(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの光起電力材料は、導電反射器及び導電スプリングに電気的に接続され、それにより、前記導電反射器及び前記導電スプリングを電気コンタクトとして用いることができる、請求項10記載の効率的発電タイル。
少なくとも1つの集光装置は2つの導電スプリングを備え、少なくとも1つの光起電力材料は、前記2つの導電スプリングを電気コンタクトとして用いることができるように、前記2つの導電スプリングの各々に、結合されている、請求項8記載の効率的発電タイル。
前記集光装置は放物線の形状であり、前記放物線の形状の焦点の近くに配置される前記光起電力材料に入射太陽光放射の焦点を合わせる、請求項1記載の効率的発電タイル。
【図面の簡単な説明】
【0029】
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図1】一実施形態による、地球をめぐる地球同期軌道の複数の発電衛星モジュールを有する大規模宇宙太陽光発電所を概念的に例示する図を示す。
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図2】一実施形態による、長方形の軌道の構成において飛翔する複数の発電衛星モジュールを有する大規模宇宙太陽光発電所を概念的に例示する図を示す。
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図3】一実施形態による、大規模宇宙太陽光発電所、衛星モジュール及びモジュール式発電タイルの断面図を概念的に例示する図を示す。
【
図4a】一実施形態による、モジュール式発電タイルの断面図を概念的に例示する図を示す。
【
図4b】一実施形態による、光電池の断面図を概念的に例示する図を示す。
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図4c】一実施形態による、発電タイルの部分を形成する電力送信機において利用するために適切な集積回路のブロック図を概念的に例示する図を示す。
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図5】一実施形態による、発電タイルのアンテナ要素が位相アレイとして構成される発電タイルのアレイを概念的に例示する図を示す。
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図6】特定の実施形態による、太陽光発電所のアンテナの位相アレイからの送電からの地上受電局での電力密度分布を概念的に例示する図を示す。
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図7】一実施形態による、大規模宇宙太陽光発電システムからの動的電力配分を概念的に例示する図を示す。
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図8a】一実施形態による、位相アレイの要素間の相対位相オフセットを用いる電子ビーム誘導を概念的に例示する図を示す。
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図8b】一実施形態による、位相アレイの要素間の相対位相オフセットを用いる電子ビーム誘導を概念的に例示する図を示す。
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図9a】特定の実施形態による、大規模太陽光発電所及び展開構成におけるコンパクトにできる衛星モジュールを概念的に例示する図を示す。
【
図9b】
図9aによる、格納構成における格納されコンパクトにできる衛星モジュールを概念的に例示する図を示す。
【
図10】特定の実施形態による、2軸折り畳み構成を有するコンパクトにできる衛星モジュールを概念的に例示する図を示す。
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図12a】特定の実施形態による、スリップ折畳み及びラッピングの構成を有するコンパクトにできる衛星モジュールの断面図を概念的に例示する図を示す。
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図12b】特定の実施形態による、スリップ折畳み及びラッピングの構成を有するコンパクトにできる衛星モジュールの断面図を概念的に例示する図を示す。
【
図12c】特定の実施形態による、スリップ折畳み及びラッピングの構成を有するコンパクトにできる衛星モジュールの断面図を概念的に例示する図を示す。
【
図12d】特定の実施形態による、スリップ折畳み及びラッピングの構成を有するコンパクトにできる衛星モジュールの断面図を概念的に例示する図を示す。
【
図13】特定の実施形態による、スリップ折畳み及びラッピングの構成を有するコンパクトにすることができる衛星モジュールの斜視図を概念的に例示する図を示す。
【
図15】特定の実施形態による、コンパクトにすることができる衛星モジュールの急成長展開機構を概念的に例示する図を示す。
【
図16】特定の実施形態による、コンパクトにすることができる衛星モジュールの回転展開機構を概念的に例示する図を示す。
【
図17】
図17Aは、本発明の特定の実施形態による、組み込むことができるALTADEVICESの光起電力材料に関連する性能データを例示する図を示す。
図17Bは、本発明の特定の実施形態による、組み込むことができるALTADEVICESの光起電力材料に関連する性能データを例示する図を示す。
【
図18】本発明の特定の実施形態による、PVのセルの部分の断面図を例示する図を示す。
【
図19】本発明の特定の実施形態による、組み込むことができるALTADEVICESの二重接合電池の例示的エネルギーバランスの図を示す。
【
図20A】本発明の特定の実施形態による、実装することができるカセグレン構成を例示する図を示す。
【
図20B】本発明の特定の実施形態による、実装することができるカセグレン構成を例示する図を示す。
【
図20C】本発明の特定の実施形態による、実装することができるカセグレン構成を例示する図を示す。
【
図21】本発明の特定の実施形態による、実装することができる放物線トラフ構成の動作を例示する図を示す。
【
図22A】本発明の特定の実施形態による、組み込むことができるベネチアンブラインド構成を例示する図を示す。
【
図22B】本発明の特定の実施形態による、組み込むことができるベネチアンブラインド構成を例示する図を示す。
【
図23A】本発明の一実施形態による、ベネチアンブラインド構成の構成要素を例示する図を示す。
【
図23B】本発明の一実施形態による、電力送信機と連結するベネチアンブラインド構成を例示する図を示す。
【
図24】本発明の特定の実施形態による、発電タイルの質量が集光装置を実装することにより、いかに顕著に減少し得るかを例示する図を示す。
【
図25】発電タイルの効率が、実装される集光装置に対するよりも、実装される接合の数の、いかに、より強い関数であリ得るかを例示する図を示す。
【
図26A】本発明の特定の実施形態による、放射率を向上するために、組み込むことができるマイクロスケール構造物を例示する図を示す。
【
図26B】本発明の特定の実施形態による、放射率を向上するために、組み込むことができるマイクロスケール構造物を例示する図を示す。
【
図27】
図27Aは、本発明の特定の実施形態による、マイクロスケール構造物の組み込みによる表面の放射率への効果を例示する図を示す。
図27Bは、本発明の特定の実施形態による、マイクロスケール構造物の組み込みによる表面の放射率への効果を例示する図を示す。
【
図28A】本発明の特定の実施形態による、導電炭素スプリング及び導電反射器を光起電力材料用の金属コンタクトとして用いることを例示する図を示す。
【
図28B】本発明の特定の実施形態による、導電炭素スプリング及び導電反射器を光起電力材料用の金属コンタクトとして用いることを例示する図を示す。
【
図29A】本発明の特定の実施形態による、光起電力材料用のコンタクトとして反射器を用いることを例示する図を示す。
【
図29B】本発明の特定の実施形態による、光起電力材料用のコンタクトとして反射器を用いることを例示する図を示す。
【
図29C】本発明の特定の実施形態による、光起電力材料用のコンタクトとして反射器を用いることを例示する図を示す。
【
図30】本発明の特定の実施形態による、光起電力材料用のコンタクトとして炭素スプリングを用いることを例示する図を示す。
【
図31】本発明の特定の実施形態による、並列接続で電気的に接続された光起電力材料を例示する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に図面を見るに、本発明の種々の実施形態による大規模宇宙太陽光発電(SBSP)所及び効率的発電タイルが例示されている。多くの実施形態において、SBSPシステムは、独立衛星モジュールのアレイを含み、各衛星モジュールは独立太陽光発電タイルのアレイを組み込む。いくつかの実施形態において、発電タイルは、各々、独立光電池、電力送信機及び制御回路を組み込んで形成される。衛星モジュール及び発電タイルは、いくつかの実施形態により、コンパクトにできる構造物から形成することができる。本発明の多くの実施形態によるこのような大規模宇宙太陽光発電システムを展開し、安定化し、動作し、構築する方法も説明する。類似のシステム及び方法が以下の特許出願に記載されている。2014年5月14日に出願の発明の名称が「大規模宇宙アレイ:軽量構造物のパッケージング、展開及び安定化」の米国特許仮出願番号61/993,016;2014年5月14日に出願の発明の名称が「大規模宇宙アレイ:マルチスケールモジュール式宇宙発電システム」の米国特許仮出願番号61/993,025;2014年5月15日に出願の発明の名称が「大規模宇宙アレイ:モジュール式位相アレイ送電」の米国特許仮出願番号61/993,957;2014年5月14日に出願の発明の名称が「大規模宇宙アレイ:宇宙動的電力配布システム」の米国特許仮出願番号61/993,037;2015年5月14日に出願の発明の名称が「大規模宇宙太陽光発電所:軽量構造物のパッケージング、展開及び安定化」の米国特許出願番号14/712,812;2015年5月14日に出願の発明の名称が「大規模宇宙太陽光発電所:マルチスケールモジュール式宇宙発電」の米国特許出願番号14/712,783;2015年5月14日に出願の発明の名称が「大規模宇宙太陽光発電所:誘導可能ビームを用いる送電」の米国特許出願番号14/712,856、であり、これらの全ては、その全体において、参照することにより、本明細書に含まれる。
【0031】
多くの実施形態による大規模宇宙太陽光発電所は、各衛星モジュールのお互いに対する位置が既知となるような軌道構成内の軌道に置かれた複数の独立衛星モジュールから形成することができるモジュール宇宙構築物である。衛星モジュールの各々は、太陽光放射を電流として捕獲し、その電流を用い、そのエネルギーを電力送信機を用いて1つ以上の遠隔レシーバーへ送電する、複数の発電タイルを含むことができる。多くの場合、送電はマイクロ波電力送信機を用いて行われ、マイクロ波電力送信機は、1つ以上の遠隔レシーバーへ向けることができる誘導可能ビーム及び/又は集束ビームを発生することができる位相及び/又は振幅変調アレイとして作動するように調整されている。他の実施形態では、(限定されないが)レーザーなどの光送信機を含む様々な適切な送電技術のいずれかを利用することができる。
