LEVを約250から約1000mg、約250mg、約500mg、約750mg、約1000mg含むものを含む。
【0031】
マトリクスは、少量の水性液体中で速やかに分散する(崩壊する)。本発明のいくつかの実施形態は、少量の水性液体中に配置した場合、マトリクスが約30秒以下、約20秒以下、約15秒以下、約10秒以下、または約5秒以下で分散するものを含む。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態は、以下のものを含む:a)マトリクスの硬さは約1から約10kp、約2から約6kp、もしくは約3から約9kpの範囲であり;b)マトリクスは、水または唾液15ml中に配置した場合10秒以下で分散し;c)結合剤は、マトリクスを形成するのに用いられる印刷液によってマトリクス中に導入され;d)結合剤は、マトリクスを形成するのに用いられるバルク粉末によってマトリクス中に導入され;e)マトリクスは、LEV約250mgから約1000mgを含み;f)マトリクスは、印刷された増加性の層を15から50もしくは25から50含み;g)増加性の層の厚さ(高さ)は0.008から0.012インチの範囲であり;ならびに/またはh)マトリクスは多孔性であり、非圧縮である。
【0033】
本発明は、LEVを含む、3次元印刷された口内分散性の剤形を調製する方法も提供する。方法は、a)LEV、崩壊剤、結合剤、抗酸化剤、任意選択による香味剤、任意選択による甘味剤、および任意選択による流動促進剤を含むバルク粉末の増加性の層を提供する工程と;b)印刷液が、水、アルコール、結合剤、抗酸化剤、グリセリン、界面活性剤(乳化剤)、任意選択による甘味剤、任意選択による保存剤を含む、予め決定された飽和レベルに従って、印刷液をバルク粉末の層に適用して増加性の印刷された層を形成させる工程と;c)a)およびb)を少なくとも2回繰り返し、それによって少なくとも3層の積み重なった増加性の印刷された層を含む、3次元印刷された口内分散性の剤形を形成させる工程とを含む。抗酸化剤は、結合性の液体(binding fluid)、粉末、または両方に含まれ得る。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、以下のものを含む:a)プロセスは、3DPのプロセス間に浮き彫り(隆起)もしくは沈み彫り(くぼみ)形態の剤形の表面上に証印(複数もしくは単数)を形成することをさらに含み;b)プロセスは、水およびアルコールを剤形から除去して、含水量を本明細書に記載する範囲内に低減することをさらに含み;c)プロセスは、その上に印刷されていないバルク粉末から剤形を分離することをさらに含み;d)印刷液のより高い飽和レベルを、剤形の残部に対するよりも、剤形の上部および下部の増加性の層に用いて、完成した剤形における、上部および下部の増加性の表面に硬さの増大、ならびに間の増加性の層に硬さの低減を提供し;e)印刷液のより高い飽和レベルを、剤形の残部に対するよりも、剤形の上部および下部の増加性の層に、ならびに中間の増加性の層の周囲に用いて、完成した剤形における上部および上部の増加性の表面に、および中間の増加性の層の周囲に硬さの増大を提供し、かつ、間の増加性の層に硬さの低減を提供し;f)プロセスは、剤形を加熱して、その中の印刷液を除去し、印刷液の量を低減することをさらに含み、ならびに/またはg)プロセスは、その成分を混合することによりバルク粉末を調製して混合物を形成させ、次いでそれを篩にかけることをさらに含む。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態は、増加性の印刷された層を調製するのに用いる印刷液の飽和レベルが40%から120%の範囲であるものを含む。
【0036】
LEVに治療的に応答性である疾患または障害を処置する方法を提供する。方法は、本発明の剤形1、2、または3錠を、それを必要とする対象に、数日、数週、または数か月続く処置期間にわたって毎日投与し、それにより疾患または障害の1つまたはそれ以上の症状を低減または除去することを含む。いくつかの実施形態において、約250mgから約1000mgの投与量を含む本明細書に記載する3DP剤形を、処置期間の間1日2回
投与する。本発明はまた、本明細書に記載するLEV含有の3次元印刷された口内分散性の剤形を、それを必要とする対象に経口投与することを含む、てんかん、またはLEVに治療的に応答性である他の疾患、障害、または状態を処置する方法を提供する。
【0037】
口内分散性の剤形を調製する方法も提供する。方法は、粉末の増加性の層を形成し、印刷液を各増加性の層上に沈着させて、崩壊剤、結合剤、界面活性剤、抗酸化剤、流動促進剤、およびLEVを、急速口内分散性の非圧縮の多孔性マトリクスに結合させることにより、本明細書に記載する、非圧縮の多孔性マトリクスを形成することを含む。
【0038】
本発明は、本明細書に開示する本発明の態様、実施形態、および下位の実施形態(sub−embodiment)の全ての組合せを含む。
【0039】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の例示的な実施形態を記載するものである。当業者であれば、これらの図面および本明細書の記載に鑑みて、過度の実験なしで本発明を実践することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書で用いられる通り、別段の特定がなければ、レベチラセタム(LEV)の語は、非誘導体型(underivatized form)の((S)−2−(2−オキソピロリジン−1−イル)ブタンアミド;(−)−(S)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミド;U.S.4,943,639に記載されている)、または誘導体型の薬物を意味する。レベチラセタムは、TEVA(Jerusalem、イスラエル)、およびHetero Labs(Hyderabad、インド)、Esteve(Tarragona、スペイン)、Aurobindo(Hyderabad、インド)、Matrix Labs(Karachi、パキスタン)、Srini(Hyderabad、インド)から入手できる。LEVは、結晶または非晶質型で存在し得る。結晶LEVの全ての多形およびその混合物を用いることができる。
【0042】
本発明の剤形は、その固体マトリクスの即時の、および非常に急速な崩壊/分散を受け、LEV、およびマトリクス中の賦形剤は、小体積の水性液体(例えば、水、唾液、ジュース、ミルク、飲料、体液、炭酸飲料、またはこれらの組合せ)中に配置した場合でも急速な分散を受ける。分散(崩壊と交換可能に用いる)は、必ずではないが典型的に、溶解と重なる。マトリクスは、組成物を少なくとも小体積の水性液体と接触させると所望の期間内に分散される3次元形状を含む。
【0043】
本発明は、対象に投与するのに適する医薬組成物を提供し、組成物は、急速に分散する非圧縮の固体マトリクス中に含まれるLEVを含み、マトリクスは、固定された3次元の形状を有し、バルク材料および結合剤を含み、バルク材料は、粒子形態の薬学的に許容される化合物を含み、結合剤は、バルク材料の粒子に接着し、粒子と一緒に結合する能力、水性液体中に配置しない場合はマトリクスの3次元の形状を維持する能力、および組成物が貯蔵および取扱いに十分な硬さおよび摩損性の特徴を表すようにする能力を有する、薬学的に許容される、実質的に水溶性の物質を含む。いくつかの実施形態において、マトリ
クスは、LEV、結合剤、崩壊剤、グリセリン、および界面活性剤を含む。
【0044】
マトリクスを含む、3次元印刷された(3DP)剤形を、実施例1に従って調製した。得られた3DP剤形を評価して、硬さ、分散時間、および摩損性に対して評価して(実施例3)、薬物含有粒子のどれが、非常に急速な分散時間、十分な硬さ、および最小の摩損性を有する適切な3DPの口内分散性の剤形を提供するかを決定した。
【0045】
印刷液、バルク粉末、薬物含有粒子中に界面活性剤を含めることにより、3DP剤形を最小量の水中に配置した場合に急速な分散を確実にする上で助けとなることが突き止められている。界面活性剤は、粒子の湿潤を増強するように働く。界面活性剤は、界面活性剤を除いた別の3DP剤形に比べて、分散を増強するのに十分な量だけが存在する必要がある。しかし、非常に大量の界面活性剤が存在すると、剤形の食感、性能、および/または物理的性質に負の影響を及ぼす。界面活性剤は、バルク粉末および/または印刷液中に含まれ得る。いくつかの実施形態において、印刷液中に存在する界面活性剤の量は、印刷液の重量ベースで、約0.1から約4重量%、約1から約3重量%、または約1.5から約2.5重量%の範囲である。
【0046】
急速分散性の剤形は、小体積の水性液体、例えば、唾液、胃液、および/または一口の水中に配置した場合、約20秒以下、約15秒以下、約10秒以下、約5秒以下、約4秒以下、または約3.5秒以下で分散(崩壊)し得る。いくつかの実施形態において、分散(崩壊)時間は、水性液体20ml以下、15ml以下、10ml以下、5ml以下、3ml以下、および少なくとも1mlの小体積中で測定する。いくつかの実施形態において、崩壊時間はUSP<701>に従って測定する。
【0047】
小体積の水性液体は、体積50ml未満、40ml未満、30ml未満、20ml未満、10ml未満、5ml未満、2.5ml未満、または1ml未満などの一口であってよい。小体積は、少なくとも0.1ml、少なくとも0.25ml、少なくとも0.5ml、少なくとも0.75ml、少なくとも1ml、少なくとも1.5ml、または少なくとも2mlであってよい。これらの体積の可能な組合せ全てが企図される。小体積に適する範囲には、0.1から50ml、0.1から40ml、0.1から30ml、0.1から20ml、0.1から10ml、0.2から10ml、0.3から10ml、0.5から10ml、1から10ml、1から7.5ml、1から5ml、0.5から3ml、または他のこのような範囲が含まれる。一口は、水(液体)約2から約30ml、約10から約15ml(大さじ1杯)、または約13mlであるのが好ましい。
【0048】
