(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640070
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】フライトコンベヤおよび発電装置
(51)【国際特許分類】
B65G 17/12 20060101AFI20200127BHJP
B65G 17/36 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
B65G17/12 A
B65G17/36 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-235313(P2016-235313)
(22)【出願日】2016年12月2日
(65)【公開番号】特開2018-90382(P2018-90382A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】喜多 照行
【審査官】
中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−210531(JP,A)
【文献】
特開2007−284182(JP,A)
【文献】
特開2015−086022(JP,A)
【文献】
特開2005−154033(JP,A)
【文献】
特開昭60−183415(JP,A)
【文献】
特開2012−078017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00−17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤケースと、前記コンベヤケース内に収容されたチェーンベルト部材および前記チェーンベルト部材の駆動機構と、前記チェーンベルト部材に間隔を開けて固定された複数のフライトとを備え、前記複数のフライトが上部リターン式で循環するフライトコンベヤであって、
前記複数のフライトのそれぞれは、
前記コンベヤケースの内底面の近傍に配置される端部を有し、前記コンベヤケースの内底面に対して90°未満の第1の角度で前傾する第1板状部分と、
前記第1板状部分よりも前記コンベヤケースの内底面から離れた位置に配置され、前記コンベヤケースの内底面に対して前記第1の角度よりも小さくかつ0°超である第2の角度で前傾する第2板状部分と、
前記第1板状部分および前記第2板状部分を挟む一対の側板であって、それぞれが、前記第2板状部分の端部を超えて外側に突き出す部分を有するとともに、前記第1板状部分の断面および前記第2板状部分の断面を辺の一部として含む略平行四辺形の平面形状を有する、一対の側板と、
前記コンベヤケースの内底面の近傍に配置された前記第1板状部分の端部の背面側においてアングル状に形成された補強部材と
を含み、
前記第1板状部分と前記第2板状部分と前記コンベヤケースの内底面とによって囲まれた空間内に収容された搬送物が、前記一対の側板によってこぼれ方向が制限されながら前記コンベヤケースの内底面と接した状態でより高い位置まで搬送される、フライトコンベヤ。
【請求項2】
前記コンベヤケースは、水平方向に延びる水平部と、傾斜方向に延びる傾斜部とを有し、前記搬送物は、前記コンベヤケースの内底面と接した状態で前記水平部および前記傾斜部を連続的に搬送される、請求項1に記載のフライトコンベヤ。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記水平方向に対して40°以上の角度で延びている、請求項2に記載のフライトコンベヤ。
【請求項4】
前記第1板状部分の前記第1の角度は60°以上80°以下である、請求項1から3のいずれかに記載のフライトコンベヤ。
【請求項5】
前記第1板状部分と前記第2板状部分とがなす角度が100°以上140°以下である、請求項1から4のいずれかに記載のフライトコンベヤ。
【請求項6】
前記搬送物として燃料受入部から受け取った木質チップを搬送するように構成された請求項1から5のいずれかに記載のフライトコンベヤと、前記フライトコンベヤによって搬送された前記木質チップを収容するホッパーを有する燃料投入機構とを備える燃料供給装置と、
前記燃料供給装置によって前記木質チップが供給される燃焼室および前記燃焼室に関連付けられたボイラーと、
前記ボイラーによって駆動されるタービンと
を備える発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライトコンベヤおよび発電装置に関し、特に、木質バイオマス燃料を搬送するために好適に用いられるフライトコンベヤおよびこれを備えた発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー資源の1つとして、生物由来の木質有機性資源である木質バイオマスが知られている。木質バイオマスには、例えば、廃棄木材、間伐材、木質チップ、木質ペレットまたはPKS(palm kernel shell)などがある。