【0032】
多くの実施形態は、太陽光発電所のモジュール要素を構築するために用いる軽量宇宙構造物に関連する。軽量宇宙構造物は、発電タイル及び/又は衛星モジュールの構築において用いられ、可動要素組を組込むことができ、可動要素は、展開する前の発電タイル及び/又は衛星モジュールの面積又は寸法の長さ、高さ及び/又は幅を低減するために、展開する前に、軽量宇宙構造物をコンパクトにすることができる。宇宙構造物は任意の数、サイズ及び構成の可動要素から作ることができ、可動要素は、数ある中でも、z折畳み(z-folding)、ラッピング、ローリング、扇形折畳み(fan-folding)、二重z折畳み(double z-folding)、三浦折り、スリップ折畳み(slip-folding)、及び、それらの組合せを用いる一次元又は二次元の圧縮を含む任意の適切な圧縮機構又は構成により、コンパクトになるように構成することができる。可動要素の実施形態は、数ある中でも、摩擦のない、ラッチの、靱帯の、スリップのヒンジなどのヒンジにより、相互に関係づけられる。宇宙構造物の実施形態は、軽量構造物の面外のマクロ及びミクロの変形を低減するために、事前に圧力を加え及び/又は支持枠組みを設ける。構造物及びモジュールは、展開中及び/又は動作中に動的安定化運動(例えば回転)を含むことができる。圧縮可能な軽量構造物を展開された動作状態に展開する展開機構は、軽量構造物の実施形態に組込むことができ、又は、関連付けることができる。展開機構は、数ある中でも、先端質量又はモジュール自己質量などの膨張ブーム式アーム、遠心力機構(に限定されないが、)を含むことができる。
【0033】
多くの実施形態による大規模太陽光発電所は、太陽光放射を獲得し、獲得したエネルギーを用いて電力送信機を動作する分散型のアプローチを利用し、電力送信機は、1つ以上の遠隔のレシーバーへ(例えば、レーザー又はマイクロ波放射を用いて)送電する。太陽光発電所の衛星モジュールは、物理的に独立の構造物にすることができ、各衛星モジュールは発電タイルの独立アレイを含む。衛星モジュールは、各々が、地球をめぐる適切な軌道における衛星モジュールのアレイ内の特定の飛翔構成内に置かれる。宇宙空間の軌道のアレイ構成内の独立衛星モジュールの各々の位置は、発電所保持スラスター及び誘導制御だけでなく吸収、反射、電磁放射の放出からの制御力の組合せにより制御可能である。このような制御機を用いることにより、独立衛星モジュールの各々は、他の衛星モジュールの各々に対し、制御された軌道のアレイ構成内で位置付けられ、維持されることができ、それ故に、各衛星モジュールは大規模宇宙太陽光発電所の独立モジュール要素を形成する。独立衛星モジュールの各々の発電タイルの各々が受ける太陽光放射は、発電するために利用され、それにより、発電タイルの各々の上の1つ以上の電力送信機に電力を供給する。トータルで、発電タイルの各々の上の電力送信機は、位相アレイ及び/又は振幅アレイの独立要素として構成することができる。
【0034】
発電タイル及び/又は衛星モジュールは、大規模宇宙太陽光発電所内の他の発電タイル及び/又は衛星モジュールとのタイミング及び制御の情報を処理し交換するための別個の電子機器も含むことができる。多くの実施において、別個の電子機器は集積回路の部分を形成し、集積回路は、個々のタイル及び/又はトランスミッタ要素の位置に基づいて、基準信号に適用する位相オフセットを独立に決定する能力を有する。このようにして、アンテナの位相アレイの調整を分散型方法で達成することができる。
【0035】
分散型アプローチのいくつかの実施形態において、位相アレイの異なるアレイ要素を、異なる送電特性(例えば、位相)で、1つ以上の異なる遠隔受電コレクター(例えば、地上レクテナ)へ送電するように向けることができる。発電タイルの各衛星モジュール、又は、1つ以上の衛星モジュールにわたる発電タイルの組合せは、独立の制御回路及び関連する電力送信機を用いて、このように制御されて、エネルギーを異なる受電コレクターへ送るように制御することができる。
【0036】
光電池(PV)は、衛星モジュール内の発電タイル上の個々の太陽光電力コレクター要素に言及する。PVは、光起電力効果により光エネルギーを直接電気に変換する任意の電気デバイスを含み、電気デバイスは、ポリシリコン及び単結晶シリコンから作られる要素、アモルファスシリコンを含む薄膜太陽光電池、CdTe及びCIGS電池、多接合電池、ペロブスカイト電池、有機/ポリマー電池、及び様々なそれらの代替物を含む。
【0037】
電力送信機又は放射物は、衛星モジュール内の発電タイル上の個々の放射要素及びそれに関連する制御回路に言及する。電力送信機は、PVにより発生した電流の電力を無線信号に変換することができる任意のデバイスを含むことができ、無線信号は、レーザー、クライストロン、進行波管、ジャイロトロン、又は適切なトランジスタ及び/又はダイオード(に限定されないが、)を含むマイクロ波放射又は光である。電力送信機は、数ある中でも、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、らせんアンテナ又は球面アンテナなどの適切な伝達可能なアンテナも含むことができる。
【0038】
位相アレイは、電力送信機のアレイに言及し、電力送信機のアレイにおいて、電力送信機に供給するそれぞれの信号の相対位相は、アレイの電力放出の有効放射パターンが所望の放出方向に強化され、不所望の放出方向に抑制されるように、構成される。実施形態による位相アレイは、動的又は固定的、能動的又は受動的にすることができる。
【0039】
軌道のアレイ構成は、宇宙空間の所望の軌道でその構成で飛翔する独立衛星モジュールの任意のサイズ、数、又は構成に言及し、それ故に、互いに対する衛星モジュールの位置が既知であり、それ故に、軌道のアレイ構成内の衛星モジュールの各々の発電タイルは、太陽光発電所の位相アレイのアレイ要素として役立つ。
【0040】
発電タイルは、大規模宇宙太陽光発電所の位相アレイの個々の太陽光発電電力の収集及び送電要素に言及する。多くの実施形態において、発電タイルは、モジュール式太陽光放射コレクター、コンバータ及び電力送信機であり、発電タイル上に配置された少なくとも1つの光電池により太陽光放射を収集し、同じ発電タイル上に配置された少なくとも1つの電力送信機へ電力を供給するために電流を用い、電力送信機は1つ以上の遠隔受電コレクターへ変換した電力を送電する。宇宙太陽光発電所内に組込まれる多くの発電タイルは、別個の電子機器を含み、電子機器は、他の発電タイル及び/又は大規模宇宙太陽光発電所内の他の衛星モジュールから受信することができるタイミング、位置及び/又は制御情報に基づいて、発電タイル上に位置する少なくとも1つの電力送信機の動作を独立に制御する。このようにして、別個の電子機器は、位相アレイを形成するために、発電タイルの各々の送電特性を(分散型方法で)調整することができる。各発電タイルは、数ある構造の中でも、発電タイルの温度を調節し、放射線を遮蔽するための光起電力の熱放射物に太陽光放射を集めるための放射コレクターなどの他の構造も含むことができる。
【0041】
衛星モジュールは、単一の一体宇宙構造物上に配置された発電タイルのアレイに言及する。衛星モジュールの宇宙構造物は、想定される構成に基づいて構造物の占有領域が、拡張又は収縮することができるような、コンパクトにできる構造にすることができる。衛星モジュールは、2つ以上の発電タイルを含むことができる。各発電タイルは、少なくとも1つの太陽光放射コレクター及び電力送信機を含むことができる。上記で論じたように、発電タイルの各々は、送電することができ、かつ、個々の衛星モジュールにわたって、又は、いくつかの衛星モジュールトータルで、形成される1つ以上の位相アレイのアレイ要素を形成するように独立に制御されることができる。代替的に、衛星モジュール上に配置された発電タイルの各々は、中央に制御されることができる。
【0042】
軽量宇宙構造物は、少なくともパッケージにした位置と展開した位置との間で構成することができる発電タイル及び/又は衛星モジュールの構築に用いられる可動相互関連要素の統合構造物に言及し、発電タイル及び/又は衛星モジュールの面積及び/又は寸法は、少なくとも1つの方向に低減し、又は、拡張することができる。軽量宇宙構造物は、展開した構成と収縮した構成との間で可動要素を促すための展開力を提供する展開機構を組込み又は展開機構と共に使用することができる。
【0043】
大規模宇宙太陽光発電所又は単なる太陽光発電所は、1つ以上の位相アレイとして機能するように設計された軌道のアレイ構成で飛翔する衛星モジュールの集積物に言及する。実施形態において、1つ以上の位相アレイは、集積した太陽光放射を1つ以上の受電コレクターへ向けるように、動作することができる。
【0044】
発電タイルの送電特性は、集積した太陽光放射を受電コレクターへ遠距離場の放射により送電することに関連する発電タイルの電力送信機の任意の特性又はパラメータに言及する。送電特性は、数ある中でも、電力送信機の位相と動作タイミング及び送電される電力量を含むことができる。
大規模宇宙太陽光発電所の構造
【0045】
本発明の特定の実施形態による地球をめぐる地球同期軌道のアレイ構成内に位置する複数の衛星モジュールを含む大規模宇宙太陽光発電所を
図1に例示する。大規模宇宙太陽光発電所100は、独立衛星モジュール102のアレイを含む。太陽光発電所100は、一実施形態により、複数の独立衛星モジュール102を軌道のアレイ構成104内の適切な軌道軌跡に配置することにより、構成される。太陽光発電所100は、複数のそのような衛星モジュール1AからNMまでを含むことができる。一実施形態において、衛星モジュール1AからNMまでは、
図1に例示されるように、グリッド形式で配置される。他の実施形態において、衛星モジュールは、非グリッド形式で配置される。例えば、衛星モジュールは、円形パターン、ジグザグパターン、又は散在パターンに配置することができる。同様に、太陽光発電所のアプリケーションに依り、軌道は、地球同期であり106、典型的に地上35,786kmの高度であるか、又は、地球低軌道であり108、典型的に地上800から2,000kmの高度であるか、のいずれかである。直ちに分かることができるように、特定のアプリケーションの要件に適切な任意の軌道は、本発明の様々な実施形態により、宇宙太陽光発電所により利用することができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、太陽光発電所の衛星モジュールは、所定の距離の差で互いに空間的に分離される。空間分離を増大することにより、互いに対する衛星モジュールの操縦性は、単純化される。さらに以下に論じるように、衛星モジュールの分離及び方向付けは、衛星モジュールの各々の上の発電タイルが位相アレイ内の要素として動作する能力に影響を与えることができる。一実施形態において、各衛星モジュール1AからNMまでは、自体の位置保持及び/又は操縦推進システム、誘導制御及び関連回路を含むことができる。特に、