いくつかの実施形態において、剤形は、120℃の乾燥減量(LOD)によって決定して、10重量%以下、7.5重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下、2重量%以下、または1.5重量%以下の水分を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、120℃の乾燥減量によって決定して、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.75重量%、少なくとも1重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、または少なくとも5重量%の水分を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、0.1から10重量%、0.2から7.5重量%、0.5から5重量%、0.5から4重量%、または1から3重量%の水分を含む。これら様々な限界の組合せが全て本明細書の範囲内である。
【0049】
剤形は、優れた全体の硬さおよび摩損性の特徴を有する、急速に分散する剤形である。マトリクスの硬さは、マトリクスにわたって同じ(均一)であってもよく、または変化してもよい。いくつかの実施形態において、剤形(またはマトリクス)の外部表面の硬さは、剤形(またはマトリクス)の内部ポーションの硬さを超え、すなわち、剤形の外部は内
部よりも硬い。外部の硬さは、内部の硬さより、少なくとも1.05倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、または少なくとも10倍高くてよい。いくつかの実施形態において、外部表面の上部および下部は、剤形の内部ポーション(1つまたはそれ以上の内部層)よりも硬い。マトリクスの均一な硬さおよび変動性の硬さを実現する方法を、本明細書において論じる。いくつかの実施形態において、剤形は、少なくとも6か月または少なくとも1年の有効期間を有する。
【0050】
いくつかの実施形態において、マトリクスの全体の硬さ(USP<127>による錠剤破壊力アッセイ(tablet breaking force assay)によって決定して)は、1kpから約20kp、約1kpから約10kp、約1kpから約7kp、約3kpから約9kp、約1から約3kp、約4.5から約6kp、約2.5から約6.5kp、約3から約6kp、または約1kpから約5kpの範囲である。いくつかの実施形態において、全体の硬さは、少なくとも1kp、少なくとも2kp、または少なくとも3kpである。いくつかの実施形態において、全体の硬さは、わずか10kp、わずか8kp、またはわずか6kpである。
【0051】
摩損性の語は、機械的侵襲時に、マトリクスが外縁および表面から材料を失う傾向を意味する。硬さが増大すると摩損性は低下する。いくつかの実施形態において、剤形は、USP<1216>に従って、および以下にさらに記載する通りに決定して、約25%未満、好ましくは約10%未満の摩損性を有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、マトリクスの多孔率は、剤形の体積の、約10%から約90%、または約30%から約70%の範囲である。
【0053】
いくつかの実施形態において、マトリクスのかさ密度は(測定および/または計算によって決定して)、150(mg/mL)から約1300(mg/mL)、または約400(mg/mL)から約1000(mg/mL)の範囲である。
【0054】
LEVの溶解時間は、水性液体中に配置した場合、剤形のマトリクスの分散時間より遅い。本発明のいくつかの実施形態は、水性の環境中に配置した場合、剤形中に存在するLEVの75重量%以上(または少なくとも75重量%)が20分以下、10分以下、5分以下、4分以下、3分以下、2分以下、または1分以下に溶解するものを含む。本発明の他の実施形態は、水性の環境中または水中に配置した場合、剤形中に存在するLEVの95重量%以上(または少なくとも95重量%)が20分以下、10分以下、5分以下、4分以下、3分以下、2分以下、または1分以下に溶解するものを含む。いくつかの実施形態において、上記の溶解時間は、pH1.2または4.5または6.8により特徴付けられる水性環境中、50RPMまたは75RPMまたは100RPMおよび体積900mLまたは950mLまたは1000mLのUSPパドル装置内で試験して実現することができる。
【0055】
本発明の急速分散性の剤形は、3次元印刷(3DP)のプロセスによって作製される。物品の3次元印刷に適する装置のアセンブリは市販されており、またはすでに用いられている:Massachusetts Institute of Technology
Three−Dimensional Printing Laboratory(Cambridge、MA)、Z Corporation’s 3DPおよびHD3DP(商標)システム(Burlington、MA)、The Ex One Company、L.L.C.(Irwin、PA)、Soligen(Northridge、CA)、Specific Surface Corporation(Franklin
、MA)、TDK Corporation(千葉県、日本)、Therics L.L.C.(Akron、OH、現在Integra Lifesciencesの一部)、Phoenix Analysis&Design Technologies(Tempe、AZ)、Stratasys、Inc.’s Dimension(商標)システム(Eden Prairie、MN)、Objet Geometries(Billerica、MAまたはRehovot、Israel)、Xpress3D(Minneapolis、MN)、および3D Systems’ Invision(商標)システム(Valencia、CA)。他の適切な3DPシステムは、U.S.第20080281019号、第20080277823号、第20080275181号、第20080269940号、第20080269939号、第20080259434号、第20080241404号、第20080231645号、第20080229961号、第20080211132号、第20080192074号、第20080180509号、第20080138515号、第20080124464号、第20080121172号、第20080121130号、第20080118655号、第20080110395号、第20080105144号、第20080068416号、第20080062214号、第20080042321号、第20070289705号、第20070259010号、第20070252871号、第20070195150号、第20070188549号、第20070187508号、第20070182799号、第20070182782号、第20060268057号、第20060268044号、第20060230970号、第20060141145号、第20060127153号、第20060111807号、第20060110443号、第20060099287号、第20060077241号、第20060035034号、第20060030964号、第20050247216号、第20050204939号、第20050179721号、第20050104241号、第20050069784号、第20050061241号、第20050059757号、第20040265413号、第20040262797号、第20040252174号、第20040243133号、第20040225398号、第20040183796号、第20040145781号、第20040145628号、第20040143359号、第20040141043号、第20040141030号、第20040141025号、第20040141024号、第20040118309号、第20040112523号、第20040012112号、第20040005360号、第20040005182号、第20040004653号、第20040004303号、第20040003741号、第20040003738号、第20030198677号、第20030143268号、第20020125592号、第20020114652号、第20020079601号、第20020064745号、第20020033548号、第20020015728号、第20010028471号、および第20010017085号;米国特許第5,490,962号、第5,204,055号、第5,121,329号、第5,127,037号、第5,252,264号、第5,340,656号、第5,387,380号、第5,490,882号、第5,518,680号、第5,717,599号、第5,851,465号、第5,869,170号、第5,879,489号、第5,934,343号、第5,940,674号、第6,007,318号、第6,146,567号、第6,165,406号、第6,193,923号、第6,200,508号、第6,213,168号、第6,336,480号、第6,363,606号、第6,375,874号、第6,508,971号、第6,530,958号、第6,547,994号、第6,596,224号、第6,772,026号、第6,850,334号、第6,905,645号、第6,945,638号、第6,989,115号、第7,220,380号、第7,291,002号、第7,365,129号、第7,435,368号、第7,455,804号、第7,828,022号、第8,017,055号;PCT国際公開第WO00/26026号、第WO98/043762号、第WO95/034468号、第WO95/011007号;および、その構築のため円柱状の(
放射状または対極の)座標に基づく(coordinate−based)システムを使用する欧州特許第1,631,440号に開示されている。これら参考の各々の開示全体が本明細書に組み入れられる。
【0056】
