(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640098
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】金属錯体
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20200127BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20200127BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20200127BHJP
C08K 5/34 20060101ALI20200127BHJP
C08L 101/02 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
C07F15/00 ECSP
H05B33/14 B
H05B33/22 D
C09K11/06 660
C09K11/06 680
C09K11/06 690
C08K5/34
C08L101/02
【請求項の数】18
【全頁数】204
(21)【出願番号】特願2016-550250(P2016-550250)
(86)(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公表番号】特表2017-507129(P2017-507129A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2015000043
(87)【国際公開番号】WO2015117718
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2018年1月12日
(31)【優先権主張番号】14000417.7
(32)【優先日】2014年2月5日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506427679
【氏名又は名称】メルク、パテント、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ステッセル
(72)【発明者】
【氏名】ニルス、ケーネン
【審査官】
西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−269734(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/008982(WO,A1)
【文献】
特表2013−531652(JP,A)
【文献】
特開2008−075043(JP,A)
【文献】
特開2014−055131(JP,A)
【文献】
特表2016−507490(JP,A)
【文献】
特表2016−507491(JP,A)
【文献】
特表2016−508127(JP,A)
【文献】
LEE KUM HEE,HIGHLY EFFICIENT GREEN-EMITTING ELECTROPHOSPHORESCENT IRIDIUM COMPLEXES WITH 以下備考,JOURNAL OF NANOSCIENCE AND NANOTECHNOLOGY,AMERICAN SCIENTIFIC PUBLISHERS,2009年,VOL:9, NR:12,,PAGE(S):7099 - 7103,ENHANCED STERIC HINDRANCE,URL,http://dx.doi.org/10.1166/jnn.2009.1659
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物。
M(L)
n(L’)
m 式(1)
これは、式(2)の部分M(L)
nを含み:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
式中、使用される記号および添え字には、以下が適用される:
Mは、イリジウムまたは白金であり;
CyCは、5〜18の芳香族原子を有する、アリールもしくはヘテロアリール基、またはフルオレン基であり、このそれぞれはMに炭素原子を介して配位し、このそれぞれは1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、このそれぞれはCyDに共有結合を介して結合されており;
CyDは、5〜18の芳香族環原子を有するヘテロアリール基であり、これは電荷を有さない窒素原子を介してMに配位されており、これは1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、これは共有結合を介してCyCに結合されており;
Rは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、NO
2、OH、COOH、C(=O)N(R
1)
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、S(=O)R
1、S(=O)
2R
1、OSO
2R
1、1〜20のC原子を有する直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜20のC原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜20のC原子を有する、分岐または環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよく、ここで1以上の隣接しないCH
2基は、R
1C=CR
1、C≡C、Si(R
1)
2、C=O、NR
1、O、SまたはCONR
1によって置き換えられていてもよく、かつ1以上のH原子が、D、F、Cl、Br、IまたはCNによって置換されていてもよい)、または5〜60の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースにおいて、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)、または5〜40の芳香族環原子を有する、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これは、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)、5〜40の芳香族環原子を有する、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これは、以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)、10〜40の芳香族環原子を有する、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基(これは、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)であり
;
R
1は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
2)
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、OSO
2R
2、1〜20のC原子を有する直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜20のC原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜20のC原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよく、ここで1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、C=O、NR
2、O、SまたはCONR
2によって置き換えられていてもよく、かつ1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)、5〜60の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースにおいて、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、5〜40の芳香族環原子を有する、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、5〜40の芳香族環原子を有する、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、10〜40の芳香族環原子を有する、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)であり
;
R
2は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、または1〜20のC原子を有する、脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族炭化水素ラジカル(これは、さらに、1以上のH原子がFによって置き換えられていてもよい)であり
;
L’は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、Mに結合される二座配位子であり;
nは、M=イリジウムのとき、1、2または3であり、M=白金のとき、1または2であり;
mは、M=イリジウムのとき、0、1または2であり、M=白金のとき、0または1であり;
ここで、CyCおよびCyDは、互いに、C(R
1)
2、C(R
1)
2−C(R
1)
2、NR
1、OまたはSから選択される基を介して、結合されていてもよく;
ここで、複数の配位子Lは、互いに結合されていてもよく、またはLが、単結合、2価もしくは3価のブリッジを介して、L’に結合され、四座もしくは六座配位子系を形成してもよく;
Cy
DまたはCyCが、2つの隣接する炭素原子(このそれぞれは、ラジカルRによって置換されていて、それぞれのラジカルRは、C原子とともに、以下の式(3)の環を形成する)を含むことを特徴とする:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
後掲のR
1およびR
2は、上記の意味を有し、式中の破線は、配位子中の2つの炭素原子の結合を示し、さらに:
Aは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、C(R
1)
2、O、S、NR
3またはC(=O)であり、ただし、基−(A)
p−中の2つのヘテロ原子は、互いに直接結合されておらず;
R
3は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、1〜20のC原子を有する直鎖の、アルキルもしくはアルコキシ基、または3〜20のC原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキルもしくはアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、C=O、NR
2、O、SまたはCONR
2によって置き換えられていてもよく、ここで1以上のH原子は、DまたはFによって置き換えられていてもよい)、または5〜24の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースおいて、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、5〜24の芳香族環原子を有する、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、または5〜24の芳香族原子を有する、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)であり;ここで、同一の炭素原子に結合される2つのラジカルR
3が、互いに、脂肪族または芳香族環系を形成し、よってスピロ系を形成してもよく;さらに、R
3が、隣接するラジカルRまたはR
1とともに、脂肪族環系を形成してもよく;
pは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、2または3である。
【請求項2】
基CyCが、式(CyC−1)〜(CyC−19)の構造から選択されることを特徴とし、ここで基CyCは、それぞれのケースにおいて、CyDに、♯で示される位置で結合し、Mに、*で示される位置で配位し、
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
かつ、CyDが、式(CyD−1)〜(CyD−4)および(CyD−7)〜(CyD−10)の構造から選択されることを特徴とし、ここで基CyDは、それぞれのケースにおいて、CyCに、♯で示される位置で結合し、Mに、*で示される位置で配位し、
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Rは請求項1で記載の意味を有し、使用されるその他の記号は以下が適用される:
Xは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり;
Wは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、NR、OまたはSであり;
Cy
CまたはCyD中の2つの隣接する基XはCRを意味し、これらの炭素原子に結合されるラジカルRとともに、式(3)の基を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
基CyCが、式(CyC−1a)〜(CyC−19a)から選択されることを特徴とし、ここで、基CyCは、それぞれのケースにおいて、CyDに、♯で示される位置で結合し、Mに、*で示される位置で配位し、
【化5-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化5-2】
[この文献は図面を表示できません]
かつ、基CyDが、式(CyD−1a)〜(CyD−4a)および(CyD−7a)〜(CyD−10a)から選択されることを特徴とし、ここで、基CyDは、それぞれのケースにおいて、CyCに、♯で示される位置で結合し、Mに、*で示される位置で配位し、
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
式中、使用される記号は、請求項1および2に記載の意味を有し、かつ基Cy
CまたはCyD
の1つにおける、2つの隣接するラジカルRは、それらが結合する炭素原子とともに、式(3)の環を形成する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
CyCが、基(CyC−1−1)〜(CyC−19−1)から選択され、および/またはCyDが基(CyD−1−1)〜(CyD−4−3)および(CyD−7−1)〜(CyD−10−4)から選択されることを特徴とする、請求項1〜
3のいずれか一項に記載の化合物。
【化7-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化7-2】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、使用される記号および添え字は、請求項1および2に記載の意味を有し、かつ、それぞれのケースにおいて、oは、CRを表す位置を示し、ここで、それぞれのラジカルRが、それらが結合するC原子とともに、式(3)の環を形成する)
【請求項5】
式(3)の基が、p=2である場合に、式(4−A)および(4−B)の構造から選択され、p=3である場合に、式(5−A)、(5−B)および(5−C)の構造から選択されることを特徴とする、請求項1〜
4のいずれか一項に記載の化合物。
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
1およびR
3は、請求項1に記載の意味を有し、かつAは、OまたはNR
3を意味する)
【請求項6】
式(3)、(4−A)、(4−B)、(5−A)、(5−B)および(5−C)中のR1が、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、Dまたは1〜5のC原子を有するアルキル基(ここで、さらに1以上のH原子がFによって置換されていてもよい)であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(6)〜(11)の化合物から選択される、請求項1〜
6に記載の化合物。
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、使用される記号および添え字は、請求項1に記載の意味を有し、かつVは、単結合、または第III族、第IV族、第V族および/または第VI族の1〜80の原子を含む架橋単位、または3〜6員同素環もしくは複素環(これは、サブ配位子Lを互いに共有結合するか、またはLをL’に共有結合する)
【請求項8】
L’が、電荷を有さない窒素原子およびマイナスの電荷を有する炭素原子、または電荷を有さない炭素原子およびマイナスの電荷を有する炭素原子を介して、Mに結合されるモノアニオン性二座配位子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
L’が、式(27)〜(50)の2つの基の組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1〜
8のいずれか一項に記載の化合物。
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、2つの基は、それぞれのケースにおいて、互いに、♯で示される位置で結合され、かつ*で示される位置でMに配位されており;Wは、請求項2に記載の意味を有し;Xは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、CRまたはNを意味し;Rは、請求項1に記載の意味を有し、ここで、式(27)〜(47)の2つの異なる環に結合される、2つのラジカルRは、互いに芳香族環系を形成してもよい)
【請求項10】
自由配位子Lおよび所望によりL’が、式(67)の金属アルコキサイド、式(68)の金属ケトケトネート、式(69)のハロゲン化金属、式(70)の二量体金属錯体、または式(71)の金属錯体と、
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
またはアルコキシドおよび/またはハロゲン化物および/またはヒドロキシおよびケトケトネートラジカルの両方を有する金属化合物との反応による、請求項1〜
9のいずれか一項に記載の化合物の調製方法。
(式中、記号M、m、nおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、Hal=F、Cl、BrまたはIであり、L’’はアルコールまたはニトリルを意味し、かつ(アニオン)は非配位アニオンである)
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の1以上の化合物を含む、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーであって、その化合物から、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの、1以上の結合が存在する、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマー。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の1以上の化合物、または請求項11に記載のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマー、および少なくとも1つのさらなる化合物を含んでなる配合物。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項11に記載のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーの、電子素子における、使用。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項11に記載のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーの、一重項酸素発生のための、使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項11に記載のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーの、光触媒反応における、使用。
【請求項16】
少なくとも1つの層に、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項11に記載のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを含んでなる、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子、発光電子化学電池または有機レーザーダイオードからなる群から選択される、電子素子。
【請求項17】
請求項16に記載の電子素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、かつ請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物または請求項11に記載のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーが、1以上の発光層において発光化合物として使用されることを特徴とする、請求項16に記載の電子素子。
【請求項18】
前記発光層が、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、トリアリールアミン、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザカルバゾール、バイポーラーマトリックス材料、シラン、アザボロール、ボロン酸エステル、ジアザシロール、トリアジン、亜鉛錯体、ジベンゾフランおよび架橋カルバゾールからなる群から選択される1以上のマトリックス材料を含んでなることを特徴とする、請求項17に記載の電子素子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光体としての使用に適する金属錯体に関するものである。
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)において、使用される発光材料は、蛍光よりも燐光を示す有機金属錯体が使用されることが増えている(M.A.Baldo等、Appl.Phys.Lett.1999、75、4−6)。量子力学的な理由で、燐光発光性発光体として有機金属化合物を使用すると、最大4倍のエネルギー効率と出力効率が可能である。しかしながら、一般的にはまだ、三重項発光を示すOLEDにおける、特に効率、動作電圧および寿命に関する改善が必要とされている。これは、特に、比較的短波長領域、すなわち緑色および特定の青色、において発光するOLEDに適用される。
【0003】
従来技術によると、燐光OLEDに使用される三重項発光体は、特にイリジウムおよび白金錯体である。使用されるイリジウム錯体は、特に、ビス‐およびトリス−オルト−金属化錯体であり、配位子は、負に帯電した炭素原子および電荷を持たない窒素原子、または負に帯電した炭素原子および電荷を持たないカルベン炭素原子を介して金属に結合される。そのような錯体の例としては、トリス(フェニルピリジル)イリジウム(III)およびそれらの誘導体(例えば、US2002/0034656またはWO2010/027583)が挙げられる。文献には、多数の関連する配位子およびイリジウムまたは白金錯体が開示され、例えば、1−または3−フェニルイソキノリン配位子(例えば、EP1348711またはWO2011/028473)、2−フェニルキノリン(例えば、WO2002/064700またはWO2006/095943)、またはフェニルカルベン(例えば、WO2005/019373)との錯体である。白金錯体は、例えばWO2003/040257で知られている。この種の金属錯体で良好な結果がすでに得られてきたが、ここでは、さらなる改良が求められている。
【0004】
それゆえ、本発明の目的は、OLEDに使用される発光体として適切な新規な金属錯体を提供することである。特に、効率、作動電圧、寿命、カラーコーディネート、および/または色純度(つまり、発光バンドの幅)に関して、改良された特性を示す発光体を提供することである。本発明のさらなる目的は、特に溶液中で、酸化安定性が増した金属錯体を提供することである。それゆえ、特に、オルト−金属化錯体は一重項酸素の発生にとても鋭敏である(これは、同様に金属錯体自体を攻撃することができる非常に攻撃的な酸化剤である)ことが知られているので、好ましい。
【0005】
さらに、昇華性および溶解性に関する従来技術による多くの金属錯体のケースにおいて、いまだ改良が求められている。特に、トリス−オルト−金属化錯体は、高分子量ゆえ、高い昇華温度を有し、これが、昇華の間に熱蒸着されてもよい。さらに、従来技術による多くの金属錯体は、通常の有機溶媒から溶液のプロセスを可能にするのに十分な溶解性を有していない。
【0006】
驚くべきことに、以下に非常に詳細に開示する、ベンジルプロトンを有さない、少なくとも1つの縮合脂肪族6または7員環を含む、特定の金属キレート錯体がこの目的を達成し、有機エレクトロルミネッセンス素子における使用に非常に高く適していることがわかってきた。それゆえ、本願発明は、これらの金属錯体、およびこれらの錯体を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【0007】