図2に例示されるように、太陽光発電所100の衛星モジュール102の各々は、太陽光発電所の動作中に、他の衛星モジュール(1AからNMまで)に対する特定の衛星モジュール(1AからNMまで)の相対的位置110を決定する位置センサ、及び、衛星モジュールの軌道のアレイ構成104内の所望の位置に衛星モジュールを保持するための誘導制御回路及び推進システムを含むことができる。多くの実施形態による位置センサは、位置データ慣性計測装置(例えば、ジャイロスコープ及び加速度計)などのオンボードデバイスだけでなく、全地球測位システム(GPS)衛星又は国際地上局(IGS)ネットワーク及びそれらの組合せからの外部位置データの使用を含むことができる。いくつかの実施形態において、位置センサは、衛星モジュール及び/又は追加のサポート衛星上に配置され、相対的位置を決定することができる情報を送信する発信機を利用することができる。誘導制御及び推進システムは、衛星モジュールの各々を太陽光発電所の軌道のアレイ構成104内に保持することができる回路及び推進システムの任意の適切な組合せを同様に含むことができる。多くの実施形態において、推進システムは、数ある中でも、二元推進剤ロケット、固形燃料ロケット、レジストジェットロケットなどのような1つ以上の化学燃料ロケット、電磁スラスタ、イオンスラスタ、電熱スラスタ、ソーラーセイルなどを利用することができる。同様に、衛星モジュールの各々は、例えば、数ある中でも、リアクションホイール又は制御モーメントジャイロスコープなどの姿勢制御又は配向制御も含むことができる。
【0047】
図3に例示されるように、多くの実施形態において、太陽光発電所100の各衛星モジュール1AからNMまでは、相互接続した構造物要素111の上に配置された1つ以上の発電タイル112を有する1つ以上の相互接続した構造物要素111から成る宇宙構造物を含む。特に、衛星モジュール1AからNMまでの各々は、発電タイル112のアレイに関連し、アレイの発電タイル112の各々は、独立に太陽光放射を収集し、それを電流に変換する。電力送信機は、電流を遠隔受電所により受電することができる無線送電へ変換する。上記で論じたように、一組の発電タイルの各々の上の1つ以上の電力送信機は、発電タイル及び太陽光発電所全体の衛星モジュールの集積物により形成される1つ以上の位相アレイにおける要素として構成することができる。1つの実施形態において、衛星モジュールの発電タイルは、所定の距離の差で互いに空間的に分離される。他の実施形態において、衛星モジュールの構築により、発電タイルは変化し得る距離の差で分離され、位相アレイを形成するための発電タイルの分散的配置は、衛星モジュール及び/又は個々の発電タイルの相対的位置に基づいて、位相オフセットを決定する個々の電力送信機の制御回路を含むようになる。
【0048】
多くの実施形態による発電タイル112は、光電池113、電力送信機114及び送電アプリケーションのニーズに適合する要求に応じて電気的に相互接続された付随の電子機器115を含むマルチコンポーネント構造物を含む。
図4aに例示されるように、いくつかの実施形態において、光電池113は、発電タイルにわたって所望の電流出力を作り出すように、相互接続することのできる所望の太陽光収集領域の複数の個々の光電池要素116を備えることができる。いくつかの電力送信機114は、数ある中でも、ダイポール、ヘリカル及びパッチを含む任意の適切なデザインのものとすることができる1つ以上の送信アンテナを含む。例示の実施形態においては、制御電子機器115からのRF(無線周波数)電力をアンテナ114へコンダクティブ方式に相互接続するための導電フィード117を組込む従来のパッチアンテナ114である。直ちに認めることができるように、利用される特定のアンテナ設計は、主として、特定のアプリケーションの要件に依存する。いくつかの電力送信機114は、それらの間に配置された固定の又は展開可能なスペーサー構造物118などにより、光電池113及び/又は制御電子機器115の内の1つ又は両方から、物理的に分離される。いくつかの制御電子機器115は、(例えば、平行光又はマイクロ波放射のような無線周波数(RF)放射などの電力放出への)電力変換の態様、衛星モジュールの運動及び/又は配向、衛星モジュール間の及び衛星モジュール内部の通信、並びに、発電タイル及び/又は衛星モジュールの送電特性を制御することができる1つ以上の集積回路119を含むことができる。さらなる導電性相互接続120は、制御電子機器115を光電池113の電源に接続することができる。発電タイルの各々は、発電タイルの各々の動作温度を制御するために、熱放射物も含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、
図4bに例示されるように、PV(光電池)113は1つ以上のジャンクション113″を有する少なくとも1つの吸収材料113′を含む多層セルであり、吸収材料113′は、吸収材料の裏側の裏面コンタクト121と入射太陽光放射の方向の吸収材料の表面に配置されたトップ放射線遮蔽122との間に配置される。PVは、光起電力効果により光エネルギーを電気に直接変換する任意の電気デバイスを含むことができ、電気デバイスは、ポリシリコン及び単結晶シリコンから作られる要素、アモルファスシリコンを含む薄膜太陽光電池、CdTe及びCIGS電池、多接合電池、ペロブスカイト電池、有機/ポリマー電池、及び様々なそれらの代替物を含む。いくつかの実施形態において、PVのセル内で用いられる光起電力材料は、太陽スペクトルに合うGalnP/GaAsの薄膜から作られる。放射線遮蔽は、数ある中でも、SiO
2又はガラスなどの太陽光放射の透過材料を含むことができる。裏面コンタクトは、数ある中でも、アルミニュームのような導電性材料などの任意の適切な導電性材料から作られることができる。裏面コンタクト及びトップ放射線遮蔽の厚さは、PVに対し放射線遮蔽を提供するのに適切な任意の厚さとすることができる。デバイスの吸収及び動作の効率を増大するために、PVの回りに追加の構造物を設けることができ、例えば、カセグレン、パラボラ、非パラボラ、双曲線又はそれらの組合せの形状などの入射太陽光放射を集光し焦点に集める1つ以上の集光装置を含む。PVは、放射熱シンクなどの温度管理デバイスも含むことができる。いくつかの実施形態において、温度管理デバイスは制御電子機器に統合され、PVの動作温度を150Kから300Kの範囲内に制御するように構成することができる。発電タイル用の特に効率的な構成は、本出願の後続の節で論述する。
【0050】
数多くの実施形態において、発電タイルのコンポーネントである電力送信機は、制御回路及び1つ以上のアンテナの組合せを用いて実装される。制御回路は、衛星モジュール及び/又は太陽光発電所内の他のアンテナに対する発電タイルアンテナの位置を決定する計算能力を発電タイルに提供することができる。直ちに認めることができるように、位相アレイ内の各要素の相対的位相は、要素の配置、並びに、所望のビーム方向及び/又は焦点の位置に基づいて、決定される。各発電タイルの制御回路は、決定した発電タイルアンテナの位置及びビーム誘導情報を用いて、基準信号に適用するための適切な位相オフセットを決定することができる。特定の実施形態において、制御回路は、衛星モジュールの位置情報を受信し、位置情報を利用して発電タイルアンテナの位置を決定し、基準信号に適用するための位相オフセットを決定する。他の実施形態において、衛星モジュール内の中央処理装置は、発電タイルのアンテナの配置及び/又は適用するための位相オフセットを決定することができ、その配置及び/又は位相オフセットの情報を個々の発電タイルへ供給する。
【0051】
多くの実施形態において、限定されないが、システム操縦及び飛行制御コマンドからの先行知識を採用するだけでなく、ジャイロスコープ、加速度計、電子測距レーダー、電子測位システム、ビーコンからの位相及び/又はタイミング情報などの部分的に冗長なシステムから各タイルの位置情報を受信する。いくつかの実施形態において、電子システムは、地上に、及び/又は、本目的(及び、可能性として他の目的、例えば、GPS衛星を用いる場合)のために配備される衛星上の宇宙に、位置付ける。
【0052】
数多くの実施形態において、位置情報は、宇宙太陽光発電所内のモジュール間、パネル間及び/又は発電タイル間に、階層方法で中継して配布することができ、それにより、中央処理装置は、地上局、及び/又は、システム内のモジュールに対する他の適切な既知の位置に対する全体の宇宙太陽光発電所の位置及び配向などの位置情報を中継して配布するようにする。中継される情報は、特定のアプリケーションの要件に適切なように、絶対的な及び/又は差分的な配置及び/又は配向として、表現することができる。類似の方法で、宇宙太陽光発電所の中心又は他の適切な基準点に対する、各モジュールの位置及び/又は配向を、各モジュールで、上記で概要を述べたものと類似のプロセスを用いて決定することができる。さらに、階層レベルを下げると、個々のパネル及びタイルの位置及び配向情報を、類似の方法で決定することができる。この情報の全体又は任意の有用な部分を、タイルレベル、パネルレベル、モジュールレベル、システムレベル及び/又はそれらの任意の組合せで用いることができ、各発電タイルの熱放射物の位相及び/又は振幅を制御し、地上にビーム又は焦点を形成することができる。システムは全体として、所望の又は所望に近いビーム及び/又は集束送信を発生するように、その動作を制御するために、DSP、マイクロコントローラ又は他の適切な計算リソースが使用可能な、そのローカルな計算能力を、各タイル(及び/又はパネル又はモジュール)は利用することができるため、各タイル、パネル及び/又はモジュールの計算リソースの全体の計算能力を利用することができる。
【0053】
様々な実施形態において、
図4cに概念的に例示されるように、発電タイルの制御回路は、1つ以上の集積回路を用いて実装することができる。集積回路123は、入力/出力インターフェイス124を含むことができ、入力/出力インターフェイス124により、デジタル信号処理ブロック125は、衛星モジュールの他の要素と通信するために情報を送受信することができ、衛星モジュールは、制御アプリケーションにより構成されるプロセッサ及び/又はメモリを典型的に含む。特定の実施形態において、デジタル信号処理ブロック125は、1つ以上のアンテナの位置を決定するために利用することができる配置情報(上記論述を参照)を受信することができる。多くの実施形態において、配置情報は、基準点に対する固定配置及び/又は1つ以上の相対的配置を含むことができる。デジタル信号処理ブロックは、受信した配置情報、及び/又は、1つ以上のアンテナの位置を決定するための、(限定されないが)温度センサ、加速度計及び/又はジャイロスコープを含む任意の様々なセンサから得られる追加の情報を利用することができる。1つ以上のアンテナの決定した位置に基づいて、デジタル信号処理ブロック125は、基準信号126に適用するための位相オフセットを決定し、基準信号126は特定のアンテナに供給されるRF信号を発生するために用いられる。例示実施形態において、集積回路
