特許第6640143号(P6640143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小松電機産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000002
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000003
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000004
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000005
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000006
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000007
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000008
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000009
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000010
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000011
  • 特許6640143-シートシャッタのシート昇降構造 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640143
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】シートシャッタのシート昇降構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/56 20060101AFI20200127BHJP
   E06B 9/70 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   E06B9/56 Z
   E06B9/70
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-71140(P2017-71140)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-172909(P2018-172909A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】堀江 好明
(72)【発明者】
【氏名】持田 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】川中 学
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−265762(JP,A)
【文献】 特開2000−160960(JP,A)
【文献】 特開2014−177849(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0083813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 − 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地部(12)を有するシート(2)を巻き付けて正逆回転駆動するシートドラム(5)を収容した箱体状のシートケース(4)を、間口幅を有して立設される左右のシートガイド(11)の上方に横向きに配設し、左右のシートガイド(11)に沿って、巻き付け状態のシート(2)をシートドラム(5)の正転時に接地部(12)の自重による付勢によって繰り出し下降させると共に、シートドラム(5)の逆転時に巻き取り上昇させるシートシャッタのシート昇降構造において、
前記シートドラム(5)の正転時に繰り出される巻き付け状態のシート(2)に対し、シート(2)の繰り出し周速より大きな周速によって回転駆動される回転体(32)を弾力的に押接させ、シート(2)の繰り出し下降を助成するシートシャッタのシート昇降構造。
【請求項2】
前記回転体(32)を、シート(2)の下降初期から下降終期に至るまで巻きシート(2)の外周に追随させながら弾力的に押接する請求項1記載のシートシャッタのシート昇降構造。
【請求項3】
前記回転体(32)を、シートケース4)内でシート(2)の両端の昇降をガイドする左右のシートガイド(11)の上方に形成されるガイド側スペースに設置する請求項1又は2記載のシートシャッタのシート昇降構造。
