(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のシステムにおいて、前記密閉空間と流体的に結合されて、前記密閉空間に流体をもたらすように適合された流体源をさらに含むことを特徴とする、システム。
請求項1乃至12の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記複数の貫通孔の各貫通孔の形状が、六角形、楕円形、円形、三角形、および正方形からなる群から選択されることを特徴とする、システム。
請求項15に記載のシステムにおいて、前記貫通孔の前記壁が、前記接触層の組織に対面する面と前記接触層の反対側の面との間に実質的に滑らかな表面を有することを特徴とする、システム。
請求項1乃至16の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記接触層が、200mmの長さと50mmの幅とを有し、および前記複数の貫通孔が70個の貫通孔を含むことを特徴とする、システム。
請求項1乃至23の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記密閉空間内で前記接触層の上を覆うように位置決めされるように適合された保持層をさらに含むことを特徴とする、システム。
請求項25に記載のシステムにおいて、前記隆起が、前記密閉空間への陰圧の適用に応答して、前記貫通孔内へと変形する前記保持層の部分を含むことを特徴とする、システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的な実施形態の以下の説明は、当業者が、添付の特許請求の範囲で説明する主題を作製および使用できるようにする情報を提供するが、当技術分野で既に周知のいくつかの詳細な情報については省略し得る。そのため、以下の詳細な説明は、限定ではなく、説明のためのものであるとみなされるべきである。
【0015】
例示的な実施形態はまた、本明細書では、添付の図面に示される様々な要素間の空間関係または様々な要素間の空間定位を参照して説明され得る。概して、そのような関係または定位は、治療を受ける位置にいる患者と一致するかまたは患者に対する基準系とみなす。しかしながら、当業者によって認識される必要があるように、この基準系は、厳密な規定ではなく、説明の手段にすぎない。
【0016】
図1は、本明細書による陰圧療法、局所治療溶液の点滴注入、および組織上のデブリの破壊をもたらし得る治療システム100の例示的な実施形態の、一部分を立面図で示す断面図である。治療システム100は、ドレッシングおよび陰圧源を含み得る。例えば、
図1に示すように、ドレッシング102は、陰圧源104に流体的に結合され得る。
図1Aは、
図1の治療システム100の一部分の詳細図である。
図1および
図1Aに示すように、ドレッシング102は、例えば、ドレープ106などのカバーと、例えば、組織部位103などの組織部位に隣接してまたはその近傍に位置決めするための組織インターフェース107とを含む。いくつかの実施形態では、組織インターフェース107は、保持層108などのカバー層であり得る。組織インターフェース107はまた、接触層110であり得、接触層は、組織部位103に対面するように適合された組織に対面する面111と、例えば、保持層108に対面するように適合された、反対側の面113とを有する。いくつかの実施形態では、組織インターフェース107は、保持層108および接触層110の両方であり得、保持層108および接触層110は、一体的な構成要素であり得る。他の実施形態では、組織インターフェース107は、保持層108および接触層110を含むことができ、保持層および接触層110は、
図1に示すような別個の構成要素であり得る。治療システム100はまた、ドレッシング102および陰圧源104に結合されたコンテナー112などの滲出液コンテナーを含み得る。いくつかの実施形態では、コンテナー112は、コネクタ114およびチューブ116によってドレッシング102に流体的に結合され、およびコンテナー112は、チューブ118によって陰圧源104に流体的に結合され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、治療システム100はまた、点滴注入溶液源を含み得る。例えば、流体源120は、
図1の例示的な実施形態に示すように、チューブ122およびコネクタ124によってドレッシング102に流体的に結合され得る。
【0018】
概して、治療システム100の構成要素は、直接または間接的に結合され得る。例えば、陰圧源104は、コンテナー112に直接結合され、かつコンテナー112によってドレッシング102に間接的に結合され得る。構成要素は互いに流体的に結合されて、構成要素間で流体(すなわち、液体および/または気体を)移動させる経路を提供し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、構成要素は、チューブ、例えばチューブ116、チューブ118、およびチューブ122を通して流体的に結合され得る。本明細書では、「チューブ」は、チューブ、パイプ、ホース、導管、または2つの端部間で流体を運ぶように適合された1つ以上のルーメンを備える他の構造体を広く指す。一般に、チューブは、細長く、シリンダー状構造であり、ある程度可撓性があるが、幾何学的形状および剛性は様々であり得る。構成要素はまた、チューブを使用せずに、例えば、互いにそれらの面が接触するかまたは近接していることによって、流体的に結合され得る。それに加えてまたはその代わりに、いくつかの実施形態では、構成要素は、単一構造へ一体化されているかまたは同じ材料部片から形成されている物理的近接によって結合され得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、互いに隣接して位置決めされることによって、または互いに動作可能であることによって結合され得る。いくつかの状況では、結合はまた、機械的、熱的、電気的、または化学的結合(ケミカルボンドなど)を含み得る。
【0020】
動作中、組織インターフェース107は、組織部位103内に、その上を覆って、その上に、またはそうでなければそれに近接して配置され得る。ドレープ106は、組織インターフェース107の上を覆って配置され、かつ組織部位の近くの組織に封止される。例えば、ドレープ106は、組織周囲(peritissue)としても公知の、組織部位の周辺の無傷の表皮に対して封止されてもよい。そのため、ドレッシング102は、組織部位に近接して、外部環境から実質的に隔離された密閉治療環境128を提供し、および陰圧源104は、密閉治療環境128内の圧力を低下し得る。密閉治療環境128内の組織インターフェース107を用いて、組織部位103にわたって適用された陰圧は、組織部位103にマクロ歪みおよび微小歪みを誘発でき、ならびに組織部位103から滲出液および他の流体を除去でき、それらをコンテナー112に収集して適切に廃棄できる。
【0021】
例えば、密閉治療環境内などの別の構成要素または箇所において圧力を低下させるために陰圧源を使用する流体力学は、数学的に複雑であり得る。しかしながら、陰圧療法および点滴注入に適用可能である流体力学の基本原理は、一般的に、当業者によく知られている。
【0022】
概して、流体は、流体に沿って、より低い圧力の方へ流れる。そのため、用語「下流」は、一般に、陰圧源に近い、またはあるいは陽圧源から離れている流体流路内の位置を指す。逆に、用語「上流」は、陰圧源から離れている、または陽圧源に近い流体流路内の位置を指す。同様に、そのような基準系では流体の「入口」または「出口」の観点からいくつかの特徴を説明することが好都合であり得、および圧力を低下させるプロセスは、本明細書では、例えば、減圧を「送給する」、「分配する」、または「生成する」と例示的に説明され得る。この方向付け(orientation)は、一般的に、本明細書の様々な特徴およびシステムの構成要素を説明するために推定される。
【0023】
これに関連して、組織部位103などの用語「組織部位」は、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、または靭帯を含むがこれらに限定されない組織にあるまたはその内部の、創傷または欠損を広範に指す。創傷は、例えば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、および離開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(例えば糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍、または静脈不全潰瘍)、弁(flap)、およびグラフトを含み得る。用語「組織部位」はまた、必ずしも傷ついても欠損してもいない組織領域を指し得るが、その代わりに、追加的な組織の成長を支援または促進することが望ましいことができる領域である。例えば、いくつかの組織領域において陰圧を使用して、追加的な組織を成長させ、それら組織を採取し、別の組織の箇所に移植してもよい。
図1に示すように、組織部位103は、表皮105、真皮109を通って、皮下組織115まで延在し得る。
【0024】
「陰圧」は、一般的に、ドレッシング102によってもたらされた密閉治療環境128の外側にある局所環境における周囲圧力などの局所的な周囲圧力を下回る圧力を指す。多くの場合、局所的な周囲圧力はまた、組織部位がある場所の大気圧であり得る。あるいは、圧力は、組織部位における組織に関連する静水圧を下回り得る。他に指定のない限り、本明細書で述べる圧力の値はゲージ圧である。同様に、陰圧の上昇への言及は、一般に絶対圧の低下を指す一方、陰圧の低下は、一般に絶対圧の上昇を指す。
【0025】
陰圧源104などの陰圧源は、陰圧での空気の溜め部としてもよく、または密閉された容積部の圧力を低下させ得る手動または電動の装置、例えば真空ポンプ、吸引ポンプ、多くのヘルスケア施設で利用可能なものなどの壁面吸い込みポート、またはマイクロポンプなどとしてもよい。陰圧源はまた、化学反応を開始して陰圧を生成し得るタブレット、溶液、スプレー、または他の送給機構を含み得る。陰圧源はまた、陰圧を生じるためのポンプを駆動するために使用されるCO
2シリンダーなどの加圧ガスシリンダーを含み得る。陰圧源は、陰圧療法をさらに容易にするセンサー、処理装置、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示装置、またはユーザインターフェースなどの他の構成要素内に収容され得るかまたはそれらと一緒に使用され得る。組織部位に適用される陰圧の量および性質は、治療条件に従って変化し得るが、圧力は、一般に、低真空(rough vacuum)とも呼ばれる低真空(low vacuum)、−5mmHg(−667Pa)〜−500mmHg(−66.7kPa)である。一般的な治療範囲は、−25mmHg(−3.3 kPa)〜約−350mmHg(−46.6kPa)、より一般的には−75mmHg(−9.9kPa)〜−300mmHg(−39.9kPa)である。
【0026】
コネクタ114およびコネクタ124などの「コネクタ」は、チューブを密閉治療環境128に流体的に結合するために使用され得る。陰圧源によって発生した陰圧は、チューブを通ってコネクタまで送給され得る。説明に役立つ一実施形態では、コネクタは、KCI(San Antonio、Texas)から入手可能なT.R.A.C.(登録商標)PadまたはSensa T.R.A.C.(登録商標)Padであり得る。例示的な一実施形態では、コネクタ114は、陰圧源104によって生成された陰圧を、密閉治療環境128に送給できるようにする。他の例示的な実施形態では、コネクタはまた、ドレープに挿入されたチューブであり得る。例示的な一実施形態では、コネクタ124は、流体源120によって提供された流体を、密閉治療環境128に送給できるようにする。説明に役立つ一実施形態では、コネクタ114およびコネクタ124は、KCI(San Antonio、Texas)から入手可能なVera T.R.A.C.(登録商標)Padなどの単一の装置に組み合わせられ得る。いくつかの実施形態では、コネクタ114およびコネクタ124は、密閉治療環境128に入ったりそこから出たりする粒子を捕捉するために、1つ以上のフィルターを含み得る。