123は基準信号126を受信し、基準信号126は、所望の周波数を有するRF信号を発生するためにRF合成器127へ提供される。RF合成器127により発生されたRF信号は、1つ以上の位相オフセットデバイス128へ提供され、位相オフセットデバイス128は、RF合成器127から受信したRF信号を制御可能に位相シフトするように構成される。デジタル信号処理ブロック125は、制御信号を発生することができ、制御信号は位相オフセットデバイス128へ提供されて、1つ以上のアンテナの決定した位置に基づいて、適切な位相シフトが導入される。多くの実施形態において、発生した信号の振幅は、単独で又は決定した位置に適切に基づく位相と共に、変調させることができ、及び/又は、変化させることができ、電力ビーム及び/又は集束送電を形成する。ミキサーによる電力増幅器チェインの入力での、又は、その供給電圧による増幅器内での、内部ゲート又はカスケードバイアス電圧などの、様々な方法で、振幅を変調させることができる。直ちに認めることができるように、本発明の様々な実施形態により、特定のアプリケーションの要件に適切な任意の様々な技術は、RF信号を振幅変調するために利用することができる。位相シフトしたRF信号は、次に、電力増幅器129を含む一連の増幅器に提供することができる。全体の回路は、発電タイルのPVコンポーネントにより発生した電流により電力供給されるのに、電力増幅器は、DC電流をRF信号により送信されるRF電力へ変換することに、主として、関与している。従って、電力増幅器は、受信した位相シフトのRF信号の振幅を増大し、増幅し位相シフトしたRF信号は、アンテナに接続された出力RFフィード130へ提供される。多くの実施形態において、RF合成器により発生したRF信号は、増幅器131へ提供され、他の発電タイルの制御回路へ配布される。本発明の様々な実施形態によるモジュール内の発電タイル間の基準信号の配布は、さらに、以下に論述する。
【0054】
特定の集積回路の実装を、
図4cを参照して上記のように説明したが、発電タイルの制御回路は、様々な実施形態による任意の様々な集積回路及び計算プラットフォームを用いて実装することができる。さらに、発電タイルのアンテナに供給するRF信号を発生する目的のために、配置及び/又は位相シフトを決定するために、各発電タイル上の計算能力を提供することなく、及び/又は、発電タイルの計算能力を利用することなく、衛星モジュールを実装することができる。
【0055】
多くの実施形態において、
図5に概念的に例示されるように、各衛星モジュール上の複数の発電タイル112は、各々、モジュール式位相アレイ162のパネル160を形成し、パネルは、各発電タイル内に、少なくとも、内蔵型の配列された、光電池、電力送信機及び制御電子機器を組み込む。制御電子機器は、タイミング及び制御情報の交換のために、個々の発電タイル間の有線又は無線通信を可能にすることができる。制御電子機器のアレイも、他の衛星モジュールとの制御及びタイミング情報の交換を可能にすることができる。各モジュール式発電タイル上に、少なくとも、電力収集、遠距離場電力変換及び送電の要素を配列することにより、各発電タイルが、モジュール間及び内の電力配線をしないで、位相アレイの独立要素として動作することを可能にする。
【0056】
一実施形態において、発電タイル及び/又は衛星モジュールは他の関連する回路を含むことができる。他の回路は、数ある中でも、発電タイルの送電特性、熱管理、モジュール間又は内の通信、及び配向、位置などの物理パラメータを感知するセンサなどを制御するための回路を含むことができる。制御回路は、各モジュールにわたり及び太陽光発電所にわたり発電タイルのアレイが1つ以上の位相アレイの独立のアレイ要素として動作することができるように、位相及びタイミング情報などの送電特性を制御することができる。センサは、位置及び配向を推定するためのジャイロスコープ、GPS又はIGS装置、及び、発電タイルの温度を推定するための熱電対を含むことができる。
【0057】
一実施形態において、送電特性パラメータを制御する回路は、いくつかの発電タイル又は衛星モジュール上に配列することができ、発電タイルが1つ以上の位相アレイの1つ以上の要素として動作するように、各発電タイルの各電力送信機を独立に又は同期方法で制御することができる。位相アレイとして発電タイルの動作を同期するために用いることができる基準信号(例えば、位相及びタイミング)は、各発電タイル又は衛星モジュールでローカルに発生することができ、有線又は無線のモジュール内及び間の通信リンクにより伝搬することができ、又は、単一の衛星モジュールの単一の源から中心的に発生することができ、衛星モジュール及び発電タイルの各々にわたって有線又は無線のモジュール内及び間の通信リンクにより伝搬することができる。さらに、1つ又は多数の基準信号は、1つ以上の地上局からだけでなく、ごく接近して又は異なる軌道でさえ飛翔する1つ以上の衛星などの宇宙太陽光発電所システム以外から発生することができる。
【0058】
各発電タイル又は衛星モジュールは、位相アレイの要素として独立に又は集合的に動作することができる。各個々の発電タイルに関連する全体の又は大部分の動作は、発電タイルの各々の上で一緒にすることができるか、又は、発電タイルが配列された衛星モジュール内でもしくは多数の衛星モジュールにわたって集産化することができるかである。一実施形態において、中央基準信号を発生し、そのような基準信号からの偏差(例えば、位相)を、位相アレイの各発電タイルアレイ要素に対して決定する。基準信号からの中央基準信号を伝搬することにより、位相アレイの多くの動作のためのより単純なプログラミングを促進するために、制御抽出のより高いレベルを達成することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、各衛星モジュールの各発電タイルは同一のものに又は異なるものにすることができる。光電池、送電モジュール及び制御電子機器の異なる組合せの数は、衛星モジュール内の発電タイルの数と同じにすることができる。さらに、たとえ、衛星モジュール上の発電タイルの各々が同じでも、衛星モジュールの1AからNMまでの各々又は衛星モジュールの1グループは、異なる太陽光放射収集又は送電の特性を有することができ、又は、異なるサイズ、形状及び構成の発電タイルのアレイを有することができる。
【0060】
特定の実施形態において、太陽光発電所はモジュール式位相アレイとして設計され、複数の衛星モジュール及びそれらの上に配置された発電タイルは、位相アレイのアレイ要素を形成する。この目的のために、太陽光発電所の位相アレイが達成する発電は、従来の宇宙太陽光発電衛星を多くの点において超えることができるけれども、衛星モジュールの各々は従来の打上げ機と物理的に適合するように設計することができる。増大する性能を活用して、実施形態の太陽光発電所の位相アレイは、従来の宇宙太陽光発電衛星と比較して、等しいか又はそれ以上の発電を得るために、より小さい最大積載量サイズ及び全体のアレイサイズを含むことができる。代替的に、全体の太陽光発電所のサイズは、従来の宇宙太陽光発電衛星の太陽光プラットフォームと比較して、同等の結果を達成するのに、低減することができる。
【0061】
プラットフォームのサイズと重量を増大させずに、従来の宇宙太陽光発電衛星の発電に匹敵させるために、個々の発電タイルの電力収集、送電及び制御の論理回路は、発電タイルの各々の中で、又は、その上に発電タイルが配列された衛星モジュールの中で、一緒に用いられることが好ましく、それ故に、配線の又は構造的相互接続のモジュール内の又は間の通信の必要性を除去する。一実施形態において、送電制御の論理回路の多くは、発電タイルの全て又は大部分に共通の機能の単一収集物である。本実施形態において、太陽光発電所の従来の外部の発電タイル内の又は間のインフラは、完全に除去することができ、それ故に、単位重量当たりの発電電力(W/kg)を
増大する。
【0062】
一実施形態において、衛星モジュール及び発電タイルを含む太陽光発電所の位相アレイは、従来のモノリシックの太陽光発電衛星に取って代わる。太陽光発電所はN×Nの衛星モジュールを含み、各衛星モジュールはM/N
2の発電タイルを含む。表1は、従来の太陽光発電所に取って代わる実施形態による太陽光発電所の例示構成を一覧表にしている。
【表1】
【0063】
表1の従来のSPSの性能は、公開文献から取られている。表1の例示の位相アレイシステムの性能は推定であり、実施される実際の設計パラメータに基づくものと異なり得る。
【0064】
各衛星モジュール内の発電タイルアレイ要素の数及び太陽光発電所内の衛星モジュールの数は、数ある要因の中でも、電力要件、最大積載量制限などに基づいて決定することができる。太陽光発電所全体のサイズにとっての第1の要因は、受電レクテナで発生される電力である。
図6に例示されるように、実施形態において、遠距離場のRF放射を用いて地上に入射される電力は、(限定されないが)アレイのサイズ、RF送信の波長、及び位相アレイ内の許容された位相オフセットエラーを含む要因に依存する、最大電力ローブ(u
max)を有することができる。例えば、60m×60mの衛星モジュールにより形成される太陽光発電所内の衛星モジュールの50×50のアレイの実施形態において、926W/m
2の最大電力ローブが、44W/m
2のサイドローブレベルを有して、地上に発生すると推定される。入射面積は2.4GHz放射で2.8kmの直径を有すると推定されるのに、1GHz放射で最大電力ローブの入射面積は6.6kmの直径を有すると推定される。送電の観点からは、太陽光発電所により形成される位相アレイ内の要素の望ましい数、及び、送電の波長は、受電レクテナ及び/又は受電レクテナのアレイのサイズに依存する。多くの実施形態において、レクテナの面積と同一の広がりを持つ地上に最大電力ローブを有することが望ましい。
【0065】
特定の実施形態において、
図7に概念的に例示されるように、太陽光発電所174の送電出力176を、異なるレクテナ受電機178間に分割することにより、この制約を克服することもできる。多くの実施形態において、太陽光発電所174の部分を形成する要素(例えば、衛星モジュール及び/又は発電タイル)の異なる収集物は、地上の異なるレクテナ受電機178に同時に向けることができる異なる位相アレイに構成することができ、従って、太陽光発電所により放射される個々の入射面積を低減する可能性がある。いくつかの実施形態において、衛星モジュールの集合発電タイルから、又は、各発電タイル独立にから、のいずれかから、送信ビームの動的電子誘導を可能にするために、衛星モジュール内、又は、発電タイルの各々内のいずれかに、追加の制御回路を設ける。いくつかの実施形態において、
図8a及び8bに概念的に例示されるように、電力誘導回路は発電タイルアレイ要素上の様々な電力送信機の相対タイミング(位相)の制御を可能にすることができ、各送信ビームをマイクロ秒及び/又はナノ秒のタイムスケールで電子的に方向を変えることができるようにする。太陽光発電所上のそのような動的に誘導可能な位相アレイからの送電は、1つ以上のレクテナ受電機での要求に依存して、全位相アレイが、又は、位相アレイの部分が、異なる方向に動的に方向を変えることができる。太陽光発電所上のそのような動的に向かわせることが可能な位相アレイによる特徴を有する多くの実施形態は、電子誘導によりマイクロ秒及びナノ秒のタイムスケールで異なる方向に送電の方向を変えるために用いることができる。特定の実施形態は、即時のローカルな要求に基づいて、送電を同時又は連続的のいずれかに、様々な地上局へ動的に配布することも可能にする。そのようなレクテナ受電機の各々での電力レベルは、動的に調整することもできる。デューティサイクルを制御するために、かつ、全体の電力グリッドに対する大規模AC同期問題を軽減するために、レクテナ受電機間の電力の急速なタイムドメインスイッチングを用いることもできる。