【請求項4】
前記回転体(32)を、シートケース(4)の端板(6a),(6b)に支持されてシート押接方向に移動自在に構成される支持機構(33)に設けた請求項1又は2又は3記載のシートシャッタのシート昇降構造。
【請求項5】
前記回転体(32)を、シート(2)の幕体部(2a)の両側に貼設されてシートドラム(5)に巻き取られる端部材(2b)の外周面に弾力的に押接させた請求項1又は2又は3又は4記載のシートシャッタのシート昇降構造。
【請求項6】
前記回転体(32)を、シート(2)の両側に沿って線材状に突出形成されてシートドラム(5)に巻き取られる係合突起(10)又は該係合突起(10)を形成する端部材(2b)の外周に接当させて弾力的に押接した請求項1又は2又は3又は4又は5記載のシートシャッタのシート昇降構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートドラムから繰り出し下降されるシートを下降助成するシートシャッタのシート昇降構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出入口に設置されるシートシャッタは、間口幅を有して立設される左右のシートガイドの上方に、接地部を有するシートを巻き取り繰り出しするシートドラムを内装した箱体状のシートケースを横向きに配設している。(例えば、特許文献1)
そして、このシートシャッタは、シートドラムに巻き付けられている巻きシートを左右のシートガイドに沿って、シートドラムの正転時に接地部のウェイト重量によって繰り出して下降させると共に、シートドラムの逆転時にウェイト重量に抗して巻き取り上昇させるシート昇降構造にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5296729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のシートシャッタは、シートドラムの正転時にウェイト重量によってシートを下降付勢し繰り出し伸展させて間口を閉じ接地時の床面との気密を保持すると共に、シートドラムの逆転によりウェイト重量に抗しシートを巻き取り接地部を通常上昇停止位置に停止し間口を全開することができる。そして、このシートの接地部には、シート下降時に間口内で人や物等に接当したとき緩衝作用を奏する緩衝構造を備えることが一般的であり、これによりシートの下降時に通過する人や車等に対する接当時のトラブルを回避するようにしている。
【0005】
然しながら、シートの下降付勢を接地部によって行うシートシャッタは、巻き径を最大にしているシートドラムの正転初期と、この巻きシートが長期の使用に伴う巻き取り硬化現象を生じ大きな弛み皺を有したまま巻き取られる等の巻付け不備状態である場合には、大きな繰り出し初期抵抗を有しているため、下降開始を速やかに加速することは困難でありウェイト重量の増大化が求められる。
【0006】
一方、上記シート昇降構造を備えるシートシャッタでは、間口開閉動作時に下降中途のシートが強風によって押圧され大きなシートガイド抵抗を生じて下降速度を遅くしたり下降停止に至らせる場合、並びに接地部が床面近くに下降することに伴い増大するシートガイド抵抗によって低速度で下降をする等の低速下降現象を生ずるものである。そして、低速下降現象を生じたシートは、シートドラムが逆転上昇するまで繰り出される繰り出しシートがシートドラムの繰り出し方向に大きく膨らませる等の繰り出し膨らみを生じ、この繰り出し膨らみが逆転時に弛みや皺になってシートドラムに巻き取られることになる。
従って、この場合もウェイト重量を重くして下降付勢力(下降力)を高めることにより、前記大きなガイド抵抗に抗して低速下降現象を生じない下降付勢をすることが求められる。
【0007】
そこで、上記欠点を解消するうえで、ウェイト重量を大きくして前記大きなシートガイド抵抗に打ち勝って下降させようとすると、この場合には接地部の自重が過大になるばかりか構造が煩雑化して大ボリュームになり、例えば、下降するシートの接地部が、間口を通過する人に対し上方から接当したときの接当衝撃を大きくすること、また接地部の屈曲緩衝作用も低下することから、接当時の速やかな撓み変形を困難にする等の新たな問題を生ずることになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明のシートシャッタのシート昇降構造は、
第1に、接地部12を有するシート2を巻き付けて正逆回転駆動するシートドラム5を収容した箱体状のシートケース4を、間口幅を有して立設される左右のシートガイド11の上方に横向きに配設し、左右のシートガイド11に沿って、巻き付け状態のシート2をシートドラム5の正転時に接地部12の自重による付勢によって繰り出し下降させると共に、シートドラム5の逆転時に巻き取り上昇させるシートシャッタのシート昇降構造において、
