(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一インピーダンスと前記第二インピーダンスとの差異は、チャネル長、チャネルの高さ、チャネル幅、チャネル表面及びそれらの組み合わせからなる群より選択される第一チャネルと第二チャネルの特性の差異から生じる、請求項1に記載のデバイス。
圧力源と第一入口及び第二入口との間における接続を封止し、同じ圧力が前記第一入口と前記第二入口に伝わることができるように構成された圧力分岐管を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本発明は、小容積の粒子を製造する方法及びデバイスを提供する。
【0025】
一つの態様では、本発明は、治療物質を含む粒子を作る方法を提供する。
【0026】
別の態様においては、本発明は、治療物質を含む粒子を作るデバイスを提供する。
【0027】
他の実施態様として、本発明は、脂質ナノ粒子、リポソーム粒子、乳濁液又は他の脂質含有粒子を作る方法及びデバイスを提供する。
【0028】
他の実施態様として、本発明は、治療物質を含む脂質ナノ粒子、リポソーム粒子、乳濁液又は他の脂質含有粒子を作る方法及びデバイスを提供する。
【0029】
更なる態様において、本発明は、ポリマー粒子を作る方法及びデバイスを提供する。
【0030】
他の実施態様として、本発明は、治療物質を含むポリマー粒子を作る方法及びデバイスを提供する。
【0031】
他の実施態様として、本発明は、脂質、ポリマー、タンパク質、核酸及びその他の材料の組み合わせによって作られる粒子を作る方法及びデバイスを提供する。
【0032】
別の態様においては、本発明は、ポリマー、天然ポリマー、合成ポリマー、合成コポリマー、半合成ポリマー、ポリマー複合体、ポリマー治療物質複合体、ポリマー医薬複合体を含む粒子を作る方法及びデバイスを提供する。
【0033】
更なる態様において、本発明は、調査試薬を含む小容積の粒子を製造する方法及びデバイスをに提供する。
【0034】
他の実施態様として、本発明は、調査試薬を含む脂質ナノ粒子、リポソーム粒子、乳濁液又は他の脂質含有粒子を作る方法及びデバイスを提供する。
【0035】
本発明の更なる態様において、本発明の方法及び/又はデバイスによって作られた粒子を提供される。
【0036】
小容積の粒子を作る方法
一つの態様では、本発明は、小容積の粒子を作る方法を提供する。本明細書で用いられる「小容積」という用語は、2mL未満の容積、ある種の実施形態において1mL未満の容積を指す。本発明の方法は、何十マイクロリットル(例えば、50、100、150、200、250、300、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950μL)の容積の粒子を提供する。小容積は、物質をロスすることなくナノ粒子を調製する本発明のデバイス及び方法の性能を指す。例えば、本発明のデバイス及び方法は、物質をロスすることなく100uLのナノ粒子を製造することができる。デバイスに加える粒子形成物質(例えば、脂質)及び治療物質(例えば、RNA)の容積は、それぞれ約20uLである(残りの容積は、
図2及び3に示す追加のもの(例えば、デバイスの第三ウェル)における希釈緩衝液を表す)。
【0037】
一実施形態として、粒子を作る方法は、
(a) 第一溶媒を含む第一ストリームをチャネルに導入する導入ステップであって、
チャネルは、チャネルに導入される1又は複数のストリームを流すように構成された第一領域と、1又は複数のストリームの内容物を混合するための第二領域と、を含み、
第一溶媒は、治療物質を含み、任意に1又は複数の粒子形成物質を含む、導入ステップと、
(b) 1又は複数の粒子形成物質を含み、任意に第二溶媒の治療物質を含む第二ストリームをチャネルに導入して、第一及び第二ストリームを提供する導入ステップであって、
第一及び第二溶媒は、同じではない、導入ステップと、
(c) 1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームが、混合するための第二領域に実質的に同じ時刻で到着するように、1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームをチャネルの第一領域からチャネルの第二領域へ流すフローステップと、
(d) 1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームの内容物をチャネルの第二領域で混合して、粒子を含む第三ストリームを提供する混合ステップと、を有する。
【0038】
上記方法において、デッドボリュームは最小化され、そして、小容積の粒子の生産は混合前に実質的に同じ時間で第一及び第二ストリームを組み合わせることによって最大化される。この方法により、第一及び第二ストリームの各々の構成要素を含む粒子を有する混合容積は、最小化される。
【0039】
一実施形態において、1つのストリーム(例えば、第二溶媒(例えばエタノール)の粒子形成物質を含む第二ストリーム)は、チャネルに連続して導入され、流れるストリームは、もう1つのストリーム(例えば、治療物質を含む第一ストリームの個別の容積)の導入によって、第一及び第二ストリームを組み合わせた容積のプラグを作製するように中断される。そして、組み合わせた容積を混合して組み合わせ容積中に粒子が提供される。この方法では、組み合わせた容積が先行して、次に第二ストリームが続く。この方法では、治療物質を含む比較的有益な第一ストリームは、治療物質を含有する粒子の形成状況においては制限されており、粒子形成物質を含む第二ストリームは、過度に使用される。
【0040】
本発明の方法において、組み合わせられたストリーム(即ち、第一及び第二ストリーム)は、同じことでない。各ストリームの組成物は、変化することができ、ある種の実施形態において、それぞれは、治療物質及び粒子形成物質を含んでいてもよい。各ストリームの組成物は、ストリームが混合するまで粒子形成が発生しないことはいうまでもない。更に後述するように、第一及び第二ストリームのための溶媒は、混和性であり、粒子はそれらの混合で生産される。本願明細書に記載されているように、本発明の方法及びデバイスは、特に、一般の治療物質含有粒子及び特に小容積の治療物質含有粒子を作るのに有効である。
【0041】
ある種の実施形態では、上記方法は、以下の特徴を1又は複数更に含む:
(i) 1又は複数のフローチャネルに渡る所定の圧力損失によって、1又は複数のフローチャネルに所定の圧力の加えることによって、又は、その両方の組み合わせによって確立される規定の流量比で、チャネルの第一領域からチャネルの第二領域への1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームを流すステップ(
図2-5に示されるインピーダンスを参照)、
(ii) 粒子を作った後又はその間に、流体(ガス又は液体)を1又は複数の第一ストリーム及び/又は1又は複数の第二ストリームに流し、チャネルから第一及び第二ストリームを放出するステップ、
(iii) 所定の前方圧力に達して第一ストリームが第一チャネルに、そして、第二ストリームが第二チャネルに流れるまで、チャネルへのフロー(重力、ウィッキング又は毛管現象よるもの)を防止するのに十分な背圧を1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームに加えるステップ、
(iV) 所定の前方圧力に達して第一ストリームが第一チャネルに、そして、第二ストリームが第二チャネルに流れるまで、出力チャネルを物理的に遮断することによって第一及び第二チャネルへのフロー(重力、ウィッキング又は毛管現象によるもの)を防止するのに十分な背圧を確立するステップ、
又は、
(V) 入力又は出力バルブを使用して、チャネルの第一領域から第二領域への1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームのフローのタイミングを確実にするステップ(例えば、第一チャネルは、第一チャネルへの第一ストリームのフローの調節に有効な第一入力バルブを更に備え、第二チャネルは、第二チャネルへの第二ストリームのフローの調節に有効な第二入力バルブを更に備え、及び/又は、出力チャネルは、第一及び第二ストリームへのそれぞれの第一及び/又は第二ストリームのフローの調節に有効な出力バルブを更に備える)。
例えば、
図6を参照。
【0042】
上記方法のある種の実施形態において、第一ストリーム又は第二ストリームが他に入るところがなくチャネルの第二領域に入るタイミングは、最小化され、流体を共に混合することは、最大化される。流体が流れるタイミングは、バルブ、圧力、インピーダンス整合又はタイミングを成し遂げる任意の他の方法を使用して成し遂げてもよい。
【0043】
上記方法のある種の実施形態において、第一及び第二ストリームの内容物は、カオス的移流、乱流混合、噴出、渦方法及び、撹拌によって混合することができる。混合は、能動的混合デバイス又は受動的混合デバイスによって成し遂げてもよい。混合は、連続フロー形式又は規定の容積形式にて起こしてもよい。混合は、ヘリンボーンミキサー、ジグザグミキサー、マイクロジェットミキサー、マイクロ渦ミキサー、テスラミキサー、ティアドロップミキサー、泡ミキサー、アコースティックストリーミングを含むマイクロ流体工学的ミキサーを使用して成し遂げてもよい。混合は、T-ミキサー、Y-ミキサー、W-ミキサー及び混合管を含む巨大なミキサーを使用して成し遂げてもよい。
【0044】
上記方法のある種の実施形態において、1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームの内容物を混合するステップには、1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームの濃度又は相対的混合速度を変化させるステップが含まれる。フロー配分を異ならせることは、第一及び第二ストリームに加える、フローに加える圧力差によって可能であったり、フローチャネルを通る圧力損失の差異によって可能であったり、チャネルインピーダンスの差異によって可能であったり、その組み合わせによって可能であったりしてもよい。チャネルの高さ、幅、長さ又は表面特性を変化させることによるチャネルのインピーダンスの差異は、種々の流速を成し遂げるために用いてもよい。1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームにおける流体表面張力、粘度及びフローに関する他の表面特性を使用して又は考慮して種々の流速を成し遂げてもよい。
【0045】
上記方法のある種の実施形態において、粒子の製造の後又はその間に、チャネルの第一領域からチャネルの第二領域へ、流体又はガスを1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームに流して、第一ストリーム及び第二ストリームが放出される。この方法の下で、第一及び第二チャネルを完全に清浄又は部分的に清浄してもよい。ガス(例えば空気、窒素、アルゴン又は他のガス)を用いてもよい。水、水溶性緩衝液、エタノール、オイル又は任意の他の液体を含む液体を用いてもよい。