【0003】
木質バイオマスを燃料として利用すれば、従来の化石燃料を用いる場合に比べて二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、山林の保全性を高め、林業の活性化を図ることができる。木質バイオマス発電に対する期待は高く、特に固定価格買い取り制度(FIT)が制定されていることから、高効率発電システムのさらなる開発が進められるものと考えられる。
【0004】
一般的な木質バイオマス発電においては、木質バイオマス燃料を燃焼させることによりボイラーにおいて高温の蒸気を生成し、生成した蒸気を用いてタービンを駆動することによって発電を行っている。ボイラーへの木質バイオマス燃料の供給は、例えば、ベルトコンベヤ(エプロンコンベヤなどを含む)、フライトコンベヤ(スクレーパコンベヤ)、バケットコンベヤなどによって行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−284182号公報
【特許文献2】特開2010−150045号公報
【特許文献3】特開2012−240832号公報
【特許文献4】特開2013−234020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
木質チップを燃料とするボイラーにおいて、コンベヤを用いて、地上付近から例えば10〜30mの高さにあるボイラー上部の燃料投入口へと木質チップを搬送することがある。この場合、木質チップの安息角(約40°程度)以下で搬送せざるを得ないベルトコンベヤを使用するときには急勾配な経路を設けることができず非常に長い距離で搬送する必要があり、そのために広大な敷地が必要になる。また、短いベルトコンベヤを乗り継いで搬送する方法も考えられるが、機器点数の増加や乗継部分でのトラブルが生じやすいなどの問題が生じる。
【0007】
これに対して、特許文献1には、安息角以上の角度で搬送物を高所まで搬送するコンベヤとして、バケット型のフライトコンベヤが記載されており、フライト(スクレーパ)として三角柱状の収容空間を有するバケットが用いられている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のバケット型フライトコンベヤは、粉粒体の搬送には有効であるものの、木質チップ、特に切削チップを搬送する場合、バケット底部とコンベヤ床面との間の隙間に切削チップがクサビ状に噛み込み、コンベヤモータの過負荷などの動作不良を生じさせるおそれがあった。
【0009】
また、急斜面の搬送に対応したコンベヤとしては、バケットコンベヤが知られている(例えば特許文献2〜4)。しかしながら、バケットコンベヤは、粉状物や粒状物の搬送には適するものの、木質チップのような形状が複雑で比較的大きな燃料の多量の搬送には適しておらず、バケットにより機器重量が重くなり、搬送に要する動力が大きくなるという問題があった。
【0010】
さらに、バケットコンベヤに破砕チップを投入した場合、バケット内に収まらない破砕チップが盛り上がった状態で搬送されて傾斜部などで詰まりを生じたり、バケット内に詰まったまま排出されないことがある。また、バケット内に詰まった破砕チップが、リターン時にコンベヤテール部に押し固まり、コンベヤの動作不良が生じることがあった。
【0011】
なお、木質チップには、杉などの原木をハンマー状の粉砕機で細かく砕いて形成された「破砕チップ」と、回転刃で薄く小さくスライスして切り刻むことで形成された「切削チップ」とがある。それぞれのチップのサイズは任意に設定されてよいが、厚さおよび幅は4〜45mm程度、長さは150mm未満のものが主流である。
【0012】
破砕チップは、細長い形状を有するとともに木の繊維が残りやすいために、チップ同士が絡まりやすいという性質がある。そのため、バケットコンベヤのような連続するバケットには収容しにくい。一方、切削チップはチップ同士の絡まりがなくハンドリング性が良好な燃料であるが、粒状物のように安息角が小さくて、こぼれやすいという性質がある。
【0013】