前記シートドラム5の正転時に繰り出される巻き付け状態のシート2に対し、シート2の繰り出し周速より大きな周速によって回転駆動される回転体32を弾力的に押接させ、シート2の繰り出し下降を助成することを特徴としている。
【0009】
第2に、前記回転体32を、シート2の下降初期から下降終期に至るまで巻きシート2の外周に追随させながら弾力的に押接することを特徴としている。
【0010】
第3に、前記回転体32を、シートケース4内でシート2の両端の昇降をガイドする左右のシートガイド11の上方に形成されるガイド側スペースに設置することを特徴としている。
【0011】
第4に、前記回転体32を、シートケース4の端板6a,6bに支持されてシート押接方向に移動自在に構成される支持機構33に設けたことを特徴としている。
【0012】
第5に、前記回転体32を、シート2の幕体部2aの両側に貼設されてシートドラム5に巻き取られる端部材2bの外周面に弾力的に押接させたことを特徴としている。
【0013】
第6に、前記回転体32を、シート2の両側に沿って線材状に突出形成されてシートドラム5に巻き取られる係合突起10又は該係合突起10を形成する端部材2bの外周に接当させて弾力的に押接したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記課題を解決するための本発明によるシートシャッタのシート昇降構造は、次のような効果を奏する。
(1)回転体がシートドラムによって繰り出されるシートに弾力的に接当しスリップしながら摩擦力によってシートの下降を助成するので、巻付け不備状態にある巻きシートであっても下降開始動作をスムーズにすることができる。
また下降中途にあるシートが強風を受け大きなガイド抵抗を生ずる場合でも、下降助成を継続されるシートは下降停止や低速下降現象を生ずることなく、接地部を速やかに接地させ間口閉じ動作を速やかに行うことができる。
そして、下降助成されるシートは、接地部のウェイト重量を過大にすることなく低速下降現象時にも下降させることができるため、ウェイト重量の軽量化を図りながら接当物との接当緩衝性能に優れた接地部を構成することができる。
【0015】
(2)回転体は繰り出される巻きシートに対し、シートの下降初期から下降終期に至るまで巻き径に応じながら巻きシートの外周に追随して押接するので、接地部のウェイト重量を重くして下降力を大きくすることなく、シートの下降ガイド抵抗に抗して最下降位置まで下降助成し速やか且つ確実に間口閉じ動作をすることができる。
【0016】
(3)ガイド側スペースを介し左右のシートガイドの上方に回転体を臨ませるので、複数の回転体がシートの両側を下方に向けて引っ張るように繰り出し付勢し、左右のシートガイドに導入しシートの下降助成をスムーズにする。また回転体は、シートドラムから繰り出し時に膨らみ生じようとするシートをシートドラム側に押接しながら、シートガイド内にスムーズに導入する。
【0017】
(4)下降助成装置は、シートケースの構成を利用し端板に、揺動回動又はスライド移動自在に取付ける支持機構は、その支持部材を狭小な後上スペースのコーナー部等にコンパクトな構造によって回転体を適正位置に支持すると共に、シートの巻き径に対応した回転体の追随動作を確実にしながら下降助成を簡潔で安価な構成によって行うことができる。また端板を介して下降助成装置のメンテナンス作業を行い易くすることができる等の特徴がある。
【0018】
(5)幕体部の両端に耐久性を有し厚肉帯状に形成される端部材は、回転体による弾力的な押圧と回転スリップに対し十分な耐久性を有しながら、シートを効率よく下降助成するためシートの昇降動作を長時間安定的に行うことを可能にする。
【0019】
(6)端部材に線材状の係合突起を備えるシートは、下降動作中に低速下降現象を生じたとしても、係合突起がシートガイド内で前後方向の振れを規制して昇降スライドをしながら直線的な柱状体になって座屈や圧縮等による撓みなく、回転体による下降助成力を接地部側に効率よく伝えるため、下降ガイド抵抗に抗しシートの下降動作を速やか且つ確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明が適用される第1実施形態に係るシートシャッタを一部破断して示す正面図である。
図2図1のA−A線の右側部分の繰出助成装置の構成を示す側断面図である。
図3図1のB−B線の左側部分の繰出助成装置の構成を示す側断面図である。
図4】シートケースの右側部分と繰出助成装置の構成を示す平断面図である。