【0046】
上記方法のある種の実施形態においては、背圧を加えて1又は複数の第一ストリームのフローを確実し、チャネルの第一領域から第二領域への1又は複数の第二ストリームを初期の所望の入力圧力が成し遂げられるまで制限する。これは、圧力を出口チャネルに加えること(入力チャネルに対して陰圧)によって成し遂げてもよい。これは、最終的な粒子溶液に必要であっても必要でなくてもよい流体を出口貯蔵部にロードすることによって成し遂げてもよい。
【0047】
上記方法のある種の実施形態において、流体汚物を最小化する方法にて流体をデバイスに導入する。これは、デバイスに流体をピペットで加えること、デバイスから流体をピペットで排出すること、デバイスをシリンジに接続することによって成し遂げてもよい。
【0048】
別の実施形態において、本発明は、粒子を作る方法であって、
(a) 第一溶媒を含むストリームをチャネルに導入するステップであって、
チャネルは、チャネルに導入される1又は複数のストリームを流すように構成された第一領域を含む、ステップと、
(b) チャネルを通じて第二溶媒を含む貯蔵部への第一ストリームを導くステップと、を有し、
貯蔵部への第一ストリームを導くステップは、第一ストリームの内容物と貯蔵部の内容物とを混合して粒子を提供するステップを含む、方法を提供する。
【0049】
この実施形態は、
図4及び5に示されている。
【0050】
本実施形態において、ストリーム並びに貯蔵部第一及び第二ストリームは、上述の方法の通りである。第一及び第二溶媒は、同じであり且つ混和性である。ストリーム及び貯蔵部は、同じではでなく、各々は、治療物質及び粒子形成物質を含んでいてもよい。一実施形態において、ストリームは、第一溶媒(エタノール)及び粒子形成物質を有し、貯蔵部は、第二溶媒(水溶性)と治療物質を有している。別の実施形態において、ストリームは、第一溶媒(水溶性)及び治療物質を有し、貯蔵部は、第二溶媒(エタノール)と粒子形成物質とを有している。
【0051】
上記方法のこの実施形態のある種の実施形態において、上記方法は、上述の特徴(i)-(v)の1又は複数を更に有する。
【0052】
小容積の粒子を作るデバイス
別の態様においては、本発明は、小容積の粒子を生産するデバイスを提供する。ある種の実施形態では、デバイスは、本発明の方法を実行するのに有効である。
【0053】
一実施形態として、本デバイスは、
(a) 第一溶媒を含む第一溶液を受け入れるための第一ウェルと、
(b) 第一ウェルと流体連通している第一チャネルと、
(c) 第二溶媒を含む第二溶液を受け入れるための第二ウェルと、
(d) 第二ウェルと流体連通している第二チャネルと、
(e) 第一及び第二チャネルを通じて第一及び第二ウェルからそれぞれ流れた第一及び第二ストリームを受け入れるための第三チャネルであって、
第三チャネルは、粒子を含む第三ストリームを提供するために、チャネルに導入される第一及び第二ストリームを流すように構成された第一領域と、第一及び第二ストリームの内容物を混合するように構成された第二領域を備える、第三チャネルと、
(f) 粒子を含む第三ストリームを受け入れるための第三ウェルと、を備える。
【0054】
この実施形態は、
図2、3及び6-8に示されている。
【0055】
本発明のデバイスが1又は複数の第一ウェル、1又は複数の第一チャネル、1又は複数の第二ウェル、1又は複数の第二チャネル、1又は複数の第三チャネル及び1又は複数の第三ウェルを備えることができることはいうまでもない。
【0056】
一実施形態として、デバイスは、第三ストリームを希釈して、安定化された粒子を含む希釈されたストリームを提供する手段を更に備える。
【0057】
別の実施形態において、デバイスは、
(a) 第一溶媒を含む第一溶液を受け入れるための第一ウェルと、
(b) 第一ウェルと流体連通している第一チャネルと、
(c) 第二溶媒を含む第二溶液を受け入れるための第二ウェルと、を備え、
第二ウェルは、第一チャネルを通じて第一ウェルから流れる第一ストリームを更に受け入れ、
第二ウェルは、粒子を含む第三溶液を提供するために、第一ストリームの内容物と第二ウェルの第二溶液を混合するように構成されている。
【0058】
この実施形態は、
図4及び5に示されている。
【0059】
本発明のデバイスが1又は複数の第一ウェル、1又は複数の第一チャネル及び1又は複数の第二ウェルを備えることができることはいうまでもない。
【0060】
ある種の実施形態では、本発明のデバイスは、マクロ流体工学的又はマイクロ流体工学的デバイスである。ある種の実施形態では、第一及び第二ストリームは、カオス的移流、乱流混合、噴出、渦方法、泡混合、マイクロ音響流、撹拌又は他の混合方式によって混合することができる。混合は、動的混合デバイス又は受動的な混合デバイスによって成し遂げることができる。混合は、連続フロー形式又は規定の容積形式にて起こしてもよい。混合は、ヘリンボーンミキサー、ジグザグミキサー、マイクロジェットミキサー又はマイクロ渦ミキサーを含むマイクロ流体工学的ミキサーを使用して成し遂げてもよい。混合は、T-ミキサー、Y-ミキサー又はW-ミキサーを含む巨大なミキサーを使用して成し遂げてもよい。
【0061】
ある種の実施形態では、本発明のデバイスは、1又は複数のマイクロチャネル(即ち、その最大寸法が1ミリメートル未満のチャネル)を備えるマイクロ流体工学的デバイスである。一実施形態として、マイクロチャネルは、約20から約400μmの流体力学的直径を有する。ある種の実施形態では、マイクロチャネルは、2つの領域:少なくとも2つのストリーム(例えば、1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリーム)を受け入れて、これらをデバイスへ流すための第一領域を有する。第一及び第二ストリームの内容物は、マイクロチャネルの第二領域で混合される。一実施形態として、マイクロチャネルの第二領域は、主フロー方向を有し、1又は複数の表面は、そこで規定される少なくとも一つの溝又は突出物を有し、溝又は突出物は、主方向に対して角度を形成する配向を有する(例えば、ジグザグヘリンボーンミキサー)(米国特許出願公開番号第2004/0262223号に説明している通りであり、これは、その全部を本願明細書に明確に引用する)。一実施形態として、マイクロチャネルの第二領域は、浅浮き彫り構造を備える。最大混合速度を成し遂げるために、混合領域の前で過度の流体抵抗を回避することは有利である。従って、本発明の一実施形態は、寸法が1000ミクロン超の非マイクロ流体工学的チャネルを用いて流体を単一の混合チャネルに送達するデバイスである。
【0062】
ある種の実施形態において、第一及び第二ストリームの混合は、第一及び第二ストリームの濃度及び相対的流速を変化させるための手段で達成することもできる。フロー配分を異ならせることは、第一及び第二ストリームに加える、フローに加える圧力差によって可能であったり、フローチャネルを通る圧力損失の差異によって可能であったり、チャネルインピーダンスの差異によって可能であったり、その組み合わせによって可能であったりしてもよい。チャネルの高さ、幅、長さ又は表面特性を変化させることによるチャネルインピーダンスの差異を種々の流速を成し遂げてもよい。1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームにおける流体表面張力、粘度及びフローに関する他の表面特性を使用して又は考慮して種々の流速を成し遂げてもよい。
【0063】
ある種の実施形態では、デバイスは、システムの全体又は一部を清浄して汚物容積を最小化する手段を更に備える。粒子の製造の後又はその間に、デバイスは、チャネルの第一領域からチャネルの第二領域へ、流体又はガスを1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームに流して、第一ストリーム及び第二ストリームを放出することができる。この方法の下で、第一及び第二チャネルを完全に清浄又は部分的に清浄してもよい。ガス(例えば空気、窒素、アルゴン又は他のガス)を用いてもよい。水、水溶性緩衝液、エタノール、オイル又は任意の他の液体を含む液体を用いてもよい。
【0064】
ある種の実施形態では、デバイスは、背圧を加えて1又は複数の第一ストリームのフローを確実し、チャネルの第一領域から第二領域への1又は複数の第二ストリームを初期の所望の入力圧力が成し遂げられるまで制限することができる。これは、圧力を出口チャネルに加えること(入力チャネルに対して陰圧)によって成し遂げてもよい。これは、最終的な粒子溶液に必要であっても必要でなくてもよい流体を出口貯蔵部にロードすることによって成し遂げてもよい。
【0065】
ある種の実施形態では、デバイスは、流体汚物を最小化する方法にて流体をデバイスに導入するように設計されている。これは、デバイスに流体をピペットで加えること、デバイスから流体をピペットで排出すること、デバイスをシリンジに接続することによって成し遂げてもよい。
【0066】
ある種の実施形態では、デバイスは、マイクロ流体工学的であり、マイクロ加工されたエラストマーのマスターを用いた柔らかい平版での複製成形によって生産される。デバイスは、2つの入口(上述の通り作成された溶液の各々のもの)及び1つの出口を備える。マイクロ流体工学的デバイスは、加工されたエラストマーのマスターを用いた柔らかい平版での複製成形によって生産された。一例として、デバイスの特徴は、チャネルの上側に高さがおよそ25μm、厚さが50μmの造形によって形成されたヘリンボーン構造を有する幅が200μm、高さがおよそ70μmの混合チャネルである。デバイスは、75×25×1.5mmのガラススライドに酸素プラズマ処理を使用して封止した。他の例として、より小さい(120μm幅)又はより大きい(300μm幅)関連相対的寸法及び幅を有するデバイスが挙げられる。入力及び出力ポートは、デバイスに穿設される。
【0067】
第二の実施態様においては、デバイスは、マイクロ流体工学的で、硬質熱可塑性プラスチック(例えば、環状オレフィン共重合体)からを製造される。CNCミルを用いてネガティブツールを機械加工し、射出成形を使用してデバイスを形成する。チャネル寸法は、垂直面に対して1度から5度の範囲の抜き勾配を保持している。成形品は、これに限定されるものではないが、ラミネーション、溶剤接着、熱加圧及びそれらの組み合わせを含む様々な技術を使用して、空の素地に封止する。接着されたデバイスをアニールして生産プロセス由来の残留応力を取り除く。一旦形成されると、デバイスは、エラストマーデバイスと同一の方法でカスタム機器に取り付けて使用される。
【0068】
最大混合速度を成し遂げるために、混合領域の前で過度の流体抵抗を回避することは有利である。従って、本発明の一実施形態は、寸法が1000ミクロン超の非マイクロ流体工学的チャネルを用いて流体を単一の混合チャネルに送達するデバイスである。粒子を生産するためのこのデバイスは、