【0027】
組織インターフェース107は、一般的に、組織部位と接触するように適合され得る。組織インターフェース107は、部分的にまたは全体的に組織部位と接触し得る。組織部位が創傷である場合、例えば、組織インターフェース107は、部分的にまたは完全に創傷を塞ぎ得るか、または創傷の上を覆って配置され得る。組織インターフェース107は、様々な要因、例えば、施されている治療のタイプまたは組織部位の性質およびサイズに依存して、多くの形態を取り、および多くのサイズ、形状、または厚さを有し得る。例えば、組織インターフェース107のサイズおよび形状は、深くて異形の組織部位の輪郭に適合され得る。いくつかの実施形態では、組織インターフェース107は、スパイラルカットシートで提供され得る。さらに、組織インターフェース107の表面の何れかまたは全ては、凸凹した、粗い、または鋸歯状のプロファイルを有することがあり、組織部位において微小歪みおよび応力を誘発し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、組織インターフェース107は、保持層108、接触層110、またはそれら両方を含んでもよく、かつまた、マニホールドであり得る。これに関連して、「マニホールド」は、一般的に、陰圧下で流体を収集するかまたは組織部位にわたって分配するように適合された複数の経路を提供する任意の物体または構造体を含む。例えば、マニホールドは、陰圧源から陰圧を受け、かつその陰圧を、組織部位にわたって複数のアパーチャに分配するように適合されてもよく、これは、組織部位にわたって流体を収集しかつ陰圧源の方へ流体を引く効果を有し得る。いくつかの実施形態では、流体流路は、逆にされてもよく、または組織部位にわたって流体を送給するのを容易にするために副流体流路が設けられてもよい。
【0029】
いくつかの説明に役立つ実施形態では、マニホールドの経路は、組織部位にわたる流体の分配または収集を改善し得るように相互に接続された流路であり得る。例えば、気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、網状発泡体、多孔性組織集合体、およびガーゼまたはフェルト材料などの他の多孔質材は、一般的に、相互接続された流体経路を形成するように適合された細孔、エッジ、および/または壁を含む。液体、ゲル、および他の発泡体はまた、アパーチャおよび流路を含み得るか、または硬化してアパーチャおよび流路を含み得る。いくつかの説明に役立つ実施形態では、マニホールドは、組織部位に陰圧を一様に(または準一様に)分配するように適合された、相互接続した気泡または細孔を有する多孔質の発泡材料であり得る。発泡材料は、疎水性でもまたは親水性でもよい。発泡材料の細孔サイズは、処方された治療法での必要性に従って変わり得る。例えば、いくつかの実施形態では、保持層108は、約60ミクロン〜約2000ミクロンの範囲の細孔サイズを有する発泡体であり得る。他の実施形態では、保持層108は、約400ミクロン〜約600ミクロンの範囲の細孔サイズを有する発泡体であり得る。保持層108の引張強度も、処方された治療法での必要性に従って変わり得る。例えば、発泡体の引張強度は、局所治療溶液の点滴注入のために高められ得る。1つの非限定的な例では、保持層108は、連続気泡の網状ポリウレタン発泡体、例えばKinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なGranuFoam(登録商標)ドレッシングであり得る。他の実施形態では、保持層108は、同様にKinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なV.A.C.VeraFlo(登録商標)発泡体などの、連続気泡の網状ポリウレタン発泡体であり得る。他の実施形態では、保持層108は、非網状連続気泡発泡体で形成され得る。
【0030】
組織インターフェース107が親水性材料から作製され得る例では、組織インターフェース107はまた、組織部位にわたって陰圧を分配し続ける間に、組織部位から流体を吸い上げ得る。組織インターフェース1070の吸い上げ特性は、毛細管流動または他のウィッキング機構によって組織部位から流体を引き出し得る。親水性発泡体の例は、ポリビニルアルコール製の連続気泡発泡体、例えばKinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なV.A.C.WhiteFoam(登録商標)ドレッシングである。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水性を示し得る他の発泡体は、親水性をもたらすように処理または被覆された疎水性発泡体を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、組織インターフェース107は、生体再吸収性材料から構成され得る。好適な生体再吸収性材料は、限定されるものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを含み得る。ポリマーブレンドはまた、限定されるものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトン(capralactones)を含み得る。組織インターフェース107は、新しい細胞増殖のための足場としての機能をさらに果たしてもよく、または細胞増殖を促進するために組織インターフェース107と足場材料とが一緒に使用されてもよい。足場は、一般的に、細胞増殖または組織形成を増進させるまたは促進するのに使用される物体または構造体であり、例えば、細胞増殖のテンプレートを提供する三次元の多孔質構造体であり得る。足場材料の説明に役立つ例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト(coral hydroxy apatite)、カーボネート、または加工された同種移植片材料を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ドレープ106は、バクテリアバリアおよび身体的外傷からの保護を提供し得る。ドレープ106はまた、蒸発損失を低減させかつ2つの構成要素間または治療環境と局所的な外部環境との間などの2つの環境間に流体シールをもたらし得る材料から構成されるシール部材であり得る。ドレープ106は、例えば、所与の陰圧源に関して組織部位において陰圧を維持するのに適したシールをもたらし得るエラストマーフィルムまたは膜であり得る。いくつかの例示的な実施形態では、ドレープ106は、ポリマードレープ、例えば水蒸気に対して透過性であるが液体に対して不透過性であるポリウレタンフィルムであり得る。そのようなドレープは、一般に、約25ミクロン〜約50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料に関し、透過性は、一般的に、所望の陰圧が維持され得るように十分に低い必要がある。
【0033】
ドレープ106を取付面、例えば無傷の表皮、ガスケット、または別のカバーに取り付けるために、取付装置が使用され得る。取付装置は、多くの形態をとり得る。例えば、取付装置は、シール部材の周辺、一部分、または全体に延在する、医学的に容認できる感圧接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、ドレープ106の一部または全ては、約25グラム毎平方メートル(gsm)〜約65gsmの塗布量を有するアクリル接着剤によって被覆され得る。いくつかの実施形態では、より厚みのある(thicker)接着剤、または接着剤の組み合わせたものが塗布されて、シールを向上させかつ漏れを減少させ得る。取付装置の他の例示的な実施形態は、両面テープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、またはオルガノゲルを含み得る。
【0034】
コンテナー112は、組織部位から引き出された滲出液および他の流体を管理するために使用され得るコンテナー、キャニスター、パウチ、または他の保管構成要素を表す。多くの環境では、流体を収集、保管、および廃棄するためには強固なコンテナーが好ましいことができ、または必要とされ得る。他の環境では、強固なコンテナーによって保管されなくても、流体は適切に廃棄され、および再使用可能なコンテナーが、陰圧療法に関連する廃棄物およびコストを削減し得る。
【0035】
流体源120は、点滴注入療法用の溶液を提供し得るコンテナー、キャニスター、パウチ、袋、または他の保管構成要素を表し得る。溶液の組成物は、処方された治療法に従って変わり得るが、一部の処方に好適である溶液の例は、次亜塩素酸塩ベースの溶液、硝酸銀(0.5%)、硫黄ベースの溶液、ビグアナイド、陽イオン溶液、および等張液を含む。いくつかの実施形態では、流体源120などの流体源は、大気圧またはそれを上回る圧力にある流体のリザーバであり得るか、または手動または電動の装置、例えば密閉治療環境128などの密閉された容積部へ流体を運び得る、例えばポンプであり得る。いくつかの実施形態では、流体源は蠕動ポンプを含み得る。
【0036】
組織部位の治療中、バイオフィルムが、組織部位上または組織部位内に発生することがある。バイオフィルムは、組織部位を覆いかつ組織部位103などの組織部位の治癒を損ない得る微生物感染を含み得る。バイオフィルムはまた、局所治療が組織部位に達しないようにすることによって、局所的な抗菌薬による治療の有効性を低下させ得る。バイオフィルムが存在することによって、治癒にかかる時間が増加し、様々な治療の有効性および効率を低下させ、およびより深刻な感染のリスクを増大させ得る。
【0037】
バイオフィルムがない場合でも、いくつかの組織部位は、通常の医療プロトコルに従って治癒しないことがあり得、および壊死組織の領域を発生し得る。壊死組織は、感染、毒素、または外傷から生じる、死んだ組織であり得、死んだ組織の除去を制御する正常な生体プロセスによって組織が除去され得るよりも速く、組織が死ぬようにする。時折、壊死組織は、組織の粘性液体の塊を含み得るスラフの形態にあり得る。一般的に、スラフは、組織における炎症反応を刺激する細菌および真菌感染によって生じる。スラフは、クリームイエロー色としてもよく、かつまた、膿とも呼ばれ得る。壊死組織はまた、痂皮を含み得る。痂皮は、脱水されかつ固められた壊死組織の一部分であり得る。痂皮は、火傷、壊疽、潰瘍、真菌感染、クモの咬傷、または炭疽の結果であり得る。痂皮は、外科的な切断器具を使用せずに動かすことが困難であり得る。
【0038】
組織部位103は、バイオフィルム、壊死組織、裂傷組織、失活組織、汚染された組織、損傷組織、感染組織、滲出液、高粘性滲出液、フィブリンスラフ(fibrinous slough)および/または一般的にデブリ130と呼ばれ得る他の物質を含み得る。デブリ130は、組織の治療の有効性を阻害し、かつ組織部位103の治癒をゆっくりにし得る。
図1に示すように、デブリ130は、組織部位103の全てまたは一部分を覆い得る。デブリが組織部位103にある場合、組織部位103の部位は、デブリ130を破壊するために異なるプロセスによって治療され得る。破壊の例は、デブリ130を軟化させ、皮下組織115などの所望の組織からデブリ130を分離し、組織部位103から除去するためにデブリ130の準備処理を行い、および組織部位103からデブリ130を除去することを含み得る。