図5】シートケースの右側部分と繰出助成装置の構成を示す正断面図である。
図6】シートケースの左側部分と繰出助成装置の構成を示す正断面図である。
図7】支柱とシートガイドの構成を示す平断面図である。
図8】右側の繰出助成装置の構成を示し、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。
図9】第2実施形態に係るシートケースの左側部分と繰出助成装置の構成を示す正面図である。
図10図9の側断面図である。
図11】第3実施形態に係るシートケースと繰出助成装置の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図示するシートシャッタ1は主として建物の出入口に設置され、シャッタ用のシート2と、出入口の間口左右に沿わせて立設されるサイドフレーム(ガイド支持部材)としての支柱3と、該支柱3の上方で横向きに固設される箱体状のシートケース4と、シートケース4内で正逆回転駆動されるシートドラム5と、支柱3に取付支持されてシート2の昇降をガイドするシートガイド11等で構成される。
【0022】
これによりシートシャッタ1は、シートドラム5の正逆回転に伴い左右のシートガイド11に沿って、巻き付けた状態の巻きシート2を正転時に接地部12の自重付勢によって繰り出し下降させると共に、シートドラム5の逆転時に巻き取り上昇させることにより、出入口(間口)の開閉をすることができる。そして、実施形態のシートシャッタ1は、シートケース4内に本発明に関る下降助成装置30を備えたシート昇降構造によって、シート2の繰り出し下降動作を助成する。
【0023】
先ず、シートシャッタ1の全体構成について図1図7を参照し説明する。シートケース4は、側面視で四角形断面の筒構造をなすケース本体6の両側に端板6a,6bを着脱自在に設けて中空状のケース室を形成し、ケース室内に右左の端板6a,6bによって回転可能に軸支される多角形筒或いは円筒状のシートドラム5をドラム軸方向に収容している。このケース本体6は後方下部にシート2の昇降移動を許容する間口幅を有する開口部6cを形成し、該開口部6cの両側に左右のシートガイド11の上部を臨ませている。実施形態のケース本体6は、その前側壁6dと下側壁6eと上側壁6fと後側壁6gの各左右端を、端板6a,6bの外周に形成される各取付片に剛体構造を有し着脱自在に取付けている。
【0024】
そして、右側の端板6aはその内側面に、モータ7のモータベース部(底面)に固設される方形板状の取付座6hを複数のボルトによって着脱可能に支持しており、円柱形状のモータ7はシートドラム5内に横向き所定深さに入り込ませて、シートドラム5の一側(右側)を取付支持する。この構成においてモータ7は、その駆動軸7aに設けた駆動体8をシートドラム5の内面に嵌合状態で接合されてシートドラム5の正逆回転駆動を行う。
【0025】
左側の端板6bはその内面中心側に、シートドラム5の他側(左側)に内嵌する筒支持体8aに設けるドラム軸8bを係脱自在に軸支する軸受部8cを内向きに突設している。
これによりシートドラム5は、モータ7と取付座6h及びドラム軸8bと軸受部8cとによりシートケース4内に水平状に軸支され、モータ7の正逆回転に伴いシート2の繰り出し下降(進動)と巻き取り上昇(退動)によって間口の開閉を行う。
尚、シート2の開閉作動は、従来のものと同様に制御盤9に設置される操作スイッチ9aの手動操作指令、並びに通過体を検知する検知部9b,9cの検知指令等に基づくモータ7の正逆回転制御によって行なわれる。
【0026】
ここで図1,図7を参照しシート2とシートガイド11について説明する。シート2は全体として可撓性を有する合成樹脂材による長方形の幕体であり、上端をシートドラム5の周面に軸方向に沿って取付けられてシートドラム5の逆転に伴いドラム周面に巻き重ねられ、接地部12が図に2点鎖線で示す通常停止位置に上昇した時点で最大巻き径として巻き取られる。そして、シートドラム5の正転に基づき巻きシート2は、接地部12の自重により順次繰り出されて巻き径を小さくしながら下降動作をする。
【0027】
このシート2はシート本体になる薄膜状の幕体部2aの両端に、所定幅の帯状ベルト部をなす肉厚で弾性変形可能なプラスチック製の端部材2bをヒート溶着又は接着により接合して取付けると共に、端部材2bの外側縁に沿って非圧縮性線材状の係合突起10をプラスチック材製によって巻き取り繰り出し方向に弾性変形可能に形成している。この係合突起10の断面は、方形又は楕円形又は四葉のクローバ形状にすることが望ましく、この場合には左右の係合突起10を後述するようにシートガイド11のガイド構造に好適に係合保持することができ、シート2を両側の抜け止めを図りながら横方向のシート張りを保持し昇降作動をスムーズにすることができる。