(a) いくつかの溶液を含む又は溶媒を含まない且つ溶媒を含む第一溶液並びに第二溶媒中に粒子構成要素を含む第二溶液を受け入れるための単一の入口チャネルと、
(b) 第一及び第二ストリームの内容物を混合して粒子を含む第三ストリームを提供するように構成された第二領域と、を備える。
【0069】
かかる実施形態では、第一及び第二ストリームは、マイクロ寸法を有していない1又は2のチャネル(例えば、1000μmより大きい(例:1500又は2000μm又は2000μm超)寸法を有する1又は複数のチャネル)によって又は単一の入口によってチャネルに導入される。これらのチャネルは、近接又は同軸マクロサイズチャネルを使用する入口チャネルに導入してもよい。
【0070】
本発明のデバイスに関する上記記述において、溶媒及びストリームの組成物は、本発明の方法の上記の通りである。
【0071】
ある種の実施形態では、デバイスは、本願明細書に記載されている構成要素を備え、そして、追加の構成要素を備えていてもよい。これらの実施形態では、デバイスは、特定の構成要素を「備える」。他の実施態様において、デバイスは、本願明細書に記載されている構成要素を備え、デバイスの特徴を変えない(例えば、デバイスに関する本発明の態様を変える構成要素を含まない)追加の構成要素を備えていてもよい。これらの実施形態では、デバイスは、特定の構成要素「から実質的になる」。更なる実施形態において、デバイスは、本願明細書に記載されている構成要素だけを備え、他のものを備えていない。これらの実施形態では、デバイスは、特定の構成要素「からなる」。
【0072】
方法及びデバイスを使用して生産される粒子
本発明の更なる態様において、本発明の方法及び/又はデバイスによって作られる粒子が提供される。
【0073】
上記方法及びデバイスのある種の実施形態においては、上記方法及びデバイスを用いて直径<100nmの粒子が製造される。上記方法及びデバイスのある種の実施形態においては、方法及びデバイスを用いて直径>100nm及び<1000nmの粒子が製造される。上記方法及びデバイスのある種の実施形態においては、上記方法及びデバイスを用いて直径>1000nmの粒子が製造される。
【0074】
上記方法において、粒子は、粒子形成物質を含む1又は複数の溶液、ストリーム又は貯蔵部から形成される。粒子形成物質に加えて、上記方法は、ゼロ、1又は複数の脂質構成要素;ゼロ、1又は複数のポリマー構成要素;ゼロ、1又は複数のタンパク質構成要素;ゼロ、1又は複数のオリゴヌクレオチド構成要素;又は、ゼロ、1又は複数の脂質構成要素の任意の組み合わせを含む溶液、ストリーム及び貯蔵部を利用する。
【0075】
ある種の実施形態では、第一溶媒(例えば、治療物質含有溶液)としては、水溶性緩衝液(例えばクエン酸及び酢酸緩衝液)又は有機溶媒(例えば水溶性エタノール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酸及びアルコール、及びアセトニトリル90%)を挙げることができる。粒子の分子構成要素は、第一ストリームに含まれていてもよく含まれていなくてもよい。
【0076】
ある種の実施形態では、第二溶媒は、第一溶媒と混和性である。適切な溶媒としては、水溶性緩衝液(例えばクエン酸及び酢酸緩衝液)又は有機溶媒(例えば水溶性エタノール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酸及びアルコール、及びアセトニトリル90%)を挙げることができる。
【0077】
ある種の実施形態では、粒子は、比較的迅速な混合速度及び速い流速を利用するマイクロ流体工学的プロセスで形成される。迅速な混合速度は、サイズ、均一性、カプセル化効率を含む有利な特性を有する粒子を提供する。本発明の方法の実行において使用する混合速度は、約100μ秒から約20m秒の範囲である。代表的な混合速度として、約0.5から約20m秒が挙げられる。
【0078】
本発明の1つの用途においては、本方法及びデバイスを用いて生理活性薬剤を含む脂質粒子を作る。上記方法及びデバイスにおいて、第一溶媒中のポリ核酸を含む第一ストリーム及び第二溶媒中の脂質粒子形成物質を含む第二ストリームは、チャネルに導入され、カプセル化された治療薬剤を有する脂質粒子を含む第三ストリームを提供し、上記チャネルは、上記ストリームを受け入れてその中に導入されたストリームを流すように構成された第一領域及び2つのストリームの内容物を混合するための第二領域を有する。
【0079】
一つの態様では、本発明は、治療薬剤を含む脂質粒子を作る方法を提供する。一実施形態として、上記方法は、
(a) 第一溶媒中のポリ核酸を含む第一ストリームをチャネルに導入するステップであって、
チャネルは、チャネルに導入される1又は複数のストリームを流すように構成された第一領域と、1又は複数のストリームの内容物を混合するための第二領域と、を含む、ステップと、
(b) 第二溶媒中の脂質粒子形成物質を含む第二ストリームをチャネルに導入して第一及び第二ストリームのフローを提供するステップであって、
脂質粒子形成物質は、イオン化脂質を含み、第一溶媒と第二溶媒は、同じはない、ステップと、
(c) チャネルの第一領域からチャネルの第二領域へ、1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームを流すステップと、
(d) チャネルの第二領域中を流れている1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームの内容物を混合して、カプセル化されたポリ核酸を有する脂質粒子を含む第三ストリームを提供するステップと、を有する。
【0080】
この実施形態のある種の実施形態において、上記方法は、上述の特徴(i)-(v)の1又は複数を更に有する。
【0081】
第一及び第二ストリームの内容物は、カオス的移流によって混合することができる。一実施形態として、1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームの内容物を混合するステップは、1又は複数の第一ストリーム及び1又は複数の第二ストリームの濃度又は相対的混合速度を変化させるステップを含む。
【0082】
カプセル化されたポリ核酸を有する脂質粒子を含む第三ストリームを安定化させるために、上記方法は、第三ストリームを水溶性緩衝液で希釈するステップを更に含むことができる。一実施形態として、第三ストリームを希釈するステップは、第三ストリーム及び水溶性緩衝液を第二混合構造に流すステップを含む。別の実施形態において、カプセル化されたポリ核酸を有する脂質粒子を含む水溶性緩衝液は、第二溶媒の量を減らすために透析される。
【0083】
第一ストリームは、第一溶媒のポリ核酸を含む。好適な第一溶媒には、ポリ核酸が可溶性であり第二溶媒と混和性である溶媒が含まれる。好適な第一溶媒には、水溶性緩衝液が含まれる。代表的な第一溶媒には、クエン酸及び酢酸緩衝液が含まれる。
【0084】
第二ストリームは、第二溶媒中の脂質粒子形成物質を含む。好適な第二溶媒には、イオン化脂質が可溶性であり第一溶媒と混和性である溶媒が含まれる。好適な第二溶媒には、水溶性アルコールが含まれる。代表的な第二溶媒には、90%の水溶性エタノールが含まれる。
【0085】
本発明の方法は、ポリ核酸のカプセル化効率が約60%から約100%である。ある種の実施形態では、ポリ核酸のカプセル化効率が約100%である。
【0086】
更なる態様において、本発明は、本発明の方法及び/又はデバイスによって作られる脂質粒子を提供する。本発明の脂質粒子は、直径が約30から約200nmである。一実施形態として、脂質粒子は、直径が約80nmである。
【0087】
長所として、脂質粒子は、約1から約5モルパーセントのPEG脂質、PEG系界面活性剤、又は、他の安定化剤を含む。一実施形態として、脂質粒子は、約1.5モルパーセントのPEG脂質を含む。一実施形態として、脂質粒子は、約1-10モルパーセントの界面活性剤を含む。一実施形態として、脂質粒子は、約2.5モルパーセントの(界面活性剤のような)安定化剤を含む。
【0088】
定義
脂質ナノ粒子
一つの態様では、本発明は、アニオン性巨大分子を含む脂質ナノ粒子を提供する。脂質ナノ粒子は、1又は複数のカチオン性脂質、1又は複数の第二脂質及び1又は複数の核酸を含む。
【0089】
カチオン性脂質
脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を含む。本明細書で使用する「カチオン性脂質」という用語は、カチオン性である脂質、又は、pHが脂質のイオン性基のpKを下回る(しかしながら、pHの値が高いと徐々に中性となる)とカチオン性になる(プロトン化した)脂質を指す。pKより低いpHの値で、脂質は、負に荷電する核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)と結合可能である。本明細書で使用する「カチオン性脂質」という用語は、pH減少で正の電荷をとる両性イオン性脂質を含む。
【0090】
「カチオン性脂質」という用語は、選択的なpH(例えば、生理的pH)で正味正の電荷を帯びた多くの脂質種のいずれかを指す。かかる脂質としては、限定するものではないが、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウム塩化物(DODAC);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩化物(DOTMA);N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウム臭化物(DDAB);N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩化物(DOTAP);3-(N--(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol);そして、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム(DMRIE)が挙げられる。加えて、カチオン性脂質の多くの市販製剤は、利用可能であり、それを本発明に用いることができる。これらとしては、例えば、リポフェクチン(登録商標)(DOTMA及び1,2-ジオレイル-ステーヌ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE) (GIBCO/BRL、グランドアイランド、N.Y.)を含む商業的に入手可能なカチオン性リポソーム);リポフェクタミン(登録商標)(N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタト(DOSPA)及び(DOPE) ( GIBCO/BRL)を含む商業的に入手可能なカチオン性リポソーム);そして、トランスフェクタム(登録商標)(エタノール中のジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)(プロメガ社、マディソン、ウィスコンシン)を含む商業的に入手可能なカチオン性脂質)が挙げられる。以下の脂質は、カチオン性であり、生理的pH下で正の電荷を有する:DODAP、DODMA、DMDMA、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,17-ビス(2-オクチルシクロプロピル)ヘプタデカン-9-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート。