【0039】
デブリ130は、手術室で行われるデブリドマンを必要であり得る。場合によっては、デブリドマンを必要とする組織部位は、生命を脅かすものではなく、およびデブリドマンは、優先度が低いと考えられ得る。優先度が低いケースは、他のより生命を脅かすケースが手術室において優先度を与えられ得るため、治療に先立って、後回しにされ得る。その結果、優先度が低いケースは、妥協(temporization)を必要であり得る。妥協は、組織部位103などの組織部位の鬱血を含み、鬱血によって、デブリドマン、陰圧療法または点滴注入などの他の治療に先立つ組織部位の悪化を制限し得る。
【0040】
創傷清拭時、臨床医は、健康で生命力のある組織と壊死組織との分離を明確にすることを難しいと感じ得る。その結果、正常なデブリドマン技術では、健康な組織を除去しすぎたり、または十分に壊死組織を除去しなかったりし得る。生存不能な組織の境界が、深い皮層、例えば真皮109よりも深くに延在していない場合、または組織部位103が、スラフまたはフィブリンなどのデブリ130によって覆われている場合、組織部位103への過度の損傷を回避するために、デブリ130を除去するための穏やかな方法を考慮する必要がある。
【0041】
デブリドマンは、デブリ130の除去を含み得る。いくつかのデブリドマンプロセスでは、機械的なプロセスを使用して、デブリ130を除去する。機械的なプロセスは、組織部位からデブリ130を切り離すために、鋭い刃を有する外科用メスまたは他のカッティング用具を使用することを含み得る。他の機械的なプロセスは、アブレーションプロセスおいてデブリ130に衝突してデブリ130を除去する粒子のストリームを提供し得るか、または水ジェット切断または洗浄を使用する、デブリ130に衝突してデブリ130を除去する高圧流体ジェットを提供し得る、装置を使用し得る。一般に、組織部位の創傷清拭の機械的なプロセスは、痛みを伴い、および局所麻酔薬を適用する必要があり得る。機械的なプロセスはまた、健康な組織を除去しすぎて、組織部位103をさらに損傷させる原因となり、かつ治癒過程を遅延させ得るリスクがあり得る。
【0042】
デブリドマンはまた、自己融解過程と共に実施され得る。例えば、自己融解過程は、組織部位によって生じた酵素および水分を使用して、壊死組織およびデブリを軟化させかつ液化することを含み得る。一般に、ドレッシングは、デブリを有する組織部位の上を覆うように配置され得るため、組織部位によって生じた流体は、適所に留まり、デブリに水分を補給し得る。自己融解過程は無痛であり得るが、自己融解過程には時間がかかり、多くの日数を要し得る。自己融解過程は時間がかかるため、自己融解過程はまた、多数回のドレッシングの交換を伴い得る。一部の自己融解過程は、陰圧療法と組み合わせられ得るため、デブリが水分を補給されると、組織部位に供給される陰圧がデブリを取り除き得る。場合によっては、組織部位にわたって陰圧を分配するために組織部位に位置決めされたマニホールドが、自己融解過程によって分解されたデブリによって塞がれ得るかまたは詰まらされ得る。マニホールドが詰まる場合、陰圧は、デブリを除去できないことがあり得、それにより、自己融解過程を遅らせ得るかまたは停止させ得る。
【0043】
デブリドマンはまた、組織部位に、組織を消化する酵素または他の作用物質を追加することによって実施され得る。多くの場合、酵素の配置、および酵素が組織部位と接触する時間の長さを厳しく管理し続ける必要がある。酵素が、必要な時間よりも長く組織部位上に残される場合、酵素は、健康な組織を除去しすぎるか、組織部位を汚染させるか、または患者の他の領域に運ばれ得る。患者の他の領域に運ばれると、酵素は、無傷の組織を分解して他の合併症を引き起こし得る。
【0044】
これらの限界および他のことが、陰圧療法、点滴注入療法、およびデブリの破壊を提供し得る治療システム100によって対処され得る。いくつかの実施形態では、治療システム100は、デブリを可溶化するのを助けるために局所用溶液を周期的に送給してそこに滞留させることと組み合わせて、組織部位の表面における機械的な動きをもたらし得る。例えば、陰圧源は、組織部位に流体的に結合されて、陰圧療法のために陰圧を組織部位にもたらし得る。いくつかの実施形態では、流体源は、組織部位に流体的に結合され、点滴注入療法のために組織部位に治療液をもたらし得る。いくつかの実施形態では、治療システム100は、組織部位に隣接して位置決めされた接触層を含んでもよく、これは、デブリを有する組織部位の領域を破壊する陰圧療法と一緒に使用され得る。いくつかの実施形態では、治療システム100は、組織部位に隣接して位置決めされた接触層を含んでもよく、これは、デブリを有する組織部位の領域を破壊する点滴注入療法と一緒に使用され得る。いくつかの実施形態では、治療システム100は、組織部位に隣接して位置決めされた接触層を含んでもよく、これは、陰圧療法および点滴注入療法の両方と一緒に使用され、デブリを有する組織部位の領域を破壊し得る。デブリの破壊後に、陰圧療法、点滴注入療法、および他のプロセスが、組織部位からデブリを除去するために使用され得る。いくつかの実施形態では、治療システム100は、他の組織の除去およびデブリドマン技術と併用され得る。例えば、治療システム100は、デブリを軟化させる酵素によるデブリドマンに先立って使用され得る。別の例では、機械的デブリドマンを使用して、組織部位におけるデブリの一部分を除去し得、およびその場合、治療システム100は、組織部位に対する外傷のリスクを低下させながらも、残っているデブリを除去するために使用され得る。
【0045】
治療システム100は、デブリ130を有する組織部位103において使用され得る。いくつかの実施形態では、接触層110は、組織部位103に隣接して位置決めされ得るため、接触層110は、デブリ130と接触し得る。いくつかの実施形態では、保持層108は、接触層110の上を覆うようにして位置決めされ得る。他の実施形態では、組織部位103の深さが、接触層110の厚さ134とほぼ同じである場合、保持層108は使用されなくてもよい。さらに他の実施形態では、保持層108は、接触層110の上を覆うように位置決めされてもよく、および組織部位103の深さが、保持層108の厚さと接触層110の厚さ134とを合わせたものを上回る場合、接触層110および保持層108の上を覆うように別の保持層108が配置され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、接触層110は、実質的に均一な厚さを有し得る。接触層110は、厚さ134を有し得る。いくつかの実施形態では、厚さ134は、約7mm〜約15mmであり得る。他の実施形態では、厚さ134は、組織部位103に必要とされるとして述べた範囲よりも薄くてもまたは厚くてもよい。好ましい実施形態では、厚さ134は約8mmであり得る。いくつかの実施形態では、接触層110の個々の部分は、厚さ134からの許容誤差が最小であり得る。いくつかの実施形態では、厚さ134は、約2mmの許容誤差を有し得る。いくつかの実施形態では、厚さ134は、約6mm〜約10mmであり得る。接触層110は柔軟性であり得るため、接触層110は、組織部位103の表面の輪郭に合うようにし得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、接触層110は、熱可塑性エラストマー(TPE)、例えばスチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)コポリマー、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成され得る。接触層110は、TPEまたはTPUのシートを組み合わせることによって形成され得る。いくつかの実施形態では、TPEまたはTPUのシートは、互いに、接合、溶接、接着、または他の方法で結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、TPEまたはTPUのシートは、放射熱、高周波溶接、またはレーザ溶接を使用して溶接され得る。Supracor,Inc.、Hexacor,Ltd.、Hexcel Corp.、およびEconocorp,Inc.は、接触層110を形成するために好適なTPEまたはTPUシートを生産し得る。いくつかの実施形態では、厚さ約0.2mm〜約2.0mmのTPEまたはTPUのシートを使用して、厚さ134を有する構造を形成し得る。いくつかの実施形態では、接触層110は、スペーサファブリックとも呼ばれ得る3Dテキスタイルから形成され得る。好適な3Dテキスタイルは、Heathcoat Fabrics,Ltd.、Baltex、およびMueller Textil Groupによって生産され得る。接触層110はまた、ポリウレタン、シリコーン、ポリビニルアルコール、および銅、錫、銀などの金属、または他の有益な金属から形成され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、接触層110は、発泡体から形成され得る。例えば、気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、網状発泡体、または多孔性組織集合体を使用して、接触層110を形成し得る。いくつかの実施形態では、接触層110は、GranuFoam(登録商標)、グレーフォーム(grey foam)、またはZotefoamで形成され得る。グレーフォームは、1インチ当たり約60個の細孔(ppi)を有するポリエステルポリウレタン発泡体であり得る。Zotefoamは、独立気泡の架橋ポリオレフィン発泡体であり得る。1つの非限定的な例では、接触層110は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なGranuFoam(登録商標)ドレッシングなどの連続気泡の網状ポリウレタン発泡体であり得る。他の実施形態では、接触層110は、同様にKinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なV.A.C.VeraFlo(登録商標)発泡体などの、連続気泡の網状ポリウレタン発泡体であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、接触層110は、機械的または化学的に圧縮されて、周囲圧力における発泡体の密度を高める発泡体から形成され得る。機械的または化学的に圧縮される発泡体は、圧縮発泡体と称し得る。圧縮発泡体は、圧縮状態にある発泡体の密度対非圧縮状態にある同じ発泡体の密度の比と定義される硬度係数(FF)によって特徴付けられ得る。例えば、5の硬度係数(FF)は、圧縮発泡体の密度が、非圧縮状態にある同じ発泡体の密度の5倍であることを指し得る。発泡体を機械的または化学的に圧縮することによって、圧縮されていない同じ発泡体と比較すると、周囲圧力において発泡体の厚さを減少させる。機械的または化学的な圧縮による発泡体の厚さの減少は、発泡体の密度を高め、それにより、発泡体の硬度係数(FF)を増加させ得る。発泡体の硬度係数(FF)の増加は、発泡体の厚さに平行な方向における発泡体のスチフネスを高め得る。例えば、接触層110の硬度係数(FF)の増加は、接触層110の厚さ134に平行な方向における接触層110のスチフネスを高め得る。いくつかの実施形態では、圧縮発泡体は、圧縮されたGranuFoam(登録商標)であり得る。GranuFoam(登録商標)の密度は、その非圧縮状態において、約0.03グラム毎センチメートル
3(g/cm
3)であり得る。GranuFoam(登録商標)が、5の硬度係数(FF)を有するように圧縮される場合、GranuFoam(登録商標)は、GranuFoam(登録商標)の密度が約0.15g/cm