EP1191613は、フェニルピリジン配位子の配位フェニル基に縮合される脂肪族環を含むイリジウム錯体を開示する。しかしながら、この文献で開示される錯体は、特に溶液中で、高い酸化感受性を有し、さらなる改良が望まれるであろうことを意味している。さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子における使用の際の錯体の特性に関して、改良が、いまだ望まれている。
【0008】
US2007/0231600は、それぞれ2つの配位アリールまたはヘテロアリール基に縮合される6員環を含むイリジウム錯体を開示する。しかしながら、ベンジルプロトンを含まず、純粋に、脂肪族6員環を含む化合物は開示されていない。
【0009】
K.H.Leeら(Journal of NanoscienceおよびNanotechnology 2009、9、7099−7103)は、縮合テトラメチルシクロヘキサン環を含むヘテロレプティックIr(ppy)
2(acac)錯体を開示する。共配位子としてアセチルアセトナートを含むヘテロレプティック錯体のしばしば短い寿命のために、トリス−オルト−金属化錯体が好まれる。なぜなら、これらは、一般に長い寿命を有するからである。しかしながら、トリス−オルト−金属化錯体は、高分子量のため、アセチルアセトナート錯体と比較すると、より高温で昇華するという欠点を有する。このことは、錯体の正確な構造にも依存し、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造中の、昇華の間または蒸着の間の、熱分解を引き起こすかもしれない。それゆえ、ここでもさらなる改良が望まれている。
【0010】
本発明は、式(1)の化合物に関するものである。
M(L)
n(L’)
m 式(1)
これは、式(2)の部分M(L)
nを含み:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
式中、使用される記号および添え字には、以下が適用される:
Mは、イリジウムまたは白金であり;
CyCは、5〜18の芳香族原子を有する、アリールもしくはヘテロアリール基、またはフルオレン基であり、このそれぞれはMに炭素原子を介して配位し、このそれぞれは1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、このそれぞれはCyDに共有結合を介して結合されており;
CyDは、5〜18の芳香族環原子を有するヘテロアリール基であり、これは電荷を有さない窒素原子またはカルベン炭素原子を介してMに配位されており、これは1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、これは共有結合を介してCyCに結合されており;
Rは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、NO
2、OH、COOH、C(=O)N(R
1)
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、S(=O)R
1、S(=O)
2R
1、OSO
2R
1、1〜20のC原子を有する直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜20のC原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜20のC原子を有する、分岐または環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよく、ここで1以上の隣接しないCH
2基は、R
1C=CR
1、C≡C、Si(R
1)
2、C=O、NR
1、O、SまたはCONR
1によって置き換えられていてもよく、かつ1以上のH原子が、D、F、Cl、Br、IまたはCNによって置換されていてもよい)、または5〜60の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースにおいて、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)、または5〜40の芳香族環原子を有する、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これは、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)、5〜40の芳香族環原子を有する、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これは、以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)、10〜40の芳香族環原子を有する、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基(これは、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)であり;ここで、2つの隣接するラジカルRが、互いに、単もしくは多環、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成してもよく;
R
1は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
2)
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、OSO
2R
2、1〜20のC原子を有する直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜20のC原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜20のC原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよく、ここで1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、C=O、NR
2、O、SまたはCONR
2によって置き換えられていてもよく、かつ1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)、5〜60の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースにおいて、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、5〜40の芳香族環原子を有する、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、5〜40の芳香族環原子を有する、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、10〜40の芳香族環原子を有する、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)であり;ここで、2以上の隣接するラジカルR
1は、互いに、単もしくは多環、脂肪族環系を形成してもよく;
R
2は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、または1〜20のC原子を有する、脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族炭化水素ラジカル(これは、さらに、1以上のH原子がFによって置き換えられていてもよい)であり;ここで、2以上の置換基R
2が、互いに、単もしくは多環、脂肪族環系を形成してもよく;
L’は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、Mに結合される二座配位子であり;
nは、M=イリジウムのとき、1、2または3であり、M=白金のとき、1または2であり;
mは、M=イリジウムのとき、0、1または2であり、M=白金のとき、0または1であり;
ここで、CyCおよびCyDは、互いに、C(R
1)
2、C(R
1)
2−C(R
1)
2、NR
1、OまたはSから選択される基を介して、結合されていてもよく;
ここで、複数の配位子Lは、互いに結合されていてもよく、またはLが、単結合、2価もしくは3価のブリッジを介して、L’に結合され、四座もしくは六座配位子系を形成してもよく;
CyDおよび/またはCyCが、2つの隣接する炭素原子(このそれぞれは、ラジカルRによって置換されていて、それぞれのラジカルRは、C原子とともに、以下の式(3)の環を形成する)を含むことを特徴とする:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
1およびR
2は、上記の意味を有し、破線は、配位子中の2つの炭素原子の結合を示し、さらに:
Aは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、C(R
1)
2、O、S、NR
3またはC(=O)であり、ただし、基−(A)
p−中の2つのヘテロ原子は、互いに直接結合されておらず;
R
3は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、1〜20のC原子を有する直鎖の、アルキルもしくはアルコキシ基、または3〜20のC原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキルもしくはアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、C=O、NR
2、O、SまたはCONR
2によって置き換えられていてもよく、ここで1以上のH原子は、DまたはFによって置き換えられていてもよい)、または5〜24の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースおいて、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、5〜24の芳香族環原子を有する、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、または5〜24の芳香族原子を有する、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)であり;ここで、同一の炭素原子に結合される2つのラジカルR
3が、互いに、脂肪族または芳香族環系を形成し、よってスピロ系を形成してもよく;さらに、R
3が、隣接するラジカルRまたはR
1とともに、脂肪族環系を形成してもよく;
pは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、2または3である。
【0011】
式(3)の部分の存在、つまり縮合脂肪族6または7員環、は、本発明にとって、最も重要である。上述の式(3)から明らかなように、4つのC原子および基Aによって形成される、6または7員環は、ベンジルプロトンを含まない。なぜなら、R
3は、水素ではないからである。上記で描かれる式(3)の構造、および好ましいと言及されるこの構造のさらなる形態において、2重結合は、形式上、2つの炭素原子の間に描かれる。これは、化学構造を単純化したものを示している。なぜなら、これらの2つの炭素原子は、配位子の芳香族またはヘテロ芳香族環中に結合されており、これらの2つの炭素原子の間の結合は、形式上、単結合の結合次数と二重結合の結合次数の間であるからである。よって、形式的な二重結合の描写は、構造の限定として解釈されるべきではなく、代わりに、当業者であればこれが芳香族結合を意味することが明確である。
【0012】
ここで、「隣接する炭素原子」は、互いに直接結合された炭素原子を意味する。さらに、ラジカルの定義において「隣接するラジカル」は、これらのラジカルが、同一の炭素原子または隣接する炭素原子のどちらかに結合されていることを意味する。
【0013】
本発明による構造において、隣接するラジカルが脂肪族環系を形成する場合に、この脂肪族環系は、ベンジルプロトンを含まないことが好ましい。アリールまたはヘテロアリール基に直接結合された脂肪族環系の炭素原子が、完全に置換され、かついかなる結合された水素原子を含まないことによって、達成されうる。これは、さらに、アリールまたはヘテロアリール基に直接結合される脂肪族環系の炭素原子が、二または多環構造の橋頭(bridgehead)であることによっても、達成されうる。橋頭炭素原子に結合されるプロトンは、二または多環の空間構造のおかげで、二または多環構造に結合されていない炭素原子上のベンジルプロトンよりも、顕著に酸性度が低く、そして、本発明の目的のために、非酸性プロトンとみなされる。
【0014】
本発明の意味でのアリール基は、6〜40のC原子を含む。本発明の意味でのヘテロアリール基は、2〜40のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含み、C原子およびヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単一の芳香族環(すなわちベンゼン)もしくは単一のヘテロ芳香族環(例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等)、または縮合アリールもしくはヘテロアリール基(例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等)を意味するものと解される。
【0015】
本発明の意味での芳香族環系は、環系内に6〜60のC原子を含む。本発明の意味でのヘテロ芳香族環系は、環系内に1〜60のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含み、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。本発明の意味での芳香族またはヘテロ芳香族環系は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含む系ではなく、代わりに、さらに複数のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位(好ましくはH以外の原子が10%より少ない)、例えばC、NもしくはO原子、またはカルボニル基、に介在されていてもよい。例えば、9,9’−スピロビフルオレン、9,9’−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の系は、また本発明の意味において、芳香族環系を意味するものと解される。2以上のアリール基が、例えば、直鎖もしくは環状アルキル基、またはシリル基によって介在されている系も、同様である。さらに、2以上のアリールまたはヘテロアリール基が互いに直接結合されている系(例えば、ビフェニル、テルフェニル)も、同様に、芳香族またはヘテロ芳香族環系を意味するものと解される。
【0016】
本発明の意味での、環状アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基は、単環、二環、または多環基であると解される。
【0017】
本発明の目的において、C
1−〜C
40−アルキル基(さらに、これらの個々の水素原子またはCH
2基は、上記した基によって置換されていてよい)は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、tert−ペンチル、2−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、tert−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、4−ヘプチル、シクロヘプチル、1−メチルシクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、1−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−(2,6−ジメチル)オクチル、3−(3,7−ジメチル)オクチル、アダマンチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1−ジメチル−n−ヘキサ−1−イル、1,1−ジメチル−n−ヘプタ−1−イル、1,1−ジメチル−n−オクタ−1−イル、1,1−ジメチル−n−デカ−1−イル、1,1−ジメチル−n−ドデカ−1−イル、1,1−ジメチル−n−テトラデカ−1−イル、1,1−ジメチル−n−ヘキサデカ−1−イル、1,1−ジメチル−n−オクタデカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−ヘキサ−1−イル、1,1−ジエチル−n−ヘプタ−1−イル、1,1−ジエチル−n−オクタ−1−イル、1,1−ジエチル−n−デカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−ドデカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−テトラデカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−ヘキサデカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−オクタデカ−1−イル、1−(n−プロピル)シクロヘキサ−1−イル、1−(n−ブチル)シクロヘキサ−1−イル、1−(n−ヘキシル)シクロヘキサ−1−イル、1−(n−オクチル)シクロヘキサ−1−イル−および1−(n−デシル)シクロヘキサ−1−イルラジカルを意味するものと解される。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを意味するものと解される。アルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニルまたはオクチニルを意味するものと解される。C
1−〜C
40−アルコキシ基は、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシまたは2−メチルブトキシを意味するものと解される。
【0018】
5〜60個の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系は、各場合に、上記のラジカルによって置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族またはヘテロ芳香族系に連結していてもよいが、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオラセン、ベンゾフルオラセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス−またはトランス−インデノフルオレン、シス−またはトランス−モノベンゾインデノフルオレン、シス−またはトランス−ジベンゾインデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジオゾール、1,3,4−オキサジオゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
【0019】
式(1)の好ましい化合物は、電荷を有さない、つまり電気的に中性である、ことを特徴とする。このことは、配位子LおよびL’の電荷が、錯体を形成する金属原子Mの電荷を補うように、選択されることによる単純な方法で、達成される。
【0020】
本発明の好ましい形態において、CyCは、5〜14の芳香族環原子、特に好ましくは6〜13の芳香族環原子、さらに特に好ましくは6〜10の芳香族環原子、特別に好ましくは6の芳香族環原子、を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、これは、Mに炭素原子を介して配位しており、1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、CyDに共有結合を介して結合している。
【0021】
基CyCの好ましい形態は、以下の式(CyC−1)〜(CyC−19)の構造であり、基CyCはそれぞれのケースにおいて、CyDに、#で印した位置で結合しており、金属Mに、*で印した位置で配位している。
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Rは上記に記載の意味を有し、使用される他の記号には以下が適用される:
Xは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり;
Wは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、NR、OまたはSである。
【0022】
式(3)の基がCyCに結合している場合に、CyC中の2つの隣接する基Xは、CRを意味し、これらの炭素原子に結合されたラジカルRとともに、上述または以下により詳細に記載する式(3)の基を形成する。
【0023】
好ましくは、CyCにおいて最大3つの記号XがNを意味し、特に好ましくは、CyCにおいて最大2つの記号XがNを意味し、さらに特に好ましくは、CyCにおいて最大1つの記号XがNを意味する。特別に好ましくは、全ての記号XがCRを意味する。
【0024】
特に好ましい基CyCは、以下の式(CyC−1a)〜(CyC−19a)の基である。
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
式中、使用される記号は上記に記載された意味を有する。式(3)の基がCyC上に存在する場合に、2つの隣接するラジカルRは、それらが結合される炭素原子とともに、式(3)の環を形成する。
【0025】
基(CyC−1)〜(CyC−19)のうちの好ましい基は、基(CyC−1)、(CyC−3)、(CyC−8)、(CyC−10)、(CyC−12)、(CyC−13)および(CyC−16)であり、特に好ましくは、基(CyC−1a)、(CyC−3a)、(CyC−8a)、(CyC−10a)、(CyC−12a)、(CyC−13a)および(CyC−16a)である。
【0026】
本発明のさらに好ましい形態において、CyDは、5〜13の芳香族環原子、特に好ましくは5〜10の芳香族環原子を有するヘテロアリール基であり、これは電荷を有さない窒素原子またはカルベン炭素原子を介して、Mに配位し、これは1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、かつこれはCyCに共有結合を介して結合する。
【0027】
基CyDの好ましい形態は、以下の式(CyD−1)〜(CyD−10)の構造であり、基CyDは、それぞれのケースにおいて、#の印の位置でCyCに結合し、*の印の位置でMに配位する。
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
式中、X、WおよびRは、上述で記載の意味を有する。
【0028】
式(3)の基がCyDに結合する場合に、CyDにおける2つの隣接する基Xは、CRを意味し、これらの炭素原子に結合するラジカルRとともに、上記または以下により詳細に記載される式(3)の基を形成する。
【0029】
好ましくは、CyDにおいて最大3つの記号XがNを意味し、特に好ましくはCyDにおいて最大2つの記号XがNを意味し、さらに特に好ましくはCyDにおいて最大1つの記号XがNを意味する。特別に好ましくは、全ての記号XがCRを意味する
【0030】
特に好ましい基CyDは、以下の式(CyD−1a)〜(CyD−10a)の基である。
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
式中、使用される記号は上記で記載の意味を有する。式(3)の基がCyD上に存在する場合に、2つの隣接するラジカルRは、それらが結合される炭素原子とともに、式(3)の環を形成する。
【0031】
基(CyD−1)〜(CyD−10)のうちで好ましい基は、基(CyD−1)、(CyD−3)、(CyD−4)、(CyD−5)および(CyD−6)、特に好ましくは、基(CyD−1a)、(CyD−3a)、(CyD−4a)、(CyD−5a)および(CyD−6a)である。
【0032】
本発明の好ましい形態において、CyCは、5〜14の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、かつ同時にCyDが5〜13の芳香族環原子を有するヘテロアリール基である。特に好ましくは、CyCが6〜13の芳香族環原子を有する、より好ましくは6〜10の芳香族環原子を有する、特に好ましくは6の芳香族環原子を有する、アリールもしくはヘテロアリール基であり、かつ同時にCyDが5〜10の芳香族環原子を有するヘテロアリール基である。ここで、CyCおよびCyDは、1以上のラジカルRで置換されていてもよい。
【0033】
上述された好ましい基CyCおよびCyDは、所望により互いに組み合わせられる。以下のCyCおよびCyDの組み合わせは、配位子Lにおいて、適切である。
【化7-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化7-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0034】
特に好ましくは、上記で特に好ましいと記載の基CyCおよびCyDが互いに組み合わせることである。したがって、以下のCyCおよびCyDの組み合わせは、配位子Lにおいて好ましい。
【化8-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化8-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0035】
上記したように、本発明にとって、CyDおよび/またはCyC、または上記の好ましい形態が、2つの隣接する炭素原子を有し、これらのそれぞれがラジカルRによって置換され、ここで、それぞれのラジカルRが、C原子とともに、上述の式(3)の環を形成することが重要である。
【0036】
本発明の好ましい形態において、配位子Lは、式(3)の基をちょうど1つ含むか、式(3)の基を2つ含み、そのうち一方がCyCに結合され、もう一方がCyDに結合される。特に好ましい形態において、配位子Lは、式(3)の基をちょうど1つ含む。ここで、式(3)の基は、CyC上またはCyD上のどちらかに存在していてもよく、式(3)の基は、CyCまたはCyDの任意のとりうる位置で結合されうる。