【0091】
一実施形態として、カチオン性脂質は、アミノ脂質である。本発明において有効な好適なアミノ脂質には、(本願明細書で完全に引用する)WO 2012/016184 に記載されているものが含まれる。代表的なアミノ脂質としては、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-SDMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、そして、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)が挙げられる。
【0092】
好適なアミノ脂質としては、
【化1】
であって、
R
1及びR
2は、同一又は異なるものであり、他と関係なく任意に置換C10-C24アルキル、任意に置換C10-C24アルケニル、任意に置換C10-C24アルキニル又は任意に置換C10-C24アシルであり、
R
3及びR
4は、同一又は異なるものであり、他と関係なく任意に置換C1-C6アルキル、任意に置換C2-C6アルケニル又は任意に置換C2-C6アルキニルである、
又は、
R
3及びR
4は結合して、窒素及び酸素から選択される1つ又は2つのヘテロ原子及び4から6の炭素原子の任意の置換複素環を形成していてもよく、
R
5は、存在又は非存在であり、存在している場合は、水素又はC1-C6アルキルであり、
m、n及びpは、同一又は異なるものであり、m、n及びpが同時に0でないという条件で他と関係なく0又は1であり、
qは、0、1、2、3、又は4であり、
Y及びZは、同一又は異なるものであり、他と関係なくO、S又はNHである、化学式のものが挙げられる。
【0093】
別の実施形態において、カチオン性脂質は、
【化2】
であって、
R
1及びR
2は、他と関係なくそれぞれH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロサイクリルであり、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロサイクリルの各々は、H;ハロ;ヒドロキシ;シアノ;オキソ;ハロ、ヒドロキシ又はアルコキシによって任意に置換されたC
1-C
6アルキル;によって任意に置換され、
又は、
R
1及びR
2は、N原子に基づいて、それら両方を結合して3-8員ヘテロアリール又はヘテロサイクリルを形成し、
ヘテロアリール及びヘテロサイクリルの各々は、H;ハロ;ヒドロキシ;シアノ;オキソ;ニトロ;ハロ、ヒドロキシル又はアルコキシによって任意に置換したC
1-C
6アルキル;によって任意に置換され、
R
3は、非存在、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロサイクリルであり、
R
4及びR
5は、他と関係なくそれぞれH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロサイクリルであり、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロサイクリルの各々は、H;ハロ;ヒドロキシ;シアノ;オキソ;ハロ、ヒドロキシ又はアルコキシによって任意に置換したC
1-C
6アルキル;によって任意に置換され、
Xは、-O-、-S-、-NR
4-、-S=S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-NR
4C(=O)-、C(=O)NR
4-、-NR
4C(=O)O-、-OC(=O)NR
4-、-NR
4C(=O)NR
4-、-NR
4C(=S)O-、OC(=S)NR
4-、-NR
4C(=S)NR
4-、-CR
4R
5-であり、
Y及びZは、他と関係なく、化学式L
1-(CR
6R
7)
α-[L
2-(CR
6R
7)
β]
γ-L
3-R
8を有するC
10-C
30基であり、
L
1は、結合、-(CR
6R
7)-、-O-、-CO-、-NR
8-、-S-、又は、その組み合わせであり、
各R
6及びR
7は、他と関係なく、H;ハロ;ヒドロキシル、シアノ;ハロ、ヒドロキシル又はアルコキシによって任意に置換したC
1-C
6アルキル:であり、
L
2は、結合、-(CR
6R
7)-、-O-、-CO-、-NR
8-、-S-、
【化3】
、
【化4】
、
【化5】
又は、その組み合わせである、化学式のもの又はその医薬的に許容可能な塩、
又は、
【化6】
であって、
b、c及びdは、他と関係なくそれぞれ0、1、2、又は3であって、b、c及びdの合計は、1以上及び8以下であり、
R
9及びR
10は、他と関係なくそれぞれR
7である、又は、近接するR
9及びR
10は、任意に結合であり、
L
3は、結合、-(CR
6R
7)-、-O-、-CO-、-NR
8-、-S-、
【化7】
、
【化8】
、
【化9】
、又は、それらの組み合わせであり、
R
8は、他と関係なくH;ハロ;ヒドロキシ;シアノ;ハロ、ヒドロキシ又はアルコキシによって任意に置換したC1-C6アルキル;アリール;ヘテロアリール;又は、ヘテロサイクリル;であり、又は、
R
8は、
【化10】
であって、
aは、0、1、2、3、又は4であり、
αは、0-6であり、
各βは、他と関係なく、0-6であり、
γは、0-6である化学式のもの、を含む。
【0094】
他の適切なカチオン性脂質としては、具体的に上述したものに加えて、生理的pH超で正味正の電荷を帯びるカチオン性脂質、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウム塩化物(DODAC);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル-N,N-N-トリエチルアンモニウム塩化物(DOTMA);N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウム臭化物(DDAB);N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩化物(DOTAP);3β-(N--(N',N'-ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)、N-(1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N-2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)、1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレオイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、及びN-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム(DMRIE)が挙げられる。加えて、カチオン性脂質の多くの市販製剤としては、例えば、リポフェクチン(登録商標)(DOTMA及びDOPE(GIBCO/BRLから入手可能)を含む)及びリポフェクタミン(登録商標)(DOSPA及びDOPE(GIBCO/BRLから入手可能)を含む)を使用することができる。
【0095】
カチオン性脂質は、約30から約95モルパーセントの量で粒子に存在している。一実施形態として、カチオン性脂質は、約30から約70モルパーセントの量で存在している。一実施形態として、カチオン性脂質は、約40から約60モルパーセントの量で存在している。
【0096】
中性脂質
ある種の実施形態では、粒子は、1又は複数の中性脂質を含む。
【0097】
「脂質」という用語は、脂肪酸のエステルであり、水に溶解しないが多くの有機溶媒に可溶性であることによって特徴づけられる一群の有機化合物を指す。脂質は、通常、少なくとも3つのクラスに分けられる:(1)ロウと同様に脂肪及びオイルを含む「単純脂質」;(2)リン脂質及び糖脂質を含む「複合脂質」;及び(3)「誘導脂質」(例えばステロイド)。
【0098】
「中性脂質」という用語は、生理的pHで無電荷又は中性の両性イオン形態で存在する多くの脂質種のうちの任意の1つを指す。代表的な中性脂質としては、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、ケファリン及びセレブロシドが挙げられる。
【0099】
例示的な脂質としては、例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルフォスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセリン(DPPG)、ジオレオイルフォスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)及びジオレイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボン酸エステル(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジル・エタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1- ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、1,2-ジエライドイル-ステーヌ-グリセロである-3-ホスホエタノールアミン(トランスDOPE)。
【0100】
一実施形態として、中性脂質は、1,2-ジステアロイル-ステーヌ-グリセロである-3-ホスホコリン(DSPC)である。ステロール
【0101】
ある種の実施形態では、粒子は、1又は複数ステロールを含む。
【0102】
「ステロール」という用語は、ステロイド(別名ステロイドアルコール)のサブグループを指す。ステロールは、通常2つのクラスに分けられる:(1)植物ステロール(別名「フィトステロール」)及び(2)動物ステロール(別名「ズーステロール」)。
【0103】
例示的なステロールとしては、例えば、カンペステロール、シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール及びコレステロールが挙げられる。一実施形態として、ステロールは、コレステロールである。
【0104】
界面活性剤
ある種の実施形態では、粒子は、1又は複数の界面活性剤を含む。
【0105】
本明細書で用いられる界面活性剤という用語は、疎水基及び親水基の両方を含む、非イオン性両親媒性化合物を指す。
【0106】