3となるまで圧縮され得る。V.A.C.VeraFlo(登録商標)発泡体はまた、5までの硬度係数(FF)を有する圧縮発泡体を形成するように圧縮され得る。いくつかの実施形態では、接触層110の厚さは、周囲圧力において約4mm〜約15mm、およびより具体的には、約8mmであり得る。例示的な実施形態では、接触層の厚さ134が約8mmであり、および接触層110が密閉治療環境128内に位置決めされかつ約−115mmHg〜約−135mm Hgの陰圧を受ける場合、接触層110の厚さ134は、約1mm〜約5mm、および一般的に、約3mmを上回り得る。
【0050】
圧縮発泡体はまた、フェルト発泡体と称し得る。圧縮発泡体と同様に、フェルト発泡体は、熱成形プロセスを受け、発泡体を永久的に圧縮して、発泡体の密度を高め得る。フェルト発泡体はまた、フェルト発泡体の硬度係数を他の圧縮されたまたは圧縮されていない発泡体の硬度係数と比較することによって、他のフェルト発泡体または圧縮発泡体と比較され得る。一般的に、圧縮またはフェルト発泡体の硬度係数は、1を上回り得る。
【0051】
硬度係数(FF)はまた、圧縮発泡材料を非発泡材料と比較するために使用され得る。例えば、Supracor(登録商標)材は、Supracor(登録商標)を圧縮発泡体と比較できるようにする硬度係数(FF)を有し得る。いくつかの実施形態では、非発泡材料の硬度係数(FF)は、非発泡材料のスチフネスが、同じ硬度係数を有する圧縮発泡体のスチフネスと等しいことを表し得る。例えば、下記の表1に示すように、接触層がSupracor(登録商標)から形成される場合、接触層のスチフネスは、3の硬度係数(FF)を有する圧縮されたGranuFoam(登録商標)材のスチフネスとほぼ同じであり得る。
【0052】
一般的に、圧縮発泡体が陰圧に曝される場合、圧縮発泡体は、同様の圧縮されていない発泡体よりも変形しない。接触層110が圧縮発泡体で形成されている場合、接触層110の厚さ134は、接触層110が同等の圧縮されていない発泡体で形成される場合よりも変形しないことができる。変形の減少は、硬度係数(FF)によって反映されるようなスチフネスの増加によって引き起こされ得る。陰圧の応力に曝される場合、圧縮発泡体で形成される接触層110は、圧縮されていない発泡体から形成される接触層110よりも平らにならないことがあり得る。従って、接触層110に陰圧が適用される場合、接触層110の厚さ134と平行な方向における接触層110のスチフネスによって、接触層110は、他の方向、例えば、厚さ134に対して垂直な方向においてよりコンプライアンスになるかまたは圧縮可能となる。圧縮発泡体を形成するために使用される発泡材料は、疎水性または親水性の何れかであり得る。圧縮発泡体を形成するために使用される発泡材料はまた、網状または非網状の何れかであり得る。発泡材料の細孔サイズは、接触層110の必要性、および発泡体の圧縮量に従って変わり得る。例えば、いくつかの実施形態では、圧縮されていない発泡体の細孔サイズは、約400ミクロン〜約600ミクロンの範囲にあり得る。同じ発泡体が圧縮される場合、細孔サイズは、発泡体がその非圧縮状態にあるときよりも小さいことができる。
【0053】
図2は、接触層110のいくつかの実施形態に関連し得る追加的な詳細を示す平面図である。接触層110は、接触層110を通って延在する複数の貫通孔140または他の穿孔を含み、壁148を形成し得る。いくつかの実施形態では、壁148の外面は、接触層110の側面と平行であり得る。他の実施形態では、壁148の内面は、接触層110の組織に対面する面111および反対側の面113に対し全体的に垂直であり得る。一般的に、壁148の1つまたは複数の外面は、組織に対面する面111および反対側の面113と一致し得る。壁148の1つまたは複数の内面は、各貫通孔140の外周152を形成し、かつ組織に対面する面111を反対側の面113に接続し得る。いくつかの実施形態では、貫通孔140は、図示の通り円形を有し得る。いくつかの実施形態では、貫通孔140は、約5mm〜約20mmの直径を有し、およびいくつかの実施形態では、貫通孔140の直径は、約10mmであり得る。貫通孔140の深さは、接触層110の厚さ134とほぼ等しいことができる。例えば、貫通孔140の深さは、周囲圧力において約6mm〜約10mm、およびより具体的には、約8mmであり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、接触層110は、第1の方位線(orientation line)136と、第1の方位線136に対して垂直である第2の方位線138とを有し得る。第1の方位線136および第2の方位線138は、接触層110の対称軸であり得る。対称軸は、例えば、折り目を画成する、接触層110の組織に対面する面111または反対側の面113を横切る想像上の線としてもよく、接触層110が対称軸で折り畳まれる場合、貫通孔140および壁148が、偶然に位置合わせされる。一般的に、第1の方位線136および第2の方位線138は、接触層110の説明を支援する。いくつかの実施形態では、第1の方位線136および第2の方位線138は、接触層110の収縮の所望の方向を指すために使用され得る。例えば、収縮の所望の方向は、第2の方位線138と平行でありかつ第1の方位線136に対して垂直であり得る。他の実施形態では、収縮の所望の方向は、第1の方位線136と平行でありかつ第2の方位線138に対して垂直であり得る。さらに他の実施形態では、収縮の所望の方向は、第1の方位線136および第2の方位線138の両方に対して非垂直の角度であり得る。他の実施形態では、接触層110は、収縮の所望の方向を有していなくてもよい。一般的に、接触層110は、組織部位103に配置され得るため、第2の方位線138は、
図1のデブリ130を横切って延在する。接触層110は、縦エッジ144および横エッジ146を含むほぼ長方形を有するとして示すが、接触層110は他の形状を有してもよい。例えば、接触層110は、ダイアモンド、正方形、または円形を有してもよい。いくつかの実施形態では、接触層110の形状は、治療されている組織部位のタイプに適応するように選択され得る。例えば、接触層110は、卵形または円形を有して、卵形または円形の組織部位に適応し得る。いくつかの実施形態では、第1の方位線136は、縦エッジ144に平行であり得る。
【0055】
より具体的に
図3を参照すると、円形を有する単一の貫通孔140が示されている。貫通孔140は、中心150および外周152を含み得る。貫通孔140は、穿孔形状係数(PSF)を有し得る。穿孔形状係数(PSF)は、第1の方位線136および第2の方位線138に対する貫通孔140の方位を表し得る。一般的に、穿孔形状係数(PSF)は、収縮の所望の方向と平行である貫通孔140の最大長の1/2対収縮の所望の方向に対して垂直な貫通孔140の最大長の1/2の比である。説明のために、収縮の所望の方向は、第2の方位線138と平行である。収縮の所望の方向は、横力142によって示され得る。参考までに、貫通孔140は、六角形の対向する頂点間の中心150を通って延在しかつ第1の方位線136と平行であるX軸156と、六角形の対向する辺間の中心150を通って延在しかつ第2の方位線138と平行であるY軸154とを有し得る。貫通孔140の穿孔形状係数(PSF)は、中心150から貫通孔140の外周152まで延在するY軸154上の線分158対中心150から貫通孔140の外周152まで延在するX軸156上の線分160の比として定義され得る。線分158の長さが2.5mmであり、および線分160の長さが2.5mmである場合、穿孔形状係数(PSF)は1となる。他の実施形態では、貫通孔140は、他の形状および方位、例えば、卵形、六角形、正方形、三角形、または不定形または異形を有してもよく、かつ第1の方位線136および第2の方位線138に対して、穿孔形状係数(PSF)が約0.5〜約1.10の範囲となるような方位にされ得る。
【0056】
図4を参照すると、
図1の接触層110の一部分が示されている。接触層110は、アレイを形成するように平行な列に整列された複数の貫通孔140を含み得る。貫通孔140のアレイは、貫通孔140の第1の列162、貫通孔140の第2の列164、および貫通孔140の第3の列166を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の列162など、一列にある隣接する貫通孔140の外周152間の壁148の幅は、約5mmであり得る。例えば、第1の列162および第2の列164などの隣接する列の貫通孔140の中心150は、第1の方位線136に沿って第2の方位線138からオフセットされていることによって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、隣接する列の中心をつなぐ線は、第1の方位線136とストラット角(SA)を形成し得る。例えば、第1の列162の第1の貫通孔140Aは中心150Aを有し、および第2の列164の第2の貫通孔140Bは中心150Bを有し得る。ストラット線168が、中心150Aと中心150Bとをつなぎ得る。ストラット線168は、第1の方位線136と角度170とを形成し得る。角度170は、接触層110のストラット角(SA)であり得る。いくつかの実施形態では、ストラット角(SA)は約90°未満であり得る。他の実施形態では、ストラット角(SA)は、第1の方位線136に対して約30°〜約70°であり得る。他の実施形態では、ストラット角(SA)は、第1の方位線136から約66°であり得る。一般的に、ストラット角(SA)が減少するにつれ、第1の方位線136に対して平行な方向における接触層110のスチフネスは増加する。第1の方位線136に対して平行な接触層110のスチフネスの増加によって、第1の方位線136に対して垂直な接触層110の圧縮性を高め得る。従って、接触層110に陰圧が適用される場合、接触層110は、第1の方位線136に対して垂直な方向において、よりコンプライアンスになるかまたは圧縮可能であり得る。第1の方位線136に対して垂直な方向における接触層110の圧縮性を高めることによって、下記で詳細に説明するように、接触層110は縮小して、組織部位103に横力142を適用する。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つおきの列にある貫通孔140の中心150、例えば、第1の列162の第1の貫通孔140Aの中心150Aと第3の列166の貫通孔140Cの中心150Cは、第2の方位線138と平行に、長さ172だけ互いに対して離間され得る。いくつかの実施形態では、長さ172は、貫通孔140の有効径を上回り得る。1つおきの列にある貫通孔140の中心150が、長さ172だけ分離される場合、第1の方位線136に対して平行な壁148の外面は、連続的であるとみなされ得る。一般的に、壁148の外面の貫通孔140間に切れ目または中断が全くない場合、壁148の外面は、連続的であり得る。いくつかの実施形態では、長さ172は、約7mm〜約25mmであり得る。
【0058】
貫通孔140の形状に関わらず、接触層110の貫通孔140は、接触層110内、および接触層110の組織に対面する面111および反対側の面113上にボイドスペースを残し得るため、接触層110の壁148の外面のみが、組織部位103に接触できる面に留まる。貫通孔140が縮小して、接触層110を縮小させかつ第1の方位線136に対して垂直な方向に横力142を生成するように、壁148の外面を最小にすることが望ましいことができる。しかしながら、陰圧の適用を維持するために、接触層110が脆くなりすぎないようにするために、壁148の外面を最小にしないことも望ましいことができる。貫通孔140のボイドスペース百分率(VS)は、接触層110の組織に対面する面111の全体積または表面積に対する、貫通孔140によって生じた組織に対面する面111のボイドスペースの体積または表面積の百分率に等しいことができる。いくつかの実施形態では、ボイドスペース百分率(VS)は、約40%〜約75%であり得る。他の実施形態では、ボイドスペース百分率(VS)は約55%であり得る。貫通孔140の編成も、ボイドスペース百分率(VS)に影響を及ぼし、組織部位103と接触し得る接触層110の全表面積に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、接触層110の縦エッジ144および横エッジ146は、不連続であり得る。エッジは、貫通孔140がエッジに重なり合い、エッジが非線形のプロファイルを有する箇所で不連続であり得る。非連続的なエッジは、ドレッシング102に陰圧が加えられている間、ケラチノサイト移動の破壊を低下させ、かつ再上皮形成を促進する。