【0037】
以下の基(CyC−1−1)〜(CyC−19−1)および(CyD−1−1)〜(CyD−10−1)において、CRを意味する隣接する基Xの好ましい位置は、それぞれのケースにおいて描かれ、ここで、それぞれのラジカルRは、それらが結合されるC原子とともに、上述の式(3)の環を形成する。
【化9-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化9-2】
[この文献は図面を表示できません]
式中、使用される記号および添え字は、上述で記載された意味を有し、それぞれのケースにおいてoは、CRを表す位置を示す。ここで、それぞれのラジカルRは、それらが結合するC原子とともに、上述の式(3)の環を形成する。
【0038】
上記の2つの表にそれぞれ示される基(CyC−1−1)〜(CyC−19−1)および(CyD−1−1)〜(CyD−10−4)は、表に示される基(CyC−1)〜(CyC−19)および(CyD−1)〜(CyD−19)のかわりに、同様に好ましい。
【0039】
式(3)の基の好ましい形態は、以下に示される。式(3)の基のケースにおいて、酸性ベンジルプロトンを含まないことが重要である。
【0040】
添え字p=2である場合に、式(3)の基は、以下の式(4)の6員環構造であり、p=3である場合に、式(3)の基は、以下の式(5)の7員環構造である。
【化10】
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式中、使用される記号は、上記で記載された意味を有する。
【0041】
本発明の好ましい形態において、p=2である。つまり、好ましくは式(4)の構造である。
【0042】
式(3)、(4)および(5)の好ましい形態において、基Aの最大1つがヘテロ原子、特にOまたはNR
3、であり、そして、p=2であるとき他の基A、またはp=3であるときの他の2つの基Aは、C(R
1)
2を意味する。本発明の特に好ましい形態において、Aは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、C(R
1)
2である。
【0043】
式(4)の好ましい形態は、よって、式(4−A)および(4−B)の構造であり、式(4−A)の構造が特に好ましい。
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
1およびR
3は、上記に記載の意味を有し、Aは、OまたはNR
3を意味する。
【0044】
式(5)の好ましい形態は、式(5−A)、(5−B)および(5−C)の構造であり、式(5−A)の構造が特に好ましい。
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
1およびR
3は、上記に記載の意味を有し、Aは、OまたはNR
3を意味する。
【0045】
式(4−A)、(4−B)、(5−A)、(5−B)および(5−C)の好ましい形態において、R
1は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、Dまたは1〜5のC原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル、(ここで、さらに1以上のH原子がFによって置換されていてもよい)であり、2以上の隣接するラジカルR
1は、互いに脂肪族環系を形成してもよい。R
1は、特に好ましくは水素である。
【0046】
本発明の好ましい形態において、式(3)の基および好ましい形態におけるR
3は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、1〜10のC原子を有する、直鎖の、アルキルもしくはアルコキシ基、または3〜10のC原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキルもしくはアルコキシ基(ここで、それぞれのケースにおいて、1以上の隣接しないCH
2基が、R
2C=CR
2に置き換えられていてもよく、かつ1以上のH原子がDまたはFによって置きかえられていてもよい)、または5〜14の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケ−スにおいて、1以上のラジカルR
2で置換されていてもよい)を意味し;ここで同一の炭素原子に結合される2つの隣接するR
3が、脂肪族または芳香族環を形成し、そしてスピロ系を形成してもよく;さらに、R
3は、隣接するラジカルRまたはR
1と脂肪族環系を形成してもよい。
【0047】
本発明の特に好ましい形態において、式(3)の基におけるおよび好ましい形態におけるR
3は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、1〜3のC原子を有する、直鎖の、アルキルもしくはアルコキシ基、特にメチル、または3〜5のC原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキルもしくはアルコキシ基、6〜12の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環原子(ここで、それぞれのケースにおいて、1以上のラジカルR
2で置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)を意味し;ここで同一の炭素原子に結合される2つの隣接するR
3が、脂肪族または芳香族環を形成し、そしてスピロ系を形成してもよく;さらに、R
3は、隣接するラジカルRまたはR
1と脂肪族環系を形成してもよい。
【0048】
式(4)の適切な基の例は、以下に示される基(4−1)〜(4−16)である:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
式(5)の適切な基の例は、以下に示される基(5−1)〜(5−11)である:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0049】
ラジカルRが式(2)の部分に結合される場合に、これらのラジカルRは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、好ましくは、H、D、F、Br、I、N(R
1)
2、CN、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、1〜10のC原子を有する直鎖のアルキル基、または2〜10のC原子を有するアルケニル基、または3〜20のC原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよく、ここで、1以上のH原子がDまたはFによって置き換えられていてもよい)、5〜30の芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースにおいて、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)からなる群から選択され;ここで2つの隣接するラジカルRが、またはRがR
1とともに、互いに、単もしくは多環、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよい。これらのラジカルRは、特に好ましくは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、N(R
1)
2、1〜6のC原子を有する直鎖のアルキル基、または3〜10のC原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(ここで、1以上のH原子がDまたはFによって置き換えられていてもよい)、5〜24の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これはそれぞれのケースにおいて、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)からなる群から選択され;ここで2つの隣接するラジカルRが、またはRがR
1とともに、互いに、単もしくは多環、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよい。
【0050】
Rに結合されるラジカルR
1は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、好ましくは、H、D、F、N(R
2)
2、CN、1〜10のC原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、または2〜10のC原子を有するアルケニル基、3〜10のC原子を有する、分岐もしくは環状のアルキルもしくはアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよく、ここで1以上の隣接しないCH
2基がR
2C=CR
2またはOによって置き換えられていてもよく、1以上のH原子がDまたはFによって置き換えられていてもよい)、または5〜20の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースにおいて1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、10〜40の芳香族環原子を有する、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基(これは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)であり;ここで、2以上の隣接するラジカルR
1が、互いに単もしくは多環、脂肪族環系を形成していてもよい。特に好ましいRに結合されるラジカルR
1は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、F、CN、1〜5のC原子を有する直鎖のアルキル基、または3〜5のC原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)、または5〜13の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これはそれぞれのケースにおいて1以上のラジカルR
2によって置換されていてもよい)であり;ここで、2以上の隣接するラジカルR
1が、互いに、単もしくは多環、脂肪族環系を形成していてもよい。
【0051】
好ましいラジカルR
2は、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、F、1〜5のC原子を有する脂肪族炭化水素ラジカル、または6〜12のC原子を有する芳香族炭化水素ラジカルであり;ここで、2以上の置換基R
2が、互いに、単もしくは多環、脂肪族環系を形成していてもよい。
【0052】
上述のように、この配位子Lを1以上のさらなる配位子LまたはL’に結合する架橋単位は、ラジカルRのうちの1つの代わりに存在していてもよい。本発明の好ましい形態において、架橋単位は、ラジカルRのうちの1つの代わりに、特に配位原子にオルトまたはメタ位に存在するラジカルRの代わりに、存在し、そのため、配位子は、三座もしくは多座または多脚(polypodal)特性を有する。2つがそのような架橋単位として存在することも可能である。これによって、大環状配位子またはクリプテートが形成される。
【0053】
多座配位子を含む好ましい構造は、以下の式(6)〜(11)の金属錯体である。
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
式中、使用される記号および添え字は、上記の意味を有する。
【0054】
式(6)〜(11)の構造において、Vは、好ましくは、単結合、または第III族、第IV族、第V族および/または第VI族(IUPACによる13、14、15または16族)の1〜80の原子を含む架橋単位、または3〜6員同素環もしくは複素環(これは、配位子Lの部分を互いに、またはLをL’に共有結合する)を表す。ここで、架橋単位Vは、非対称な構造を有していてもよく、つまりVのLおよびL’への結合が同一でなくてよい。架橋単位Vは、電荷を有していなくてもよく、一価、二価、三価のマイナスの電荷を有していてもよく、一価、二価、三価のプラスの電荷を有していてもよい。好ましくは、Vは電荷を有していないか、一価のプラスもしくはマイナスの電荷を有しており、特に好ましくは電荷を有さない。この場合、Vの電荷は、錯体全体が電荷を有さないように選択される。ML
nの部分の上記の好ましい形態は、配位子に適用され、nは好ましくは少なくとも2である。
【0055】
基Vの厳密な構造および化学組成は、錯体の電気的な特性に重要な影響を与えない。なぜなら、この基の役割は、基本的に、Lを互いに、またはL’に架橋することによって、錯体の化学的および熱的安定性を向上させることであるからである。
【0056】
Vが三価基、つまり3つの配位子Lが互いに、または2つの配位子LがL’に、または1つの配位子Lが2つの配位子L’に架橋する場合に、Vは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、好ましくは、B、B(R
1)
−、B(C(R
1)
2)
3、(R
1)B(C(R
1)
2)
3−、B(O)
3、(R
1)B(O)
3−、B(C(R
1)
2C(R
1)
2)
3、(R
1)B(C(R
1)
2C(R
1)
2)
3−、B(C(R
1)
2O)
3、(R
1)B(C(R
1)
2O)
3−、B(OC(R
1)
2)
3、(R
1)B(OC(R
1)
2)
3−、C(R
1)、CO
−、CN(R
1)
2、(R
1)C(C(R
1)
2)
3、(R
1)C(O)
3、(R
1)C(C(R
1)
2C(R
1)
2)
3、(R
1)C(C(R
1)
2O)
3、(R
1)C(OC(R
1)
2)
3、(R
1)C(Si(R
1)
2)
3、(R
1)C(Si(R
1)
2C(R
1)
2)
3、(R
1)C(C(R
1)
2Si(R
1)
2)
3、(R
1)C(Si(R
1)
2Si(R
1)
2)
3、Si(R
1)、(R
1)Si(C(R
1)
2)
3、(R
1)Si(O)
3、(R
1)Si(C(R
1)
2C(R
1)
2)
3、(R
1)Si(OC(R
1)
2)
3、(R
1)Si(C(R
1)
2O)
3、(R
1)Si(Si(R
1)
2)
3、(R
1)Si(Si(R
1)
2C(R
1)
2)
3、(R
1)Si(C(R
1)
2Si(R
1)
2)
3、(R
1)Si(Si(R
1)
2Si(R
1)
2)
3、N、NO、N(R
1)+、N(C(R
1)
2)
3、(R
1)N(C(R
1)
2)
3+、N(C=O)
3、N(C(R
1)
2C(R
1)
2)
3、(R
1)N(C(R
1)
2C(R
1)
2)
+、P、P(R
1)
+、PO、PS、P(O)
3、PO(O)
3、P(OC(R
1)
2)
3、PO(OC(R
1)
2)
3、P(C(R
1)
2)
3、P(R
1)(C(R
1)
2)
3+、PO(C(R
1)
2)
3、P(C(R
1)
2C(R
1)
2)
3、P(R
1)(C(R
1)
2C(R
1)2)
3+、PO(C(R
1)
2C(R
1)
2)
3、S
+、S(C(R
1)
2)
3+、S(C(R
1)
2C(R
1)
2)
3+、または式(12)〜(16)の単位からなる群から選択される。
【化16】
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式中、それぞれのケースにおいて、破線は、配位子LまたはL’の部分との結合を示し、Zは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、単結合、O、S、S(=O)、S(=O)
2、NR
1、PR
1、P(=O)R
1、C(R
1)
2、C(=O)、C(=NR
1)、C(=C(R
1)
2)、Si(R
1)
2またはBR
1からなる群から選択される。使用されるその他の記号は上記に記載の意味を有する。
【0057】
Vが基CR
2を意味する場合に、2つのラジカルRは互いに結合していてもよく、そして結果として、例えば9,9−フルオレンのような構造もまた適切な基Vである。
【0058】
Vが二価基、つまり2つの配位子Lが互いにまたは1つの配位子LがL’に架橋する場合に、Vは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、好ましくは、BR
1、B(R
1)
2−、C(R
1)
2、C(=O)、Si(R
1)
2、NR
1、PR
1、P(R
1)
2+、P(=O)(R
1)、P(=S)(R
1)、O、S、Se、または式(17)〜(26)の単位からなる群から選択される。
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
式中、それぞれのケースにおいて、破線は、配位子LまたはL’の部分との結合を示し、Yは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、C(R
1)
2、N(R
1)、OまたはSを意味し、かつ使用されるその他の記号は上記に記載の意味を有する。
【0059】
式(1)に表される好ましい配位子L’は、以下に示される。配位基L’は、それらが架橋基Vを介してLに結合される場合に、式(6)、(8)および(10)に示されるように、選択される。
【0060】
配位子L’は、好ましくは、電荷を有さない窒素原子およびマイナスの電荷を有する炭素原子を介して、または電荷を有さない炭素原子およびマイナスの電荷を有する炭素原子を介して、Mに結合されるモノアニオン性二座配位子である。ここで、好ましくは、配位子L’が、金属とともに、シクロメタル化5員環または6員環を形成する。上述のように、配位子L’は、架橋基Vを介して、Lに結合されていてもよい。配位子L’は、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子の燐光金属錯体において通常使用される配位子、すなわちフェニルピリジン、ナフチルピリジン、フェニルキノリン、フェニルイソキノリン型等(それぞれは1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい)の配位子である。燐光エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に、この種の多くの配位子が知られており、発明的な技術を行使することなく、さらなるこの種の配位子を式(1)の化合物の配位子L’として選択することができるであろう。以下の式(27)〜(50)(式中、1つの基は好ましくは電荷を有さない窒素原子もしくはカルベン原子を介して、もう一方の基は好ましくはマイナスの電荷を有する炭素原子を介して、結合される)に表される2つの基の組み合わせが、一般に、この目的に特に適切である。配位子L’は、#によって示される位置で互いに結合するこれらの基に基づき、式(27)〜(50)の基から形成されうる。それらの基が金属Mに配位する位置は、*によって示される。これらの基は、配位子Lに、1または2の架橋単位Vを介して、結合されていてもよい。
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0061】
ここで、Wは、上記に記載の意味を有し、Xは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、CRまたはNを意味する。少なくとも2つの隣接する基XがCRを意味し、かつラジカルRが式(3)の環を形成するという上述の制限は、ここでは適用されない。Rは、上記に記載の意味を有し、ここで、上述の式(27)〜(50)の2つの異なる環の基に結合される2つのラジカルRは、互いに芳香族環系を形成していてもよい。好ましくは、それぞれの基において最大3つの記号XがNを意味し、特に好ましくは、それぞれの基において最大2つの記号XがNを意味し、さらに特に好ましくは、それぞれの基において最大1つの記号XがNを意味する。特に好ましくは、全ての記号XがCRである。
【0062】
上記の式(27)〜(50)の2つの異なる環に結合される配位子L’中の2つのラジカルRが、互いに芳香族環系を形成する場合に、配位子が現れてもよく、例えば、これ全体が、単一のヘテロアリール基、例えばベンゾ[h]キノリン、である。異なる環上に、2つのラジカルRの環形成を通して現れる好ましい配位子は、以下に示される式(51)〜(55)の構造である:
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
式中、使用される記号は、上記で記載された意味を有する。
【0063】
上記で示されるL’の構造中の好ましいラジカルRは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、Br、N(R
1)
2、CN、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、1〜10のC原子を有する直鎖のアルキル基、または2〜10のC原子を有する直鎖の、アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜10のC原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよく、1以上のH原子がDまたはFによって置き換えられていてもよい)、または5〜14の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースにおいて1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)からなる群から選択され;ここで、2以上の隣接するラジカルRは、単または多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を、互いに形成してもよい。特に好ましいラジカルRは、出現毎に、同一であるかまたは異なり、H、D、F、Br、CN、B(OR
1)
2、1〜5のC原子を有する直鎖のアルキル基、特にメチル、または3〜5のC原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基、特にイソプロピルまたはtert−ブチル(1以上のH原子がDまたはFによって置き換えられていてもよい)、または5〜12の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれのケースにおいて、1以上のラジカルR
1によって置換されていてもよい)からなる群から選択され;ここで、2以上のラジカルRは、単もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を、互いに形成していてもよい。
【0064】
上記に示されるL’の構造における好ましいラジカルR
1は、上記に示される好ましいラジカルR
1と同様に定義される。
【0065】
本発明による錯体は、フェイシャル体(facial)もしくは疑似フェイシャル体(pseudofacial)であることが可能であり、または、それらは、メリジオナル体(meridional)もしくは疑似メリジオナル体(pseudomeridional)であることが可能である。
【0066】
配位子Lおよび/またはL’は、構造により、キラルであってよい。特に、例えば、それらが、1以上のステレオ中心を有する置換基(例えばアルキル、アルコキシ、ジアルキルアミノもしくはアラルキル基)を含む場合がそのケースである。錯体の基本構造がキラル構造であってよいので、ジアステレオマーの形成および複数のエナンチオマーのペアが可能である。本発明による錯体は、さまざまなジアステレオマーもしくは対応するラセミ体の混合物、およびそれぞれ分離されたジアステレオマーもしくはエナンチオマーを包含する。
【0067】
上記の好ましい形態は、所望により、互いに組み合わせることができる。本発明の好ましい形態において、上記の好ましい形態は、同時に適用する。
【0068】
式(1)の適切な化合物の例は、以下の表に示される構造である。
【化20-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化20-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化20-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0069】
本発明による金属錯体は、基本的に、さまざまなプロセスによって調製されうる。しかしながら、以下に記載するプロセスは、特に適していることがわかっている。
【0070】
それゆえ、本発明は、さらに、対応する自由配位子Lおよび所望によりL’が、式(67)の金属アルコキサイド、式(68)の金属ケトケトネート、式(69)のハロゲン化金属、式(70)の二量体金属錯体、または式(71)の金属錯体と反応によって、式(1)の金属錯体化合物を調製する方法に関するものである。
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
式中、記号M、m、nおよびRは、上記で示された意味を有し、Hal=F、Cl、BrまたはIであり、L’’は、アルコール(特に、1〜4のC原子を有するアルコール)、またはニトリル(特に、アセトニトリルまたはベンゾニトリル)、かつ(アニオン)は、非配位性アニオン、例えばトリフレートを意味する。
【0071】
同様に、ケトケトネートラジカルと同様に、アルコキシドおよび/またはハロゲン化物および/またはヒドロキシラジカルの両方を有する、金属化合物、特にイリジウム化合物、を用いることができる。これらの化合物は、電荷を有していてもよい。出発物質として特に適したイリジウム化合物に相当するものが、WO2004/085449に開示されている。特に適したものは、[IrCl
2(acac)
2]
−、例えばNa[IrCl
2(acac)
2]、である。配位子としてアセチルアセトナート誘導体との金属錯体、例えばIr(acac)
3またはトリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート)イリジウム、およびIrCl
3・xH
2O(式中、xは典型的には2〜4の数である)である。
【0072】
適切な白金出発物質としては、例えばPtCl
2、K
2[PtCl
4]、PtCl
2(DMSO)
2、Pt(Me)
2(DMSO)
2またはPtCl
2(ベンゾニトリル)
2である。
【0073】
合成は、式[Ir(L’)
2(HOMe)
2]Aまたは[Ir(L’)
2(NCMe)
2]Aのイリジウム錯体との配位子Lの反応によって、または式[Ir(L)
2(HOMe)
2]Aまたは[Ir(L)
2(NCMe)
2]Aのイリジウム錯体の配位子L’の反応によって、行われうる。ここで、それぞれのケースにおいて、Aは、双極性プロトン性溶媒(例えば、エチレンクリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)中の非配位アニオン(例えば、トリフレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスファート等)示す。
【0074】
錯体の合成は、WO2002/060910およびWO2004/085449に開示されているように行われることが好ましい。ヘテロレプティック錯体は、同様に例えばWO2005/042548に開示されるように、合成されうる。この場合、その合成は、例えば、熱的もしくは光化学的方法および/またはマイクロ波放射によって、活性化される。さらに、合成は、オートクレーブ中で、増圧および/または昇温で、行われてもよい。
【0075】
反応は、対応のo−メタル化される配位子の溶融物中で、溶媒もしくは溶融助剤を加えずに行うことができる。必要に応じて、溶媒もしくは溶融助剤を加えることもできる。適当な溶媒は、脂肪族および/または芳香族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t‐ブタノール等)、オリゴアルコールおよびポリアルコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールまたはグリセロール等)、アルコールエーテル(例えば、エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等)、エーテル(例えば、ジ−およびトリエチレングリコールジメチルエーテル、ジフェニルエーテル等)、芳香族、ヘテロ芳香族および/または脂肪族炭化水素(例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ピリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、トリデカン、ヘキサデカン等)、アミド(例えば、DMF、DMAC等)、ラクタム(例えば、NMP等)、スルホキシド(例えば、DMSO)、またはスルホン(例えば、ジメチルスルホン、スルホラン等)のようなプロトン性または非プロトン性溶媒である。適当な溶融助剤は、室温で固体であるが、均質な溶融を形成するために反応混合物が過熱され反応物質を溶解する時に溶融される化合物である。特に適当な溶融助剤は、ビフェニル、m−ターフェニル、トリフェニル、1,2−、1,3−、1,4−ビスフェノキシベンゼン、トリフェニルホスフィンオキシド、18−クラウン−6、フェノール、1−ナフトール、ヒドロキノン等である。
【0076】
所望により続いて精製(例えば、再結晶化または昇華)される、これらのプロセスによって、本発明による式(I)の化合物が、高純度、好ましくは99%より高い純度(
1H−NMRおよび/またはHPLCによって決定される)、で得られることを可能にする。
【0077】
本発明に係る化合物は、例えば、比較的長鎖のアルキル基(約4〜20のC原子)、特に分岐のアルキル基、または必要に応じて置換されたアリール基(例えば、キシリル、メシチル、または分枝状の、テルフェニルもしくはクォーターフェニル基)による適当な置換によって可溶化することもできる。この種の化合物は、通常の有機溶媒(例えば、トルエンまたはキシレン)に、室温で、十分な濃度で可溶であり、溶液からの錯体の処理が可能である。これらの可溶性化合物は、特に、溶液からの処理、例えば印刷法による、に適切である。
【0078】
本発明による化合物はポリマーと混合することもできる。同様に、これらの化合物をポリマーに共有結合により組み込むこともできる。これは特に、臭素、ヨウ素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステルのような反応性離脱基、またはオレフィンもしくはオキセタンのような反応性重合性基によって置換された化合物の場合に可能である。これらは、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの製造のためのモノマーとして利用してもよい。ここで、オリゴマー化またはポリマー化は、ハロゲン官能性もしくはボロン酸官能性により、または重合可能な基により、達成されることが好ましい。さらに、ポリマーをこの種の基を介して架橋させることもできる。本発明による化合物およびポリマーは、架橋された、または架橋されていない層の形で使用されてもよい。
【0079】
それゆえ、本発明はさらに、上述の本発明による化合物を1以上含む、オリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーに関するものであり、ここで、本発明による化合物から、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーに、1以上の結合が存在するものである。本発明による化合物の結合により、それらはオリゴマーもしくはポリマーの側鎖を形成するか、または主鎖に結合される。ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーは共役化されていても、部分的に共役化されていても、共役化されてなくてもよい。オリゴマーまたはポリマーは、直鎖状、分岐状、または樹枝状であってもよい。オリゴマー、デンドリマーおよびポリマーにおける本発明の化合物の繰り返し単位のために、同様の好ましいことが上述のように適用される。
【0080】
オリゴマーまたはポリマーを調製するために、本発明のモノマーは単独重合されるか、またはさらなるモノマーと共重合される。式(1)の単位または上述の好ましい形態が、0.01〜99.9mol%、好ましくは5〜90mol%、より好ましくは20〜80mol%、の範囲で存在するコポリマーであることが好ましい。適切で好ましい、ポリマー骨格を形成するコモノマーは、フルオレン(例えば、EP842208またはWO2000/022026)、スピロビフルオレン(例えば、EP707020、EP894107またはWO2006/061181)、パラフェニレン(例えばWO92/18552)、カルバゾール(例えばWO2004/070772またはWO2004/113468)、チオフェン(例えばEP1028136)、ジヒドロフェナントレン(例えばWO2005/014689)、シス−およびトランス−インデノフルオレン(例えばWO2004/041901またはWO2004/113412)、ケトン(例えばWO2005/040302)、フェナントレン(例えばWO2005/104264またはWO2007/017066)または他、これらの単位の複数から選択される。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、さらなる単位、例えば正孔輸送単位、特にトリアリールアミン、および/または電子輸送単位、を含んでいてもよい。
【0081】
本発明による化合物の配合物は、例えば、スピンコートまたは印刷法によって、液相から本発明による化合物を調製することが必要である。これらの配合物は、例えば溶液、分散液またはエマルジョンでありうる。この目的で、2以上の溶剤の混合物を使用することが好ましい可能性がある。適切かつ好ましい溶剤は、例えば、トルエン、アニソール、o−、m−もしくはp−キシレン、安息香酸メチル、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル−THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に3−フェノキシトルエン、(−)−フェンコン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1−メチルナフタレン、2−メチルベンゾチアゾール、2−フェノキシエタノール、2−ピロリジノン、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、アセトフェノン、α−テルピネオール、ベンゾチアゾール、安息香酸ブチル、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、安息香酸エチル、インダン、安息香酸メチル、NMP、p−シメン、フェネト−ル、1,4−ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2−イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタンまたはそれらの溶剤の混合物である。
【0082】
本発明は、さらに、本発明による化合物または本発明によるオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマー、および少なくとも1つのさらなる化合物を含んでなる配合物に関するものである。さらなる化合物は、例えば、溶剤であり、特に上述の溶剤またはそれらの溶媒の混合物である。しかしながら、さらなる化合物は、同様に素子に使用される、さらなる有機もしくは無機化合物、例えばマトリックス材料、とすることもできる。このさらなる化合物は、重合体であってよい。
【0083】
上記の式(1)の化合物または上記で示される好ましい形態は、電子素子において活性成分として使用されうる。よって、本発明は、さらに電子素子における本発明による化合物の使用に関するものである。さらに、本発明は、本発明による化合物を少なくとも1つ含んでなる電子素子に関するものである。
【0084】
電子素子は、アノード、カソード、および少なくとも1層(この層は少なくとも1つの有機または有機金属化合物を含んでなる)を具備してなる素子をも意味するものと解される。このように、本発明による電子素子は、アノード、カソード、および上記の少なくとも1つの式(I)の化合物を含む1つの層を具備してなるものである。ここで、好ましい電子素子は、少なくとも1つの層に式(I)の化合物を含んでなる、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O−SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O−FQD)、発光電子化学電池(LEC)および/または有機レーザーダイオード(O−laser)からなる群から選択される。特に好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子である。活性成分は、通常アノードとカソードの間に導入された有機または無機材料、例えば電荷注入、電荷輸送もしくは電荷ブロック材料、特には発光材料およびマトリックス材料、である。本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子中の発光材料として、特に良好な特性を示す。それゆえ、本発明の好ましい形態は、有機エレクトロルミネッセンス素子である。さらに、本発明の化合物は、一重項酸素の生成のために、または光触媒反応において使用される。
【0085】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード、アノードおよび少なくとも1つの発光層を具備してなる。これらの層とは別に、さらなる層、例えばそれぞれの場合において、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層、電荷発生層および/または有機もしくは無機p/n結合、を具備してなっていてもよい。ここで、1以上の正孔輸送層が、例えばMoO
3もしくはWO
3のような金属酸化物または(パー)フルオロ化電子欠損芳香族系によって、pドープされることも可能であり、および/または、1以上の電子輸送層がnドープされることも可能である。例えば励起子−ブロック機能を有する、および/またはエレクトロルミネッセンス素子中の電荷バランスを制御する、2つの発光層の間に導入される中間層にとっても同様に可能である。しかしながら、これらの層の必ずしも全てが存在する必要がないことに留意すべきである。
【0086】
ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子が1つの発光層を含むか、または複数の発光層を含んでいてもよい。複数の発光層が存在する場合、好ましくは380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として白色発光が生じるものであり、言い換えれば、蛍光もしくは燐光であってよいさまざまな発光化合物が発光層中で使用されるのである。特に、好ましいのは、青色、緑色および/またはオレンジもしくは赤色発光するもの(基本構造については、例えばWO2005/011013参照)の3層構造か、または3発光層より多くの層を有する系である。この系は、1以上の層が蛍光を発し、1以上の層が燐光を発するハイブリッドの系であってもよい。
【0087】
本発明の好ましい形態において、有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の発光層中に、発光化合物として、式(1)の化合物または上述の好ましい形態を含んでなる。
【0088】
式(1)の化合物が発光層中の発光化合物として使用される場合、それは好ましくは1つ以上のマトリックス材料と組み合わせて使用される。式(1)の化合物とマトリックス材料とを含んでなる混合物は、発光体とマトリックス材料とを含んでなる混合物全体に対して、1〜99体積%、好ましくは2〜90体積%、より好ましくは3〜40体積%、そして特に5〜15体積%の、式(1)の化合物を含んでなる。これに対応して、混合物は、発光体とマトリックス材料とを含んでなる混合物全体に対して、99.9〜1体積%、好ましくは99〜10体積%、より好ましくは97〜60体積%、そして特に95〜85体積%の、マトリックス材料を含んでなる。
【0089】
使用されるマトリックス材料は、一般に、従来技術に従ってこの目的に対して既知の任意の材料である。マトリックス材料の三重項準位が発光体の三重項準位よりも高いことが好ましい。
【0090】
本発明の化合物のために適したマトリックス材料は、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン(例えば、WO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627もしくはWO2010/006680による)、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体(例えば、CBP(N,N−ビスカルバゾリルビフェニル)、m−CBP、またはWO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527、WO2008/086851もしくはUS2009/0134784に開示されるカルバゾール誘導体)、インドロカルバゾール誘導体(例えば、WO2007/063754もしくはWO2008/056746による)、インデノカルバゾール誘導体(例えば、WO2010/136109もしくはWO2011/000455による)、アザカルバゾール誘導体(例えば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160による)、バイポーラーマトリックス材料(例えば、WO2007/137725による)、シラン(例えばWO2005/111172による)、アザボロールもしくはボロン酸エステル(例えば、WO2006/117052よる)、ジアザシロール誘導体(例えばWO2010/054729による)、ジアザホスホール誘導体(例えばWO2010/054730による)、トリアジン誘導体(例えば、WO2010/015306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746による)、亜鉛錯体(例えば、EP652273もしくはWO2009/062578による)、ジベンゾフラン誘導体(例えばWO2009/148015による)、架橋カルバゾール誘導体(例えば、US2009/0136779、WO2010/050778、WO2011/042107もしくはWO2011/088877による)である。
【0091】
混合物として複数の異なったマトリックス材料、特に少なくとも1つの電子伝導マトリックス材料および少なくとも1つの正孔伝導マトリックス材料、を使用することも好ましい。好ましい組み合わせは、本発明による金属錯体の混合マトリクスとして、例えば、芳香族ケトン、トリアジン誘導体またはホスフィンオキシド誘導体を、トリアリールアミン誘導体またはカルバゾール誘導体と共に使用することである。同様に、電荷輸送マトリックス材料および電荷輸送においてたとえあったとしても明らかな関与がない電気的に不活性なマトリックス材料(例えばWO2010/108579に開示される)の混合物の使用も好ましい。
【0092】
さらにこのましくは、2以上の三重項発光体とマトリックスとの混合物の使用である。この場合において、短波長発光スペクトルを有する三重項発光体は、長波長発光スペクトルを有する三重項発光体の共マトリックスとして機能する。例えば、本発明の式(1)の錯体を長波長発光三重項発光体(例えば緑色または赤色発光する三重項発光体)の共マトリックスとして使用することもできる。
【0093】
本発明による化合物は、電子素子中で他の機能で使用されうる。例えば、正孔注入もしくは輸送層における正孔輸送として、電荷発生材料として、または電子ブロック材料としてである。同様に、本発明による錯体を発光層中の他の燐光金属錯体のためのマトリックス材料として使用することもできる。
【0094】
好ましいカソードは、低い仕事関数を有する金属、金属合金もしくは様々な金属からなる、多層構造体であり、例えばアルカリ土類金属、アルカリ金属、主族の金属もしくはランタノイド(例えば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)である。また、適しているのは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属および銀を含む合金(例えば、マグネシウムと銀を含む合金)である。多層構造体の場合には、比較的高い仕事関数を有するさらなる金属(例えば、Ag)もまた、前記金属に加えて用いられてもよく、この場合、例えば、Mg/Ag、Ca/AgまたはBa/Agのような金属の組合せが、一般に用いられる。また、高い誘電率を有する材料の薄い中間層を、金属カソードと有機半導体の間に導入することも、好ましいことがある。この目的のために有用な材料の例は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のフッ化物であるが、また、対応する酸化物もしくは炭酸塩(例えば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)も有用である。有機アルカリ金属錯体(例えば、Liq(リチウムキノリナート))も同様にこの目的に適している。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0095】
好ましいアノードは、仕事関数の高い材料である。好ましくは、アノードは真空に対し4.5eVよりも大きい仕事関数を有する。まず、高い酸化還元電位を有する金属はこの目的に合う。例えば、Ag、PtまたはAuである。一方、金属/金属酸化物電極(例えば、Al/Ni/NiOx、Al/PtOx)もまた好ましい。いくつかの用途において、少なくとも1つの電極は、透明または部分的に透明であるべきである。有機材料(O−SC)の放射または発光(OLED/PLED、O−laser)を可能にするためである。ここで、好ましいアノード材料は、導電性の高い混合金属酸化物である。特に好ましくは、イリジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウムスズ酸化物(IZO)である。また、好ましいものとして、伝導性のドープされた有機材料、特に導電性ドープされたポリマー、例えばPEDOT、PANIまたはこれらのポリマーの誘導体、が挙げられる。さらに好ましくは、p−ドープされた正孔輸送材料が正孔注入としてアノードに適用されるとき、適切なp−ドーパントは、金属酸化物、例えばMoO
3もしくはWO
3または(過)フッ素化電子−欠損芳香族系である。さらに適切なp−ドーパントは、HAT−CN(ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン)またはNovaled製の化合物NPD9である。このような層によって、低HOMO、すなわち大きなHOMO値を有する材料における正孔注入が簡単になる。
【0096】
従来技術で層に使用される任意の材料は、一般に、さらなる層に使用されうる。当業者であれば、発明的工夫なしで、電子素子において、それぞれの材料を本発明による材料と結び付けることができるであろう。
【0097】
素子は、相応に、(用途に応じて)構造化され、接続され、最終的に密封される。そのような素子の寿命は、水および/または空気の存在で、劇的に短くなるからである。
【0098】
さらに好ましくは、1以上の層が昇華法より適用され、材料は、通常、10
−5mbar未満、好ましくは10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で気相堆積により適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。しかしながら、圧力は、より低くても、例えば、10
−7mbar未満でもよい。
【0099】
同様に、1つ以上の層がOVPD(有機気相堆積)法を用いることによって、またはキャリアガス昇華を利用して塗布されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子が好ましい。この場合、材料は、10
−5ミリバール〜1バールの圧力で適用される。この方法の特別な方法は、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)法であり、その材料は、ノズルを介して直接適用され、構造化される(例えばM.S.Arnoldら、Appl.Phys.Lett.2008、92、053301)。
【0100】
同様に、1つ以上の層が、例えばスピンコーティングによって、または任意の印刷法、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷もしくはノズル印刷などによって、特に好ましくはLITI(光誘導熱画像化、熱転写印刷)またはインクジェット印刷によって、溶液から生成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子がさらに好ましい。この目的では、可溶性化合物が必要であり、この化合物は、例えば適切な置換を介して得られる。
【0101】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、1つ以上の層を溶液から適用し、1つ以上の他の層を蒸着によって適用することによって、ハイブリッドの系として製造してもよい。例えば、式(1)の化合物およびマトリックス材料を含んでなる発光層を溶液から適用し、加えて正孔ブロック層および/または電子輸送層を減圧下で蒸着によって適用することができる。
【0102】
これらの方法は、一般に当業者に知られており、困難なく、本発明の式(1)の化合物または上述の好ましい態様を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子に、適用されうる。
【0103】
本発明による電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子、は、以下の驚くべき利点の1つ以上によって従来技術と区別される。
【0104】
1.本発明による金属錯体は、式(3)の構造単位を含まない類似化合物と比較して、低い昇華温度を有する。これによって、錯体の精製の間、および真空処理されたエレクトロルミネッセンス素子を製造する間に、顕著な利点をもたらす。昇華の間に材料が受ける熱的ストレスが、顕著に減少するからである。あるいは、高い昇華率が、高い昇華温度の使用を可能にし、これは錯体の工業的製造において有利であることを意味する。トリス−オルト−金属化金属錯体のいくつかにとって、分解のない、または実質的に分解のない昇華は、どのような場合であってもこれによってのみ可能であり、そうでなければ、高い昇華温度のせいで、不可能である。
【0105】
2.本発明による金属錯体は、式(3)の構造単位を含まない類似の化合物と比較すると、より高い溶解性を有する。よって、式(3)の構造単位を含まないこと以外は本発明による化合物と同一の多くの化合物は、多数の通常の有機溶媒において、難溶性であるか、低濃度でわずかに溶解する。対照的に、本発明による化合物は、多数の通常の有機溶媒に、顕著により高い濃度で溶解すし、これによって、溶液からのエレクトロルミネッセンス素子のプロセスおよび製造が可能になる。さらに、高い溶解性は、合成における錯体の精製において有利である。
【0106】
3.いくつかのケースにおいて、本発明による金属錯体は、非常に狭い発光スペクトルを有し、これによって、発光中で、特にディスプレイ用途で望まれるように、高い色純度になる。
【0107】
4.発光材料として式(1)の化合物を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子は、非常に良好な寿命を有する。