【0066】
任意の衛星モジュール内のアレイ要素の数を制約し得る第2の要因は、最大積載量のサイズと重量の問題である。地球同期軌道への現在の最大積載量配送技術は、2,000kgから20,000kgに及ぶ。従って、任意の単一の衛星モジュールのサイズに対する限度は、利用できる最大積載量配送輸送船の実際のリフト能力である。実施形態による位相アレイ衛星モジュール用の100g/m
2の仮定に基づくと、60m×60mの衛星モジュールは360kgの重量を有することになり、現在の配送技術の十分に限度内である。より大きい衛星モジュールは、それらが利用できるリフト輸送船のリフト能力内であれば、製造することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、衛星モジュールはコンパクトにできるようにし、1つ以上の寸法の衛星モジュールのサイズを、最大積載量の空間の制約を克服するために、配送中に低減することができ、次いで、最終の作動構成へ拡張することができるようにする。
図9a及び9bに例示されるように、多くの実施形態において、太陽光発電所180は衛星モジュール182のアレイを含み、各衛星モジュールは複数の構造要素290を備え、複数の構造要素184が展開構成(
図9a)とコンパクト構成(
図9b)との少なくとも2つの構成間で移ることができるように、移動可能に相互接続され、コンパクト構成すなわちパック構成に比較して、展開構成において、パッケージ化された体積の材料体積に対する比率がより大きくなるようにする。いくつかの実施形態において、構造要素184は、ヒンジで動き、モザイクにし、折り畳み、又は、他の方法で相互接続する186ことができるようにし、構造要素は、コンパクト構成と展開構成との間で互いに移ることができるようにする。太陽光発電所の各衛星モジュールは、同一の又は異なるサイズにコンパクトに構成することができるようにする。また、太陽光発電所の1つ以上の衛星モジュールをコンパクトにするために、数ある中でも、一次元及び二次元圧縮構造を含む異なる圧縮方法を用いることができる。いくつかの実施形態において、数ある中でも、z折畳み(z-folding)、ラッピング、ローリング、扇形折畳み(fan-folding)、二重z折畳み(double z-folding)、三浦折り、スリップ折畳み(slip-folding)、及び、対称ラッピング、の内の1つ又は、それらの組合せを用いることができる。
【0068】
多くの実施形態において、発電タイルは、さらに、その上に配置されるコンパクトにでき拡張できる特徴物及び構造物を有することができる。発電タイルのいくつかの実施形態において、光電池及び電力送信機は、コンパクトにできる構造物により、移動可能に相互関連することができ、コンパクト構成すなわちパック構成の場合に、発電セルの要素を共に圧縮して、展開構成の場合よりも小さい全体積を占めるようにする。いくつかの展開構成において、光電池及び電力送信機は、(例えば、それらの間に垂直オフセットを創生するための)間隙により、分離される。コンパクトにできる構造物を有する特定の実施形態は、数ある中でも、電動相互接続、及び、スプリング又は曲げられ又は圧縮中の引っ張りアームなどの弾性部材を含む。そのようなコンパクトにできる構造物は、数ある中でも、z折畳み(z-folding)、ラッピング、ローリング、扇形折畳み(fan-folding)、二重z折畳み(double z-folding)、三浦折り、スリップ折畳み(slip-folding)、及び、対称ラッピング、の内の1つ又は、それらの組合せなどのパッケージング技術を組み込むこともできる。
【0069】
発電タイル及び/又は衛星モジュールは、太陽光放射の収集又は発電タイル及び/又は衛星モジュールからの送電を増進するための他の構造物を含むことができる。発電タイル及び/又は衛星モジュールに組み込むことができる構造物は、数ある中でも、発電タイルの熱プロファイルを制御するための熱放射体、光電池に対する太陽光放射収集効率を高めるための光収集構造物(例えば、放射物、反射物及び収集物)、並びに、光電池、電力送信機及び/又は制御電子機器を宇宙放射線から守るための放射線遮蔽を含むことができる。そのような構造物は、発電タイルの他の要素に関連して、上述のように、パック構成と展開構成との間で独立にコンパクトにすることもできる。
【0070】
衛星モジュール又は発電タイル用の設計は、異なる衛星モジュール又は発電タイルに適用することができる。空間距離、光起電力、電力送信機、制御電子機器及びそれらの組合せなどの太陽光発電所の他の変数は、修正することができ、異なる電力収集及び送電の特性を有する位相アレイを作り出すことができる。このように、上述のモジュラー式太陽光発電所の利益を維持しながら、太陽光発電所の多様な融合体を作り出すことができる。
コンパクトにすることができる宇宙構造物
【0071】
多くの実施形態において、太陽光発電所の衛星モジュールは、コンパクトにすることができる構造物を採用する。コンパクトにすることができる構造物は、衛星モジュール及び/又は発電タイルをコンパクト構造にパッケージ化することができ、それにより、衛星モジュール及び/又は発電タイルによる占有体積は、衛星モジュールが割り当てられた最大積載量包装内で運搬手段内に適合することができる寸法に少なくとも沿って、低減することができるようになる。可能なパッケージングスキームのいくつかの例示的実施形態が提供されるが、しかしながら、パッケージング手続き及びコンパクトにすることができる構造物は、数ある手続きの中でも、z折畳み(z-folding)、ラッピング、ローリング、扇形折畳み(fan-folding)、二重z折畳み(double z-folding)、三浦折り、スター折畳み(star-folding)、スリップ折畳み(slip-folding)、及び、ラッピング、の内の1つ又は、それらの組合せを含む、1次元及び2次元の圧縮技術を用いることを含むことができることを理解すべきである。
【0072】
多くの実施形態において、衛星モジュール及び/又は発電タイルをパッケージ化し展開するために、2次元の圧縮技術を利用することができる。
図10は、実施形態による、複数の発電タイル292を有する衛星モジュール290の斜視図を提供する。本実施形態の複数の発電タイル292は、衛星モジュールがX軸及びY軸に沿って2軸でコンパクトにされるように、ヒンジで連結され、三浦折りの折り畳みパターンのモザイクにされる。パネルを相互接続するヒンジは、任意の適切な設計に作ることができるけれども、一実施形態において、ヒンジされる要素は炭素繊維棒又は他の適切な支持構造物により相互接続される。これらの実施形態により折り畳まれる薄膜の画像を
図11に示す。
【0073】
多くの実施形態において、衛星モジュール及び/又は発電タイルをパッケージ化し展開するために、スリップラッピング圧縮技術を利用することができる。
図12aから12dは、スリップラッピング技術の実施形態の構築の断面図を示す。図に示すように、これらの実施形態において、第1の端部304で相互接続され、第2の端部306で相互接続されていない2つの細長い要素300と302(
図12a)が、ハブの回りにラッピングしている(
図12b)。そのようなラッピングは、その要素の相互接続されていない端部間で間隙308を形成するように、細長い要素の内の1つ300が、第2の細長い要素302に対して、その長手方向の長さに沿ってスリップすることを引き起こす。1つの端部314で相互接続された2つの細長い要素310と312の第2のセットが、次いで、細長い要素の第1のセットの180°回転により得られ、次に、相互接続されていない端部が結合316されて、両端304と314で相互接続された波状の構成318の単一の細長い要素が形成される(
図12c)。このように形成される波状のストリップは、次いで、細長い要素の材料の最小曲げ半径より小さくない特定の半径320のハブの回りにラッピングすることができ、それにより、X軸及びY軸の2軸で衛星モジュールの寸法を低減する(
図12d)。
【0074】
コンパクトにすることができる衛星モジュール350に適用されるスリップラッピングパッキング技術のいくつかの実施形態が、
図13の斜視図に示される。一実施形態において、衛星モジュールは、2つの端部354と356で相互接続されるが、それらのエッジに沿って切り取ることができる、複数の細長い構造物352に形成される。パッケージング中に、細長い構造物は、細長い構造物の長手方向の軸360に直交する第1の軸358に沿って圧縮される複数の細長い構造物を形成するように、最初に、z折畳みで折畳まれる。コンパクトにされた細長い構造物は、次いで、半径362(これは衛星モジュールの細長い構造物の最小曲げ半径より小さくないように選択される)のハブの回りにラッピングされ、第2の軸に沿ってストリップを更に圧縮され、それにより、十分にコンパクトにされた衛星モジュールを形成する。全体的に長方形の構成を有する衛星モジュールを
図12及び13に示したけれども、上記のように、エッジで結合されエッジを切り取ることが許容される限り、その技術は、個々のストリップ要素の任意の構成、数又は形状で実施することができることを理解すべきである。これらの実施形態による斜め方向のz折畳みを用いるコンパクトにすることができる構造物の画像を
図14に示す。本実施形態において、0.5mの展開正方形は、直径10cmで高さ7cmの円筒構造物にパッケージ化することができる。
【0075】
このような技術を用いることにより、衛星モジュールのパッケージング体積を顕著に低減することができる。衛星モジュールのコンパクトにすることができる構造物が1cmのタイル/パネルの厚さ及び10cmの最小曲げ半径を有し、衛星モジュールが60m×60mの展開領域を有し30個から成る場合の一例示的実施形態において、そのようなコンパクトにすることができる構造物は、スリップラッピングパッケージング技術を用いて直径5mで高さ2mの円筒パッケージにコンパクトにすることができる。
【0076】
多くの実施形態において、太陽光発電所の衛星モジュールの各々のコンパクトにすることができる要素の数は、同じに又は異なるものにすることができ、衛星モジュールの上に配列される1つ以上の発電タイルを含むことができる。1つ以上の圧縮技術は、衛星モジュールの各々のコンパクトにすることができる要素をパッケージ化するのに用いることができ、その技術の使用は同じにも又は異なるものにすることができる。多くの実施形態において、展開する前に衛星モジュールをパッケージ化するのに利用される圧縮技術は、衛星モジュールが選択した運搬手段の可能な最大積載量体積内に適合するように、衛星モジュールのパッケージ化体積を少なくとも1次元で低減する。
【0077】