【0028】
そして、シート下端の接地部12は、ウェイト部を兼ねてシートドラム正転時の下降動作を付勢すると共に、シート2が最下降した間口閉じ状態で地面或いは床面等(以下単に床面と言う)に気密性を有して弾力的に接地し左右方向の通直性を保持するように構成される。また袋状の内部に設置されるウェイトの重量によって接地部12は、シートドラム5の正転に伴いシート2を下方に向けて付勢し、且つ伸展させて接地時の床面との気密を保持すると共に、シート2の下降時に通過する人や車或いは間口内に存在する物品等の接当体と接当した際の緩衝構造を備えている。
【0029】
次に、図1,図2,図5図7を参照し支柱3及びシートガイド11他について説明すると、実施形態のシートシャッタ1は、間口が高さ2500ミリ、幅2000ミリ程度であるところ、支柱3はその前後方向幅を50ミリ程度、左右幅を50ミリ程度、肉厚を2.3ミリ程度にした方形状中空断面をなし、支柱長さ2800ミリ程度の鉄製角パイプにしている。そして、左右の支柱3は補強用鉄骨である上連結部材3aによって互いの上部を連結することにより、門型状の支柱フレームを構成している。
【0030】
またシートドラム5は、全長1970ミリ程度とし直径を170ミリ程度とし、これにモータ7と取付座6h及びドラム軸8bを組み付けたユニット構造のドラム組立長は約2095ミリであり、ドラム軸8bがドラム左端から突出する突出長は50ミリ程度にしている。
そして、このシートシャッタ1の現場設置作業は、先ず支柱フレームを建物の出入口支柱や壁部材等の間口構造部材に対し適宜手段によって取付け、次いで立設された左右の支柱3に各対応するシートガイド11をドリルボルト等の取付具3bで取付け、その後、支柱3の上部に対しシートケース4の左右上下を取付具3bによって取付けることができるようにしている。
【0031】
次に、図6,図7を参照し右側のシートガイド11について説明する。尚、左側のシートガイド11は右側のものと左右対称であるため説明を省略する。先ず、シート2の両側を案内支持する各シートガイド11は、押出し成形型等によって製作される合成樹脂製レールを、各種の機能スペースとレール壁を有するガイド本体断面にしている。
このシートガイド11は、正面壁と後面壁と外面壁(左面壁)と内面壁(右面壁)とにより略正方形状のレール断面となし、後面壁側を支柱3の正面壁に取付具3bを介し着脱自在に取付け、間口側壁になる内面壁側にレール方向の溝状開放部13を形成する平行な前後側壁によってアウターレール14を構成している。
【0032】
アウターレール14は、前後側壁間で形成する溝状開放部13内に平面視コ字状断面のインナーレール16を左右及び上下方向にスライド移動自在に嵌合させて着脱自在に設けることができる。上記インナーレール16は、インナー係止部になるレール底壁16aの前後両辺から、先端側を内向きに曲げたフックを有する係合ガイド16bを弾性力を有し一体的に突設しており、これによりコ字状断面になるレール溝内に前記シート2の係合突起10を挿入係止することができる。またインナーレール16の上端部には、合成樹脂材によってレール溝を有して製作される上部シートガイド17を着脱可能に接続している。尚、アウターレール14及びインナーレール16並びに上部シートガイド17は、耐摩耗性と所定の可撓性と弾力性を備えて形成される。
【0033】
そして、シートガイド11は、アウターレール14の内奥側(外向き側)に溝状開放部13に通ずるインナー支持室20を形成し、該インナー支持室20内にガイド取付手段とインナーレール16をガイド取付手段を介し、シート2を弾力的に左右外方に引っ張り付勢するレール付勢支持機構21を収容設置している。このレール付勢支持機構21は、公知の構成によってインナーレール16を内奥側に戻し付勢するスプリング22を有する取付ピン23を介してアウターレール14内に支持することにより、シート2を牽引作用有して張り支持する。
【0034】
そして、シート2に例えば強い風圧が掛かり又はフォークリフト等が当接して内向きの負荷が掛かった場合に、インナーレール16は係合突起10と係合ガイド16bを介して且つスプリング22に抗して内向きに牽引され、さらに強い力が作用する場合には、対向する係合ガイド16bの内側の開放端が弾力的に開口され、係合突起10が係合ガイド16b内から引出されて両者の係合が外れ、シート2とインナーレール16側に過負荷が掛からないように保護される。
【0035】