本明細書に記載する3DPプロセスは、粉末の層を形成する粉末成層系、および印刷液を粉末の層に予め決定したパターンに従って適用し、それにより増加性に印刷された層を形成する印刷系を必要とする。印刷液は、粉末の結合型粒子、すなわち1つもしくはそれ以上の製薬上の賦形剤および/または1つもしくはそれ以上の有効成分によって相互に接着している粒子を形成するように働く。増加性に印刷された層は、本発明の剤形を垂直に構築するように別のものの頂部上に形成されたものであり、それにより複数の増加性に印刷された層を含む剤形を形成する。粉末を拡散し、液滴を堆積させるプロセスを、剤形に所望の数の層が完了するまで繰り返す。ある層から隣接する他の層に印刷液がにじみ出て、その結果1つもしくはそれ以上の賦形剤および/または1つもしくはそれ以上の有効成分が両方の隣接する層に接着するため、層は相互に接着する。最初の3次元構造が完了した後、残りの印刷液を、乾燥により剤形から除去し、または剤形において減少させる。乾燥プロセスの間に溶媒を蒸発させると、凝固した結合剤により結合されているバルク材料の粒子および/または1つもしくはそれ以上の有効成分および/またはあらゆる任意選択の薬学的に許容される賦形剤を含めた他の成分を含む3次元構造を有するマトリクスが残る。
【0057】
3次元印刷のプロセスは通常、周囲温度で行う。プロセスは、生物学的に適合性の有機の水性溶媒を含めた、様々な印刷液を利用することができる。プロセスは相加的であり、それにより顕微鏡的な特徴が層ごとに組み入れられ、広範囲の可能な構造をミリメートル以下のスケールで正確に構築できるようになる。顕微鏡的な特徴および巨視的な形状の両方を同時に制御するための3次元印刷を用いて、本発明の独特な薬物送達系を得る。
【0058】
本発明の剤形の3次元印刷に特に適する印刷アセンブリは、その全文が参照によって本明細書に組み入れられる、2012年9月5日出願の米国出願第61/696,839号に記載されている。アセンブリには、構築モジュールの孔内に配列される、増加性の高さ調節可能なプラットホームを各々が有する構築モジュール、粉末成層系、印刷系、印刷液除去系、および剤形取扱い系が含まれる。
【0059】
一般に、急速に分散する剤形のマトリクスを調製するのに用いる3次元印刷プロセスでは、少なくとも2つの構成成分が用いられる。第1の構成成分は、増加性の粉末層に含まれるべきバルク粉末材料である。第2の構成成分は、印刷ヘッドにより粉末層上に分散される印刷液(場合により、印刷液は結合剤も含むことができる)である。いくつかの実施形態において、バルク粉末材料は、薬学的に許容される賦形剤、LEV、崩壊剤、結合剤、および界面活性剤の1つまたはそれ以上からなる。
【0060】
マトリクスの少なくとも1つの構成成分は、完成した3次元マトリクス中でバルク粉末の粒子を一緒に結合させる「接着剤」として働かなければならない。接着剤は、バルク粉末の粒子間に接着を生成する。剤形が、固定された形状(形状寸法)を維持し、取扱および貯蔵を可能にするのに十分な硬さおよび摩損性の特徴を維持するのを可能にするのは、この接着である。粒子の結合の強度および程度は、粉末層中、または溶媒中に溶解しているいずれかの接着剤の比率に依存し、堆積した液体の量の関数である。接着の語は、バルク材料の粒子の、結合剤または有効成分の粒子など、相互のまたは存在する別の材料の粒子に対する、接続(bonding)または結合を意味する。接着剤がマトリクスに含まれ得る様々な方法が存在する。本発明は、これらの様々な方法の1つまたは2つ以上の組合せを企図するものである。
【0061】
マトリクスを調製する方法のいくつかの実施形態において、接着剤は、バルク粉末中、印刷液中、または両方に存在する。印刷液中の接着剤は、バルク粉末中の接着剤と同じでも、または異なっていてもよい。
【0062】
接着剤は、結合剤、LEV、別の製薬上の賦形剤、またはこれらの組合せであってよい。いくつかの実施形態において、接着剤は、a)少なくともLEV;b)少なくとも結合剤;またはc)結合剤およびLEVである。いくつかの実施形態において、2つ以上の接着剤がマトリクス中に存在する。印刷液中に接着剤として「結合剤」を含めることにより、結合溶液(binding solution)における結合剤を除いてそれ以外は同じウエハーの内部の微細構造と異なる、ウエハーの内部的な微細構造、特に孔サイズがもたらされる。印刷時に溶媒が蒸発すると、結合剤は固体残留物として残り、これが粉末粒子(例えば、崩壊剤または薬物の粒子)間のボイドスペースを占める。得られる構造は、印刷液中に結合剤なしで製作された錠剤に比べて密度が高くなる。
【0063】
本発明は、バルク粉末、結合剤、およびLEVを含む、3次元印刷された固体の多孔性マトリクスを含む、急速に分散する固体剤形を調製するためのプロセスを提供し、プロセスは、(a)1つまたはそれ以上の崩壊剤、1つまたはそれ以上の結合剤、1つまたはそれ以上の流動促進剤、およびLEVの粉末化した混合物を、あらゆる任意選択の薬学的に許容される賦形剤と一緒に提供する工程と;(b)粉末化した混合物の増加性の層を形成させる工程と;(c)印刷液の増加性の層の液滴を、予め決定されたパターンに従って適用して、印刷された増加性の層を形成させる工程と;(d)(b)および(c)を予め決定された回数繰り返し、それにより3次元印刷された湿性のマトリクスを提供する工程と;(e)湿性のマトリクスから印刷液を除去し、それにより本明細書に特定する範囲内の、組成、含水量、多孔率、全体のかさ密度、硬さ、マトリクス分散時間、in vitroの薬物溶解時間、in vitroの分散挙動、in vivoの薬物動態学的挙動、構造、増加性の層の厚さ、薬物粒子サイズ、崩壊剤粒子サイズ、薬物含量、および/または摩損性を有する、3次元印刷された固体の多孔性マトリクスを提供する工程とを含む。
【0064】
本発明の剤形は、対象の頬側口腔中の剤形の配置を促進するように、望みどおりにさらに成形してもよい。このような一実施形態は、ウエハー様の形状であり得る。
【0065】
図1は、連続的に形成された増加性の層の結合型バルク材料(2〜3)を含む、3次元印刷されたマトリクスから作製した、口内分散性の剤形(1)の断面正面図を示す。外部表面(3)が中央ポーション(2)を被覆する。外部表面は内部ポーションよりも硬い。この剤形は、3次元印刷された複数の増加性の層によって作製される。底部の増加性の層は下部表面を規定し、上部の増加性の層は上部表面を規定し、外周の表面(中央ポーションの左および右)は内部ポーションよりも硬い。より高い飽和レベル、より高含量の結合剤を用いて、または別の方法で本明細書に記載する通りに、硬さの増大を実現する。中央ポーションの増加性の層の周囲の硬さの増大は、周囲の飽和レベルおよび/または結合剤の含量を増大することにより実現されるが、それぞれの増加性の層の中央(周囲ではないポーション)では実現されない。
【0066】
図2は、3次元印刷されたマトリクスから作製した口内分散性の剤形(5)の代替的な実施形態の断面正面図を示す。底部の増加性の層は下部表面(8)を規定し、上部の増加性の層は上部表面(7)を規定し、複数の増加性の層を含む内部ポーション(6)よりも硬い。剤形(1)および(5)は、中央の増加性の層を印刷するのに用いたプロセスが主に異なり、(6)の層には硬さの増大した周囲がない。
【0067】
図3A〜3Eは、本発明の3DPの口内分散性のマトリクスの印刷された増加性の層を調製するのに用いることができる3つの異なる印刷パターンの平面図を示す。各印刷パタ
ーンを円形であるとして示すが、実質的にあらゆる形状寸法、例えば、円、楕円、四角、三角、長円などを用いることができる。
図3Aは、第1のソリッド印刷パターンを示し、印刷エリア全体にわたって、実質的に同じ、充満した、重い、または高い飽和レベルが用いられる。
図3Bは、第2のソリッド印刷パターンを示し、印刷エリア全体にわたって、実質的に同じ、中度の、低い、軽い、またはより低い飽和レベルが用いられる。第2のソリッドパターンは、飽和レベルが低いため、グレースケールパターンと呼ばれる。ソリッド印刷を、90から120%までの範囲の飽和と最初に規定する場合、グレースケール印刷は、90%未満の飽和、または約20から<90%の飽和、または約20から約85%、または約20から約80%、約20%、約35%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、またはこれら範囲におけるあらゆる分数もしくは整数の増加と規定される。
【0068】
図3Cは、印刷液を印刷エリアの周囲に適用するが、印刷エリアの中央に向かって適用しない、環状の(中空の)印刷パターンを示す。
図3Dは、印刷液をより高い飽和レベルで印刷エリアの周囲に適用し、印刷エリアの中央に向かってグレースケール(減少した)飽和レベルで適用する、環状およびグレースケールの印刷パターンの組合せを示す。
図3Dおよび3Dの印刷パターンにおける周囲の環の放射状の厚さ(円の中央から測定して)は、適宜変動することができる。環の厚さは、剤形の直径に応じて約0.05から10mmの範囲であってよい。これは約0.1から約7mm、約0.5から約7mm、約1から約5mm、または約1.5から約3.5mmの範囲であってよい。
【0069】
図3Eは、証印印刷パターンを示し、証印の領域以外の印刷エリア全体にわたって実質的に同じ飽和レベルを用い、印刷液は適用せず、それにより最終的な剤形の表面に沈み彫りされた証印が形成される。
【0070】
いくつかの実施形態において、剤形は、以下のタイプの印刷された増加性の層を含む(実質的に増加性の層からなり、または増加性の層からなる):a)複数の層の第1のソリッド印刷パターン、および環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層;b)複数の層の第1のソリッド印刷パターン、複数の層の環状の印刷パターン、および環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層;c)複数の層の第1のソリッド印刷パターン、複数の層の環状の印刷パターン、環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層、および複数の層の証印印刷パターン;d)複数の層の第1のソリッド印刷パターン、複数の層の環状の印刷パターン、環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層、複数の層の第1のソリッド印刷パターン、および複数の層の証印印刷パターン;e)複数の層の第1のソリッド印刷パターン、複数の層のグレースケールの印刷パターン、および複数の層の第1のソリッド印刷パターン;f)複数の層のグレースケールの印刷パターン;g)環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層;h)複数の層の第1のソリッド印刷パターン;i)複数の層の第1のソリッド印刷パターンおよび複数の層の環状の印刷パターン;またはj)複数の層の第1のソリッド印刷パターン、環状およびグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層、および複数の層の証印印刷パターン。