多くの実施形態において、発電タイルは、その上に配置される更にコンパクトにすることができ、拡張することができる特徴物及び構造物を有することができる。いくつかの実施形態において、発電タイル、光電池及び電力送信機は、コンパクトにすることができる構造物により、移動可能に相互に関係づけることができ、コンパクトにした又はパッケージ化した構成において、発電タイルの要素が一緒に圧縮されて、展開した構成における場合より小さい全体積を占めるようになる。いくつかの展開した構成において、光電池及び電力送信機は、(例えば、それらの間に垂直オフセットを創生するための)間隙により、分離される。コンパクトにできる構造物のいくつかの実施形態は、数ある中でも、電動相互接続、及び、スプリング又は曲げられ又は圧縮中の引っ張りアームなどの弾性部材を含む。そのようなコンパクトにできる構造物は、数ある中でも、z折畳み(z-folding)、ラッピング、ローリング、扇形折畳み(fan-folding)、二重z折畳み(double z-folding)、三浦折り、スリップ折畳み(slip-folding)、及び、対称ラッピング、の内の1つ又は、それらの組合せなどのパッケージング技術を組み込むこともできる。
【0078】
多くの実施形態において、展開機構は、圧縮衛星モジュールを展開する(例えば、衛星モジュールの圧縮可能要素をコンパクト構成から展開構成へ動かす)ために、提供される。多くの実施形態において、能動的な又は受動的な機構が衛星モジュールのコンパクトにできる構造物の1つ以上の部分と相互接続されて、能動的にされた場合に、衛星モジュールのコンパクトにされた構造物は、展開動作の構成へ拡張することができる。
【0079】
いくつかの実施形態において、機械的に拡張可能な部材を衛星モジュールに組み込むことができる。そのような衛星モジュールの例示が
図15に示され、複数のコンパクトにできる構造物402を有する衛星モジュールが中央ハブ404の回りに配置されている。コンパクトにできる構造物402は、機械的に拡張可能な部材406を有する少なくとも1つのエッジ上で相互接続されて、その機械的部材はコンパクトにできる構造物の外側へ付勢されるので、コンパクトにできる構造物も中央ハブから外側へ拡張されるようになる。拡張可能な部材は、数ある中でも、圧縮された又は湾曲した拡張可能な部材のように、電動式にするか又は蓄積エネルギーを用いることができる。
【0080】
多くの実施形態において、衛星モジュールのコンパクトにできる構造物は、衛星モジュールの動きが拡張し展開可能な力を供給するように、構成することができる。そのような一実施形態の例示が
図16に示され、重りの付いた要素420が中央ハブ422と衛星モジュール426のコンパクトにできる構造物424の各々の少なくとも一部との間に取り付けられ、衛星モジュールの中央ハブが回転する場合、回転するハブの遠心力が重りの付いた要素を外側へ動かすようにし、それにより、コンパクトにできる構造物を拡張する。このような実施形態において、衛星モジュールは、安定化力をコンパクトにできる構造物に供給するために、連続回転するように作ることができる。
【0081】
選択した機構にかかわらず、多くの実施形態において、衛星モジュールは、任意の数のハブ及び展開機構を有する任意の数及び構成の分離したコンパクトにできる構造物(例えば、拡張可能部材、重りの付いた部材など)に分割することができる。多くの実施形態において、コンパクトにできる構造物は、コンパクトにできる構造物の更に大きい拡張が得られるように、少なくとも2つのエッジに沿って、1つより多い展開機構に取り付けられる。多くの実施形態において、例えば、多数の重り又は拡張可能部材は、コンパクトにできる構造物の多数のポイント又はエッジに沿って、コンパクトにできる構造物の各々に取り付けることができる。いくつかの拡張可能部材又は重り要素は、コンパクトにできる構造物の構造に組み込むことができる。展開機構の多くの実施形態は、所望の場合に衛星モジュールを展開構成に拡張するように、衛星モジュールのコンパクトにできる構造物を制御可能に動作する展開制御を含むことができる。そのような展開制御のいくつかの実施形態は、例えば、衛星モジュールを特定の速度で回転することによるような展開機構に、衛星のハブの位置調整又は運動が自動的に係合するように、自動化することができる。他の実施形態は、展開機構を駆動するために外部信号又はコマンドが必要とされるように、制御回路を組み込むことができる。このような展開制御は、全体の衛星モジュールにわたって動作することができ、各発電タイル個々に、又は、それらの組合せに配置することができる。
効率的発電タイルの構成
【0082】
多くの実施形態において、特に効率的な発電タイルが実装される。上述のSBSPシステム内のこのような発電タイルの実装により、単位質量当りのより大きい発電を提供することができる限りにおいて、SBSPシステムをもっと実用的にすることができる。認めることができるように、低減した質量を有する発電タイルは、少なくとも以下の2つの理由で有利であり得る。(1)それらにより、低減した打ち上げコストを可能にする。−すなわち、低減した最大積載量は宇宙空間へ送るのにより安価にすることができる。(2)それらにより、対応する衛星モジュールのより容易な操作を可能にすることができる。こうした状況を背景に、多くの実施形態において、太陽光放射から電流を創生する薄膜の、柔軟な、光起電力の材料が実装されるが、薄膜の光起電力材料は、構造支持のために、軽量基板と共に用いることができる。認めることができるように、光起電力材料は、入力光(光子)を受けると、電子を有効な程度まで伝導帯へ励起し、それにより、有効電流の創生を可能にする、構造を有する連続した材料であると理解することができる。数多くの実施形態において、太陽光放射を関連する光起電力材料の方へ向け直す集光装置が実装され、それにより、光起電力材料は、集光装置を用いない場合に対するより大きい太陽光線束を受けることができる。認めることができるように、対応するPVのセルが作ることができる電流量は、入射太陽光放射(その集中度/太陽光線束に相当する)に直接、関係している。このように、所定の目標発電値に対して、集光装置の利用により、それぞれの付随する(相対的に大量になり得る)放射線遮蔽と共に、使用する光起電力材料の量を低減することを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、光起電力材料の放射冷却を促進する構成が実装され、これにより、光起電力材料が、もっと効率的に発電することを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、熱放射光の波長のオーダーに近似するサイズの構造を実装し、それ以外のサイズの構造では、発電タイルの放射率を効率的に増大するように構成されてしまうが、そのサイズの構造では、光起電力材料の放射冷却に寄与する。
【0083】
多くの実施形態において、典型的に、III-V太陽電池で用いられるような、薄膜光起電力材料が実装されて、入射太陽光放射から電流が作られる。従って、例えば、多くの実施形態において、ALTADEVICESにより開発されたようなガリウムヒ素薄膜光起電力材料が実装される。
図17A及び17Bは、本発明の特定の実施形態による、組み込むことができるALTADEVICESの光起電力材料に関連する性能データを例示する。特に、
図17Aは、X25IVシステムの電流対電圧特性を示し、しかし一方、
図17Bは、電磁波長の関数としての正規化QE性能を示す。ALTADEVICESの薄膜光起電力材料は、単一の接合構成に対して28.8%の高さの効率を実証し、二重の接合構成に対して31%の高さの効率を実証し、三重の接合構成に対して36%の高さの効率を実証した。認めることができるように、多重接合PVセルは広範囲の電磁波長に対して電流を作ることができ、それにより、より大きい変換効率を実証することができる。なお、このデータは1つの太陽と1.5の大気Gの条件下で得られた。もちろん、当然のことながら、ALTADEVICESの光起電力材料を論述したけれども、本発明の実施形態による、任意の適切な光起電力材料を組み込むことができる。言い換えれば、本発明の実施形態は、ALTADEVICESにより製造された光起電力材料の実装に制約されない。例えば、多くの実施形態において、発電タイルは、SPECTROLABSにより製造された光起電力材料を含む。数多くの実施形態において、発電タイルは、SOLAERO TECHNOLOGIESにより製造された光起電力材料を含む。所望の柔軟性及び耐久性により特徴づけられる、任意の薄膜光起電力材料は、本発明の多くの実施形態により、実装することができる。
【0084】
特に、光起電力材料が宇宙空間に実装される多くの例において、それらは、有害な放射線からそれらを防護する放射線遮蔽体を典型的に伴う。放射線遮蔽体は、典型的に、相対的に非常に重くなり得るカバーガラスの形である。コンテキストを提供するために、
図18は、宇宙空間に実装されるべきPVのセルの典型的構成を例示する。特に、
図18は、PVのセルの典型的構成が裏面コンタクトの上に配置され放射線遮蔽体によりカバーされた光起電力材料を含むことを示す。なお、光起電力材料の全表面面積が放射線遮蔽により防護されるのが典型的である。従って、相対的にもっと大きい表面面積を有する光起電力材料を実装することは、対応してもっと多くの放射線遮蔽を実装することを、一般的に伴う。(一般にカバーガラスの形である)放射線遮蔽は、相対的に非常に重くなり得るので、もっと多くの放射線遮蔽を含むことは、発電タイルの質量を無視できないほどに増大し得て、望ましくないことになり得る。それ故に、多くの実施形態は、発電効率を維持しながら、放射線遮蔽量を低減する構成を実装する。例えば、多くの実施形態において、目標発電値に必要な光起電力材料の量を低減することができる集光装置が組み込まれる。実際に、光電池の表面積の量は、相対的により重くない集光装置により、低減される。
【0085】
さらに、多くの実施形態において、光起電力材料の冷却を促進する発電タイルの構成が実装される。認めることができるように、光起電力材料は、動作中、大々的に熱くなり得て、熱は、電流を作る光起電力材料の能力に悪影響を与え得る。コンテキストを提供するために、動作中のサンプル太陽電池のエネルギーバランスを
図19に示す。特に、31%の変換効率を有するALTADEVICESの二重接合電池が例示される。二重接合電池は、1354W/m
2の太陽光線束を受け、その内の522W/m
2が反射される。それに応じて、832W/m
2が二重接合電池により吸収され、その内の419W/m
2が電気エネルギーに変換され、その内の413W/m
2が熱として退けられる。一般的に、熱の除去は光起電力材料の動作温度を低減し、その発電効率の利益になる。
【0086】
こうした状況を背景に、多くの実施形態において、単位質量当りの向上した発電を供給する構成が実装される。例えば、多くの実施形態において、太陽光放射を対応する光起電力材料に集光する集光装置を実装することにより、光起電力材料が、光起電力材料へ向け直されない太陽光放射を受ける場合に対するより大きい太陽光線束を受けるようになる。認めることができるように、電流を発生する光起電力材料の能力は、入射太陽光放射(太陽光線束)の量に関係している。なお、集光装置は、放射線遮蔽を含み従来のPVのセルを組み合わせた質量より重くないように作ることができる。それ故に、集光装置を組み込むことにより、所望の発電値に対する光起電力材料の量を低減することができ、それに応じて、実装される放射線遮蔽の量を低減することができる。
【0087】