【0108】
5. 発光材料として式(1)の化合物を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子は、優れた効率を有する。特に、式(3)の構造単位を含まない類似の化合物と比較すると、効率は、顕著に高い。
【0109】
6.本発明による化合物は、1以上の基R
3が水素を意味する式(3)の構造単位を含まない類似の化合物と比較すると、高い酸化安定性、特に溶液中で、を有する。
【0110】
上記に列挙した利点は、他の電気的特性の障害を伴わないものである。
【0111】
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、それらによって本発明を限定すること意図しない。当業者は、記述に基づいて、発明的工夫をなさずして、さらなる電子素子を製造することができるであろう。そして、請求された範囲の全体にわたり本発明を実施することができるであろう。
【0112】
実施例:
以下の合成は、特に断らなければ、乾燥溶剤中で、保護ガス雰囲気下に行われる。金属錯体は、さらに、光を排除して、または黄色光の下で取り扱われる。溶剤および試薬は、例えばsigma−ALDRICHまたはABCRから購入できる。角括弧内の各数字または個別化合物に示された数字は、文献から知られる化合物のCAS番号に関する。
【0113】
A:シントンS、SP、SH、SBの合成
例SP1:ピナコリル1,1,3,3−テトラメチルインダン−5−ボロネート
変形1:
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【0114】
A)5−ブロモ−1,1,3,3−テトラメチルインダン[169695−24−3]、SP1−Br
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
0.6gの無水塩化鉄(III)、および光を排除して滴下される、25.6ml(500mol)の臭素および300mlのジクロロメタンの混合物が、0℃に冷却された、1000mlのジクロロメタン中の、87.2g(500mmol)の1,1,3,3−テトラメチルインダン[4834−33−7]溶液に、温度が+5℃を超えないような速度で、加えられる。反応混合物は室温で16時間撹拌され、300mlの飽和硫化ナトリウム溶液がゆっくりと加えられ、水相は分離され、有機相は、それぞれ1000mlの水で3回洗浄され、硫化ナトリウム上で乾燥され、短いシリカゲルカラムを通してろ過され、そして溶媒は除かれる。最終的に、固体は少量(約100−150ml)のエタノールから1回再結晶化される。生成量:121.5g(480mmol)、96%;純度:約95%、
1H−NMRによる。
【0115】
B)ピナコリル1,1,3,3−テトラメチルインダン−5−ボロネート、SP1
25.3g(100mmol)のS4−Br、25.4g(120mmol)のビス(ピナコラト)ジボラン[73183−34−3]、29.5g(300mmol)の酢酸カリウム、無水物、561mg(2mmol)のトリシクロヘキシルホスフィンおよび249mg(1mmol)の酢酸パラジウム(II)および400mlのジオキサンの混合物が、80℃で16時間撹拌される。真空中で溶媒が取り除かれた後、残留物は、500mlのジクロロメタンに採取され、セライト床を通してろ過され、ろ液は真空中で結晶化が始まるまで蒸留され、そして最終的に100mlのメタノールが、結晶化を完了させるために滴下される。生成量:27.9g(93mmol)、93%;純度:約95%、
1H−NMRによる。油として形成されるボロン酸エステルは、さらなる精製を行わずに反応されうる。
【0116】
変形2:
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
3.3g(5mmol)のビス[(1,2,5,6−η)−1,5−シクロオクタジエン]ジ−η−メトキシジイリジウム(I)[12148−71−9]、2.7g(10mmol)の4,4’−ジ−tert−ブチル−[2,2’]ジピリジニル[72914−19−3]および5.1g(10mmol)のビス(ピナコラト)ジボランが800mlのn−ヘプタンに加えられ、そして混合物は、室温で15分間撹拌される。127.0g(500mmol)のビス(ピナコラト)ジボランおよび87.2g(500mmol)の1,1,3,3−テトラメチルインダン[4834−33−7]は、続いて加えられ、そして混合物は、80℃で12時間温められる(TLCチェック、ヘプタン:酢酸エチル 5:1)。反応混合物の冷却後、300mlの酢酸エチルが加えられ、混合物はシリカゲル床を通してろ過され、ろ液は真空中で蒸留乾固される。粗生成物は、アセトン(約800ml)から2回再結晶化される。生成量:136.6g(455mmol)、91%;純度:約99%、
1H−NMRによる。
【0117】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化25-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化25-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化25-3】
[この文献は図面を表示できません]
【化25-4】
[この文献は図面を表示できません]
【化25-5】
[この文献は図面を表示できません]
【0118】
例SP8:5,6−ジブロモ−1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
1.3gの無水塩化鉄(III)、および、光を排除して滴下される、64.0ml(1.25mol)の臭素および300mlのジクロロメタンの混合物が、2000mlのジクロロメタン中の、101.2g(500mmol)の1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン[91324−94−6]溶液に、温度が25℃を超えない速度で加えられる。必要に応じて、混合物は、冷水浴を利用して、カウンター冷却される。反応混合物は、室温で16時間撹拌され、500mlの飽和硫化ナトリウム溶液が加えられ、水相は分離され、有機相は、それぞれ1000mlの水で3回洗浄され、硫化ナトリウム上で乾燥され、短いシリカゲルカラムを通してろ過され、そして溶媒は除去される。最終的に、固体は少量(約100ml)のエタノールから1回再結晶化される。生成量:135.8g(377mmol)、75%;純度:約95%、
1H−NMRによる。
【0119】
以下の化合物は同様に調製される。
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0120】
例SP10:5,6−ジアミノ−1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
【0121】
A:5,6−ジニトロ−1,1,2,2,3,3−テトラメチルインダン、SP10a
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
350mlの100重量%の硝酸が、0℃に冷却され、激しく撹拌された、101.2g(500mmol)の1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン[91324−94−6]および350mlの95重量%硫酸の混合物に、温度が+5℃を超えない速度で、ゆっくりと滴下される。反応混合物は、続いて、2−3時間かけてゆっくりと室温にもどされてよく、そして、激しく撹拌された6kgの氷および2kgの水の混合物に注がれる。pHは、40重量%NaOHの添加によって、8−9に調製され、混合物は、それぞれ1000mlの酢酸エチルで3回抽出され、混合された有機相はそれぞれ1000mlの水で2回洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥され、酢酸エチルは真空中で結晶化が始まるまで、実質的に完全に除去され、そして500mlのヘプタンの添加により結晶化が完了される。このように得られるベージュの結晶は吸引ろ過され、真空で乾燥される。生成量:136.2g(466mmol)、93%;純度:約94%、
1H−NMRによる。残留物約4%の4,6−ジニトロ−1,1,3,3−テトラメチルインダン。約3%の4,5−ジニトロ−1,1,3,3−テトラメチルインダン、S35b、は、母液から分離されうる。
【0122】
B:5,6−ジアミノ−1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン、S35
136.2g(466mmol)の5,6−ジニトロ−1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン、S35a、が、室温で、1200mlのエタノール中、10gのパラジウム/炭素上で、水素圧力3barで24時間水素化される。反応混合物は、セライト床を通して2回ろ過され、エタノールの除去後得られる茶色の固体は、バルブ−チューブ蒸留に付される(T約160℃、p約10
−4mbar)。生成量:98.5g(424mmol)、91%;純度:約95%、
1H−NMRによる。
【0123】
以下の化合物は同様に調製されうる。
【化30】
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【0124】
例SP13:N−[2−(1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン−5−イル)エチルベンズアミド
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0125】
A:1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン−5−カルボキシアルデヒド、SP13a
【化32】
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n−ヘキサン中の200ml(500mmol)のn−BuLi、2.5Mが、−78℃に冷却され、激しく撹拌された、1000mlのTHF中の140.6g(500mmol)の5−ブロモ−1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン、SP2−Brの溶液に、温度が−55℃を超えない速度で滴下される。添加が完了すると、混合物はさらに20分間撹拌され、そして、42.3ml(550mmol)のDMFおよび50mlのTHFの混合物が激しく撹拌されながら加えられてもよい。混合物は、−78℃で更に1時間撹拌され、そして室温に温められてもよく、300mlの飽和塩化ナトリウム溶液を添加することにより冷却される。有機相は分離され、THFは真空中で除去され、残留物は500mlの酢酸エチルに採取され、300mlの5%塩酸で1回、それぞれ300mlの水で2回、飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、有機相は硫酸マグネシウムで乾燥され、溶媒は真空中で除去される。残留物は、ステップBにおいて、さらなる精製をされることなく、使用される。生成量:107.1g(465mmol)、93%;純度:約95%、
1H−NMRによる。
【0126】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化33】
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【0127】
B:2−(1,1,2,2,3,3−ヘキサメチル−5−インダニル)エチルアミン、SP13b
【化34】
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80.6g(350mmol)の1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン−5−カルボキシアルデヒド、SP13a、400mlのニトロメタンおよび4.6g(70mmol)の酢酸アンモニウム、無水物、の混合物が、出発材料が消費されるまで、還流下で2時間加熱される(TLCチェック)。冷却後、反応混合物は、1000mlの水に注がれ、それぞれ300mlのジクロロメタンで3回抽出され、混合された有機相は、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で3回、それぞれ300mlの水で3回、そして300mlの塩化ナトリウム溶液1回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、そして溶媒は真空中で除去される。暗色の油性残留物は、100mlのTHFに溶解され、そして1000mlのTHF中の38.0g(1.0mol)の水素化アルミニウムリチウム溶液に、氷で冷却しながら、ゆっくりと滴下される(注意:発熱反応!)。添加が完了すると、反応混合物は室温に温められてもよく、そして室温で20時間撹拌される。反応混合物は、500mlの飽和硫酸ナトリウム溶液をゆっくりと氷で冷却しながら加えることにより、水素化される。塩は、吸引ろ過され、500mlのTHFでリンスされ、THFは、真空中で除去され、残留物は1000mlのジクロロメタンに採取され、溶液はそれぞれ300mlの水で3回、300mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、そして溶媒は真空中で除去される。精製は、バルブチューブ蒸留によって行われる(p約10
−4mbar、T=200°C)。生成量:67.0g(273mmol)、78%;純度:約95%、
1H−NMRによる。
【0128】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化35】
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【0129】
100mlのジクロロメタン中の14.1ml(100mmol)の塩化ベンゾイル[98−88−4]溶液が、0℃で激しく撹拌されながら、24.5g(100mmol)の2−(1,1,2,2,3,3−ヘキサメチル−5−インダニル)エチルアミン、SP13b、14.1ml(100mmol)のトリエチルアミンおよび150mlのジクロロメタンの混合物に、温度が30℃を超えない速度で滴下される。続いて、混合物は、さらに1時間室温で撹拌される。ジクロロメタンは真空で除去され、100mlのメタノールが無色固体に加えられ、無色固体は吸引ろ過され、50mlのメタノールで3回洗浄され、真空で乾燥される。生成量:31.1g(89mmol)、89%;純度:約98%、
1H−NMRによる。
【0130】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化36-1】
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【化36-2】
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【化36-3】
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【化36-4】
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【0131】
例SP19:7−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−カルバルデヒド
【化37】
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L.S.Chenら、J.Organomet.Chem.1980、193、283−292と同様の手順。40ml(100mmol)のn−BuLi、ヘキサン中に2.5M、(あらかじめ−110℃に冷却される)が、−110℃に冷却された、1000mlのTHFおよび1000mlのジエチルエーテルの混合物中の30.2g(100mmol)の6,7−ジブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン[42810−32−2]に、温度が−105℃を超えない速度で加えられる。混合物は、さらに30分撹拌され、−110℃にあらかじめ冷却された、9.2ml(120mmol)のDMFおよび100mlのジエチルエーテルの混合物が滴下され、混合物はさらに2時間撹拌され、−10℃に戻されてよく、1000mlの2N HClが加えられ、そして混合物は室温で2時間撹拌される。有機相は分離され、500mlの水で1回、500mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、溶液は真空で除去され、そして残留物はバルブ−チューブ蒸留に付される(T約90℃、p約10
−4mbar)。生成量:15.8g(63mmol)、63%;純度:約95%、
1H−NMRによる。
【0132】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化38-1】
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【化38-2】
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【0133】
例SP22:7−フェニルエチニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−カルバルデヒド
【化39】
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1.6g(6mmol)のトリフェニルホスフィン、674mg(3mmol)の酢酸パラジウム(II)、571mg(30mmol)のヨウ化銅(I)、および15.3g(150mmol)のフェニルアセチレン[536−74−3]が、200mlのDMFおよび100mlのトリエチルアミンの混合物中の25.1g(100mmol)の7−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−カルバルデヒド、SP19、の溶液に、一定の早さで加えられ、混合物は65℃で4時間撹拌される。冷却後、析出したトリエチルアンモニウム塩酸塩は吸引ろ過され、30mlのDMFでリンスされる。ろ液は、真空で溶媒が取り除かれる。油性の残留物は、300mlの酢酸エチルに採取され、それぞれ100mlの水で5回、飽和塩化ナトリウム溶液で1回、洗浄され、有機相は硫酸マグネシウムで乾燥される。真空で酢酸エチルが除去された後、油性の残留物はシリカゲルでクロマトグラフされる(n−ヘプタン:酢酸エチル 99:1)。生成量:19.6g(72mmol)、72%;純度:約97%、
1H−NMRによる。
【0134】
以下の誘導体は同様に調製されうる。:
【化40-1】
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【化40-2】
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【0135】
例SB17:
【化41】
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G.Zhangら、Ad.Synth.&Catal.、2011、353(2+3)、291と同様の手順。28.4g(100mmol)のSB1、9.4g(105mmol)のシアン化銅(I)、41.5g(300mmol)の炭酸カリウム、100gのガラスビーズ(直径3mm)、400mlのDMFおよび3.6mlの水の混合物が、70℃で10時間撹拌される。冷却後、DMFは真空で実質的に除去され、残留物は500mlのジクロロメタンで希釈され、塩はセライト床を通してろ過され、ろ液は200mlの水で3回、100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、そして硫酸マグネシウムで乾燥される。ジクロロメタンを除去した後に残った油性の残留物は、バルブ−チューブで蒸留される。生成量:11.5g(63mmol)、63%;純度:約97%、
1H−NMRによる。
【0136】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化42-1】
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【化42-2】
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【0137】
例SH15:ビス−(1,1,4,4−テトラメチルテトラヒドロナフト−6−イル)エーテル
【化43】
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G.Chenら、Tetrahedron Letters 2007、48、3、47と同様の手順。激しく撹拌された、53.5g(200mmol)の6−ブロモ−1,1,4,4−テトラメチルテトラヒドロナフタレン、SH1−Br、212.2g(800mmol)のリン酸三カリウム三水和物、300gのガラスビーズ(直径3mm)、449mg(2mmol)の酢酸パラジウム(II)、809mg(4mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンおよび1000mlのジオキサンの混合物が、還流下で20時間加熱される。冷却後、塩は吸引ろ過され、300mlのジオキサンでリンスされ、ろ液は真空中で蒸留され、残留物は500mlの酢酸エチルに採取され、溶液はそれぞれ300mlの水で3回洗浄され、300mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫化マグネシウムで乾燥され、そして真空中で酢酸エチルが除去される。残留物は、バルブチューブ蒸留によって精製される(p約10
−4mbar、T約180℃)。生成量:28.1g(72mmol)、72%;純度:約96%、
1H−NMRによる。
【0138】
例S1:2,7−ジ−tert−ブチル−9,9’−(6−ブロモピリジン−2−イル)キサンテン、S1
【化44】
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120ml(300mmol)のn−BuLi、n−ヘキサン中に2.5M、が、室温で、1500mlのジエチルエーテル中の84.7g(300mmol)のジ(4−tert−ブチルフェニル)エーテル[24085−65−2]溶液に加えられ、混合物は還流下で60時間撹拌される。反応混合物が−10℃に冷却された後、82.1g(240mmol)のビス(6−ブロモピリジン−2−イル)メタノンが一部分加えられ、混合物は、−10℃でさらに1.5時間撹拌される。反応混合物は、30mlのエタノールの添加によって冷やされ、溶媒はロータリーエバポレーターの真空中で完全に除去され、残留物は1000mlの氷酢酸に採取され、150mlの無水酢酸および滴下される30mlの濃硫酸が撹拌しながら加えられ、混合物は60℃でさらに3時間撹拌される。溶媒は、真空で除去され、残留物は1000mlのジクロロメタンに採取され、混合物は、氷で冷却しながら10重量%のNaOH水溶液の添加によりアルカリ性にされる。有機相は分離され、それぞれ500mlの水で3回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、有機相は蒸発乾固され、そして残留物は500mlのメタノールに採取され、昇温で均質化され、そして生成物が結晶化する間、さらに12時間撹拌される。吸引ろ過後に得られる固体は、1000mlのジクロロメタンに溶解され、溶液はセライト床を通してろ過され、ろ液は蒸発乾固され、残留物はトルエン:メタノール(1:1)から2回再結晶化され、真空で乾燥される。生成量:56.3g(87mmol)、36%;純度:約95%、
1H−NMRによる。
【0139】
以下の化合物は同様に調製されうる。
【化45】
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【0140】
B:配位子LP、LHおよびLBの合成:
例LP1:2(1,1,3,3−テトラメチルインダン−5−イル)ピリジン、LP1
【化46】
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821mg(2mmol)のS−Phosおよび249mg(1mmol)の酢酸パラジウム(II)が、30.0g(100mmol)のピナコリル1,1,3,3−テトラメチルインダン−5−ボロネート、S4−B、17.4g(110mmol)の2−ブロモピリジン[109−04−6]、46.1g(200mmol)のリン酸三カリウム1水和物、300mlのジオキサンおよび100mlの水の混合物に加えられる。混合物は、還流下で16時間加熱される。冷却後、水相は分離され、有機相は蒸発乾固され、残留物は500mlの酢酸エチルに採取され、有機相は、それぞれ200mlの水で3回、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、乾燥剤はセライト床を通してろ過され、そしてろ液は再度蒸発乾固される。このように得られた油は、低沸点成分および不揮発性の二次成分が2回のバルブ−チューブ分別蒸留により取り除かれる。生成量:15.3g(61mmol)、61%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0141】
以下の化合物は同様に調製される。固体から、低沸点成分および不揮発性の二次成分が、再結晶および分別昇華により取り除かれる(p約10
−4−10
−5mbar、T約160−240℃)。油は、クロマトグラフィーにより精製され、低沸点成分を取り除くために、バルブ−チューブ分留されるか、または真空で乾燥される。