【0071】
いくつかの実施形態において、剤形は、剤形のそれぞれのセクションにグループ分けされる以下のタイプの増加性の層を含む(実質的に増加性の層からなり、または増加性の層からなる):a)複数の層の第1のソリッド印刷パターンを含む第1の終端;複数の層の環状の印刷パターンおよび環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層を含む中央ポーション;ならびに複数の層の証印印刷パターンを含む第2の終端;b)複数の層の第1のソリッド印刷パターンを含む第1の終端;環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層を含む中央ポーション;ならびに複数の層の第1のソリッド印刷パターンおよび/もしくは複数の層の証印印刷パターンを含む第2の終端;c)複数の層の
第1のソリッド印刷パターンを含む第1の終端;複数の層の環状の印刷パターン、環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層を含む中央ポーション;ならびに複数の層の第1のソリッド印刷パターンおよび/もしくは複数の層の証印印刷パターンを含む第2の終端;またはd)複数の層の第1のソリッド印刷パターンを含む第1の終端;交互のグループの層を含む中央ポーション(1グループは複数の層の環状の印刷パターンを含み、別のグループは環状とグレースケールの印刷パターンの組合せの複数の層を含む);および複数の層の第1のソリッド印刷パターンおよび/もしくは複数の層の証印印刷パターンを含む第2の終端。
【0072】
剤形の物理学的性質は、増加性の粉末層の厚さ、粉末の組成、印刷液の組成、層上の印刷液の飽和レベル(印刷密度)、ならびに剤形内に含まれる賦形剤の素性および量、例えば、崩壊剤、結合剤、甘味剤、界面活性剤の素性および量を変化させることにより制御することができる。これらの変数は、剤形の硬さ、かさ密度、崩壊時間、溶解時間、バイオアベイラビリティ、含水量、食感、および摩損性に対して様々なレベルの効果を表す。結果の効果的な変数には、少なくとも、薬物の量、崩壊剤の量、結合剤の量、いくつかの成分の素性、および薬物含有粒子の組成が含まれることが決定された。
【0073】
3次元印刷は、典型的に直交性の、異なる3つの各方向における空間の記述子を有し得る。3次元印刷では、液体が、液滴において、または液滴に類似する液体の単位において堆積し得る。液滴は、立て続けに堆積し得、これが印刷ヘッドの動きに対応する線を形成する。これらの液滴間の間隔は液滴から液滴(drop−to−drop)の間隔である。1本の線が完了した後、先に堆積した線に隣接して別の線が堆積し得、線から線(line−to−line)の間隔である距離によって、先に堆積した線と分離され得る。粉末の層上の印刷が完了した後、別の粉末層が堆積し得、各粉末層は層の厚さを有する。粉末層の厚さは第3の記述子である。
【0074】
場合によって、液滴の間隔は、印刷系の解像度に関して記載することができ、しばしばインチあたりのドット数(dpi)として表され、これは液滴の間隔の逆数である。例えば、300dpiおよび600dpiの解像度は、それぞれ液滴の間隔約84.7ミクロンおよび約42.3ミクロンに相当する。液滴から液滴の間隔(線内)、または線の間隔(1本の線から次の線までの液滴の間隔)、またはあらゆる他の液滴の間隔が、dpiで表現される解像度に関して記載され得る。場合によっては、剤形を作製するための層ごとの指示は、直交性の直線的な2方向の各々におけるインチあたりのドット数における解像度によって特徴付けられる、一連の画素化された画像からなっていてよい。場合によっては、これら画素化された画像は1ビットの単色の画像であり、画面上黒または白のいずれかで表すことができる、各画素が1ビットの情報(0または1)を含む、二進法または二層(bi−level)の画像と代替的に呼ばれる。
【0075】
場合によっては、剤形の局在化領域における結合の相対的な量は、剤形デザインにおける「グレースケーリング」(すなわち、グレースケールの印刷パターンの使用)によって実現される。機械の指示に用いられる1ビットの単色画像の場合、グレースケーリングは、剤形の選択された領域における、または剤形の選択された層における、または剤形にわたる、「白色」画素に対する「黒色」画素の数を変えることにより実現される。あらゆる他の領域は、全ての黒色画素を用いることにより、「ソリッド」であり得る。いくつかの実施形態において、剤形デザインは、「ソリッド」の外部および「グレースケーリングされた」内部を含む。いくつかの実施形態において、グレースケーリングは、グレースケーリングされた領域における黒色対白色の画素の全体的な比率に到達するための、白色画素間の等しい間隙の黒色画素で実現され得る。他の実施形態において、グレースケーリングは、グレースケーリングされた領域における黒色対白色の画素の全体的な比率に到達するための、白色画素間にランダムに配置された黒色画素で実現され得る。さらに他の実施形
態において、グレースケーリングは、グレースケーリングされた領域における黒色対白色の画素の全体的な比率に到達するための、白色画素間の選択されたパターン(例えば、平行線、ハッシュ化(hashed)パターン、ドットパターン)の黒色画素で実現され得る。
【0076】
3次元印刷では、ボクセルまたは単位体積は、速軸方向の動きにおける1つの液滴から液滴の間隔によって、遅軸方向の動きにおける1つの線から線の間隔によって、および垂直方向の1つの層の厚さによって規定され得る。この単位体積のいくらかが粉末粒子によって占められ、残りの単位体積は、ボイド体積である体積を集合的に有する空きスペースである。
【0077】
飽和レベル(印刷密度)は、この特定のボクセルにささげられる液滴または液体単位中に分散される液体によって、この単位体積におけるどのくらいのボイドスペースが占有されるかを記述するものである。飽和レベルは、分散された液体体積の、空きスペースの体積に対するボクセルにおける比率である。一般的に、3次元印刷では、飽和レベルは、100%とも表される1.0よりわずかに低く、または1.0にほぼ等しいどこかに選択され得る。飽和レベルが過剰に低いと、構造上の一体性の低下をもたらす傾向がある。飽和レベルが過剰に高いと、そこを超えて液体が堆積する液体が過剰ににじみ出す結果となる傾向がある。本発明の剤形では、印刷液を粉末層に適用する工程の間の飽和レベルは、剤形にわたる凝集物において、または別の点では剤形の選択された領域における、約10%から約110%、約15%から約80%、約20%から約50%、または約15%から約35%の範囲である。
【0078】
適切な印刷装置には、連続的なジェット印刷ヘッドを有するもの、またはドロップオンデマンドの印刷ヘッドを有するものが含まれる。連続的なジェット印刷ヘッドは、液滴の連続的なジェット(噴霧)を提供しながら印刷液を粉末層上に堆積させる。ドロップオンデマンドの印刷ヘッドは、そうするようにという指示(デマンド、操作コマンド)を受けた場合に、印刷液の液滴を粉末層上に堆積させるだけである。印刷ヘッドは、粉末層の表面を、スキャン速度などの予め決定された速度で左から右へスキャンし(液体を適用し)て、液滴の線を形成させる。高スキャン速度であれば低い飽和レベルがもたらされ、低スキャン速度であれば、単位時間あたり一定の体積で印刷液が堆積するのに比べた場合、高い飽和レベルをもたらす。結合剤が結合溶液(binding solution)中に存在する状況を考えると、印刷速度が1.0m/sから2.0m/sに増大すると、錠剤中に堆積する結合剤溶液の合計体積は半分に低減する。印刷速度が増大すると、かさ密度(理論上の、錠剤の重量および形状寸法から計算したもの)は低減する。錠剤の形状寸法および重量の同時の低減も見られる。この低減は、粉末上に堆積する結合剤の液滴の合計体積が低減すると、粉末中に広がる結合剤溶液の程度の低減がもたらされるという事実に帰する。印刷速度が増大すると、フラッシュ時間および硬さも低減し、錠剤の摩損性は増大する。この結果が得られるのは、印刷速度が増大すると錠剤における結合剤の比率が低減するためである。印刷速度の増大も、30psiの水銀が浸透する錠剤のパーセント体積の増大(%侵入)によって説明される通り、錠剤内部のボイド体積を増大する。
【0079】
連続的なジェット印刷ヘッドを使用する場合、印刷ヘッドは、約0.5から3.0m/秒、最も好ましくは約1.75m/秒の速度でスキャンする。ドロップオンデマンド型ジェット印刷ヘッドを使用する場合、印刷ヘッドは、約0.1から1m/秒、最も好ましくは約0.15から約0.5m/秒の速度でスキャンする。
【0080】
個々の液滴の体積は所望により、例えば、異なる3次元印刷機、または同じ機械上の異なる印刷ヘッド構成成分、または同じ印刷ヘッドおよび同じ機械上の異なるパラメータを選択することにより変動し得る。一定のスキャン速度での印刷液の堆積に比べた場合、液
滴の体積を増大すると飽和レベルは増大し、液滴の体積を低減すると飽和レベルは低減する。連続的なジェット印刷ヘッドを使用する場合、印刷ヘッドにより送達される液体の液滴のサイズは、直径約15μmから約150μmの範囲であるのが好ましい。ドロップオンデマンドの印刷ヘッドを使用する場合、印刷ヘッドにより送達される液体の液滴のサイズは、直径約50μmから約500μmの範囲であるのが好ましい。
【0081】
印刷ヘッドにより送達される液体の流速は、所望により変動し得る。一定のスキャン速度での印刷液の堆積に比べた場合、流速を増大すると飽和レベルは増大し、流速を低減すると飽和レベルは低減する。本明細書で論じる通り、印刷ヘッドは印刷液の液滴を堆積させて、粉末層に液滴の平行線を形成させる。連続的なジェット印刷ヘッドを使用する場合、線の間隔は、約20μmから約1000μm、約50から約500μm、または好ましくは約100から200μmの範囲である。ドロップオンデマンドのジェット印刷ヘッドを使用する場合、線の間隔は、約20から約300μm、約40から約100μm、または約55から75μmの範囲である。