集光装置は、本発明の多くの実施形態により、任意の適切な形をとることができる。例えば、多くの実施形態において、集光装置は、DUPONTにより製造されるKAPTONポリイミド薄膜上に配置されたアルミニウム薄膜の形に実装される。いくつかの実施形態において、アルミニウムは約2μmと約10μmとの間の厚さを有する。多くの実施形態において、KAPTONポリイミド薄膜は約10μmの厚さを有する。実際に、アルミニウムは反射表面(すなわち、「反射器」)として作用し、しかし一方、KAPTONポリイミド薄膜は支持基板として作用する。なお、いくつかの例示的寸法が参照されるが、構造物は、本発明の実施形態により、任意の適切な寸法を採用することができることは明らかであるべきである。集光装置は、まさに上記のものだけでなく、任意の様々な材料を用いて実装することができることも明らかであるべきであり、例えば、反射器及び基板は、本発明の実施形態により、任意の適切な材料を含むことができる。例えば、多くの実施形態において、銀の反射表面が組み込まれる。銀が、約300nmから約900nmの波長により特徴づけられる電磁スペクトルの部分にわたり、アルミニウムに対して相対的により低い光学的損失を有する限りにおいて、銀の組み込みは有利となり得る。数多くの実施形態において、集光装置内に誘電反射器が実装される。誘電反射器が、任意の所望の電磁伝送(又は任意の他の伝送)に過度に干渉しないように作られる限りにおいて、誘電反射器の利用は有利となり得る。例えば、対応するSBSP所がマイクロ波により発電した電力を送電する場合、送電に(たとえ、あったとしても)過度に干渉しない誘電反射表面を実装することができる。いずれの場合でも、いくつかの材料が集光装置の構築のために述べられたが、集光装置は、本発明の多くの実施形態により、任意の様々な適切な材料を用いて実装することができ、上述の材料からの構築に限定されないことは、明らかであるべきである。
【0088】
重要なことには、集光装置は、任意の様々な幾何学形状で実装することができる。例えば、多くの実施形態において、カセグレン構成が実装され、カセグレン構成は、太陽光放射を(典型的に一次反射器上に配置される)光起電力材料に向け直す一次及び二次反射器により典型的に特徴づけられる。典型的に、一次反射器は入射太陽光放射を二次反射器へ向け直し、続いて、二次反射器は入射太陽光放射を光起電力材料へ向け直す。なお、反射器は、入射太陽光放射を直接に反射する集光装置の部分であると理解することができる。例えば、
図20A−20Cは、本発明の実施形態により、実装することができるカセグレン構成を例示する。特に、
図20Aは、反復的カセグレン構成の等角図を示す。
図20Bは、カセグレン構成内の単一のカセグレンセルの断面図を例示する。特に、カセグレンセル2002は、一次反射器2004、補完二次反射器2006、光起電力材料2008及び光起電力材料2008による熱エネルギーの除去を促進することができる放射ヒートシンク2010を含むことが例示される。上記論述から認めることができるように、限定されないが、アルミ二ウム、銀及び/又は誘電体を含む本発明の実施形態による任意の適切な材料を用いて、反射器を実装することができる。同様に、限定されないが、KAPTONポリイミド薄膜を含む任意の適切な基板上に反射器を配置することができる。
【0089】
図20Cは、カセグレン構成の動作原理の一般的理解を例示する。特に、カセグレン構造2012に対して例示されるように、光線2015を、一次反射器2014により二次反射器2016へ向け直し、続いて、二次反射器により光起電力材料2018へ向け直すと、一般的に理解される。本発明の実施形態は、これらの動作原理の正確な明示に制約されないことは、明らかにすべきである。むしろ、理解された一般的動作原理を本明細書において論じ、本構造の理解を促す。
【0090】
なお、カセグレン構造で実装された反射器は、太陽光放射を光起電力材料へ向け直す−及び焦点に合わせる−ための、任意の様々な補充的形状を組み込むことができる。例えば、多くの実施形態において、放物線形状に合わせた一次反射器を実装し、しかし、一方、対応する双曲線形状に合わせた二次反射器を実装する。さらに、放物線及び双曲線形状の特定の特性を特定のアプリケーションの要件に基づいて調整することができる。例えば、放物線及び双曲線形状は、所望の設計基準に基づいて、より広く又はより狭くすることができる。明確化のために言うけれども、放物線/双曲線形状に合わせた反射器だけでなく、本発明の実施形態により、太陽光放射を光起電力材料へ向け直す任意の適切な反射器を対にすることを実装することができる。
【0091】
図20A−20Cに例示されるようなカセグレン構造は、良い熱的特性を実証する限りにおいて、有利であり得る。例えば、光起電力材料は、典型的に、一次反射器に直接、接触しているので、一次反射器は光起電力材料のためのヒートシンクとしての機能を果し、それにより、放射冷却を促進する。一次反射器は、伝導冷却を促進することができるので、光起電力材料と熱連通しているといえる。さらに、
図20Bに例示されるように、専用のヒートシンクも光起電力材料に連結することができる。認めることができるように、連結されたヒートシンク構造は、さらに、光起電力材料が、より冷たい、もっと好ましい(例えば、効率的な)動作温度に向かうように、さらに役に立つことができる。
【0092】
カセグレン構造は、有利な熱的特性を示すことができるのに、他方、太陽光放射入射角に敏感であり得る。例えば、二次反射器は、影を投じ、それにより、一次反射器により受ける太陽光線束を妨げ、最終的には、光起電力材料への太陽光線束を妨げる。さらに、いくらか精緻な幾何学的形状のため、太陽光放射が対応する発電タイルに達する角度のいくつかによっては、受光されない可能性がある。その上、カセグレン構造は2つの反射器を採用するため、単一の反射器のみを採用する構成に対して、もっと反射損失を受け易い。
【0093】
カセグレン構造を論じてきたが、本発明の特定の実施形態により、任意の様々な集光装置の構成を実装できることは、明らかとすべきである。例えば、多くの実施形態において、「放物線トラフ」構成が実装される。放物線トラフ構成は、上記で論じたカセグレン構造に類似しているが、二次反射器を含まず、むしろ、一次反射器を対向位置に配置された光起電力材料に太陽光放射を向け直すために用いる点で異なっている。例えば、
図21は、本発明の特定の実施形態により、実装することができる放物線トラフ構成の動作の一般的理解を例示する。特に、放物線トラフ構成2102は放物線反射器2104と対向位置に配置された光起電力材料2108とを含むことが例示される。光線2115は、放物線反射器2104により光起電力材料2108へ向け直されるように描かれている。また、本発明の実施形態がこれらの動作原理の正確な明示に制約されないことは、明らかにすべきである。むしろ、理解された一般的動作原理を本明細書において論じ、論じた本構造の理解を促す。更に、なお、
図21は単一の放物線トラフ装置の動作を描いているが、しかし、一方、発電タイルは、本発明の特定の実施形態により、もちろん、複数のそのような放物線トラフ装置を含むことができる。
【0094】
本発明の特定の実施形態により、反射器は、太陽光放射を光起電力材料に向け直す任意の形状に合わせることができるが、しかし、一方、太陽光放射を対向位置に配置された光起電力材料に効率的に焦点を合わせるように、反射器を放物線形状に合わせる場合に、有利となり得る。さらに、上記の論述から認めることができるように、構成は、任意の様々な材料を用いて実装することができる。例えば、多くの実施形態において、軽量基板と共にアルミニウム、銀及び/又は誘電材料などの反射表面を用いて、集光装置が実装される。さらに、光起電力材料は、限定されないが、ALTADEVICESにより製造された薄膜光起電力材料などの任意の適切な材料にすることができる。
【0095】
放物線トラフ構成は、カセグレン構成に対し、以下の点で有利であり得る。すなわち、放物線トラフ構成は、(2つの反射器とは対照的に)単一の反射器を採用し、2つの反射器を実装するカセグレン構成に対し、反射損失がより少なくなることになる。しかしながら、光起電力材料は、典型的に、(カセグレン構造の場合のような)一次反射器のような大きい表面積に直接、連結しないので、放物線トラフ構成は放射熱伝達で効率的でないかもしれない。
【0096】
多くの実施形態において、「ベネチアンブラインド」構成が実装され、それにより、集光装置は、隣接配置の集光装置の裏面に配置された光起電力材料へ、太陽光放射を向け直す。
図22A−22Bは、本発明の特定の実施形態により実装することができるベネチアンブラインド構成を例示する。さらに具体的に言うと、
図22Aはベネチアンブラインド構成の等角図を例示する。特に、ベネチアンブラインド構成2200は、各々が裏面に配置された光起電力材料2208を有する複数の集光装置2204を含むように描かれている。光起電力材料は、集光装置2204が、隣接する集光装置の裏面に配置された光起電力材料へ、太陽光放射を向け直すように、配置される。
図22Bは、ベネチアンブラインド構成の動作の一般的理解を例示する。特に、光線2215が、それぞれの反射器2204により、隣接する反射器の裏面に配置された光起電力材料2208へ、向け直されるように、例示される。上記の論述から推測できるように、反射器2204は、太陽光放射の焦点を目標の光起電力材料2208に合わせるように、曲げることができる。本発明の実施形態は、これらの動作原理の正確な明示に制約されないことは、明らかにすべきである。むしろ、理解された一般的動作原理を本明細書において論じ、論じた本構造の理解を促す。
【0097】
ベネチアンブラインド構成は、本発明の多くの実施形態による任意の様々な材料及び技術を用いて構築することができる。例えば、いくつかの実施形態において、ベネチアンブラインド構成は、炭素スプリング及び反射器と共に、ポリイミド薄膜を用いて実装される。
図23Aは、その構築で用いることができる材料を描くベネチアンブラインド構成の断面図を例示する。特に、ベネチアンブラインド構成2300は、それ自体が炭素スプリング2309と共に用いられるKAPTONポリイミド層2307上に配置された反射表面2305により特徴づけられる反射器2304を含むことが例示される。認めることができるように、スプリングは、発電タイルが展開するのを支援することができ、構造の完全性にも役立つことができる。複数の反射器2304は、KAPTONポリイミド基板2312上に配置することができる。炭素スプリングとポリイミド薄膜が宇宙空間での動作に十分な柔軟性と永続性を実証したので、この列挙した材料の組合せは、意図した動作に特に有効であることが示されている。しかし、特定の材料に言及しているが、本発明の特定の実施形態により、任意の適切な材料を組み込むことができることは、また、明らかとすべきである。例えば、任意の様々な導電スプリング材料及び非導電スプリング材料を含む、任意の様々なスプリング材料を組み込むことができる。
【0098】
コンテキストを提供するために、
図23Bは、電力送信機と共にベネチアンブラインド構成を例示する。特に、ベネチアンブラインド構成2350が、電力送信機2360の上に配置され、4つの「S−形状の」支柱2352により電力送信機に接合されるように描かれている。もちろん、電力送信機及び支柱は、本発明の多くの実施形態により、任意の様々な方法で実装することができ、及び、任意の様々な形状に合わせることができることは明らかとすべきである。その表現は、実装することができる構成の例示を意味し、包括的ではないことを意味する。