またインナーレール16は、その上部側に外れたシート2を上昇時にインナーレール16内に導入して戻す復帰溝16cを形成し、且つ上端部に上部シートガイド17を嵌合し着脱自在に取付固定している。この上部シートガイド17は、ガイド溝によってシート2の巻き取り案内と繰り出し案内をスムーズにすると共に、ガイド本体からシートストッパ片17aを内向きに一体的に突設している。このシートストッパ片17aは、接地部12の左右端側に突設したストッパ26を接当させる長さで突出しており、シート2の巻き取り誤動作時にストッパ26を接当させて接当位置以上の上昇を規制し接地部12の巻き込みを防止する。
【0036】
次に、図1図8を参照し第1実施形態に係る下降助成装置30を備えるシート昇降構造について説明する。このシートシャッタ1は、ケース本体6のコーナスペースのうちシートガイド11の上方に形成されるガイド側スペース、即ち後部上方のスペース(単に後上スペースと言う)の左右に下降助成装置30を配設している。これによりシートシャッタ1は、シートドラム5の正転時にシート2が接地部12の重量により下降付勢され所定速度で通常下降する際に、下降助成装置30が後上スペースの左右からシート2を繰り出し下降を効率よく助成する。
【0037】
そして、下降中のシート2が例えば強風を受けインナーレール16との摺動抵抗の増大によって低速下降又は停止しようとするとき、下降力の付加によって適正下降を速やかに助成するようにしている。このため下降助成装置30は、助成モータ31によってシート2の繰り出し下降を助成する回転体32と、該回転体32を巻きシート2に弾力的に押接移動自在に支持する支持機構33とから構成している。
実施形態の繰出助成装置30は、左右対称構造によって後上スペースの左右コーナー部に設置し、シート2の左右を後上スペースのガイド側スペースを介してシートガイド11に近接させた上方から均等的に下降助成すると共に、簡潔でコンパクトな設置構造及び組み付けとメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0038】
以下図2,図4,図5,図8を参照し右側の下降助成装置30について説明する。尚、対称同一構造である左側の下降助成装置30は同一符号を付して説明を省略する。
この下降助成装置30は、支持機構33を後上スペースの右側コーナー部に設置するに、回転体32をシートガイド11の直上方につらなるスペースに臨ませ、シートドラム5の正転と逆転に伴い変化する巻きシート径(巻き径)に追随自在に動作し、巻き径に応じた助成動作を適正に行う。
【0039】
即ち、支持機構33は図4,図5,図8で示すように、回転体32を支持する支持部材(ブラケット)34を平面視で右側コーナーの輪郭と同じ三角形状平鉄板となし、基部側の一辺を下向きに屈曲して取付片34aを形成すると共に、後方に向けてアーム部34bを延長し、その平板先端を下向きに屈曲することによりモータ取付片34cを形成し、且つ取付片34aには取付座6hに対面する取付孔34dを穿設して構成する。
【0040】
これにより支持部材34は、取付片34aの取付孔34dを取付座6hから内向きに突設する取付軸36に回動自在に取付けることができ、且つモータ取付片34cに助成モータ31を取付けて回転体32を押接位置に臨むように支持することができる。また支持部材34は、補強アーム部材になる取付片34aを端板6aに対面近接し、且つ三角形状平鉄板としたアーム部34bを上側壁6fに対面近接するため、コーナー部に対し繰出助成装置30をコンパクトな構成によって省スペースで設置することを可能にしている。
また支持部材34の後部側に形成する付勢係合部34eには、取付座6h側のスプリング軸37に取付けられるコイルスプリングを押接手段38として係合している。
【0041】
そして、助成モータ31のモータ軸31aに接手を介し着脱可能に取付けられる回転体32は、その周面をシートドラム5に巻き付けられる巻きシート2の端部材2bに面接触可能にセットされ、且つ押接手段38による弾性力を有して巻き径方向に追随動作することができる。これにより下降助成装置30は、支持機構33を介して回転体32を、最大巻き径の巻きシート2から最小巻き径に至る巻きシート2の巻き径変化に追随しながら均等的な助成駆動を容易にする。
【0042】
一方、回転体32は回転周面をシート2との摩擦力が大きい材質と形状で、且つ耐摩耗性に勝れた合成樹脂製にしている。また回転体32は、モータ制御によって回転を調節可能にしており、シート2の下降速度より大きい周速を有して回転する。
これにより下降助成装置30の回転体32は、シートドラム5の正転によって繰り出されて下降する通常下降速度より速い周速を有し、シート2の接当面に対し適度なスリップを生じさせながらシート2の下降助成をする。
【0043】