【0082】
粉末成層系および高さ調節プラットホームは協調して、構築モジュールに粉末の増加性の薄層を形成させる。剤形の厚さ(高さ)の合計は、増加性の層の数および厚さの関数である。印刷された増加性の層の数は、5から50の範囲であるのが典型的である。いくつかの実施形態において、印刷された増加性の層の数は、10から50、15から45、または20から40の範囲である。マトリクスは、20から50、20から40、25から40、30から40、または30から35の印刷された増加性の層を典型的に含む(増加性の層から実質的になり、または増加性の層からなる)。剤形の「終端」のセクションは、1から10、1から7、2から7、2から5、または4から6の印刷された増加性の層を典型的に含む。証印を有する終端セクションは、2から10、2から7、2から5、または4から7の印刷された増加性の層を典型的に含む。印刷された増加性の層の釣合いは、剤形の垂直高さに関して、中央ポーションを含む。中央ポーションは、5から40、10から30、10から20、または20から30の印刷された増加性の層を含むのが典型的である。
【0083】
本明細書に記載する3DPプロセスによって生成されるウエハー(マトリクス、剤形)は、LEV、および所望の性質を表す剤形を提供するのに必要とされる賦形剤の含量に従って、サイズが変動する。マトリクスが高投与量のLEVを含む場合、同じパーセント値を有するがLEVの投与量の低い別の3DP剤形に比べて、大型のウエハーが必要とされる。高パーセント値のLEVを用いる場合、剤形の重量は対応して低減し得、逆もまた同じである。ウエハー形状の本発明の剤形は、直径が約13〜14mm(最低投与量)から約20〜25mm(最高投与量)の範囲であり、高さ約5〜6mm(最低投与量)から約8〜10mm(最高投与量)の範囲であった。
【0084】
増加性の層は、予め決定された高さ(垂直の厚さ)のものであり、これは0.005インチから0.015インチ、0.008インチから0.012インチ、0.009インチから0.011インチ、約0.01インチ、100〜300μm、100〜500μm、約200μm、または約250μmで変動するのが典型的である。より厚い増加性の層を用いると、層の平面内および層から層の両方が確実に十分に結合するように、増大量の印刷液をその層の上に堆積させなければならない。反対に、より薄い増加性の層では、同程度の結合を得るのにより少量の印刷液を堆積させなければならない。1層あたりに堆積する印刷液の所与の量では、より厚い層の厚さを用いることで、剤形の取扱性は低下し(悪化し)、分散時間を短縮(改善)する。所与の量の液体に対して非常に厚い層を用いる場合、層欠陥が形成し得、そのため剤形は層の平面に沿って容易に破損するようになり(層間剥離)、または剤形自体が取扱いに十分な強度を全く有し得ない。いくつかの実施形態において、増加性の層の厚さは100〜400ミクロン、150〜300ミクロン、また
は200〜250ミクロンの範囲である。好ましい一実施形態において、層の厚さは200ミクロンである。別の好ましい一実施形態において、層の厚さは250ミクロンである。
【0085】
LEVが本発明の3DP剤形中に含まれる場合、酸化的分解に対するLEVの安定性を、完成した剤形を熱に曝すことにより決定した。分解生成物の形成を、以下に詳述する通り、HPLC/MSによって観察およびモニタリングした。抗酸化剤が非存在であり、製剤が、過酸化物の不純物を含むポビドン、または過酸化物の不純物を含むシリカなどの酸化的賦形剤を含むときはいつでも、LEVは、酸化的分解を受けてオキソ−レベチラセタムを形成することを突き止めた。しかし、ポビドンおよびシリカは、重要な機能的成分である。したがって、本発明は、LEV、酸化的賦形剤、抗酸化剤、結合剤、および崩壊剤を含む、安定な急速分散性の剤形を提供し、マトリクスは、21℃およびRH75%で6か月貯蔵した後、LEVの酸化的分解生成物を0.1重量%以下含む。
【0086】
本発明者らは、3DP剤形で通常用いられる賦形剤のいくつかは、賦形剤の製造のプロセスまたは固有の不安定性に起因し得る、酸化性化合物(酸化剤)を含み得ることを突き止めた。酸化剤のいくつかは過酸化物と考えられている。ポビドン中の酸化体のレベルは、賦形剤を酸素含有の雰囲気に曝露した後に貯蔵する間に増大することを突き止めた。先に列挙した当技術分野において留意される通り、酸化体の源に関係なく、レベチラセタムは、3DP剤形中に含まれる場合は酸化に非常に感受性であるが、他の剤形に含まれる場合には感受性ではないのは驚くべきことである。
【0087】
安定性試験を実施例6に従って行った。本発明者らは、高温で貯蔵した時、および/または本発明の剤形を調製するのに用いる3DPプロセスの乾燥工程の間に高温に曝露した時、生じる酸化に対してレベチラセタムを安定化する、好ましい抗酸化剤の群を同定し、選ぶのに成功した。適切な抗酸化剤には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンE、メチオニン、BHA、およびBHTが含まれる。好ましい抗酸化剤には、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、BHA、およびBHTが含まれる。
【0088】
1つまたはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤が、バルク粉末材料および/または印刷液中に含まれ得る。各賦形剤は、印刷されたマトリクス中に必要とされる粒子対粒子の結合を提供するのに所望に応じて、水溶性、水性液体可溶性、部分的に水溶性、部分的に水性液体可溶性、水不溶性、および水性液体不溶性の賦形剤から各発生時に独立に選択することができる。
【0089】
唾液などの適切な水性液体の存在下で急速な分散にさらされる、多孔性の構造(結合性粒子のマトリクス)に製薬上活性な成分がゆるく収容されるようにする、小分子およびポリマーの両方の、ほとんどの薬学的に許容される賦形剤を用いることができる。本発明の3次元印刷プロセスにおける使用に適するこのような賦形剤のいくつかは、Handbook of Pharmaceutical Excipients(A.WadeおよびP.J.Weller編集、第2版、American Pharmaceutical Association、The Pharmaceutical Press、ロンドン、1994年)に列挙されている。
【0090】
適切なタイプの賦形剤には、結合剤、崩壊剤、分散剤、甘味剤、流動促進剤、香味剤、界面活性剤、湿潤剤、保存剤、抗酸化剤、および希釈剤が含まれる。従来の製薬上の賦形剤を用いることができるが、これらは、伝統的な製薬の処理加工と正確に同じ様式で機能するとは限らない可能性がある。
【0091】
1つまたはそれ以上の結合剤が、印刷されたマトリクス中に含まれ得る。結合剤は、粉
末材料中または印刷ヘッドによって分散される印刷液中のいずれかに含まれ得る。結合剤は、各発生時に独立に選択される。結合剤に対するおよび/または結合剤による粒子の接着は、結合剤が印刷ヘッドから印刷液によって接触される場合、または印刷液中に結合剤が存在する(すなわち、可溶性である)場合のいずれかに生じる。結合剤は、水溶性、水性液体可溶性、部分的に水溶性、または部分的に水性液体可溶性であるのが好ましい。いくつかの実施形態において、印刷液は、結合剤を1〜20重量%、5〜15重量%、または8〜12重量%含む。いくつかの実施形態において、バルク粉末は結合剤を、>0から10重量%、5から15重量%、0から15重量%、8〜14重量%、または9〜11重量%含む。いくつかの実施形態において、印刷されたマトリクスは結合剤を、1〜20重量%、5〜14重量%、または8〜12重量%含む。いくつかの実施形態において、結合剤は印刷液に非存在であり、またはバルク材料に非存在である。
【0092】
適切な結合剤には、水溶性の合成ポリマー、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、アルファ化デンプン、加工デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが含まれる。好ましい結合剤はポリビニルピロリドン、例えば、PVP K30、加工デンプン(例えば、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)、マンニトール、またはこれらの組合せである。制限なくPVP K25およびPVP K90を含めた、K値が30と異なるPVPを用いることができる。
【0093】
以下の材料は、低強度の結合を表したとしても結合剤とみなされる:噴霧乾燥したラクトース、フルクトース、ショ糖、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、またはキシリトール。
【0094】
1つまたはそれ以上の崩壊剤が、印刷されたマトリクス中に含まれ得る。崩壊剤は、バルク粉末中に存在することができる。崩壊剤は、各発生時に独立に選択される。いくつかの実施形態において、バルク粉末は崩壊剤を、5から30重量%、10から25重量%、15から25重量%、18〜24重量%、18から23.7重量%、1〜30重量%、10〜25重量%、20〜25重量%含む。
【0095】
適切な崩壊剤には、微結晶性セルロース(MCC)、クロスポビドン(架橋連結したポリビニルピロリドン)、クロスカルメロース、デンプングリコール酸ナトリウム、またはこれらの組合せが含まれる。好ましい崩壊剤は微結晶性セルロースである。適切なグレードのAVICEL(登録商標)を以下の表に概要する。剤形は、1つまたは組合せの特定したグレードを含むことができる。単一のグレードまたは組合せのグレードを含むこのような実施形態が全て企図される。
【0097】
結合剤および崩壊剤は、マトリクスの硬さ、摩損性、および分散時間を制御するための主要な成分である。結合剤の量が多いほど、硬さは増大し、摩損性は低くなり、分散時間は遅くなる。一方、崩壊剤の量を増大すると硬さは低減し、摩損性は高くなり、分散時間は速くなる。したがって、本発明のマトリクスは、釣合いのとれた量の結合剤および崩壊剤を含む。