このように、従来のフライトコンベヤでは、切削チップが、フライト先端とコンベヤケース底面との間の隙間に噛み込んで動作不良が生じるおそれがあり、また、従来のバケットコンベヤは多量の破砕チップを搬送しづらいものであったことから、既存のコンベヤにおいて破砕チップと切削チップとの両方を効率よく搬送することが困難であった。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、木質バイオマス燃料、特に木質チップを搬送するために好適に用いられるフライトコンベヤおよびこれを備えた発電装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態によるフライトコンベヤは、コンベヤケースと、前記コンベヤケース内に収容されたチェーンベルト部材および前記チェーンベルト部材の駆動機構と、前記チェーンベルト部材に間隔を開けて固定された複数のフライトとを備え、前記複数のフライトが上部リターン式で循環するフライトコンベヤであって、前記複数のフライトのそれぞれは、前記コンベヤケースの内底面の近傍に配置され、前記コンベヤケースの内底面に対して90°未満の第1の角度で前傾する第1板状部分と、前記第1板状部分よりも前記コンベヤケースの内底面から離れた位置に配置され、前記コンベヤケースの内底面に対して前記第1の角度よりも小さい第2の角度で前傾する第2板状部分とを含み、前記第1板状部分と前記第2板状部分と前記コンベヤケースの内底面とによって囲まれた空間内に収容された搬送物が、前記コンベヤケースの内底面と接した状態でより高い位置まで搬送される。
【0016】
ある実施形態において、前記コンベヤケースは、水平方向に延びる水平部と、傾斜方向に延びる傾斜部とを有し、前記搬送物は、前記コンベヤケースの内底面と接した状態で前記水平部および前記傾斜部を連続的に搬送される。
【0017】
ある実施形態において、前記傾斜部は、前記水平方向に対して40°以上の角度で延びている。
【0018】
ある実施形態において、前記第1板状部分の前記第1の角度は60°以上80°以下である。
【0019】
ある実施形態において、前記フライトは、前記第1板状部分および前記第2板状部分を挟む一対の側板を有し、前記一対の側板のそれぞれは、前記第2板状部分の端部を超えて外側に突き出すように形成されている。
【0020】
ある実施形態において、前記一対の側板は、前記第1板状部分の断面および前記第2板状部分の断面を辺の一部として含む平行四辺形状の形状を有している。
【0021】
ある実施形態において、前記第1板状部分の端部背面側にアングル状の補強部材が設けられている。
【0022】
ある実施形態において、前記第1板状部分と前記第2板状部分とがなす角度が100°以上140°以下である。
【0023】
ある実施形態において、前記搬送物は、木質チップである。
【0024】
本発明の実施形態による発電装置は、燃料受入部から受け取った前記木質チップを搬送するように構成された上記いずれかのフライトコンベヤと、前記フライトコンベヤによって搬送された前記木質チップを収容するホッパーを有する燃料投入機構とを備える燃料供給装置と、前記燃料供給装置によって前記木質チップが供給される燃焼室および前記燃焼室に関連付けられたボイラーと、前記ボイラーによって駆動されるタービンとを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態にかかるフライトコンベヤによれば、木質チップをより高所にまで適切に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態によるフライトコンベヤを備える燃料供給装置(発電装置の一部)を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態によるフライトコンベヤにおいて一対のチェーン間にフライトが取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態において、コンベヤケースに収容されたチェーン部材およびフライトを示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態において、チェーン部材に取り付けられた状態のフライトを示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態において、フライトを示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態において、水平部において燃料を搬送するフライト示す側面図である。
【
図7】本発明の実施形態において、傾斜部において燃料を搬送するフライト示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態によるフライトコンベヤ10を備えた例示的な燃料供給装置100を示す模式図である。燃料供給装置100は、破砕チップや切削チップなどの木質チップをボイラーの燃焼室に供給するように構成されている。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の燃料供給装置100は、燃料受入部1に接続されたフライトコンベヤ(供給搬送路)10と、フライトコンベヤ10によって搬送された搬送物としての燃料5をボイラーの燃焼室に投入するための燃料投入機構20と、燃料投入機構20に燃料を押込み供給するための押込み搬送路30と、燃料投入機構20のホッパー22に収容しきれなかった余剰燃料を押込み搬送路30から燃料受入部1に戻すための循環搬送路40とを備えている。