【0059】
他の実施形態では、接触層110の貫通孔140は、接触層110の厚さ134を下回る深さを有し得る。例えば、孔140は、接触層110の組織に対面する面111に形成されたブラインドホールであり得る。孔140は、組織に対面する面111上の接触層110にボイドスペースを残し得るため、組織に対面する面111上の接触層110の壁148の外面のみが、周囲圧力において組織部位103に接触できる面に留まる。組織に対面する面111から反対側の面113の方へ延在する孔140の深さが、厚さ134を下回る場合、反対側の面113のボイドスペース百分率(VS)はゼロであり得る一方、組織に対面する面111のボイドスペース百分率(VS)はゼロを上回る、例えば55%であり得る。本明細書では、孔140は、同様の構造、位置、および動作特性を有する貫通孔140と同様でありかつそれに関して説明したように動作し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、貫通孔140は、接触層110の成形中に形成され得る。他の実施形態では、貫通孔140は、接触層110が形成された後の接触層110の切断、溶融、ドリル加工、または気化によって形成され得る。例えば、貫通孔140は、接触層110の圧縮発泡体をレーザ切断することによって、接触層110に形成され得る。いくつかの実施形態では、貫通孔140は、貫通孔140の壁148の内面が厚さ134と平行となるように形成され得る。他の実施形態では、貫通孔140は、貫通孔140の壁148の内面が、組織に対面する面111に対して非垂直な角度を形成するように形成され得る。さらに他の実施形態では、貫通孔140の壁148の内面は、貫通孔140の中心150の方に先細になって、円錐、錐体、または他の不規則な貫通孔の形状を形成し得る。貫通孔140の壁148の内面が先細になる場合、貫通孔140は、接触層110の厚さ134を下回る高さを有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、貫通孔140の形成は、接触層110の材料、例えば圧縮発泡体またはフェルト発泡体を熱成形し、組織に対面する面111と反対側の面113との間に延在する壁148の内面を滑らかにし得る。本明細書では、滑らかさは、接触層110の切られていない部分と比較した場合、組織に対面する面111と反対側の面113との間に延在する壁148の内面に実質的に細孔がない状態にする、貫通孔140の形成を指し得る。例えば、接触層110に貫通孔140をレーザ切断することは、接触層110の材料を可塑的に変形し、組織に対面する面111と反対側の面113との間に延在する壁148の内面上の何れの細孔も閉鎖し得る。いくつかの実施形態では、壁148の滑らかな内面は、貫通孔140を通した接触層110内への組織の内方成長(ingrowth)を制限し得るかまたは他の方法で阻止し得る。他の実施形態では、壁148の滑らかな内面は、滑らかな材料または滑らかなコーティングによって形成され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、貫通孔140の有効径は、貫通孔140を通って微粒子が流れることができるように選択され得る。いくつかの実施形態では、貫通孔140の直径は、可溶化されたデブリのサイズに基づいて、組織部位103から持ち上げられるように選択され得る。大きい貫通孔140は、大きいデブリが接触層110を通過できるようにし、および小さい貫通孔140は、小さいデブリが接触層110を通過できる一方で、貫通孔よりも大きいデブリを遮断するようにする。いくつかの実施形態では、ドレッシング102の連続的な適用は、組織部位103内の可溶化されたデブリのサイズが減少するにつれて、貫通孔140の直径が連続的に小さくなる接触層110を使用し得る。貫通孔140の直径を順次小さくすることはまた、組織部位103の治療中の、デブリ130に対する組織破壊のレベルの微調整を支援し得る。貫通孔140の直径はまた、接触層110およびドレッシング102における流体の動きに影響を及ぼし得る。例えば、接触層110は、ドレッシング102内の流体を貫通孔140の方へ送り、組織部位103上でのデブリ130の破壊を支援し得る。貫通孔140の直径のばらつきは、流体の除去および陰圧の適用の両方に関して、ドレッシング102を通ってどのように流体が動かされるかを変化させ得る。いくつかの実施形態では、貫通孔140の直径は、約5mm〜約20mm、より具体的には、約10mmであり得る。
【0063】
非円形領域の有効径は、非円形領域と同じ表面積を有する円形領域の直径であると定義される。いくつかの実施形態では、各貫通孔140の有効径は約3.5mmであり得る。他の実施形態では、各貫通孔140の有効径は、約5mm〜約20mmであり得る。貫通孔140の有効径は、接触層110の壁148を形成する材料の孔隙率と区別される必要がある。一般的に、貫通孔140の有効径は、接触層110を形成する材料の細孔の有効径よりも1桁大きい。例えば、貫通孔140の有効径は、約1mmを上回り得るが、壁148は、細孔サイズが約600ミクロン未満のGranuFoam(登録商標)材から形成され得る。いくつかの実施形態では、壁148の細孔は、材料を通り抜けて延在する開口部を形成しなくてもよい。一般的に、貫通孔140は、発泡体形成プロセスによって形成された細孔を含まず、および貫通孔140は、材料の細孔の平均有効径の10倍大きい平均有効径を有し得る。
【0064】
ここで
図2および
図4の両方を参照して説明すると、貫通孔140は、貫通孔140の幾何学的形状、および第1の方位線136に対する接触層110の隣接する列および1つおきの列の貫通孔140の位置合わせに依存して、パターンを形成し得る。接触層110が陰圧を受ける場合、接触層110の貫通孔140は収縮し得る。本明細書では、収縮は、接触層110などの本体の厚さに対して平行な本体の垂直方向の圧縮、および接触層110などの本体の厚さに対して垂直である、本体の横方向の圧縮の両方を指し得る。いくつかの実施形態では、ボイドスペース百分率(VS)、穿孔形状係数(PSF)、およびストラット角(SA)によって、
図5により詳細に示すように、第1の方位線136に対して垂直な第2の方位線138に沿って接触層110を収縮させ得る。接触層110が組織部位103上に位置決めされる場合、接触層110は、第2の方位線138に沿って横力142を生成し、
図5により詳細に示すように、接触層110を収縮させ得る。横力142は、下記の表1に記載するような上述の要因を調整することによって最適にされ得る。いくつかの実施形態では、貫通孔140は、円形としても、約37°のストラット角(SA)、約54%のボイドスペース百分率(VS)、約5の硬度係数(FF)、約1の穿孔形状係数(PSF)、および約5mmの直径を有し得る。接触層110が、約−125mmHgの陰圧を受ける場合、接触層110は、約11.9Nの横力142を行使する。接触層110の貫通孔140の直径が約20mmに増大し、ボイドスペース百分率(VS)が約52%に変更され、ストラット角(SA)が約52°に変更され、穿孔形状係数(PSF)および硬度係数(FF)が同じままである場合、横力142は、約6.5Nまで低下される。他の実施形態では、貫通孔140は六角形としてもよく、約66°のストラット角(SA)、約55%のボイドスペース百分率(VS)、約5の硬度係数(FF)、約1.07の穿孔形状係数(PSF)、および約5mmの有効径を有し得る。接触層110が約−125mmHgの陰圧を受ける場合、接触層110によって行使される横力142は、約13.3Nである。接触層110の貫通孔140の有効径が10mmに増大される場合、横力142は約7.5Nまで低下される。
【0065】
図5を参照して説明すると、接触層110は、横力142によって示されるように、第2の位置、または収縮位置にある。動作中、陰圧は、陰圧源104によって密閉治療環境128に供給される。陰圧の供給に応答して、接触層110は、
図2に示す弛緩位置から、
図5に示す収縮位置まで収縮する。一実施形態では、接触層110の厚さ134は実質的に同じままである。例えば、陰圧をベントすることによって陰圧が除去されると、接触層110は、弛緩位置まで拡張して戻る。接触層110が、それぞれ
図5の収縮位置と
図2の弛緩位置との間を反復する場合、接触層110の組織に対面する面111は、組織部位103からデブリ130をこすり落とすことによって、組織部位103のデブリ130を破壊する。組織に対面する面111と壁148の内面または横断面とによって形成された貫通孔140のエッジは、組織部位103内のデブリ130を破壊し得るカッティングエッジを形成し得、デブリ130が貫通孔140を通って出ることができるようにする。いくつかの実施形態では、カッティングエッジは、各貫通孔140が組織に対面する面111と交差する外周152によって画成され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、材料、ボイドスペース百分率(VS)、硬度係数、ストラット角、孔形状、穿孔形状係数(PSF)、および孔の直径は、より弱い壁148を形成することによって、横力142によって示されるような横方向における接触層110の圧縮または縮小を増すように選択され得る。逆に、これらの要因は、より強い壁148を形成することによって、横力142によって示すような横方向における接触層110の圧縮または縮小を少なくするように選択され得る。同様に、本明細書で説明する要因は、横力142に対して垂直な接触層110の圧縮または縮小を増すまたは少なくするように選択され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、治療システム100は、周期的療法をもたらし得る。あるいは、周期的療法は、密閉治療環境128に陰圧を適用し、かつそこから陰圧をベントし得る。いくつかの実施形態では、陰圧は、密閉治療環境128内の圧力が予め決められた治療圧力に到達するまで、密閉治療環境128に供給され得る。陰圧が密閉治療環境128に供給される場合、デブリ130および皮下組織115は、貫通孔140に引き込まれ得る。いくつかの実施形態では、密閉治療環境128は、例えば、約10分間などの予め決められた治療期間にわたり、治療圧力のままであり得る。他の実施形態では、治療期間は、組織部位103に適切な陰圧療法を供給されるために必要とされるものよりも長くまたは短くし得る。
【0068】