【0098】
1つまたはそれ以上の甘味剤が、印刷されたマトリクス中に含まれ得る。甘味剤は、バルク粉末中、および/またはバルク粉末を適用する印刷液中に存在し得る。少なくとも1つの甘味剤が少なくとも印刷液中に存在する場合、より良好な味覚マスキングが観察される。甘味剤は、各発生時に独立に選択される。印刷液およびバルク粉末は、少なくとも1つの甘味剤を共通して有し得、例えば、印刷液およびバルク粉末は各々同じ甘味剤を含み、バルク粉末はさらなる甘味剤を含む。いくつかの実施形態において、バルク粉末は甘味剤を、>0から5重量%、または>0から2重量%、または>0から1.5重量%含む。いくつかの実施形態において、印刷液は、甘味剤を>0から5重量%、または>0.5から4重量%、または1から3重量%含む。
【0099】
適切な甘味剤は、グリチルリジン酸誘導体、例えば、Magnasweet(グリチルリジン酸一アンモニウム)、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、およびこれらの組合せからなる群から選択される。印刷液中の好ましい甘味剤はスクラロースである。甘味剤は少なくとも印刷液中に存在し、バルク粉末中にも存在することができる。
【0100】
1つまたはそれ以上の香味剤が、マトリクス中に含まれ得る。香味剤は、バルク粉末および/または印刷液中に存在し得る。香味剤は、各発生時に独立に選択される。香味剤は、水溶性、水性液体可溶性、部分的に水溶性、または部分的に水性液体可溶性であるのが好ましい。いくつかの実施形態において、印刷液は香味剤を、0.01〜5重量%、0.1〜1重量%、または0.2〜0.5重量%含む。いくつかの実施形態において、香味剤は、粉末化した担体上に提供され得る。適切な担体は、その上に香味剤が吸収され、吸着され、カプセル化され、または別の方法でローディングされ得る、デンプン、セルロース、および他の賦形剤から選択することができる。いくつかの実施形態において、バルク粉末は香味剤をローディングした担体を、0.1から10重量%、または1から9重量%、2から8重量%含む。いくつかの実施形態において、印刷されたマトリクスは香味剤をローディングした担体を、0.1〜10重量%、または1〜9重量%、または2から8重量%含む。いくつかの実施形態において、香味剤は印刷液に非存在であり、またはバルク材料に非存在である。
【0101】
適切な香味剤には、スペアミント、ペパーミント、ミント、バニラ、オレンジ、レモン、柑橘類、ライム、ブドウ、サクランボ、イチゴ、チョコレート、コーヒー、またはこれらの組合せが含まれる。
【0102】
1つまたはそれ以上の界面活性剤が、印刷液および/またはバルク粉末中に含まれ得る。界面活性剤は、各発生時に独立に選択される。いくつかの実施形態において、印刷液は界面活性剤を、0.1から4重量%、1から3重量%、または1.5から2.5重量%含む。
【0103】
適切な界面活性剤には、ポリソルベート(脂肪酸とエステル化したPEG化ソルビタン(ソルビトールの誘導体))、ポロキサマー、またはこれらの組合せが含まれる。適切なポリソルベートには、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー((ポリ)エチレンオキシドの2本の鎖が隣接する中央の(ポリ(プロピレンオキシド)を含む、例えば、LUTROL)、低分子量ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)が含まれる。適切なポロキサマーには、ポロキサマー124、188、237、338、または407が含まれ得る。
【0104】
剤形が保存剤フリーであり得るとしても、1つまたはそれ以上の保存剤が場合により、印刷液または粉末のブレンド中に含まれていてよい。適切な保存剤には、抗真菌性または抗微生物性の保存剤、例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベンが含まれる。いくつかの実施形態において、印刷液は保存剤を0.001から0.2%含む。
【0105】
1つまたはそれ以上の流動促進剤がバルク粉末中に含まれ得る。いくつかの実施形態において、バルク粉末は流動促進剤を、0.1〜2.0重量%、0.25〜1.5重量%、または0.5〜1.0重量%含む。適切な流動促進剤にはヒュームドシリカ(コロイド状二酸化ケイ素)が含まれる。
【0106】
マトリクスは、バルク粉末または印刷液のいずれかによってその中に導入されるグリセリン(グリセロール)も含むことができる。グリセリンは、湿潤剤、甘味剤、保存剤、滑沢剤、鹸化剤、または溶媒の特徴を表すことができる。本発明者らは、グリセリンは、3次元印刷された剤形中に含まれる場合、意外にも他の賦形剤と反対の挙動をすることを発見した。上記で注目した通り、開示する他の賦形剤の量を増大すると、一般的に硬さの増大をもたらし、同時に崩壊時間の延長をもたらすが;グリセリンの量を増大すると硬さの増大をもたらすが、意外にも崩壊時間を短縮する。グリセリンがこのような様式で挙動をする能力は特に有利であり、3次元印刷された口内分散性の剤形に組み入れられるあらゆる他の材料では観察されていない。したがって、小体積の水に10秒以下、または5秒以下で分散する口内分散性のマトリクスの調製を実現することができることは予想されていない。
【0107】
いくつかの実施形態において、グリセリンが印刷液中に含まれる。したがって、本発明は、3次元印刷において用いるための印刷液を提供し、印刷液は、グリセリン、水、および少なくとも1つの有機溶媒を含む。本発明は、a)グリセリン、水、および少なくとも1つの有機溶媒を含む印刷液を、少なくとも1つの粉末の層上に堆積させる工程と、b)少なくとも1つの層中の水および溶媒の含量を低減し、それによって3次元印刷された多孔性マトリクスを形成させる工程とを含む3次元印刷の方法も提供する。本発明はまた、a)粉末の層を形成する層形成系;およびb)粉末の層の上に印刷液を堆積させる印刷液堆積系を含む、3次元印刷系を提供するものであり、印刷液は、グリセリン、水、および少なくとも1つの有機溶媒を含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、印刷液はグリセリンを、1〜10重量%、または2〜8重量%、または3〜5重量%含む。いくつかの実施形態において、マトリクスはグリセリンを、0.05〜5重量%、0.25〜2.0重量%、0.5〜1.5重量%、または0.5〜1.0重量%含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、本発明のプロセスは、バルク粉末中および/または印刷液自体中の少なくとも1つの材料のための、薬学的に許容される溶媒の少なくとも1つまたは組合せを含む印刷液を使用する。印刷液は:a)バルク粉末中の材料のための溶媒;b)印刷液中の材料のための溶媒;またはc)これらの組合せを含むことができる。
【0110】
本発明のプロセスの実施形態は、印刷液が:a)LEV;b)バルク粉末中の結合剤;c)印刷液中の結合剤;d)LEVおよび結合剤;またはe)これらの組合せのための溶媒を含むものを含む。
【0111】
印刷液は、水または水性バッファーを、55〜95重量%、60〜85重量%、または65〜75重量%含むことができる。
【0112】
印刷液は、少なくとも1つの有機溶媒を、1〜25重量%、5〜20重量%、または10〜15重量%含むことができる。適切な有機溶媒はアルコールである。適切なアルコールには、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、アルコールはエタノールである。いくつかの実施形態において、溶媒はイソプロパノールである。
【0113】
製薬の技術分野で用いられる化合物は、一般的に様々な機能または目的に役立つことを理解されたい。よって、本明細書で名指しする化合物が1回だけ言及され、または本明細書で1つを超える語を規定するのに用いられる場合、その目的または機能は、名指しする目的または機能のみに限定されないことを理解されたい。
【0114】
「薬学的に許容される」の句は、本明細書で用いられて、健全な医薬上の判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触させて用いるのに適し、理にかなった損益比と釣り合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、またはあらゆる他の問題もしくは合併症のない、化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味する。
【0115】
本明細書で用いる「誘導体」は:a)第1の化学物質に構造的に関連し、理論的にそれに由来する化学物質;b)第1の化合物の1つの原子が別の原子もしくは原子のグループで置き換えられている場合、同様の第1の化合物から形成される化合物、もしくは別の第1の化合物から生じたことが想像され得る化合物;c)親化合物に由来し、もしくは親化合物から得られ、親化合物の本質的なエレメントを含む化合物;またはd)同様の構造の第1の化合物から1つまたはそれ以上の工程で生成され得る化学物質である。
【0116】
本発明は、LEVを、それを必要とする対象に投与する方法も提供する。方法は:(a)本明細書に記載する、急速に分散する非圧縮のマトリクスの剤形を提供する工程と、(b)剤形を、それを必要とする対象の、口などの水分を含む体腔中に挿入する工程とを含み、水分は、約1秒から約90秒までの範囲の時間内に結合剤を溶解し、剤形を分散し、それにより剤形を体腔に分散することができる。いくつかの実施形態において、方法は、剤形を口中に配置した後、剤形を対象に、一口(小体積)の液体と一緒に投与する工程をさらに含む。
【0117】
本発明の3DP剤形を経口投与した後、一口の体積がLEVの薬物動態学的パラメータに影響を及ぼすか否かを決定するために試験を行った。対象に、3DP剤形を投与するときに30ml以下の水性液体を啜る選択肢を与えた。一口の体積と観察された薬物動態学的パラメータとの間に相関は観察されなかった。一口の体積は2〜30mlの範囲であり、平均は約13mlであった。