【化47-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-3】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-4】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-5】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-6】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-7】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-8】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-9】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-10】
[この文献は図面を表示できません]
【化47-11】
[この文献は図面を表示できません]
【0142】
例LP8:5,5,7,7−テトラメチル−3−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン
【化48】
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A.Mazzantiら、Eur.J.Org.Chem.、2011、6725と同様の手順。
40ml(100mmol)のn−ブチルリチウム、n−ヘキサン中に2.5M、が、−78℃に冷却された、10.5ml(100mmol)のブロモベンゼンおよび500mlのジエチルエーテルの混合物に滴下される。混合物は、さらに30分間撹拌される。17.5g(100mmol)の5,5,7,7−テトラメチル−6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン[1562418−53−4]が、滴下され、混合物は室温にもどされてもよく、さらに12時間撹拌され、100mlの水を加えることにより冷やされ、有機相は分離され、硫酸マグネシウムで乾燥される。溶媒が取り除かれた後、油性の残留物は、シリカゲル上で、ジエチルエーテル:n−ヘプタン(3:7、v:v)で、クロマトグラフに付され、引き続き、2回バルブ−チューブ分留に付される。生成量:12.1g(48mmol)、48%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0143】
以下の化合物も同様に調製されうる。固体は、低沸点成分および不揮発性二次成分が再結晶化および分別昇華によって取り除かれる(p約10
−4−10
−5mbar、T約160−240℃)。油は、低沸点成分を取り除くために、クロマトグラフィーによって精製されるか、バルブ−チューブ分留に付されるか、または真空で乾燥される。
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0144】
例LP9:6,6,7,7,8,8−ヘキサメチル−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−6H−シクロペンタ[g]キノキサリン
【化50】
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S.V.Moreら、Tetrahedron Lett.2005、46、6345と同様の手順。
23.2g(100mmol)の1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン−5,6−ジアミン、SP10、13.4g(100mmol)のオキソフェニルアセトアルデヒド[1074−12−0]、767mg(3mmol)のヨウ素、および75mlのアセトニトリルの混合物が、室温で16時間撹拌される。析出した固体は吸引ろ過され20mlのアセトニトリルで1回、それぞれ75mlのn−ヘプタンで2回洗浄され、エタノール/酢酸エチルから2回再結晶化される。最終的に、固体の低沸点成分および非不揮発性二次成分が分別昇華により除かれる(p約10
−4−10
−5mbar、T約220℃)。生成量:22.1g(67mmol)、67%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0145】
以下の化合物は同様に調製される。固体は、低沸点成分および不揮発性二次成分が再結晶化および分別昇華によって取り除かれる(p約10
−4−10
−5mbar、T約160−240℃)。油は、低沸点成分を取り除くために、クロマトグラフィーによって精製されるか、バルブ−チューブ分留に付されるか、または真空で乾燥される。
【化51-1】
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【化51-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0146】
例LP11:5,5,6,6,7,7−ヘキサメチル−1,2−ジフェニル−1,5,6,7−テトラヒドロインデノ[5,6−d]イミダゾール
【化52】
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D.Zhaoら、Org.Lett.、2011、13、24、6516と同様の手順。
36.0g(100mmol)の5,6−ジブロモ−1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン SP8、21.6g(110mmol)のN−フェニルベンズアミジン[1527−91−9]、97.8g(300mmol)の炭酸セシウム、100gの分子篩4A、1.2g(2mmol)のキサントホス、449mg(2mmol)の酢酸パラジウム(II)および600mlのo−キシレンの混合物が、還流下で、激しく撹拌されながら、24時間加熱される。冷却後、塩は、セライト床を通して吸引ろ過され、500mlのo−キシレンでリンスされ、溶媒は真空で除去され、そして残留物はシクロヘキサン/酢酸エチルから3回再結晶化される。最終的に、固体の低沸点成分および非不揮発性二次成分が分別昇華により除かれる(p約10
−4−10
−5mbar、T約230℃)。生成量:28.0g(71mmol)、71%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0147】
以下の化合物は同様に調製される。固体の低沸点成分および不揮発性二次成分が、再結晶化または分別昇華によって取り除かれる(p約10
−4−10
−5mbar、T約160−240℃)。油は、低沸点成分を取り除くために、クロマトグラフにより精製されるか、バルブ−チューブ蒸留に付されるか、または真空で乾燥されうる。
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0148】
例LP12:1,5,5,6,6,7,7−へプタメチル−3−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロインデノ[5,6−d]イミダゾリウムヨウ化物、LP12
【化54】
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【0149】
A)5,5,6,6,7,7−ヘキサメチル−1,5,6,7−テトラヒドロインデノ[5,6−d]イミダゾール
【化55】
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Z.−H.Zhangら、J.Heterocycl.Chem.2007、44、6、1509と同様の手順。1.3g(5mmol)のヨウ素が、激しく撹拌された、116.2g(500mmol)の1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン−5,6−ジアミン、S35、90.9ml(550mmol)のトリエトキシメタン[122−51−0]および400mlのアセトニトリルの混合物に加えられ、混合物は室温で5時間撹拌される。析出した固体は吸引ろ過され、少量のアセトニトリルで1回、それぞれ100mlのn−ヘプタンで3回洗浄され、真空で乾燥される。生成量:108.8g(449mmol)、90%;純度:約97%、
1H−NMRによる。
【0150】
B)5,5,6,6,7,7−ヘキサメチル−1−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロインデノ[5,6−d]−イミダゾール
【化56】
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S.Zhangら、Chem.Commun.2008、46、6170と同様の手順。
24.2g(100mmol)の5,5,6,6,7,7−ヘキサメチル−1,5,6,7−テトラヒドロインデノ[5,6−d]イミダゾール、A)、12.6ml(120mmol)のブロモベンゼン[108−86−1]、27.6g(200mmol)の炭酸カリウム、952mg(5mmol)のヨウ化銅(I)、1.0g(10mmol)のN,N−ジメチルグリシン、200gのガラスビーズ(直径3mm)および300mlのDMSOの混合物が、激しく撹拌されながら、120℃で36時間加熱される。冷却後、塩は吸引ろ過され、1000mlの酢酸エチルでリンスされ、混ぜ合わされた有機相それぞれ500mlの水で5回、500mlの塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、溶媒は真空で取り除かれ、そして残留物は、シクロヘキサンから2回再結晶化される。生成量:28.3g(89mmol)、89%;純度:約97%、
1H−NMRによる。
【0151】
C)1,5,5,6,6,7,7−へプタメチル−3−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロインデノ−[5,6−d]イミダゾリウムヨウ化物
12.6ml(200mmol)ヨウ化メチル[74−88−4]が、撹拌しながら、100mlのTHF中の28.3g(89mmol)の5,5,6,6,7,7−ヘキサメチル−1−フェニル−1,5,6,7−テトラヒドロインデノ[5,6−d]イミダゾール、B)の懸濁液に加えられ、混合物は45℃で24時間撹拌される。冷却後、析出した固体は吸引ろ過され、それぞれ50mlのエタノールで3回洗浄され、真空で乾燥される。生成量:23.5g(51mmol)、57%;純度:約99%、
1H−NMRによる。
【0152】
以下の化合物は同様に調製される。
【化57-1】
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【化57-2】
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【0153】
例LP14:1,4,4,6,6−ペンタメチル−3−フェニル−1,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタイミダゾリウムヨウ化物
【化58】
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【0154】
A)4,4,6,6−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタイミダゾール
【化59】
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G.Bratulescu、Synthesis、2009、14、2319と同様の手順。
1.54g(10.0mmol)の3,3,5,5−テトラメチルシクロペンタン−1,2−ジオン[20633−06−1]、4.21g(3.0mmol)のウロトロピン、7.7g(10mmol)の酢酸アンモニウムおよび0.3mlの氷酢酸混和物が、温度が調整されたマイクロウェーブにおいて、約120℃の内部温度に達するまで、加熱され、そして約15分この温度で保持される。冷却後、塊が150mlの水に加えられ、そのpHは、撹拌しながらアンモニア水溶液(10重量%)を使って、8に調節され、析出固体は吸引ろ過され、水で洗浄される。乾燥後、生成物はエタノール/酢酸エチルから再結晶化される。生成量:1.17g(7.1mmol)、71%;純度:約98%、
1H−NMRによる。
【0155】
B)4,4,6,6−テトラメチル−1−フェニル−1,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタイミダゾール
【化60】
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LP12、B)と同様の手順。1.64g(10.0mmol)の4,4,6,6−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタイミダゾール、A)の使用、残された出発材料および溶媒が化学量論的に対応して適用される。生成量:1.53g(6.3mmol)、63%;純度:約98%、
1H−NMRによる。
【0156】
C)1,4,4,6,6−ペンタメチル−3−フェニル−1,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタイミダゾリウムヨウ化物
LP12、C)と同様の手順。2.4g(10.0mmol)の4,4,6,6−テトラメチル−1−フェニル−1,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタイミダゾール、B)、の使用、残りの出発材料および溶剤が、化学量論的に対応して適用される。生成量:2.26g(5.9mmol)、59%;純度:約99%、
1H−NMRによる。
以下の化合物は同様に調製される。
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0157】
例LP15:1,1,2,2,3,3−ヘキサメチル−5−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−6−アザシクロペンタ[b]ナフタレン
【化62】
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17.0g(120mmol)の五塩化リンが、150mlのo−キシレン中の、34.8g(100mmol)のN−[2−(1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルインダン−5−イル)エチル]ベンズアミド、SP13、溶液に、激しく撹拌されながら90℃で加えられる。28.0ml(300mmol)の塩化ホスホリルがこの反応混合物に滴下され、還流下で4時間撹拌される。80℃に冷却された反応混合物は、1000gの氷に撹拌されながら注がれ、そして、固体NaOHを加えることによりアルカリ性にされる(pH約12)。混合物は、それぞれ300mlのトルエンで3回抽出され、有機相は水で3回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、そして、溶媒は真空で除去される。油性の残留物は、200mlのo−ジクロロベンゼンに溶解され、86.9g(1mol)の酸化マンガンが溶液に加えられ、そして混合物は水分離器上の還流下で16時間沸騰状態にされる。冷却後、酸化マンガンは、セライト床を通してろ過され、固体は500mlのジクロロメタンおよびエタノール(10:1)混合物で洗浄され、そして、混合されたろ液は真空で溶媒が除去される。残留物は、シクロヘキサン/酢酸エチルから再結晶化され、そして最終的に、分別昇華により、低沸点成分および不揮発性二次成分が除去される(p約10
−4−10
−5mbar、T約230℃)。生成量:20.1g(61mmol)、61%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0158】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化63-1】
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【化63-2】
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【化63-3】
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【0159】
例LP19:7,8,9,10−テトラヒドロ−7,10−メタノ−6−フェニルフェナントリジン
【化64】
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14.2g(100mmol)のボロントリフルオライドエーテラートが、46.6g(500mmol)のアニリン、58.4g(550mmol)のベンズアルデヒド、94.2g(1mol)のノルボルネンおよび1300mlのジクロロメタンの激しく撹拌された混合物に滴下され、そして混合物は還流下で40時間加熱される。冷却後、反応混合物はそれぞれ400mlの水で洗浄され、有機相は硫酸マグネシウムで乾燥され、そしてジクロロメタンは真空中で除去される。残留物は、1000mlのo−ジクロロベンゼンに採取され、435g(5mol)の酸化マンガンが加えられ、かつ混合物は16時間水分離器上還流下で加熱される。冷却後、1000mlの酢酸エチルが加えられ、酸化マンガンは、セライト床を通して吸引ろ過され、二酸化マンガンは1000mlの酢酸エチルでリンスされ、そして混ぜ合わされたろ液は、真空で溶媒が除去される。残留物は、シクロヘキサンから2回再結晶化され、そして最終的に低沸点成分および不揮発性二次成分が分別昇華により除かれる(p約10
−4−10
−5mbar、T約230℃)。生成量:76.0g(280mmol)、56%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0160】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化65】
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【0161】
例LP21:5,8−メタノ−5,6,7,8−テトラヒドロ−3−フェニル−2−アザアントラセン
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
13.6g(50mmol)の7−(3,3−ジメチルブチ−1−イニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6−カルバルデヒド、SP22、および500mlのメタノールアンモニア溶液(2M)の混合物が、オートクレーブ中で140℃で5時間撹拌される。冷却後、メタノールは真空中で取り除かれ、油性の残留物はシリカゲル上でクロマトグラフされ(n−ヘプタン:酢酸エチル95:5)、および最終的に低沸点成分および不揮発性二次成分が分別昇華により除去される(p約10
−4−10
−5mbar、T約230℃)。生成量:5.1g(17mmol)、34%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0162】
以下の誘導体は同様に調製されうる。
【化67-1】
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【化67-2】
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【0163】
例LP25:1R,4S−メタノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9−フェニル−10−アザフェナントレン
【化68】
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濃硫酸1滴が、26.1g(100mmol)の2−ブロモフェニルフェニルメタノン[13047−06−8]、11.1g(100mmol)の(1R,2R,4S)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−アミン[7242−92−4]および23.3ml(105mmol)のテトラエトキシシラン[78−10−4]の混合物に加えられ、そして混合物は、エタノールが留去される間、水分離器中で16時間加熱される。冷却後、500mlのジエチルエーテルが残留物に加えられ、混合物はそれぞれ100mlの飽和炭酸水素ナトリウムで2回、それぞれ300mlの水で2回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥される。ジエチルエーテルの除去後、27.6g(200mmol)の炭酸カリウム、5gのパラジウム/炭素(5重量%)、2.6g(10mmol)のトリフェニルホスフィン、100gのガラスビーズ(直径3mm)および300mlのメシチレンが、油性残留物に加えられ、混合物は再度還流下で16時間加熱される。冷却後、塩はセライト床を通して吸引ろ過され、500mlのトルエンでリンスされ、そして混合されたろ液は、真空中で蒸発乾固される。残留物は、DMF/エタノールから3回再結晶化され、低沸点成分および不揮発性二次成分が分別昇華により最終的に除かれる(p約10
−4−10
−5mbar、T約230℃)。生成量:14.9g(55mmol)、55%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0164】
以下の誘導体は同様に調製されうる。
【化69】
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【0165】
例LB37:
【化70】
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M.Ohashiら、J.Am.Chem.Soc、2011、133、18018と同様の手順。
13.4g(100mmol)の2,3−ジメチレンビシクロ[2.2.2]オクタン[36439−79−9]、5.2g(50mmol)のベンゾニトリル[100−47−0]、1.4g(5mmol)のビシクロオクタジエンニッケル(0)[1295−35−8]、5.6g(20mmol)のトリシクロヘキシルホスフィン[2622−14−2]および200mlのo−キシレンの混合物が、アルゴンが緩やかに流入されている間、緩やかな還流下で30時間加熱される。冷却後、混合物はセライト床を通してろ過され、そして溶媒は真空で除去される。残留物は、バルブ−チューブで2回蒸留される。生成量:6.4g(27mmol)、54%;純度:約98%、
1H−NMRによる。
【0166】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化71-1】
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【化71-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化71-3】
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【0167】
例LH43:四座配位子
【化72】
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71.5g(100mmol)のSH16、61.2g(230mmol)のフェニルボロン酸[24388−23−6]、42.4g(400mmol)の炭酸ナトリウム、1.2g(1mmol)のテトラキストリフェニルホスフィノパラジウム(0)、300mlのトルエン、200mlのジオキサンおよび300mlの水の混合物が、還流下で30時間加熱される。冷却後、有機相は分離され、セライト床を通してろ過され、このセライトは300mlのトルエンでリンスされており、混合されたろ液は、300mlの水で3回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、そして真空中でトルエンから除去される。残留物は、少量の酢酸エチルを加えることにより、エタノールから3回再結晶化され、最終的に、低沸点成分および不揮発性二次成分が分別昇華により除去される(p約10
−5mbar、T約310°C)。生成量:33.3g(47mmol)、47%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0168】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化73】
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【0169】
例LH46:四座配位子
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
C.Caoら、Synth.Commun.2012、42、380と同様の手順。
15.2g(50mmol)のLH23 B)、および4.7g(25mmol)の1,2−ジブロモエタン[106−93−4]の混合物が、120℃で6時間オートクレーブ中で加熱される。冷却後、固体の塊は、100mlのtert−ブチルメチルエーテルに採取され、撹拌により均質化され、白色固体はろ過され、それぞれ50mlのtert−ブチルメチルエーテルで2回洗浄され、そして真空で乾燥される。生成量:15.1g(19mmol)、76%;純度:約98.0%、
1H−NMRによる。
【0170】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
【0171】
例LH48:六座配位子
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
51.4g(100mmol)のトリス(6−ブロモピリジン−2−イル)メトキシメタン[336158−91−9]、103.7g(330mmol)のSH1、42.4g(400mmol)の炭酸ナトリウム、1.2g(1mmol)のテトラキスフェニルホスフィノパラジウム(0)、500mlのトルエン、300mlのジオキサンおよび500mlの水の混合物が、還流下で36時間加熱される。冷却後、有機相は分離され、セライト床を通してろ過され、そのセライトは400mlのトルエンでリンスされており、混合されたろ液はそれぞれ300mlの水で3回洗浄され、硫酸マグネシウムで混合され、そして真空でトルエンから除去される。残留物は、少量の酢酸エチルを加えることによりイソプロパノールから3回再結晶化され、そして最終的に、低沸点成分および不揮発性二次成分が分別昇華により除去される(p約10