一実施形態として、界面活性剤は、化学式
【化11】
によって表されるものであって、
R
1は、H、C
1-C
6アルキルであり、
Xは、-O-、-S-、-NR
2-、-S=S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-NR
2C(=O)-、C(=O)NR
2-、-NR
2C(=O)O-、-OC(=O)NR
2-、-NR
2C(=O)NR
2-、-NR
2C(=S)O-、OC(=S)NR
2-、-NR
2C(=S)NR
2-、-CR
2R
3-であり、
R
2及びR
3は、他と関係なくそれぞれH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロサイクリルであり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロサイクリルの各々は、H;ハロ;ヒドロキシ;シアノ;オキソ;ハロ、ヒドロキシ又はアルコキシによって任意に置換したC
1-C
6アルキル;によって任意に置換され、
Yは、化学式L
1-(CR
4R
5)
α-[L
2-(CR
4R
5)
β]
γ-L
3-R
6を有するC
10からC
40基であり、
L1は、結合、-(CR
4R
5)-、-O-、-CO-、-NR
2-、-S-、又は、その組み合わせであり、
各R
4及びR
5は、他と関係なく、H;ハロ;ヒドロキシル、シアノ;ハロ、ヒドロキシル又はアルコキシによって任意に置換したC1-C6アルキル;であり、
L
2及びL
3は、それぞれ、他と関係なく、結合、-(CR
4R
5)-、-O-、-CO-、-NR
2-、-S-、
【化12】
、
【化13】
、
【化14】
、又は、その組み合わせであり、
R
6は、他と関係なくH;ハロ;ヒドロキシ;シアノ;ハロ、ヒドロキシ又はアルコキシによって任意に置換したC
1-C
6アルキル;アリール;ヘテロアリール;又は、ヘテロサイクリル;である
又は、
R
6は、
【化15】
であって、
aは、2-100であり、
αは、0-6であり、
各βは、他と関係なく、0-6であり、
γは、0-6である化学式である。
【0107】
別の実施形態において、界面活性剤は、
【化16】
であって、
x = 1から50であり、
y = 1から50であり、
z = 1から50である化学式によって表される。
【0108】
別の実施形態において、界面活性剤は、
【化17】
であって、
x = 1から50であり、
y = 1から50であり、
z = 1から50である化学式によって表される。
【0109】
ある種の実施形態では、界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ジブロックコポリマー及びトリブロックコポリマーからなる群より選択される。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(40)、ポリ(プロピレングリコール)
11-ブロック-ポリ(エチレングリコール)
16-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)
11、ポリ(プロピレングリコール)
12-ブロック-ポリ(エチレングリコール)
28-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)
12が挙げられる。
【0110】
ある種の実施形態では、界面活性剤は、約0.1から約20モルパーセントの量で粒子に存在している。一実施形態として、界面活性剤は、約0.5から約10モルパーセントの量で存在している。一実施形態として、界面活性剤は、約2モルパーセントで脂質ナノ粒子に存在している。
【0111】
一実施形態として、界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテルである。
【0112】
一実施形態として、界面活性剤は、ステアリン酸ポリオキシエチレン(40)である。アニオン性巨大分子
【0113】
本発明の脂質ナノ粒子は、アニオン性巨大分子の全身又は局所デリバリーのために有効である。
【0114】
本明細書で使用する「アニオン性巨大分子」という用語は、アニオン性である巨大分子又は、pHが巨大分子のイオン性基のpKを上回る(しかしながら、pHの値が低いと徐々に中性となる)とアニオン性になる(脱プロトン化した)巨大分子を指す。pKより高いpHの値で、巨大分子は、正に荷電する脂質(例えば、カチオン性脂質)と結合可能である。本明細書で使用する「アニオン性巨大分子」という用語は、pH減少で負の電荷をとる両性イオン性巨大分子を含む。
【0115】
「アニオン性巨大分子」という用語は、選択的なpH(例えば、生理的pH)で正味負の電荷を帯びた多くの種のいずれかを指す。かかる巨大分子としては、限定するものではないが、核酸、タンパク質、ペプチド及び糖質が挙げられる。
【0116】
核酸
本発明の脂質ナノ粒子は、核酸の全身又は局所デリバリーのために有効である。
【0117】
本明細書で用いられる「核酸」という用語は、任意のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含むことを意味する最大で50ヌクレオチドを含む断片は、オリゴヌクレオチドと一般的に称され、より長い断片はポリヌクレオチドと呼ばれている。特定の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、長さ20-50のヌクレオチドである。本発明の文脈において、用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、天然塩基、糖及び糖間(主鎖)結合からなるヌクレオチド又はヌクレオシドモノマーのポリマー又はオリゴマーを指す。用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、非天然モノマー又は同様に機能するその部分を含むポリマー又はオリゴマーも含む。かかる改変又は置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば、向上した細胞取り込み及びヌクレアーゼ存在下での増加した安定性といった特性を理由としてネイティブ形態に対して多くの場合好ましい。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボオリゴヌクレオチド又はリボオリゴヌクレオチドに分類される。デオキシリボオリゴヌクレオチドは、この糖の3'及び5'炭素でホスファートに共有結合的に結合して枝なしの交互のポリマーを形成したデオキシリボースと呼ばれている5-炭糖からなる。リボオリゴヌクレオチドは、5-炭糖がリボースである類似の反復構造からなる。本発明による脂質ナノ粒子に存在する核酸は、既知の核酸の任意の形態を含む。本願明細書において用いられる核酸は、一本鎖DNA若しくはRNA又は二本鎖DNA若しくはRNA又はDNA-RNAハイブリッドであってもよい。二本鎖DNAの例としては、構造遺伝子、制御領域及び終端領域を含む遺伝子及び自己複製系(例えばウイルス又はプラスミドDNA)が挙げられる。二重鎖RNAの例としては、siRNA及び他のRNA干渉試薬が挙げられる。一本鎖核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、mRNA及び三重鎖形成オリゴヌクレオチドを含む。
【0118】
一実施形態として、ポリ核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。ある種の実施形態では、核酸は、アンチセンス核酸、リボザイム、tRNA、snRNA、siRNA、shRNA、ncRNA、miRNA、mRNA、予濃縮DNA又はアプタマーである。
【0119】
「核酸」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、改変リボヌクレオチド、改変デオキシリボヌクレオチド、改変ホスファート-糖-主鎖オリゴヌクレオチド、他のヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、及びそれらの組み合わせも指し、一本鎖、二本鎖とすることができ、そうでなければ、二本鎖及び一本鎖配列の部分を適切に含むこともできる。
【0120】
本明細書で用いられる「ヌクレオチド」という用語は、一般的に、以下で規定する以下の用語を含む:ヌクレオチド塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドアナログ及びユニバーサルヌクレオチド。
【0121】
本明細書で用いられるヌクレオチド塩基という用語は、置換又は非置換母体芳香族環(parent aromatic ring)又はその複数のものを指す。いくつかの実施形態において、芳香族環又はその複数のものは、少なくとも一つの窒素原子を含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド塩基は、適切な相補的ヌクレオチド塩基を用いて、ワトソン-クリック及び/又はフーグスティーン水素結合を形成することができる。ヌクレオチド塩基及びそのアナログの例としては、限定するものではないが、プリン(例えば2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、アデニン(A)、エテノアデニン、N6-2-イソペンテニルアデニン(6iA)、N6-2-イソペンテニル-2-メチルチオアデニン(2つのms6iA)、N6-メチルアデニン、グアニン(G)、イソグアニン、N2-ジメチルグアニン(dmG)、7-メチルグアニン(7mG)、2-チオピリミジン、6-チオグアニン(6sG)ヒポキサンチン及びO6-メチルグアニン);7-デアザプリン(例えば7-デアザアデニン(7-デアザ-A)及び7-デアザグアニン(7-デアザ-G));ピリミジン(例えばシトシン(C)、5-プロピニルシトシン、イソシトシン、チミン(T)、4-チオチミン(4sT)、5,6-ジヒドロチミン、O4-メチルチミン、ウラシル(U)、4-チオウラシル(4sU)及び5,6-ジヒドロウラシル(ジヒドロウラシル; D));インドール(例えばニトロインドール及び4-メチルインドール);ピロール(例えばニトロピロール) ;ネブラリン;塩基(Y)を挙げられる。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド塩基は、ユニバーサルヌクレオチド塩基である。追加の例示的なヌクレオチド塩基は、Fasman, 1989, Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology, pp. 385-394, CRC Press, Boca Raton, Fla.において見つけることができ、この参照文献は本明細書に引用される。ユニバーサル塩基の更なる例は、例えば、Loakes, N.A.R. 2001, 29:2437-2447 and Seela N.A.R. 2000, 28:3224-3232で見つけることができる。