【0118】
本発明は、LEVに治療的に応答性である疾患、障害、または状態を処置する方法も提供し、方法は:a)本明細書に記載し、または本明細書に記載するプロセスによって作製した、3次元印刷された口内分散性のマトリクスを、それを必要とする対象に投与する工程を含む。マトリクスは、LEV、バルク粉末、崩壊剤、および結合剤を含み、マトリクスは小体積の液体中に分散性である。KEPPRA(登録商標)などのLEVを含むFDA認可された生成物に対する添付文書に詳述される、または本明細書に記載する、投与量および投与レジメンは、本発明の剤形を投与するのに従うことができる。
【0119】
実施例7に従って試験を行って、レベチラセタムを、本発明の口内分散性の3DP剤形において経口投与した場合の生体吸収(bioabsorption)を決定した。本発明の3DP生成物は、KEPPRA(登録商標)の基準生成物に、空腹条件下のLEVのバイオアベイラビリティに関して等価である。さらに、3DP生成物のみが、CmaxおよびTmaxに対して食事の効果を表すが、全身曝露全体に対して、すなわちAUC
0〜tまたはAUC
infに対して表さない。KEPPRA(登録商標)のラベルに基づくと、これらの結果は、摂食状態で投与したKEPPRA(登録商標)錠の薬物動態学と一致し、吸収の程度は影響を受けないが、Cmaxは約20%低下し、Tmaxは1.5時間延長する。
【0120】
投薬効率(dose efficiency)(AUC/投与量)は、投与された薬物の投与量に対して、薬物がどのくらい十分に吸収されたかの尺度である。本発明の3DP剤形は、摂食状態に投与しても、または空腹状態に投与しても、LEVの効率的な生体吸収をもたらす。3DP剤形は、対象に経口投与した場合、以下の薬物動態学的パラメータを提供する。
【0122】
本発明の剤形は、Cmaxに対して0.55から0.74(または約0.6〜0.7)の範囲の、Tmaxに対して5から21(または約5〜13もしくは5〜10)の範囲の、AUC
0〜tに対して0.89から0.98の範囲の、およびAUC
infに対して0.89から0.99の範囲の摂食/空腹比を提供する。
【0123】
本発明の剤形は、KEPPRA(登録商標)錠に対する吸収の速度および程度において実質的に等価であり、吸収の程度は、特に空腹条件下で投与した場合、New Drug
Application第N021035号(上記を参照されたい)によって規定される。剤形は、CmaxおよびAUCに対して実質的に直線状の投与量の比例関係を提供し、CmaxまたはAUC対投与した投与量の線形近似を、0.95から1.0の相関係数R
2を有すると特徴付けることができる。口内分散性の剤形に対するCmaxおよびAUCは、等価の投与量ベースで、KEPPRA(登録商標)即時放出錠製品によって実現される値の80〜125%以内である。
【0124】
上記の記載および以下の実施例に鑑みて、当業者であれば、過度の実験なしで主張どおり本発明を実践することができる。前述の事項は、本発明の実施形態を調製するためのある種の手順を詳述する、以下の実施例を参考にすればより理解されよう。これらの実施例に対して行う参照は全て、説明の目的である。以下の実施例を網羅的なものと考えてはならず、本発明が企図する多くの実施形態のうちほんの少数を単に説明するにすぎない。
【実施例1】
【0125】
3次元印刷された口内分散性の剤形の調製
以下のプロセスを用いて、LEVを含むマトリクスを含む、3次元印刷された口内分散性の剤形を調製した。印刷液およびバルク粉末のための成分は、以下に示す量が用いられた。
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
予め決定された厚さのバルク粉末の増加性の層を、先の粉末の層の上に広げ、印刷液を、予め決定された飽和レベル、線の間隔、および印刷液の流速に従って液滴として増加性の層に適用して、その中の粒子に結合させた。マトリクスが、目的量の印刷された増加性の層を含むまで、この2工程プロセスを完了させた。
【0129】
本明細書において知られているか、本明細書に言及する、あらゆる3次元プリンタ装置のアセンブリを用いることができたが;これら例示的な処方はCoriolis Instrument(Dimatix/Spectra Technology Integration、モデル:Coriolis RP1)で作製することができた。プリンタを、液滴サイズ70〜90ピコリットル、解像度200〜400dpiまたは約300dpi×900〜1500dpiで操作した。様々な異なる印刷パターンを剤形において用いた。印刷液の処方とバルク粉末の処方との特定の組合せを用いた。層の厚さ0.008インチから0.011インチまたは約0.25nmから約0.265nmを用いた。解像度300×1200dpi、300×1000dpi、300×900dpi、400×900dpi、400×750dpi、400×675dpiを用いた。I−AからI−Dまでの印刷液を用いた。印刷液およびバルク粉末処方の多くの様々な組合せを用いた。結果として得られるマトリクスのいくつかは以下の成分を含んだ。
【0130】
【表5】
【0131】
印刷されたマトリクスを、ゆるい非印刷の粉末から分離し、印刷されたマトリクスをあらゆる適切な手段によって乾燥させて、溶媒および水分の量を所望のレベルに減少させ、それにより最終的な3DP口内分散性の剤形を生成した。
【0132】
剤形の分散時間、表面の手触り(滑らかさ)、および硬さを、次いで決定した。
【実施例2】
【0133】
異なる増加性の層における多様な構造の急速に分散するウエハー
増加性の層の間で多様な構造の、味覚をマスキングした3次元印刷された口内分散性の剤形の調製
上記に記載した3DPプロセスに従うが;増加性の層の硬さおよび組成が多様である、異なる構造の剤形を調製するために、これをいくつかの異なる方法において行うことができた。以下のプロセスは、ウエハーの内部ポーションの硬さに比べて、上部および下部表面の硬さが硬いウエハーを提供するものであった。この戦術は、機械的性質の異なるウエハー内にセクションを作製する手助けとなった。この取組みを用いて、頂部および底部の層の組成が中間の層と異なるウエハーをデザインした。このデザインにより、ウエハーはより強力な頂部および底部の層を有することができ、それにより硬さは増大し、摩損性は低下し、硬さの低い大型の中央ポーションによりウエハーが急速に分散できるようになった。
【0134】
方法A
このプロセスでは、異なる増加性の層、または同じ増加性の層内の異なる予め規定された領域内に堆積する結合剤の量が変化した。実施例3のプロセスに従いこれらのウエハーを調製したが、結合剤の濃度が異なる印刷液を用いることにより、印刷液によって粉末上に堆積する結合剤の量は、増加性の粉末層間で異なった。
【0135】
方法B
実施例3のプロセスに従いこれらのウエハーを調製したが、粉末上に堆積する印刷液の量は増加性の粉末層間で異なった。上部および下部の増加性の層は、より大量の印刷液を受け取り、中央ポーションの増加性の層は、より少量の印刷液を受け取った。
【0136】
方法C
このプロセスでは、剤形の上部および下部の増加性の層に用いる印刷パターンはソリッ
ドパターンである(
図3A)。増加性の層の中央ポーションに対する印刷パターンはグレースケールである(
図3B)。グレースケール印刷は約20%から約90%、または約20%から約80%の範囲であり得た。
【0137】
方法D
このプロセスでは、剤形の増加性の層の上部および下部の増加性の層に用いる印刷パターンはソリッドパターンである(
図3A)。増加性の層の中央ポーションに対する印刷パターンは、環によって取り囲まれるエリアに印刷のない、環状/中空の高飽和印刷である(
図3C)。
【0138】
方法E
このプロセスでは、剤形の増加性の層の上部および下部の増加性の層に用いる印刷パターンはソリッドパターンである(
図3A)。増加性の層の中央ポーションに対する印刷パターンは、外部の高飽和印刷によって取り囲まれる内部のグレースケール印刷の組合せである(
図3D)。
【実施例3】
【0139】
剤形のキャラクタリゼーション
以下の手順を用いて、3次元印刷された固体の多孔性口内分散性のマトリクスをキャラクタリゼーションした。
【0140】
摩損性
錠剤摩損度試験(tablet friability test)(USPプロトコール<1216>)を用いて、破壊に対するマトリクスの抵抗性を分析した。試験では、25rpmで100回回転する、直径285mm、深さ39mmの寸法を有するドラムを装着したVanKel摩損性測定装置(friabilator)(モデル45−2000、Varian、USA)を用いた。最小数10個のウエハーを、ドラムの中央から外部壁に延びる歪曲した突出によって、各回転時に転倒した。よって、各回転時に、錠剤は回転または滑走を引き起こされ、ドラム上または相互に約130mm落下させられた。ゆるい粉末を全て錠剤から取り除き、100回転の前および後にこれらをまとめて重量を測った。
【0141】
表面の質感
マトリクスを、顕微鏡の助けで、またはそれなしで目視点検した。表面の質感を分析して、ラフであるか、またはスムーズであるか、ならびに上部表面上の証印の縁、およびウエハーの周囲の縁が清浄で鋭利であるか、または粗く尖っているかを決定した。
【0142】
マトリクスは、清浄で鋭利な縁を有する滑らかな表面を表していた。
【0143】
硬さ
マトリクスを、VK200錠剤硬度試験機(Varian、US)を用いて、USP<127>(第31改定)に従って錠剤破壊力アッセイによって決定される全体の硬さについて分析した。ウエハーの強度または硬さは破砕試験によって測定した。ウエハーを試験機のジョーの間の中央に置き、ウエハーが破砕するまで力を適用した。破砕時の負荷をキロポンド(kp)で返した。キロポンドは、力の測定の測量単位で、1kpは9.807ニュートンに等しい。最小数6個のウエハーを試験した。
【0144】
剤形の硬さは、約0.7から約5.3kp、約1.7から約5.1kp、約2.1から約5.2kp、約3から約6kp、約1から約9kp、または約2.5から約5.3kpの範囲であった。
【0145】
分散時間