−5mbar、T約310℃)。生成量:38.7g(44mmol)、44%;純度:約99.5%、
1H−NMRによる。
【0172】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
【0173】
例LH51:六座配位子
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
LH46と同様の手順。ここで、1,2−ジブロモエタンが、5.2g(16.7mmol)の1,1,1−トリス(ブロモメチル)エタン[60111−68−4]によって置き換えされる。生成量:14.8g(12mmol)、72%;純度:約99.0%、
1H−NMRによる。
【0174】
化合物LH52は、同様に調製されうる。
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
1,1,1−トリス(ブロモエチル)エタンが、6.1g(16.7mmol)のシス,シス−1,2,3−シクロプロパントリメタノールトリメタンスルホネート[945230−85−3]に置き換えられる。生成量:14.8g(11.5mmol)、69%;純度:約99.0%、
1H−NMRによる。
【0175】
例LH1:2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ピリジン、LP1
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
16.4g(100mmol)の1,1,4,4−テトラメチル−2,3−ジメチレンシクロヘキサン[153495−32−0]、12.4g(120mmol)の2−エチニルピリジン[1945−84−2]および50mlのシクロベンゼンの混合物が、120℃で16時間撹拌される。26.1g(300mmol)の活性化酸化マンガン(II)が加えられ、そして混合物は、120℃でさらに3時間撹拌される。冷却後、混合物は200mlの酢酸エチルで希釈され、セライト床を通してろ過され、そして溶剤および過剰な2−エチニルピリジンは、真空中で除去される。油性の残留物は、バルブ−チューブで2回蒸留される(p約10
−4mbar、T約190°C)。生成量:18.8g(71mmol)、71%;純度:約99.0%、
1H−NMRによる。
【0176】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化81-1】
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【化81-2】
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【0177】
C:金属錯体の合成
1)フェニルピリジン、フェニルイミダゾールまたはフェニルベンゾイミダゾールタイプのホモレプティックのトリス−フェイシャルイリジウム錯体
変形A:イリジウム出発材料として、トリスアセチルアセトナトイリジウム(III)
10mmolのトリアセチルアセトナトイリジウム(III)[15635−87−7]および40−60mmol(好ましくは40mmol)の配位子Lの混合物、所望により1−10gの典型的には溶解補助や溶剤として不活性高沸点添加剤、例えば、ヘキサデカン、m−テルフェニル、トリフェニレン、ジフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン、1,2−、1,3−、1,4−ビスフェノキシベンゼン、トリフェニルホスフィンオキサイド、スルホラン、18−クラウン−6、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、フェノール、1−ナフトール、ヒドロキノン等、およびガラスで覆われたマグネティック撹拌子が、壁の厚い50mlmpガラスアンプルに、真空(10
−5mbar)中で、溶解される。アンプルは、溶解した混合物がマグネティックスターラーで撹拌される間、示された時間、示された温度で加熱される。配位子がアンプルの比較的冷たい部分へ凝華することを避けるため、アンプル全体が示された温度を有さなければならない。代わりに、はめ込みガラスで撹拌されるオートクレーブ中で、合成が行われうる。冷却後(注意:アンプルは通常減圧下!)、アンプルが開けられ、シンターケーキは、100mlの懸濁媒体(懸濁媒体は、配位子が容易に溶解するように選択されるが、金属錯体はそれには低溶解性であり、典型的な懸濁媒体は、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、アセトン、THF、酢酸エチル、トルエン等)中で、100gのガラスビーズ(直径3mm)で3時間撹拌され、プロセスにおいて、機械的に分解される。微細な懸濁液は、ガラスビーズが除かれ、別の容器に移され、固体は吸引ろ過され、50mlの懸濁媒体でリンスされ、真空で乾燥される。乾燥固体は、連続熱抽出器内で、3−5cmの深い乾燥酸化アルミニウム床(酸化アルミニウム、塩基、活性度1)上に置かれ、そして抽出剤で抽出される(最初は、約500mlの量が導入され、抽出剤は、錯体が昇温で容易に溶解し、冷却時に低溶解であるように選択され、特に適切な抽出剤は、炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、o−ジクロロベンゼンであり、ハロゲン化脂肪族炭化水素はハロゲン化または錯体を分解するかもしれないため、一般的には不向きである)。抽出が完了すると、抽出剤は真空中で約100mlまで蒸留される。抽出剤中で、抽出剤に非常に良い溶解性を有する金属錯体は、200mlのメタノールを滴下することにより結晶化される。このように得られた懸濁液の固体は、吸引ろ過され、約50mlのメタノールで1回洗浄され、乾燥される。乾燥後、金属錯体の純度は、NMRおよび/またはHPLCによって決定される。純度が99.5%未満であり、熱抽出ステップが繰り返されるが、2回目の抽出から酸化アルミニウム床が割愛される。99.5−99.9%の純度に至るとき、金属錯体は加熱または昇華される。加熱は、高真空(p約10
−6mbar)で、約200−300℃の温度範囲で行われ、好ましくは分子量が1300g/molを有する錯体である。昇華は、高真空(p約10
−6mbar)で、約230−400℃の温度範囲で行われ、昇華は好ましくは分別昇華の形で行われる。有機溶剤中で容易に溶解される錯体は、代わりに、シリカゲル上でクロマトグラフされてもよい。
【0178】
キラル配位子が採用された場合にfac−金属錯体がジアステレオマー混合物の形で製造される。C3ポイント基(point group)におけるエナンチオマーΛ、Δは、通常、ポイント基C1におけるエナンチオマーよりも、抽出剤に顕著に低い溶解性を有する。これらは、母液中に結果的に豊かである。C1ジアステレオマーからC3ジアステレオマーの分離は、この方法によりしばしば可能である。さらに、ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより分離されることもできる。ポイント基C1の配位子が、エナンチオマーとして純粋な形である場合に、ポイント基C3にジアステレオマーペアΛ、Δが形成される。ジアステレオマーは、結晶化またはクロマトグラフィーにより分離されることができ、そしてエナンチオマーとして純粋な化合物として得られる。
【0179】
変形B:イリジウム出発材料として、トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イリジウム(III)
変形Aと同様の手順。10mmolのトリス−アセチルアセトナトイリジウム(III)[15635−87−7]の代わりに、10mmolのトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イリジウム[99581−86−9]を使用。この出発材料を使用することは、得られる粗生成物の純度が変形Aのケースよりもしばしば良くなるため、有利である。さらに、アンプルにおける圧力の積み重ねがそれほど明確に多くない。
【0180】
変形C:イリジウム出発材料として、ナトリウム[シス,トランス−ジクロロ(ビスアセチルアセトナト)]イリデート(III)
50mlのエチレングリコール、プロピレングリコールまたはジエチレングリコール中の10mmolのナトリウム[シス,トランス−ジクロロ(ビスアセチルアセトナト)]イリデート(III)[876296−21−8]および60mmolの配位子の混合物が、緩やかな還流下で、示された時間、アルゴンの緩やかな流れのもとで加熱される。60℃に冷却後、反応混合物は50mlのエタノールおよび50mlの2N塩酸の混合物で撹拌され、さらに1時間撹拌され、析出した固体は吸引ろ過され、それぞれ30mlのエタノールで洗浄され、真空中で乾燥される。Aで記載されたように、熱抽出、クロマトグラフィーまたは分別昇華による精製。
【化82-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化82-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化82-3】
[この文献は図面を表示できません]
【化82-4】
[この文献は図面を表示できません]
【化82-5】
[この文献は図面を表示できません]
【化82-6】
[この文献は図面を表示できません]
【化82-7】
[この文献は図面を表示できません]
【化82-8】
[この文献は図面を表示できません]
【化82-9】
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【化82-10】
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【化82-11】
[この文献は図面を表示できません]
【0181】
2)アルジュンゴカルベンタイプのホモレプティックイリジウム錯体
K.Tsuchiyaら、Eur.J.Inorg.Chem.2010、926と同様の手順
75mlの2エトキシエタノール中の10mmolの配位子、3mmolの塩化イリジウム(III)水和物、10mmolの炭酸銀、10mmolの炭酸ナトリウムの混合物が、還流下で24時間温められる。冷却後、300mlの水が加えられ、析出した固体は吸引ろ過され、30mlの水で1回、それぞれ15mlのエタノールで3回洗浄され、そして真空で乾燥される。このように得られたfac/mer異性体混合物は、シリカゲル上でクロマトグラフされる。異性体は、続いて、分別昇華に付されるか、または高真空で溶剤が取り除かれる(fac−Ir(LB49)
3、fac−Ir(LB50)
3、fac−Ir(LB51)
3)。
【化83】
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【0182】
3)[Ir(L)
2Cl]
2タイプのイリジウム錯体変形A:
22mmolの配位子、10mmolの塩化イリジウム(III)水和物、75mlの2−エトキシエタノールおよび25mlの水の混合物が、激しく撹拌されながら、16−24時間、還流下で加熱される。配位子が、還流下で、溶媒混合液に溶解しない、または完全に溶解しない場合に、溶液が形成されるまで、1,4−ジオキサンが加えられる。冷却後、析出した固体は吸引ろ過され、エタノール/水(1:1、vv)で2回洗浄され、そして真空中で乾燥される。このように得られる式[Ir(L)
2Cl]
2のクロロダイマーは、精製されることなく、さらに反応に付される。
【0183】
変形B:
10mmolのビスアセチルアセトナトジクロロイリデート(III)ナトリウム[770720−50−8]、24mmolの配位子Lおよびガラスで覆われたマグネティックスターラーの混合物が、真空中(10
−5mbar)で、肉厚の50mlのガラスアンプルの中に溶かされる。アンプルは示された時間、示された温度で加熱され、この間、溶解された混合物はマグネティックスターラーを用いて撹拌される。冷却後(注意:アンプルは通常気圧が低い!)、アンプルが開けられ、シンターケーキは、100mlの示された懸濁媒体中で、100gのガラスビーズ(直径3mm)で3時間撹拌され(懸濁媒体は、配位子が容易に溶解するが、式[Ir(L)
2Cl]
2のクロロダイマーが低溶解性であるように選択され、典型的な懸濁媒体は、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン等である)、そして、同時に機械的に分解される。微細な懸濁液は、ガラスビーズを除いて移され、約2eq.のNaClをいまだに含む固体[Ir(L)
2Cl]
2(以下で粗クロロダイマーとして言及される)が吸引ろ過され、そして真空で乾燥される。このように得られる式[Ir(L)
2Cl]
2の粗クロロダイマーは、精製されることなく、さらに反応に付される。
【化84-1】
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【化84-2】
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【化84-3】
[この文献は図面を表示できません]
【化84-4】
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【化84-5】
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【化84-6】
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【0184】
4)[Ir(L)
2(HOMe)
2]OTfタイプのイリジウム錯体
5mlのメタノールおよび10mmolのトリフルオロメタンスルホネート銀(I)[2923−28−6]が、150mlのジクロロメタン中の5mmolのクロロダイマー[Ir(L)
2Cl]
2の懸濁液に加えられ、そして混合物は室温で18時間撹拌される。析出した塩化銀(I)は、セライト床で吸引ろ過され、ろ液は蒸発乾固され、黄色の残留物は30mlのトルエンまたはシクロヘキサンに採取され、固体はろ過され、n−ヘプタンで洗浄され、真空中で乾燥される。このように得られた式[Ir(L)
2(HOMe)
2]OTfの生成物は、さらなる精製がされることなく、反応に付される。
【化85-1】
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【化85-2】
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【化85-3】
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【0185】
5)フェニルピリジン、フェニルイミダゾールまたはフェニルベンゾイミダゾールタイプのヘテロレプティックトリス−フェイシャルイリジウム錯体
10mmolの配位子L、10mmolのビス(メタノール)ビス[2−(2−ピリジニル−κN)フェニル−κC]イリジウム(III)トリフルオロメタンスルホネート[1215692−14−0]またはビス(メタノール)ビス[2−(6−メチル−2−ピリジニル−κN)フェニル−κC]イリジウム(III)トリフルオロメタンスルホネート[1215692−29−7]または本発明による[Ir(L)
2(HOMe)
2]OTfタイプのイリジウム錯体、11mmolの2,6−ジメチルピリジンおよび150mlのエタノールの混合物が、還流下で40時間加熱される。冷却後、析出した固体は吸引ろ過され、それぞれ30mlのエタノールで洗浄され、そして真空で乾燥される。このように得られた粗生成物は、シリカゲル上でクロマトグラフされ(溶剤またはこれらの混合物、例えばDCM、THF、トルエン、n−ヘプタン、シクロヘキサン)、そして、1)変形Aに記載のように分別昇華される。
【化86-1】
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【化86-2】
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【化86-3】
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【化86-4】
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【化86-5】
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【化86-6】
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【化86-7】
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【化86-8】
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【化86-9】
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【化86-10】
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【化86-11】
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【化86-12】
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【化86-13】
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【化86-14】
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【化86-15】
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【0186】
6)アルジュンゴカルベンタイプの配位子を含むヘテロレプティックトリス−フェイシャルイリジウム錯体
A.G.Tennysonら、Inorg.Chem、2009、48、6924と同様の手順
22mmolの配位子、10mmolのイリジウムクロロダイマー[Ir(L)
2Cl]
2、10mmolの酸化銀(I)および300mlの1,2−ジクロロエタンの混合物が、90℃30時間撹拌される。冷却後、析出した固体はセライト床で吸引ろ過され、30mlの1,2−ジクロロエタンで一回洗浄され、そしてろ液は真空中で蒸発乾固される。このように得られた粗生成物は、シリカゲル上でクロマトグラフされ(溶剤またはこれらの混合物、例えばジクロロメタン、THF、トルエン、n−ヘプタン、シクロヘキサン)、そして1)変形Aに記載のように、分別昇華される。
【化87】
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【0187】
7)四座配位子の白金錯体
10mmolの配位子L、10mmolのK
2PtCl
4、400mmolの酢酸リチウム、無水物、および200mlの氷酢酸の混合物は、還流下で60時間加熱される。冷却および200mlの水の添加後、混合物はそれぞれ250mlのトルエンで2回抽出され、硫酸マグネシウムで乾燥され、セライト床を通してろ過され、そのセライトは200mlのトルエンでリンスされ、そしてトルエンは真空中で除去される。このように得られた固体は、1)変形Aで記載されたように熱抽出により精製され、そして分別昇華される。
【化88】
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【0188】
10)アルジュンゴカルベンタイプの四座配位子の白金錯体
10mmolの配位子、10mmolの酸化銀(I)および200mlのジオキサン混合物が、室温で16時間撹拌され、100mlのブタノン、20mmolの炭酸ナトリウムおよび10mmolのシクロオクタジエニルプラチナジクロライドが加えられ、そして混合物は還流下で16時間加熱される。溶媒が取り除かれた後、固体は500mlの熱トルエンで撹拌しながら抽出され、懸濁液はセライト床を通してろ過され、そしてろ液は蒸発乾固される。このように得られた固体は、シリカゲル上でDCMでクロマトグラフされ、そして1)変形Aに記載されるように、分別蒸留される。
【化89】
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【0189】
11)六座配位子のイリジウム錯体
10mmolの配位子L、10mmolのビスアセチルアセトナトジクロロイリデート(III)ナトリウム[770720−50−8]および200mlのトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物が、210℃で水分離器上で48時間加熱される(アセチルアセトンおよび溶剤の熱的開裂生成物は蒸留される)。冷却および200mlの水の添加後、析出した固体は吸引ろ過され、そして真空で乾燥される。固体は、500mlの熱THFで撹拌することにより抽出され、懸濁液は温かいうちにセライト床を通してろ過され、セライトは200mlのTHFでリンスされ、そして混合されたろ液は蒸発乾固される。このように得られた固体は、1)変形Aで記載されるように、トルエンでの熱抽出により精製され、そして分別昇華される。
【化90】
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【0190】
12)アルジュンゴカルベンタイプの六座配位子のイリジウム錯体
K.Tsuchiyaら、Eur.J.Inorg.Chem.2010、926と同様の手順。
75mlの2−エトキシエタノール中の3mmolの配位子、3mmolの塩化イリジウム(III)水和物、10mmolの炭酸銀および10mmolの炭酸ナトリウムの混合物が、還流下で、48時間温められる。冷却および300mlの水の添加後、析出した固体は吸引ろ過され、30mlの水で一回、それぞれ15mlのエタノールで3回洗浄され、真空中で乾燥される。このように得られた粗生成物は、シリカゲル(DCM)でクロマトグラフされ、そして、1)変形Aに記載されるように、分別昇華される。
【化91】
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【0191】
金属錯体の誘導体化
1)fac−イリジウム錯体のハロゲン化:
A×10.5mmolのN−ハロサクシンイミド(ハロゲン:Cl、Br、I)が、500mlのジクロロメタン中に、イリジウムに対してパラ位にA×CH基(ここで、A=1、2または3)を有する10mmolの錯体の溶液または懸濁液に、30℃で、光および空気を排除して加えられ、混合物は20時間撹拌される。DCMに低溶解性を有する錯体は、その他の溶剤(TCE、THF、DMF等)中で、昇温で、反応することができる。溶剤は、続いて、真空中で実質的に取り除かれる。残留物は、100mlのメタノールで煮沸され、固体は吸引ろ過され、30mlのメタノールで3回洗浄され、そして真空中で乾燥され、イリジウムに対するパラ位において臭素化されfac−イリジウム錯体が生じる。
【0192】
Ir(LH35−Br)3の合成:
【化92】
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5.6g(31.5mmol)のN−ブロモサクシンイミドが、30℃で撹拌された、500mlのDCM中の9.8g(10mmol)のIr(LH25)
3の懸濁液の一部分に加えられ、混合物はさらに20時間撹拌される。真空中で、約450mlのDCMが取り除かれた後、100mlのメタノールが黄色の懸濁液に加えられ、固体は吸引ろ過され、30mlのメタノールで3回洗浄され、真空中で乾燥される。生成量:11.4g(9.3mmol)、953%;純度:>99.0%、NMRによる。
【0193】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化93-1】
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【化93-2】
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【化93-3】
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【0194】
2)臭素化fac−イリジウム錯体へのスズキカップリング:
変形A、二相反応混合物:
0.6mmolのトリ−o−トリホスフィンおよび0.1mmolの酢酸パラジウム(II)が、300mlのトルエン、100mlのジオキサンおよび300mlの水の混合物中の、10mmolの臭素化錯体、12−20mmolの臭素酸またはBr官能あたり臭素酸エステル、および40−80mmolのリン酸三カリウムの懸濁液に加えられ、そして、混合物は還流下で16時間加熱される。冷却後、500mlの水および200mlのトルエンが加えられ、水相は分離され、有機相は、200mlの水で3回、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥される。固体材料はセライト床を通してろ過され、トルエンは、真空中で、実質的に取り除かれ、300mlのメタノールが加えられ、析出した粗生成物は吸引ろ過され、それぞれ50mlのメタノールで3回洗浄され、真空で乾燥される。粗生成物は、シリカゲルカラムを2回通過させる。金属錯体は、最終的に加熱または昇華される。加熱は、高真空(p約10
−6mbar)で、200−300℃の温度範囲で行われる。昇華は、高真空(p約10
−6mbar)で、300−400℃の範囲で行われ、昇華は好ましくは分別昇華の形で行われる。
【0195】
変形B、一相反応混合物:
0.6mmolのトリ−o−トリホスフィンおよび0.1mmolの酢酸パラジウム(II)が、100ml−500mlの非プロトン性溶媒(THF、ジオキサン、キシレン、メシチレン、ジメチルアセトアミド、NMP、DMSO等)中の、10mmolの臭素化錯体、Br官能あたり12−20mmolの臭素酸または臭素酸エステル、および60−100mmolの塩基(フッ化カリウム、リン酸三カリウム(無水物または1水和物または3水和物)、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)の懸濁液および100gのガラスビーズ(直径3mm)が加えられ、そして、混合物は還流下で、1−24時間加熱される。代わりに、その他のホスフィン(例えば、トリ−tert−ブチルホスフィン、SPhos、XPhos、RuPhos、XanthPhos等)が使用されうる。ここで、これらのケースにおいて好ましいホスフィン:パラジウムの比率は、2:1〜1.2:1である。溶媒は真空中で取り除かれ、生成物は、適切な溶媒(トルエン、ジクロロメタン、酢酸エチル等)に採取され、変形Aの記載のように精製される。
【0196】
Ir600の合成:
【化94】
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【0197】
変形A:
12.2g(10.0mmol)のIr(LH35−Br)
3および4.9g(40.0mmol)のフェニルボロン酸[98−80−6]、17.7(60mmol)のリン酸三カリウム(無水物)、183mg(0.6mmol)のトリ−o−トリホスフィン[6163−58−2]、23mg(0.1mmol)の酢酸パラジウム(II)、300mlのトルエン、100mlのジオキサンおよび300mlの水の使用、100℃、12時間。トルエン/酢酸エチル(90:10、vv)を用いたシリカゲル上で2回のクロマトグラフによる分離。生成量:6.3g(5.2mmol)、52%;純度:約99.9%、HPLCによる。
【0198】
以下の化合物は、同様に調製されうる。:
【化95-1】
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【化95-2】
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【0199】
3)イリジウム錯体のブッフバルト(Buchwald)カップリング:
0.4mmolのトリ−tert−ブチルホスフィンおよび0.3mmolの酢酸パラジウム(II)が、10mmolの臭素化錯体、12−20mmolのジアリールアミンまたは臭素官能としてカルバゾール、使用されるアミンにつき1.1モルのナトリウム−tert−ブトキサイドまたはカルバゾールのケースでは80mmolのリン酸三カリウム(無水物)、100gのガラスビーズ(直径3mm)、および300−500mlのトルエンまたはカルバゾールのケースではo−キシレンの混合物に加えられ、そして混合物は激しく撹拌されながら、還流下で16−30時間加熱される。冷却後、500mlの水が加えられ、水相が分離され、そして有機相が200mlの水で2回、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥される。固体材料は、セライト床を通してろ過され、トルエンまたはo−キシレンでリンスされ、溶媒は真空中で実質的に完全に除去され、300mlのエタノールが加えられ、析出した粗生成物は吸引ろ過され、それぞれ50mlのEtOHで3回洗浄され、そして真空中で乾燥される。粗生成物は、シリカゲルでクロマトグラフにより2回精製される。金属錯体は、最終的に加熱または昇華される。加熱は高真空(p約10
−6mbar)で、200−300℃の温度範囲で行われる。昇華は、高真空(p約10
−6mbar)で、約300−400℃の温度範囲で行われ、昇華は好ましくは分別昇華の形で行われる。
【0200】
Ir700の合成:
【化96】
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12.2g(10mmol)のIr(LH35−Br)
3および14.5g(40mmol)のN−[1,1’−ビフェニル]−4−イル−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン[897671−69−1]の使用。加熱。生成量:8.5g(4.1mmol)、41%;純度:約99.8%、HPLCによる。
【0201】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化97-1】
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【化97-2】
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【0202】
4)イリジウム錯体のシアノ化:
10mmolの臭素化錯体、臭素化官能につき13mmolのシアン化銅(I)および300mlのNMPの混合物が、200℃で20時間撹拌される。冷却後、真空中で溶剤が除去され、残留物は500mlのジクロロメタンに採取され、銅塩はセライトを介してろ過され、ジクロロメタンは真空中で実質的に蒸留乾固され、100mlのエタノールが加えられ、析出した固体は吸引ろ過され、それぞれ50mlのエタノールで2回洗浄され、真空で乾燥される。粗生成物のクロマトグラフィーまたは熱抽出および分別昇華はC:金属錯体の合成、1)フェニルピリジン、フェニルイミダゾール、またはフェニルベンゾイミダゾールタイプ:変形Aのホモレプティックトリス−フェイシャルイリジウム錯体に記載されるとおりである
【0203】
Ir800の合成:
【化98】
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12.2g(10mmol)のIr(LH35−Br)
3および3.5g(39mmol)のシアン化銅(I)の使用。昇華。生成量:4.6g(4.3mmol)、43%;純度:約99.8%、HPLCによる。
【0204】
以下の化合物は、同様に調製されうる。:
【化99】
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【0205】
5)イリジウム錯体のホウ素化:
10mmolの臭素化錯体、臭素官能につき12mmolのビス(ピナコラト)ジボラン[73183−34−3]、30mmolの酢酸カリウム、無水物、臭素官能につき、0.2mmolのトリシクロヘキシルホスフィン、0.1mmolの酢酸パラジウム(II)および300mlの溶剤(ジオキサン、DMSO、NMP等)の混合物が80−160℃で4−16時間撹拌される。真空中で溶媒が取り除かれた後、残留物は、300mlのジクロロメタン、THFまたは酢酸エチルに採取され、セライト床を通してろ過され、ろ液は、結晶化が始まるまで、真空中で蒸留され、そして最終的に結晶化を完了させるために、約100mlのメタノールが加えられる。化合物は、メタノールを加えることによりジクロロメタン、酢酸エチル、またはTHFから再結晶化されるか、代わりにシクロヘキサンから再結晶化されうる。
【0206】
Ir900の合成:
【化100】
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12.2g(10mmol)のIr(LH35−Br)
3および9.1g(36mmol)のビス(ピナコラト)ジボラン[73183−34−3]の使用、DMSO、120℃、6時間、THFにおける採取およびセライトろ過、THF:メタノールからの再結晶化。生成量:6.8g(5.0mmol)、50%;純度:約99.8%、HPLCによる。
【0207】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化101】
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【0208】
6)ホウ素化fac−イリジウム錯体へのスズキカップリング:
変形A、二相反応混合物:
0.6mmolのトリ−o−トリホスフィンおよび0.1mmolの酢酸パラジウム(II)が、300mlのトルエン、100mlのジオキサンおよび300mlの水の混合物中に、10mmolのホウ素化錯体、(RO)
2B官能につき12−20mmolの臭化アリールおよび80mmolのリン酸三カリウムの懸濁液に加えられ、混合物が還流下で16時間加熱される。冷却後、500mlの水および200mlのトルエンが加えられ、水相が分離され、そして有機相は200mlの水で3回、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、そして硫化マグネシウムで乾燥される。混合物はセライト床を通してろ過され、後者はトルエンでリンスされ、トルエンは真空中で実質的に完全に除去され、300mlのメタノールが加えられ、そして析出した粗生成物は吸引ろ過され、それぞれ50mlのメタノールで3回洗浄され、そして真空で乾燥される。粗生成物は、2回シリカゲルカラムを通過させる。金属錯体は最終的に加熱または昇華される。加熱は、高真空(p約10
−6mbar)、約200−300℃の温度範囲で行われる。昇華は、高真空(p約10
−6mbar)、約300−400℃の温度範囲で行われ、ここで昇華は好ましくは分別昇華の形で行われる。
【0209】
変形B、一相反応混合物:
0.6mmolのトリ−o−トリホスフィンおよび0.1mmolの酢酸パラジウム(II)が、100ml−500mlの非プロトン性溶媒(THF、ジオキサン、キシレン、メシチレン、ジメチルアセトアミド、NMP、DMSO等)中の10mmolのホウ素化錯体、(RO)
2B官能につき12−20mmolの臭化アリールおよび60−100mmolの塩基(フッ化カリウム、リン酸三カリウム(無水物、一水和物、または3水和物)、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)の懸濁液、および100gのガラスビーズ(直径3mm)に加えられ、そして混合物は還流下で1−24時間加熱される。代わりに、その他のホスフィン(例えばトリ−tert−ブチルホスフィン、SPhos、XPhos、RuPhos、Xanth−Phos等)が使用されることもでき、これらのホスフィンのケ−スにおいて、好ましいホスフィン:パラジウムの比率は、2:1〜1.2:1である。溶媒は真空中で除去され、そして生成物は適切な溶媒(トルエン、ジクロロメタン、酢酸エチル等)に採取され、そして変形Aに記載のように精製される。
【0210】
Ir600の合成:
【化102】
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【0211】
変形A:
13.6g(10.0mmol)のIr900および4.2ml(40.0mmol)のブロモベンゼン[108−86−1]、17.7g(60mmol)のリン酸三カリウム(無水物)、183mg(0.6mmol)のトリ−o−トリホスフィン[6163−58−2]、23mg(0.1mmol)の酢酸パラジウム(II)、300mlのトルエン、100mlのジオキサンおよび300mlの水の使用、100℃、12時間。トルエン/酢酸エチル(90:10、vv)を使用するシリカゲル上での2回のクロマトグラフィー分離。生成量:6.3g(5.2mmol)、52%;純度:約99.9%、HPLCによる。
【0212】
以下の化合物は、同様に調製されうる。
【化103】
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【0213】
金属錯体を含むポリマー:
重合可能な基、スズキ重合として、臭化物または臭素酸誘導体の一般的な重合手順
変形A−二相反応混合物:
表に示される混合物中のモノマー(臭化物および臭素酸または臭素酸エステル、HPLCによる純度>99.8%)が、約100mmol/lの総濃度中に、2体積部のトルエン:6体積部のジオキサン:1体積部の水の混合物に、溶解または懸濁される。使用されるBr官能につき2モル当量のリン酸三カリウムが加えられ、混合物はさらに5分撹拌され、0.03−0.003mol当量のトリオルトトリルホスフィンおよび0.005−0.0005mol当量の酢酸パラジウム(II)(ホスフィンのパラジウムに対する比率は好ましくは6:1)が加えられ、そして混合物は還流下で2−3時間激しく撹拌されながら加熱される。混合物の粘度が過剰に増加する場合、2体積部のトルエン:3体積部のジオキサンの混合物で希釈することができる。4−6時間の合計反応時間の後、末端封止のために、使用されるボロン酸官能につき0.05mol当量のモノブロモ芳香族化合物が加えられ、30分後に使用されるBr官能につき0.05mol当量のモノボロン酸またはモノボロン酸エステルが加えられ、そして混合物はさらに1時間沸騰される。冷却後、混合物は300mlのトルエンで希釈される。水相は分離され、有機相はそれぞれ300mlの水で2回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、パラジウムを除去するためセライト床を通してろ過され、そして蒸発乾固される。粗ポリマーは、THF(濃度約10−30g/l)に溶解され、溶液は激しく撹拌されながら、メタノールの二倍量にゆっくりと入れられてもよい。ポリマーは吸引ろ過され、メタノールで3回洗浄される。再析出プロセスは、5回繰り返され、ポリマーは、真空中30−50℃で一定重量に乾燥される。
【0214】
変形B−一相反応混合物:
表に示される組成物中のモノマー(臭化物およびボロン酸またはボロン酸エステル、HPLCによる純度>99.8%)が、約100mmol/lの合計濃度の溶媒(THF、ジオキサン、キシレン、メシチレン、ジメチルアセトアミド、NMP、DMSO、等)に、溶解または懸濁される。Br官能につき、3mol当量の塩基(フッ化カリウム、リン酸三カリウム(無水物、1水和物または3水和物)、炭酸カリウム、炭酸セシウム等、それぞれ無水物)が加えられ、そして当量重量のガラスビーズ(直径3mm)が加えられ、そして混合物はさらに5分撹拌され、Br官能につき、0.03−0.003mol当量のトリオルトトリルホスフィンおよび0.005−0.0005mol当量の酢酸パラジウム(II)(ホスフィンのPdに対する比率は好ましくは6:1)が加えられ、そして混合物は還流下で2−3時間非常に激しく撹拌されながら加熱される。代わりに、他のホスフィン、例えばトリ−tert−ブチルホスフィン、SPhos、XPhos、RuPhos、XanthPhos等が使用されることが可能で、ここでこれらのホスフィンのケースにおいて好ましいホスフィン:パラジウム比は、2:1〜1.3:1である。4−12時間の合計反応時間の後、0.05mol当量のモノブロモ芳香族化合物および、30分後、0.05mol当量のモノボロン酸またはモノボロン酸エステルが末端封止のために加えられ、混合物はさらに1時間沸騰される。溶剤は、真空中で実質的に除去され、残留物はトルエンに採取され、そしてポリマーは、変形Aで記載されるように精製される。
【0215】
モノマーM/末端封止E:
【化104】
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【0216】
ポリマー:
【化105】
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【化106】
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【0217】
有機溶剤における錯体の溶解性の比較:
本発明による錯体は、25℃で示される溶剤中の、表に示される溶解性を有する。本発明による環状基を有さない錯体との比較により、本発明による錯体の溶解性は顕著に大きい(ファクター約5−50)ことがわかる。
【化107-1】
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【化107-2】
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【化107-3】
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【化107-4】
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【化107-5】
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【0218】
錯体の昇華:
本発明による錯体は、ベース圧力約10
−5mbarで、表中に示される昇華温度および速度を有する。本発明による二環式基を有さない錯体と比較すると、本発明による錯体の昇華温度の方がより低く、昇華速度は顕著に高いことがわかる。さらに、本発明による錯体は、昇華状態で安定である。
【化108-1】
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【化108-2】
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【化108-3】
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【0219】
以下の例では、種々のOLEDについての結果を示す。構造化ITO(50nm、酸化インジウムスズ)を有するガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。OLEDは、基本的に以下の層構造を有する:基板/3%NDP−9(Novaled社から市販されている)でドープされたHTMからなる正孔輸送層1(HTL1)、20nm/正孔輸送層2(HTL2)/任意の電子遮断層(EBL)/発光層(EML)/任意の正孔遮断層(HBL)/電子輸送層(ETL)/任意の電子注入層(EIL)/および最後にカソード。カソードは、100nmの厚さのアルミニウム層によって形成される。
【0220】
最初に、真空処理されたOLEDについて記載する。この目的では、すべての材料は、真空チャンバにおける熱蒸着によって適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも1つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸着によって特定の体積比でマトリックス材料に混合される発光ドーパント(発光体)とからなる。ここで、M3:M2:Ir(LH1)
3(55%:35%:10%)のような形で示される詳細は、材料M3が55%の体積比でその層に存在し、M2が35%の割合でその層に存在し、Ir(LH1)
3が10%の割合でその層に存在することを意味する。同様に、電子輸送層も2つの材料の混合物からなっていてもよい。OLEDの正確な構造は表1に見ることができる。OLEDの製造に使用される材料は表7に示されている。
【0221】
OLEDは、標準的な方法によって特徴づけられる。この目的では、エレクトロルミネッセンススペクトル、電流効率(cd/Aで測定)および電圧(V単位の1000cd/m
2で測定)を電流−電圧−輝度特性(IUL特性)から求める。選択した実験では、寿命を求める。寿命は、輝度が特定の初期輝度から、その後に特定の割合まで低下する時間で定義される。LT50という数字は、与えられた寿命が、輝度が初期輝度の50%まで、すなわち、例えば1000cd/m
2から500cd/m
2まで低下する時間であることを意味する。発光色に応じて、異なる初期輝度を選択する。当業者に既知の変換式を利用して、寿命に対する値を他の初期輝度に対する値に変換することができる。ここでは、1000cd/m
2の初期輝度に対する寿命が通常の値である。
【0222】
燐光性OLEDにおける発光材料としての本発明による化合物の使用
本発明による化合物は、とりわけ、OLED中の発光層における燐光性発光材料として使用されうる。表3に示されるイリジウム化合物は、従来技術による比較として使用される。OLEDの結果は、表2に要約される。
【表1-1】
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【表1-2】
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【表1-3】
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【表1-4】
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【表1-5】
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【表1-6】
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【表1-7】
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【表1-8】
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【表2-1】
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【表2-2】
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【表2-3】
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【0223】
2)溶液処理された素子:
A:可溶性の機能性材料から
本発明に係るイリジウム錯体類は、溶液から処理することもでき、この場合、良好な特性を有しながら、真空処理したOLEDと比較して処理技術の点で非常に単純なOLEDをもたらす。このような成分の製造は、既に文献(例えばWO2004/037887)に幾度も記載されているポリマー発光ダイオード(PLED)の製造に基づくものである。その構造は、基板/ITO/PEDOT(80nm)/中間層(80nm)/発光層(80nm)/カソードで構成される。この目的のために、Technoprint社製の基板(ソーダ石灰ガラス)を使用し、それにはITO構造(酸化インジウムスズ、透明導電性アノード)が適用される。基板は、クリーンルーム内でDI水と洗剤(デコネックス15PF)を用いて洗浄され、次いでUV/オゾンプラズマ処理により活性化させる。その後、同じくクリーンルーム内で、バッファ層として、PEDOT(PEDOTは、H.C.Starck Goslar社から水性分散液として供給されているポリチオフェン誘導体(バイトロンP VAI 4083sp)である)の80nmの層を、同様にクリーンルーム中でスピンコート法により塗布する。必要なスピン速度は、希釈度と特定のスピンコーターの形状に依存する(80nmに対する典型的な値:4500rpm)。層から残留水を除去するために、基板をホットプレート上で180℃で10分間乾燥させる。使用される中間層は、正孔注入のために機能する。この場合、Merck社製のHIL−012が使用される。あるいは、中間層は、引き続いての、溶液からのEML堆積の処理工程によって再び脱離しないという条件を満たすだけでよい、1つ以上の層で置き替えることができる。発光層の製造のため、本発明に係る発光体をマトリックス材料とともにトルエンに溶解させる。ここで、素子に対する典型的層厚である80nmがスピンコーティングによって達成される場合、その溶液の典型的な固体含有量は16〜25g/Lである。溶液処理されたタイプ1の素子は、(ポリスチレン):M5:M6:Ir(LH)
3(20%:35%:35%:10%)で構成される発光層を含み、タイプ2は、(ポリスチレン):M5:M6:Ir(LH
6)
3:Ir(LH)
3(20%:25%:40%:10%:5%)で構成される発光層を含む。発光層は、不活性ガス雰囲気中、本発明の場合にはアルゴン中で、スピンコートによって適用し、130℃で30分間加熱される。最後に、カソードに、バリウム(5nm)および次にアルミニウム(100nm)が蒸着によって適用される(高純度金属はAldrich製であり、特にバリウムは99.99%(オーダーno.474711);中でもLesker製の蒸着装置、典型的な蒸着圧力は5×10
−6mbar)。任意に、まず正孔ブロック層、および次いで電子輸送層、および次に初めてカソード(例えば、AlまたはLiF/Al)を、真空蒸着によって適用することができる。空気および大気の湿気から素子を保護するために、素子を最後に被包し、次にその特徴を決定する。OLEDの例はまだ最適化されていないが、表4に得られた結果をまとめる。
【表3-1】
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【表3-2】
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【表3-3】
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【0224】
B:ポリマー機能性材料から:
Aに記載されるようなOLEDの製造:発光層の製造のために、本発明によるポリマーがトルエンに溶解される。このような溶液の典型的な固体比率は、スピンコーティングによって典型的に80nmの膜厚の層が形成される場合に、10〜15g/lである。前記のOLEDの例は、まだ最適化されていないが、得られた結果を表5にまとめる。
【表4】
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【0225】
3)白色発光OLED
以下の層構造を有する白色発光OLEDは、1)の一般的プロセスに従って製造される。
【表5】
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【表6】
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【表7-1】
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【表7-2】
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【表7-3】
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【表7-4】
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