また上記構成される下降助成装置30はケース構造を利用し、回転体32をシート押接方向に移動自在に取付ける支持機構33を端板6a,6bに揺動回動又はスライド移動自在に設けることにより、支持機構33の支持部材34を狭小な後上スペースのコーナー部にコンパクトに纏めた構造によって設置することができる。そして、シート2の巻き径に対応した回転体32の追随動作を確実にしながら下降助成を簡潔で安価な構成によって行うことができ、また着脱可能な端板6a,6bを介し下降助成装置30のメンテナンス作業を行い易くすることができる等の特徴を有している。
【0044】
尚、シートドラム5はドラム長をシート2の左右幅より短くしており、これにより巻き付けるシート2は、左右の端部材2bに形成される係合突起10側を所定幅だけはみ出させた状態で巻き付けるようにしている。つまり、シート2は端部材2bより厚い係合突起10側を、シートドラム5の左右端からはみ出させ撓み代を有して重ね巻きをすることにより、係合突起10側のはみ出した端部材2bの内径方向の撓み移動を自由にして外形方向への巻き径の増大を抑制し無理のない巻き付けを可能にしている。
【0045】
次に、上記下降助成装置30を備えるシートシャッタ1のシート昇降動作について説明する。このシートシャッタ1は、下降指令に基づきモータ7と助成モータ31が正転し巻きシート2をシートドラム5が繰り出すと共に、回転体32が左右の端部材2bを弾力的に押接し前記高周速により接触スリップしながら、その摩擦駆動力によってシート2の繰り出しを付勢し下降助成をする。そして、左右の回転体32は、シート2の両側を下方に向けて引っ張りながら左右のシートガイド11への導入を促進するように作用する。
【0046】
従って、シートシャッタ1は、巻き径と自重も最大状態であるシートドラム5のドラム回転初期、及び最大巻き径の巻きシート2が巻き取り硬化状態にある場合や、シート弛みに伴う皺を有したまま巻き取られる場合等の巻付け不備状態にある巻きシート2であっても、シートドラム5のドラム回転初期つまりシートドラム5が大きな繰り出し初期抵抗を有していても、シート2をシートドラム5が繰り出し方向に大きく膨らませる等の繰り出し膨らみを生じさせることなく繰り出し初期下降をスムーズにする等の特徴がある。
【0047】
そして、シート2はシートドラム5と回転体32の正転継続に伴い、接地部12が床面に接地した時点で両者の自動回転停止によって間口を閉鎖する。次いで、上昇指令を受けてシートドラム5が逆転するとき回転体32も同時に逆転し、シートドラム5がシート2を巻き取りながら図に2点鎖線で示す通常上昇停止位置に接地部12を引き上げ、この時点で両者の回転を停止させ間口を全開状態にする。
【0048】
一方、上記開閉動作時の下降中途において、シート2が強風によって押圧され大きなガイド抵抗を生じとき或いは下降することに伴い増大するガイド抵抗によって、前記シート2の低速下降現象を生ずる場合に、下降助成装置30を備えるシートシャッタ1は、回転体32の助成回転によってシート2の下降が加速状態であるため、風等により生ずる下降ガイド抵抗の増大に妨げられることなく、通常昇降時の閉じ動作と同様に下降動作し接地部12を床面に速やかに接地させることができる。
【0049】
また実施形態のシートシャッタ1は、シート2を幕体部2aの両端に耐久性を有する厚肉帯状ベルト部の外側縁に沿って非圧縮性を有する線材状の係合突起10を形成した端部材2bを備えた構成にすると共に、左右の下降助成装置30の各回転体32を上記端部材2bに接当させているので、回転体32による弾力的な押圧と回転スリップに対し十分な耐久性を有しながらシート2の下降助成効率を高めることができる。
【0050】
即ち、端部材2bに連続的な線材状となして突設される係合突起10を備えるシート2は、係合突起10をインナーレール16内で前後方向の振れを規制して昇降スライドを可能にする突起ガイド構造によって支持していることにより、シート2が下降動作中に前記接地部12側の低速下降現象を生じた場合には、インナーレール16内で直線的な柱状体になって回転体32による下降助成力を接地部12側に効率よく伝えることができる。
【0051】
従って、上記線材状係合突起付きのシート2と下降助成装置30を備えるシートシャッタ1は、従来型のシートのように係合突起部材がインナーレール16内で座屈や圧縮による撓みを生ずることなく、例えば接地部12側の下降ガイド抵抗が最大になる床面近くの最下降位置で強風を受けるような場合でも、突起ガイド構造を介し真直性を維持する係合突起10が、シート2の下降動作を下降ガイド抵抗に抗して速やか且つ確実にする。
【0052】
またシート2を繰り出し方向に大きく膨らませる等の繰り出し膨らみを生じさせることのない繰り出し下降をさせることができるので、シートドラム5による逆転上昇時に弛みや皺を伴うことのない巻き取りを行うことができる。