【0030】
燃料受入部1は例えば上面開放の貯蔵設備である。燃料受入部1には、例えばホイールローダなどによって燃料5(ここでは木質チップ)が投下され貯蔵される。また、
図1に示すように、燃料受入部1は、底面に設けられた任意の搬送手段3を用いて、フライトコンベヤ10へと燃料を適宜搬出できるように構成されていてもよい。
【0031】
高所への搬送手段として設けられたフライトコンベヤ10は、中空のコンベヤケース12を有し、コンベヤケース12の内側において、下方に配置された燃料受入部1から排出された燃料5を、例えば10m〜30m上方にまで移送することができる。フライトコンベヤ10およびコンベヤケース12は、水平方向に延びる水平部12aと傾斜方向に延びる傾斜部12bとを有しており、燃料5は、水平部12aおよび傾斜部12bを連続的に搬送される。
【0032】
燃料投入機構20には、ホッパー22が設けられており、ホッパー22に投入・充填された燃料5は、下方にそれぞれ設けられた投入コンベヤ24によって供給量が調整されながら、ボイラーの燃焼室へと送られる。燃焼室への燃料の供給量は、投入コンベヤ24の速度を制御することによって調整することが可能である。
【0033】
また、押込み搬送路30は、フライトコンベヤ10によって移送された燃料5を受け取り、これをホッパー22に押込み供給するとともに、余剰な燃料を循環搬送路40に排出するように構成されている。押込み搬送路30は、例えば、チェーンコンベヤの搬送面に複数の矩形板状の羽根部材が間隔を開けて設けられたものであってよく、フライトコンベヤ10から供給された燃料は、移動する羽根部材によってホッパー22の上面開口に押し込まれる。また、余った燃料5は羽根部材によって擦切られるようにしてホッパー22の開口上を通過し、その後、循環搬送路40に投下される。
【0034】
燃料供給装置100によって燃料5が供給されるボイラー(図示せず)では、燃焼によって蒸気(典型的には高温水蒸気)が生成され、この蒸気は蒸気タービンを駆動するために利用される。
【0035】
なお、本発明の実施形態による発電装置は、本実施形態のフライトコンベヤ10を備えた燃料供給装置と、燃料供給装置によって木質チップが供給される燃焼室を有するボイラーと、ボイラーによって駆動されるタービンとを備えている限り、種々の態様を有し得る。ボイラーおよびタービンは、公知の発電装置あるいは焼却装置において用いられているものであってよく、ボイラーの燃焼室は、例えばストーカ式の燃焼室であってもよいし流動層式の燃焼室であってもよい。また、本実施形態の発電装置は、ボイラーで生成した蒸気を用いて発電するとともに、燃焼室からの飛灰を含む排ガスをバグフィルタなどの集塵機で清浄化し、排気筒(煙突)を介して外に排出するように構成されている。集塵機の上流側には減温塔などが設けられていてもよいし、集塵機の下流側には誘引ファンが設けられていてもよい。
【0036】
上記の構成を有する燃料供給装置100において、ホッパー22には使用量に見合う燃料が常に供給されるとともに、マテリアルシール、つまり、燃料がシール材として機能する状態が実現されている。これによって、燃焼室の外部に対する気密性が保たれ、安定した燃焼工程を実行することができる。また、本願出願人による特願2016−39591号に開示されているように、換気または排気機構を設けてフライトコンベヤ10内のガスを換気または排気するようにしてもよい。このような技術を適用すれば、燃焼室に投入される木質チップに含まれる水分を低減することができ、燃焼効率を向上させることができる。また、換気によって搬送路の経年劣化を抑制し、燃料供給装置の耐用年数を向上させて、メンテナンスにかかる費用を低減することができる。なお、燃料供給装置100は、フライトコンベヤ10を備える限り上記の構成に限られるものではなく、例えば、押込み搬送路30や循環搬送路40を備えていなくてもよい。
【0037】
以下、本実施形態によるフライトコンベヤ10(上部リターン式鋼製フライトコンベヤ)のより具体的な構成を説明する。
【0038】
図2は、水平部12aおよび傾斜部12bを含むフライトコンベヤ10の全体を示す模式的な図である。水平部12aは地上付近で水平方向に沿って延びる部分であり、傾斜部12bは、地上付近からより高所に向かって傾斜方向に沿って延びる部分である。傾斜部12bが水平方向に対してなす角度Aは40°以上であることが好適であり、より好適には40°〜65°である。
【0039】
フライトコンベヤ10のコンベヤケース12内には、チェーン、ベルト、ワイヤなどの無端可撓性部材であるチェーンベルト部材14(ここではチェーン部材14)およびチェーンベルト部材14の駆動機構15(ここではスプロケット15)が収容されている。また、チェーン部材14には、後述するように間隔を開けて複数のフライト16(