治療期間に続いて、密閉治療環境128がベントされ得る。例えば、陰圧源104は、密閉治療環境128を大気(図示せず)に流体的に結合し、密閉治療環境128が周囲圧力に戻るようにし得る。いくつかの実施形態では、陰圧源104は、密閉治療環境128を約1分間にわたってベントし得る。他の実施形態では、陰圧源104は、より長いまたはより短い期間にわたり、密閉治療環境128をベントし得る。密閉治療環境128のベント後、陰圧源104は、別の陰圧療法サイクルを開始するように動作され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、点滴注入療法は、陰圧療法と組み合わせられ得る。例えば、陰圧療法の治療期間に続いて、流体源120は、密閉治療環境128に流体をもたらすように動作し得る。いくつかの実施形態では、流体源120は流体を提供する一方、陰圧源104は密閉治療環境128をベントし得る。例えば、流体源120は、流体源120から密閉治療環境128へと点滴注入流体を動かすように構成されたポンプを含み得る。いくつかの実施形態では、流体源120は、ポンプを有していなくてもよく、重力送りシステムを使用して動作し得る。他の実施形態では、陰圧源104は、密閉治療環境128をベントしなくてもよい。代わりに、密閉治療環境128内の陰圧は、流体源120から密閉治療環境128へ点滴注入流体を引き入れるために使用される。
【0070】
いくつかの実施形態では、流体源120は、密閉治療環境128に、ある量の流体を提供し得る。いくつかの実施形態では、流体の量は、密閉治療環境128の容積と同じであり得る。他の実施形態では、流体の量は、点滴注入療法を適切に行うために必要とされるような密閉治療環境128よりも少なくてもまたは多くてもよい。組織部位103の点滴注入は、密閉治療環境128内の圧力を、周囲圧力を上回る圧力、例えば約0mmHg〜約15mmHg、より具体的には、約5mmHgまで上昇させ得る。いくつかの実施形態では、流体源120によってもたらされた流体は、滞留時間にわたって密閉治療環境128に留まり得る。いくつかの実施形態では、滞留時間は約5分間である。他の実施形態では、滞留時間は、点滴注入療法を組織部位103に適切に実施するために必要とされるものよりも長くてもまたは短くてもよい。例えば、滞留時間はゼロであり得る。
【0071】
滞留時間の最後に、陰圧源104は、点滴注入流体をコンテナー112に引き入れるように動作され、治療のサイクルを完了し得る。点滴注入流体が、陰圧によって密閉治療環境128から取り除かれるため、陰圧はまた密閉治療環境128に供給され、別の治療サイクルを開始し得る。
【0072】
図6は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、接触層110の一部分の断面図である。接触層110および保持層108は、皮下組織115を覆うデブリ130を有する組織部位103に配置され得る。ドレープ106は、保持層108の上を覆うように配置されて、陰圧療法または点滴注入療法を行うための密閉治療環境128を提供し得る。
図6に示すように、密閉治療環境128内の圧力がほぼ周囲圧力である場合、保持層108は厚さ131を有し得る。いくつかの実施形態では、厚さ131は約8mmであり得る。他の実施形態では、厚さ131は約16mmであり得る。
【0073】
図7は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、陰圧療法中のドレッシング102の一部分の断面図である。例えば、
図7は、密閉治療環境128内の圧力が約125mmHgの陰圧であり得る瞬間を示し得る。いくつかの実施形態では、保持層108は非事前圧縮発泡体としてもよく、および接触層110は事前圧縮発泡体としてもよい。陰圧の適用に応答して、接触層110は圧縮しなくてもよく、および保持層108は圧縮して、マニホールドが厚さ133を有するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、陰圧療法中の保持層108の厚さ133は、密閉治療環境128内の圧力がほぼ周囲圧力である場合、保持層108の厚さ131を下回り得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、密閉治療環境128内の陰圧は、接触層110内の貫通孔140に隣接した保持層108に、集中した応力を生成し得る。集中した応力は、保持層108のマクロ変形を引き起こし、保持層108の複数の部分を接触層110の貫通孔140に引き入れ得る。同様に、密閉治療環境128内の陰圧は、接触層110内の貫通孔140に隣接したデブリ130に集中した応力を生成し得る。集中した応力は、デブリ130および皮下組織115のマクロ変形を引き起こし、デブリ130および皮下組織115の複数の部分を貫通孔140に引き入れ得る。
【0075】
図8は、陰圧療法中の接触層110の動作の追加的な詳細を示す、接触層110の詳細図である。接触層110の反対側の面113と接触する保持層108の複数の部分は、貫通孔140に引き入れられて、隆起137を形成し得る。隆起137は、貫通孔140に対応する形状を有し得る。保持層108からの隆起137の高さは、密閉治療環境128内の陰圧の圧力、貫通孔140の面積、および保持層108の硬度係数に依存し得る。
【0076】
同様に、接触層110の貫通孔140は、接触層110の組織に対面する面111と接触するデブリ130および皮下組織115の複数の部分にマクロ圧力点を生じ、デブリ130および皮下組織115に組織のしわ(puckering)および小瘤139を生じさせ得る。
【0077】
周囲組織の上の小瘤139の高さは、デブリ130の破壊を最大にしかつ皮下組織115または他の所望の組織に対する損傷を最小にするように、選択され得る。一般的に、密閉治療環境128内の圧力は、圧力が適用される領域に比例する力を加え得る。接触層110の貫通孔140において、この力は、圧力の適用に対する抵抗が接触層110の壁148における場合より下回るため、集中され得る。貫通孔140における圧力によって生成された力に応答して、小瘤139を形成するデブリ130および皮下組織115は、圧力によって加えられる力がデブリ130および皮下組織115の反力と均等化されるまで、貫通孔140内へとそれを通って引き入れられ得る。密閉治療環境128内の陰圧が断裂(tear)を生じさせ得るいくつかの実施形態では、接触層110の厚さ134は、周囲組織の上の小瘤139の高さを制限するように選択され得る。いくつかの実施形態では、接触層が圧縮可能である場合、保持層108は、陰圧下で、小瘤139の高さを接触層110の厚さ134に制限し得る。他の実施形態では、保持層108の隆起137は、小瘤139の高さを、接触層110の厚さ134を下回る高さに制限し得る。保持層108の硬度係数を制御することによって、保持層108の周囲材料を上回る隆起137の高さは制御され得る。小瘤139の高さは、接触層110の厚さ134と隆起137の高さの差に制限され得る。いくつかの実施形態では、隆起137の高さは、保持層108の硬度係数が低下するにつれて、ゼロ〜数ミリメートルで変化し得る。例示的な実施形態では、接触層110の厚さ134は約7mmであり得る。陰圧の適用中、隆起137の高さは、約4mm〜約5mmであり得、小瘤の高さを約2mm〜約3mmに制限し得る。接触層110の厚さ134、保持層108の硬度係数、またはそれら両方を制御することにより、小瘤139の高さを制御することによって、デブリ130に対する破壊の攻撃性および断裂が制御され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、小瘤139の高さはまた、陰圧療法中の接触層110の予想された圧縮を制御することによって制御され得る。例えば、接触層110の厚さ134は約8mmであり得る。接触層110が圧縮発泡体から形成される場合、接触層110の硬度係数は、それよりも高いことができる。しかしながら、接触層110は、密閉治療環境128内の陰圧に応答して、依然として厚さを薄くし得る。一実施形態では、密閉治療環境128内での約−50mmHg〜約−350mmHg、約−100mm Hg〜約−250mmHg、より具体的には、約−125mmHgの陰圧の適用は、接触層110の厚さ134を、約8mmから約3mmへ薄くし得る。保持層108が、接触層110の上を覆うように配置される場合、小瘤139の高さは、陰圧療法中、接触層110の厚さ134以下、例えば、約3mmに制限され得る。小瘤139の高さを制御することによって、接触層110によってデブリ130に加えられた力は調整されることができ、およびデブリ130が伸張される程度が変化させられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、隆起137および小瘤139の形成によって、陰圧療法中に、デブリ130を組織インターフェース107と接触したままにし得る。例えば、小瘤139は、接触層110の貫通孔140の側壁および保持層108の隆起137と接触し得る一方、周囲組織は、接触層110の組織に対面する面111に接触し得る。いくつかの実施形態では、小瘤139の形成によって、周囲組織からデブリおよび微粒子を持ち上げ、ピストンのように動作して、デブリを保持層108の方へ動かし、かつ密閉治療環境128から出るようにし得る。
【0080】
密閉治療環境128をベントすることによって密閉治療環境128が周囲圧力に戻ることに応答して、デブリ130および皮下組織115は、貫通孔140を離れ、
図6に示す位置へ戻り得る。
【0081】
密閉治療環境128に対する陰圧の適用および除去によって、デブリ130を破壊できる。例えば、
図9は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、デブリ130の上面図である。
図9に示すように、小瘤139は、破裂(rupture)し得る。例えば、小瘤139A内のデブリ130が破裂して、デブリ130の除去を支援し得る。いくつかの実施形態では、接触層110がデブリ130の上を覆うように配置されている間に陰圧療法および点滴注入療法を繰り返し適用することによって、デブリ130を破壊し、ドレッシングの交換中にデブリ130を除去できるようにする。他の実施形態では、接触層110は、デブリ130を破壊して、デブリ130が陰圧によって除去され得るようにする。さらに他の実施形態では、接触層110は、デブリ130を破壊して、デブリドマンプロセス中のデブリ130の除去を支援し得る。
【0082】
治療法の各サイクルでは、接触層110は、デブリ130に小瘤139を形成し得る。治療法中の接触層110による小瘤139の形成および小瘤139の解放によって、デブリ130を破壊し得る。それに続く治療の各サイクルでは、デブリ130の破壊が増加され得る。
【0083】
デブリ130の破壊は、少なくとも一部には、接触層110の貫通孔140および壁148によってデブリ130に集中して加えられる力により、引き起こされ得る。デブリ130に加えられる力は、密閉治療環境128に供給される陰圧、および各貫通孔140の面積に応じ得る。例えば、密閉治療環境128に供給された陰圧が約125mmHgであり、および各貫通孔140の直径が約5mmである場合、各貫通孔140に加えられる力は、約0.07lbsである。各貫通孔140の直径が約8mmまで大きくされる場合、各貫通孔140に加えられる力は6倍まで増大し得る。一般的に、各貫通孔140の直径と各貫通孔140に加えられる力の関係は、線形ではなく、および直径の増大と共に指数関数的に増加し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、陰圧源104によって加えられる陰圧は、素早く反復され得る。例えば、陰圧は、数秒間供給されてから、数秒間ベントされ、密閉治療環境128に陰圧の脈動を生じさせ得る。陰圧の脈動によって小瘤139を脈動させ、デブリ130をさらに破壊し得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、点滴注入療法および陰圧療法の周期的な適用は、マイクロ浮遊を引き起こし得る。例えば、陰圧は、陰圧療法サイクル中に密閉治療環境128に適用され得る。陰圧療法サイクルの終了に続いて、点滴注入流体は、点滴注入療法サイクル中に供給され得る。点滴注入流体は、接触層110をデブリ130に対して浮遊させ得る。接触層110が浮遊すると、点滴注入流体の位置は、陰圧療法サイクル中に占有した接触層110の位置に対して変化し得る。位置が変化することによって、次の陰圧療法サイクル中に、接触層110をデブリ130のわずかに異なる部分に係合させて、デブリ130の破壊を支援し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、接触層110は、保持層108に接合され得る。他の実施形態では、保持層108は、圧縮プロセスまたはフェルト化プロセスを受ける部分を有し、接触層110を形成し得る。その後、複数の貫通孔140が、所望の高さの小瘤139に対する深さまで、保持層108の圧縮発泡体部分に形成され得るか、または切断され得る。他の実施形態では、保持層108は、貫通孔140が保持層108の一部分に形成された圧縮またはフェルト発泡体であり得る。貫通孔140を有する保持層108の複数の部分は、接触層110を含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、接触層110は、ドレッシングキットの構成要素として提供され得る。キットは、パンチを含んでもよく、および接触層110は、貫通孔140を全く備えずに提供され得る。接触層110を使用するとき、使用者は、パンチを使用して、デブリ130の上を覆うように配置され得る接触層110の複数の部分を通して貫通孔140を配置し得る。キットは、臨床医などの使用者に、接触層110を特定の組織部位103にカスタマイズできる能力をもたらすため、貫通孔140は、デブリ130のみを破壊し、かつデブリ130に近いまたはそれを囲み得る健康な組織を破壊しない。