さらに、上記のように下降助成されるシート2は、接地部12のウェイト重量を重くして下降力を大きくすることなく低速下降現象時にも確実に下降することができるので、ウェイト重量の軽量化を図りながら接当時の接当衝撃を抑制できるため、接当撓み変形や柔軟性等の接当緩衝性能に優れた接地部12を構成することができる。
【0053】
尚、上記下降助成装置30を備えるシートシャッタ1は、シートドラム5の逆転によるシート2の上昇時には、助成モータ31がフリー回転又は逆転駆動をすることができ、この場合には回転体32も逆転しながら押接するため、シート2の巻き取り時の姿勢を整えることができる利点がある。また回転体32は、必要により設けられる支持機構33の押接姿勢切換手段を介し、シート2上昇時にはシート押接姿勢を自動的に解除することができる。
【0054】
次に、図9,図10を参照し別実施形態に係る下降助成装置30について説明する。尚、前記実施形態の下降助成装置30と同じ構成作用については同一符号を付して説明を省略する。先ず、図9,図10に示す第2実施形態のシート昇降構造は、下降助成装置30を図4,図5に示すものと同様な支持機構33によって、回転体32を前上スペースの左右に設置する一方で、この回転体32を係合突起10側にも接当させることにより、下降助成をより効率よく行うようにしている。
【0055】
このため回転体32は、シートドラム5の筒端部面に巻かれて支持される端部材2bの平坦状面に接当する平面ローラ部32aと、該平面ローラ部32a側から係合突起10側を押圧するように円錐状の斜面を接当させる斜面ローラ部32bとから形成している。またシートドラム5は筒端部に接続されて円錐面を有して収束する円錐ドラム部5aを設けている。これにより下降助成装置30は、平面ローラ部32aをシートドラム5の筒端部に受け止められている部分の端部材2bに平面的な接当によって回転接触すると共に、円錐ドラム部5a側の斜面に沿って巻き取られる巻き係合突起10に斜面的な接当によって回転接触する。
【0056】
従って、シートドラム5と円錐ドラム部5aとによる巻きシート2は、回転体32の平面ローラ部32aと斜面ローラ部32bとによって弾力的に挟持された状態で効率よく下降助成をする。尚、回転体32は2点鎖線で示すように、回転体32の軸心を円錐ドラム部5aの斜面に沿う方向に斜めに設けてもよく、この場合には円柱状ローラによって端部材2bと係合突起10を押接して助成回転することができる。またこの際にシートケース4から突出する部位は、シートケース4から2点鎖線で示すように突設する装置カバー体39で覆うことができる。
【0057】
次に、図11を参照し第3実施形態に係る下降助成装置30について説明する。この下降助成装置30は、図1,図4,図5に示すものと同様な後上スペース(ガイド側スペース)に、複数の回転体32を左右方向に所定の押接間隔を有して一連に軸支するモータ軸31aを、支持機構33を介して端板6a,6b側に取付けている。これによりシート2の下降初期から下降終期に至るまで複数の回転体32を巻きシート2の外周に追随させながら弾力的に押接する構成にしている。
【0058】
図示する支持機構33は、モータ軸31aを回転自在に軸支する左右の支持部材(アーム)34の基部側を端板6a,6b側から突設した取付軸36に揺動回動自在に取付けると共に、該取付軸36と支持部材34の中途とに巻きスプリング等からなる押接手段38を介装している。これにより下降助成装置30は、両外側の各回転体32の周面を左右の端部材2bに接当させると共に、内側の各回転体32を幕体部2aの膜面に接当させた状態で、押接手段38による弾性力を有して巻きシート2の巻き径方向に追随動作させることができ、支持機構33を介して回転体32を、最大巻き径の巻きシート2から最小巻き径に至る巻きシート2の巻き径変化に追随して均等的な助成駆動をする。
【0059】
尚、上記各実施形態とは別に、回転体32の設置個所をガイド側スペースに図2に2点鎖線で示すように配設する場合には、シート移動経路にシート2を回転体32と挟持送りをする例えば挟持ガイド用ローラ32cを対設することが望ましく、この場合には上記シート2をシートガイド11の直上方で挟持送りをするため、インナーレール16へのスムーズな導入をより確実にした下降助成をすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 シートシャッタ
2 シート
2a 幕体部
2b 端部材
4 シートケース
5 シートドラム
6a,6b 端板
7 モータ
10 係合突起
11 シートガイド
12 接地部
31 助成モータ
32 回転体
33 支持機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11