図4など)が固定されており、複数のフライトが上部リターン式で循環するフライトコンベヤが構成されている。
【0040】
チェーン部材14は、水平部12aおよび傾斜部12bを含むコンベヤケース12内の全体にわたって延びるように配置されている。また、スプロケット15は、フライトコンベヤ10の少なくとも一端において配置されており、回転機を用いてスプロケット15を回転させることによって、チェーン部材14およびフライトをコンベヤケース12に沿って移動させることができる。なお、図には示していないが、例えば、水平部12aと傾斜部12bとの接続部において、チェーン部材14を支持し所望の方向にガイドするための滑車や歯車などが設けられていてもよいことは言うまでもない。
【0041】
フライトコンベヤ10において、地上付近に設けられた投入部10Aから投入された燃料(木質チップ)は、チェーン部材14に固定された複数のフライトによって、水平部12aおよび傾斜部12bを連続的に移送され、例えば10m〜30m程度上方のより高い位置まで運ばれる。そして、フライトコンベヤ10の上端部、高所に設けられた排出部10Bにおいて排出される。ここで、投入部10aは、フライトコンベヤ10の水平部12aに設けられた開口箇所であり、排出部10bは、フライトコンベヤ10の傾斜部12bの上端に設けられた開口箇所である。チェーン部材14に取り付けられた複数のフライトは、排出部10bにおいて燃料の搬送を終えた後、上部で折り返して水平部12aへと戻るように構成されている。
【0042】
図3は、フライトコンベヤ10のコンベヤケース12に収容されたチェーン部材14およびフライト16を示す平面図である。本実施形態において、チェーン部材14は、間隔を開けて平行に配された一対のローラーチェーン14a、14bによって構成されおり、複数のフライト16が、一対のローラーチェーン14a、14b間において搬送方向に間隔を開けて保持されている。フライト16の数および設置間隔は、フライトコンベヤ10の搬送路の長さなどに応じて適宜設定されてよいが、例えば100〜150個のフライト16が、30cm〜50cmの間隔でチェーン部材14に取り付けられる。
【0043】
図4は、水平部12aにおいてチェーン14aに取り付けられた状態のフライト16を示す側面図であり、
図5は、フライト16の斜視図である。
【0044】
図4および
図5に示すように、フライト16は、搬送方向D1に面する第1板状部分17Aおよび第2板状部分17Bと、これらを挟むように設けられた一対の側板18とを有している。また、第1板状部分17Aの端部背面側には、アングル状の補強部材19が設けられている。なお、本明細書において、搬送方向に面するとは、水平部12aにおいて、その板状部分の法線方向と搬送方向とが、平面視にて45°以下の角度をなすことを意味しており、本実施形態においては、第1板状部分17Aおよび第2板状部分17Bの法線方向は、平面視にて搬送方向と平行に(すなわち0°の角度をなすように)形成されている。一方で、一対の側板19の法線方向は、平面視にて搬送方向と直交している。
【0045】
図4に示すように、第1板状部分17Aは、コンベ
ヤケース12の内底面12sの近傍に配置される部分であり、
図5に示す幅方向D2(搬送方向D1と直交する方向)に沿って長く形成された矩形状の部分である。第2板状部分17Bは、第1板状部分17Aよりもコンベヤケース12の内底面12sから離れた位置に配置される部分であり、第1板状部分17Aと同様に、幅方向D2に沿って長く形成された矩形状の板状部分である。また、第2板状部分17Bは、第1板状部分17Aから屈折して搬送方向前方に傾くように設けられている。第1板状部分17Aおよび第2板状部分17Bの幅は、例えば100cm〜150cm程度であり、長さは、例えば30cm〜50cm程度であってよい。
【0046】
本実施形態において、第1板状部分17Aは、コンベヤケース12の内底面12sに対して、90°未満の第1の角度αで前傾するように設けられている。第1の角度αは、好適には60°以上80°以下であり、より好適には約70°である。一方、第2板状部分17Bは、コンベヤケース12の内底面12sに対して第1の角度αよりも小さい第2の角度βで前傾するように設けられており、第2の角度βは、例えば0°以上60°以下である。また、第1板状部分17Aと第2板状部分17Bとがなす第3の角度γは、例えば100°〜140°であり、好適には約120°である。
【0047】
第1板状部分17Aおよび第2板状部分17Bは、例えば、1枚の金属板を上記の第3の角度γで折り曲げることによって、これらが連続するように作製することができる。折り曲げの位置は、例えば、下端から2/3の位置に設定され、この場合、第1板状部分17Aの長さが第2板状部分17Bの長さの2倍になる。ただし、これに限られず、第1板状部分17Aおよび第2板状部分17Bは、2つの金属板を接続することによって形成されていてもよい。また、接続部において、第1板状部分17Aが第2板状部分17Bの端面の外側に延長する部分を有するとともに、第2板状部分17Bの端面と第1板状部分17Aの面上との間に開口部(スリットなど)が形成されていてもよい。