マトリクスを、5kgのロードセルおよび直径1.0インチのアクリル製プローブ(Stable Micro Systems)を装着したTexture Analyzer(TA HP、Texture Technologies、US)を用いて、以下の通り、水性液体中の分散時間に対して分析した。ウエハーを、両面接着テープでプローブに接着させた。50gの一定の力の下で(Dorら、Pharm.Dev.Technol.(2000年)、5巻(4)、575〜577頁;およびEl−Ariniら、Pharm.Dev.Technol.(2002年)、7巻(3)、361〜371頁)、平底アルミニウム製秤量ボート(weigh boat)中、室温で、ウエハーを水3ml中に浸漬した。分散時間試験は、以下のパラメータを用いて行った。最小5個のウエハーを試験した。
【0146】
【表6】
【0147】
剤形に対して観察された分散時間は、約10秒以下または約5秒以下であった。
【0148】
かさ密度
マトリクスのかさ密度を、ウエハーの重量を測定し、その値をウエハーの計算体積によって除すことにより決定した。ウエハーの体積を、その寸法を測定し、ウエハーの形状に従って適切な数式を用いることにより計算した。例えば、円柱状ウエハーでは、その体積を、π*r
2*Hの式を用いて計算する(式中、rはウエハーの半径であり、Hはウエハーの高さである)。重量0.5g、高さ0.6cm、および直径1.1cmのウエハーの体積は約0.57cm
3であり、かさ密度は約0.877g/cm
3であり、これは約877mg/mlに等しい。
【0149】
LEVの溶解
溶解試験を、産業向け指針(Guidance for Industry)(セクション3.3.2;Waiver of In Vivo Bioavailability and Bioequivalence Studies for Immediate−Release Solid Oral Dosage Forms Based
on a Biopharmaceutics Classification System.、2000年8月、セクションIIIc、7頁)に従って行った。USP<711>の方法に従った。溶解を、以下の脱気した溶解媒体900mL:(1)0.1N HCl;(2)pH4.5の0.05M酢酸ナトリウムバッファー;および(3)37℃でpH6.8の0.05M KH
2PO
4バッファー、を用いて、50rpmのUSP Apparatus II(パドル)を用いて行った。
【実施例4】
【0150】
3次元印刷された口内分散性の剤形のin vivo評価
この方法を用いて、剤形の効能を確立した。LEVを含む単一剤形を、12時間間隔で1日2回対象に投与した。剤形を対象の口中に配置し、場合により一口(5〜20ml、または2〜30ml)の液体を対象に投与することによって、投与を行った。短時間内に剤形は対象の口中で分散した。あるいは、剤形を最小量の液体中に分散し、次いで対象に経口投与した。LEVの1日量の合計は、2投与量にわたって分割して約500mgから約2000mgの範囲が典型的であった。対象の薬物動態学的プロファイルを、当技術分野では知られている方法を用いて決定した。剤形に対する治療応答の対象のレベルを、当技術分野では知られている方法を用いて決定した。
【実施例5】
【0151】
剤形中のLEVに対するHPLC/MS分析
以下の手順を用いて、薬物安定性試験を支持するように、3次元印刷された固体の多孔性口内分散性のマトリクスを分析した。
【0152】
以下の溶液を用いた。
バッファー:20mM酢酸アンモニウム、pH5.5
移動相A(MPA): バッファー:アセトニトリル 95:5
移動相B(MPB):アセトニトリル
希釈液: 水:アセトニトリル 95:5
【0153】
HPLC条件は以下の通りであった:
カラム:Alltima C18 4.6×150mm、5μm
移動相A(MPA): バッファー:アセトニトリル 95:5
移動相B(MPB):アセトニトリル
UV検出:205nm
カラム温度:25℃
注入体積:10μL
流速:0.9mL/分
オートサンプラー温度:5℃
【0154】
試料およそ380mgを、希釈液30mLを含む50mLメスフラスコに移すことにより調製した。試料を10分間超音波処理し、次いで希釈液でメスアップした。1ポーションを、0.22μmナイロン製フィルタを通して濾過し、最初の3〜5mLを廃棄した。
【0155】
ギ酸ナトリウム溶液を質量分析計中に、シリンジポンプを用いて100μL/分のロックスプレー(lock spray)によって直接注入することにより、質量分析法を行った。m/z158.9646126のギ酸ナトリウムのピークを、正確な質量分析に用いた。正確な質量を、MassLynxソフトウエアを用いた元素組成分析に用いた。
【0156】
顧客に提供された方法を用いると、不純物/分解物のピークの相対的保持時間(RPT)は0.64であった。ピークの、観察されるプロトン化されたモノアイソトピック質量は185.1Daであった。ピークの正確な質量分析および元素組成分析は、オキソ−レベチラセタムと一致した。
【実施例6】
【0157】
3DP剤形におけるLEVの安定性の評価
以下の手順を用いて、酸化的分解に対してLEVを安定化するのに適する好ましい抗酸化剤を同定した。
【0158】
指摘する量の以下の成分を含む粉末のブレンドを調製した。
【0159】
【表7】
【0160】
指摘する量の以下の成分を含む印刷液を調製した。
【0161】
【表8】
【0162】
評価した抗酸化剤を以下の表に列挙する。表において指摘するIIG(非有効成分ガイド(Inactive Ingredient Guide))の1日限界量(daily limit)(mg)の量の半分を各抗酸化剤に用いたが、それは、この量が、即時放出型レベチラセタムの投薬に最も一般的な頻度である1日2回投与した場合に、限界に到達するためであった。例えば、抗酸化剤の量は、1日2回投与する1000mg錠に対して「(IIG 1日限界量)/2」であった。IIG限界は、監督官庁によって周期的に変更されることを理解されたい。したがって、以下に特定する限界は近似と考えるべきであり、剤形に含めることができる抗酸化剤の量の絶対的な限界と考えてはならない。
【0163】
【表9】
【0164】
抗酸化剤を、印刷液6mLと混合した。次いで、この混合物を粉末ブレンド30gと混合して、原料の錠剤組成物を形成し、その各々を以下の条件に曝した:条件1−しっかりと密封したガラスジャー中組成物を70℃で貯蔵した;条件2−ゆるく覆いをしたガラスジャー中組成物を50℃で貯蔵した;および条件3−覆いをしないガラスジャー中組成物を40℃/RH75%で貯蔵した。
【0165】
試料を引き続きHPLC/MSによって分析し、2つの主要な分解物の素性を、標準と比較することによって決定した。主要な分解物は、レベチラセタム酸(levetiracetam acid)およびオキソ−レベチラセタムであった。さらに、原料の組成物には着色(黄色)したものもあり、しなかったものもあった。データは、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ビタミンE、メチオニン、BHA、およびBHTは、酸化的分解に対して、および色素形成に対して改善された安定性を提供することを指摘した。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、BHA、およびBHTは、試験条件下で最良の結果を提供した。試験した他の抗酸化剤は、酸化的分解および色素形成に対して、より低い度合いの保護をもたらし、または保護をもたらさなかった。
【実施例7】
【0166】
口内分散性の3DP剤形中のLEVに対するPKパラメータの決定
以下の手順を用いて、本発明の口内分散性の3DP剤形のPKパラメータを決定し、これらを市販製品であるKEPPRAフィルムコーティング錠のPKパラメータと比較した。
【0167】
単一施設無作為化単一投与量試験室盲検(laboratory−blinded)3期間3連続のクロスオーバー試験を行った。年齢18〜50歳の健康状態のよい男女対象32人が含まれた。対象に、単回投与量の、LEV1000mgを含む3DP剤形、またはLEV1000mgを含むKEPPRA(登録商標)錠を経口投与した。以下の通り、3週間、週1回、単回投与量を投与し、それにより投与量間に7日間のウオッシュアウト期間を提供した:
グループI:単回投与量の3DP剤形を、10時間の一夜空腹後の朝に投与した
グループII:単回投与量のKEPPRA(登録商標)錠を、10時間の一夜空腹後の朝に投与した
グループIII:単回投与量の3DP剤形を、10時間の一夜空腹後の朝、高脂肪高カロリーの朝食開始30分後に投与した
【0168】
各投与量を投与する前および後にLEVの血漿濃度を決定した。空腹および摂食条件に対して得た、C
max、T
max、AUC
0〜t、およびAUC
infを比べることにより、食事の効果を決定した。以下のデータはPKデータの概要を提供する。
【0169】
【表10】
【0170】
本発明の3DP製品は、空腹条件下のLEVのバイオアベイラビリティに関して、KEPPRA(登録商標)基準製品に等価であることが見出された。さらに、3DP製品のみが、CmaxおよびTmaxに対して食事の効果を表すが、全身の曝露全体に対して、すなわち、AUC
0〜tまたはAUC
infに対して表さなかった。これらの結果は、摂食状態で投与したKEPPRA(登録商標)錠の薬物動態学に一致する(KEPPRA(登録商標)ラベル、NDA 021035)。
【0171】
本明細書で用いる「約」または「およそ」の語は、特定の値の±10%、±5%、±2.5%、または±1%を意味するものと理解される。本明細書で用いる「実質的に」の語は、「大部分」、または「少なくとも大多数の」、または「の50%を超えて」を意味するものと理解される。
【0172】
上記は、本発明の特定の実施形態を詳しく記載したものである。本発明の特定の実施形態を本明細書において説明の目的で記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに様々な修飾を行うことができることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による以外は制限されない。本明細書に開示し、請求する実施形態は全て、本開示に鑑みて、過度の実験なしに行い、実行することができる。