【0122】
本明細書で用いられる「ヌクレオシド」という用語は、ペントース糖のC-1'炭素に共有結合的に結合したヌクレオチド塩基を有する化合物を指す。いくつかの実施形態において、結合は、芳香族複素環窒素を経る。典型的ペントース糖は、これに限定されるものではないが、1又は複数の炭素原子がそれぞれ他と関係なく1又は複数の同一又は異なる--R、--OR、--NRR又はハロゲン基(各Rは、他と関係なく水素、(C1-C6)アルキル又は(C5-C14)アリールである)によって置換されているペントースを含む。ペントース糖は、飽和又は不飽和であってもよい。例示的なペントース糖及びそのアナログとしては、これらに限定するものではないが、リボース、2'-デオキシリボース、2'-(C1-C6)アルコキシリボース、2'-(C5-C14)アリールオキシリボース、2',3'-ジデオキシリボース、2',3-ジデヒドロリボース、2'-デオキシ-3'-ハロリボース、2'-デオキシ-3'-フルオロリボース、2'-デオキシ-3'-クロロリボース、2'-デオキシ-3'-アミノリボース、2'-デオキシ-3'-(C1-C6)アルキルリボース、2'-デオキシ-3'-(C1-C6)アルコキシリボース及び2'-デオキシ-3'-(C5-C14)アリールオキシリボースが挙げられる。また、例えば、2'-O-メチル、4'-アルファ-アノマーヌクレオチド、1'-アルファ-アノマーヌクレオチド(Asseline (1991) Nucl. Acids Res. 19:4067-74)、2'-4'-及び3'-4'-結合及び他の「ロックド(locked)」又は「LNA」(二環式糖修飾) (WO 98/22489; WO 98/39352; WO 99/14226)を参照。「LNA」又は「ロックド核酸」は、リボース環が2'-酸素と3'-又は4'-炭素との間のメチレン結合によって拘束されるように、高次構造的にロックされたDNAアナログである。結合によって課される高次構造制限は、多くの場合、相補配列に関する結合親和性を増加させ、かかる二体鎖の熱的安定度が増加する。
【0123】
糖は、2'-又は3'-位での修飾(例えばメトキシ、エトキシ、アリルオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、メトキシエチル、アルコキシ、フェノキシ、アジド、アミノ、アルキルアミノ、フルオロ、クロル及びブロモ)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドは、L立体配置異性体(L型)と天然D立体配置異性体(D型)を含む(Beigelman, U.S. Pat. No. 6,251,666; Chu、米国特許第5,753,789号; Shudo、EP0540742; Garbesi (1993) Nucl. Acids Res. 21:4159-65; Fujimori (1990) J. Amer. Chem. Soc. 112:7435; Urata, (1993) Nucleic Acids Symposium Ser. No. 29:69-70)。核酸塩基がプリン(例えば、A又はG)であるときは、リボース糖は核酸塩基のN9位に結合する。核酸塩基がピリミジン(例えば、C、T又はU)であるときは、ペントース糖は核酸塩基のN1位に結合する(Kornberg及びBaker (1992) DNA Replication, 2nd Ed、フリーマン、サンフランシスコ、カリフォルニア)。
【0124】
ヌクレオシドの1又は複数のペントース炭素は、リン酸エステルで置換してもよい。いくつかの実施形態において、リン酸エステルは、ペントースの3'-又は5'-炭素に結合する。いくつかの実施形態において、ヌクレオシドは、ヌクレオチド塩基がプリン、7-デアザプリン、ピリミジン、ユニバーサルヌクレオチド塩基、特異的ヌクレオチド塩基又はそのアナログである。
【0125】
本明細書で用いられる「ヌクレオチドアナログ」という用語は、ヌクレオシドのペントース糖及び/又はヌクレオチド塩基及び/又は1又は複数のリン酸エステルをそれぞれのアナログと置き換えることができる実施形態を指す。いくつかの実施形態において、例示的なペントース糖アナログは、上述のものである。いくつかの実施形態において、ヌクレオチドアナログは、上記の通り、ヌクレオチド塩基アナログを有する。いくつかの実施形態において、例示的なリン酸エステルアナログとしては、これらに限定するものではないが、アルキルホスホネート、メチルホスホネート、ホスホロジアミデート、ホスホトリエステル、ホスホロチオネート、ホスホロジチオアート、ホスホロセレノアート、ホスホロジセレノアート、ホスホロアニロチオアート、ホスホロアニリデート、ホスホロアミデート、ボロノホスファートが挙げられ、関連対イオンを含んでいてもよい。他の核酸アナログ及び塩基としては、例えば、インターカレーティング核酸(Christensen and Pedersen, 2002に記載のINA)及びAEGIS塩基(Eragen、米国特許第5,432,272号)が挙げられる。様々な核酸のアナログの追加の記述は、例えば、(Beaucage et al., Tetrahedron 49(10):1925 (1993)及びその参照文献; Letsinger, J. Org. Chem. 35:3800 (1970); Sprinzl et al., Eur. J. Biochem. 81:579 (1977); Letsinger et al., Nucl. Acids Res. 14:487 (1986); Sawai et al., Chem. Lett. 805 (1984) (Letsinger et al., J. Am. Chem. Soc. 110:4470 (1988));、及び、Pauwels et al., ChemicaScripta 26:141 (1986))、ホスホロチオネーMag et al., Nucleic Acids Res. 19:1437 (1991);及び米国特許第5,644,048号に見つけることもできる。他の拡散アナログとしては、ホスホロジチオアート(Briu et al., J. Am. Chem. Soc. 111:2321 (1989))、O-メチルホスホロアミデート結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Pressを参照)、正の主鎖(Denpcy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6097 (1995);非イオン性主鎖(米国特許第5,386,023号; 5,386,023; 5,637,684; 5,602,240; 5,216,141;及び4,469,863; Kiedrowshi et al., Angew. Chem. Intl. Ed. English 30:423 (1991); Letsinger et al., J. Am. Chem. Soc. 110:4470 (1988); Letsinger et al., Nucleoside & Nucleotide 13:1597 (194): Chapters 2 and 3, ASC Symposium Series 580, "Carbohydrate Modifications in Antisense Research," Ed. Y. S. Sanghui and P. Dan Cook; Mesmaeker et al., Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4:395 (1994); Jeffs et al., J. Biomolecular NMR 34:17 (1994); Tetrahedron Lett. 37:743 (1996))及び、米国特許番号5,235,033及び5,034,506及びChapters 6 and 7, ASC Symposium Series 580, "Carbohydrate Modifications in Antisense Research," Ed. Y. S. Sanghui and P. Dan Cookに記載されているものを含む非リボース主鎖を有するものが挙げられる。1又は複数の炭素環式糖を含む核酸も、核酸の定義に含まれる(Jenkins et al., Chem. Soc. Rev. (1995) pp. 169-176を参照)。いくつかの核酸アナログは、Rawls, C & E News Jun. 2, 1997, page 35にも記載されている。
【0126】
本明細書で用いられる「ユニバーサルヌクレオチド塩基」又は「ユニバーサル塩基」という用語は、芳香族環部分を指す。そして、それは、窒素原子を含んでいてもよく含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態において、ユニバーサル塩基は、ユニバーサルヌクレオチドを作るためにペントース糖のC-1'炭素に共有結合的に結合していてもよい。いくつかの実施形態において、ユニバーサルヌクレオチド塩基は、他のヌクレオチド塩基に特異的な水素結合をしないいくつかの実施形態において、ユニバーサルヌクレオチド塩基は、特定の標的ポリヌクレオチドのヌクレオチド塩基だけでなくその全てのヌクレオチド塩基と水素結合する。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド塩基は、疎水性スタッキングによって同じ核酸ストランド上の近接ヌクレオチド塩基と相互作用することができる。ユニバーサルヌクレオチドは、これらに限定されるものではないが、デオキシ-7-アザインドール三リン酸(d7AITP)、デオキシイソカルボスチリル三リン酸(dICSTP)、デオキシプロピニルイソカルボスチリル三リン酸(dPICSTP)、デオキシメチル-7-アザインドール三リン酸(dM7AITP)、デオキシImPy三リン酸(dImPyTP)、デオキシPP三リン酸(dPPTP)又はデオキシプロピニル-7-アザインドール三リン酸(dP7AITP)が挙げられる。かかるユニバーサル塩基の更なる例は、なかでも、公開された米国特許出願番号第10/290,672号及び米国特許6,433,134号に見つけることができる。
【0127】
本明細書で用いられる「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、互いに置換可能であり、ヌクレオチド間ホスホジエステル結合(例えば、3'-5及び2'-5 )、反転結合(例えば、3'-3及び5'-5')、分岐構造又はヌクレオチド間アナログによって結合した2'-デオキシリボヌクレオチド(DNA)及びリボヌクレオチド(RNA)を含む、ヌクレオチドモノマーの一本鎖及び二本鎖ポリマーを意味する。ポリヌクレオチドは、関連した対イオン(例えばH
+、NH
4+、トリアルキルアンモニウム、Mg
2+、Na