【0048】
図4および
図5に示すように、各側板18は、第1板状部分17Aの断面および第2板状部分17Bの断面を辺の一部として含む平行四辺形状の形状を有している。第1板状部分17Aおよび第2板状部分17Bの側端面に側板18を取り付けることによって、搬送に適した収容空間が得られるとともに、第1板状部分17Aおよび第2板状部分17Bの変形を抑制して上記の第1〜第3の角度α、β、γを維持させやすくなる。
【0049】
ここで、各側板18は、第2板状部分17Bの端部を超えて外側に突き出すように形成されている。このように、各側板18が第2板状部分17Bからの突出し部分(
図4において長さdで示す部分)を有していることによって、搬送中に第2板状部分17Bの端部から燃料がこぼれる場合であっても、各側板18が移動方向を規制することにより、こぼれた燃料が搬送方向に近い方向で後段のフライトに向かって移動する。したがって、左右方向へのこぼれの量を低減して、チェーンの浮き上がり等の発生による動作不良が生じる可能性を低下できる。
【0050】
図6および
図7は、それぞれ、水平部12aおよび傾斜部12bにおいて燃料を搬送する状態のフライト16を示す側面図である。
【0051】
図6に示すように、水平部12aにおいて、投入部10a(
図2参照)から投入された燃料5は、図中右方向(戻り方向D1’)に向かって進む上側のフライト16を滑り落ちて、あるいは、隣接するフライト16間の隙間を通して落下する。また、落下した燃料5は、コンベヤケース12の内底面によって支持され、さらに、図中左方向に向かって進む下側のフライト16によって、搬送方向D1に沿って搬送される。
【0052】
このとき、第1板状部分17Aと第2板状部分17Bとコンベヤケース12の内底面12sとによって囲まれた空間内に収容された燃料5は、コンベヤケース12の内底面12sと接した状態で搬送される。
【0053】
また、
図7に示すように、傾斜部12bにおいても、斜め上方に移動するフライト16によって燃料5を搬送することができ、このときにも、第1板状部分17Aと第2板状部分17Bとコンベヤケース12の内底面12sとによって囲まれた空間内に収容された燃料5が、コンベヤケース12の内底面12sと接した状態で搬送される。
【0054】
以上の構成を有するフライトコンベヤ10では、フライト16の傾斜を利用して燃料をコンベヤ底面に接した状態で押し付けながら搬送するため、木質チップの種類を問わずに、傾斜部を持つコンベヤであっても、効率よく搬送することができる。また、第1板状部分を、コンベヤ内底面に対して前方に傾斜させているので、木質チップが噛みこみにくく、仮にクサビ状に切削チップ等が噛みこんだとしても、フライトが比較的容易に浮き上がり、コンベヤに過負荷が生じにくい構造である。このため、運転を継続して行うことができる。
【0055】
また、側板18を突き出すように設けた態様においては、こぼれやすい切削チップを搬送する際にコンベヤチェーン側へのこぼれを抑制し(側面側より先に後段のフライト側にこぼれる)チェーンの浮き上がり等によるトラブルの発生を抑制することができる。
【0056】
また、補強部材19を設けた態様においては、一般的なフライトの部材よりも薄い材料を用いても十分な強度が得られる。したがって、軽量化やコスト削減を実現することができる。
【0057】
さらに、木質チップを燃料とするボイラーの場合、補助燃料として細かく丸い形状を有するPKSを混合して用いることが多いが、フライト16が受皿状の形状を有しているので、PKSも問題なく搬送することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、種々の改変が可能である。例えば、フライトとしては、第1板状部分と第2板状部分とが湾曲部分によって接続された断面円弧状のものを用いることもできる。また、幅方向中央部で屈曲し搬送方向後ろ側に突き出た形状のフライトを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の実施形態によるフライトコンベヤは、発電装置に備えられたボイラーに木質チップ燃料を搬送するためなどに好適に利用される。
【符号の説明】
【0060】
1 燃料受入部
3 搬送手段
5 燃料
10 フライトコンベヤ
12 コンベヤケース
12a 水平部
12b 傾斜部
14 チェーン部材(チェーンベルト部材)
15 スプロケット(駆動機構)
16 フライト
17A 第1板状部分
17B 第2板状部分
18 側板
19 補強部材
20 燃料投入機構
22 ホッパー
24 投入コンベヤ
30 押込み搬送路
40 循環搬送路
100 燃料供給装置