【0088】
接触層110はまた、貫通孔140のない他の発泡体と一緒に使用され得る。接触層110は、組織部位103のデブリ130に適合するように切断でき、および貫通孔140のないドレッシング材は、組織部位103の残りの領域の上を覆うように配置され得る。同様に、他のドレッシング材が、接触層110と組織部位103との間の、破壊が望まれない個所に配置され得る。いくつかの実施形態では、キットは、厚さが約5mm〜約15mm、より具体的には、約8mmの第1の保持層108を含み得る。キットはまた、厚さが約10mm〜約20mm、より具体的には、約16mmの第2の保持層108を含み得る。ドレッシング102の適用中、使用者は、組織部位103を塞ぐために必要とされるように、第1の保持層108および第2の保持層108のうちの適切な保持層を選択し得る。
【0089】
実験モデルでは、接触層110は、陰圧療法中に組織の収縮を可能にする、ヒトの組織をシミュレーションするDermosol創傷モデルを使用して、様々なマトリックスで評価された。マトリックスは、濃い滲出液またはバイオフィルムをシミュレーションする可溶性Pectinマトリックス、スラフおよび痂皮をシミュレーションする可溶性マトリックスと不溶性マトリックスの組み合わせ、およびロバストな失活組織をシミュレーションするPrisma(商標)などの不溶性マトリックスを含んでいた。実験結果は、接触層110が、Granufoam(登録商標)などの発泡体マニホールドを用いる陰圧療法と比較して、肉芽形成および粒子損失をもたらし、剥離力および出血が低下したことを示した。さらに、実験結果は、滲出液および感染性物質を解き放しおよび分離を生じる、貫通孔140のパターンに関連した、表面変化の矛盾のない視覚的な証拠を提供した。
【0090】
実験モデルでは、各マトリックスは直径5cmであり、および1cmの深さを有した。各マトリックスは、加熱された循環水を使用して、制御された温度に維持された。Pectinマトリックスは単一のサイクルを受け、それぞれ10分間の点滴注入浸漬期間、および30分間の陰圧療法期間を受け、実験期間は約1時間続いた。シミュレーションされた痂皮マトリックスは10サイクル受け、約10時間の実験期間に対して、それぞれ20分間の点滴注入浸漬期間、および45分間の陰圧療法期間を有した。コラーゲンマトリックスは48サイクルを受け、約48時間の実験期間に対し、それぞれ20分間の点滴注入浸漬期間および45分間の陰圧療法期間を有した。
図10に示すように、各実験ケースでは、デブリの軟化および他の破壊が生じた。
【0091】
別の実験モデルでは、ブタモデルにおける接触層を用いる陰圧療法および点滴注入を使用する肉芽組織の形成および組織の治癒の経過に対する効果が研究された。モデルは、矩形を有する全層背側切除創傷(full thickness dorsal excisional wounds)を使用した。創傷のサイズは、雌の家畜豚で3cm×7cmであった。実験モデルで使用されたドレッシングは、7日間の研究の持続期間中、2、3日毎に交換された。各動物は、発泡体マニホールド、例えばGranuFoam(登録商標)、および食塩水点滴注入で手当てした対照部位を含んだ。各動物は、12箇所の組織部位を有した。ドレッシングの交換毎に180度の剥離試験を実施し、ドレッシングを除去するために必要な剥離力、およびその部位における発泡体の保持量を決定した。7日間の終了後に組織学的検査所見(histology)を実施し、肉芽組織の厚さを決定し、かつ炎症、膿瘍、および水腫のスコア評価を行った。スコア評価は、以下のスケールを使用した:0は、存在しない状態、1は、最小限である状態、2は、軽度である状態、3は、中等度の状態、4は、顕著な状態、および5は、重度な状態。さらに、撮像は、ドレッシング交換毎に各組織部位で行われ、治癒の経過および発泡体の保持量を決定した。治療は、10分間の点滴注入浸漬期間にわたって−125mmHgでの3.5時間の陰圧療法期間を含み、および1日当たり6.5回の治療サイクルが実施された。6種の実験ドレッシングが試験された。2種のドレッシングにおける接触層内の貫通孔は円形であった。1つ目では、貫通孔は直径が4mm、および隣接する複数の貫通孔の外周間の間隔が3mmであった。2つ目では、貫通孔は直径が10mm、および隣接する複数の貫通孔の外周間の間隔が5mmであった。2種のドレッシングにおける接触層内の貫通孔は六角形であった。1つ目では、貫通孔は、辺が4mm、および隣接する複数の貫通孔の外周間の間隔が3mmであった。2つ目では、貫通孔は、辺が10mm、および隣接する複数の貫通孔の外周間の間隔が5mmであった。2種のドレッシングにおける接触層内の貫通孔は楕円形であった。1つ目では、貫通孔は10mm×5mmの楕円を有し、および間隔が狭く、および2つ目では、貫通孔は5mm×10mmの楕円を有し、および間隔が大きかった。
【0092】
対照群は、7日目に、平均5.1ニュートン(N)の剥離力、および最大出血を経験した。肉芽組織の厚さは名目上であり、1.8で水腫、0.5で膿瘍、および1.2で炎症が測定された。本明細書で説明する様々な接触層では、平均剥離力は、3日目、5日目、および7日目で5.1N未満であった。さらに、実験ドレッシングの総失血量は、7日目では、対照ドレッシングの失血の50%であった。実験接触層の組織学的スコアは、3を下回った。さらに、実験ドレッシングの肉芽組織の厚さは、3mm〜5mmで測定され、対照ドレッシングの肉芽組織の厚さは約4mmであった。
【0093】
他の実験結果に関するデブリの破壊を
図11および
図12に示す。
図11に示すように、セルロース試験マトリックスは、円形の孔を有する接触層および発泡材料を用いて処理された。円形の孔を有する接触層を用いて処理された部分は、処理に続く組織でのデブリの破壊を実証した。対照的に、発泡材料で処理されたセルロース試験マトリックスの部分では、破壊が皆無かそれに近かった。
図12は、濃密ゲルのようなパルプ(pulp)を有する線維性マトリックスを示す、
図11のセルロース試験マトリックスの拡大図である。接触層を用いる処理に続いて、線維性マトリックスは、マトリックスの破裂を含む破壊の証拠を示した。
【0094】
図13は、接触層210のいくつかの実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す平面図である。接触層210は、接触層110と同様であり、かつ
図1〜9に関して上記で説明したように動作し得る。同様の要素は、200番台で示された同様の符号を有し得る。例えば、接触層210は、縦エッジ244および横エッジ246を含むほぼ矩形を有するとして示される。接触層210は、第1の方位線236と、第1の方位線236に対して垂直な第2の方位線238とを有し得る。接触層210は、接触層210を通って延在する複数の貫通孔240または穿孔を含み、接触層210を通って延在する壁248を形成し得る。壁248は、組織に対面する面211と交差してカッティングエッジを形成する内面または横断面を有し得る。いくつかの実施形態では、貫通孔240は、図示の通り六角形を有し得る。
【0095】
図14は、接触層310のいくつかの実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す平面図である。接触層310は、接触層110と同様であり、かつおよび
図1〜9に関して上記で説明したように動作し得る。同様の要素は、300番台で示された同様の参照符号を有し得る。いくつかの実施形態では、接触層310は、第1の方位線336と、第1の方位線336に対して垂直な第2の方位線338とを有し得る。接触層310は、接触層310を通って延在する複数の貫通孔340または穿孔を含み、接触層310を通って延在する壁348を形成し得る。壁348は、組織に対面する面311と交差してカッティングエッジを形成する内面または横断面を有し得る。いくつかの実施形態では、貫通孔340は、図示の通り卵形を有し得る。
【0096】
図15は、接触層410のいくつかの実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す平面図である。接触層410は、接触層110と同様であり、および
図1〜9に関して説明したように動作し得る。同様の要素は、400番台で示された同様の参照符号を有し得る。例えば、接触層410を、縦エッジ444および横エッジ446を含むほぼ矩形を有するとして示す。いくつかの実施形態では、接触層410は、第1の方位線436と、第1の方位線436に対して垂直な第2の方位線438とを有し得る。接触層410は、接触層410を通って延在する複数の貫通孔440または穿孔を含み、接触層410を通って延在する壁448を形成し得る。壁448は、組織に対面する面411と交差してカッティングエッジを形成する内面または横断面を有し得る。いくつかの実施形態では、貫通孔440は、図示の通り三角形を有し得る。
【0097】
接触層210、接触層310、および接触層410のそれぞれの貫通孔240、貫通孔340、および貫通孔440は、異なる方法でデブリ130の破壊に影響を及ぼす、集中した応力を生成し得る。例えば、接触層410の三角形の貫通孔440は、接触層410の応力を貫通孔440の頂点に集中させ得るため、デブリ130の破壊は貫通孔440の頂点に集中され得る。同様に、異なる形状の貫通孔240および貫通孔340はまた、接触層210および接触層310によって生成された応力を他の好都合な領域に集中させ得る。
【0098】
接触層110などの接触層によって生成された横力142などの横力は、密閉治療環境に治療圧力の陰圧を加えることによって生成された圧縮力に関連し得る。例えば、横力142は、密閉治療環境128の治療圧力(TP)、接触層110の圧縮係数(CF)、および接触層110の組織に対面する面111の表面積(A)の積に比例し得る。この関係は、以下の通り表される。
横力α(TP*CF*A)
【0099】
いくつかの実施形態では、治療圧力TPはN/m
2で測定され、圧縮係数(CF)は無次元であり、面積(A)はm
2で測定され、および横力はニュートン(N)で測定される。接触層に陰圧を適用することから生じる圧縮係数(CF)は、無次元数とし、例えば、接触層のボイドスペース百分率(VS)、接触層の硬度係数(FF)、接触層における貫通孔のストラット角(SA)、および接触層における貫通孔の穿孔形状係数(PSF)の積に比例し得る。この関係は、以下の通り表される。