+等)を有する。ポリヌクレオチドは、リボヌクレオチドから完全、デオキシリボヌクレオチドから完全に、又はそのキメラ混合物から構成されていてもよい。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド間、核酸塩基及び/又は糖アナログから構成されていてもよい。ポリヌクレオチドは、一般的に、数モノマー単位(例えば、3-40、当技術分野では一般的にオリゴヌクレオチドしばしば称される)から数千モノマーヌクレオチド単位のサイズの範囲にある。別途指示しない限り、ポリヌクレオチド配列が示されるときはいつでも、ヌクレオチドは、左から右へ5'から3'の順番であり、特に明記しない限り、「A」は、デオキシアデノシンを意味し、「C」は、デオキシシトシンを意味し、「G」は、デオキシグアノシンを意味し、「T」は、チミジンを意味することが理解されよう。
【0128】
本明細書で用いられる「核酸塩基」は、一般に、核酸技術を利用又はペプチド核酸技術を利用して核酸に特異的に結合することができる配列のポリマーを生成する者に共通して知られている天然又は非天然複素環式部分を意味する。好適な核酸塩基の非限定的な例としては、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5-プロピニル-ウラシル、2-チオ-5-プロピニル-ウラシル、5-メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2-チオウラシル及び2-チオチミン、2-アミノプリン、N9-(2-アミノ-6-クロロプリン)、N9-(2,6-ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9-(7-デアザグアニン)、N9-(7-デアザ-8-アザグアニン)及びN8-(7-デアザ-8-アザアデニン)が挙げられる。適切な核酸塩基の他の非制限的な例としては、Buchardtら(WO92/20702又はWO92/20703)の
図2(A)及び2(B)に示されている核酸塩基が挙げられる。
【0129】
本明細書で用いられる「核酸塩基配列」は、核酸含有サブユニットを含むポリマーの、任意のセグメント又は2若しくは3以上のセグメントの集合体(例えば、2又は3以上のオリゴマーブロックの集合核酸塩基配列)を意味する。適切なポリマー又はポリマーセグメントの非制限的な例としては、オリゴデオキシヌクレオチド(例えばDNA)、オリゴリボヌクレオチド(例えばRNA)、ペプチド核酸(PNA)、PNAキメラ、PNA組み合わせオリゴマー、核酸アナログ及び/又は核酸ミミックが挙げられる。
【0130】
本明細書で用いられる「ポリ核酸塩基ストランド」は、核酸塩基サブユニットを含む完全な単一ポリマーストランドを意味する。例えば、二本鎖核酸の単一の酸ストランドは、ポリ核酸塩基ストランドである。
【0131】
本明細書で用いられる「核酸」は、ヌクレオチド又はそのアナログから形成される主鎖を有する核酸塩基配列含有ポリマー又はポリマーセグメントである。
【0132】
好ましい核酸は、DNA及びRNAである。
【0133】
本明細書で用いられる核酸は、「ペプチド核酸」又は「PNA」と称してもよく、限定するものではないが、米国特許第5,539,082号; 第5,527,675号; 第5,623,049号; 第5,714,331号; 第5,718,262号; 第5,736,336号; 第5,773,571号; 第5,766,855号; 第5,786,461号; 第5,837,459号; 第5,891,625号; 第5,972,610号; 第5,986,053号;及び第6,107,470号(これらの全ては参照によって本願明細書に組み込まれる)にペプチド核酸として指される又は請求されているオリゴマー又はポリマーセグメントのいずれかを含む、2又は3以上のPNAサブユニット(残基)(しかし、核酸サブユニット(又はそのアナログ)ではない)を含む任意のオリゴマー又はポリマーセグメント(例えば、ブロックオリゴマー)を意味する。「ペプチド核酸」又は「PNA」という用語は、以下の公報:Lagriffoul et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 4:1081-1082 (1994); Petersen et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 6:793-796 (1996); Diderichsen et al., Tett. Lett. 37:475-478 (1996); Fujii et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 7:637-627 (1997); Jordan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 7:687-690 (1997); Krotz et al., Tett. Lett. 36:6941-6944 (1995); Lagriffoul et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 4:1081-1082 (1994); Diederichsen, U., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 7:1743-1746 (1997); Lowe et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, (1997) 1:539-546;Lowe et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 11:547-554 (1997); Lowe et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 11:555-560 (1997); Howarth et al., J. Org. Chem. 62:5441-5450 (1997); Altmann, K-H et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 7:1119-1122 (1997); Diederichsen, U., Bioorganic & Med. Chem. Lett., 8:165-168 (1998); Diederichsen et al., Angew. Chem. Int. Ed., 37:302-305 (1998); Cantin et al., Tett. Lett., 38:4211-4214 (1997); Ciapetti et al., Tetrahedron, 53:1167-1176 (1997); Lagriffoule et al., Chem. Eur. J., 3:912-919 (1997); Kumar et al., Organic Letters 3(9):1269-1272 (2001);に記載されているそれらの核酸ミミック及びWO96/04000に開示されているShahらのペプチドベース核酸ミミック(PENAMS)の2又は3以上のサブユニットを含む任意のオリゴマー又はポリマーセグメントにも当てはまるだろう。
【0134】
本発明の脂質ナノ粒子は、その形態によって同様に構成された他の物質とは異なり、実質的に固形の核を有すると特徴付けられる。実質的に固形の核を有する脂質ナノ粒子は、内部の水溶性領域を拡張せず、主に脂質の内部を有する粒子である。一実施形態として、拡張領域は、粒子容積の半分よりも大きい容積を有する連続水溶性領域である。第二の実施態様においては、拡張水溶性領域は、粒子容積の25%を超える。内部水溶性領域の程度は、電顕によって決定してもよく、低電子密度の領域として現れるだろう。更に。固形核のナノ粒子の内部は、主に脂質であるため、粒子を構成する脂質当たりの粒子の水溶性内容物(「捕捉部分」)は、同じ半径を有するユニラメラ二重層脂肪小胞で予想されるものよりも小さい。一実施形態として、捕捉部分は、同じ半径を有するユニラメラ二重層小胞で予想されるものの50%未満である。第二の実施態様においては、捕捉部分は、同一サイズのユニラメラ二重層小胞で予想されるものの25%未満である。第三の実施形態において、捕捉部分は、粒子の合計容積の20%未満である。一実施形態として、脂質当たりの捕捉部分は、1マイクロモル脂質当たり2マイクロリットル未満である。別の実施形態において、捕捉部分は、1マイクロモル脂質当たり1マイクロリットル未満である。加えて、脂質当たりの捕捉部分は、小胞の半径が増加すると二重層脂肪小胞に対して実質的に増加する一方で、脂質当たりの捕捉部分は、固形核のナノ粒子の半径が増加すると実質的には増加しない。一実施形態として、脂質当たりの捕捉部分は、平均サイズが直径20nmから直径100nmに増加すると50%未満増加する。第二の実施態様においては、脂質当たりの捕捉部分は、平均サイズが直径20nmから直径100nmに増加すると25%未満増加する。捕捉部分は、論文に記載されている様々な技術を使用して測定することができる。固形核系は、粒子内部に脂質を含むため、生成した所定の半径の粒子の、脂質のモル当たりの合計数は二重層小胞系で予想されるよりも少ない。脂質mol当たりの、生成した粒子の数は、特に、蛍光技術によって測定することができる。
【0135】
本発明の脂質ナノ粒子は、電顕法によって特徴づけることもできる。実質的に固形の核を有する本発明の粒子は、電顕法によって観察される電子密度核を有する。密度電子は、固形核の粒子の(2-DクライオEM画像に見られる)投影領域の内部50%の領域平均電子密度は、粒子の周辺で最大電子密度のx %(x=20%、40%、60%)以上となるように規定される。電子密度は、ナノ粒子を含んでいない領域のバックグラウンド強度からの、関心を引く領域の画像強度の差異の絶対値として算出される。
【0136】
治療物質
本明細書で用いられる「治療物質」という用語は、薬理活性をもたらすか、そうでなければ疾患の診断、治癒、緩和、治療又は予防に関する直接的な効果を有する、あるいは、生理機能を回復、調製、改善する直接的な効果を有する基質として規定される。治療物質としては、限定するものではないが、低分子薬、核酸、タンパク質、ペプチド、多糖、無機イオン及び放射性核種が挙げられる。
【0137】
調査試薬
本明細書で用いられる「調査試薬」という用語は、規定の活性をもたらすか、そうでなければ細胞、組織又は臓器の生体効果に対する直接的な影響を有する基質として規定される。調査試薬としては、限定するものではないが、低分子有機化合物(例えば、分子量が800g/モル未満又は500g/モル未満の有機化合物)、核酸、タンパク質、ペプチド、多糖、無機イオン及び放射性核種が挙げられる。核酸調査試薬の例としては、限定するものではないが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、mRNA、リボザイム、tRNA、snRNA、siRNA、shRNA、ncRNA、miRNA、mRNA、予濃縮DNA、pDNA又はアプタマーが挙げられる。核酸調査試薬は、(例えばsiRNAを用いて)遺伝子を発現抑制する、(例えばmRNAを用いて)遺伝子を発現する、(例えばCRISPR/Cas9を用いて)ゲノムを編集するために使用される。