【0099】
集光装置の各々が連結した光起電力材料のためのヒートシンクとしての機能を果すことができ、それにより、伝導及び放射冷却を促進し、その結果、もっと効率的な動作をさせる限りにおいて、ベネチアンブラインド構成は有利となり得る。さらに、カセグレン構成に対比して、太陽光放射を光起電力材料に向け直すのに、単一の反射器のみを用いている。上記に示唆したように、単一の反射器を用いることは、複数の反射器を組み込む構成に対して、エネルギー損失の可能性を低減することができる。多くの場合、ベネチアンブラインド構成を用いることにより、90%より大きい光学的効率を実現することができる。その上、ベネチアンブラインド構成は約10倍から約40倍以上の間の集光が得られる。
図24は、集光装置とPVタイルとの組合せ質量が集光の関数としていかに減少するかを実証するグラフを例示する。特に、グラフのデータは、5つの一次元ベネチアンブラインドを有する幅10cmに長さ10cmの発電タイル、30μmの銅バックコンタクト/構造支持体を有する100μmのカバーガラス、12.5μmのKAPTONポリイミド基板により支持された1μmのGaAs光起電力薄膜のためのものである。従って、対応する発電タイルの質量が集光装置を用いることにより、いかに大幅に減少し得るかが例示される。
【0100】
上述の通り、光起電力材料内の接合の数も発電効率に影響する。興味深いことに、
図25は、光電池の効率が、太陽光放射の集光の関数よりも、組み込まれる接合の数のより強い関数であることを描いている。従って、多くの実施形態において、多数の接合により特徴づけられて実装される光起電力材料が発電タイル内に組み込まれる。
【0101】
熱放射を促進するためにフィンを用いることができ、その結果、光電池の冷却が得られ、光電池がもっと効率的に動作することを可能にし、多くの実施形態において、熱放射を促進するためにマイクロスケールの構造物がさらに組み込まれる。例えば、いくつかの実施形態において、ほぼ熱放射光の波長のオーダーでの寸法を有する構造物が、光起電力材料又は集光装置の表面と相互接続される(又は別の方法で、熱連通される)表面に組み込まれる。特に、その構造物は、熱により発生した赤外光子に光起電力材料と大いに相互作用をさせることができ、それにより、より大きい全体的熱放射を可能にすることができ、順次、より高い冷却率を引き起こす。任意物体の放射率はその吸収率に等しいというキルヒホッフの熱放射の法則により言い表されているように、これは、表面テクスチャリングによる入射光子の吸収を増大する逆プロセスとして理解できる。一般的に、ほぼ熱放射光の波長のオーダーでの(約1μmと約100μm以上との間の寸法を含む)特徴的寸法を有する構造物が、光学共鳴を引き起こすことにより、材料の吸収率/放射率を変えることができる。複数のこれらの構造物は、「表面テクスチャリングによる」表面を創生するように、実装することができる。一般的に、そのような表面が光起電力材料又は集光装置の表面と相互接続される(例えば、熱連通される)場合、そのような表面は、伝導及び放射によりその冷却を促進することができる。例えば、多くの実施形態において、実装されたマイクロ構造物は、約1μmと約100μmとの間の特徴的寸法を有する。いくつかの実施形態において、実装されたマイクロ構造物は、約5μmと約50μmとの間の特徴的寸法を有する。特定の寸法が言及されたが、放射率を増大するために、表面テクスチャリングをすることができる任意の適切な寸法の特徴物を、本発明の実施形態により組み込むことができることは、明らかであるべきである。
【0102】
図26A及び26Bは、熱放射光の波長のオーダーの寸法を有し、太陽光集光装置に組み込むことができる構造物の例を例示する。特に、
図26Aは、組み込むことができる一連の角柱を例示し、一方、
図26Bは、一連の球及び円柱を例示する。しかし、もちろん、任意の様々な形状の特徴物を、本発明の実施形態により組み込むことができることは、明らかであるべきである。その構造物は、所望の光学共鳴が得られるように、スケーリングすることができる。
【0103】
図27A及び27Bは、マイクロスケールの寸法を有することにより特徴づけられる構造物を例示し、及び、そのような構造物を含むテクスチャを、光起電力材料に相互接続される表面に組み込むことにより、そのようなテクスチャを組み込まない場合に対し、どのようにして放射率を評価することができるかを、例示する。特に、
図27Aは、表面に繰り返して組み込まれる構造物の幾何学的形状を描いている。もっと、具体的に言うと、直径は約40μm、ピッチは約50μmである。
図27Bは、そのようなテクスチャを含まない場合に対する、(表面の厚さの関数としての)表面の放射率を例示する。なお、任意の所定の表面の厚さに対して、例示の構造物を含むテクスチャを有する表面の放射率は、より大きいことを、グラフは示している。
【0104】
多くの実施形態において、PVのセルにより用いられるコンタクトは、発電タイルの効率を促進するように、統合される。例えば、多くの実施形態において、発電タイル内に既に存在する導電構造物が、構成要素であるPVのセルの導電コンタクトとして用いられる。このように、導電構造物は二重目的があるように作られる。例えば、多くの実施形態において、構造支持のための炭素スプリングだけでなく導電反射器を含むベネチアンブラインド構成が実装され、導電反射器及び/又は炭素スプリングはPVのセル用の電気コンタクトとして用いられる。これは、任意の様々な方法で達成することができる。
【0105】
例えば、
図28A及び28Bは、本発明の一実施形態により、対応するPVのセル用のコンタクトとしての炭素スプリング及び反射器の利用を描いている。特に、
図28Aは、炭素スプリング2809、KAPTONポリイミド基板2807及び導電テープボンド2811を含むベネチアンブラインド構造物内の光起電力材料2804を描いている。
図28Bは、導電反射表面2805が、さらされて、利用される光起電力材料2804に直接、コンタクトすることができることを示すために、光起電力材料のない同一構造物を例示する。この幾何学的図形は任意の様々な方法で得ることができる。例えば、KAPTONポリイミド表面の部分は、光起電力材料が導電反射表面と直接、コンタクトすることができるように、切除することができる。同様に、導電テープボンド2811は、光起電力材料2804の反対側を炭素スプリングに連結するために、用いられる。認めることができるように、炭素スプリング2809と反射表面2805とは電気的に絶縁することができる。従って、導電反射表面2805と炭素スプリング2809とは光起電力材料用の反対コンタクトとして役立つことができる。このように、認めることができるように、反射器2805と炭素スプリング2809との各々は、以下の多面的機能を提供することができる。(1)反射器は、入射太陽光放射を光起電力材料へ向け直すことができ、また、光起電力材料用のコンタクトとして役立つことができる。(2)炭素スプリングは、ベネチアンブラインドを展開させることができ、構造支持を提供することができ、かつ、光起電力材料用のコンタクトとして役立つことができる。
【0106】
多くの実施形態において、反射器は、PVのセル用のコンタクトを実装するために用いられる。
図29A−29Cは、本発明の一実施形態により、光起電力材料用のコンタクトを実装するために、反射器を利用することを描いている。特に、
図29Aは、ベネチアンブラインド構造物の反射器側を例示する。もっと具体的に言うと、反射器は、二分岐して2つの電気的に絶縁された側2905と2915になることが例示される。特に、下層のKAPTONポリイミド構造物2907は、2つの側2905と2915とを電気的に絶縁するのに役立つ。
図29Bは、光起電力材料が2つの反射器側2905と2915の各々と電気的に接続することができることを明らかにするために、光起電力材料2904及びテープボンド2911のないベネチアンブラインド構造物の反対側を例示する。
図29Cは、さらに、光起電力材料2904及びテープボンド2911を含む構造物であることを除いて、
図29Bの構造物であることを例示する。もっと具体的に言うと、光起電力材料2904の下側は直接、第1の側2915に接続され、一方、光起電力材料2904の反対側は反射表面の第2の側2905にテープによるボンディングされる。従って、反射表面はPVのセル用のコンタクトとして機能することにより、第2の目的に役立つことができることが例示される。
【0107】
数多くの実施形態において、発電タイル内の炭素スプリングは、PVのセル用のコンタクトとして作動する。例えば、
図30は、ベネチアンブラインド構造物内の炭素スプリングが、対応する光起電力材料用のコンタクトとしてどのように作動することができるかを例示する。特に、
図30は、光起電力材料3004、KAPTONポリイミド基板3007、炭素スプリング3009及びテープボンド3011を含むベネチアンブラインド構造物を例示する(反対側の反射表面は描かれていない。)。特定の反対側の表面には光起電力材料3004があり、光起電力材料3004は、それぞれのテープボンド3011を用いてそれぞれの炭素スプリング3009に電気的に接続され、それにより、炭素スプリング3009は関連する光起電力材料用の電気コンタクトとして機能することができる。既に存在するハードウェアをPVのセル用の電気コンタクトとして利用するいくつかの例を示したが、論述した例は例示的なものであり、包括的なものであることを意味するものではないことは明らかとすべきである。例えば、多くの実施形態において、論述した例はベネチアンブラインド構成を評価したが、しかし、一方、カセグレン構成及び/又は放物線トラフ構成は、既存の導電構造を電気コンタクトとして作動するように利用している。既に存在している導電構造は、本発明の実施形態により、任意の様々な方法で、PVのセルコンタクトとして機能することができる。その上、認めることができるように、いくつかの材料の実装を論じたけれども、上述の構造物を構築するために、任意の様々な適切な材料を実装することができることは明らかとすべきである。本発明の実施形態は、上述の実装には限定されない。
【0108】
コンテキストを提供するために、
図31は、本発明の特定の実施形態により、電気エネルギーを発生するのに、どのようにして光起電力材料を相互接続することができるかを例示する。特に、
図31は、どのようにして複数のベネチアンブラインド構造物を並列接続で電気的に接続することができるかを例示する。
もちろん、光起電力材料は、本発明の実施形態により、任意の適切な方法で、接合することができることは明らかとすべきである。例えば、多くの実施形態において、光起電力材料は並列に接続される。
【0109】
本発明の特定の実施形態及びアプリケーションを本明細書に例示し説明したが、本発明は本明細書に開示した正確な構成及びコンポーネントに限定されず、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び装置の配置、動作及び詳細において、様々な修正、変更及び変動をすることができると、理解すべきである。