圧縮係数(CF)α(VS*FF*sin(SA)*PSF)
【0100】
上記式に基づいて、異なる形状の貫通孔を備える、異なる材料から形成された接触層は、接触層の横力を決定するために製造され、かつ試験された。各接触層に関し、治療圧力TPは約−125mmHgであり、および接触層の寸法は約200mm×約53mmであったため、接触層の組織に対面する面の表面積(A)は、約106cm
2すなわち0.0106m
2であった。上述の2つの等式に基づいて、硬度係数(FF)が3のSupracor(登録商標)接触層210の横力は、約13.3であり、Supracor(登録商標)接触層210は、対向する頂点間の距離が5mmの六角形の貫通孔240、穿孔形状係数(PSF)1.07、ストラット角(SA)約66°、およびボイドスペース百分率(VS)約55%を有した。同様の寸法のGranuFoam(登録商標)接触層110は、約9.1ニュートン(N)の横力142を生成した。
【0101】
いくつかの実施形態では、上述の式は、接触層から創傷への力の伝達に起因する力の損失に起因して、横力を正確に説明しないことがあり得る。例えば、ドレープ106のモジュラスおよび伸張、組織部位103のモジュラス、組織部位103上でのドレープ106の滑り、および接触層10と組織部位103との間の摩擦は、横力142の実際値を、横力142の計算値を下回るようにし得る。
【0102】
図16は、
図1の治療システム100のいくつかの実施形態に関連付けられ得る例示的な動作を示すフローチャート1600である。ブロック1601において、組織部位103で使用するための接触層110が選択され得る。
【0103】
ブロック1603において、選択された接触層は、組織部位に位置決めされ得る。例えば、接触層110は、組織部位103のデブリ130の上を覆うように位置決めされ得る。ブロック1605において、組織部位で使用するための保持層が選択され得る。例えば、保持層108は、組織部位103で使用するために選択され得る。ブロック1607において、選択されえた保持層は、接触層の上を覆うように位置決めされ得る。例えば、保持層108は、接触層110の上を覆うように位置決めされ得る。ブロック1609において、シール部材が、保持層、接触層、および組織部位の上を覆うように位置決めされ、およびブロック1611において、シール部材は、組織部位を取り囲む組織に対して封止され得る。例えば、ドレープ106が、組織部位103の上を覆うように位置決めされ、かつ組織部位103を取り囲む組織に対して封止され得る。
【0104】
ブロック1613において、シール部材によって形成された密閉空間に陰圧源が流体的に結合され得る。例えば、陰圧源104は、ドレープ106によって形成された密閉治療環境128に流体的に結合され得る。ブロック1615において、陰圧源は、密閉空間に陰圧を供給し得る。例えば、陰圧源104のコントローラが陰圧源104を作動させて、密閉治療環境128から流体を引き出し、それにより、陰圧療法の期間にわたって密閉治療環境128に陰圧を供給し得る。
【0105】
ブロック1617において、コントローラは、陰圧療法の期間が終了したかどうかを決定し得る。例えば、陰圧源104のコントローラは、陰圧を供給するために陰圧源が作動されたときに開始したタイマーが、予め決められた時間に達したかどうかを決定し得る。予め決められた時間は、使用者によって選択された期間であり得る、予め決められた時間の陰圧療法に対して予想したタイマーの間隔に基づき得る。ブロック1617において、タイマーが期限切れになっていない場合、方法は、NO経路でブロック1615へと続き、そこでは、陰圧源のコントローラは、密閉空間に陰圧を供給し続け得る。
【0106】
ブロック1617において、タイマーが期限切れとなった場合、方法は、YES経路でブロック1619へと続き、そこでは、陰圧源のコントローラは、密閉空間の陰圧を周囲環境へとベントし得る。例えば、陰圧源104のコントローラは、密閉治療環境128を周囲環境へとベントし得る。
【0107】
ブロック1621において、方法は、療法が終了したかどうかを決定する。例えば、陰圧源104のコントローラは、予め決められた回数の供給およびベントサイクルが完了したかどうかを決定し得る。予め決められた回数の供給およびベントサイクルは、治療法に対して標準的な回数のサイクルであり得るか、または使用者によって入力されるいくつかのサイクルであり得る。治療法が終了していなかった場合、方法は、NO経路でブロック1615へと続き、そこでは、陰圧源が動作されて、密閉空間に陰圧を供給し得る。療法が終了した場合、方法は、YES経路で続き、そこでは、方法は終了する。
【0108】
図17は、
図1の治療システム100のいくつかの実施形態に関連付けられ得る例示的な動作を示すフローチャート1700である。例えば、動作は、陰圧源104などの陰圧源内の、動作を実行するように構成されたコントローラによって実施され得る。動作はまた、臨床医などの使用者によって実施され得る。ブロック1701において、使用者は、組織部位を検査し得る。例えば、臨床医は組織部位103を検査し得る。
【0109】
ブロック1703において、使用者は、使用者の検査に基づいて、組織部位のデブリのステータスを決定し得る。例えば、臨床医は、デブリ130が組織部位103を覆っていることを決定し得る。ステータスの決定はまた、デブリ130の厚さ、デブリ130のコンシステンシー、デブリ130の色、およびデブリ130の水分レベルを含み得る。例えば、臨床医は、組織部位103のデブリ130が、薄い(thin)、濃い(thick)、流れやすい、固い、粗い、しっかりした、滑らか、重い(heavy)、または軽い(light)コンシステンシーであり得ると決定し得る。臨床医は、組織部位103のデブリ130が、デブリ130の感染の状態を示す、黒色、赤色、茶色、緑色、黄色、灰色、または他の色を有すると決定し得る。臨床医はまた、組織部位103のデブリ130の水分が、液体の非存在から飽和までの範囲のスケールで、どの程度であるかを決定し得る。いくつかの実施形態では、水分レベルの決定は、臨床医が、滲出液がどの程度組織部位103に存在するかを理解するのを支援する。
【0110】
ブロック1705において、使用者は、治療に影響を及ぼし得る他のパラメータを決定し得る。例えば、臨床医は、患者の疼痛耐性、環境、好み、年齢、同時罹患率、生活の質、介護者のリソース、および介護者の技能を決定できる。
【0111】
ブロック1707において、ブロック1703およびブロック1705で決定された情報に基づいて、使用者は、組織部位のデブリの治療の望ましい目標を決定し得る。例えば、臨床医は、デブリ130が、壊死組織、痂皮、障害のある組織、他の感染源、滲出液、スラフ(角質増殖、膿、異物、デブリ、および他のタイプの生物汚染度を含む)を含むかどうかを決定し得る。臨床医はまた、治療が、臭い、過剰水分、およびデブリ130および組織部位103の感染のリスクを低下させるかどうかを決定し得る。
【0112】
ブロック1709において、組織部位におけるデブリの治療の望ましい目標の決定に応答して、使用者は、治療の望ましい目標を達成するための、硬度係数、厚さ、貫通孔の形状、貫通孔サイズ、およびアレイパターンを有する接触層を選択し得る。例えば、臨床医は、ブロック1703で決定された厚さを厚さ134が上回るように、接触層110を選択し得る。臨床医はまた、黄味を帯びた色、濃いコンシステンシー、および高水分レベルを有するデブリ130の流れを可能にするために、円形の貫通孔140を有する接触層110を選択し得る。臨床医は、さらに、組織部位103内の最も大きい可溶化されたデブリ130のサイズよりも大きい直径を有する貫通孔140を有する接触層110を選択し得る。他の実施形態では、臨床医は、例えば、デブリ130が粗く、黒く、および低含水量である場合、三角形の貫通孔140を有する接触層110を選択し得る。
【0113】
ブロック1711において、組織部位のデブリの治療の望ましい目標の決定に応答して、使用者は、保持層を選択し得る。例えば、臨床医は、ある硬度係数および厚さを有する保持層108を選択し得る。一般的に、保持層108の厚さは、組織部位103を塞ぐように選択され得る。臨床医は、小瘤139の高さを制限するように保持層108の硬度係数を選択し得る。例えば、デブリ130が接触層110よりも薄く、流れやすいコンシステンシーであり、および滑らかな表面を有する場合、臨床医は、低硬度係数を有する保持層108を選択し得る。保持層108の硬度係数が低いことによって、隆起137は、高硬度係数を有する保持層108を上回る高さを有することができ、それにより、小瘤139の高さを低くできる。ブロック1713において、使用者は、接触層を用いて治療を実施し得る。例えば、臨床医は、接触層110および治療システム100を用いて治療を実施し、その後、方法は終了し得る。
【0114】
本明細書で説明したシステム、装置、および方法は、大きい利益をもたらし得る。例えば、接触層の機械的な擦り作用と、点滴注入および陰圧療法の水分補給およびフラッシング作用との組み合わせによって、組織部位の、痛みが少ないまたは全くないデブリドマンを可能にする。本明細書で説明するような接触層はまた、他の機械的デブリドマンプロセスおよび酵素的デブリドマンプロセスと比較して、臨床医または他の付き添い者の監視をあまり必要としないことがあり得る。さらに、本明細書で説明するような接触層は、組織部位の自己融解デブリドマン中に発生し得るように、除去された壊死組織によって遮断されないことがあり得る。さらに、本明細書で説明した接触層は、壊死、痂皮、障害のある組織、感染源、滲出液、スラフ(角質増殖、膿、異物、デブリ、および他のタイプの生物汚染度を含む)、または治癒に対するバリアの除去を支援し得る。接触層はまた、組織部位のエッジおよび上皮形成をシミュレーションする間、臭い、過剰な創傷の水分、および感染のリスクを減少させ得る。本明細書で説明した接触層はまた、濃い滲出液の除去を改善でき、点滴注入および陰圧療法装置を早期に配置できるようにし、他のデブリドマンプロセスの使用を制限または防止してもよく、および創傷清拭することが困難である組織部位で使用できる。
【0115】
いくつかの実施形態では、治療システムは、他の組織除去およびデブリドマン技術と併用され得る。例えば、治療システムは、酵素的デブリドマンの前に、デブリを軟化させるために使用され得る。別の例では、機械的デブリドマンは、組織部位におけるデブリの一部分を除去するために使用されてもよく、そのため、治療システムは、残りのデブリを除去するために使用される一方で、組織部位に対する外傷のリスクを低下させ得る。
【0116】
いくつかの説明に役立つ実施形態に示すが、当業者は、本明細書で説明するシステム、装置、および方法に対する様々な変更形態および修正形態が可能であることを認識する。さらに、「または」などの用語を使用する様々な代替形態の説明は、文脈によって明白に必要とされない限り、相互排他性を必要とせず、および不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、文脈によって明白に必要とされない限り、対象を単一の例に限定しない。
【0117】
添付の特許請求の範囲は、上述の主題の新規のかつ発明的な態様を説明するが、特許請求の範囲はまた、具体的に詳細は列挙されていない追加的な主題を含み得る。例えば、当業者に既に公知のものから、新規のかつ発明的な特徴を区別するために必要ではない場合、いくつかの特徴、要素、または態様は、特許請求の範囲から省略され得る。本明細書で説明する特徴、要素、および態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱せずに、同じ、均等な、または同様の目的を果たす代替的な特徴と組み合わせられてもまたはそれによって置き換えられてもよい。