【0138】
ポリマー
本明細書で用いられる「ポリマー」という用語は、共に結合した多数の類似ユニットで主に又は完全に構成された通常は高分子量の化合物を指す。かかるポリマーは、多数の天然、合成及び半合成ポリマーのいずれかを含む。
【0139】
天然ポリマー
天然ポリマーという用語は、天然由来の任意の数のポリマー種を指す。かかるポリマーとしては、限定するものではないが、多糖、セルロース、キチン及びアルジネートが挙げられる。
【0140】
合成ポリマー
合成ポリマーという用語は、自然界に存在しない任意の数の合成ポリマー種を指す。かかる合成ポリマーとしては、限定するものではないが、合成ホモポリマー及び合成コポリマーが挙げられる。合成ホモポリマーとしては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコライド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリリジン及びポリエチレンイミンが挙げられる。合成コポリマーは、2又は3以上の合成ホモポリマーサブユニットで構成される任意の数の合成ポリマー種を指す。かかる合成コポリマーとしては、限定するものではないが、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(ラクチド)-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)-ポリ(エチレングリコール)及びポリ(ε-カプロラクトン)-ポリ(エチレングリコール)が挙げられる。
【0141】
半合成ポリマー
「半合成ポリマー」という用語は、天然ポリマーの化学的又は酵素的処理によって誘導された任意の数のポリマーを指す。かかるポリマーとしては、限定するものではないが、カルボキシメチルセルロース、アセチル化カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリン、キトサン及びゼラチンが挙げられる。
【0142】
ポリマー複合体
本明細書で用いられる「ポリマー複合体」という用語は、1又は複数の分子種を共有結合的又は非共有結合的に複合体化してポリマーにすることによって作成された化合物を指す。かかるポリマー複合体としては、限定するものではないが、ポリマー治療物質複合体が挙げられる。
【0143】
ポリマー治療物質複合体
本明細書で用いられる「ポリマー治療物質複合体」という用語は、1又は複数の複合化分子種が治療物質であるポリマー複合体を指す。かかるポリマー治療物質複合体としては、限定するものではないが、ポリマー医薬複合体が挙げられる。
【0144】
ポリマー医薬複合体
本明細書で用いられる「ポリマー医薬複合体」という用語は、任意の数の医薬種と複合化した任意の数のポリマー種を指す。かかるポリマー医薬複合体としては、限定するものではないが、アセチルメチルセルロース-ポリエチレングリコール-ドセタキセルが挙げられる。
【0145】
上述した通り、本発明のナノ粒子は、粒子形成物質から構成される。本願明細書に記載されているように、粒子形成物質は、他の構成要素の中に脂質及びポリマーを含む。
【0146】
以下の実施例は、本発明を制限するものではなく、例示のために提供される。
【実施例】
【0147】
物質
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)は、AvantiPolarLipids(アラバスター、AL、米国)から購入した。コレステロールは、Sigma(セントルイス、MO、米国)から取得した。1,17-ビス(2-オクチルシクロプロピル)ヘプタデカン-9-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(CL、例えば、カチオン性脂質)は、Avanti Polar Lipids(アラバスター、AL、米国)によって合成された。そして、ポリエチレングリコール-ジミリストイルプロピルアミン(PEG-c-DMA)は、医薬品[薬物]の研究開発センター(バンクーバー、BC、カナダ)によって合成された。21塩基長の二体鎖siRNAをLNP系におけるカプセル化のために使用した。
【0148】
小容積のsiRNA-LNP系の代表的な調製
CL、DSPC、コレステロール及びPEG-脂質を最初に50:10:38.5:1.5のモル比及び30.5mg/mLの合計脂質濃度でエタノールに溶かしてエタノール脂質溶液を得た。siRNAを、pH=4.0緩衝液である25mMアセテートに0.927mg/mLの濃度で溶かして、水溶性siRNA溶液を得た。標的siRNA/脂質比率として0.09(wt/wt)を用いた。40μLのPBSをピペットでデバイスの出口ウェルに加えた。30μLの水溶性siRNA溶液をピペットでsiRNA入口ウェルに加えた。10μLのエタノール脂質溶液をピペットで脂質入口ウェルに加えた。次に、入口ウェルを覆うように分岐管を締着して、ルアーロックシリンジを使用して加圧した。加圧によって入口ウェルの試薬がデバイスを通じて出口ウェルに押し出され、出口ウェルにプレロードされたPBSによって1:1の比率で直ちに希釈される。80μLのサンプル容量を出口ウェルからピペットで回収して、80μLのPBSを用いて1:1の比率で更に希釈する。
【0149】
以下のプロトコールは、
図3、7、9及び10に関するものである。低デッドボリュームデバイスプロトコール(160μL製剤)
1. 40μLの希釈緩衝液(1X PBS)を出口ポートに加える。
2. 30μLの水溶性ストック(siRNAを含む)を「水溶性」と表記された入口ポートに加える。
3. 10μLの脂質ストックを「脂質」と表記された入口ポートに加える。
4. 次に、チップを締め付けデバイスに、そして分岐管をチップの上部に設置することによって両入口ポートがOリング内部に位置する。(分岐管は、再現性を確実にするガイドとしての締め付けデバイスの棒を使用して設置される)。
5. 締め付けブロックを慎重に下げて分岐管に乗せ、適所にチップを固定し且つ分岐管のOリング内に入口ポートを封止するためにチップに向かってレバーを押す。
6. 3mLのシリンジを約2mLの空気で満たして、分岐管の上側のルアーロックポートに固定する。
7. 速やかにピストンを押す。
8. 出口ポートから製剤を集める。
9. 80μLの希釈緩衝液(1X PBS)を製剤に加えて、良好な混合を確実にするために数回ピペッティングする。
【0150】
デバイスの洗浄
1. 40μLの蒸留水及びエタノールを、それぞれ、「水溶性」及び「脂質」と表記されている入口ポートに加える。
2. チップを分岐管上に固定し、2mLの空気で加圧する。
3. 出口ポートから汚物を取り除く。チップがきれいになり、如何なる堆積物もなくなるまで上記のことを繰り返す。
4. チップを通じて(如何なる液体もなしに)空気を押し込みチップ内部に残留する流体を放出する。
5. キムワイプを用いて全ての3つのポートを拭く。
6. チップを取り除いて室温で(約1.5から2時間かけて)乾燥する。
【0151】
製造されたナノ粒子は、21ヌクレオチド二体鎖siRNAをカプセル化しているカチオン性脂質:DSPC:コレステロール:PEG-脂質(50:10:38.5:1.5)であった。ナノ粒子溶液の最終的な容積は、160μLであった。
【0152】
小容積のmRNA-LNP系の代表的な調製
siRNA-LNP系に関して上述したプロセスは、mRNA-LNPの調製に応用することができる。mRNAをpH=4.0緩衝液である75mMのアセテートに溶かす点と、負のホスファートグループに対する正のアミノ基の比として表される(+/-)電荷比が3:1から8:1に増える点を除いて、プロセスは、本質的に同一である。
【0153】
LNP特性評価
粒子径は、Malvern Zetasizer NanoZS(Malvern Instruments、ウェストバラ、MA、米国)を使用して、動的光散乱によって決定した。サンプルについて、強度加重分布データを使用し、2つの独立した測定値の平均を使用した。カプセル化効率(%EE)は、Quant-iT RiboGreen RNA Assay Kit(Life Technologies、カールズバッド、CA、米国)を使用して、LNPが溶解している界面活性剤トライトンX-100の存在下又は非存在下でのサンプルの蛍光シグナルの比率からを決定した。カプセル化効率は、以下の式を使用して算出した。
%EE = 1 - (F
-トライトン)/(F
+トライトン)
F
-トライトン=トライトンX-100非存在下での蛍光シグナル
F
+トライトン=トライトンX-100存在下での蛍光シグナル
【0154】
報告した全ての結果は、3回の独立した実験での平均として報告している。
【0155】
図3のデバイスを用いて上記の通りに作成した脂質ナノ粒子の生産に関する、カプセル化された活性薬剤の粒子径、粒子多分散度及びパーセントは、表1にまとめている。
【表1】
【0156】
本発明の代表的な小容積マイクロ流体工学的デバイス(ゼロデッドボリュームチップ)を使用して合成されたsiRNA-脂質ナノ粒子(siRNA-LNP)を、NanoAssemblr(Precision NanoSystems(バンクーバー、ブリティッシュコロンビア州、カナダ)から商業的に入手可能な、ナノ粒子を作成するための流体デバイス)を使用して作成されたものと、ラットE18皮質ニューロン培養(グリア及びアストログリアとの共培養)においてインビトロでそれらを試験することによって比較した。DIV 13(インビトロでの日数)に、細胞培養液1mlにつき100ngのPTEN siRNAの用量で細胞をトランスフェクションした。そして、PTEN遺伝子発現のノックダウンを、RT-qPCR(参照遺伝子として作用するアクチンβを使用)によって3日目及び8日目に分析した。両siRNA-LNP製剤に関するPTENノックダウンのレベルは、
図11に示すように同程度であった。
【0157】
小容積マイクロ流体工学的デバイス(ゼロデッドボリュームデバイス)を使用して合成されたGFP mRNA-LNPを、NanoAssemblrを使用して作成されたものと、ラットE18皮質ニューロン培養(グリア及びアストログリアとの共培養)においてインビトロでそれらを試験することによって比較した。DIV 13(インビトロでの日数)に、細胞培養液1mlにつき500ngのGFP mRNAの用量で細胞をトランスフェクションした。GFPの発現を、フローサイトメトリーによって3日目に分析した。NanoAssemblr及びゼロデッドボリュームチップmRNA-LNP製剤に関するGFP発現のレベルは、
図12に見ることができる通り類似性が認められた。
【0158】
本発明の好適な実施形態を例示及び記載しているが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な変更をなすことができることはいうまでもない。